2022-03-18

[EFSA]食事中の糖のリスクコミュニケーションのための社会からのヒント

Tips from society for risk communication on dietary sugars

10 March 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/infographics/tips-society-risk-communication-dietary-sugars

2022年2月に発表された食事中の糖の許容上限摂取量に関する科学的意見を支持して、コミュニケーションや関与の洞察を提供するために、EFSAは、2020年10月と11月に全EU27加盟国、ノルウェー、アイスランドの7,469人の市民で調査を実施した。この調査結果*1は、29カ国それぞれの年齢、性別、社会経済的特徴に関する国を代表するものである。

以下の「社会からのヒント」は食事中の糖のリスクコミュニケーションを助言するために作成された。

 

○食品と栄養はコミュニケーションの機が熟した話題

欧州人の4人に3人が食品や栄養に興味がある/非常に興味があると言い、2人に1人は食品や栄養に関する情報を定期的に取り入れている。食習慣にも影響がある―回答者の3人に2人は果物や野菜をより多く食べ砂糖を減らそうとしていて、約半数は食事中の塩と脂肪を減らそうとしている。

・食事中の糖のコミュニケーションは注目を集めやすい―正確な情報を与え、最新の科学的助言を伝えることが重要である。

 

○明確な用語が必須必要

欧州人の少なくとも3人に1人は糖類の用語を理解するのは難しいと思っている.

総糖類

天然糖*2 遊離糖 添加糖

・天然糖、遊離糖、添加糖、総糖類など、消費者が様々な種類を理解できるよう、用語を説明するのに視覚ツールを使おう。遊離糖や添加糖類の摂取をできるだけ少なくする必要がある、とEFSAの科学的意見で述べられているため、これは極めて重大である。

 

○欧州人は砂糖に関連性のあるほとんどの健康問題を認識している

EFSAの科学的意見*3で分析された砂糖に関連性のある健康問題の認知度は高いが、リスク認知は年齢や国により異なる。

・リスク評価の知見は国の固有の問題や認知データと並行して考える必要がある。食事中の糖などの話題は認知バイアス*4の対象になっているため、後者は重要である。

 

○知識と認識は私達がリスクコミュニケーション戦略を立てるのに役立つ可能性がある

・食事中の糖について、最も人気のある情報源、テレビやインターネット通して一般的な助言や説明を伝えよう!

・リスクコミュニケーションで最も信頼できる情報源(そして顔)は科学者と医師である―彼らを食事中の糖のキャンペーンに参加させることを検討しよう!

・知識やリスク認知の少ない聴衆に伝える場合、ソーシャルメディアは役に立つ情報源である。ブロガーやインフルエンサーと関わるとあなたのソーシャルメディアでのプレゼンス存在を高め引き上げることができるかもしれない―核となる価値観を共有する人とパートナーを組んであなたのメッセージを拡散させよう!

 

*1. 調査データの入手先:https://zenodo.org/record/6323326#.YiHQe-jMLD5

*2. この調査は「天然糖」という言葉の理解をテストしなかったが、総糖類に入るのでここに含まれている。

*3. この科学的意見で扱っている健康問題は、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、心血管疾患、虫歯、痛風および妊娠糖尿病を含むがそれに限定されるわけではない。

*4. この調査の認知データから、一部の回答者はどの健康問題も起こるリスクはないと感じている(ポジティブ情報バイアス)ことが示された。リスクがあると過剰に懸念する人達もいる(ネガティブバイアス)。

 

-消費者と食事中の糖に関するEU洞察調査

EU Insights study on consumers and dietary sugars

EFSA Journal 2022;19(3):EN-7213 10 March 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7213

(技術的報告書)

EFSAは栄養と食事中の糖の意識、知見とリスク認知、好ましい情報源と様々な当事者の信頼に関する消費者調査、さらに関係者の視点に関する追加調査を実施した。

調査結果は、食用糖類の耐用上限摂取量の科学的評価案に関するパブリックコメント募集のためのEFSAのコミュニケーションと関与、およびその後の最終発表に情報が提供された。9人の関係者団体の代表者と2人の機関パートナーとのインタビューが定性的洞察のために分析され、EFSAのパートナーや市民社会団体へのアウトリーチの検証と強化に使用された。2020年10月と11月に、EU加盟国、アイスランド、ノルウェーの7,469人の市民(18~76歳)の代表的なサンプルで消費者調査が実施された。知識とリスク認知の指標から導出されたセグメントを用いた定量的データの分析から、一般人へのコミュニケーションのために、オーディエンスの同定、メッセージ、フォーマットとチャネルの選択で重要な改善がもたらされた。国固有のデータと組み合わせて用いた、このテーマのリスクコミュニケーションのためのヒント作りは、EU加盟国、アイスランド、ノルウェーの国の管轄機関のリスクコミュニケーターに利用しやすく包括的な支援を提供した。

 

[EFSA]意見等

-すべての動物種用Corynebacterium glutamicum NITE BP‐01681株で生産したl‐グルタミン酸とL‐グルタミン酸ナトリウム1水和物からなる飼料添加物の安全性と有効性(METEX NOOVISTAGO)

Safety and efficacy of the feed additives consisting of l‐glutamic acid and monosodium l‐glutamate monohydrate produced by Corynebacterium glutamicum NITE BP‐01681 for all animal species (METEX NOOVISTAGO)

EFSA Journal 2022;20(3):7156 10 March 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7156

(科学的意見)

 

-食品と接触する物質に使用するジエチル[[3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネートの安全性評価

Safety assessment of diethyl[[3,5‐bis(1,1‐dimethylethyl)‐4‐hydroxyphenyl]methyl] phosphonate for use in a food contact material

EFSA Journal 2022;20(3):7172 9 March 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7172

(科学的意見)

食品と接触する物質・酵素および加工助剤に関するEFSAのパネル(CEP)は、ポリ(エチレン 2,5‐フランジカルボン酸) (PEF) プラスチックを作るための重合反応に使用されることを意図した、ジエチル[[3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホン酸、FCM 物質 No. 1007の安全性を評価した。この物質はポリマーの骨格の成分になることを意図しており、熱加工中にポリエステルに熱安定性を提供する抗酸化機能がある。その結果生じるプラスチックは、どの時間や気温の条件でも全ての種類の食品と接触するのに使用されることを意図している。この物質の0.1% w/w(意図した最大使用量)を用いて作られたPEFサンプルは、包括的な一連の食品模擬物質での溶出試験で使用された。 この物質の溶出は約10 µg/kgと推定され、定量限界未満だった。溶媒抽出テストからこの物質の不純物や分解生成物はないことが示された。提出された毒性学的データは、同じ申請者が提出し以前に評価されたものと同じだった。その結果得られた評価や結論はCEFパネルにより、まだ有効と見なされた。そのため、CEPパネルは、この物質ジエチル[[3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホン酸は、あらゆる接触条件で、全ての種類の食品と接触することを意図したPEFを作るのに、重合中に最大0.1% w/w (ポリマーの重量に基づき)で使用しても、消費者の安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-HIPP‐Werk Georg Hipp OHG社により乳清タンパク質濃縮物に由来し、加水分解されたタンパク質から製造した乳児用およびフォローアップミルクに使用する、特定のタンパク質加水分解物の栄養に関する安全性と適合性(meyer.science GmbH社が提出した文書)

Nutritional safety and suitability of a specific protein hydrolysate derived from whey protein concentrate and used in an infant and follow‐on formula manufactured from hydrolysed protein by HIPP‐Werk Georg Hipp OHG (dossier submitted by meyer.science GmbH)

EFSA Journal 2022;20(3):7141 9 March 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7141

(科学的意見)

パネルは、評価中のこのタンパク質加水分解物は、使用されるミルクが最低限1.9 g/100 kcalタンパク質を含み、委員会委任規則(EU) 2016/127の組成基準やその添付書類IIIAのアミノ酸パターンに従う限り、乳児用およびフォローアップミルクに使用する栄養的に安全で適切なタンパク質源であると結論した。

 

-遺伝子組換えAspergillus niger NZYM‐BR株由来食品酵素グルカン 1,4 α‐グルコシダーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme glucan 1,4 α‐glucosidase from the genetically modified Aspergillus niger strain NZYM‐BR

EFSA Journal 2022;20(3):7191 9 March 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7191

(科学的意見)

この食品酵素グルカン 1,4 α‐グルコシダーゼ(4‐α‐d‐グルカン グルコヒドロラーゼ, EC 3.2.1.3)はNovozymes A/S社が遺伝子組換えAspergillus niger NZYM‐BR株で生産した。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素にはこの生産生物の生きた細胞やそのDNAはない。この食品酵素はグルコースシロップの生産のためのデンプン加工や蒸留アルコールに使用することを意図している。総有機固形物(TOS)の残留量はグルコース生産中に適用される精製段階や蒸留で除去されるため、食事暴露推定量は必要ないと考えた。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。全身心毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を調べた最大量1,135 mg TOS/kg 体重(bw)/日とした。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、2件の一致が見つかった。パネルは意図した使用条件(蒸留アルコール生産以外)で食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、これが生じる可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルはこの食品酵素は意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

[ヘルスカナダ]カナダ政府は4つのより安全な供給パイロットプロジェクトに追加資金提供を発表

The Government of Canada announces additional funding to four safer supply pilot projects

March 17, 2022

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2022/03/the-government-of-canada-announces-additional-funding-to-four-safer-supply-pilot-projects.html

COVID-19パンデミックが薬物過剰使用危機を悪化させるのに寄与したことは明らかである。パンデミックはカナダの違法薬物供給を悪化させ、過剰使用と死亡率を高くしている。オピオイド危機が始まってからカナダ政府は広範な対策に投資してきたが、本日はさらに有害違法薬物の代わりに処方薬を提供するプロジェクトを拡大するための資金提供を発表する

(大麻の自由化は役に立ってなさそうに見える)

 

[FTC]FTCの電子タバコの販売と広告についての最初の報告書は、若いアメリカ人に影響する憂慮すべき傾向を明らかにする

The Federal Trade Commission’s First Report on E-Cigarette Sales and Advertising Reveals Disturbing Trends Affecting the Health of Young Americans

March 17, 2022

https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2022/03/federal-trade-commissions-first-report-e-cigarette-sales-advertising-reveals-disturbing-trends

2015年から2018年の間に風味つきカートリッジ、ニコチン濃度、大幅値引きが急増し、法定年齢未満の摂取を増やしている可能性が高い

2015年から2018年の間に電子タバコの販売は3億420万ドルから20億6000万ドルに6倍以上になった。この間若者の好むフルーツなどのフレーバーの電子タバコの売り上げが7倍以上に増加し、使い捨て電子タバコ製品のニコチン濃度も増えている。

 

[CPSC]CPSCは消費者の安全を任務に50周年を祝う

CPSC Celebrates 50 Years of Making Consumer Safety our Mission

March 15, 2022

https://www.cpsc.gov/Newsroom/News-Releases/2022/CPSC-Celebrates-50-Years-of-Making-Consumer-Safety-our-Mission

CPSCはアメリカの人々を危険な消費者製品から守るために働いてきた。2022年10月27日で50年を迎える。

 

[CPSC]Reckittは300万ボトル以上の空中グミを傷害のハザードがあるためリコール

Reckitt Recalls More than Three Million Bottles of Airborne Gummies Due to Injury Hazard

March 16, 2022

https://www.cpsc.gov/Recalls/2022/Reckitt-Recalls-More-than-Three-Million-Bottles-of-Airborne-Gummies-Due-to-Injury-Hazard

初めて開封するときに、瓶の中で高まった圧によりキャップとシールが勢いよく外れて怪我をする可能性がある

Reckittはキャップやシールが飛び出した報告70件、そのうち18件が軽い怪我、1件が病院に行く必要のある目の怪我、を受けとった。

(食品だけど容器の問題なので消費者製品?)

 

[CPSC]HD PremierはDigitDotsマグネットボールを飲み込みハザードのためリコール

HD Premier Recalls DigitDots Magnetic Balls Due to Ingestion Hazard

March 17, 2022

https://www.cpsc.gov/Recalls/2022/HD-Premier-Recalls-DigitDots-Magnetic-Balls-Due-to-Ingestion-Hazard

小さな強力磁石ボールのセット。二つ以上を飲み込むと消化管で穿孔などをおこす可能性がある。

4人の子どもがDigitDotsを飲み込んで、とり除くために手術が必要だった。さらにCPSCによると他社の強力磁石を飲み込んで手術が必要になった報告があり2人死亡している。

 

[CDC]成人のタバコ製品使用-米国、2020

Tobacco Product Use Among Adults — United States, 2020

MMWR Weekly / March 18, 2022 / 71(11);397–405

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7111a1.htm?s_cid=mm7111a1_w

2020年、米国成人の19.0%が何らかのタバコ製品を使っていた。最もよく使われていたのはタバコで12.5%、次いで電子タバコ3.7%。

 

その他

-レビュー:がんの早期発見

Early detection of cancer

DAVID CROSBY et al.,

SCIENCE • 18 Mar 2022 • Vol 375, Issue 6586

多くの種類のがんは進行してからみつかり、治療の選択肢が限られ予後が悪い。早く見つけることができれば生存率を改善できるがこのアプローチにも過剰診断と過剰治療の可能性を含む課題がある。このレビューでCROSBYらはがんの早期発見の重要性とスクリーニング検査で検出できる発がんの早期イベントをより良く理解するために乗り越える必要のある主な課題について議論する。

 

-ワイト島がグリホサートに戻る良い理由

Good reason for Isle of Wight to return to glyphosate

17th March

https://www.countypress.co.uk/news/19985543.good-reason-isle-wight-return-glyphosate/

昨年の試みで、手での除草はお金がかかり労働がきつくさらに効果がないことがわかった。道路や歩道に雑草が茂り舗装にヒビが入り移動の障害になるだけでなく高くつくダメージが与えられた。激しい労働で除草しても根は生きているのですぐに生える。今年は既に生え始め、舗装のヒビが拡大するだろう。費用対効果の高い除草は系統的な除草剤の使用だけだ。

 

-ランベスを花盛りにしよう-グリホサートフリーになろう

Letting Lambeth bloom – going glyphosate free

9 March 2022 Written by: Lambeth Council

https://love.lambeth.gov.uk/weeding_polinating/

ランベス評議会は道路の雑草管理にグリホサート使用を終わらせようとしている。今年初めて除草剤を散布しない春の準備をしている。毎年道路を雑草一杯にして、同時に望ましくないものは道路掃除人が対応して、ミツバチや蝶を増やす。

 

-過剰診断と過剰治療を避けて必要な医療を受ける方法

How to avoid overdiagnosis and overtreatment and get the health care you need

ABC Health & Wellbeing / By Anna Salleh

https://www.abc.net.au/news/health/2022-03-17/how-to-avoid-overdiagnosis-and-overtreatment-prostate-cancer/100911564

時に検査は良いことより害の方が大きい

ベストの医療を受けるには医師と患者が協力して不必要な検査や治療を減らす必要がある。あなたの医師に以下の質問をしよう

・私にはその検査や治療は本当に必要ですか?

・リスクは?

・もっと安全でシンプルな選択肢はありますか?

・もししなかったらどうなりますか?

・コストはどのくらい?

(一般向け健康記事で過剰診断と過剰治療をとりあげるABC)

 

-培養肉は「純粋科学」か100万ドルの詐欺か?

Is cultured meat ‘pure science’ or a billion-dollar con?

By Megan Tatum14 March 2022

https://www.thegrocer.co.uk/future-of-meat/is-cultured-meat-pure-science-or-a-billion-dollar-con/665494.article

最初の実験室で育てたバーガーが発表されてから約10年が経ったが、商業販売されているものはない。しかしお金の流入は止まらない

(長い記事)

 

-EUグリーン政策が再びテーブル上に

EU Green Policies Back On The Table

MARCH 11, 2022  Bill Wirtz

https://www.theamericanconservative.com/articles/eu-green-policies-back-on-the-table/

欧州グリーンディールはエネルギーと農業を大改革するはずだった。今や欧州はそんな余裕はない

(欧州議会はまだ認めてなかったような。)

 

-科学ではなく人々が、パンデミックの終わる時を決める

Scientific American

People, Not Science, Decide When a Pandemic Is Over

By Tanya Lewis on March 14, 2022

https://www.scientificamerican.com/article/people-not-science-decide-when-a-pandemic-is-over1/

1918インフルエンザパンデミックの歴史家がCOVIDの将来がどのようなものになるかの教訓を議論する

全てのパンデミックは最終的には終わる。しかし厳密にCOVID-19パンデミックが真に「終わる」のはいつなのかどうやって知るのだろう?その答えは疫学というより社会学にあるだろう。パンデミックがエンデミックに変わるのはヒトの行動による。