2022-01-31

[COT] 二酸化チタン暫定ポジションペーパー

Interim position paper on titanium dioxide

January 2022

https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2022-01/TiO2%20COT%20Interim%20position%20paper.pdf

二酸化チタン暫定ポジションペーパー

背景

  1. 二酸化チタン (TiO2) は、アナターゼとルチルという2つの最も一般的な結晶形態で自然界に存在する無機化合物である。
  2. 二酸化チタンは、規則 (EC) No 1333/2008の附則IIに従い、アナターゼとルチル型 (欧州委員会規則 (EU) No 231/2012)両方の形で、およびGB食品法 (食品添加物に関するEU法規制No 1333/2008維持) によりEUで認可された食品添加物 (E 171) である。二酸化チタンは、食品をより視覚的に魅力的な色にしたり、本来なら無色であるような食品に色を与えたり、食品の本来の外観を復元したりするために食品に使用される。化粧品や医薬品(EFSA、2016)にも広く使用されている。
  3. 二酸化チタンは複数の安全性評価の対象となっている;1975年及び1977年には食品科学委員会 (SCF) により、1969年にはFAO/WHO合同食品添加物専門委員会 (JECFA) により評価された。1969年、JECFAは1日摂取許容量 (ADI) を 「GMPを除いて制限なし」 と設定した。1975年にはSCFは二酸化チタンのADIを設定しなかったが、1977年には 「ADIが設定されていないが食品に使用できる色素」 のカテゴリーに二酸化チタンを含めた。
  4. 2016年、EFSA食品添加物・香料委員会 (FAF) は二酸化チタンの安全性を再検討した。FAFパネルによって確認された最大の不確実性の1つは二酸化チタンの組成に関するものだった。EFSAは、E 171は主に、質量で3.2%未満のナノサイズ (<100 nm) の画分を有するマイクロサイズの二酸化チタン粒子からなると考えた。EU規格(EFSA、2021)では、E 171の粒径に制限は設けられていない。その後、2019年に、関系事業者によって提出されたデータの評価に続いて、EFSAのANSパネルは、「EU規格に、最小外形寸法<100 nmの構成粒子数の50%以下に相当する、>100 nm (電子顕微鏡測定) の最小外形寸法の中央値の粒子数パラメータを含める」ことを勧告した。
  5. 入手可能なデータに基づいて、ANSパネルは二酸化チタンの吸収および経口バイオアベイラビリティは低く、大きさに依存しないと結論した。遺伝毒性に関しては、入手可能な遺伝毒性データに基づき、その他の吸収、分布、代謝および排泄パラメータ (ADME) を考慮して、ANSパネルは経口摂取された二酸化チタン粒子 (マイクロサイズおよびナノサイズ) がin vivoで遺伝毒性を示す可能性は低いと結論した。その他のエンドポイントについては、ANSパネルは、ラットを用いた発がん性試験に基づき、無毒性量 (NOAEL) を2,250 mg/kg bw/日と特定した。報告された使用レベルおよび分析データに基づく曝露量と比較して、E 171の使用は問題とは考えられなかった。
  6. ANSパネルは、E 171を用いた90日間長期毒性試験、多世代毒性試験、または拡大一世代生殖毒性試験のいずれも実施していないため、ADIを設定しなかった。これは、非食品等級の被験物質または特性が十分に解明されていないナノマテリアルを含む被験物質を用いたいくつかの文献研究において、生殖系に有害影響の可能性が確認されたためである。全体として、ANSパネルは、E 171の生殖毒性に関する決定的で信頼できるデータが利用可能になれば、完全なデータセットはANSパネルが健康に基づく指針値 (ADI) を確立することを可能にするであろうと結論した。さらに、ANSパネルが以下のようなデータギャップに対処できるようにするため以下のような追加テストを推奨した;多世代または拡大一世代生殖毒性試験;TiO2に関するEU規格には、適切な統計的記述子を用いた粒子径分布の特性解析を含めるべきである。適用される測定方法は、EFSAガイダンス文書 (EFSA 科学委員会2011) 。加えて、食品添加物としてのTiO2 (E 171) が食品中の毒性元素への曝露の重要な曝露源にならないことを確実にするために、 TiO2 (E 171) に関するEU規格の毒性元素(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム)不純物に対する最大限度を改訂すべきである。
  7. 2018年には、ヒト結腸がん細胞株2種を用いたin vitro遺伝毒性試験など、さらに4件の試験が評価された。ANSパネルは、E 171にin vivo遺伝毒性に関する懸念はないことを再確認した (EFSA 2018 a) 。

 

その他の評価

  1. 欧州化学物質庁 (ECHA) のリスク評価委員会 (RAC) は、2016年にフランス当局から報告された二酸化チタンの評価案を受け、2017年6月に、二酸化チタンが吸入された場合に発がん性が疑われる物質 (カテゴリー2) に分類される基準を満たすとの結論に達した。二酸化チタンによって誘導される効果を説明すると考えられている主なメカニズムは、他の物質で見られる効果と同様に、炎症と、すべての形態の二酸化チタン粒子の生物学的持続性と不溶性から生じる活性酸素種 (ROS) の産生を介した間接的遺伝毒性影響である。しかし、種々のin vitroおよびin vivo研究で細胞核内に二酸化チタンが見出されているため、 DNAとの直接相互作用は排除できなかった。これは、国際がん研究機関 (IARC) が、吸入曝露では「二酸化チタンは、実験動物での十分な証拠および疫学的研究からの不十分な証拠に基づいて、ヒトに対して発がん性を示す可能性がある (グループ2 B) 。」と評価した (IARC 2009) のと一致している。しかし、フランス当局、食品・環境・職業安全衛生庁(ANSES)による2016年の報告書は経口または経皮投与による発がん性の懸念はないと結論した。
  2. 2018年、オランダリスク評価研究局は、 「食品添加物である二酸化チタン (E 171) の潜在的な健康影響」 に関するワークショップを開催し、その結果は2019年に発表された。このワークショップでは、二酸化チタンへの曝露の影響、特に結腸腫瘍および免疫毒性のエンドポイントについて、その時点で利用可能なデータベースのデータギャップと研究限界に基づいて、さらに研究を進める必要性が全体的に強調された。さらに、E 171の組成をよりよく特徴づける必要性が指摘された。2020年には、このワークショップの結果を要約したレビューが発表され、さらに、消化管経路に沿ったex vivo, in vitro,およびin vivo実験における食品グレード二酸化チタンおよびナノサイズ二酸化チタンに関する最近の毒性学的研究を同定し、評価し、摂取後の有害転帰経路 (AOP) を想定することを目的とした。有害作用として、 ROSの生成、腸内微生物叢の変化、持続性炎症、および免疫系に対する他の作用などが同定された。異なる種と独立した研究グループの間で知見が一致しないことが注目された。前がん病変/腫瘍形成に対する陽性影響を報告した動物試験に関しては、それらは主に研究モデルとして用いられ、用量-反応関係の適切な研究は行われなかったことが注目された。入手可能な情報に基づいて、リスク評価を実施することはできなかった。作用機序を考慮すると、それはROS形成を誘導し、炎症を促進する二酸化チタンの能力と密接に関係すると想定された。潜在的な重要イベントは、酸化ストレスおよび持続性上皮細胞損傷をもたらし、 DNA損傷につながる可能性のある持続性炎症およびROS生成であると考えられ、それがいくつかの研究で見られるE 171の腫瘍促進効果を発揮すると考えられた。最後に、 TiO2の円形および球状結晶形態が経口摂取時の有害作用の誘導に寄与する程度は低く、同様に二酸化チタンナノ粒子は他の粒子サイズよりも多くの有害作用を誘導すると考えられることが一般的に仮定されていることに留意された。しかしながら、Proquin et al. (2017) による試験にも言及されており、その研究はE 171中に存在するようなナノサイズおよびマイクロサイズのTiO2粒子の混合物は、単一画分単独よりも多くの有害作用を誘発することが示されている。著者らはさらに、E 171とその直接環境との相互作用の可能性や、凝集に影響を及ぼす可能性のあるその他の要因について詳しく説明し、これらが二酸化チタンの特性に直接影響を及ぼす可能性について考察した。そのため、「E 171の潜在的な健康への悪影響の深い評価を保証し、リスク評価の過程で異なる試験を適切に比較するために、最終環境としてのビークルおよび周囲のマトリックス中のTiO2粒子の物理化学的特性を慎重に検討し、分析することが重要である。」 (Bischoff et al.,2020)と考えた。
  3. 最新の評価では、EU消費者安全科学委員会 (SCCS) が、吸入暴露につながる化粧品に使用される二酸化チタンを評価した。変異原性と遺伝毒性に関して、SCCSは、2010年の評価において、IARCは二酸化チタン暴露によるin vitro遺伝毒性試験のほとんどが、偽陽性率が高いにもかかわらず陰性であると結論し、2016年のEFSA FAFパネルは、陽性の遺伝毒性結果は酸化ストレスの誘発に関連する実験条件によるものである可能性があると考えたと述べた。SCCSはまた、難溶性低毒性 (PSLT) 粒子群と呼ばれる粒子への曝露と遺伝毒性との間に正の関連性を示した試験は、一般的に、亜毒性濃度のPSLT粒子が炎症および酸化ストレスを引き起こし、突然変異を引き起こす可能性があるというメカニズムと一致していると指摘した。酸化ストレスは、二酸化チタンを含むPSLT粒子に対する増殖と遺伝毒性応答の背景にあるメカニズムと考えられ、従って、二酸化チタンが直接遺伝毒性ではないという多くの証拠がある。SCCSは、「二酸化チタンの遺伝毒性作用は、おそらく間接的機序 (酸化ストレス) または二次的機序(例えば免疫細胞による酸化ストレスや炎症)を介して発現する。したがって、SCCSは、この作用機序には現実的には閾値があり、したがって、化粧品への使用に関するリスク評価を実施することが可能であると考えている。」という意見であった。研究者らは、化粧品に使用した場合、二酸化チタンは遺伝毒性リスクをもたらさないと結論した(SCCS, 2020)。

 

2021 EFSA (EFSA FAF パネル) による評価

  1. 2019年の二酸化チタン規格の見直しに続き、E 171中に存在するナノ粒子の割合に基づいて、この食品添加物は、2018年に改訂されたナノテクノロジーに関するEFSAガイダンスの適用範囲に含まれる。EFSAガイダンスでは、 「ナノ材料として製造されていないが、サイズ範囲が1~100 nmの1つ以上の外形寸法を有する物質の個数粒度分布が50%以下のもの」 が含まれる。したがって、E 171規格の改訂案には、2018年のナノテクノロジーに関するEFSAガイダンス(EFSA、2018 b)の要件に沿った毒性データの再評価に関する勧告が添付された。
  2. 評価したデータは、食品添加物の二酸化チタンE 171およびナノ粒子<100 nmの画分を含むE 171以外の二酸化チタンまたはナノ二酸化チタン (TiO2 NP) であった。E 171の特性評価は当パネルによって以前に評価され、関連事業者から得られたデータによれば、E 171中の構成粒子のうち、数で100 nm未満の最小外形寸法を有するものは50%未満であると結論された。EFSAが入手したデータによれば、未処理のE 171または分散後に分析した食品から抽出したE 171の試料中に含まれる構成粒子数の30 nm未満の割合はと1%以下のオーダーであることが示されていることから、主として30 nm未満の粒子(例:P 25)から構成されるTiO2 NPを用いて実施された試験は、E 171の安全性評価との関連性が限定的であると当委員会は考えた。しかしながら、TiO2<30 nmで実施された毒性試験はデータベースの完全性のために考慮されており、粒子径の最小限度がE 171のEU規格に含まれるべきかどうかに関連する可能性がある。

 

全般的EFSAの結論:

  1. 遺伝毒性試験に関して、入手可能な証拠を組み合わせて、FAFパネルは、 「TiO2粒子はDNA鎖切断および染色体損傷を誘発する可能性があるが、遺伝子突然変異を誘発する可能性はない」 と結論した。TiO2粒子の物理化学的性質、例えば結晶形、構成粒子の大きさ、形状とin vitro又はin vivo遺伝毒性試験の成績の間に明確な相関は観察されなかった」 (すなわちTiO2粒子径の遺伝毒性に関するカットオフ値が特定できなかった)。パネルはまた、「いくつかの作用モード (MOA) は平行して作用する可能性があり、 TiO2粒子の遺伝毒性をもたらす異なる分子機構の相対的寄与は不明である。入手可能なデータに基づいて、TiO2粒子の遺伝毒性が閾値を有する作用機序によって媒介されるかどうかについての結論を引き出すことはできなかった」と結論付けた。したがって、パネルは、TiO2粒子の遺伝毒性の懸念を除外することはできないと結論した。
  2. その他の評価項目については、FAFパネルは「TiO2粒子の吸収は低いが、その長い半減期のために体内に蓄積する可能性がある;E 171を用いて新たに実施されたEOGRT試験を含む一般毒性および臓器毒性に関する試験では、1,000 mg/kg bw/日まで有害影響は示されなかった。さらに、TiO2 NP>30 nmを用いた文献研究では、試験した最高用量の100 mg/kg体重/日まで影響は認められなかった。E 171のEOGRT試験では、生殖・発生毒性に対する影響は、試験された最高用量である1,000 mg/kg bw/日まで認められなかった。E 171のこれらの影響を検討した他の信頼できる試験は文献中に見当たらなかった;TiO2 NPによる神経毒性と同様に、 E 171による免疫毒性と炎症に関するいくつかの所見は、有害作用を示す可能性がある。彼らはまた、E 171による小腸における異常腺窩巣の誘発の兆候があり、TiO2ナノ粒子の潜在的な発がん性を調査するために適切にデザインされ実施された試験は入手できないと考えた。」と結論付けた。
  3. 全般的に、現在入手可能なすべての証拠と、すべての不確実性、特に遺伝毒性の懸念が除外できないという事実に基づいて、FAFパネルはE 171を食品添加物として使用してももはや安全とは考えられないと結論付けた。
  4. FAFパネルは、利用可能な科学的証拠を評価した後、以下の点に関する不確実性を確認した:
  • EFSA FAF Panel (2019) の意見に示されているように、消費者が暴露されている市販のE 171中の粒子のサイズ分布は、さまざまなタイプのE 171と関連している。
  • 食品にE 171を使用する際に産業界で用いられる工程と、これらの工程が凝集の程度、ひいては内部ばく露にどの程度影響するか。
  • 凝集の状態、すなわち動物の消化管 (GIT) における試験物質の 「遊離」 (非凝集) 粒子の存在およびその吸収に対する影響。
  • 食品添加物E 171の毒性試験および遺伝毒性試験に使用されたさまざまな試験物質の食品に使用された場合への代表性。
  • 異なる試験材料の物理化学的性質の違いと、それらが観察された結果に及ぼす影響の程度。
  • 最も広く使用されている分析技術、すなわちICP‐MSによる血液、組織または臓器中のTi/TiO2測定の妨害と組織濃度データの信頼性への影響。
  • 半減期と蓄積を推定し、内部暴露、またそれに関連して全身の利用可能性の程度を評価するための根拠としての、限られた動態データの信頼性。
  • げっ歯類を用いた試験はいずれも、定常状態に達するまでの蓄積時間をカバーするのに十分な長さではなく、このことが試験結果の解釈に影響を及ぼした。
  • TiO2の遺伝毒性をもたらすROS産生に至る異なる分子機構(炎症、ミトコンドリアとの相互作用、 ROSを生成するTiO2の固有の可能性)の相対的寄与。
  • 遺伝毒性に対しては、いくつかの作用機序が並行して働く可能性がある。TiO2粒子によって引き起こされる異なる分子機構の相対的寄与は未知である;閾値のある作用機序が想定できるかどうかは不明である。
  • DNAの立体配座変化をもたらすDNAとTiO2粒子間の相互作用の性質(EFSA、2021)。

 

動物飼料に使用される添加物および製品または物質に関するEFSAパネル (FEEDAP)

  1. FAFパネルによる二酸化チタンの安全性評価の後、FEEDAPはこの結論を支持し、すべての動物種(EFSA FEEDAP、2021年)の飼料添加物として使用される場合には二酸化チタンにも適用されると考えた。以下に示す結論は、動物飼料への二酸化チタンの使用申請者がFEEDAPパネルに提供した情報に基づいており、二酸化チタンの食品添加物としての使用に関する2021年の意見書についてEFSA FAFパネルが検討した情報とは独立したものであることに留意すべきである。FEEDAPパネルは、二酸化チタン粒子の遺伝毒性は除外できないと結論し、このことは標的種 (特に長寿および繁殖動物) の安全性に対する潜在的な懸念を提起した。この点については、二酸化チタンの安全性を裏付ける試験が申請者から提出されておらず、二酸化チタンはすべての動物種での使用が意図されていること、標的動物種の安全性を評価するための特定の試験がないこと、遺伝毒性が否定できないことを考慮して、結論が出された。
  2. さらに、二酸化チタンの消費者や環境に対する安全性についても結論は得られなかった。消費者については、この結論はFAFパネルの調査結果に基づいており、また、この添加物を与えられた動物からの食品中の二酸化チタン粒子への消費者のばく露の可能性に関する情報は入手できなかった。環境への影響に関しては、二酸化チタン粒子の安全性を評価するための十分なデータがなかった。
  3. 職業使用者については、皮膚および眼に対する添加物の影響を評価するためのデータは入手できなかった。二酸化チタンは吸入すると潜在的に発がん性があり (IARCおよびRAC分類に基づく)、アナターゼ型の粉塵発生能は非常に高い (150 g/kg) ので、粉塵の吸入は使用者にとってリスクであると結論された。二酸化チタン粒子の遺伝毒性に関する懸念を除外することはできず、パネルは、この添加物(EFSA、2021 a)を取り扱う使用者に対する追加の懸念として考慮すべきであると指摘した。

 

FSAの対応

  1. 「二酸化チタンに関するEFSA意見書」 の公表を受けて、FSAはこの発表に関する検討を開始した。いくつかの懸念を確認した結果、本意見書は英国の科学諮問委員会に付託し、独立した専門家による検討を受けることが決定された。本意見書は、2021年6月に食品、消費者製品および環境中の化学物質の変異原性に関する委員会 (COM) (MUT/2021/03) に、2021年7月にCOT (TOX/2021/36) に提出された。
  2. 両委員会のメンバーは、EFSAの意見を評価し、EFSAの結論に合意するかどうかについてコメントし、同意しない場合は、FSAが取るべき次のステップについてさらなるガイダンスを提供するよう求められた。

COMの検討

  1. COMに提出されたペーパーはEFSA評価を要約し、特に遺伝毒性に関連するエンドポイントに焦点を当てたものであった。
  2. COMは、EFSAパネルが結論を導くために使用したいくつかの研究のデータセットの質と頑健性に疑問を呈し、EFSAによって考慮された全体的なデータは不均一であると指摘した(例えば、評価された粒子の範囲は多様であり、異なるタイプの実験アプローチおよびアッセイが使用された;異なる用量が使用された;いくつかの試験は奇妙な又は非遺伝毒性の雑誌に発表され、非GLP試験が含まれていたが、これらはすべて比較及び全体的な評価の困難さに寄与する)。

メンバーは、EFSAによって評価された研究における出版バイアス(すなわち、否定的な研究が発表される可能性が低い)の可能性についても懸念した。また、比較的最近までE 171の規格が十分に定義されておらず、それが評価の不確実性の一因となっていたことも指摘された。

  1. 遺伝毒性の作用機序に関して、COMは、証拠が閾値のある遺伝毒性であるDNAとの間接的な相互作用を示していることに同意した。いくつかのin vitro試験は陽性結果を報告したが、これらは主にナノ粒子に関連しており、マイクロサイズ粒子は主に陰性結果を示した。in vivo研究は、より質が良く陰性の傾向があった。E 171における比較的低いナノ分画(すなわち、3.2%未満であることが多い)およびその低い生物学的利用能は、リスク評価を検討する際の重要な因子である可能性がある。
  2. 結論として、メンバーは、証拠からは決定的な結論を導き出すことができず、したがって、E 171二酸化チタンの遺伝毒性に関するEFSAの結論全体に合意しないと考えた。彼らは、TiO2粒子の変異原性に関する結論を導き出す前に、より信頼性が高く、頑強なデータセットが必要であると考えた。メンバーは、EFSAがナノサイズとマイクロサイズの二酸化チタン粒子の遺伝毒性を明確に区別しなかったことに注目した。EFSAは、E 171のごく一部がナノ粒子で構成されているのに、ナノサイズの粒子を調査した研究から得られた証拠に重点を置いているように思われた。COMは、実行可能であれば、E 171の規格におけるナノ粒子の量を制限することで、遺伝毒性リスクを低減できる可能性があることを示唆した。また、委員会は、EFSAの結論の文言はリスクコミュニケーションの観点から有用ではないと考えた。不均一なデータと証拠の不明確さのため、酸化チタンの遺伝毒性と安全性に関する決定的な結論を出す前に、評価されたデータをさらに精密化する必要があるかもしれない。現時点では、EFSAの結論は入手可能な証拠に基づいて正当化できず、このことは一般市民に不必要な懸念を生じさせる可能性がある。
  3. 詳細については、COMの議事録を参照。最終議事録へのリンクは、議事録がCOMのウェブサイトに公開され次第提供される。

 

COTの検討

  1. 前述したように、COTは2021年7月の会議で二酸化チタンに関するEFSAの意見を検討した。委員会は、EFSAの意見の概要及びCOM会議からの予備的なコメントを検討した。COTメンバーの一部は、2021年の意見書のために二酸化チタンの安全性を検討したEFSA科学委員会のメンバーでもあることに留意すべきである。彼らは、COTメンバーの質問に答え、EFSAの意見について説明することができたが、COTの議論や結論には参加しなかった。
  2. COTは、COMの暫定的なコメントを強調した。特に、COMはデータの質に疑問を呈し、意見書に記載された記述からデータを適切に評価することが困難であること、さらに、データの頑健性、規制の文脈における遺伝毒性試験に習熟していない検査室からのデータの使用、および信頼性スコアが低い試験に与えられた重みに対して懸念した。良好なデータセットおよび明確に定義された試験化合物の欠如 (仕様が十分に定義されていないため) も、重大な限界と考えられた。さらに、COTは、COMが間接的な閾値のある作用機序を考慮しており、陽性作用はナノ分画に起因する可能性が高いことを指摘した。
  3. COTは、COMの見解に合意し、基礎となるデータセットとEFSAが導き出した結論との間に大きな食い違いがあることをさらに指摘した。COTはさらに、10項で詳細に議論された2020年のSCCS意見書の結果と、2021年のEFSA評価の結果との間に矛盾があることを強調した。この評価では、二酸化チタンの遺伝毒性作用が閾値のあるまたは二次的メカニズムのいずれかを介して発現すると判断されたが、FAFパネルは閾値のある作用機序が想定できるかどうかは不明であると結論した。
  4. ナノ粒子の遺伝毒性に関して、 COTは、これが酸化的傷害につながる濃度効果またはストレス効果のいずれかであると考えたが、異なる細胞系における結果があいまいで一貫性がないため、不明確であった。いくつかの試験では、二酸化チタンの反応性が低いことも指摘された。メンバーは、EFSAが遺伝毒性は間接的な作用機序による可能性が高いと考えていたが、並行して作用する可能性のある複数の経路のために閾値を決定することは困難であり、その結論は慎重側に偏らせたと知らされた。また、被験物質中に存在するナノ粒子の量が多いほど、試験結果が陽性となる可能性が高いことも認められた。
  5. COTはまた、本意見書のいくつかの部分において、公表された論文が額面どおりに提示されており、結果についての議論も結論を支持する全体的な証拠の重みづけもなかったことに留意した。さらに、報告された研究結果と全体的な結論との間に矛盾や不一致があることにも言及した。全体として、COTは、内部の一貫性およびすべての証拠の客観的な重み付けが欠如しているように思われると考えた。これのいくつかは試験したTiO2の性質の違いによるものかもしれないが、このことは意見書では明らかではなかった。また、研究から結論を引き出すことは困難であり、報告された影響のいくつかを理解するためには、物質の特性をより詳細に検討する必要があるとも述べた。また、生殖毒性試験では影響の有無のみが測定されたため、フォローアップが必要であると考えた。
  6. 成分の50%以上がナノ領域にあることを示した未精製のE 171の分析データ (付録W) に基づいて、E 171の規格の大きなばらつきについても議論された。EFSAのナノ材料定義は、ナノ材料として加工されていないが、ナノ範囲の粒子を含む材料に関して明確さを欠いていることが指摘された。リスクを軽減するためにE 171からナノ画分を除去する可能性と妥当性についてもCOTで議論した。
  7. メンバーは、EFSAが工業的に使用された場合、E 171は超音波処理によってナノ粒子に分散されることを示唆しており、したがって、評価のためにナノ粒子のみで作られた材料に関するデータも考慮したと知らされた。しかしながら、純粋な二酸化ナノチタンは食品ではその技術的機能を失い (色を提供しないので) 、したがって有用ではないことが指摘されたため、疑問視された。
  8. 同じデータセットに基づいて、吸収のパーセンテージは以前の評価(EFSA、2016)よりも2021年の意見で高いと報告されていることが観察された。メンバーは、以前の評価で用いられたより新しい試験を再検討するよう助言された (死亡したヒトからの証拠および二酸化チタンが胎盤を通過する可能性を示唆する証拠) 。動物試験の期間は、どのレベルで定常状態に達するかを評価するには十分ではなかったため、以前は吸収が過小評価されていたと考えられた。最後に、拡張一世代生殖毒性 (EOGRT) 試験から、二酸化チタン投与後の全身暴露の間接的証拠が得られた。
  9. COTはまた、 TiO2が異常腺窩巣を誘導する能力に関する結論に疑問を呈した。この点について委員会は、EFSA (パラグラフ33) による上述の検討では、試験した材料が他の利用可能な試験では分散されていないため、材料を超音波処理した試験のみを検討したことを助言された。
  10. 神経毒性試験の所見はCOTでは一致しないと考えられた。EOGRT試験は影響を報告しておらず、このエンドポイントに関する他の試験のほとんどがナノマテリアルであったことが注目された。EFSA評価では、このエンドポイントに関する結論に関して、EOGRT中の被験物質が分散されていないことを考慮に入れたとの助言があった。ナノ形態で分散・安定化していれば、何らかの影響が観測された可能性があるとEFSAは考えた。COTは、先と同様に、このような分散と現実世界での使用との妥当性に疑問を呈した。

メンバーは、EOGRT試験で実施された病理組織学的検査は標準的なもので特異的な神経病理組織学的検査を実施したこのエンドポイントに関する他の試験と比較して感度が不十分であると注記した。

  1. 全体として、COTは、証拠の重みはEFSAによって導かれた結論を支持していないと考えた。COTはまた、「現状では、入手可能な弱い証拠に基づくリスク回避傾向の高い結論であり、公衆に不必要な懸念をもたらす可能性がある。」というリスクコミュニケーションに関するCOMのコメントに同意した。彼らは、結論を表明する際には、不必要な懸念を引き起こす可能性があり、EFSAの不確実性の高いデータセットに基づく二元的コミュニケーションに不安を感じているため、注意を払うべきだと考えた。COTは、COMが遺伝毒性に関するデータベースを独立してレビューし、閾値を決定するためにCOMのガイダンスを適用すべきであると提案した。二酸化チタンのサイズ/形態および毒性の異なる側面に関して区別できないというEFSAの結論に彼らが同意するかどうかについては、COTはナノ粒子が毒性を駆動しているという方向に見解が逸脱している可能性がある。COTの見解と次のステップ案をまとめた暫定ポジションペーパーを公表することが決定された。
  2. COTの議論の詳細については、7月の会合の議事録を参照。

 

次のステップ

  1. COT及びCOMの議論の結果を踏まえ、FSAは、食品添加物としての二酸化チタンの安全性について独自に検討を開始することを決定した。数カ月以内に、FSA事務局は、COTによって提案された独立したレビューのために、二酸化チタンの遺伝毒性に関する利用可能なデータベースをCOMに提示する予定である。さらに、残りのエンドポイントについての残りの部分もCOTによって考慮される。
  2. FSAはまた、二酸化チタンの安全性の独立したレビューに関する英国の努力を調整するために、関係する他の政府部門と協力している。

COTポジションペーパー

2022年1月

略語・文献略

 

 

[ANSES]フィトセラピーとアロマセラピー:動物用医薬品のリスク評価を適応

Phytotherapy and aromatherapy: adapting risk assessment in veterinary medicine

News of 24/01/2022

https://www.anses.fr/en/node/152846

ハーブ製剤 (フィトセラピー)やエッセンシャルオイル(アロマセラピー)は、動物の治療のための他の「逆症療法(アロパシー、ホメオパシーと対になる言葉)」医薬品の代替品としての使用が増えている。これは食料生産動物にも当てはまる。使用される製品に治療目的がある場合には、動物用医薬品と見なされる。つまり、治療された動物に由来する食品の消費者にリスクがないことを保証できる必要がある。だが、ハーブ医薬品のリスクを評価するために現行の規制を実施するのは複雑である。そのためANSESは、ハーブの動物用医薬品に特定の評価方法論を提案するための国内要請を発表した。

ハーブの動物用医薬品の使用は農業従事者や獣医の間で人気を集めている。だが、動物用医薬品に一般的に使用される植物、ハーブ生薬、エッセンシャルオイルの大部分は動物用医薬品の規制に従って評価されていない。その結果、食料生産動物の治療目的には使用できない。これは特に最大残留基準(MRLs)がないことによる。MRLとは、消費者の健康リスクをもたらすことなく動物由来食品に存在する可能性のある、医薬品に含まれる有効成分の最大量のことである。欧州レベルで定められたこれらの制限は食料生産動物を対象とした動物用医薬品の市販認可の必要条件である。

現行法はハーブ医薬品に適していない

「MRL関係書類に使用される分析手段はハーブ医薬品に実施するには複雑である」、と科学的評価部門を担当するANSES-ANMV (フランスの動物用医薬品機関)の局長補佐官であるSophie Barreteau氏は説明した。「難しいのは、全てのハーブ物質の指標残留物 (親物質とアッセイ用の代謝物質) の同定である。含まれる化学物質の数を考慮すると、この問題は、エッセンシャルオイルを使用する際にはさらに複雑である。同様に、使用される植物の厳密な植物学的同定が前提条件である。」

消費者へのリスクなく動物用医薬品に植物の使用を促進する

ANSESの一部であるANMVは、そのため、適切な評価方法論を提案するために専門家評価を実施した。これはその利用が消費者に安全だと見なされるため、MRLを定義する必要がない植物のリストを作成するのに用いることができる。

これらは他の規制ですでに評価されていて、データが利用できる植物である。通常動物やヒトに摂取される植物、食品や飼料サプリメントに認可されている、あるいはヒトに使用する認可済医薬品に含まれるハーブ物質、使用される用量でヒトに害のないことを示すデータのある植物など。

「この方法論は、植物を評価し、リスクをもたらさないことを保証するための科学的アプローチを提案している。この方法論を欧州で認証することにより、MRLsについて多くの植物を分類できるようになり、現在の様にフィトセラピーとアロマセラピーが規制の枠組み外で使用されることはなくなる」とANSES-ANMV 局長のJean-Pierre Orand氏は支持する。

さらに、特定の植物や植物の一部では研究やデータがないため、提案した方法論を使用して安全だと結論できない。動物用医薬品の認可はケースバイケースで評価される必要があり、追加研究を行う必要がある。最後の分類は、ヒトへの毒性が証明され、消費者にリスクの可能性があるため動物用医薬品に使うことができない植物である。

ANSESの方法論に欧州の公式承認が必要である

開発した方法を検証するために、作業グループは21の植物、エッセンシャルオイル、動物用医薬品によく使われるエッセンシャルオイルに相当量存在する物質でテストした。「専門家評価の結論がハーブの医薬品への使用を承認するわけではないことに注意してください」とSophie Barreteau氏は明確にしている。「それには欧州レベルでの方法論の公式承認が必要である。私達は欧州医薬品庁(EMA)にそれをすぐに提出する予定である。農業従事者や獣医からの合成抗生物質の代替品を使用したいという強い要望を満たすために、私達の作業は、MRL規制のリストにハーブ物質を含め、その結果、消費者へのリスクなく動物用医薬品に植物やエッセンシャルオイルを使用できることに向けた一歩である」。

追加情報

食料生産動物のフィトセラピーとアロマセラピーに関与するエッセンシャルオイルや植物に関する知見の状態や提案したヒトの健康リスク評価方法論に関する意見を読む

Read the opinion on the state of knowledge on essential oils and plants of interest for phytotherapy and aromatherapy in food-producing animals and proposed human health risk assessment methodology

https://www.anses.fr/en/system/files/ERCA2020SA0083EN.pdf

(ANSESダブスタが酷い。天然なら緩くて良くて合成なら完全無害証明を要求)

 

[EU]RASFF 2022(0123-0129)

警報通知(Alert Notifications)

ベトナム産オランダ経由インスタント即席麺の2-クロロエタノール、ポルトガル産ソーセージのベンゾ(a)ピレン及びPAH高含有、インド産インゲンマメ抽出物のエチレンオキシド、インド産ドナリエラ藻(ドナリエラサリナ)をベースにした食品サプリメントの未承認物質エチレンオキシド、スペイン産トウガラシ(bird's tongue)のエチレンオキシド、ケニア産オランダ経由タラゴンのクロルピリホス・イミダクロプリド・メタミドホス及びアセフェート、トルコ産ローカストビーンガムのエチレンオキシド(複数あり)、フランス産乳化剤に含まれるトルコ産ローカストビーンガムの2-クロロエタノール、トルコ産トマトのクロルピリホス、イタリア産アロエジュースのアロイン、オランダ産有機精製ココナッツオイルのグリシジルエステル、中国産ドイツ経由乾燥海藻のヨウ素高含有、ベルギー産原料フランス産小麦製品(グルテン)のクロルピリホス-メチル、

注意喚起情報(information for attention)

ウクライナ産キャンディーのトランス脂肪酸高含有、トルコ産トマトの未承認物質クロルピリホスメチル及びクロロタロニル、インド産みじん切り脱水白タマネギの2-クロロエタノール、中国産乾燥ポルチーニ茸のテトラメトリン、トルコ産乾燥イチジクのオクラトキシンA、ベトナム産冷凍シリヤケイカのカドミウム、モルドバ産青ブドウのカルベンダジム及びチオファネート-メチル、チリ産調理済冷凍殻をとったイガイのカドミウム、ポーランド産白菜のジメトエート

通関拒否通知(Border Rejections)

トルコ産グレープフルーツの未承認物質クロルピリホス(複数あり)、トルコ産生鮮レモンのプロクロラズ(複数あり)、エジプト産殻付きピーナッツのアフラトキシン、インド産ゴマ種子のクロルピリホス-エチル(複数あり)、ウガンダ産チリペッパーのシペルメトリン、トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホス-メチル、トルコ産生鮮マンダリン-ダブルマーコットのクロルピリホス、ボスニアヘルツェゴビナ産レタスのラムダ-シハロトリン及びカドミウム高含有、トルコ産乾燥イチジクのオクラトキシンA、パキスタン産米のクロルピリホス、ボスニアヘルツェゴビナ産レタスのシプロジニル、トルコ産レモンのクロルピリホス、イラン産殻付きピスタチオのアフラトキシン、

 

[SFA] アフラトキシンと食の安全

Aflatoxins and Food Safety

Monday, January 17, 2022

https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/aflatoxins-and-food-safety

食品中のアフラトキシン濃度を管理するため、SFAはどのような取り組みをしているか?

SFAは、マイコトキシンがヒトや動物の健康にもたらすリスクに対処するため、科学とリスクに基づいた食品安全システムを導入している。

まず、SFAはマイコトキシンのリスク評価を行い、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)などの国際機関が行ったリスク評価を考慮する。次に、SFAは公衆衛生を守るために、食品中のマイコトキシンの最大基準値を設定するが、コーデックス委員会(CAC)の基準値を考慮し、総アフラトキシン、アフラトキシンB1及びアフラトキシンM1の最大基準値を合理的に達成可能で、できる限り低く設定している。第三に、SFAはシンガポールで販売される食品をサンプリングし、マイコトキシンの検査を行う。現在、シンガポールの食品から検出されるアフラトキシンの濃度に、大きな懸念はない。SFAの食品安全基準に適合していない食品は、シンガポールでの販売を許可しない。

食品から検出されるアフラトキシンを低減するために、業界は何をすべきか?

アフラトキシンを生成するカビによる汚染は、畑での生育、収穫、輸送及び保管を含む作物サイクルのあらゆる段階で起こり得るため、業界には以下を助言する:

・作物におけるカビの成長とアフラトキシンの生成を抑制するために、温度、水分活性、通気性及び保管期間などの輸送及び保管条件を管理する。

・食品及び飼料中のアフラトキシン濃度を最小化するために、有機酸、アンモニア、オゾン又は酵素による化学処理方法を採用する。

・食品加工や処理のための原料は、信頼できる供給者から入手する。

適正製造基準(GMP)、危害分析重要管理点(HACCP)プログラムを採用する。

アフラトキシンへの暴露を低減するために、消費者はどのような手段をとればよいか?

カビは自然界に存在し、洗浄や加熱調理により食品からアフラトキシンを完全に除去することはできないかもしれないが、消費者は、以下を実践することができる:

・食品を購入又は消費する前に、カビが生えていないことを確認し、カビが生えている、湿っている、変色している又はしなびているように見える食品は廃棄する。

・衛生的でない、開封済み又は破損した包装で保管されている食品を購入しない。

・カビの形成を防ぐため、食品は乾燥した(湿度80%未満)涼しい(温度20 ⁰C未満)、虫のいない条件で保管する。

・食品を直射日光にさらさない。

・消費期限を過ぎた食品は消費しない。

・消費期限の表示がない場合(包装されていない食品)、新鮮な食品を購入し、消費する。

・傷んだ穀物はよりマイコトキシンに汚染されやすいので、消費を控える。

・マイコトキシンへの暴露の低減につながるよう、多様な食生活を心がける。

 

[FSS] FSSは学校にて食品安全スキルの支援を強化

FSS reinforces backing of schools food safety skills

26 JANUARY 2022

https://www.foodstandards.gov.scot/news-and-alerts/fss-reinforces-backing-of-schools-food-safety-skills

 スコットランド食品基準局(FSS)の学校における食品安全教育への支援について。

 

[FSAI] EFSA意見書:二酸化チタン(E171)は食品添加物として使用する場合、もはや安全とはみなされない

EFSA Opinion: “Titanium dioxide (E171) no longer considered safe when used as a food additive

19/1/2022

https://www.fsai.ie/faq/efsa_opinion_titanium_dioxide.html

二酸化チタン(E171)に関する情報更新。アイルランド食品安全局(FSAI)は食品事業者に対して、二酸化チタンの適切な代替品を調達し、再組成のプロセスを開始することを奨励する。

 

[FSAI] Breakfast Bite イベント2月10日:食品安全トレーニング‐知っておくべきこと

Breakfast Bite on the 10 February: Food Safety Training – What you Need to Know

Tuesday, 25 January 2022

https://www.fsai.ie/BbNew_Webinar_Training_10/02/22.aspx

オンラインウェビナー。FSAIが、食品会社が食品安全トレーニングの要件を遵守する方法を再確認する。

 

[FDA]警告文書

-Onofrio's Fresh Cut, Inc.

JANUARY 10, 2022

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/onofrios-fresh-cut-inc-618502-01102022

食品CGMP違反、調理、包装、衛生管理、不純品の問題。

 

- Concord Farms, Inc.

JANUARY 06, 2022

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/concord-farms-inc-619065-01062022

「外国供給業者検証プログラム(FSVP)」違反の問題。

 

[FDA] 更新情報

-FDAは「食品接触物質に関する認可の取り消し手続きの改訂と理由の更新に関する新規則」を提案

FDA Proposes New Rule to Revise Procedures and Update Reasons for Revoking the Authorizations for Food Contact Substances

January 25, 2022

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-proposes-new-rule-revise-procedures-and-update-reasons-revoking-authorizations-food-contact

 米国食品医薬品局(FDA)は、食品接触物質に関する市販前届出が有効でなくなったとFDAが判断する方法と時期に関する規則(21 CFR 170.105)を修正する新規則を提案した。有効な食品接触物質届出(FCN)の一覧は、FDAのウェブサイトに掲載。

 

-食品分析のための試験所認定(LAAF)に関するFSMA最終規則について

FSMA Final Rule on Laboratory Accreditation for Analyses of Foods (LAAF)

01/25/2022

https://www.fda.gov/food/food-safety-modernization-act-fsma/fsma-final-rule-laboratory-accreditation-analyses-foods-laaf

 特定の状況下での食品検査に関する試験所認定プログラムを確立している、食品分析のための試験所認定(LAAF)に関する最終規則について。

 

-FDAは農産物関係者に対し、農業用水の遵守日に関する自由裁量についての先日の声明を再度伝える

FDA Reminds Produce Stakeholders of Prior Statement Regarding Enforcement Discretion for Agricultural Water Compliance Dates

January 26, 2022

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-reminds-produce-stakeholders-prior-statement-regarding-enforcement-discretion-agricultural-water

 FDAは、以前、対象となる農産物(スプラウトを除く)の農業用水要件のすべてについて自由裁量方針を発表した。農業用水基準遵守の期日は、大規模農家については 2022 年 1 月 26 日である。

 

-FDAとStop Foodborne Illnessが第2回食品安全文化ウェビナーを共同開催

FDA and Stop Foodborne Illness to Co-Host Second Food Safety Culture Webinar

January 27, 2022

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-and-stop-foodborne-illness-co-host-second-food-safety-culture-webinar

 FDAと非営利の公衆衛生団体であるStop Foodborne Illnessは、食品安全文化を探求する共同の第2回目のウェビナーである、「リーダーにリスクを認識させ、リスク低減を推し進める」を2022年2月16日に行う。

 

[TGA]協議:医療用大麻の製造、表示及び包装要件に関する改革

Consultation: Potential reforms to medicinal cannabis manufacturing, labelling and packaging requirement

25 January 2022

https://www.tga.gov.au/consultation/consultation-potential-reforms-medicinal-cannabis-manufacturing-labelling-and-packaging-requirement

 オーストラリアTGAは医療用大麻、表示及び包装要件に関する改革案について、追加の最新情報を提供する。

 

[MPI]警告

-北島Orewa及びWarkworth地域における貝類に関する公衆衛生警告

Public health warning about shellfish in the Orewa and Warkworth area, North Island

28 January 2022

https://www.mpi.govt.nz/news/media-releases/public-health-warning-about-shellfish-in-the-orewa-and-warkworth-area-north-island/

MPI (ニュージーランド一次産業省)は北島Orewa及びWarkworthで貝の捕獲をしないよう市民に公衆衛生警告を出した。麻痺性貝毒のレベルが MPI 設定の安全基準値 0.8 mg/kg を上回った。

 

-]南島西岸での貝に関する公衆衛生警告

Public health warning about shellfish in West Coast, South Island

27 January 2022

https://www.mpi.govt.nz/news/media-releases/public-health-warning-about-shellfish-in-west-coast-south-island/

MPIは南島西海岸のグレイマウスとチャールストンの間で貝の捕獲をしないよう市民に公衆衛生警告を出した。12-Mile Bluff地域のイガイにおいて下痢性貝毒のレベルが MPI 設定の安全基準値 0.16 mg/kg を上回った。

 

[HK]食品の有害物質(修正)規則2021

Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021

27 Jan 2022

https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fstr/whatsnew_fstr_Food_Regulations_Harmful_Substances.html

「Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021(食品の有害物質(修正)規則2021)」に関する情報更新。2022年1月に更新されたガイドラインが以下。

https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fstr/files/Combined_Guideline.pdf

解釈やQ & Aなど

特に部分水素添加油(PHO)を含む油脂の禁止に関して

 

[HK]法令違反

包装牛肉天丼団子のサンプルが栄養表示規則に違反

Prepackaged Beef Tendon Ball sample not in compliance with nutrition label rules

Jan, 25 2022 (Tuesday)

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20220125_9192.html

香港産包装牛肉天丼団子が総脂肪3 g/100 g含有という表示のところ、9.8 g/100 g検出であった。

 

[NASEM]危機にある生物多様性-新しい小冊子

Biodiversity at Risk — New Booklet

January 27, 2022

https://www.nationalacademies.org/news/2022/01/biodiversity-at-risk-new-booklet

NASEMが生物多様性と何故それが地球上の全ての生命の健康にとって重要なのかについての概要を提供する読みやすい小冊子を提供する。

Biodiversity at Risk

Today's Choices Matter (2022)

https://www.nap.edu/catalog/26384/biodiversity-at-risk-todays-choices-matter

 

論文等

-CDC MMWR

パラフルオロフェンタニルあるいはメトニタゼンの関係するフェンタニル関連死の増加-Knox郡、テネシー、2020年11月-2021年8月

Increased Incidence of Fentanyl-Related Deaths Involving Para-fluorofentanyl or Metonitazene — Knox County, Tennessee, November 2020–August 2021

Trecki J, et al., MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022;71:153–155.

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7104a3.htm?s_cid=mm7104a3_w

 

-Scienceニュース

違法な金鉱がアマゾンの森を有害水銀で一杯にする

Illegal gold mines flood Amazon forests with toxic mercury

28 JAN 2022  BYWARREN CORNWALL

https://www.science.org/content/article/illegal-gold-mines-flood-amazon-forests-toxic-mercury

ペルーの保護地域は中国工業地帯並みの濃度

ペルーのLos Amigos保護地域の熱帯雨林は一見手つかずの原野に見える。しかし有毒な秘密がある、新しい研究によると中国の工業地帯並の水銀汚染がある。

水銀は数百の、小規模金鉱の産物である。

 

-ソーシャルメディアプラットホームは科学者虐待対策に失敗している

Social-media platforms failing to tackle abuse of scientists

28 January 2022  Brian Owens

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00207-2

活動家の報告は、3人の有名な科学者を標的にした、嘘だとわかっているオンラインデマの半分が生きていてラベルされていないことを発見

国際キャンペーン団体Avaazの調査によると、フェイスブックやツイッターのようなソーシャルメディアサイトは、科学者を標的にしたオンライン虐待への対策を十分にしていない。

COVID-19パンデミック中は科学者を狙ったオンライン脅迫が大きな問題になった。AvaazのLuca Nicotraらは米国Anthony Fauci、ドイツChristian Drosten 、ベルギーMarc Van Ranstの3人の高名な科学者を標的にしたパンデミック関連デマを調べた。2021年1-6月の間に、5つのプラットフォームで、いくつかのファクトチェック団体で嘘が暴かれたデマを含む85の投稿を同定した。2021年7月後半時点でそのうち49%がまだ生きていて排除も警告もされていない。これらの投稿との相互作用は合計190万になる。

 

-CCDC

食道がんに関連する有病率、死亡率、TALYs傾向-中国、1990-2019

Preplanned Studies: The Incidence, Mortality, and DALYs Trends Associated with Esophageal Cancer — China, 1990–2019

http://weekly.chinacdc.cn/en/article/doi/10.46234/ccdcw2022.006

1990-2019の間に、中国の食道がんの疾病負担は全体として減少した

 

-COVID-19は続くだろうがパンデミックの終わりは近い

COVID-19 will continue but the end of the pandemic is near

Christopher J L Murray

THE LANCET COMMENT| VOLUME 399, ISSUE 10323, P417-419, JANUARY 29, 2022

パンデミックという言葉を、世界中で個人の生活を変えた新たな病原体への桁外れの社会的努力のことを指して使う。今後も新たな変異株が生じ感染の波は来るだろうが対応はパンデミックにはならないだろう

(というコメントがLancetに載るようになった)

 

その他

-ジョコビッチは誰を、何故支持する?

Djokovic Endorsed Who? Why?

Joe Schwarcz PhD | 27 Jan 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition-pseudoscience/djokovic-endorsed-who-why

Novak Djokovicが疑問のある意見を持っているのはCOVID-19だけではない。彼は精霊から医学情報を得ていると主張する男も支持している

私がNovak Djokovicへの尊敬を失い始めたのはオーストラリアでの失態より遙かに前の、彼がグルテンフリーダイエットにすべきだと結論した方法を知ったときだ。セルビア人のDr. Igor CetojovicがNovakに、一枚のパンを左手で持って胃のあたりにあて右手を伸ばすように言い、その手をドクターが下に押しさげる。パンがないとより簡単に押し下げることができるのでグルテン不耐症だと診断した。それ以降Novak Djokovicはグルテンフリー食になり、乳製品も排除した。彼は砂糖をとらないと決め、毎日スプーン2杯の蜂蜜を食べ始めた。いずれにせよその食事は彼には効果があるように思え、世界ランクNo.1はそのおかげだとした。私はNovakが科学に詳しくないことには耐えられるが、自称「医学の霊能者Medical Medium」Anthony Williamを支持することには耐えられない。テニスのエースによると「Anthonyはセロリジュースのヒーリングパワーによって多くの命を回復させた」。

Williamはインスタグラムとフェイスブックに300万人のフォローワーがいてたくさんのベストセラー本を書きラジオやウェブサイト、Gwyneth PaltrowのGoopなどで医学助言をしている。Robert DeNiro、Sylvester Stallone、 Hillary Swankのようなセレブに気に入られているが科学的バックグラウンドはゼロである。

科学教育なしにどうやって?4才の時から会話をしている精霊が「時代より遙かに進んだおそろしく正確な健康情報を提供してくれる」という。

(以下「コリアンダーデトックス」などの彼のインチキ主張の例等)

 

-肝臓王はあなたの健康を石器時代の穴居人のようにしたい

The Liver King Wants You to Dominate Your Health Like a Caveman

Jonathan Jarry M.Sc. | 28 Jan 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition-pseudoscience/liver-king-wants-you-dominate-your-health-caveman

筋肉隆々のインフルエンサーはその筋肉と軍人としての技でフォローワーに我々の身体は原始人のライフスタイルに合うようにできていると信じさせる

肝臓王The Liver King-本名Brian Johnson、は筋肉の44才の男性で、近代化が我々に害を与えていて穴居人のように生きる必要があると主張する。

(以下略)

 

-ガーバーのNon-GMO主張に訴訟が挑む

Lawsuit Challenges Gerber Non-GMO Claim

Tuesday, January 25, 2022

https://www.natlawreview.com/article/lawsuit-challenges-gerber-non-gmo-claim

昨年末、ガーバーのベビーフードの「Non-GMO」主張に対して虚偽で誤解を招く者だとの集団訴訟がおこされた。原材料に遺伝子組換え作物由来のものがあること、乳製品がGM飼料を食べた乳牛由来のものだから。

「Non-GMO」には規制上の定義はない。遺伝子組換え成分の存在についてはUSDAの生物工学開示基準がある。

(一部のみ。めんどくさい人たちを顧客と設定したら面倒なことになった?)

 

-「収量と生産性が落ちる」:有機農業に好意的な欧州グリーンディール農場から食卓まで政策は何百万人も食料不足を増やすだろう、新しい独立した研究が示す

‘Diminishing yields and foregone production’: European Green Deal Farm to Fork policy favoring organic farming will increase food insecurity for millions, new independent studies show

Christian Ernhede | Ends Europe | January 31, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/01/31/diminishing-yields-and-foregone-production-european-farm-to-fork-policies-will-increase-food-insecurity-for-millions-of-people-new-studies-show/

欧州議会農業環境委員会議員はEUのF2F戦略が農業生産に遙かに大きな影響があるだろうことを示した研究について懸念を表明した。F2F戦略の農業や食料供給への影響を評価したいくつかの研究が、1月24日に欧州議会のヒヤリングで提示された。

(編集者注:ワーゲニンゲン大学やUSDAの報告書へのリンク)

USDAの研究者Jayson BeckmanはEUの農業政策は世界の食料供給に影響し、世界中で食料不足が2200万人から1億8500万人に増加するだろうと指摘した。

オランダワーゲニンゲン大学のRoel JongeneelはEUの収量と生産性が減るだろうと予想する。

欧州委員会のAlexandra NikolakopoulouはF2F戦略は全体的評価をしなかったことを認め、欧州委員会は2023年に進行状況と累積影響を監視する枠組みを発表するという