[ASA]ASA報告:子どもの年齢制限テレビ広告への暴露は減少中
ASA report: Ongoing decline in children’s exposure to age-restricted TV ads
12 May 2022
全てのテレビ広告への子どもの暴露は過去10年で約2/3減った
TVでのギャンブルとアルコールの広告への子どもの暴露は10年で相当減った。
以下地域毎の詳細等
[ASA]助言
オーガニック:動物福祉
Organic: Animal welfare
11 May 2022
https://www.asa.org.uk/advice-online/organic-animal-welfare.html
有機農法に関するどんな主張もどのような基準が採用されているかを明確にし特定のシステムのベネフィットを誇大に宣伝してはならない。
販売業者は有機畜産動物が実際以上に良いと主張してはならず、根拠を超えた主張にならないように注意すべきである。
絶対的主張は根拠が必要である。ある広告では有機農法のウシは乳腺炎にならないと主張していたがその根拠を提供しなかったためにASAは誤解を招くものと判断している
有機農法で環境上の主張をしたい業者はガイダンスを呼んでその根拠を確保するように。「有機農法」だけでは環境上のベネフィットの根拠には十分ではない。
(オーガニックから誇大広告を排除したら何も残らないので)
[ANSES]化学物質リスク評価を改善するための欧州研究革新PARC計画開始
Launch of the European research and innovation PARC programme to improve chemical risk assessment
11/05/2022
本日パリで始まった化学物質リスク評価のための欧州パートナーシップ(PARC)は、ヒト健康と環境の両方を「ワンヘルス」として取り入れた次世代化学物質リスク評価開発を目指す。
またEUの持続可能性のための化学物質戦略と欧州グリーンディールの「汚染ゼロ」野心を支援する。ANSESが調整し欧州委員会のHorizon Europe研究革新枠組み計画と参加者から資金提供を受ける。
[NASEM]パンデミック後の世界に向かって 現在と未来のためのCOVID-19の教訓
ワークショップの概要
Toward a Post-Pandemic World: Lessons from COVID-19 for Now and the Future
PROCEEDINGS OF A WORKSHOP
(2022)
2021年に開催された二つのワークショップの概要
論文
-欧州科学会議-農薬を使わない農業に向けて-6月2&3日ディジョン(フランス)
European Scientific Conference – Towards Pesticide Free Agriculture – 2 & 3 June, Dijon (France)
11-MAY-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/952385
欧州グリーンディールの目標を達成するには新しいアプローチが必要である。フランスはそのために既存の価値基準を打ち砕く研究戦略とパラダイムシフトを推進する
このハイレベル会議では農薬削減に関連した以下のテーマを扱う
・作付けシステム
・新たな品種の遺伝学と交配
・生物にヒントを得た作物の健康管理
・農業食料システム転換
・農薬フリーの多年生作物に向けて
・農薬フリー農業への転換のための公共政策
(遺伝子組換えとは言わないんだ。スリランカから学ぶこともないらしい、お金持ちだからね)
-子どもの突然変異の増加は父親精子での間違いに遡れる
Increased mutations in children can be traced back to mistakes in father’s sperm
11-MAY-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/952205
Nature
子どもの突然変異率が高い、ハイパー突然変異として知られる希な事例は、父親が化学療法を受けていたことに関連する可能性がある
-新しいメタ解析によると、妊娠中の健康的な食事は非白人欧州集団の妊娠糖尿病発症リスクに影響しないかもしれない
Healthy diet in pregnancy might not impact risk of developing gestational diabetes in non-White European populations, according to new meta-analysis
11-MAY-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/951651
RCTでは関連は見られない
コホート研究では欧州白人では健康的な食事がリスク削減と関連し、不健康な食事がリスク増加と関連する。欧州白人以外では適切な検出力がある場合ですら一貫した影響は見られない
文化毎に適切な食事の評価ツールの報告が一様ではないことが不確実性を上げている
(普通に欧米人のいう「健康的食事」の定義が他の文化にはあてはまらないだけだと思う。)
-よりフルーティーでフローラルなチョコレートの作り方
Nature
How to make a fruitier, more floral chocolate
05 May 2022
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01225-w
チョコレートの特徴的味を作るためには、新鮮なカカオ豆を収穫後すぐに発酵させる。あるいはモイストインキュベーションと呼ばれる技術では、未発酵乾燥カカオニブを酸性水で戻して3日間暖める。スイスチューリッヒ応用科学大学のIrene Chetschikらはモイストインキュベーション法を開発してその最終チョコレートの風味への影響を調べた。インキュベートで作ったチョコレートには麦芽臭のするアルデヒド化合物が多く、発酵チョコレートはロースト臭のピラジン化合物が多かった
Agric. Food Chem. 70, 4057–4065 (2022).
その他
-「消費者はついにある種の現実に気がついた」:フランスでインフレと食料危機で有機農産物の販売が減った
‘Consumers have finally become aware of certain realities’: Rising inflation and food crisis have cut organic produce sales in France
May 9, 2022 Armand Paquereau
フランス語の記事の一部英訳
燃料、ガス、食品の価格上昇が家庭の予算に影響している。グラフに示すように有機製品の購入が減少している。メディアの有機産物の誇大宣伝にもかかわらず、消費者はついにある種の現実に気がついた。特に、慣行栽培の農産物同様、病気や捕食者からは守られなければならない
(値段が上がれば無理して買ってた層から順に離れていくのは当然)
-プラセボの科学がインチキを利している
The science of placebos is fueling quackery
By Fabrizio Benedetti 03.03.2022
https://knowablemagazine.org/article/society/2022/science-placebos-fuelling-quackery
プラセボ効果は現実的なものである。そのため最新科学を金儲けのために悪用する人々には倫理上の難問がある
プラセボ効果は驚くほどでプラセボの科学の進歩は興味深い。しかし残念な帰結として、金儲けが目的の人にも新たな武器を与えてしまった。もはや提案する治療法の有効性を示す必要はない、効果があると言い張るだけでいいのだ。私の知る限りプラセボは治癒はしないがQOLを上げる。プラセボは訓練で効果を得ることができ、プラセボだと知っていても効果がある。だから詐欺師の「この製品で痛みが和らぐ」という主張は必ずしも嘘ではない。
プラセボ効果について倫理的に危険な社会にしないためにはどうすればいいか?教育、コミュニケーション、正直、がベストだろう。患者と医師はプラセボで何ができて何ができないかを知る必要がある。
研究と医学コミュニティは医薬品や治療法の有効性についてより透明性が求められる。例えば多くの市販薬は有効性が疑わしい。誠実さこそが患者の信頼を上げるだろう。
(確かに一般用医薬品に有効性が疑わしいものは結構ある。)
おまけ
市販弁当や冷食が多い妊婦、死産と関連か 名古屋市立大研究チーム
(毎日新聞、2022年5月11日)
https://mainichi.jp/articles/20220511/k00/00m/040/127000c
エコチル調査の約10万組の親子のデータを用い、妊婦の調理済み食品の摂取頻度と妊娠帰結(死産、早産、SGA、低出生体重)との関連について解析した論文が、令和4年2月20日に栄養学分野の学術誌「Nutrients」に掲載されました。
https://www.env.go.jp/chemi/ceh/news/10904194000.html
毎日新聞の報道では和文抄録と報道発表記事には記載のないビスフェノールAをとりあげていて、成果の②であるコーヒーや茶類の摂取の方は無視している。消費者にとって役立つ情報は省略されたほうだろう。
BPAについては論文(https://www.mdpi.com/2072-6643/14/4/895)のdiscussionで著者が言及しているが、弁当の使い捨て容器にポリカーボネートを使っているものなどほとんどないだろうから的外れ。ついでにBPAのEFSAによるTDIも2009年の文献を引用していて(0.05 mg/kg b.w./day) 2014年の改訂すら反映していないので(現在EFSAのTDI 0.04 nanograms /kg b.w./day)、本当にこの分野の最新情報をフォローしているとは思えず査読もちゃんと仕事していない。そもそもエコチルではBPA測定しているはずなのでそんな根拠のないスペキュレーションを述べる必要はない。
また半数以上から7割の妊婦さんが弁当も冷凍食品もコンビニ食品も缶入り飲料もお茶やコーヒーも最も摂取していない群に入るということに注目すべき(こういう極めて偏った分布の統計処理には別途疑問があるけれど)。これ以上妊婦さんを脅かす必要はない。数パーセントの、出来合いのものに頼らざるを得ない人に必要なのは手作りしろとかいう脅迫ではなく支援だろう。