2022-03-11

[EU]査察報告

-英国―北アイルランドへの動物および商品の入国に関する公的管理、および北アイルランドの国境管理所のEU条件の遵守

United Kingdom 2021-7347―Official controls on entry of animals and goods into Northern Ireland and verification of compliance of border control posts in Northern Ireland with EU requirements

18/02/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4450

2021年6月21~30日に北アイルランドで実施した、北アイルランドの動物および商品の入国に関する公的管理制度と、国境管理所のEU要件への準拠を検証したリモート査察。北アイルランドの管轄機関に十分な資源(人的・構造的)が確保されていない。税関の管理システムが十分に機能しておらず、管理の対象となる衛生植物検疫(SPS)積送品の特定を妨げ、事業者の義務の実施を弱めている。北アイルランドの指定国境検査所を通して、準拠した動物や商品だけがEUのSPS地域に入るという十分な保証を提供することはできない。この報告書には最も重要な欠点に対処するための8つの提言が含まれている。

 

-ボスニア・ヘルツェゴビナ―生きた動物と動物製品の残留物と汚染物質

Bosnia and Herzegovina 2021-7233―Residues and contaminants in live animals and animal products

10/02/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4449

2021年10月18~22日にボスニア・ヘルツェゴビナで実施した、EU輸出用生きた動物と動物製品の残留物と汚染物質に関する公的管理を評価するためのリモート査察結果。ボスニア・ヘルツェゴビナの残留物モニタリング計画は一般にEU条件に従って計画・実行されている。だが、サンプル調達プロセスによる計画の遅れや、分析を実施する研究室へのサンプルの配達遅延によりこの計画の効果が低下している。試験所は技能試験に参加し、ほぼ満足のいく結果を得たが、特定された欠点は残留物モニタリング計画の試験結果の信頼性を下げた。

 

[BfR]BfRは食品を"pop-it fidget toys"で作らないよう助言する

BfR advises against preparing food in "pop-it fidget toys"

09.03.2022

https://www.bfr.bund.de/cm/349/bfr-advises-against-preparing-food-in-pop-it-fidget-toys.pdf

今、子供達の間で、柔らかい気泡が入っていて押すことのできるカラフルなシリコーン型が大人気である。これらの「プッシュポップ」 (pop-it fidget toys)と呼ばれる玩具は、遊ぶためだけでなく台所でお菓子を焼くのにも使われている。これらのシリコーン型を使って小さなケーキやチョコレートプラリネ、ゼリー、アイスキューブなどの作り方を見せる非常に多くの説明書や動画がインターネット上で広まっている。

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、製造業者が用途として明示していない場合、この種の使用をしないよう忠告している。食品と接触することを意図した素材は玩具よりも様々な(法的)条件を満たす必要がある。市販されているプッシュポップ玩具に関する化学獣医学調査事務所Münsterland-Emscher Lippe (CVUA-MEL)による個別の調査から、一般的にこれらの製品は食品と接触する物質として義務づけられている要件を満たしていないと想定した方がよいことが示された。プッシュポップ玩具が用途に反して食品調理に使用された場合、ヒトの健康を損なう恐れのある物質が食品に移行する可能性がある。

鮮やかな色や多様な形をしたポップバブル玩具は子供達の注目を集めるだけではない。その主な目的によると、シリコーン型は皮膚と接触する玩具である。玩具は、子供達の行動を十分考慮して、意図した予測可能な使用に従って使う際に安全でなければならない。明白に助言されない限り、プッシュポップ玩具での調理は製造業者が意図しない種類の使用となっている。

食品と接触する物質は、その性質上、すでに明確に食品と接触することを意図している場合以外は、「食品接触用」という言葉、それらの用途の具体的な表示、あるいはカップやフォークを象徴するシンボルで表示しなければならない。食品と接触する物質は、通常または予測可能な使用において食品と接触することを意図した、あるいはそのような接触が合理的に予想できる材料のことである。これらの材料は厳しい法的規制の対象となっており、通常または予測可能な使用の対象で、ヒトの健康を危険にさらす可能性のある、食品の組成に許容できない変化をもたらす、食品の匂い、味、食感、見た目を損なうような、どんな物質量も食品に放出してはならない。食品と接触する物質として市販されていない製品を食品の保管や調理に使用すると、ヒトの健康を損なうのに十分な量で有害物質が食品に移行する可能性がある。特に、プラリネを作る際にチョコレートを溶かすのに必要な、あるいはケーキを焼くときのオーブン内などの高い温度では、シリコーンからの物質の移行を促進する可能性がある。

CVUAMELによるシリコーン製の市販のポップバブル玩具の最初の分析で、分析された製品に使用されている素材が、BfRが助言XVで発表した食品と接触するシリコーンの条件を満たしていないため、食品と接触するのに使用するべきではないと示されている。

そのためBfRは、製造業者が明確に該当する製品と表示していなければ、アイスキューブ、プラリネ、アイスの型としてなど、プッシュポップ玩具を不適切に使用しないよう助言している。

BfRのウェブサイトで入手できる食品と接触する物質についての追加情報

BfR ウェブサイト:

食品と接触する物質についてのページ:

https://www.bfr.bund.de/en/health_assessment_of_food_contact_materials-528.html

BfR Recommendation XV for Silicone: https://bfr.ble.de/kse/faces/resources/pdf/150-english.pdf

CVUA-MEL 報告書(ドイツ語):

https://www.cvua-mel.de/images/cvua/news/beitraege/Beitrag_Pop-It_Fidget_Toys.pdf

(プッシュポップとかプッシュポップバブル、無限プチプチとか呼ばれている。プッシュポップで氷を作ってみた、とかチョコレートの型にしたという動画は確かにある)

 

[CDC]2021年には約255万人の学生がタバコ製品を現在使用していると報告

Approximately 2.55 Million Students Reported Currently Using a Tobacco Product in 2021

March 10, 2022

https://www.cdc.gov/media/releases/2022/p0310-student-tobacco-products.html

MMWRに発表された新しいデータによると、約255万人の中高生が過去30日以内にタバコ製品を使用したと報告した

Tobacco Product Use and Associated Factors Among Middle and High School Students — National Youth Tobacco Survey, United States, 2021.

Gentzke AS, et al.

MMWR Surveill Summ 2022;71(No. SS-5):1–29.

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/ss/ss7105a1.htm?s_cid=ss7105a1_w

 

[IARC]IARCモノグラフ129巻:ゲンチアナバイオレット、ロイコゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ロイコマラカイトグリーン、CIダイレクトブルー218

IARC Monographs Volume 129: Gentian Violet, Leucogentian Violet, Malachite Green, Leucomalachite Green, and CI Direct Blue 218

10 March 2022

https://www.iarc.who.int/news-events/monographs-vol-129/

129巻オンライン発表

https://publications.iarc.fr/603

 

[USDA]COVID-19パンデミックの消費者と食品供給チェーンへの影響を調べる

A Look at the COVID-19 Pandemic Influence on Consumers and the Food Supply Chain

Mar 10, 2022

https://www.usda.gov/media/blog/2022/03/10/look-covid-19-pandemic-influence-consumers-and-food-supply-chain

USDAの資金提供で地方企業参画センターCenter for Rural Enterprise Engagementが「COVID-19の教訓:将来のパンデミック、自然災害、人間が原因の危機のための地域の食品供給チェーン」研究を行った。

主な知見は:カテゴリーごとの食品購入はほとんどアメリカ人で一定に維持されていたが食品の入手方法は変化した、配達の方がカーブサイドピックアップ(事前に注文したものを車で取りに行く)より値段や収入の変化に対する反応性は低く、地元食品や店舗への需要は公衆衛生リスクレベルによって変わるようだ。

国や地域の生産者や供給業者はオンライン、配達、カーブサイドピックアップを維持し危機や災害の際にはそれらを拡大できるよう備えるべきである

 

[FAO]世界肥料市場:厳しくなる市場の状況を吟味する

The global fertilizer market: taking stock of a tightening market situation

2022

https://www.fao.org/3/ni280en/ni280en.pdf

肥料価格が上昇していて低所得国では肥料使用が減るだろう。

 

論文

-ソーシャルマーケターはオンライン調査でいかさまをしている、報酬を払うオンライン調査は疑いがある

Social marketers catch cheating on online surveys, casting doubt on compensated internet research

10-MAR-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/946007

Social Marketing Quarterly,に発表されたSouth Florida大学の研究者からの警告

回答者にお金を払う調査でWebカメラを使って顔を記録することに合意を得たにも関わらずあるグループの92人中42人はフェイクで、顔の部分にストックフォトを使ったり異なるIPアドレスで何度も回答したりしていた。オンライン調査を「仕事」とみなしてできるだけ手抜きをして報酬を得ようとする個人がいる

 

-SCIENCE VOLUME 375|ISSUE 6585|11 MAR 2022

COVID-19特集

2020年3月11日にWHOが公式にパンデミックとしてから2年

下水モニタリングの可能性と限界、中から低所得国へのワクチン供給の遅れ、パンデミックの負荷のジェンダー不平等、人獣共通感染症の教訓、疫学(数理モデル)、免疫と免疫病理学、予防接種、パンデミック予防等

 

ニュースを一目で

News at a glance

・大規模COVID-19試験でもう一つの有効な薬を baricitinib

・死の格差がワクチンのパワーを強調

 香港のワクチン躊躇が高齢者の死亡率の高さにつながった(ニュージーランドと比較)

・がんの臨床試験に高齢者を

・細菌が海藻を消化できるようにする

 

パンデミックはいつ「終わる」のか

When is a pandemic ‘over’?

BY MEREDITH WADMAN

WHOはこの厄介な決定に備える

デンマーク、オランダ、英国は既に機能的にはパンデミック終了を宣言している。WHOは世界のどこかで小規模な流行があるときに終わったと言えるのか?

 

アフリカはコントロールできないポリオアウトブレイクと戦っている

Africa battles out-of-control polio outbreaks

BY LESLIE ROBERTS

現在のアフリカのアウトブレイクはポリオ根絶を脅かしている

 

長期加齢研究がベネズエラの破綻の健康影響を描く

Long-running aging study charts health impacts of Venezuela’s collapse

RICHARD STONE p. 1085

ベネズエラの生活水準が適切だった四半世紀前に、コロンビア国境近くの沿岸都市Maracaiboで記憶疾患に関する長期研究Maracaibo Aging Study (MAS)が始まった。55才以上の2453人のアルツハイマー病を調べる目的で1997年に開始された。当初の目的は、アルツハイマー病は主に先進国の病で、ラテンアメリカでは心配ないという説を調べることだった。しかしそうではなかった。米国に比べてアルツハイマー病の発生率は55-65才では2倍、65才以上では50%高かった。そして心血管系健康との関連が明らかになった。

さらに2010年代半ばにベネズエラの経済が急激に悪化してからMASは新たなフェイズに入った。食料や医薬品が不足し米国とベネズエラの関係が悪化し停電が頻発し研究者や参加者や検体が失われた。そしてパンデミックがやってきた

2021年9月の時点でベネズエラの76.6%が「極度の貧困」にある。MASチームは評価の際参加者に無料の食事を提供し、それがデータを歪める可能性がある。

 

その他

-2人が有毒な可能性のある粉末を摂取して保健当局が警告

Health officials issue warning after 2 people consume potentially poisonous powder

Mar 09, 2022

https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/sand-ginger-powder-poisonous-1.6378846

サンドジンジャーパウダーはBurnabyのクリスタルモールの店舗で購入

Wing Hingサンドジンジャー(バンウコン)粉末にトリカブト粉末が含まれる

カナダ・ブリティッシュコロンビア

 

-栄養疫学:全廃 対 現状維持擁護

Nutritional epidemiology: abolition vs defending the status quo

February 26, 2022  by PETER ATTIA

https://peterattiamd.com/nutritional-epidemiology-abolition-vs-defending-the-status-quo/

最近のレビューが栄養疫学の分野の改革を主張し改善方法を助言する

私は栄養疫学研究への軽蔑を隠そうとはしない。その薄弱な方法、測定、解析、報告のどこから問題点の指摘を始めればいいのかわからない。幸いDavid Allisonらが素晴らしいレビューをしてくれた。彼らの助言を紹介する。特に質の改善が必要な4つの分野は、デザイン、測定、解析、実施と報告

(以下略、レビューは)

Toward more rigorous and informative nutritional epidemiology: The rational space between dismissal and defense of the status quo

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10408398.2021.1985427

 

-スリランカでは、有機農業は壊滅的に間違った

Foreign policy

In Sri Lanka, Organic Farming Went Catastrophically Wrong

MARCH 5, 2022, Ted Nordhaus,

https://foreignpolicy.com/2022/03/05/sri-lanka-organic-farming-crisis/

全国実験は悲惨だけを残して破棄された

スリランカでは、経済的人道的危機が深まったため、準備不足だった有機農業実験をこの冬中止した。Gotabaya Rajapaksa大統領は2019年の選挙で10年以内に農業を有機農業に変えると約束して昨年の4月に合成肥料と農薬の輸入と使用を禁止した。結果は残酷で迅速だった。有機農業は慣行農業と同じくらいの収量をあげられるという主張にも関わらず、国内のコメの生産量は最初の6ヶ月だけで20%低下し、それまで自給できていたのに輸入せざるを得なくなった。そして主な外貨獲得源だった茶産業に大打撃を与えた

(被害の詳細略)

災難の始まりは2016年、Rajapaksaの命令によりViyathmagaという新しい市民運動が作られた。Rajapaksaが大統領になると閣僚はViyathmagaのメンバーが指名され、この国の農学者や科学者が排除されごく少数の有機農業推進者が国民代表とされた。注目すべきは長年疑わしい主張をしてきた医学者が入ったことである。それから間もなくCOVID-19が到着し旅行業不振により財政難に陥った。肥料輸入が負担になった。肥料禁止はRajapaksaにとって一石二鳥に見えた。しかし農業にインプットは必要であった。合成肥料なしでは今の人々は生きられない。

有機農業ができるのは世界の収入分布の両極端の二つのグループだけである。一方は極貧で肥料や農薬が買えない人たち、そしてもう一方は金持ちで食べ物が有り余っている人たち。

例えば世界のオーガニックティー市場はたった0.5%で、スリランカの生産量だけでそれ以上ある。もしスリランカのお茶が全てオーガニック市場に出ることになったら、たとえ生産量が半減してもオーガニックティーの価格は暴落するだろう。スリランカの農業を持続可能にするには、自給用としても高付加価値農産物の輸出にしても、エネルギーと栄養を入れる必要がある。そして合成肥料の方が経済的にも環境的にも優れている。

Rajapaksaは政策は失敗していないと主張し続けている。春の農作業が始まり、肥料の禁止は解除されたが農家への補助金は回復していない。そしてRajapaksaはまた別の委員会を作っている。

残念ながら、世界の持続可能な農業ムーブメントの多くが似たようなものだ。スリランカの肥料禁止を推進したインドの活動家Vandana Shiva、Rockefeller財団が資金提供したFood Tankなどは失敗に無言である。そのうち彼らは問題は有機農業ではないと言い出すだろう。

(ところどころ抜粋)

 

-新しいデザイナースーパーフード、紫トマトを見守る

Behold the purple tomato, a new designer super fruit

BY MARK WILSON  03-02-22

https://www.fastcompany.com/90726505/behold-the-purple-tomato-a-new-designer-super-fruit

John InnesセンターのCathie Martinはアントシアニン濃度の高い紫色のトマトを作った。

色の違いが消費者にどう受け取られるか、等

普通のトマトと紫トマトを使った料理の写真

(赤のほうがきれいだけれど慣れるかな?)