[BfR] 細胞はマイクロプラスチック、ナノプラスチックにどう反応するのか?
How do cells react to micro- and nanoplastics?
11.07.2022
プラスチック粒子は小さければ小さいほど、細胞に取り込まれやすい。さらに、形状、表面及び化学的特性は、粒子がヒトの組織にどのような影響を及ぼすかという疑問の答えとして重要である。以下は、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の研究者による研究結果で、学術誌『Microplastics and Nanoplastics』に発表された。研究プロジェクトの責任者のHolger Sieg博士は、「『ナノプラスチック』の健康への影響というテーマについて、まだかなり大きい知識のギャップを埋めるのに役立てばと思う。しかし、これは細胞培養を用いた実験室での実験であり、単純にヒトにあてはめることはできない。」と述べる。
研究内容は以下:https://microplastics.springeropen.com/articles/10.1186/s43591-022-00036-0
プラスチック粒子は、ポリマー材料の風化や劣化、自動車のタイヤや衣服の摩耗及びその他多くの原因から環境に入り込む。その結果、さまざまな種類のマイクロプラスチック粒子を吸い込んだり、飲み物や食べ物と一緒に摂取したりする可能性がある。
現在の知見によれば、マイクロプラスチックはヒトの健康に対するリスクが比較的低いと考えられている。その大きさは1マイクロメートル(1メートルの百万分の1、単位μm)から5ミリメートル(1メートルの千分の1、単位mm)であり、ある程度ヒトの細胞に吸収され、体内に分布するには「巨大」すぎる。また消化が悪く、大部分が排泄される。
ナノプラスチックは細胞の中に入ることができる
より小さな粒子であるサブマイクロプラスチック及びナノプラスチックでは状況が異なる。これらの粒子の大きさは1ナノメートル(1メートルの10億分の1、単位はnm)から1000ナノメートル(1マイクロメートルに相当)の間である。これがヒトの体内に入るかどうか、またどの程度の量かは、まだはっきりとはわかっていない。
Holger Sieg博士のチームは、サブマイクロメートル及びナノサイズのプラスチック粒子と、それらがヒトの小腸と肝臓の細胞に与える影響について研究した。これらの粒子は非常に小さく、ヒトの組織への影響について信頼できる知見を得ることは容易でない。BfRのチームはさまざまな顕微鏡検査や試験方法を用いて、プラスチック製の食器やカトラリーあるいは食品包装に使用されているさまざまな種類のプラスチックを、細胞に暴露した。
腸粘膜はわずかな微粒子しか吸収しない
粒子が小さいほど、より多く吸収されることが分かった。粒子のタイプも重要である。腸内容物と生体との間の天然バリアとしての小腸細胞は、抵抗性であることが証明された。マイクロプラスチックは細胞内にわずかに「浸透」しただけである。一方、サブマイクロメートル範囲の小さな粒子は、腸や肝臓の細胞でより多く測定できた。粒子は細胞膜に直接付着するか、エンドサイトーシスのプロセス程で細胞膜の小さな気泡の中に閉じ込められた。
このような人工的な含有物が細胞の正常な代謝を阻害するかどうかはまだ明らかではない。また、プラスチック粒子は潜在的に有害な物質と結合し、細胞内に侵入する可能性もある。サブマイクロメートルやナノサイズのプラスチックがもたらす影響として、例えば炎症への影響などが議論されている。その程度については今後の研究で調査されるだろう。
[FSA]ターメリック調査
Turmeric survey
14 July 2022
https://www.food.gov.uk/node/10191
ターメリック調査に関する最終報告書。
(COT参照)
[FSA]食品表示に対する消費者の反応:迅速なエビデンスレビュー
Consumer Responses to Food Labelling: A Rapid Evidence Review
14 July 2022
https://www.food.gov.uk/our-work/consumer-responses-to-food-labelling
FSAは消費者が食品選択のために食品表示を使用するか、どう使用するかを理解するため、食品表示に関する消費者の見解に関する迅速なエビデンスレビューを委託した。結果、食品表示だけでは消費者行動に実質的変化をもたらす可能性は低いことが分かった。
[FSAI]食品組成変更タスクフォース、3つの新たな報告書を発行する
Food Reformulation Task Force Publishes Three New Reports
Thursday, 14 July 2022
https://www.fsai.ie/news_centre/food_reformulation_taskforce_14072022.html
アイルランドにおける食品組成変更のための優先的な食品カテゴリー報告書、食品組成変更優先食品分類の栄養特性の報告書、栄養基準値の設定と進捗状況の評価方法に関する技術報告書。
[FSAI]リコール
-未承認農薬であるエチレンオキシド検出のためLucky Me Instant Noodlesをさらに追加リコール
Recall of Further Batches of Lucky Me Instant Noodles due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide
Wednesday, 13 July 2022
https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/additional_lucky_me_noodles.html
タイ産Lucky Me Instant Noodlesに、未承認の農薬であるエチレンオキシドが含まれていたため、さらに追加リコール。製品写真あり。
-安全でない濃度のデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の存在のため特定のCBD及びヘンプオイル製品のリコール
Recall of Certain Batches of CBD and Hemp Oil Products Due to the Presence of Unsafe Levels of Delta‐9‐tetrahydrocannabinol (THC)
Thursday, 14 July 2022
https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/cbd_and_hemp_oils.html
NaturesPlus、uHemp及びEmerald Farmのカンナビジオール(CBD)とヘンプオイルは、安全でないレベルのデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれているため、リコール。製品写真あり。
[FDA]プレスリリース
-FDAは輸入乳児用調製乳製品に対する信頼性を高めるため、保護者向け教育資料を提供する
FDA Provides Educational Resources for Parents and Caregivers to Support Confidence for Imported Infant Formula Products
July 14, 2022
米国食品医薬品局(FDA)は、米国に持ち込まれる数億本分の輸入粉ミルクの使用について質問がある保護者や介護者向けに、教育資料を提供することを発表した。
- FDAは食品分析のための試験所認定プログラムにおいて認定された認定機関の公開登録を発表した:試験所は現在申請可能
FDA Releases a Public Registry of Recognized Accreditation Bodies under the Laboratory Accreditation for Analyses of Foods Program: Laboratories May Now Apply
July 12, 2022
FDAは、LAAF(食品分析のための試験所認定)プログラムのもと、6つの認定機関を承認したことを発表した。
-乳児用調製乳の供給
Infant Formula Supply
7/14/2022
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/infant-formula-supply
FDAは乳児用調製乳の供給に関して再度情報提供する。
-FDAは食品の腐敗と汚染を防止する
FDA Guards Against Food Spoilage, Contamination
7/12/2022
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/fda-guards-against-food-spoilage-contamination
FDAは腐敗したシーフードを除去し、汚染物質を排除する取り組みに関して情報提供。
-有害事象報告の調査:French Lentil & Leek Crumbles (2022年6月)
Investigation of Adverse Event Reports: French Lentil & Leek Crumbles (June 2022)
07/14/2022
2022年6月28日時点での有害事象報告と消費者苦情が133件だったのが7月14日時点では277件になっている
原因はまだ同定されていない
(会社の発表だとウイルス、カビ毒、よくある病原体、アレルゲン、農薬類は全て原因ではない、らしい
Updates on our voluntary recall of French Lentil + Leek Crumbles
Updated as of July 12, 2022
https://www.daily-harvest.com/content/french-lentil-leek-crumbles-advisory#
冷凍スーパーフードスムージーやスープのサブスクリプション、という事業なので日本だと宅配青汁みたいな?普通に料理で食べていたら問題無いものでも肝障害になる可能性は高くなりそうな食べ方。一般論としてこの手の「健康食品」は勧められない)
[FDA]警告文書
-1am USA Incorporated dba Pleasure Products USA
JULY 01, 2022
オンライン販売の未承認の医薬品、ダイエタリーサプリメント不正表示の問題。製品成分にタダラフィルを含む。
-Thirsty Run LLC / US Royal Honey LLC
JULY 01, 2022
オンライン販売の未承認の医薬品、ダイエタリーサプリメント不正表示の問題。製品成分にシルデナフィル、タダラフィルを含む。
-Shopaax.com
JULY 01, 2022
州際通商、食品、不純品、不正表示の問題。製品成分にシルデナフィルを含む。
-MKS Enterprise, LLC
JULY 01, 2022
州際通商、食品、不純品、未承認の医薬品、不正表示の問題。製品成分にタダラフィルを含む。
-Elite Supplement Center LLC and Elite Training Facility LLC
JULY 06, 2022
最終製剤、未承認の医薬品の問題。製品に選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)成分を含む。
[MPI] リコール
Norish brand Flourishing Cauliflower & Corn Baby Purée Powder and Growing Greens Baby Purée Powder
14 July 2022
Norish Ltd は、ヨウ素濃度が高いため、Norish ブランドの Flourishing Cauliflower & Corn及び Growing Greens Baby Purée Powder をすべてリコール。1食あたり1~3歳児の1日のヨウ素摂取上限量(UL)の2.5倍以上が含まれる。製品写真あり。
(原材料に昆布を使ったためと説明。フリーズドライ粉末で会社の宣伝は「オールナチュラルで添加物なしで加熱してなくてオーガニックでノンGMOでNZ産」。他者のベビーフードをBig Bad Baby Foodsと批判する。)
[HK]法令違反
-包装されたミックスベジタブル、スイートコーン付きサーモンの切り身のサンプルが栄養表示規則に違反する
Prepackaged Pan-fried Salmon Fillet with Mixed Vegetables & Sweet Corns sample not in compliance with nutrition label rules
July, 13 2022 (Wednesday)
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20220713_9623.html
食品安全センター(CFS)は、香港産の包装されたミックスベジタブル、スイートコーン付きサーモンの切り身のサンプルからナトリウムが138.3 mg /360 gという表示を超える83 mg /100 gを検出した。
-ロブスターのサンプルに基準値超過のカドミウムが検出される
Excessive cadmium found in lobster sample
Thursday, July 14, 2022
https://www.cfs.gov.hk/english/press/20220714_9624.html
食品安全センターはロブスターのサンプルから金属汚染物質であるカドミウムが基準値を超えて検出されたことを発表した。基準値2 ppmを超える3.17 ppmのカドミウムが検出された。
[HK] CFSが点心のナトリウム含有量に関する調査結果を発表する(写真付き)
CFS announces study results on sodium content in dim sum (with photos)
12 Jul 2022
https://www.cfs.gov.hk/english/press/20220712_9621.html
食品安全センターは点心のナトリウム含有量に関する調査結果を発表した。包装されていない点心のナトリウム含有量は、3.0 mg/100gから680 mg/100gで、平均値は330 mg/100 gであった。前回の調査結果と比較すると、11種類の点心のうち9種類のナトリウム含有量が減少しており、点心のナトリウム含有量は減少傾向にあることがわかった。
[MFDS]ティラピアを鯛と偽り販売した行為に対する企画点検の結果発表
輸入流通安全課 2022-07-07
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=46513
□ 食品医薬品安全処は、飲食店やオンラインショッピングモールなどで鯛として表示・販売されている製品(切身、すし)の真偽確認のための点検を実施した結果、合計44件中1件がナイルティラピアと確認され、該当業者を「食品等の表示・広告に関する法律」違反で摘発し、管轄官庁に行政処分を要請した。
<添付>
1.魚種別特性および摘発写真
2.各部署担当者、連絡先
[MFDS]「認知症予防」など病気予防・治療に対する不当広告の点検結果
サイバー調査チーム2022-07-07
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=46510
□ 食品医薬品安全処は「認知症」、「関節炎」などの病名を広告に使用して食品などを販売するオンライン掲示物(オープンマーケット、ショッピングモールなど)を集中点検した結果、「食品等の表示広告に関する法律」に違反した94件を摘発し、放送通信審議委員会などにアクセスの停止と管轄自治体へ行政処分を要請した。
□ 主な違反内容は食品・健康機能食品に、▲「認知症予防」、「記憶力、脳健康サプリメント」(20件)、▲「関節炎」(17件)、▲「糖尿病」、「血糖サプリメント」(20件)、▲「ぜん息」(16件)、▲「胃炎」など、その他(21件)の表現で病気予防・治療と効能・効果があると認識される恐れがある不当広告である。
○ 消費者は食品などを購入する場合、表示事項を慎重に確認する一方、病名を用いた広告で食品などを販売する場合には該当製品を購入しないように注意する。
<添付>
1.主な摘発事例
2.健康機能食品を正しく購入する方法
[MFDS]夏の野生キノコ摂取による食中毒事故に注意が必要
農水産物安全政策課 2022-07-06
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=46509
□ 食品医薬品安全処は農村振興庁と共に梅雨時に繁殖しやすい野生キノコ摂取による中毒事故の危険性を警告し、食用キノコに似た毒キノコに対する格別な注意を呼びかけた。
○ 梅雨の時期は暑くて湿度が高いためキノコが成長しやすい環境がつくられ、周辺で野生キノコ採集が比較的容易であるが、韓国で自生するキノコ1900種以上のうち食用キノコは約400種に過ぎないという点を留意する必要がある。
○ 最近10年間で野生キノコによる安全事故は合計5件で36人の患者が発生し、野生キノコを家族や知人に分けて食べる場合が多く、安全事故1件当たりの患者数が平均7.2人と被害が広がる傾向がある。
* 発生状況(件数/患者):(’12)1件/4人→(’14)1/5→(’16)1/6→(’17)2/21
** 毒キノコ中毒事例:京畿道抱川市で住民18人が直接採取したキノコ料理を摂取後に中毒症状で病院治療(2017年)
□ 毒キノコは「派手な色をしている」と知られていることが多いが、様々な形や色をしているだけでなく似た形の食用キノコと同時に育つことも多く、専門家でも毒キノコと食用キノコを簡単に区別することは難しい。
○ 野生キノコの食用可能有無を「色が派手でないものは食用できる」、「昆虫が食べた跡があるものは害がない」、「銀のスプーンを変色させないものは食用できる」など、科学的根拠なしで判断してはいけない。多くの毒キノコ成分は加熱・調理しても毒性がそのまま残っているので、「煮て食べれば安全だ」も信じてはいけない。
□ 野生キノコによる食中毒を予防するためには野生で採取したキノコは食べない方がよく、摂取時に頭痛、腹痛などの症状が発生したら食べたものを吐いて、正確な診断と治療のために摂取した毒キノコを持って直ちに病院に行くことが必要である。
○ 食薬処と農振庁は今後も食品安全事故予防管理のための情報を提供して、国民が安心する食生活文化を作るために最善を尽くす。
<添付>
1.梅雨時期に注意が必要な代表的な毒キノコ4種
2.キノコに関する誤った食用判断法
3.部署別担当者、連絡先
[CDC]COVID-19は米国の抗菌剤耐性との戦いを後退させた
COVID-19 Reverses Progress in Fight Against Antimicrobial Resistance in U.S.
TUESDAY, JULY 12, 2022
https://www.cdc.gov/media/releases/2022/s0712-Antimicrobial-Resistance.html
入院関連の感染症が2019年から2020年に15%増えた
[フィンランド食品局]フィンランドの食品安全2021
Elintarviketurvallisuus Suomessa 2021
フィンランド語、p6に英語要旨
2021年の食品安全規制管理結果のまとめ
Recalls and outbreaks increased in Finland in 2021
By Joe Whitworth on July 14, 2022
https://www.foodsafetynews.com/2022/07/recalls-and-outbreaks-increased-in-finland-in-2021/
によるとリコールが309件そのうちエチレンオキシドが72と多い、次いで残留農薬33アレルゲン29。違反製品の半分以上はEU域外から
[ASA]HFSS製品の広告規則について美味しい再確認
A tasty reminder about the rules for HFSS product ads
CAP News 14 Jul 2022
https://www.asa.org.uk/news/a-tasty-reminder-about-the-rules-for-hfss-product-ads.html
2022年5月に、我々は業界に対して、「健康的でない」食品や飲料の広告への政府の新たな制限は遅れるものの、脂肪塩砂糖の多い(HFSS)食品の広告には既にたくさんの保護策があることを再確認した。
・ターゲット制限のスケジュール
・ライセンスのあるキャラクターやセレブ
・宣伝のための提供
[FSANZ]食品基準通知
Notification Circular 208-22
15 July 2022
https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20208-22.aspx
改訂No.209
・干ばつ耐性除草剤耐性小麦系統IND-00412-7由来食品
・乳児用調整乳用の新たなGM由来2’-FL
その他
・食品基準作業計画
など
[NASEM] 子ども環境健康:環境健康科学の将来の優先課題についてのワークショップ
Children's Environmental Health: A Workshop on Future Priorities for Environmental Health Sciences, August 1st-4th
https://www.eventbrite.com/e/childrens-environmental-health-workshop-tickets-355658683697
以下のようなトピックスを扱う
・環境暴露への異なるライフステージ(出生前、乳児期、幼児期、青少年期)の脆弱性についての最新知見
・生殖年齢の人への暴露を含む人生の初期の脆弱性を理解するために重要な可能性がある科学の分野
・リスク評価や科学に基づいた規制上の決定に子どもの環境健康の一貫した採用を改善するために重要な可能性のある機会
・子ども環境健康を守るための政策や計画を改善するための最新科学の意味
[WHO]COVID-19パンデミックは30年間で最大のワクチン接種の後退を悪化させた
COVID-19 pandemic fuels largest continued backslide in vaccinations in three decades
15 July 2022
新しいデータが世界のワクチンカバー率が2021年も低下し続けていて2500万人の乳児が命を救うワクチンを受けられていないことを示すためWHO と UNICEFが警鐘を鳴らす
[WHO]世界化学物質と健康ネットワークバーチャル会合-WHO化学物質ロードマップ履行の進捗
Virtual meeting of the Global Chemicals and Health Network - Progress with implementation of WHO Chemicals Road Map
20 – 21 July 2022
論文
-日焼け止めの試験は止めよう:専門家
Take the burn out of sunscreen testing: Experts
14-JUL-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/958797
日焼け止めの有効性を調べるために人間に紫外線を当てるのは止めるべきである、科学者とがんの専門家が言う。オーストラリア放射線防護核安全機関、ビクトリアがん評議会、RMIT大学がTrends in Analytical Chemistryに発表された研究を支持する。現在ヒトでの試験がUV保護性能を格付けするための国際基準であるが、それには倫理的問題がある。ヒトを使わない検査法が開発中である
-女性は既に長生き。食事改善でさらによく生きられる
Women already live longer. They can live better with an improved diet
14-JUL-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/958838
Nutritional Neuroscience。鮮やかな色の野菜や果物は女性の健康問題予防に役立つだろう
-心血管系疾患のある成人のリスク要因は、二次予防の進歩にも関わらず時間とともに悪化している、研究が示す
Risk factors in adults with cardiovascular disease are worsening over time despite advances in secondary prevention, study shows
14-JUL-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/958703
Journal of the American College of Cardiologyに発表されたCVD既往の6000人以上のアメリカ成人の医療記録解析。過去20年間で、二次予防におけるCVDリスクプロファイルは改善していない。1999–2002 に比べて2015–2018は、コレステロールでは脂質低下薬の使用で改善がみられたが血糖、血圧、BMIでは悪化、喫煙と運動と食事はほぼ変化無し。
-BMIの低い人はより活動的ではなく、単に食欲が少なくて代謝率が高い
People with low BMI aren’t more active, they are just less hungry and “run hotter”
14-JUL-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/958183
Cell Metabolismに発表された中国の研究。これまで肥満の研究は主にBMIの高い人を調べていたがこの研究は極めて低いBMIの人を調べた。その結果彼らは正常範囲のBMIの人より相当不活発で、食べる量が少ない。BMI 21.5-25の正常範囲の173人とBMI 18.5未満で健康な人150人の比較。2週間モニターし,食事摂取量は二重標識水法で測定した。BMIの低い人の中には甲状腺活性が高く安息時エネルギー消費の多い人が含まれた。
-甲状腺がん増加と甲状腺結節検出モードの評価 多国、多機関解析
Evaluating the Rising Incidence of Thyroid Cancer and Thyroid Nodule Detection Modes
A Multinational, Multi-institutional Analysis
Mirabelle Sajisevi et al.,
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. Published online July 14, 2022
https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/fullarticle/2794184
何故国によって手術された甲状腺結節と検出のされ方が違うのか?4カ国16センターでの甲状腺手術を行った患者1328人の医療記録を解析したところ、症状があって手術したのはわずか34%で、ほとんどのがんは甲状腺と関係の無い症状で病院にきた患者で発見されていた。
(甲状腺がんの増加は過剰診断で、過剰治療が行われていることを示唆)
-栄養豊富な食品を確保するためには取引協定と食生活の変更が重要な影響をもつ
Trade deals and changing diets key influencers in securing nutrient rich food
14-JUL-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/958688
Nature Foodに発表された英国の食糧供給についての研究
英国はいくつかの重要なビタミンやミネラルを自給ではまかなえず、輸入が必要である。もし英国がより自給率をあげたいなら国内生産と消費に相当な変化が必要である。
(日本でよく見るカロリーではなくて、微量栄養素の必要量で計算)
Science
-エディトリアル
COVID-19のニュアンスを捕らえる
Nailing the nuance on COVID-19
ROBERT M. WACHTER
SCIENCE 14 Jul 2022 Vol 377, Issue 6603 p. 243
人々にCOVID-19について伝えるには勇気と簡素が必須である。しかし同時に科学的に正確でニュアンスを伝えるコミュニケーションも必須である。パンデミックになって3年近く、公衆衛生コミュニケーターたちはこのバランスをとるのに苦闘し続けている。
CDCの現在の隔離ガイドライン、症状が改善したCOVID-19患者は最初に症状が出てからあるいは検査陽性になってから5日で隔離を終え、さらに5日はマスクをする、を例にしてみよう。患者の多くは5日を過ぎても感染性があることを科学は明確に示している:CDCは反科学なのか?そうではない。全ての患者が迅速に検査できるわけではないことから、検査結果に基づく基準は問題がある。さらにCDCは隔離が長く続くと個人や学校や事業に困難を与えることを知っている。6-10日目の患者がマスクをしていると想定して、そのコミュニティへの脅威は、症状がなくて感染に気がついていないマスクをしていない人々に比べると小さい。こうした文脈を考慮してCDCの助言は政策全体として意味をなす。しかしガイドラインはしばしば5日経てば感染性はないといった間違った解釈をされる。
情報を提供する場合には考慮が必要である。ワクチンの科学が何百万人もの命を救ったが、複雑でニュアンスのある情報のコミュニケーションは遅れている。メッセージとその意味を明確にすることはパンデミックの尽きることのない教訓だろう
(一部のみ)
-医薬品をグリーンに
Greening the pharmacy
GORKA ORIVE
- 259-260
医薬品の環境影響を制限するためには新しい対策と研究が必要
(下水処理できないところでは薬を使うなみたいな話)
その他
-SMC UK
世界の飲酒と集団レベルのリスクについての研究への専門家の反応
expert reaction to study on global alcohol consumption and population level risks
JULY 14, 2022
The Lancetに発表された研究が、量、地理、年齢、性、年ごとの飲酒の集団レベルのリスクを調べた
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
これは世界疾病負担プロジェクトの新しい発表である。先に2016年の状況について2018年に発表していて今回は2020年の状況についてである。何が変わった?
最も目立つ変更は、2018年に飲酒の健康損失を最小限にする飲酒量はゼロだと結論したことが当時相当注目された。今回そのような結論にはなっていない。より重要なのは、全世界を対象にリスクを平均するのは適切ではなく、年齢や性毎に別々の推定をしたことである。そのため要約は難しい。
(以下非常に長いコメント略)
Sheffield大学アルコール研究グループ上級研究員Colin Angus博士
この論文の背景にある考え方-飲酒とリスクは人口動態や飲酒パターン、広範なアルコール関連疾患などによって異なる関連がある-は正しく解析もよくできているようだ。しかしその結果の解釈には多数の深刻な問題がある。最も目立つのは若い人ほど飲酒ガイドラインは低くすべきという主張でそれはこの研究では支持されない。
King’s College London (IoPPN)客員臨床研究員Tony Rao博士
プレスリリースはこの研究の主な知見をまとめているものの、「高齢者は少量飲酒で利益があるかもしれない」という著者の言葉は不正確でデータの欠陥を考慮していない。特に英国の飲酒による害に関する既存の根拠とあわない。
(以下多数の欠陥の指摘略)
-Sense about science
リスクノウハウ枠組み発表
Launch of Risk know-how framework
https://senseaboutscience.org/activities/launch-of-risk-know-how-framework/
もし行動につなげたいなら、リスクのコミュニケーション方法を変える必要がある。これが私たちの新しいプラットフォーム「リスクノウハウRisk know-how」の目的である
Lloydの最新「世界リスク世論調査」によると世界中の人々の81%は、少なくとも一つの日常生活への脅威に直面していると言う。リスク情報は人々が直面している他の脅威、緩和策の有効性とコスト、そしてその文脈での行動の機会を含む必要がある。
世界中にはそれぞれのコミュニティで、食品安全から洪水までのリスクの舵取りをする手助けをしている何千人もの人々がいる。これらリスクプラクティショナー(実践者)たちは、専門職としておよび非公式にコミュニティがいつ行動するかを決めるための舵取りを手助けする責任を負っている人たちである。私たちはそのような人たち約100人の、異なる文脈で人々にどうやってリスクのトレードオフを自分の言葉で説明しているのかの声を集めた。しかしリスクプラクティショナーにはしばしば支援が不足していて情報は状況のリアリティを考慮していない。対応を成功させるにはそれらを含む必要がある。
「私たちは知識を提供する人たちにその知識は行動可能なものかどうか考えるよう呼びかけている。食品安全や気候変動リスク、あるいは労働安全のような問題のガイダンスに従えないことがあまりにもしばしば理解が足りないためだと解釈されるが、実際には制限のある状況でのトレードオフの結果である。人々には文脈に沿ったコミュニティ向け情報の必要性に知見がある。例えば「干ばつリスクが高い」という情報は西ケニアの農家にとって種を変える為の十分な情報にはならない、変えること自体のリスクがあるので。」
-Tracey Brown
私たちは統計機関、政府、国際団体にデータだけではなく知識を共有するよう呼びかける。リスク情報提供者が人々にトレードオフとその生活への影響や責任について聞くことが重要である。これ無しには、普通の人々は生活を変えることのリスクを扱うことに苦闘し続けるだろう
Risk know-how
リスクノウハウ枠組み
1.コミュニティでのリスクノウハウとは私たちが以下のことをできることを意味する
特定のリスクについて尋ねる
適切で信頼できるリスク情報を見つける
情報の枠組みをどう操作できるか理解する
主張についてその大きさとリスクとしての重要性あるいは安全対策としての価値を検討する
リスクをとった場合の結果に驚かない
リスクの可能性と行動のコストと行動しなかった場合のトレードオフについて合理的比較をする
好ましいことを確認する情報に溺れる危険性を理解する
新しい情報は許容できるリスクについての決定変更を求める可能性に留意
他人のリスクベネフィットトレードオフは同じではなく全ての人がリスクに対応できるわけではないことを尊重する
2.そのためにやる必要のあること
A.実際に何が議論されているのかを明確にする
B.何が言われているのか意味を理解する
C.リスク情報の正確性に影響する概念について議論する
(リスクは比較せよ、比較を拒否する人たちはミスリードを狙っているのだろう)
-SMC NZ
冬のCovid-19ピークを前に無料のマスクと迅速抗原検査
Free masks and RATs ahead of the winter Covid-19 peak – Expert Reaction
Published: 14 July 2022
政府の対策として、全ての人にRATとマスクを無料で、そして抗ウイルス薬をより多くの人に
SMCは専門家のコメントを求めた
(コメント略。NZ今頃マスク(一般にはサージカルマスク、ハイリスクな人にはN95s)配るという政策を専門家はほぼ歓迎。日本のマスクはやたら批判されたのに)
-Vikki Campion:グリーン農業規則は何百万人もの餓死につながるだろう
Vikki Campion: Green agriculture rules will lead to millions more starvation deaths
July 1, 2022
将来気候変動が人々を殺すだろうという懸念から肥料と農薬を減らすことは今すぐに数百万人が餓死することを無視している、とVikki Campionは書く
欧州が2023年から25%の直接農家への支払いを環境のために炭素と有機農業に分配する。世界が歴史的飢餓レベルの時にそれをやる。
我々は1940年代から50年代の肥料と農薬による真の緑の革命で世界の飢餓を相当減らした。有機農業は気候変動の役に立たない。農学は物理と化学の問題であり、同じ量の土地に、インプットを減らしたらアウトプットが増えることはない。肥料と農薬を減らして同じ量の食品を望むなら、それは科学ではなく信仰である。
作物に肥料も農薬もいらないというのは人間に医療をいらないというようなものである。