2022-02-22

[HK]ニュースレター

Food Safety Focus

16 Feb 2022

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html

掲載項目

-2021年の食品施設・食品事業に関する食中毒発生状況のレビュー

-気候変動と食品安全

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_187_02.html

気候変動は食品安全分野に新たな課題をもたらしている。食糧農業機関がこの課題に取り組み、国際社会の意識を高めている。

気候変動に関連する食品安全問題

気候変動は食品安全問題に様々な影響をもたらす。気温上昇など1つの環境条件が、食品由来微生物の生存機会を増やしたり、化学汚染物質の発生パターンを変えるなど、様々な汚染物質に広く影響する可能性がある。

食品由来病原体と寄生虫

極端な温度、降水量、他の環境要因は全て、食品由来病原体と寄生虫の地理的分布や持続性に影響を与える。例えば、サルモネラ菌やカンピロバクター菌による感染は、気温の上昇との関連性が高い。ビブリオ属は、生や加熱不十分の海産物を摂取すると感染を引き起こし、時には致命的な重要な食品由来病原体である。水が温まり海面が上昇すると、この細菌の成長と蔓延に都合よく、カキ生産地域の生ガキのリコール頻度が多くなる。

マイコトキシン

涼しい気温帯での温暖化は農業には好ましく、農業害虫や有害菌類種が新たなすみかを見つけている。アフラトキシンは、かつては熱帯地方でのみ懸念されると考えられていたが、今や他の地帯や地域でよく定着している。特に気候変動状況下では、不適切な保管や交通インフラが、アフラトキシンやオクラトキシンなどのマイコトキシンの発生や拡散リスクを高めている。

有害な藻の異常発生

藻はもともと水生生態系の一部だが、気候変動による海面温度の上昇により、より頻繁に異常発生している可能性がある。異常発生は他の全ての海の植物や生き物の光を遮る可能性がある。藻の異常発生は死んで腐敗するとその地域の酸素供給を激減させ、他の種類の生き物に適さない地域になる。さらに特定の藻類は、魚、貝、海洋動物、鳥類に有毒な毒素を作り出す。摂取されると魚や貝で生体蓄積し、ヒトに毒性症候群を引き起こす可能性がある。例えばシガテラ中毒はシガトキシンが引き起こし、大西洋の重要な食物由来問題である。

フードチェーンにおける環境汚染物質と残留化学物質

魚のメチル水銀は、ヒトの神経系、免疫系、消化器系に有毒なため、重大な公衆衛生上の懸念である。子宮内でも生後初期も、子供の発育に脅威となる。海洋温暖化は水銀のメチル化を促進し、その後、魚や海洋哺乳類に摂取されることでヒトの暴露が増す。陸では、大雨が様々な危険な金属を含む周辺地域を汚染する可能性があり、食品や水の品質を危険にさらしている。さらに、地表温度が高まると、米のヒ素など植物の有害金属の取り込みを促進する可能性がある。降雨パターンの変化や気温上昇は作物の害虫や人畜共通感染症の微生物を新しい地域に移動させ、食品に農薬や動物用医薬品を過剰使用することになる可能性がある。

気候変動が多種多様な食品由来疾患やその発生に与える影響のため、食品の安全性を実現するには様々な関係者が協力して作業する必要がある。同様に消費者が果たすべき重要な役割がある。世界保健機関が開発した「食品安全への5つのカギ」は、気候変動などますます困難な環境問題の中で、農場から食卓までの食品由来疾患の対処に関する、根拠に基づいた明確で単純なメッセージを提供している。

 

-幼児向け食品による窒息の危険性を最小限に抑える

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_187_03.html

子供の窒息事故が時々報告されている。その大きさ、形、質感により、一部の食品は窒息を起こしやすい。これは特に5歳以下の幼児に当てはまる。

一般的に、コンニャク(ハード)ゼリー、旧正月のプリン、餅団子、チューインガム、マシュマロ、ハードキャンディやベタベタするキャンディ、アイスキューブ、丸ごとナッツ、ピーナッツバターやナッツスプレッドを塗らずに直接食べるなど、一部の食品は避けた方がよい。

幼児が摂取する特定の食品の窒息リスクを減らすための対策は可能である。硬い野菜(ニンジン、キュウリなど)は細い棒状に切り、大きいあるいは硬い果物(メロン、リンゴなど)はスライスすること。幼児にはそれらを調理したり潰したりして柔らかくすること。果物や野菜の皮をむくこと。小さな果物(ブドウ、サクランボ、ベリー類、チェリートマトなど)を小さな4分割にすること。果物を調理する際には種や石の破片を確認すること。ソーセージは皮を除いて薄くスライスすること。パンは薄く切ること。

 

-「ネガティブ・クレーム」についてもっと知る

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_187_04.html

「ネガティブ・クレーム」は調理済食品によく見られる。「グルテンフリー」のシリアルなど、特定の物質が「入っていない」食品についてのクレームもある。これらの成分はその食品に本来備わっている訳でも、最終製品から除去されている訳でもない。醤油の「保存料無添加」など、特定の成分を添加しないことを強調しているクレームもある。これは生産中に添加していないことを意味する。

これらのクレームは様々な意味を持つ可能性がある。業界は「ネガティブ・クレーム」の表示に警戒する必要がある。これが誤解を招いたり、製品の組成について消費者に誤った印象を与えることは避けなければならない。注目すべきは、酵母エキス中のグルタミン酸ナトリウムや野菜の硝酸塩のように、一部の成分は天然に食品に存在することである。その食品に天然に存在する成分を添加していないと主張するのは望ましくない。さらに、業界は特定のクレームに法の特別な要件があることに注意する必要がある。

人々は、情報に基づいた選択をするには「ネガティブ・クレーム」を確認し理解する必要がある。

 

[ANSES]パブリックコメント募集を経て5Gについての仕事更新

Work on 5G updated following a public consultation

17/02/2022

https://www.anses.fr/en/content/work-5g-updated-following-public-consultation

本日ANSESはパブリックコメント募集を経て5Gの健康影響の可能性についての専門家評価の更新版を発表した。最近の暴露測定を含め当初の知見を確認した。現在の知見に基づき、5Gの展開が、これまでの世代の電話に関して新しいリスクにつながることはありそうにない。

(フランスは電磁波の健康リスクにおそらく世界で一番熱心。電波を受信する人が多いらしい)

 

[DHSC]春のCOVID-19ブースター予防接種についての保健大臣の声明

Health Secretary statement on spring COVID-19 booster vaccinations

21 February 2022

https://www.gov.uk/government/news/health-secretary-statement-on-spring-covid-19-booster-vaccinations

JCVIによる更新助言について

Sajid Javid保健相は言う:

「我々のワクチン展開のおかげで、既に欧州で最も自由な国になっている。ワクチンは無数の命を救いNHSへのプレッシャーを下げウイルスとともに生きることを学ぶことができた。本日JCVIによる助言を受け入れて、春から75才以上の人、高齢者介護施設に住む人、12才以上で免疫不全の人に対して追加接種を提供する」

 

[FAO]我々の食料供給はリスクに晒されているか?

Is our food supply at risk?

https://www.fao.org/state-of-food-agriculture/en/

今がより回復力のある(レジリエントな)アグリフードシステムを構築する時である

農業食料システムを理解する

災害が起こったとき:どうやってアグリフードシステムはショックやストレスを吸収できるか

多様性が必須である

何故今行動する必要があるのか

何ができるのか

 

論文

-有害なジメチル化モノチオヒ酸(DMMTA)が世界中のコメに広く存在する

Widespread Occurrence of the Highly Toxic Dimethylated Monothioarsenate (DMMTA) in Rice Globally

Jun Dai, et al., Environ. Sci. Technol. 2022, XXXX, XXX, XXX-XXX

Publication Date:February 17, 2022

https://doi.org/10.1021/acs.est.1c08394

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.1c08394

日本のコメのデータもある(n=19)

 

-野菜を食べることは心血管系疾患から守らない、大規模研究が発見

Eating vegetables does not protect against cardiovascular disease, finds large-scale study

21-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943816

これまでのポジティブな研究は交絡する社会経済的及びライフスタイル要因を十分修正していない可能性がある、新しい解析が示唆 Frontiers in Nutrition

 

生と調理した野菜の摂取と心血管系疾患リスク:UKバイオバンクの40万人の成人の研究

Raw and Cooked Vegetable Consumption and Risk of Cardiovascular Disease: A Study of 400,000 Adults in UK Biobank

Qi Feng et al., Front. Nutr., 21 February 2022

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2022.831470/full

CVDのない399,586人の生及び調理した野菜の摂取をベースラインで食事質問表で測定。フォローアップ12年の間に18052のCVDイベント、4406のCVD死が観察された。生野菜の摂取はCVDインシデントとCVD死亡率の両方に逆相関、調理した野菜は関連がなかった。交絡の可能性を調整すると生野菜のCVDとの関連は減少した。この結果は、高所得集団でのCVDと野菜摂取量の根拠について再評価する必要性を示唆する

 

SMC UK

-野菜の摂取と心血管系疾患リスクの報告への専門家の反応

expert reaction to study looking at reported vegetable consumption and risk of cardiovascular disease

FEBRUARY 21, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-reported-vegetable-consumption-and-risk-of-cardiovascular-disease/

Frontiers in Nutritionに発表された研究が、生と調理した野菜の摂取と心血管系疾患リスクについて調べた

脳卒中協会研究部長Richard Francis博士

この新しい研究は野菜の摂取量があなたの脳卒中リスクにどう影響するかについての限られた知見を提供する。この知見は生野菜の多い食事はその後12年の脳卒中による入院や死亡のリスクを下げるかもしれないことを示唆するが、ライフスタイルや社会経済的要因を考慮すると関連は弱くなる。また調理した野菜の摂取量と脳卒中による入院や死亡のリスクに関連はない。

この研究には多数の限界がある。参加者は英国在住の中年白人がほとんどで、研究参加時に心疾患はない。従って他の集団でのより長期の研究が必要である。

King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授

野菜が心血管系疾患リスクを下げるのに役立つのはおそらくカリウム摂取への寄与で、それが血圧維持に役立つ。この論文は自己申告による野菜の摂取とCVDの関連について報告した。全体解析では総野菜摂取量はCVDと全原因による死亡率の低さに関連し、これまでの知見と一致する。さらなる解析で、そのベネフィットが生野菜に限定されることを確認した。しかし全原因による死亡は生でも調理済みでも同程度減った。調理済み野菜は心血管系疾患リスク削減に有効ではないかもしれないという著者らの結論は、特に野菜摂取量の多い人たちが高血圧と高血中コレストロールの薬を使用している可能性が高い(CVDリスクが高い)ことを考えると正当化できない可能性がある。この知見は野菜に健康上の利益がないことを意味すると解釈すべきではない

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

この種の研究は恐ろしく解釈が難しく、主観的に幾通りにも解釈できる。そしてプレスリリースの挑発的見出しは論文に著者が実際に書いていることと一致しない。

(以下長い説明)

St George’s, University of London臨床薬理と治療学NIHR臨床講師Dipender Gill博士

Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授

Quadramバイオサイエンス研究所George Savva博士

英国心臓財団上級栄養士Victoria Taylor

Leeds大学食品科学と栄養学部栄養疫学グループJanet Cade教授

Quadramバイオサイエンス研究所名誉フェローで栄養研究者Ian Johnson博士

Glasgow大学代謝医学教授Naveed Sattar教授

(異口同音に、野菜を食べないことの正当化に利用しないように注意している)

 

-首相が議会で発表した「COVIDとともに生きる」計画への専門家の反応

expert reaction to ‘living with COVID’ plan, as announced to MPs by the Prime Minister

FEBRUARY 21, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-forthcoming-living-with-covid-plan-to-be-set-out-this-week-including-expected-move-away-from-government-intervention-to-personal-responsibility/

Oxford大学プライマリーケアサービス教授Trish Greenhalgh FmedSci教授

UCLオペレーション・リサーチ教授Christina Pagel教授

Edinburgh大学感染症疫学教授Mark Woolhouse教授

Edinburgh大学獣医疫学とデータサイエンスSir Timothy O’Shea教授Rowland Kao教授

Sussex大学社会心理学教授John Drury教授

Cambridge大学MRC生物統計ユニットもとプログラムリーダーSheila Bird教授

Swansea大学心理学講師Simon Williams博士

Reading大学細胞微生物学准教授Simon Clarke博士

Warwick大学分子腫瘍学教授Lawrence Young教授

Nottingham Trent大学社会学教授Robert Dingwall教授

UCL行動変容センター長Susan Michie教授

Southampton大学グローバルヘルス上級研究員Michael Head博士

(いろいろな意見。)

政府の公式発表

COVID-19 RESPONSE:LIVING WITH COVID-19

February 2022

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1056229/COVID-19_Response_-_Living_with_COVID-19.pdf

 

その他

-乳牛を使わないタンパク質は乳業の新たな時代の可能性を示唆する

Cow-free proteins signal possible new day for dairy

By Cookson Beecher on February 21, 2022

https://www.foodsafetynews.com/2022/02/cow-free-proteins-signal-possible-new-day-for-dairy/

イスラエルのImagindairy社は微生物を使った発酵でカゼインとホエイを作る。タンクで作って精製した純粋なプロテインパウダーは乳製品を作るのに使える。乳牛より飼料をヒト食品に変える効率が良く、倫理的に好ましいと宣伝している。

別の会社Perfect Dayは同様の手法で乳タンパクを作り2019年に最初の製品であるアイスクリームを開発した。それ以降製品は増加し続けている。Perfect DayのプロテインはFDAのGRASである。これらが乳業業界に与える影響は大きい。

有機農業推進団体Organic Valleyの広報Jon Bansenはこれらを金儲けのための「実験室ミルク」とよぶ。「彼らは自然から離れて食品が何かを忘れている」

(ところどころのみ。動物の福祉をセールスポイントにしていたオーガニックがここでは殺す方にまわる。)

 

-あなたのオーガニック衣類はエコフレンドリーで化学物質フリー?世界最大の綿市場のインドの輸出業者には偽装が蔓延る

Are your organic clothes eco-friendly and chemical free? Fraud rampant in India exports, world’s largest cotton market

Alden Wicker, Elizabeth Paton, Emily Schmall, Suhasini Raj | New York Times | February 22, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/02/22/are-your-organic-clothes-eco-friendly-and-chemical-free-fraud-rampant-in-india-exports-worlds-largest-cotton-market/

インドのオーガニックコットンの偽装を告発するNYTの記事の抜粋

ファッション業界が持て囃す「オーガニックコットン」表示のほとんどは実際には全くオーガニックではないだろう

2009年にGM綿をオーガニックとして販売していたことが発覚してから政府はデジタル追跡ソフトを導入すると約束したがその約束が果たされることはなかった。

 

-アグロエコロジー「パイオニア」がオーガニックCRISPR作物について主張する

Agroecology 'Pioneer' Makes The Case For Organic CRISPR Crops

By Cameron English — February 21, 2022

https://www.acsh.org/news/2022/02/21/agroecology-pioneer-makes-case-organic-crispr-crops-16143

有機農家はゲノム編集作物を栽培すべきか?アグロエコロジー運動の主導者は「イエス」という-そして環境保護主義者も続く

何年もに渡る研究が有機農業は慣行農業に比べてより広い土地を必要とし生産量が少ない傾向が明示されてきた。しかしこの収量低下は遺伝子組換え作物の栽培で緩和できる。さらに農薬の使用量も減らせる。有機農業運動の中にもそのような主張をする人たちがいてその一人がアグロエコロジー研究所長で有機農業のパイオニアであるUrs Niggliである。彼は近年バイオテクノロジーはブギーマン(子とり鬼)ではないと何度か言っている。Niggliは最近ドイツの新聞r Frankfurter Allgemeine Zeitungに対して世界は有機農業の限界を認識すべきだと語っている:

「我々は白昼夢をみてバイオバブルの中で幸福ではいられない!もし完全に有機農業に変えたら生産性は急減する。するともっとたくさんの食料を輸入し他国に環境負荷を輸出することになる-それは生物多様性にとって壊滅的である。高い生産性と高い環境持続可能性が我々の行くべき道だ。それはオーガニック以上のものである」

高い生産性と高い環境持続可能性はどうやって?ゲノム編集を取り入れることで。この主張は多くの活動家の拒否反応を引き起こすがNiggliはそれが完全に合理的な提案だという。既に「有機認証」されて販売されている多くの作物が突然変異誘発交配で作られたものである。

(以下略。宗教団体内部の宗派争いなので部外者は見ているしかないけれど、どうなるかな。過激派に乗っ取られているから合理的選択はできない可能性が高いのでは。)