[EFSA]意見等
-菜種及び亜麻仁のアゾキシストロビンの既存MRLsの改訂
Modification of the existing maximum residue levels for azoxystrobin in rapeseeds and linseeds
EFSA Journal 2022;20(1):7051 21 January 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7051
(理由付き意見)
-新規食品としての熱水処理された食用ナンヨウアブラギリ(Chuta)穀粒の安全性
Safety of hydrothermally treated kernels from edible Jatropha curcas L. (Chuta) as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283
EFSA Journal 2022;20(1):6998 21 January 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6998
(科学的意見)
欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、EU規則2015/2283に従って新規食品(NF)として食用ナンヨウアブラギリ(Chuta)由来熱水処理された穀粒に関する意見を出すよう求められた。ナンヨウアブラギリは一般にホルボールエステル類(PEs)の存在により有毒植物と考えられているが、中央アメリカには食用種が存在する。申請者は食用栽培品種の育成プログラムを作成し、この栽培品種の穀粒を、NFとして、スナックあるいは食品成分としての使用を提案する。非食用穀粒との混同を避けるための手順は整っていて、最終段階で全ての生産バッチのPEs濃度の分析管理が行われている。パネルは、このNFの生産工程は十分説明されており、このNFの組成について提出された情報は特徴を明らかにするのに十分だと考えた。このNFの構成要素に標準的なin vitroテストバッテリーを利用して遺伝毒性試験を行い、遺伝毒性の懸念は確認されていない。このNFからPEsへの暴露の保守的なシナリオでは、全ての穀粒が分析手段の検出レベルでPEsを含んでいる。PEsに推定される最大暴露量と豚の亜慢性試験からの基準値を比較すると暴露マージンは≥ 900となり、十分大きいと考えられた。抗栄養素の存在は野菜類に含まれる範囲内なので、安全上の懸念を引き起こさない。パネルは、このNFは提案された使用条件で安全だと結論した。
[EU]RASFF 2022(0116-0122)
警報通知(Alert Notifications)
オランダ産有機ヘンプシードのTHC高含有、フランス産動物用飼料混合物に使用されるフェヌグリーク抽出物のエチレンオキシド、英国産海藻のヨウ素高含有、ポルトガル産フランス経由梨のアセタミプリド、中国産生鮮ヤマノイモのプロクロラズ及びピリダベン、中国産韓国梨のクロルピリホス、イタリア産ヘーゼルナッツココアスプレッドのミネラルオイル(MOAH)による汚染、アルバニア産イラクサの葉粉末の鉛高含有、ベトナム産カエルの足の3-アミノ-2-オキサゾリジンオン (AOZ) 、
注意喚起情報(information for attention)
中国産オランダ経由紙ストローの 3-MCPD高含有、ジョージア産チェリーネクターのソルビン酸(E200)未承認、トルコ産マンダリンの未承認物質クロルピリホス-メチル、インド産冷凍コツブイイダコのカドミウム、パキスタン産ドイツ経由ズッキーニの未承認物質オメトエート、スリランカ産有機メース(ナツメグの仮種皮)粉末のアフラトキシン及びオクラトキシンA、グアテマラ産サヤエンドウの未承認物質ジメトエート、トルコ産ブドウのアセタミプリド、トルコ産グレープフルーツの未承認物質クロルピリホス-メチル、スペイン産タンジェリンのプロピコナゾール、オランダ産チルドサバのヒスタミン、英国産クミン粉末の未承認着色料(キノリンイエロー)高含有、
通関拒否通知(Border Rejections)
トルコ産レモンの未承認物質クロルピリホス-メチル、トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホス-メチル、トルコ産生鮮レモンの未承認物質クロルピリホス(複数あり)、トルコ産生鮮レモンのクロルピリホス-メチル及びビフェニル、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシンB1(複数あり)、トルコ産グレープフルーツのクロルピリホス及びクロルピリホス-メチル、アゼルバイジャン産有機ヘーゼルナッツ穀粒のアフラトキシン、シリア産イチゴジャムの亜硫酸塩非表示及び着色料アゾルビン(E122)の未承認使用、エジプト産殻付きピーナッツのアフラトキシン、ブラジル産茹でピーナッツ穀粒のトリクロピル及び未承認物質ハロキシホップ、米国産殻付きピーナッツのアフラトキシン、トルコ産ザクロの未承認物質クロルピリホス、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、トルコ産生鮮ペッパーのホルメタネート、タイ産加糖練乳オーツ麦飲料のエチレンオキシド、ベトナム産米の未承認農薬トリシクラゾール、香港産ポリアミド製ラクレットチーズヘラからの一級芳香族アミンの溶出、
[EU]新興健康環境問題についての声明II (2022)
SCHEER
Statement II on emerging health and environmental issues (2022)
21 January 2022
1.ヒトとコンピュータ/ロボットのインターフェース
2.気候変動の水汚染への影響
3.ナノテク有機物
4.ナノプラスチック
5.循環経済における化学物質リスク
6.環境破壊の見地からの新興感染症
7.水素経済とそのリスク
8.廃水ベースの疫学の方法論
9.一般的な早期検出-早期警告システム
をリストアップしている
[FSANZ]食品基準ニュース
Food Standards News
January 2022
https://mailchi.mp/e5c1eead634d/food-standard-news-1300165?e=21527ddb09
・新年の挨拶
・安全なスクールランチ(お弁当)
・添加された糖の栄養表示レビュー発表
Review of nutrition labelling for added sugars
栄養成分表示に添加された糖を加えることは複雑ではあるが技術的障害はないと結論。
今後栄養成分表示に添加された糖を加える方向での作業を開始する
・首相科学賞
[FAO]トンガの火山噴火:農業と水産業への影響は?
Tonga volcanic eruption: what possible impact on agriculture and fisheries?
21/01/2022
FAOはこれまでのトンガや他の地域での災害の経験をもとに必要な対応を準備する
[ヘルスカナダ]全国禁煙週間に、保健・精神衛生・依存大臣の声明
Statement from the Ministers of Health and Mental Health & Addictions on National Non-Smoking Week
January 21, 2022
今週は全国禁煙週間である。喫煙は、予防可能な早期死亡の主要因でカナダでは毎年約48000人の死亡に寄与する。禁煙は簡単ではないが可能である。
[USDA]FSISは公衆衛生保護における2021年の成果をハイライト
FSIS Highlights 2021 Accomplishments in Protecting Public Health
January 21, 2021
サルモネラ対策や小規模事業者支援、表示等
[RIVM]RIVMの研究が確認:IJmond地域のPAHと金属の主な発生源はTataスチールサイト
RIVM study confirms: Tata Steel site is main source of PAHs and metals in the IJmond region
[IARC]血糖関連特徴と大腸がんの関連:メンデルランダム化解析
Associations between glycemic traits and colorectal cancer: a Mendelian randomization analysis
21 January 2022
JNCIに発表された48214人の大腸がん患者と64159人のがんでない人の遺伝子データを使った研究。空腹時インスリン濃度が高いことと大腸がんリスク増加に関連があったが高血糖と2型糖尿病には関連がなかった
論文
-パンデミック初期のロックダウンは命を救った、しかし前進のための主力戦略ではない
Lockdowns during early pandemic saved lives, but not a go-to strategy moving forward
21-JAN-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/940742
米国の2020年のロックダウンは2.3兆ドルの経済悪化と国の政治的分断を引き起こした。ミシガン大学看護学部の健康経済学者Olga Yakusheva准教授がPLoS ONEに発表した研究。
-キノコ中毒アウトブレイク-中国、2021
CCDC
Mushroom Poisoning Outbreaks ─ China, 2021
Online Date: January 21 2022
http://weekly.chinacdc.cn/en/article/doi/10.46234/ccdcw2022.010
調査対象は25地方部局327件、患者923人死者20人
全体として74の毒キノコと6種類の異なる臨床症状が同定され、15の新たな毒キノコが記録された
肝不全、腎不全、溶血、横紋筋融解症、胃腸炎、精神神経症状
-2019年の細菌の抗菌剤耐性による世界負担:系統的解析
Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis
Antimicrobial Resistance Collaborators
THE LANCET Open Access Published:January 19, 2022
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02724-0/fulltext
-オフライン:文化戦争としてのCOVID-19
Offline: COVID-19 as culture war
Richard Horton
THE LANCET VOLUME 399, ISSUE 10322, P346, JANUARY 22, 2022
先週米国議会でAnthony Fauci博士がRand Paul上院議員に政治家がCOVID-19パンデミックを悪用して自分の利益にしようとしていることを問いただした。Paul議員はウェブサイトで「Fauci博士を首にしろ」というメッセージを掲げ寄付を募っていた。彼の誇大宣伝でFauci博士や家族が暴力に晒されている。2021年12月にAR-15半自動ライフルを持って「Fauci博士を殺しにいくところ」だった男が逮捕されている。パンデミックが3年目に入り、COVID-19に関する政治的議論が苦い文化戦争に進化した。
合理的公衆衛生助言を無視しているように見える政治家を非難するのはたやすい。科学者は自分自身のパンデミックへのアプローチと態度を評価されることに備えるべきである。
過去2年のパンデミック管理への誠実な評価には、初期に数学モデルに過剰に依存したことや前線で働く医療従事者の経験を軽視しすぎたことが含まれるだろう。パンデミックは変遷している。政府は新たな変異株を注視し続ける必要があり脆弱集団は守られなければならない。世界的予防接種は加速しなければならない。しかし今や各国は、それぞれの社会の将来となにがより公正なのかについて熱心な議論を促すべきである。
(一部のみ。英国は既に状況は変わった、オミクロンに過剰な恐怖を煽るのは間違いという認識のよう。これは全てのトレードオフを評価して注目されているリスクの受容レベルを決めなければならないという日本が苦手なフェイズに。)
その他
-デルタクロン:存在しない変異株の物語
Natureニュース
Deltacron: the story of the variant that wasn’t
21 January 2022 Freda Kreier
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00149-9
先週デルタとオミクロンのを組み合わせた「スーパー変異株」のニュースが広まったが、科学者はそれは存在しない変異株でその配列はおそらくコンタミだろうと研究者らは言う
(拙速と迅速な情報共有の違い。科学報道の能力の無い一般メディアが第三者の研究者に取材せずに報道するのが問題なのでは)
-ベンゼン恐怖
Benzene Jitters
Joe Schwarcz PhD | 19 Jan 2022
https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/benzene-jitters
かつてはひげそり後に塗っていたが現在は水や食品や化粧品に数ppbあるだけで心配する。ベンゼンは発がん性がわかっていて避けるべきである。しかし環境中からベンゼンを排除することはできない以上、必要なのは合理的リスクアナリシスである
かつてベンゼンは甘いにおいがするためひげそり後に使われた。コーヒーからカフェインを除去するのにすら使われていた。時代は変わった。今や我々は数ppbでも心配する。しかしベンゼンはあらゆるところに存在する。環境中からベンゼンを排除することは不可能で、必要なのは合理的リスクアナリシスである。それは困難な課題だが、挑戦してみよう。
ベンゼンの全てが人間活動由来ではない。それは有機物が分解するときに生じる無数の化合物のうちの一つである。また有機物が燃えるときにも生じ、火山や山火事で生じる
(以下ベンゼンの歴史と発がん性の確認された濃度との比較)
-調理器具の化学についての懸念
Concerns About Cookware Chemistry
Joe Schwarcz PhD | 21 Jan 2022
https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/concerns-about-cookware-chemistry
銅、アルミ、ステンレススチール、あるいは純銀等、調理器具はいろいろな物質からなる。しかしどれが良いあるいは安全?
多くの化学者同様私は料理が好きである。結局のところ料理は化学物質の適切な混合だから。実験室ではフラスコやビーカーを使うが、台所ではどうする?
以下銅、アルミ、テフロン、鋳鉄、ステンレススチール、陶器等の説明
それで何がベスト?もちろん、好みと予算による。
-モディファイドパーム油とは何?
What is modified palm oil?
Joe Schwarcz PhD | 21 Jan 2022
https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition-you-asked/what-modified-palm-oil
それは遺伝子組換えではなく、望ましい融点、堅さ、口溶けにするためにパーム油の天然脂肪の化学構造を変えることを指す
マーガリン、ショートニング、チョコレートバーのようなたくさんの製品の成分リストに記載されている用語である。私は何度もNutellaのモディファイドパーム油について聞かれた。誤解の一つはすぐ片付けよう、遺伝子組換えは関与しない。
部分水素添加がトランス脂肪を生じるためインターエステル化で「modify」している。
(Nutella
https://en.wikipedia.org/wiki/Nutella
ここではmodified palm oilと記載されているのはカナダの製品だけのようだが。
https://entabe.jp/news/gourmet/17822/compare-italian-nutella-and-japanese-nutella
ここを見るとイタリアのものはパーム油、日本のものは植物油脂と記載されている模様
同じものでもモディファイドパーム油、パーム油、植物油と記載方法が違う?)
-書店で耐えがたい便意を催すこと
The Unbearable Poopness of Bookstores
Jonathan Jarry M.Sc. | 22 Jan 2022
https://www.mcgill.ca/oss/article/general-science/unbearable-poopness-bookstores
それは青木まり子現象Mariko Aoki phenomenonとよばれる
1985年の「本の雑誌」への投稿者にちなんで命名された。多くの仮説が提示されているが明確な答えはない。
(何故英語圏で有名になっているのか)
-「ねつ造し放題」か「教えることを阻まれる」か?COVIDを巡る不一致は学問の-そして人々の自由への脅威を強調する
‘Free to fabricate’ or ‘barred from teaching’? Discord over COVID underscores threats to academic freedom — and the public
Kevin Folta | January 18, 2022
2020年の最も活躍したニュージーランド人に選ばれた微生物学者Siouxsie Wiles博士はCOVID対策をわかりやすいコミックにして人々に伝える努力をした。一方MITの人工知能研究者Stephanie Seneff博士は恣意的データの選択でワクチンの危険性に関する嘘の主張をばらまいている。Wiles博士は反ロックダウン活動家から脅迫を受けオークランド大学が彼女の発言を封じた。Seneff博士は相変わらずテレビに出ていいかげんなことを言っている。何故?
学術機関は重要な役割を果たすべきだ
(一部)
-メキシコは増加する肥満の危機をケロッグの漫画イラスト入りシリアルの押収で押し下げる
Mexico weighs down on rising obesity crisis with seizure of Kellogg’s cartoon-festooned cereals
18-Jan-2022 By Gill Hyslop
メキシコの役人がマスコットのイラスト入りケロッグのシリアル38万箱を押収した。「不健康な」食品を子どもたちに宣伝することを禁止した法律に違反している
アニメキャラクターのようなものを利用して子どもたちの気を引くマーケティングは2018年に禁止する法律が成立したが発効は最近である。またカロリー、脂肪、塩、砂糖の栄養情報と警告を表示する義務にも違反していたと報道されている。
メキシコは世界で二番目に肥満の多い国で、特に子どもが問題になっている。1985年にメキシコの19才の少女の平均BMIは20.7だったが2019年には24.2になった。
メキシコ政府は「ジャンクフード」の摂取量を減らそうとたくさんお対策を行っている。2014年には13才以下の子どもが見る時間帯のTV広告を禁止した。地域によっては砂糖入り飲料やハイカロリースナックを販売禁止にしている
-養蜂の問題
The trouble with beekeeping
January 17, 2022 Tove Danovich
https://www.grid.news/story/science/2022/01/17/the-trouble-with-beekeeping/
ミツバチは救う必要がなく-むしろ土着の受粉媒介者に問題を起こしている可能性がある
昨年の冬、私の頭はミツバチのことで一杯だった。山のようなハウツー本を読み地元の養蜂家に助言を求め動画を見てミツバチの世話をした。私は何年も自分の半エーカーの庭を受粉媒介者に魅力的なものにしようとしてきた。
生物学者E.O. Wilsonは、地球の生物多様性を救う唯一の方法は全ての陸地や海の半分をヒトの干渉から守ることだという。米国の土地の60%は民間所有で、私は裏庭をもとの自然に戻そうという運動に参加した。つまり外来種をとり除きもともとの植物に代える。
ミツバチは野生昆虫ではなく、アメリカ産でもない。ミツバチは欧州から輸入した家畜である。Hoffman Blackが言うように、「ミツバチを育てて受粉媒介者を守ろうとするのは、鶏のひよこを育てて鳥を守ろうとするようなものである」
(長い記事一部のみ)