2022-04-22

[HK]ニュースレター

Food Safety Focus

20 Apr 2022

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html

掲載項目

 有機食品と食品の安全性            

Organic Food and Food Safety

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_189_01.html

人気の高まりとともに、様々な種類の有機食品が多くの小売店で入手できる。新鮮な野菜、米、穀物、肉、加工食品などに及んでいる。消費者の個人の価値が有機食品やその選択に影響を与えている。例えば、環境や動物の福祉への関心から有機食品を選ぶ人もいるし、有機食品を摂取することが残留農薬や添加物などの合成化学物質の摂取を最小限にする方法だと信じている人もいる。

図1:香港では多くの種類の有機食品が手に入る。

国連の食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は、有機農業を、生物多様性・生物的サイクル・土壌生物活性など農業生態系の健全性を促進し強化する総合的な生産管理システムと定義している。地域の状況を考慮して、農場外からのインプットよりも管理を重視している。これは、合成素材を使用するのとは対照的に、可能であれば農学(輪作など)、生物学(堆肥化や生物的害虫管理など)、機械 (耕うんなど)的手段を用いて、システム内で特定の機能を満たすことで達成される。

生産管理システムの要件に入念に従っていることを保証するために、認証団体が任命した検査官が検査や査察を実施しに農場や生産施設を訪問する。結果として、「有機」として販売されている食品は、消費者が簡単に確認できるように、通常包装上に認証団体による有機表示をつけている。包装上の有機表示を確認することで、国内生産か輸入品かを問わず、購入したものが有機であることを確認しやすくしている。

有機食品:それは安全?

FAOは、有機農業が、環境・動物の福祉・消費者の好み・小規模農家の収入と食糧安全保障に利益をもたらす可能性があるが、食品安全の保証ではないことも指摘している。有機農業とは生産を通して特定の生産管理基準に従うことだが、食品安全システムではない。植物から抽出される農薬が有機食品に使用される可能性があり、化学物質や微生物汚染は除外できないし、環境やヒトなどによる微生物汚染が起こる可能性もある。有機食品と従来の食品の主な違いは、生産、加工、取り扱い方法にある。有機食品は従来の生産方法で生産した他の食品と同じ食品安全基準を満たす必要がある。一般的に、有機農法と従来型の農法は、適切な農業慣行を用いれば、どちらも安全な食品を生産できる。

 

穀物中の昆虫及び昆虫片           

Insects and Insect Fragments in Cereals and Grains

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_189_02.html

シリアルや穀物はココクゾウムシなど害虫の侵入を受けやすい農産物である。これらの昆虫は、米、トウモロコシ、小麦、オート麦、大麦などの穀物や穀類、および麺やパスタなどの穀物製品に見つかる可能性のある異物である。収穫前や保管中に侵入される可能性があり、生産ラインにもたらされる可能性もある。食品加工中に肉眼では見えないくらい細かく砕かれる可能性もある。

昆虫のかけらが混入した食品は消費者に魅力的に見えないかもしれないが、食品機関は通常それらを、ヒトに明らかな健康ハザードをもたらさない天然の避けられない物質とみなしている。ココクゾウムシなどの昆虫は、ヒト、ペット、家具、洋服に無害である。噛みついたり刺したりしないが、侵入した穀類に損傷を与える。

一般に、穀物昆虫は水分含有量の少ない穀類では生き延びられない。侵入品に対処する際に温度管理が使用できる。例えばココクゾウムシは、侵入品を60°Cで1時間加熱したり、0°Cで一週間冷凍することで死滅できる。とはいうものの、製造業者は侵入の機会を減らすために、穀物製品の保管と加工の間の時間を短くするなど、絶えず優良製造規範に従う必要がある。消費者は、包装が無傷ではない侵入の形跡のある製品の購入は避けたほうが良い。購入後は密封の頑丈な容器に入れ、涼しく乾燥した場所で穀物製品を保管すること。消費に適さないほど損傷していたら、その穀物は廃棄すること。

図2:ココクゾウムシ(Sitophilus oryzae) (食品・環境衛生部門害虫管理諮問委員会の好意による)

 

生鮮食料品輸入の緊急措置としての海路開通

Opening of Sea Route as a Contingency Measure for Import of Fresh Food

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_189_04.html

香港の生鮮食品の主な供給源は中国本土である。今年2月にCOVID-19パンデミックで影響を受けた中国本土からの陸路経由での食品の輸入に関して、食品安全センター(CFS)は、新Yau Ma Tei 公共貨物作業場、Kwai Chung 税関、Cheung Sha Wan 食品卸売市場、香港国際ターミナル、Kwai Tsing 貨物ターミナルの現代ターミナルの5か所の暫定食品検査チェックポイントを迅速に設定することで、海上ルートの生鮮食品の輸入開始を全面的に支援した。輸入書類の現地調査のためにCFSの下に特別委員会を結成し、リスクベースの原則で検査用サンプル収集も行った。

2022年2月19日以降、野菜、果物、卵、肉、家禽肉は、欠かせない新鮮な農産物の毎日の市場供給を維持するために、Guangzhou Panyu Lianhuashan 港、Shenzhen Yantian 港、 Shenzhen Dachan 湾、 Shekou貨物ターミナル、Nansha 新港およびQingdaoから香港に海上ルートで出荷されている。

食品委託品の円滑で迅速な販売を促進するために、輸入業者は到着の2日前にすべての委託品の到着報告書と関連輸入文書をCFSに提出するよう助言された。従来の物理的文書提出方法とは別に、輸入業者はフードトレーダーポータルを通して迅速なオンラインモードを利用するよう推奨されている。取引の詳細手配は関連するリーフレットを参照したり、24時間質問ホットライン2708 9591に電話してください。

CFSは、水運の発展とは別に、計画中の鉄道ルートの輸送促進や陸上輸送の手配を改善する様々な手段の実行も積極的に支援している。

図3:暫定食品検査チェックポイントの1つで食品検査を実施するCFS職員

 

[Defra]あなたのペットをウクライナから英国に連れてくる

Bringing your pet to the UK from Ukraine

Last updated 21 April 2022

https://www.gov.uk/guidance/bringing-your-pet-to-the-uk-from-ukraine

ガイダンス。

(主に狂犬病対策。細かい。)

 

[UK HSA]子どもの肝炎増加調査

Increase in hepatitis (liver inflammation) cases in children under investigation

Last updated 21 April 2022

https://www.gov.uk/government/news/increase-in-hepatitis-liver-inflammation-cases-in-children-under-investigation

さらに34症例同定して合計108。そのうち8人が肝移植を受けた。

COVID-19ワクチン接種者は一人もいない

77%はアデノウイルス陽性

 

[RIVM]報告書

-1990–2020のオランダの温室効果ガス排出

Greenhouse gas emissions in the Netherlands 1990–2020

2022-04-21

https://www.rivm.nl/publicaties/greenhouse-gas-emissions-in-netherlands-1990-2020

 

-農業からの排出計算方法論。農業のための国の排出モデル(NEMA)を使ったメタン、アンモニア、亜酸化窒素、窒素酸化物、メタン以外の揮発性有機化合物、微小粒子、二酸化炭素排出

Methodology for the calculation of emissions from agriculture. Calculations for methane, ammonia, nitrous oxide, nitrogen oxides, non-methane volatile organic compounds, fine particles and carbon dioxide emissions using the National Emission Model for Agriculture (NEMA)

21-04-2022

https://www.rivm.nl/publicaties/methodology-for-calculation-of-emissions-from-agriculture

 

-消費者による製品使用、建設、サービスによる排出の計算方法

Methodology for the calculation of emissions from product usage by consumers, construction and services.

2022-04-21

https://www.rivm.nl/publicaties/methodology-for-calculation-of-emissions-from-product-usage-by-consumers-construction-3

 

-エネルギー、産業、廃棄物部門の排出の計算方法

Methodology for the calculation of emissions to air from the sectors Energy, Industry and Waste

2022-04-21

https://www.rivm.nl/publicaties/methodology-for-calculation-of-emissions-to-air-from-sectors-energy-industry-and-waste

 

[ProMED]食中毒-ペルー:(HUAMANGA)致死、殺虫剤疑い、情報求む

Foodborne illness - Peru: (HM) fatal, insecticide suspected, RFI

2022-04-22

https://promedmail.org/promed-post/?id=8702763

Date: Wed 20 Apr 2022 Source: Printveela [edited]

ペルーの葬儀で汚染食品を食べて少なくとも9人が死亡、数十人が病気になった。

ペルーの南アンデス地域Ayacuchoで2022年4月18日月曜日に会葬者に提供された食品から保健省の初期検査で殺虫剤が検出された。正確な汚染物質を決めるために検体が採取された。病気になったのは合計52人で、死亡したのは12才から78才。

(症状の記載は無く何が原因かわからない)

 

論文

-何故保存した亜麻仁油は苦いのか-そしてどうすればいいのか

Why stored linseed oil tastes bitter -- And what you could do about it

21-APR-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/950389

ミュンヘン工科大学の科学者チームがJournal of Agricultural and Food Chemistryに発表。亜麻仁油は他の植物油よりオメガ3脂肪酸が多く比較的速やかに不快な苦い異臭を生じる。酸化した脂肪酸以外に環状ペプチド(cyclolinopeptide)が苦味に関与することが報告されている。科学者らは新鮮な亜麻仁油と室温で8ヶ月保存した亜麻仁油の各種酸化産物含量を測定した。保存した油に相当量含まれるのはスルホキシドを含むクラス4シクロリノペプチドで、これが苦味受容体TAS2R14を強く活性化することを報告した。コノペプチドの少ない品種を使うなどして含量を減らせば品質が良くなる可能性がある。

 

SCIENCE VOLUME 376|ISSUE 6591|22 APR 2022

-ニュースを一目で

News at a glance

・EPAがホルムアルデヒドの警告を強化

長く待たれていたホルムアルデヒドの健康影響評価が終わり、これまでより大きながんリスクがあると結論した。規制強化につながる可能性がある。12年前の評価案ではEPAはホルムアルデヒド暴露は白血病やその他のがんのリスク増加と関連するとし、業界と議員から反発されていた。新しい案では骨髄性白血病のリスクがさらに大きくなった。普通ではないがNASEMがレビューを行う。もしホルムアルデヒドが正式に発がん物質と分類されるとEPAはTSCAにより使用制限を強化できる。

 

IRIS Toxicological Review of Formaldehyde-Inhalation (Interagency Science Consultation Draft, 2021)

https://cfpub.epa.gov/ncea/iris_drafts/recordisplay.cfm?deid=353316

(アメリカでは現在ホルムアルデヒドの吸入が発がん性と認められていないんだ?そっちの方が驚き)

 

-突然変異がん細胞にさらに変異を導入する驚くべき戦略でがんと闘う

Surprising strategy would fight mutant cancer cells by making more mutations

19 APR 2022 BYJOCELYN KAISER

新たなDNAエラーを誘発する化学療法が腫瘍への免疫系を解き放つのに役立つかもしれない

 

-漁網の遠くまで届く進化影響

A long evolutionary reach for fishing nets

NINA OVERGAARD THERKILDSEN AND MALIN L. PINSKY

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • pp. 344-345

今週号の論文で、漁業が過去40年の大西洋サケの迅速な適応進化につながっている可能性を示唆した。

 

-安全性メッセージはどのくらい安全か?

How safe are safety messages?

GERALD ULLMAN AND SUSAN CHRYSLER

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • pp. 347-34

高速道路の交通事故による死者数の表示のようなメッセージの有効性について厳密に評価したところ、予想に反して死者の数の表示された下流では事故が増加していた。

 

-がんの体細胞突然変異を新たな目で見直す

A fresh look at somatic mutations in cancer

DÁVID SZÜTS

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • pp. 351-352

腫瘍のゲノムDNA配列決定は突然変異のプロセスについて膨大なデータを提供する。今週号でDegasperiらがヒトのがんの体細胞塩基置換変異のパターンの包括的解析を提示した。

 

-病気における反復DNA配列

Repetitive DNA in disease

KATHLEEN H. BURNS

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • pp. 353-354

トランスポゾンのがん誘発作用は明らかだが他の各種病気にも関係している可能性がある

(遺伝子組換え反対!の人たちって自分のDNAがトランスポゾンやウイルスで組換えられつづけていることについてはどう思っているんだろう?)

 

-政策フォーラム

将来の化学兵器の脅威に対抗する

Countering the future chemical weapons threat

TUAN H. NGUYEN

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • pp. 355-357

 

-グリーンエネルギーがチリのMagallanes地方を脅かす

Green energy threatens Chile’s Magallanes Region

HERALDO V. NORAMBUENA et al.,

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • pp. 361-362

渡り鳥のルートでの風力発電などを含む大規模プロジェクトが生態系と景観に法外な影響を与える可能性がある

 

-ブラジルの農薬法は世界を中毒にする可能性がある

Brazilian pesticides law could poison the world

LAÍS CARNEIRO et al.,

SCIENCE • 21 Apr 2022 • Vol 376, Issue 6591 • p. 362

ブラジル議会が現在の農薬規制を緩和する法案に間もなく投票を行う。新製品の登録に時間がかかりすぎることを理由に評価と認可のプロセスから健康と環境機関を排除する提案である

 

Natureコメント

ウクライナの戦争が何百万人もを栄養不良に陥らせる前に、今行動を

Act now before Ukraine war plunges millions into malnutrition

21 April 2022 Saskia Osendarp et al.,

https://www.nature.com/articles/d41586-022-01076-5

政府、篤志家その他は急性の食料不足を予防するとともに、現在と未来の世代を壊滅的な栄養不良の影響から守るためにさらに対応を強化しなければならない

必要な5つの対応

・栄養入手に影響する貿易制限を止める

・社会保護計画の継続や実施

・国の栄養予算保護

・既に実施されている関与を讃える

・人道支援にさらなる資源を

 

その他

大計画:我々は学術論文を一掃すべきか

The big idea: should we get rid of the scientific paper?

Stuart Ritchie Mon 11 Apr 2022

https://www.theguardian.com/books/2022/apr/11/the-big-idea-should-we-get-rid-of-the-scientific-paper

この形式は時間がかかり、誇大宣伝になりやすく、修正が困難である。出版の過激な見直しで科学をより良いものにできる

最後に論文を見たのは何時?物理的なものを。今や圧倒的大部分がインターネットで読んでいる。紙の雑誌は滅多に見なくなった。しかしシステムはほとんど変わっていない。これに問題がある。変えられる可能性はある。学術論文を排除してインターネット上の「ノートブック」に特定の研究の結果を報告するシステムを提案する。誰でも閲覧できて全ての工程をオープンにして更新は全て公開で記録される