2022-08-16

[CFIA] 特定食品中のビスフェノールAおよびBPA代替物質について-2016年4月1日から2017年3月31日

Bisphenol A and BPA Alternatives in Selected Foods – April 1, 2016 to March 31, 2017

2022-08-10

https://inspection.canada.ca/food-safety-for-industry/food-chemistry-and-microbiology/food-safety-testing-bulletin-and-reports/bisphenol-a-and-bpa-alternatives-in-selected-foods/eng/1657132948945/1657132949289

ビスフェノールA(BPA)は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)エポキシ樹脂や硬質プラスチック容器の製造に用いられる化学物質である。BADGEエポキシ樹脂は、食品と金属の直接接触を防ぐために缶の内側にコーティングされることが多く、食品業界での利用が一般的になっている。これらの化合物は、特に高温で食品中に移行する可能性がある。(例えば、ホット充填または加熱加工される缶詰食品などで)

これらの化合物による健康への有害影響を防ぐために、一部の製造業者はビスフェノールF(BPF)やビスフェノールS(BPS)などのBPA代替物質に変更している。缶詰及び瓶詰食品におけるBPA代替物の使用に関するデータは少ないので、この調査の対象とした。

カナダの6都市の小売店から合計491のサンプルを収集した。収集したサンプルは様々な包装材に入った9種類の製品である。対象製品は、飲料、ココナッツミルク、果物、乳児用調整乳、パスタ、パイの詰め物、ソース、スープ、野菜などである。収集されたサンプルの大半(464)は缶詰製品で、残りのサンプル(27)はガラス瓶又はボトル、プラスチックボトルあるいはパウチ、テトラパックで包装されたものであった。

調査したすべてのサンプルについて、BPA、BADGE、BPF、BPSの存在を調査した。BPAは調査した全サンプルの361(74%)で検出され、BADGEは5(1%)で、BPFは3(0.6%) で検出され、BPSが陽性となったサンプルはなかった。BADGE、BPF、BPSはいずれの乳児用調製乳製品からも検出されなかった。

全製品から検出されたBPAの平均値は87.2 ppb、缶詰製品から検出された平均値と最大値は91.6 ppbと2240 ppbであった。また、その他の素材で包装された製品からは平均で15.2 ppb、最大で188 ppbが検出された。この調査結果は文献に記載されている結果と同程度であった。

この調査で検出されたBPA、BADGE、BPFの濃度は、ヘルスカナダが評価し、いずれのサンプルも許容できないヒトの健康上の懸念をもたらすことはないと判断されたため、この調査によるリコールはなかった。

 

[CFIA]ソースとサラダドレッシングの表示されないアレルゲンとグルテンについて- 2020年5月1日~2021年2月28日

Undeclared Allergens and Gluten in Sauces and Salad Dressings – May 1, 2020 to February 28, 2021

2022-08-10

https://inspection.canada.ca/food-safety-for-industry/food-chemistry-and-microbiology/food-safety-testing-bulletin-and-reports/undeclared-allergens-and-gluten-in-sauces-and-sala/eng/1657133967231/1657133967606

本調査の主な目的は、ソースおよびサラダドレッシング中の表示されないアレルゲン及びグルテンの存在と濃度に関する追加情報を入手することであった。297サンプルのうち、2サンプルでβ-ラクトグロブリン(BLG)、カゼイン、ゴマなどの表示されないアレルゲンが検出された。

両サンプルはCFIAの食品安全リコール室(OFSR)に送られ、検出された濃度がアレルギー患者に健康上の懸念をもたらすかどうかが判断された。このフォローアップ措置の範囲は、健康リスク評価が定めたように、汚染物質の濃度と結果として生じる健康上の懸念に基づいている。今回の調査でサンプリングされた製品には、健康上のリスクをもたらすものはなかった。

 

[SFA]アプリコットカーネルの安全性

Safety of Apricot Kernels

Monday, August 8, 2022

https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance

序論

アプリコットカーネルは、アンズの種子の殻の中にある。北京語では「xing ren」(杏仁) とも呼ばれ、見た目も味もアーモンドに似ており、甘い種類と苦い種類がある (それぞれ 「nan xing」(南杏)と「bei xing」(北杏) として知られている)。シンガポールではアプリコットカーネルは漢方薬、デザート及びスープの原材料として一般的に使用されている。

適切に加熱調理すれば、アプリコットカーネルは食べて安全である。しかし、生のカーネルは、たとえ少量食べたとしても、我々にとって有毒で有害な場合がある。

なぜ生のアプリコットカーネルを食べると安全ではないのか?

アプリコットカーネルには大量のアミグダリンが含まれており、アミグダリンは摂取すると有毒になる物質である。

食べたアミグダリンは分解し、シアン化物と呼ばれる有毒な化学物質を放出する。シアン化物中毒は頭痛、吐き気、嘔吐、昏睡を引き起こし、極端な例では死に至ることもある。

成人は小さな生のアプリコットカーネルを3粒、幼児は小さな種を1粒食べるだけで、これらの症状に直面することがある。

したがって、消費者が生のアプリコットカーネルを食べることは推奨されない。未加工のアプリコットカーネルや粉末状のものも推奨されない。

他の種類のアプリコットカーネルはどうか?それらは食べても安全か?

アプリコットカーネルは、浸漬、煮沸あるいは皮むきといった有害物質を除去するために適切に処理されていれば、安全に摂取できる。典型的な中国のスープやデザートの処理は、アプリコットカーネルに含まれる潜在的なシアン化合物を90%以上除去しており、安全に摂取することができる。

 しかし、ローストしたアプリコットカーネル、特に皮を剥いていないものは安全に摂取できない。

また、アプリコットの種は殻が硬く、果肉とカーネル(仁)の接触を防ぐことができるため、アプリコットの果肉は食べても安全である。

アプリコットカーネルを安全に食べるために、消費者や製造業者ができることは?

アミグダリンは「ビタミンB17」と呼ばれることもあるが、オーストラリア、ニュージーランド及びカナダの当局はビタミンとして認めていない。アプリコットカーネルを含む製品の製造業者は、製品表示により製品のリスク、利点及び使用目的について消費者が誤解しないよう確認する必要がある。例えば、製品表示はアミグダリンをビタミンと誤って表示すべきではなく、生のアプリコットカーネルをそのまま喫食可能なスナックとして広告すべきではない。

また、アプリコットカーネルによるシアン化物中毒のリスクを減らすために、消費者は以下のガイドラインに従うべきである:

・製品が生または未加工の場合は販売店に確認すること。

・生のアプリコットカーネルは食べないこと。

・アプリコットカーネルは食べる前に加熱調理する。アプリコットカーネルは30分以上茹でること。

・特に幼い子どもや幼児には、アプリコットカーネルは適度に与えること。

・アプリコットカーネルを食べて気分が悪くなった場合は、すぐに医師の診察を受けること。

 

[FSAI]Primark社製くまのプーさんプレートの鉛及びホルムアルデヒドの移行可能性によるリコール

Recall of Primark Winnie the Pooh Plate due to the Possible Migration of Lead and Formaldehyde

Friday, 12 August 2022

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/primark_winnie_the_pooh_plate.html

Primark社のくまのプーさんプレートから化学物質(鉛とホルムアルデヒド)が食品に移行する可能性があるためリコール。製品写真あり。

 

[ヘルスカナダ]未承認の製品は深刻な健康リスクを引き起こす可能性がある

Unauthorized products may pose serious health risks

2022-08-15

https://recalls-rappels.canada.ca/en/alert-recall/unauthorized-products-may-pose-serious-health-risks

ヘルスカナダは精力剤、減量用、活力剤あるいは「ポッパーズ」として販売されている未承認の健康製品に関する情報を更新する。掲載の製品は成分にアセトアミノフェン、シプロフロキサシン、ジクロフェナク、グリブリド、ヒドロキノン、L-ドパ、亜硝酸エステル、シルデナフィル、デスメチルカルボデナフィル、タダラフィル、トレチノイン、ヨヒンビンを含む。

 

[MedSafe]MedsafeはNhan Sam Tuyet Lien Truy Phong Hoan(人參雪蓮追風丸)を摂取すべきではないと警告

Medsafe is publishing a warning that the product Nhan Sam Tuyet Lien Truy Phong Hoan should not be consumed

13 July 2022

https://www.medsafe.govt.nz/safety/Alerts/NhanSamTuyetLienTruyPhongHoan.asp

ハーブカプセルと説明されているこの製品には処方薬であるフロセミド、デキサメタゾン、クロルフェニラミンが含まれる

ソーシャルメディアや海外のウェブサイトで販売されている

痛風や関節炎などの治療用と宣伝されている

製品の写真あり

 

論文

-キニーネが如何にして第一次世界大戦を引き起こしたか(誇大なタイトル警告)(動画)

How quinine caused World War I (hyperbolic title alert) (video)

15-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961802

ACS動画シリーズ

https://youtu.be/wnvo53xUxP4

キニーネのおかげで欧州人がマラリアが蔓延するアフリカの内陸まで植民地化できた、そしてアフリカ分割、第一次世界大戦へと。

本題はキニーネがどうしてマラリアの症状を抑えるのか(酵素阻害)

 

-米国成人の痛風有病率の人種差と性差

Racial and Sex Disparities in Gout Prevalence Among US Adults

Natalie McCormick, et al.,

JAMA Netw Open. 2022;5(8):e2226804.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2795143

痛風は白人女性より黒人女性で1.8倍、白人男性より黒人男性で1.3倍多い。この関連は貧困、食生活、BMI、慢性腎疾患を調整するとほとんど無くなる

 

-メスの使用が米国の田舎コミュニティーのオーバードーズ流行を駆動する

Meth use drives overdose epidemic in rural U.S. communities

15-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961763

研究はメタンフェタミン使用がよくあり、アメリカの地方での薬物過剰使用に寄与していることを明らかにする。 JAMA Network Open

 

-高血圧は世界中の最も貧しい、最も教育を受けていない人たちによく見られる

Hypertension common among poorest, least educated around the world

15-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961571

主な死因と推定されているため、低/中所得国の血圧を下げる介入がもっと必要

Journal of the American College of Cardiology.

高血圧のリスク要因である運動しないことと肥満は少ないにも関わらず

 

-ノースカロライナでは学校の成績の悪さと人種差別と鉛暴露に関連がある

Low school test scores linked to racial segregation and lead exposure in NC

15-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961510

PNASに発表されたDuke大学環境疫学者の知見によると、鉛暴露された黒人の子どもはテストの成績が悪く、その影響は人種差別のある地域に住むと悪化する

鉛の主な暴露源は鉛塗料と鉛の水道管を使った古い家

 

-大麻調剤室スタッフの大麻療法についての訓練が一様でないことを調査が発見

Survey finds uneven training in cannabis therapy among cannabis dispensary staff

15-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961727

がん患者の多くが医療目的で大麻を使用しているが、がん治療チームは大麻使用に関するガイドはほとんど提供せず、患者は大麻販売所のスタッフに助言を求める傾向がある。しかし大麻販売所の労働者は医療用大麻については自主学習で、大麻販売所は大麻の知識よりセールススキルの方を優先し、OJTトレーニングはばらばらであることがDana-Farberがん研究所の研究者らによって示唆された。JCO Oncology Practiceに発表。

(正当な医薬品ではないのでまともな医者が説明できないのは当然。)

 

- 二国間核戦争は世界的飢餓を誘発する可能性がある

Natureニュース

Nuclear war between two nations could spark global famine

15 August 2022  Alexandra Witze

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02219-4

燃えた都市の煙は地球を飲み込む世界的作物不良を引き起こす、とモデルが示す

Nature Foodに発表された核戦争思考実験の最新のもの

(「核の冬」ポスト冷戦バージョン。ロシアのウクライナ侵攻で関心が高まった、とはいえ温暖化勢と寒冷化勢がそれぞれ「たった1℃の違いでも食料に影響」と主張し合うのはなんだかな。)

 

その他

-母乳に痕跡量のグリホサート?除草剤が神経疾患を引き起こす?活動家がソーシャルメディを梃子にして科学を歪めインチキな健康懸念を広めるやり方

Glyphosate traces in breast milk? Weedkiller causes neurological disorders? How activists leverage social media to distort science and spread bogus health concerns

Kevin Folta | August 16, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/08/16/glyphosate-traces-in-breast-milk-weedkiller-causes-neurological-disorders-how-activists-leverage-social-media-to-distort-science-and-spread-bogus-health-concerns/

ピアレビューされた科学論文から選び出したショッキングな健康影響が定期的にTwitterに流される。それは恐怖と不確実性と疑いを広めている技術否定者の商売道具である。

最近のグリホサートに関する二つの例を検討してみよう。

どちらもオーガニック業界の出資で作られた活動家団体US Right to Knowによるもので、US Right to Know役員のGary Ruskinは論文の内容と結論を歪めて以下のように伝えている

(Twitterのスクリーンショット、2022年7月27日は「全ての母乳からグリホサートを検出」、2022年7月28日は「グリホサートは脳の組織に入り込む」、説明等略)

・何故Ruskinはグリホサートを標的にするのか?

・母乳中のグリホサートの存在と危険性についての科学的コンセンサスは?

・いいねとリツイートがたくさん、しかしそのデータは本当にUSRTKが信じさせたがっているようなことを言っているのか?

・脳のグリホサート?

・この最新のソーシャルメディア「イベント」から何が学べる?

農薬の安全性への疑いを売る人たちは科学は知らないが、人々を心配させる引き金を引くことにかけては専門家である。科学的主張は方法とデータの質がしっかりしている時のみ信頼できる。また結果の解釈には科学者の議論する限界が重要である。しかしそうした研究の限界はメディアやソーシャルメディアでは役割を果たさない。ショッキングな結論を誇大宣伝したTwitterの投稿は何万もクリックされるが注意深い科学者の詳細な解説は呆れられる。信頼できる科学を知りたい読者はどうすればいい?全ての主張を批判的に吟味し、科学に基づこう。

 

-私の遺伝学の教科書の改訂:政治的正しさに目覚めた訓練か、あるいは適切な科学と感受性の進化か?あるいは両方か。

Revising my genetics textbook: A PC ‘woke’ exercise or an appropriate evolution of science and sensitivity? Or both.

Ricki Lewis | August 16, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/08/16/revising-my-genetics-textbook-a-pc-woke-exercise-or-an-appropriate-evolution-of-science-and-sensitivity-or-both/

私は大学の生命科学の教科書を書いていて、ヒト遺伝学の第14版改訂中である。これまで4つの教科書を共著あるいは単著で出してきて、3年ごとに更新している。改訂するたびに用語の確認と変更を行っている。その理由の一つはより慎重な用語に変えることで、AIDSによってHIV疾患の文脈での「victim犠牲者」という単語を排除した。1984年には「hemophiliac血友病患者」を「person with hemophilia血友病の人」に代えた。

しばらく前には精神遅滞mental retardationを知的障害intellectual disabilityに置き換えた。

今回の改訂で出版社が雇った会社は、読者の気分を害する可能性のある言葉遣いを指摘してきたが、私は彼らを政治的正しさ警察PC policeと呼んでいる。通常私はアドバイスを受け入れるが、中には驚くべきものがあった。

kinky hair縮れ髪の遺伝の説明のページに「kinky」という単語は主に黒い髪に関連するので「他者化(自分とは異質なものとみなす)」とみなされる、と注意があった。私はこれまでずっと濃い色の縮れ毛で生きてきて、自分を他者だと思ったことなど無かった。

“normal正常”が最早許容できないので、教科書から“abnormal異常”を消した。染色体異常は「abnormal異常」ではなく「atypical非定型」になった。しかし私はこのような顕微鏡レベルまでの身障者差別の拡大にはしっくりしない。アミノ酸の欠失したイオンチャンネルには「abnormal異常」を使いたい

(以下人種等事例多数。)

私は教科書の改訂を始めたとき、黄色い印に呆然とした。でも終わった。私が科学を効果的に伝えられるように、私以外の視点で文言を分析する専門家は有り難い。科学をより受け入れやすくするための用語の変更は政治的正しさ以上のもので、科学リテラシーにとっては大切である。

 

-科学で加工食品への態度を反転させる

Flipping attitudes to processed foods with science

15 August, 2022

https://www.foodprocessing.com.au/content/food-design-research/article/flipping-attitudes-to-processed-foods-with-science-486574850

Charles Sturt大学の研究者らが加工食品の健康への利点を証明し2022年8月13日から21日の全国科学週間で科学者の努力を賞賛する。

Charles Sturt医科歯科大学の食品科学教授Chris Blanchardは、食品中転園物の生物学的利用度に与える加工の影響を計る研究を主導している。その研究では天然化合物を抽出して性質を調べ、細胞との相互作用を調べる実験室での実験と、ヒトが食べたときの人体中バイオマーカーへの影響評価とを組み合わせる。これまでも各種食品中化合物の研究はあったが、生の食品から抽出したものが多かった。そしてその結果はあなたを驚かせるだろう。この研究は全ての加工食品が悪いものだという誤解を打ち砕く。

「例えば調理や発酵は重要な抗酸化物質を放出し人体に吸収されやすくする」とBlanchardは言う。Blanchardの研究は加工が食品の健康上の利益を向上させる可能性を示した。

またBlanchardは我々が捨てている部分にも栄養のある化合物が含まれることを発見し廃棄物を価値ある成分に変える研究もしている。

「我々の食べる食品の大部分は何らかの加工がされているので、食品がどのくらい健康的かを理解するには加工の影響を研究する必要がある。加工の影響を理解することで、食品の健康上のベネフィットを最大化するためのより良い食品加工法をデザインできる」

(加工食品が悪いって言ってる人たちは自分で料理するのは例外にしているので「加工の科学」では納得しないだろう)