2022-02-09

[BfR]ナノマテリアルFAQ

Nanomaterials FAQ

18 October 2021

https://www.bfr.bund.de/en/nanomaterials_faq-8568.html

「ナノ」という言葉はギリシャ語に由来し、小人を意味する。接頭語「ナノ」は10億分の1を示し、この場合10億分の1メートル (= 1ナノメートル、nm) である。一般的に、ナノマテリアルは1つ以上の外形寸法が1~100 nmのサイズの物質を指す。

特に製造されたナノマテリアルはBfRのリスク評価のテーマである。それらは様々な化学物質から多くの形態で製造されることがある。従来の物質と比較すると、ナノマテリアルは変化し、場合によっては、多くの適用分野で興味が持たれる新たな特性や機能を持つ。だが、これには規制面で特別な注意も必要である。

ナノマテリアルは現在、化粧品、食品包装、非常に多くの消費者製品など、日常生活の多くの分野で使用されている。必ずしも消費者に明白でない場合もある。特別な表示規制が食品や化粧品などいくつかの製品分野には適用される。

生産量と形態の多様化は高まる一方で、例えば、ナノマテリアルが製品から放出されると、それにより、消費者の暴露量が増え、新たな暴露のタイプも生じる可能性がある。ナノマテリアルやそれらを含む製品が消費者に健康リスクを起こすかどうか一般的な答えをだすことはできない。そのため、ナノの安全性研究は、ヒトの健康と環境へのナノマテリアルの潜在的なリスクを扱う。

BfRは以下にナノマテリアルに関する厳選した質問と回答をまとめた。

 

ナノテクノロジーとは?

ナノテクノロジーは様々なテクノロジーの総称である。ナノマテリアルや他の先端材料(advanced materials)はナノテクノロジーを用いて生産される可能性がある。この用語には、例えば生産工程でナノマテリアルを使用することも含まれる。

ナノテクノロジーは、材料が全く新しい特性や機能を示すようになる、構造、技術、システムを開発するための可能性を提供する。この可能性は、例えばロボット工学、センサー技術、プロセス技術、バイオ技術、医薬品で、また食品、消費者製品、化粧品の更なる開発において有益な活用を提供すると期待されている。そのためナノテクノロジーは世界中の重要な主要技術だと考えられている。

 

ナノマテリアルとは?

欧州委員会は2011年10月にナノマテリアルの定義に関する勧告を発表した。この勧告は様々な欧州規則でこの用語を定義する基準としての役割を果たした。それにより委員会は、個別の法的分野における修正あるいは逸脱を定義する機会を提供した。そのため、様々な法的分野の定義は詳細では(なお)異なる可能性がある。

ナノマテリアルの定義に関する欧州委員会の勧告(2011/696/EU)によると、ナノマテリアルは天然のもの、加工により偶然に形成されたもの、あるいは特別に製造された物質、の可能性がある。個数粒度分布で粒子の少なくとも50%が、1つ以上の外形寸法が1~100ナノメートル(nm)のサイズ範囲の粒子を含まなければならない。個々の粒子が非結合状態で、あるいは強凝集体(aggregate)や弱凝集体(agglomerate)として存在するかどうかは関係ない。強凝集体は強力に結合した粒子から成る。弱凝集体は弱く結合した粒子の集まりである。特別な場合、環境、健康、安全性、競争力についての懸念により正当化できるのであれば、50%の個数粒度分布の閾値は1%~50%の閾値に置き換えることもできる。

さらに、1つ以上の外形寸法が1nm未満の、フラーレン、グラフェンフレーク、単層カーボンナノチューブもナノマテリアルと考えられる。フラーレンは、炭素原子で構成され、高い対称性があり、例えば、五角形や六角形に並んだ空洞状の閉じた球を連想する構造をしている。グラフェンは、炭素原子でできている二次元構造で、生じるパターンが蜂の巣を連想するように並んでいる。単層カーボンナノチューブは炭素原子でできたチューブで、グラフェンを巻いた様なものとも考えられる。

EC化粧品規則No. 1223/2009の定義は、欧州委員会の定義の勧告が発表される前に作成された。それはナノマテリアルを「不溶性または生物難分解性で、1~100nmのスケールの1つ以上の外形寸法または内部構造を持つ意図的に製造された材料」と定義している。内部ナノ構造を持つ物質は、例えばナノコンポジットである。

EU殺生物性製品規則No. 528/2012では、ナノマテリアルは、「非結合状態で、または強凝集体として、あるいは弱凝集体として、個数粒度分布の50%以上の粒子の1つ以上の外形寸法が1-100 nmサイズの粒子を含む、天然または製造された有効成分あるいは非有効成分」を指す。

新規食品に関するEU規則2015/2283では、「工業ナノマテリアル」という用語は、「100nmまたはそれ以下のオーダーの外形寸法を1つ以上持つ、あるいは内部または表面上に、多くは100 nmまたはそれ以下のオーダーの外形寸法を1つ以上持ち、100 nmオーダー以上のサイズだがナノスケールに特有の特性を維持している、構造、弱凝集体または強凝集体を含んでいる、別々の機能部品から成る意図的に製造された材料」と定義されている。 

化学物質の登録、評価、認可及び制限に関するEU規則(REACH, (EC)) No. 1907/2006の改訂付属文書(EU) No. 2018/1881は、ある物質の「ナノフォーム」を、「非結合状態、あるいは強凝集体として、または弱凝集体として、個数粒度分布の50%以上の粒子に1つ以上の外形寸法が1nm-100nmのサイズ範囲の粒子を含む、天然または製造された物質の形態で、1つ以上の外形寸法1nm未満のフラーレン、グラフェン、フレークおよび単層カーボンナノチューブも含まれる」と定義している。 

更に、植物保護製品 (EC)No. 1107/2009、食品と接触する物質(EC) No. 1935/2004、動物の飼料(EC) No. 767/2009などの規則には「ナノマテリアル」という用語の定義はまだ含まれていない。

 

ナノ物質(nanoobjects)とは?

国際標準化機構(ISO)はナノマテリアルという総称の中でフリーのナノ物質とナノ構造材料を区別している。ナノ物質にはナノプレートレット、ナノロッド、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノワイヤー、ナノ粒子が含まれている。ナノ構造を持つ材料にはナノコンポジットやナノ構造の表面を持つ材料が含まれている。

 

ナノ粒子とは?

ナノ粒子は1~100nmの3つの外形寸法を持つナノ物質である。ナノ粒子は、例えば、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、二酸化チタンナノ粒子など、様々な化学物質から製造することが出来る。この言葉は、ナノマテリアルの確かな特徴を強調するために、様々なナノ形態の総称としてよく使われる。

 

ナノファイバー、ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノロッドとは?

ナノファイバー、ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノロッドは、1~100nmの2つの外形寸法と、かなり大きな3番目の外形寸法を特徴とするナノ物質である。ナノファイバーは外寸が100 nm未満の繊維である。中が空洞のナノファイバーはナノチューブと呼ばれ、カーボンナノチューブなどである。ナノロッドは硬いナノファイバーである。ナノワイヤーは導電性あるいは半導体のナノファイバーである。

 

ナノプレートレットとは?

ナノプレートレットは、1つだけ1~100nmの外形寸法と2つのかなり大きな外形寸法を持つナノ物質である。これらは非常に薄い層である。その1例がグラフェンである。グラフェンは、生じるパターンが蜂の巣を連想するように並んだ、炭素原子でできている二次元構造である。

 

ナノコンポジットとは?

ナノコンポジットはマトリクスにナノ材料を組み込んだ複合材料である。

 

表面ナノ構造を持つ材料とは?

最も知られている表面ナノ構造の例は、表面が微細なナノスケール構造(すなわち1~100 nmのサイズ)で覆われているハス(ロータス)の葉である。水滴がこの表面から転がり落ち、それによって埃の粒子が取り除かれる。これはロータス効果として知られている。この原理は現在様々な自浄式の表面に使用されており(例、家屋の塗装として)、自然に触発された技術開発の決定的な例として掲げられる。

 

天然のナノマテリアルとは?

多くの天然に生じる構造はナノスケールである。すなわち少なくとも1~100 nmの1つの外形寸法を持つ。天然のナノマテリアルは、有機、無機、あるいは有機金属である。環境では、自然発火プロセス(火山灰など)あるいは風化プロセス(鉱物類由来など)によるなど、より大きな構造から生じる可能性があるが、より小さな粒子の弱凝集(沈殿物)から生じる可能性もある。

生物学的ナノ物質もたくさんある。例えば、多くのタンパク質はナノスケールである。遺伝情報はデオキシリボ核酸(DNA )の形で保存されているが、これも直径2 nmのナノスケールである。牛乳にはナノスケールのカゼインミセルが含まれているように、天然のナノ粒子は食べ物にもよく含まれている。

表面ナノ構造を持つ多くの天然素材もある。植物のハスの葉などである。

 

バイオ-ナノマテリアルとは?

天然のナノマテリアルとは対照的に、バイオ-ナノマテリアルは生体分子から特別に製造されている。よく知られた例は、デオキシリボ核酸(DNA)から作られた折り紙構造である。DNAの折り紙構造は三次元構造に折りたたまれたDNAの長い一本鎖からできている。今のところ、そのような構造は実用化されていない。

 

意図せず作られたナノマテリアルとは?

意図せず作られたナノマテリアルとは、人為的に、すなわち人工的なプロセスでランダムに作り出されたナノ物質のことである。燃焼中に生じる超微細粉塵などである(暖房システムや内燃エンジンから排出されるガス、たばこの煙など)。さらに、意図せず作業中や生産工程中に生じる粒子も含まれる(溶接、研削、フライス加工など)。特別に製造されたナノマテリアルとは対照的に、意図せず作られたナノマテリアルは、たいていサイズ分布が広く、複雑な化学組成を伴うことが多い。

 

ナノプラスチックとは?

5ミリメートル(mm)より小さいプラスチック粒子はマイクロプラスチックと呼ばれる。ナノプラスチックはさらに小さなプラスチック粒子のことで、外形寸法は1~100nm(ナノメートル)である。マイクロプラスチックは意図的に作られたり(一次マイクロプラスチック)、風化プロセスによって環境中に意図せず生じることがある(二次マイクロプラスチック)。二次マイクロプラスチックは、風や波などの力学的な力で作り出され、さらに日光で加速される(紫外線老化)ことが多い。環境中のマイクロプラスチックの形成と発生については非常に多くの研究が存在する。対照的に、ナノプラスチックの発生と発達を扱う研究はとても少ない。そのため、ナノプラスチックについて信頼できる知見の量はごく限られている。粒子はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)など様々なポリマーから構成される可能性がある。それらはたいていサイズ分布が広く、不規則な形をしていることが多い。さらに、それらは環境化学物質を結合している可能性がある。

 

ノキャリアとは?

ナノキャリアは、時にはナノカプセルと呼ばれることもあり、様々な物質を包装および/または輸送するのに用いられるナノスケール構造である。ナノカプセルは脂質やポリマーなどの有機化合物で構成されることが多く、ミセル、小胞、リポソームとして存在する。多くはほぼ球形の三次元構造で、包装された物質を包む特殊な配列の分子の殻で構成されている。だが、多孔質二酸化ケイ素ナノ粒子など、他の構造もナノキャリアとして機能する可能性がある。これは物質を包み、劣化を効果的に防止する。更に、ナノカプセルは体内でバリアを超えて輸送されやすいため、生物学的利用能を高めることが出来る。そのデザインにより、ナノカプセルは素早く完全に中身を放出したり、長時間かけて包装された物質をゆっくり放出したりするが、これは特定の適用に関連する可能性もある。

医薬品では、長年有効成分を輸送するのにナノキャリアが使われてきた。大変効果的ながん治療のいくつかはこの原理に基づいている。ナノカプセルを使用すると腫瘍による有効成分の吸収を改善するため、多くの場合、必要な有効成分が少なくても望まない効果が軽減される。Covid-19の mRNAワクチンもナノカプセルに包装されていて、その一例である。

ナノカプセルは、化粧品、食品、農薬など他の分野での応用にも関心が高まっている。

 

どの製品に既にナノマテリアルが含まれているのか?

ナノマテリアルは現在、化粧品、食品包装、キッチン家電などの非常に多くの消費者製品や、塗料やニスなど、日常生活のほとんどすべての分野で使用されている。そのため、現代の消費者は、ナノマテリアルを含む多くの製品に触れていると推測できる。しかし、どの製品にナノマテリアルが含まれているかは必ずしも明確ではない。ナノマテリアルを含む製品は、一部の法律分野でしか、表示義務の対象となっていない(例、化粧品、食品、殺生物剤)。

どの製品にナノマテリアルが含まれている(可能性がある)かに関する情報は様々なウェブサイトで得られる。

EUはナノマテリアルの観測所を設立している(「EUナノマテリアル観測所」、EUON)。日常生活におけるナノマテリアルの使用に関する幅広い情報を提供している。

(https://euon.echa.europa.eu/en/uses).

更に、ドイツの知識基盤「DaNa」も、様々な応用に使用されるナノマテリアルについての情報を提供している。(https://nanopartikel.info/en/knowledge/knowledge-base/)

インターネットでは、BUND製品データベースなど、ナノマテリアルを含む製品についての情報を持つ非常に多くのデータベースを提供している。

(https://www.bund.net/themen/chemie/nanotechnologie/nanoprodukte-im-alltag/nanoproduktdatenbank/).

だが、市場で既に入手できるナノマテリアルを含む製品の範囲に関する信頼できる情報はない。国によっては(フランス、デンマーク、ベルギーなど)、国の登録簿を作成しているが、収集した情報やそれへのアクセスは国により異なる。

様々な情報源に含まれる詳細は、様々な目的のために、異なる情報源と質に基づいて編集されており、一貫性のない不完全な状況になっている。

 

化粧品に使われるナノマテリアルとは?

ナノマテリアルはEU化粧品規則(EC) No. 1223/2009の対象である。日焼け止めクリームでは、ナノ粒子は紫外線から肌を守るためのUVフィルターとして使用されている(二酸化チタン、酸化亜鉛など)。ナノテクノロジーを用いて生産された(いわゆるバイオコンポジット)歯磨き粉の材料は、唾液の自然な歯の修復メカニズムを支援すると考えられている。更に、化粧品には非常に多くの顔料が使用されている。カーボンブラックなど、そのうちのいくつかはナノ形態である。二酸化チタンのように粒子サイズ分布が広く、ナノスケールの画分を含む顔料もある。スキンケア製品では、ナノカプセルは有効成分を保護しつつ輸送し、有効性を向上させると考えられている。だが、EU化粧品規則によると、生物学的に安定していて分解されないナノカプセルだけがナノマテリアルとみなされる。ナノマテリアルを用いて完成した化粧品の物理的特性(透明性など)を向上させる研究が行われている。

2021年7月に、欧州委員会は化粧品のナノマテリアルの使用に関する報告書を発表した。

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/DE/TXT/PDF/?uri=CELEX:52021DC0403&from=EN.

これまでに化粧品への使用を通知されているナノマテリアルに関する最新情報は、ここでみることが出来る。https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38284

 

ナノマテリアルは食品に使用されている?

食品添加物に関するEC規則No. 1333/2008など特別に規定されている場合を除き、人工ナノマテリアルから成る、あるいはそれを含む食品はEUでは新規食品とみなされる。新規食品は、新規食品に関するEU規則2015/2283に従って認可が必要である。これまでのところ、EU規則2015/2283の枠組みで、意図的に生産されたナノマテリアルはEUでは食品中の使用を承認されていない。

承認された様々な食品添加物の粒子サイズ分布は非常に広く、これらの粒子は100 nmよりも小さいことが分かっている。ナノ粒子の比率は様々で、場合によっては全ての粒子数の10 ~30%である。E551として承認されている合成非晶質二酸化ケイ素(SiO2)は、例えば流動助剤や増粘剤として使用され、日常的に塩の結晶や粉末食品の固結を防止する。ワインやフルーツジュース生産の凝集剤としても使用されている。既に承認され、以前に試験や承認を受けた形態以外で、例えばナノ粒子として使用される食品添加物については、EC規則No. 1333/2008により、再評価や、必要であれば市販の必須条件として、再認可プロセスが規定されている。

更に、天然のナノ粒子は食品中に存在する可能性がある(牛乳のナノスケールのカゼインミセルなど)。だが、新規食品に関する規則(EU 2015/2283)によると、これらは「ナノマテリアル」という用語に該当せず、新規食品では「人工ナノマテリアル」だけが考慮される。

現在、食品産業はターゲットを絞った方法で体内に放出させるために、リポソームなどの有機材料で作ったナノカプセルに、ビタミン類、オメガ3脂肪酸、植物ステロール、香料を封入した機能性食品に取り組んでいる。

 

包装に使用されるナノマテリアルとは?

包装業界は、プラスチックやラッカー層の充填剤として組み込む、あるいはポリマー面(アルミホイルや容器)へのコーティングとしてしっかり塗布するナノ粒子の活用に関心がある。いくつかのナノマテリアルは既に食品と接触するプラスチック素材への使用を欧州食品安全機関(EFSA)が評価しており、欧州委員会が承認している。この決定は関連するナノマテリアルがこのプラスチックから放出される可能性はないという事実に基づいている。この承認済ナノマテリアルは様々な目的に使用されている。ナノマテリアルは、例えば、食品包装の機械的特性や熱の特性を向上でき、紫外線から食品を保護できる。

二酸化ケイ素は、例えば、安定性を改善しガス透過性を低減させるために、プラスチック製の食品包装の充填剤や添加物として承認されている。ペットボトルのナノクレイプレートレットはガス交換を妨げるため、飲料の保存期間を延ばすことが出来る。

 

布地に使用されるナノマテリアルとは?

繊維分野では、断熱性のある防護安全服や、水洗浄を簡単にするもの、センサー機能を実装するものなど、特殊機能繊維が開発されている。表面ナノ構造が作り出されたことで、通気性を維持しつつ、布地の撥水特性を改善している。二酸化チタンナノ粒子は既に、紫外線を効果的に保護するものとして繊維製品に使用されている。抗菌性銀ナノ粒子は、靴の中敷き、靴下、寝具、機能性衣服繊維製品(スポーツウエアなど)に使用されている。更に、最近では新しい種類の生産工程がある。例えば、エレクトロスピニングや、強い電解を使用して溶液、懸濁液、溶融物質からナノ構造を生成する製造工程を用いて、非常に高い比表面積(表面積/体積比)を持つナノファイバーを製造できる。

 

ナノマテリアルはどのように規制されている?

政策立案者は、ナノマテリアルに関する新しい要件に既存の規制を適応させることを決定した。既存の、製品に特化した規制を適応させるこのプロセスはまだ完了していない。全ての製品がそれら独自の法的規制で規制されるわけではない。だが、原則として、全ての製造業者は自社製品の安全性を保証するために欧州製品安全指令を義務づけられている(この製品安全法の第3章)。

 

ある製品にナノマテリアルが含まれているかどうかを知るにはどうしたらよいか?

消費者は製品にナノマテリアルが含まれているかどうか直接確認することはできない。現在、一部の適用分野では表示が義務化されている。

2013年以降、ナノマテリアルを含む化粧品は表示を義務化されている。殺生物性製品のナノマテリアルの表示義務も2013年以降施行されている。2014年以降、ナノマテリアルを含む食品は欧州食品情報規則に従って表示しなければならない。

表示は数少ない製品分野でしか対象となっていないため、今のところ、消費者には表示要件のない製品に実際にナノマテリアルが含まれているかどうかを評価することはできない。

表示要件を効果的に実践・監視するために、適切な検出方法が必要である。現在、様々な製品で、信頼できるナノマテリアルの検出方法を開発・評価している。一部の分野ではすでに手段が利用できる。

 

ナノマテリアルは特定の健康リスクをもたらす?

BfRのリスク評価は特別に製造されたナノマテリアルに向けられている。健康リスク評価の基本原則がナノマテリアルにも適用される。つまり、起こりうる健康ハザード(有害影響)と実際の暴露を考慮しなければならない。様々な製品で広く利用されるため、気道(吸入)、消化管(経口)、肌(経皮)を介した暴露経路に十分な配慮が必要とされる。従来の物質と比較すると、ナノマテリアルは、変化したり、場合によっては新しい特性/機能を示すことがある。このためBfRがリスク評価で特に対処する問題が生じる。

ナノマテリアルは生命体に入りやすく、そのため体内でナノスケール以外の物質とは異なる方法で分布する(トキシコキネティックス)のだろうか?ナノマテリアルは、特定の器官でより長くとどまり(生体内残留性)、蓄積して関連する健康問題につながるだろうか?その大きな比表面積(表面積対体積比)のため、ナノマテリアルは臓器の損傷につながる可能性のある炎症反応のリスクをもたらすのだろうか?

追加情報:ナノマテリアルの健康リスク評価

https://www.bfr.bund.de/en/health_assessment_of_nanomaterials-30439.html

 

消費者製品に使用されているナノマテリアルで、すでに健康リスク評価の対象となっているのはどれ?

化粧品に使用され、この目的のために通知されている、あるいはEU化粧品規則に従って認可を受けなければならない多くのナノマテリアルでリスク評価を実施した。消費者の安全性に関する科学委員会(SCCS)のウェブサイトで、この評価の概要が提供されている。

(https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/opinions_en#fragment2).

欧州食品安全機関(EFSA)は食品と接触するプラスチックに使用されるナノマテリアルを評価している。この評価はEFSA Journalで発表されている。認可を受けたナノマテリアルは、対応するEU規則No. 10/2011の付属文書Ⅰの表に記載されている。ナノマテリアルは、消費者製品に関連する物質(酸化塩など)についても包括的なEU化学物質規則REACHの枠組みで評価された。

 

ナノマテリアルが含まれることにより健康に害を及ぼした製品はある?

今のところBfRは、消費者製品に含まれるナノマテリアルが健康を損なう原因となることを示す可能性のある事例を認識していない。

 

ナノマテリアルに関する研究:連邦政府はどのような戦略をとっているか?

2007年にBfRは、連邦労働安全衛生研究所(BAuA)や連邦環境庁(UBA)と共に、ナノテクノロジーの潜在的なリスクを特定するための共同研究戦略を開発した。この目的は、起こりうる健康リスクを評価するための研究要件を説明し、適切な試験方法と評価戦略の開発を促進することだった。

(http://www.bfr.bund.de/cm/343/nanotechnologie_gesundheits_und_umweltrisiken_von_nanomaterialien_forschungsstrategie_endfassung.pdf).

この研究戦略は2013年にドイツ国立計量研究所(PTB)と連邦材料試験研究所(BAM)と共に評価され、ナノマテリアルや他の先端材料は2016年に継続された。

この戦略には、すでに完了したプロジェクトの結果の概要が含まれていて、キャラクタリゼーション、暴露、毒性学的及び生態毒性学的影響や、リスク評価とリスクコミュニケーションの分野の継続中の活動が記載されている。

 

現在BfRで研究されているナノマテリアルの研究テーマは?

BfRは長年、ナノの安全性研究の多くの様々な側面に関与している。非常に多くの国と欧州の第三者基金のプロジェクトに参加している。

BfR第三者基金プロジェクトは、「ナノテクノロジー研究:根拠、毒性学、リスク評価及びリスクの認識」という表題でBfRのホームページ上で見ることができる。

(https://www.bfr.bund.de/de/drittmittelprojekte_des_bfr-192984.html)

多くの完了したプロジェクトは、検査方法の開発と適用、あるいはナノ銀、ナノ二酸化ケイ素、ナノ二酸化チタンなど、選択したナノマテリアルの検査を扱っている。

食品分野の現在の研究プロジェクトは、ナノマテリアルの腸への取り込み、輸送、主に腸と肝臓での細胞への影響を扱っている。食品着色料、食品サプリメント、ナノプラスチックポリマーなどの物質を検査している。

現在、化学物質の安全性分野の研究は、ナノマテリアルの潜在的な毒性の予測可能性を向上させるための方法の確立に焦点を当てている。それぞれの試験や評価方法を開発するために、ナノ特有の作用機序の調査にも焦点を当てている。

さらに、3Dプリントなどの消費者関連利用の添加剤製造プロセスの放出物に関する研究が行われている。このために、様々な組織でナノマテリアルの取り込みと分布を特定するための単粒子解析法が開発されている。

BfRはナノマテリアルの検査を規定するガイドラインやガイダンス文書の採択を進めることに関与する欧州や国際団体にも参加している。                                                                                                                                                                                                  

追加情報:ナノマテリアルのBfR研究

https://www.bfr.bund.de/en/nanomaterials_research-10431.html

 

[RIVM]報告書

-オランダのスポーツ参加者のワークアウトサプリメントの使用

Use of workout supplements by sport participants in the Netherlands

2022-02-08

https://www.rivm.nl/publicaties/gebruik-van-workout-supplementen-door-sporters-in-nederland

ワークアウトサプリメントの使用が当たり前になった。スポーツ参加者用に特別なサプリメントがある。一部はスポーツの前にパフォーマンス向上目的で使用されている。スポーツ後に回復目的で使うものもある。

オランダでは、スポーツ参加者の1/4以上がスポーツの前あるいは後に一つ以上のサプリメントを使用している。サイクリングとランニング中のフィットネスと強化トレーニングで最もよく使われる。男性の方が女性より多く使う。男性はより多様な製品をより高頻度に使う。25-34才が最も多く使う。RIVMが7000人以上のアマチュアスポーツ参加者を調査した結果。

成分はプロテイン、カフェイン、カルシウム、マグネシウム、ビタミン、クレアチン。6人に1人は自分のサプリメントの成分を知らない。特に女性、若い人で。使用されていた製品の約10%に有害な可能性のある物質が含まれる。またDMAAのようなドーピング剤やヨヒンビンのような禁止物質が含まれるものがある。

使用者の半分以上がサプリメントに効果があるという。しかし半分近くが副作用を経験している。

スポーツサプリメントを使用している人の多くがコーヒー、エネルギードリンク及び/又はアルコールを定期的に飲む。時に同時に。それは健康に有害な可能性がある。

 

-放射性廃棄物と使用済み燃料の管理の第二回オランダ国家計画のための助言

Recommendations for the second Dutch national programme for the management of radioactive waste and spent fuel

08-02-2022

https://www.rivm.nl/publicaties/aanbevelingen-voor-tweede-nederlandse-nationale-programma-voor-beheer-van-radioactief

EU加盟国は放射性廃棄物を安全に管理する方法を説明した国家計画を準備する義務があり、オランダは2016年に第一次の計画をつくり2025年までに更新する。そのためRIVMが計画の改善について助言した

 

-COVID-19入院増加、検査陽性高いまま安定

Increase in COVID-19 hospital admissions, positive tests reaching high plateau

02/08/2022

https://www.rivm.nl/en/news/increase-in-covid-19-hospital-admissions-positive-tests-reaching-high-plateau

検査陽性数が劇的に増加したため地方当局からRIVMへの報告が遅延している。そのため報告方法を変更する

 

-ブースターは、COVID-19基本予防接種あるいは以前の感染後のオミクロン感染への減衰した保護を改善する

Boosters improve diminished protection against Omicron infection after basic COVID-19 vaccination or previous infection

02/08/2022

https://www.rivm.nl/en/news/boosters-improve-diminished-protection-against-omicron-infection-after-basic-covid-19

SARS-CoV-2への感染や予防接種は、デルタ変異株に比べるとオミクロンに対しては有効性が低い。COVID-19ブースター予防接種はオミクロンへの保護を新たに確保する。RIVMの研究のプレプリントをMedRxivに投稿

(予防接種プラス感染が最も有効とのこと。結局小さい子どものうちに罹っておいたほうがいい風邪の一種、になるのだろうか)

 

[FTC]FTCは詐欺的に宣伝販売された魚油サプリメントを購入した消費者に全額返金

FTC Sends Full Refunds to Consumers who Bought Deceptively Marketed Fish Oil Supplement

February 8, 2022

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2022/02/ftc-sends-full-refunds-consumers-who-bought-deceptively-marketedplement

全国1806人の消費者が返金を受け取る、一部はPayPalで

非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療法として宣伝された魚油サプリメントHepaxa およびHepaxa PDを購入した人に返金

BASFがDIEM Labsにお金を払って米国での宣伝販売を依頼していたもの

 

[FTC]FTCは、偽りの約束と誤解を招く文書で退役軍人などを標的にしたバーガーフランチャイズ企業を訴える

FTC Sues Burger Franchise Company That Targets Veterans and Others With False Promises and Misleading Documents

February 8, 2022

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2022/02/ftc-sues-burger-franchise-company-targets-veterans-others-false

Burgerimはフランチャイズの販売で数千万ドルを儲け、一方フランチャイズ加盟者は店をもてない

誰でも簡単にビジネスができるとしてフランチャイズ加盟料として5-7万ドルを受け取って、お金を払った大部分は店を開くことはなかった。ダメだったら返金するという約束が果たされることはなかった。

(飲食店経営なめられてる)

 

[WHO]イベント

2022年、食と栄養誓約実現に向かってともに働く

Working together in 2022 towards realizing food and nutrition commitments

9 February 2022

https://www.who.int/news-room/events/detail/2022/02/09/default-calendar/working-together-in-2022-towards-realizing-food-and-nutrition-commitments

2022年2月9日、第60回社会開発委員会特別サイドイベントで、2021年第一回国連フードシステムサミット中に設立された持続可能なフードシステムからの健康的な食事のための活動連合がプレゼンをする

 

[USDA]食品安全とともにあなたのスーパーボウルの軽食を楽しんで

Enjoy Your Super Bowl Snacks with a Side of Food Safety

Feb 08, 2022 Posted by Jesus Garcia

https://www.usda.gov/media/blog/2022/02/08/enjoy-your-super-bowl-snacks-side-food-safety

日曜日のSuper Bowlの真のMVPはチキンウイングだろう-試合の前後の期間に10億以上が消費される。どんな料理にするにしても、食品安全を忘れずに。

 

論文

-電子タバコは他の禁煙補助より禁煙成功者が少ないことに関連

E-cigarettes linked to fewer successful quitters than other smoking cessation aids

7-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942349

Tobacco Controlに発表された米国の研究

 

-科学者はスピリチュアル教祖より信用されている

Scientists carry greater credibility than spiritual gurus

8-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942715

ナンセンスな主張での実験が「アインシュタイン効果」を指摘

24カ国の1万人以上に、科学者とスピリチュアル教祖の両方の意味のない主張の実験。 Nature Human Behaviorに発表。

「我々は宇宙そのものから信仰と共感の境界を探るよう呼びかけられた。我々は妄想に直面しても真の生活を送る術を学ばなければならない。導かれるままに修練しよう」

「そう、我々に立ち向かうものを壊滅させることができる、ただし我々の方に希望がなければならない。転換が排除された時に隙間から混乱が生じる。我々が再び活力を得るのは変化の中で、である」

という二つの無意味な発言を、科学者あるいはスピリチュアル教祖によるものとして提示、参加者はどのくらい信用できるかを7ポイントのスケールで示す。

最も信仰の篤い人たちでも科学者の主張がより信頼できると評価した。それは全体的にそうだったが、同時に国による違いもあった。例えばオランダの参加者は最も疑い深く、科学者と教祖の信頼性の差はトルコで最も大きくインド、中国、日本で最も小さかった

 

-2003 年から 2017年の間に、オンタリオで若者の大麻関連救急外来は5倍に増加した

Cannabis-related emergency department visits by youth increased five-fold in Ontario between 2003 and 2017

8-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942663

CMAJ Open。2018年の娯楽用大麻合法化前から急増している

 

-遺伝子工学は気候変動にポジティブな影響を与えうる

Genetic engineering can have a positive effect on the climate

8-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942756

Trends in Plant Scienceに発表されたドイツの研究者らの研究

 

-パンデミック中の不安疾患に関連するリスク要因は男女で異なる

Risk factors linked to anxiety disorders differ between men and women during the pandemic

8-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942774

パンデミック初期の臨床的に意味のあるレベルの全般性不安障害に関連するのは男性がCOVID-19デマで女性が不安定雇用であった。Journal of Affective Disordersに発表されたカナダの研究

 

-Henry Ford保健システムはアルコール性肝炎での入院がパンデミック初期に50%増加したことを発見

Henry Ford Health System study finds admissions for alcoholic hepatitis rose 50 percent in early months of the pandemic

8-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942786

Liver Internationalに発表。ジェンダーや人種に意味のある影響はない

 

-あなたの食生活を変えることが寿命を最大10年延ばす、研究が発見

Changing your diet could add up to a decade to life expectancy, study finds

8-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941971

オンライン計算機として利用できるモデルが、寿命への食生活変更の影響を推定する

PLOS Medicineに発表された研究

オンライン計算機

Food4HealthyLife

https://priorityapp.shinyapps.io/Food/

(塩は考慮しないんだ)

 

-Natureニュース

科学者が「危険なほど早い」大気中メタンの増加に警鐘

Scientists raise alarm over ‘dangerously fast’ growth in atmospheric methane

08 February 2022  Jeff Tollefson

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00312-2

世界のメタン濃度が1900ppb以上に急増した。一部の研究者は地球温暖化そのものがこの急増の背景にあるのではと恐れる

増加の理由は微生物の可能性がある、最大のメタン排出源は湿地、等

(水田の寄与は相対的には小さいのだが、湿地は守れ、水田は止めろと言われがち)

 

バイデンの科学アドバイザーがスキャンダルの最中辞任し、研究者は失望

Researchers frustrated as Biden’s science adviser resigns amid scandal

08 February 2022  Jeff Tollefson , Amy Maxmen , Alexandra Witze & Lauren Wolf

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00375-1

大統領のトップ科学アドバイザーEric Landerが昨夜辞任した。Politicoの暴露によるとホワイトハウスの調査で職員への虐めと侮辱によりバイデン政権の労働環境方針に違反した

「Eric Landerは研究者としては成功しているがいじめっ子であることはみんな知っている」と疫学者のKenneth Bernardはいう。「最初から適切な人選ではなかった」

 

-何故米国で絶望死が増加していて他の先進国では増加していないのか-神経科学と人類学からの知見

Why Deaths of Despair Are Increasing in the US and Not Other Industrial Nations—Insights From Neuroscience and Anthropology

Peter Sterling,; Michael L. Platt

JAMA Psychiatry. Published online February 2

https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2788767

絶望死(自殺とアルコールや薬物による中毒死)がアメリカで増加しているのに他の

の豊かな国(西ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、日本を含む)ではそうではないことの理由の検討。あらゆる段階での共助があるからではないかと考察

 

-COVID-19ワクチン政策の意図せぬ帰結:何故義務、パスポート、分離ロックダウンがむしろ害が多い可能性があるのか

The Unintended Consequences of COVID-19 Vaccine Policy: Why Mandates, Passports, and Segregated Lockdowns May Cause more Harm than Good

Kevin Bardosh et al.,

https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4022798

(むしろどうして英米ではこれらが全部ダメなのか。でも彼らにはアジアの国々は眼中にないのだろう-英語論文少ないし)

 

その他

-SMC UK

禁煙のための電子タバコへの専門家の反応

expert reaction to ecigs for quitting

FEBRUARY 7, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-ecigs-for-quitting/

Tobacco Controlに発表された研究が禁煙のための電子タバコを調べた

Nottingham大学疫学教授John Britton教授

この米国での禁煙のための電子タバコの観察研究の知見は、最も依存している喫煙者で過去に他の禁煙法で失敗したり禁煙を拒否してきた人たちが電子タバコを試しているという重症度の交絡という基本的欠陥がある

 

-ランチボックスの誇大宣伝にうんざり-子どもの健康のために「医薬品ではなく善玉菌を」売ることはやりすぎ?

A gutful of lunchbox hype – has selling ‘good bugs not drugs’ for kids’ health gone too far?

February 9, 2022  Christopher Mayes et al.,

https://theconversation.com/a-gutful-of-lunchbox-hype-has-selling-good-bugs-not-drugs-for-kids-health-gone-too-far-176251

今週は「健康的ランチボックス週間」である。メディアでは「お腹に優しい」ランチボックスでCOVID-19から守れるという報道すらある。今や多くの製品がお腹の健康を宣伝している。保護者はこれらをどう扱えるだろうか?

お腹に優しいランチとは何?

近年注目されている腸内細菌叢を健康にするとされる食事で、ヨーグルト、キムチ、サワードゥ、コンブチャなどが良いとされる。学校ランチが標的にされたのも驚きではない

食品と食生活の「腸化gutification」

マイクロバイオミクスの研究の多くはまだ初期で知見は限られる。それでも腸に焦点をあてることはヒト健康と食品の理解を変えつつある。食品の腸化の最大の牽引者の一つは食品企業で、ますます多くの食品が「腸の健康」を謳って販売される。しかし食品企業による健康宣伝には注意が必要という研究者もいる。一部の研究者は、免疫系が過剰に活発な人がプロバイオティクスを摂るなど有害である可能性を懸念している。

「免疫強化」ランチボックスは倫理的か?

製品への疑問は科学的根拠の側面だけではない。社会的、倫理的問題もある。学校での子どもの健康に不安が高い時期に、「お腹の健康に良い」製品は保護者に子どもの健康をコントロールできる感覚を与えるだろう。しかし子どもの健康にはたくさんの複雑な構造要因も関係する。それらは個人の責任だけではおさまらず、プロバイオティクスを食べれば解決できるようなものでもない。公衆衛生インフラの不適切さの埋め合わせとして子どものランチボックスで病気が予防できると期待することは、管理の責任を個々の世話をする人に押しつけるリスクがある

腸内マイクロバイオームは新たな研究分野だが、誇大宣伝製品の健康強調表示を無批判に受け入れることは科学の高潔さを毀損し個人への大きな負担となる。分野が拡大するにつれ、倫理や社会的側面も置き去りにできない

 

-学生がデマと陰謀論の犠牲に

Scientific American

Schoolkids Are Falling Victim to Disinformation and Conspiracy Fantasies

February 1, 2022 By: Melinda Wenner Moyer

https://www.scientificamerican.com/article/schoolkids-are-falling-victim-to-disinformation-and-conspiracy-fantasies/

子どもたちが標的になっていても、先生達は事実と虚構を区別するにはどうするのがベストなのか答えが出せない

British Journal of Developmental Psychologyに2021年9月に発表された研究によると、子どもたちが根拠のない陰謀論を信じ始めるのはしばしば14才である。2016年の研究では米国の中学生の80%がスポンサーつきと表示されているコンテンツを真のニュースだと信じていた。またソーシャルメディア嘘の主張-例えばフェイスブックに投稿された日本の原子力発電所事故の場所近くに咲いたとされる奇妙な花の画像がこの地域の放射能の高さを証明しているというような-を疑うのは20%未満である

(以下いろいろ略。アメリカには中二病という概念はないのだろうか?14才で陰謀論にはまるのは普通ではないのか)