[IARC]IARCと日本国立がんセンターが、がん診断前のライフスタイル要因ががん患者の予後、生存率、QOLにどう影響するのかについての共同長期研究を開始
IARC and the National Cancer Center Japan launch a joint long-term study on how lifestyle factors before cancer diagnosis affect prognosis, survival, and quality of life of patients with cancer
4 August 2022
国際がん研究機関と共同研究開始 生活習慣とがんサバイバーの生活の質や予後との関連を調査
2022年7月21日
国立研究開発法人国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2022/0721/index.html
[EPA]EPAはSt. Louisでビニール袋で売られていた殺鼠剤に販売中止命令を出す
EPA Issues Stop Sale Order for Rat Poison Sold in Plastic Bags in St. Louis
August 4, 2022
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-issues-stop-sale-order-rat-poison-sold-plastic-bags-st-louis
EPAの査察官がSt. Louis のWilson’s Pest Controlで、表示されていないジッパーつきポリ袋で殺鼠剤が売られているのを発見した
適切な表示のない農薬の販売は違法なだけではなく危険である
(業務用を小分けして売っていた?)
SCIENCE VOLUME 377|ISSUE 6606|5 AUG 2022
Grass(草、地上と海中の)特集号
-ニュースを一目で
News at a glance:
・AIDSを終わらせる方向への前進が滞る 国連の再診報告書
・FDAの職員が死の製造業者(タバコ会社)に行くのは恥ずかしい-MICAH BERMAN
・中国がCDCのトップを交代させた
・ネパールの野生の虎記録的増加
-書評
不平等はウイルスのようにひろがる
Inequality goes viral
AYAH NURIDDIN
SCIENCE 4 Aug 2022 Vol 377, Issue 6606 p. 583
構造的要因がウイルスの影響を悪化させる
Steven W. Thrasher著The Viral Underclass: The Human Toll When Inequality and Disease Collideの書評(natureと同じ本をとりあげた)
-レター
気候変動がパキスタンのユキヒョウを脅かす
Climate change threatens Pakistan’s snow leopards
UZAIR ASLAM BHATTI et al., pp. 585-586
その他
-タラとGRASステータスについての議論
A discussion of tara and GRAS status
By Neal Fortin on August 5, 2022
https://www.foodsafetynews.com/2022/08/a-discussion-of-tara-and-gras-status/
最近の食中毒は米国食品法のもとでのタラ(Caesalpinia spinosa)の法的立場についての疑問を投げかけた。食品に使う成分には3つの法的経路があり、GRAS、既に認められているPrior Sanctioned、食品添加物としてのFDAの認可、である。タラについては以下にまとめた。
タラはGRASとしては認識されていない。タラのこれまでの認可記録は存在しない。食品添加物として認可されていない。さらに自己認証によるGRAS通知はない。ただしGRAS通知は義務ではなく、食品医薬品化粧品法ではGRASは自主実施である。
増粘剤、安定剤、乳化剤、ゲル化剤としての精製タラガムは食品の0.5%以下での使用はGRASである。
一方タラの種子を挽いたタラプロテインパウダーはGRASではなく、既認証記録はなく、食品添加物として認可されてもいない。未承認食品添加物として、タラプロテインパウダーを含む食品は異物混入と見なされる。
タラ粉末についても同様である可能性が高いが、何を「タラ粉末」と呼ぶかについては矛盾した説明がある。もしタラ粉がタラガム粉末なら、それは誤表示である。タラガムと表示しなければならない。もしそれがタラの種子やその他の部位を挽いたものなら、それは未承認食品添加物である。
(略)
単一成分食品
丸ごとの食品は食品添加物としての認可を必要としないが、安全でなければならない。しかし丸ごとの食品が他の成分とともにレシピになって使われたらその食品は食品添加物である(GRASあるいは既認証以外)。つまり、丸ごとのタラの種子それ自体は、食品に加えられなければ食品添加物ではないが、一旦食品に加えられればそれは食品添加物である。未承認食品添加物はすなわち混入異物とみなされる。食品添加物は使用したい人が安全性を証明しなければならない。一方、食品添加物ではない丸ごとの食品は、FDAが害を与えるリスクを証明しなければならない。
(略)
-「信頼できる」情報源が信頼できない情報を勧めるのでデマは溢れる
Misinformation abounds because “trusted” sources promote untrustworthy information
AUGUST 4, 2022
https://bigthink.com/health/misinformation-trusted-sources/
学術雑誌にはしばしば質の悪い研究が載る
最近の例はビタミンB6が鬱を治療できると主張するニュースである。もとになった研究では鬱や不安症状は自己申告で、鬱については有意差はない。不安については統計学的有意差があったが「極めて僅か」な差であった。しかしそのような重要な限界はメディア報道には掲載されず「新しい研究によると、高用量ビタミンB6が鬱や不安の削減に有用」とIndependentは報道した。実際にはビタミン類サプリメントの多くは役に立たない
-食品安全に関しては、「オーガニック」はリスクのあるビジネスになり得る
When it Comes to Food Safety, 'Organic’ Can Be a Risky Business
July 18, 2022 By Henry I. Miller & Kathleen L. Hefferon
多くの消費者のオーガニック製品への肩入れは論理より感情的なものである。しばしばオーガニックの選択は「健康に良くてナチュラル」であると考えてであり、それは肥料や農薬などの「合成」のインプットがないことと解釈されている。遺伝子組換え作物禁止を理由にする人もいる。時に曖昧に有機農業のほうが地球に優しいと考えている。
簡単に言うと、みんなが昔そうやって育った、理想化された「マクドナルドじいさん」(童謡)の農場のような食卓を望んでいる。現実は全く違うけれど。
6月23日にFDAはメキシコ北部のBaja California州から輸入されたFreshKampoとHEBブランドの汚染有機イチゴによるA型肝炎ウイルスの多州でのアウトブレイクを報告した。7月初旬までの間に3州18人が罹患し13人が入院した。カナダでもFreshKampo有機イチゴに関連する可能性の高いA型肝炎のアウトブレイクが調査中である。
この数字は過小で、冷凍品が残存している可能性があることから新たな患者が今後も出る可能性がある。
この最近の事件は2013年に冷凍オーガニックベリーとザクロの種で8州150人以上が感染し59人が入院した事件を思い出させる。このときはウイルスRNAの配列からトルコの農場のザクロの種由来であることがわかった。可能性の高いシナリオは誰かの排泄物中のA型肝炎ウイルスがいるトルコの下水がアウトブレイクの起源であろう。このニュースは「完全アメリカ産、家庭農場で育てた」とパッケージに表示されていた製品を買っていた健康意識の高い消費者にとってはショックだったろう。
こういう事例は珍しくない。2016年のある研究では米国の食中毒アウトブレイクの数は慣行栽培の作物より有機栽培の作物に関連するものの方が多いことを発見している。
現代において最大規模の食品汚染アウトブレイクのひとつは2011年にドイツ北部の農場で有機栽培された汚染もやしによるもので、犯人は病原性大腸菌0104:H4で3000人以上を病気にしそのうち約800人が溶血性尿毒症症候群になり少なくとも31人が死亡した。有機農場では化学肥料の代わりにふん尿堆肥を使っていて、それは大腸菌汚染の可能性がある。
有機の基準は微生物汚染のような食品安全とは直接関係ない。全体像は複雑で気が滅入るようなもので、オーガニックは今や世界規模の大企業で、「有機認証」製品には汚染があろうと無かろうとトルコやメキシコなどの他の国から輸入されてくるものが含まれている。
有機サプライチェーンの消費者レベルでのごまかしの顕著な例は、聖人ぶったWhole Foodsは大量の「オーガニック」農産物を中国から輸入し、自社ブランド「カリフォルニアブレンド」の名前で売っていることである。Whole Foodsは中国の有機認証は米国と同じくらい厳格で信頼できると主張している。
しかしこうした疑わしい輸入有機製品は特に弱点となる。2017年9月にUSDAの監察長官が発表した画期的報告書で、有機輸入食品の安全性と完全性を確保するための政府の役人のシステム的失敗を暴露している。過去数年にわたって、需要増に応じて有機農産物の輸入が急増していて、特にトウモロコシと大豆、100以上の国が有機と称する農産物を輸出している。USDAの有機認証計画ではそれらの国の厳格な基準遵守を要求しているが、コントロールや法的権限ではなく相互依存と信頼が根拠であるため穴ある。さらにUSDAは有機の振興と規制を両方担う矛盾した立場にある。USDAの監察長官は輸入有機農産物への米国の消費者の信頼を減らすことになる広範な問題を見つけている。輸入農産物は有機だろうとそうでなかろうと害虫が入ることを予防するために港で燻蒸されることがある。USDAのAMSには燻蒸処理された有機農産物を追跡する仕組みがなく、結果的に米国の消費者は輸入農産物のオーガニックの正しさを確認できない(有機は燻蒸も照射も認めていない)。従って多くの消費者はオーガニックではないかもしれない輸入オーガニック食品を買うために高いお金を払っている。
主流メディアがこのオーガニック食品業界のスキャンダルについに気がつき、ワシントンポストが調査報道で、オーガニックミルク生産者が連邦規制を満たさないこと、東欧から輸入した虚偽表示有機穀物を輸入していたことを暴露した。ただ皮肉なことに、食品の安全性に関しては、オーガニックと騙されて慣行栽培食品を購入していた消費者は実際にはより良いものを購入していた可能性がある。有機食品は汚染の多いことで悪名高い。病原性微生物だけではなくカビ毒が多い。
オーガニックとナチュラル製品の資金豊富な組織的キャンペーンが、オーガニックでない製品、特にGMOについての恐怖を煽ってきた。実際には慣行農業より有機農業のほうが環境に悪影響なのに。有機農業の神話の一つに農薬を使わないというものがあるが実際には使える。そして有機農業で使える農薬の中には慣行農業で使う合成農薬より毒性の高いものもある。しかし有機農業の致命的な欠点は収量の少なさで、それは水と土地を無駄にする。
基本は、もしあなたが価格と、安全性と、環境への利益を気にするなら、オーガニック製品を避けた方が良い、ということだ。
(一部のみ)