2022-01-27

[EFSA]意見等

-マルハナバチと単独行動するハチの特定の保護目標の定義を支援するための根拠の分析

Analysis of the evidence to support the definition of Specific Protection Goals for bumble bees and solitary bees

EFSA Journal 2022;20(1):EN-7125  26 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7125

(技術的報告書)

ハチ類の特定の保護目標の定義に関連して、リスク管理者はEFSAに、何をどの程度保護する必要があるかについて、意思決定プロセスを支援するために科学的な背景を提出するよう求めた。この文書では、マルハナバチと単独行動のハチの特定の保護目標を決定するリスク管理者を支援するために、情報、データ、ツールを調査している。特に、EFSAは生物学と生態学の関連情報をまとめ、許容可能な影響の閾値の定義を支援するために、バックグラウンドの変動性の分析を実施する可能性を調査した。現在の知識レベルを考慮し、EFSAは、この分析は複雑で、まだ入手できていない情報やまだ完全に評価されていないツールが必要だと結論した。それにもかかわらず、少数の実験的野外研究の対照群に代表される、入手可能な限られたデータに基づき、様々な関連するエンドポイントの変動性分析が提出された。この分析結果、マルハナバチと単独行動のハチの生物学及び生態学、リスク評価への影響を考慮することで、EFSAはリスク管理者ができる可能性のあるアプローチを説明した。

 

-バイオテクノロジーに由来する食品及び飼料のアレルギー誘発性やタンパク質安全性評価の開発ニーズに関する科学的意見

Scientific Opinion on development needs for the allergenicity and protein safety assessment of food and feed products derived from biotechnology

EFSA Journal 2022;20(1):7044 25 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7044

(科学的意見)

この科学的意見は、概して、より持続可能な食品システムを求める世界で緊急に必要とされる、アレルギー誘発性評価やタンパク質の安全性の調査条件など、特定の開発ニーズの明確化を扱う。現在のアレルギー誘発性リスク評価戦略は、2003年に最初に発表された「最新の」バイオテクノロジー由来食品の安全性評価としてコーデックス委員会の原則とガイドラインに基づいている。安全性評価の中核をなすアプローチは、アレルギー誘発性を予測するための十分な証拠を提出する情報や実験方法が1つもないため、「証拠の重み」アプローチに基づいている。コーデックス委員会とEFSAのガイダンス文書は単一の/スタックイベントGM申請のアレルギー誘発性評価にうまく対処しているが、その分野で得られた経験や新しい展開からリスク評価のカギとなる要素の一部は近代化が必要である。これらには、臨床的妥当性、暴露ルート、食物アレルゲンの閾値の可能性検討、より的を絞ったデータベースで使用するin silicoツールの更新、試料やin vitro/in vivoプロトコルのよりよい統一と標準化を含む必要がある。さらに、より複雑な将来の製品は、主にいくつかの新しく発現したタンパク質を評価することを目的とした、現在のガイドラインの実施全体に課題となりそうである。したがって、アレルギー誘発性リスク評価の主な目的や、消費者の健康を守るために果たす極めて重要な役割を見直し、明確にする時機である。「アレルギー誘発性リスク評価の目的は?」または「予測にはどの程度の信頼性が必要?」などの一連の重要な質問をリスク評価者やリスク管理者に知らせるために、アレルギー誘発性の安全性の目的とリスク評価のニーズを(再)定義するためのロードマップが必要である。

 

-魚油の農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance fish oil

EFSA Journal 2022;20(1):7079  25 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7079

情報不足が確認された。

 

-アセタミプリドに関する声明

Statement on the active substance acetamiprid

EFSA Journal 2022;20(1):7031 24 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7031

(声明)

アセタミプリドは欧州委員会実施規則(EU) No 844/2012の第3版(AIR3)では、これまでのところ殺虫作用のある農薬有効成分である。この物質がヒトや環境に高いリスクをもたらす可能性があることを懸念して、フランスの機関はEC規則No 1107/2009第69条で使用を制限するよう委員会に求めた。この要請の根拠として、フランスの管轄機関は、ヒトや環境へのハザードおよび/または暴露を調査した一連の文献を引用した。そこでEFSAのPPRパネルは、一連の根拠がヒトや環境への深刻なリスクの証拠となる可能性について助言するよう委任された。そのため、EFSAのPPRパネルは、以前のEUの評価と比較して、これらの研究がヒトや環境への新たな、あるいはより高いハザードや暴露を示す可能性を評価した。段階的な方法論が考案された:(i) 初期スクリーニング;(ii)  OHAT/NTPの原則に基づくデータ抽出と批判的評価;(iii) 以前のEU評価の考察を含む証拠の重み;(iv) 続いて、必要に応じ、専門家の知見を引き出すプロセスによる不確実性分析。ヒトの健康については、以前の評価と比較してより高いハザードの決定的な証拠は、遺伝毒性、発達毒性、発達神経毒性を含む神経毒性、免疫毒性には見つからなかった。だが、現在のデータセットに適切な評価がないため、PPRパネルは、EFSA/ECHAの内分泌かく乱物質同定のためのガイダンス文書に従って、アセタミプリドの内分泌かく乱物質の特性評価を実施するよう助言した。環境では、鳥類、水生生物、ハチ類、土壌生物には、以前の評価と比べてより高いハザードの決定的で堅固な証拠は見つからなかった。だが、鳥類とハチ類はアセタミプリドに対してより高い種間感受性がある可能性があり、更なる検討が必要である。

 

-ビタミン類と必須ミネラル類の耐容上限摂取量の設定と適用のためのガイダンス

Guidance for establishing and applying tolerable upper intake levels for vitamins and essential minerals

EFSA Journal 2022;20(1):e200102 24 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200102

(科学的意見)

ビタミン類と必須ミネラル類はヒトの身体の正常な機能に不可欠な微量栄養素である。だが、過剰に摂取すると健康有害影響になる可能性がある。耐容上限摂取量(UL)の概念は、過剰な栄養摂取リスクを管理する政策決定者や他の関係者を支援するために導入された、科学に基づく基準値である。ビタミン類とミネラル類のUlsを設定するためのEFSAの原則は、もともと2000年に食品科学委員会が作成した。それ以降、経験を得て科学分野は発展した。栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネルは、EFSAのUL評価を支援するために更新した枠組みを提供した。リスク評価の計画(問題の明確化や手段の定義)や、その実行(証拠検索、評価、合成、統合、不確実性分析)に関する側面も含んでいる。以前の枠組みのように、食品中の化学物質のリスク評価のために作成された一般原則が適用される(ハザード同定、ハザードキャラクタリゼーション、摂取量評価、リスクキャラクタリゼーション)。栄養素に特有なのは、生化学的および生理学的役割、栄養素の全身の恒常性と身体負荷量を維持する特異的選択的メカニズムである。栄養素のリスク評価を行う際にこれらを考慮しなければならない。この文書は、1年間の試験段階中にEFSAの評価に適用され、必要であれば改訂・補完されるガイダンス文書を構成する。このガイダンスを最終化する前にパブリックコメント募集が開始される。

 

-フルピラジフロンに関する声明

Statement on the active substance flupyradifurone

EFSA Journal 2022;20(1):7030  24 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7030

(声明)

フルピラジフロンは新しいブテノライド殺虫剤で、欧州委員会施行規則(EU)2015/2084で植物保護製品に使用する有効成分として最初に承認された。この物質がヒトや環境に高いリスクをもたらす可能性があることを懸念して、フランスの機関は2020年11月にEC規則No 1107/2009第69条で使用を制限するよう委員会に求めた。この要請の根拠としてフランスの管轄機関は、ヒトや環境へのハザードおよび/または暴露を調査した一連の文献を引用した。さらに2020年6月には、オランダの機関がEC規則No 1107/2009第56条で、野生種のハチ、アルファルファハキリバチのフルピラジフロンの新たな情報を通知した。この通知はフルピラジフロンのフランスの通知でも参照されている。そこでEFSAのPPRパネルは、一連の根拠がヒトや環境への深刻なリスクの証拠となる可能性を定量化するよう委任された。そのため、EFSAのPPRパネルは、以前のEUの評価と比較して、これらの研究がヒトや環境への新たな、あるいはより高いハザードや暴露を示す可能性を評価した。段階的な方法論が考案された:(i) 初期スクリーニング;(ii)  OHAT/NTPの原則に基づくデータ抽出と批判的評価;(iii) 以前のEU評価の考察を含む証拠の重み;(iv) 続いて、必要に応じ、専門家の知見を引き出すプロセスによる不確実性分析。ヒトの健康については、1つの研究だけがin vitroでフルピラジフロンの遺伝毒性の可能性に関連するとみなされた。in vivo試験ですでにフルピラジフロンの遺伝毒性の可能性は評価されていたため、これらのデータはEU評価を覆すのに十分な情報を提供しなかった。環境:全ての入手可能なデータからハチ種のハザードが調査された。ミツバチの以前のEU評価より高いハザードを示す新たなデータの可能性には、いくつかの不確実性があり、低または中程度とみなされた。だが、単独行動をするハチ種の中で、―以前のEU評価では取り扱っていないが―アルファルファハキリバチがフルピラジフロンに過度に感受性が高い可能性があるという証拠があった。この感受性は、この種の体重が少ないことで一部説明されるかもしれないが、不十分な身体代謝プロセスとメカニズム的にリンクしている。

 

[WHO]ヒト健康リスク評価についてのWHOウェビナー-更新WHOツールキット

WHO webinar on Human Health Risk Assessment – Updated WHO Toolkit

25 January 2022

https://www.who.int/news/item/25-01-2022-who-webinar-on-human-health-risk-assessment-updated-who-toolkit

2022年2月17日、最近更新されたツールキットの紹介

 

[FSA]Emily Mileの関係者向け情報更新― Morrisons、ミルク、消費期限

Emily Miles' stakeholder update - Morrisons, milk, and use-by dates

Emily Miles, Chief Executive, Posted on:25 January 2022

https://food.blog.gov.uk/2022/01/25/emily-miles-stakeholder-update-morrisons-milk-and-use-by-dates/

FSA長官Emily Mileが、Morrisonsが一部の乳製品に賞味期限を使うという最近のニュースについて議論する

最近スーパーマーケットチェーンのMorrisonsが、ミルクの消費期限を賞味期限に変更すると発表したことが関心を集めている。これは2019年にArlaが同様の動きをしたことに続くもので、毎年不必要に捨てられるミルクの量を減らすためである。

FSAでは、我々は食品廃棄を減らす努力は歓迎する。また食品事業者には、消費者の選択と安全性のために製品の日付表示を確実にしなければならないことについては明確にする。

賞味期限は製品の質に関するものである。消費期限は時間が経ちすぎると安全でなくなる可能性のあるものに使う。ミルクが消費期限を必要とするかあるいは賞味期限なのかは処理の程度により、事業者の厳密な微生物学的リスク評価による。

FSAは臭いで判断するなどの感覚検査は、賞味期限のある食品についてのみ使うように薦める。消費期限のある製品について臭いは信頼できない。

(賞味期限と消費期限の解説動画)

 

[DHSC]イングランドはフェイスカバーとCOVIDパスポートについての規制を今日から変更しプランAに戻る

England returns to Plan A as regulations on face coverings and COVID Passes change today

27 January 2022

https://www.gov.uk/government/news/england-returns-to-plan-a-as-regulations-on-face-coverings-and-covid-passes-change-today

今日から、ブースター接種展開成功によりプランBでの全ての規制を解除する

屋内でのマスクはもはや義務ではなく、大規模イベントやナイトクラブでのCOVIDパスポートは任意で、テレワーク助言はもうしない。

 

論文

-メディア専門家からコミュニケーションのレッスン

Communication Lessons from Media Professionals

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941337

本COMversationsの紹介

 

-心臓に良いことは脳に良い

What’s good for the heart is good for the brain

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940771

アメリカ心臓協会が心疾患と脳卒中についての最新統計をCirculationに発表した。

健康体重維持と血圧管理、及びその他の心臓に健康的なライフスタイルは脳の健康にも支持する。

 

-あなたの車を掃除してもこの発がん物質からは守れないだろう

Cleaning your car may not protect you from this carcinogen

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941255

自動車のシートに広く使われている難燃剤TDCIPPはカリフォルニアのProp. 65に発がん物質としてリストされている。車をよく運転する約50人にシリコンリストバンドをつけて2週間、車の掃除をする回数で4群にわけて濃度を測定したところ差はなかった。Environmental Research

 

-プラスチック中の化合物が体重増加に寄与している可能性

Chemicals in plastic may contribute to weight gain

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941142

ノルウェー科学技術大学の研究者がEnvironmental Science & Technology.に発表したプラスチックに使用されている各種化合物の培養脂肪細胞前駆体を脂肪細胞にする活性を調べた研究。

(プレスリリースが誇大宣伝。この種の実験は天然物では有用性を誇張し合成化合物だと毒性を強調する傾向がある)

 

-たった二つの単語でクッキーの味をダメにする方法

How to ruin the taste of a cookie with just 2 words

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941242

クラッカーやクッキーに「苦情品“consumer complaint”」と表示すると「新しい改良品」と表示した場合より有意に全体的好ましいランク評価が下がる。それは驚きではないが、その影響の大きさは驚くほどであった。Food Quality and Preference

 

-加齢の生物学とバイオテクノロジーには次に何が必要?新しい報告書は世界の、分野横断リーダーの知見を把握

What’s needed next in aging biology and biotech? New report captures insights from global, cross-sector leaders

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941280

アメリカ加齢研究連盟American Federation for Aging Research (AFAR)が2021年に開催した一連の分野横断シンクタンクの知見を発表した。バイオテクノロジー、生物学、慈善団体、民間の2ダース近くの専門家が加齢研究の課題や期待される分野について探った。

(加齢の治療を医療としてFDAに認めさせる等)

 

-入院の31%がアルコールと薬物に直接関連することを科学研究が指摘

Scientific study points to direct link to alcohol and drug use in 31% of hospitalizations

26-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941395

Injuryに発表されたサンパウロの376人の患者での研究

 

SMC UK

-LDLコレステロールを下げるための食品の研究への専門家の反応

expert reaction to study of food to lower LDL cholesterol

JANUARY 26, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-of-food-to-lower-ldl-cholesterol/

Journal of Nutritionに発表された研究がLDLコレステロールを下げるための介入に食品を使うことを探った

Sheffield大学心血管医学教授で名誉心臓相談医Tim Chico教授

私の見解ではプレスリリースはこの食事介入が「コレステロールを低下させるのに医薬品同等有効」(プレスリリースタイトルから直接引用)と述べることで間違った印象を与えている。低用量のスタチンはLDLを平均30%程度下げ、より高濃度では50%まで下げる。この食事介入は平均僅か8%しか下げず、低用量医薬品の1/3にすぎない。プレスリリースは一部の人が30%も下がったと言いながらLDLが増加した人のことは言わない。

この研究は僅か数週間で、それが何年も続くかを理解することが重要である。食事と薬はどちらも重要で、どちらかだけが正しいかのように語るのをやめる必要がある。健康的食生活は全ての人にとって重要であるが、一部の人にとっては健康的な食事に医薬品を加えることが心疾患予防にとって正しいやりかたである。

Glasgow大学代謝医学教授Naveed Sattar教授

Sheffield大学心臓学教授Robert Storey教授

(略)

 

-農薬への生涯労働環境暴露とCOPDリスクを調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at lifetime workplace exposure to pesticides and risk of COPD

JANUARY 25, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-lifetime-workplace-exposure-to-pesticides-and-risk-of-copd/

Thoraxに発表された研究はUKバイオバンクデータを使って生涯職業暴露と慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスクを調べた

King’s College London生化学毒性学上級講師Richard Parsons博士

この研究はしっかりしたもので農薬暴露のある人にCOPDが多いことを明確に示した。また暴露が長ければ長いほどCOPD発症リスクが高い。これまで他の疾患で農薬暴露との関連仮説が提唱されていたのでこの関連は驚きではない。懸念となるのは、タバコを吸わず喘息でもない「健康的な肺」だろうと考えるような人にこの傾向がみられることだ。私の懸念はこのリスクが喫煙や喘息で高いかどうか?ディーゼル粒子やNOのような環境汚染は農薬リスクをあげるか?残念ながらこの研究はそのような汚染物質がCOPDリスクを上げるかどうかは調べていない。

この研究は一般人の、職業暴露ではない場合については何が言えるか?この研究は累積暴露とCOPDリスク増加の関連を示した。我々は全て低濃度の農薬に暴露されている。決定的結論を出すことはできないが、可能性はある

もとMRC毒性ユニットLeicester大学名誉教授Andy Smith教授

COPDと診断された人のUKバイオバンクデータを使ったこの研究は職業歴、特に農薬使用使用歴との関連の可能性を発見した。この知見はしっかりした詳細な疫学研究方法に基づき、職業分類や同時暴露、交絡について適切に検討している。農薬を使う労働者に正の関連が観察された。全職業中の農薬労働者の割合は小さいが、バイオバンクが大きな人数であることがこの研究の強みである。

現在の農業及び美観用農薬労働者の暴露は規制要件と使用者への助言により大幅に改善している。この知見に関係する可能性のある多くの農薬はその後撤回されている。

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

これは注意深く行われた研究であるが避けられない限界があり結果の解釈には注意が必要である。この研究は同じチームの同じコホートと概ね同じデータを用いて職業とCOPDの関連を調べた先の研究のフォローアップである。

理解しておくべき一つの重要なことは、新たな研究は各種汚染物質への職業暴露とCOPDのリスクの関連を調べたものであるが、研究者らは労働者の汚染物質暴露量についてはデータがない。代わりに使ったのは「職業暴露マトリクス」である。UKバイオバンクコホートはボランティア参加であり多くの意味で典型的英国人集団と異なる。例えば喫煙者は18人中1人のみで、英国人全体では同年齢の集団の5人中1人が喫煙者である。

プレスリリースでは明確にされているが、これは観察研究でありこれを根拠に職業農薬暴露がCOPDを増やすと結論することはできない。この研究の前提は異なる職業のヒトは汚染物質への暴露量が異なるということであるが、職業の違いは汚染物質暴露だけではなく他にも多くの違いがある。COPDのリスクの差は他の要因による可能性もある

(以下たくさんの指摘)

Queen Mary University of London (QMUL)病理学名誉教授Sir Colin Berry教授

この研究での農薬は多様な作用メカニズムと異なる剤形の広範な異なるグループの化合物である。任意の使用者の実際の暴露は:混合(コンタミの可能性が高いが通常は規制されている)、散布(トラクターの換気されたカブから)あるいはより単純な散布機を使って-それぞれ異なる個人保護具が必要で規制も異なる。また全シーズンで散布するか、一つの作物につき一回のみかといった暴露の多様性もある。この論文の信頼限界は説得力がない。

「暴露」や「農薬」というおおまかな用語が使われている観察研究で、相対リスクが僅かに変化するあまりにもたくさんの変数がある。著者らは因果関係を示唆していない-何を示唆する?意味のある説明をするには例えば農薬をより詳細に分類した調査が必要であろう。

 

-「健康を超えたゲノミクス」についての政府科学報告書への反応

expert reaction to GO Science report on ‘Genomics beyond health’

JANUARY 26, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-go-science-report-on-genomics-beyond-health/

政府科学オフィスの報告書が、ゲノミクスのより広範な政府にとっての意味を探った

Progress Educational Trust会長Sarah Norcross

この報告書はタイムリーで歓迎する

医療や研究へのゲノミクスデータの使用には人々の信頼が重要であり、そのような信頼は疑わしい使用がチェックされないままに許されていると毀損されるだろう。個人のゲノムデータは、他の医学データやセンシティブなデータと違って、自分だけではなく家族の事実を顕わにする可能性があり生涯にわたる影響を与える可能性がある

Kent大学遺伝学教授Darren Griffin教授

St George’s, University of Londonがん遺伝学教授Shirley Hodgson教授

(略。植物のゲノム編集にも言及)

 

-腸内微生物叢と長期COVIDを調べた観察研究への専門家の反応

expert reaction to observational study looking at the gut microbiome and long COVID

JANUARY 25, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-observational-study-looking-at-the-gut-microbiome-and-long-covid/

Gutに発表された観察研究が急性COVID-19後症候群の患者の腸内細菌叢動態を調べた。

Univerwsity College London臨床データ科学教授Amitava Banerjee教授

香港の長期Covid患者106人のこの新しい研究では、COVID-19の退院後1および6ヶ月後の便検体を集めて特有のパターンを探った。興味深いことに腸内微生物叢の変化は長期COVIDと明確に関連した。著者が注記しているように、サンプルサイズは小さく、確認が必要である

Exeter医科大学、英国医師会科学理事長で臨床上級講師で名誉相談医David Strain博士

極めて興味深い。いくつかの仮説に合致するが相当な交絡要因もある。疲労や食事の変化などが伴うため単なる反応性の変化である可能性もある。英国人で確認されれば期待できる。

 

その他

ボディビルダーが危険な薬物と…母乳を飲み込んでいる。うぇっ!

Bodybuilders Ingest Dangerous Drugs And...Breast Milk. Ewww!

By Josh Bloom — January 26, 2022

https://www.acsh.org/news/2022/01/26/bodybuilders-ingest-dangerous-drugs-andbreast-milk-ewww-16075

ボディビルダーが使用している合法・違法の薬物(ステロイド)と母乳について

(この流行はほんとうにわからない。日本では流行っていないと思うけれど)