2022-08-17

[BfR]食品中アルケニルベンゼン類:健康リスクはどのくらい大きい?

Alkenylbenzenes in food: How large is the health risk?

10.08.2022

https://www.bfr.bund.de/cm/349/alkenylbenzenes-in-food-how-large-is-the-health-risk.pdf

食品の中には、潜在的に有害な(有毒)物質を自然に含んでいるものがある。例えば、アルケニルベンゼン類は、バジル、フェンネル、パセリなど、特定のハーブやスパイスに植物の二次生成物として含まれる。

これらのハーブやスパイス及びその抽出物は、食品製造に利用されている。特に、バジルペースト、フェンネルティー、植物由来フードサプリメントには、アルケニルベンゼン類が多量に含まれることがある。アルケニルベンゼン類のエストラゴール、メチルオイゲノール、サフロールを着香目的で食品に添加することは認められていない。しかし、これらは特定の香料や風味を持つ食品成分に自然に含まれるため、一部の食品にはエストラゴール、メチルオイゲノール、サフロールの最大基準値が設定されている。

アルケニルベンゼン類が健康にどの程度有害であるかについては、議論の的になっている。サフロール、メチルオイゲノール、エストラゴールは、動物実験で変異原性及び発がん性を示した。エレミシン、ミリスチン、アピオールなど、あまり研究されていない他のアルケニルベンゼン類も類似の化学構造を持っている。このことは、これらもまた同様の(毒性)作用を持つ可能性を示している。しかし、ほとんどのアルケニルベンゼン類が、潜在的な毒性、特に変異原性及び発がん性に関してまだ十分に調べられていない。

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、食品中の様々なアルケニルベンゼン類の存在と毒性に関する知見の現状をまとめ、科学雑誌「Foods」に掲載した。BfRは、アルケニルベンゼン含有食品から生じる健康リスクを決定的に評価することは、現在のところ不可能であると結論付けている。これは知識のギャップによるもので、適切な研究によってこれを解消しなければならない。毒性学的に重要なアルケニルベンゼン類の食品における汚染実態と濃度に関するデータ不足に加え、摂取量に関するデータも不足している。特に、エレミシン、ミリスチン、アピオールなど、まだ十分に研究されていないアルケニルベンゼン類については、その有害性に関する研究が必要である。

<科学雑誌「Food」掲載の論文>

Alkenylbenzenes in Foods: Aspects Impeding the Evaluation of Adverse Health Effects

https://www.mdpi.com/2304-8158/10/9/2139

Published: 10 September 2021

Myristicin and Elemicin: Potentially Toxic Alkenylbenzenes in Food

https://www.mdpi.com/2304-8158/11/13/1988

Published: 5 July 2022

(食品添加物としては認められないが食品そのものに含まれる発がん物質についてはずっと無視してきたのだが最近ちょっと動きがある。BPAとかPFASなどに比べたらこっちのほうが明確に大きなリスク。)

 

[FAO]食品管理のための電子通知システムの導入に関する技術的ガイダンス

Technical guidance for the implementation of e-notification systems for food control

2022

https://www.fao.org/documents/card/en/c/cc0850en

 世界の農産輸出品の3分の1以上が最終消費者に到達する前に少なくとも2回は国境を越えている。このような食品サプライチェーンの複雑さと世界的な農産品貿易の重要性の高まりによって、食品安全の管理について新たな、そしてこれまで以上に大きな課題が生じている。複数の関係者が食品の生産、加工、流通に携わり、地理的にも分散されたために、食品安全のリスクが高まる可能性がある。安全でない食品の起源を追跡することは、より複雑で、時間もかかる。そのため、多くの国が農産品の輸入に関する食品管理についてより堅牢なシステムを導入し、一方では他の多くの国がそれらを開発するための支援を必要としている。この目的のため、FAOは「公的な食品管理サービスの改善を支援するデジタルソルーション」プロジェクトの一環として、本ガイダンスを作成した。この狙いは、国のニーズとリソースに合わせた食品管理の電子通知システムの設計と導入に向けたガイダンスを提供することである。ガイダンスには、システムに必要な法的枠組み、構造、運用パラメータ、インフラストラクチャ、人材の要件について記し、最後に、データトレーサビリティの必要性と、必要に応じて国際的に情報交換できるようにするフォーマットの重要性を強調している。

 付属文書では、電子通知システムに関して考慮すべきことのチェックリストと、ケーススタディとして複雑さのレベルが異なる既存システムの例(カナダ、チリ、EC、日本)も提供している。

 

[Codex]プレスリリース

-リベリア/大統領がLISA設立に関する法案に署名

Liberia / President signs law establishing Liberia Standards Authority

06/08/2022

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1601546/

2022年8月5日、リベリアのジョージ・ウィア大統領は一連の法案に署名し、法制化した。この法案の中には、「Liberia Standards Authority(LISA)を設立する法律」が含まれている。リベリアのコーデックス連絡窓口であるStephen Mambu氏は、「この法律の一環として、コーデックス連絡窓口がLISA内に設置される予定である。これはリベリアを標準化させるのに画期的なことであり、コーデックスとリベリアの食品安全に間違いなく大きな影響を与える」と述べた。

(訳注:LISAの前身は国立標準試験所であり、製品試験、計測(校正&検証)、品質保証、技術サポート(例:食品検査、認証、トレーニング)の公的サービスを提供することにより、食品の品質と安全の保証や、貿易促進、SPSシステムの改善、国内企業の成長促進を目指している)

 

-CCLAC/ラテンアメリカ及びカリブ海地域は第22回CCLACに向けて準備をする

CCLAC / Latin America and the Caribbean region gears up for CCLAC22

09/08/2022

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1601792/

コーデックスラテンアメリカ・カリブ海地域調整部会(CCLAC)は、「CCLAC諸国におけるコーデックス普及のための地域ワークショップ2020-2022」を終了した。このワークショップでは、地域の異なる国々が、コーデックス作業に関する経験や活動(会合出席、イベント開催、異なる関心分野での作業など)を共有し、コーデックス事務局と連携して実施される作業への各国の参加の重要性についてのメッセージを発信した。7日間、23か国から約35名/日が参加した。提供された情報は重要であり、第22回CCLAC会合への建設的なインプットとなるだろう。

 

[CFIA]国家残留化学物質モニタリングプログラム(NCRMP)及び化学物質食品安全監視(FSO)プログラム年次報告書2018-2019年

National Chemical Residue Monitoring Program and Chemistry Food Safety Oversight Program Annual Report 2018-2019

2022-08-10

https://inspection.canada.ca/food-safety-for-industry/food-chemistry-and-microbiology/food-safety-testing-bulletin-and-reports/national-chemical-residue-monitoring-program-and-c/eng/1657643289864/1657643290536

食品安全監視(FSO)計画として知られる取り組みは、NCRMPを補完し、肉以外の食品分野のCFIAの監視を強化するために2014年に導入された。2016年にCFIAは、NCRMPで通常監視されていなかった特定の生鮮果物や野菜のサンプリングと検査を増やした。サンプリングと検査数の増加は2018年まで続いた。これらの追加FSOプログラムサンプルの一部は、NCRMPサンプルと同じ方法で、検査官によって連邦登録施設や輸入業者から集められた。しかしながらFSOサンプルの大多数は、CFIAとの契約の元で第三者のサンプル採集者によって小売店で集められた。連邦登録施設と小売店両方で食品のサンプルを採取して、カナダ市場の食品に存在する残留物や汚染物質の量に関する追加情報を提供している。

CFIAは、懸念される分野を特定し、農業化学物質の安全な利用を促進するために、NCRMPやFSOプログラムなどの監視活動による違反を、農業従事者、栽培者/生産者、輸入業者、小売業者に伝えている。この継続的な取り組みにより、安全で健康的な食品がカナダ人に継続的に入手可能であることを保証している。

この報告書は、2018年4月1日から2019年3月31日まで(以下、2018/19とする)に集めた食品サンプルについて、NCRMPとFSOプログラムの生鮮果物や野菜の両方の検査結果をまとめている。約16,800(国産品9074、輸入品7744)のNCRMPとFSOモニタリングサンプルを対象に、動物用医薬品、農薬、重金属、汚染物質の残留物について115,000件以上の検査が実施され、何百万という結果を得た。詳細は報告書の付属文書Bにまとめられている。NCRMPとFSOプログラムの一環として採取したサンプルの検査結果から、市販食品の圧倒的多数は化学物質残留物のカナダの基準を満たしていることが示された。全体的な遵守率は96.7%で、過去数年と一致している。

遵守率が低かったのは国産の卵(90.9%)であり、主にナイカルバジンとイオノフォアの残留であった。これらはブロイラーの腸内寄生虫の治療目的で使用される医薬品だが、カナダでは産卵鶏への投与は認めておらず、卵にMRLも設定していない。卵における低濃度の検出は医薬品の使用ではなく、産卵鶏用の飼料の混合や調製をする時に、その前に使用したブロイラー用飼料からのキャリーオーバーにより汚染された可能性がある。2012年、ヘルスカナダは卵のナイカルバジンとイオノフォアの残留についてアクションレベルを設定している。これら低濃度の残留による健康への影響はありそうにない。

その他に遵守率が低かったのは輸入乳製品(79.6%)であり、その大部分は輸入チーズのチオウラシルの残留である。チオウラシルは、過去には家畜の体重増加促進用として使用されていたが、現在は食料生産動物への使用は認められておらず、MRLも設定されていない。チオウラシルの検出は、医薬品の使用ではなく、硫黄化合物を多く含むアブラナ科植物(例:菜種)が乳牛の飼料に含まれ、二次生産物として乳中に分泌された可能性がある。そのため、カナダでは乳製品中のチオウラシルについて医薬品の使用と区別するためのアクションレベルを設定している。検出された濃度の残留による健康への影響はありそうにない。

 

[CFIA]子供の食品プロジェクト:2020年次報告書

Children's Food Project – Annual report 2020

2022-08-10

https://inspection.canada.ca/food-safety-for-industry/food-chemistry-and-microbiology/food-safety-testing-bulletin-and-reports/children-s-food-project-2020/eng/1657134074819/1657134075190

子供の食品プロジェクト(CFP)は、カナダ食品検査庁(CFIA)が行う食品中の残留化学物質や汚染物質に関するさまざまな監視プログラムのうち、特に乳児や子供が頻繁に消費する食品、及び彼らを対象とする食品に含まれる残留化学物質や汚染物質に関する情報を収集するものである。これは、体重の軽さ、発達や成長、消費パターンなどから、乳児と子供はこれらの化学物質への暴露によるリスクが高い可能性があるためである。

2020年CFPの主な目的は以下の通り:

・農薬、動物用医薬品、金属・元素の残留に関するカナダの基準に対する乳児用食品のデータ収集と適合性の評価

・ヨーグルト/ヨーグルト飲料及びプリン中のアフラトキシンM1濃度に関するデータ収集

2020年CFPでは、2020年10月にノバスコシア州ハリファックスで合計175件の子供用食品サンプル(子供用シリアル、ヨーグルト/ヨーグルト飲料、プリン、フルーツスナック、グラノーラ/シリアルバーなど)を購入した。国産品と輸入品の両方が含まれた(国産品53件、輸入品96件、不明26件)。ヨーグルト/ヨーグルト飲料以外の全サンプルで残留農薬及び金属/元素について分析し、ヨーグルト/ヨーグルト飲料及びプリンに関してはアフラトキシンM1と残留動物用医薬品について分析した。

結果

<農薬>

合計135件について農薬検査を行った。検査したサンプルのうち75件(55.6%)で検出可能な残留農薬は含まれなかった。残りの60件における遵守率は98.3%であった。1件(子供用シリアル)でメトプレンに関する違反があったが、カナダ保健省(HC)による評価で安全上のリスクはないと判断された。

今回の検査では、計175サンプルのうち29件が「有機」の表示がされていた。そのうち22件について農薬検査が行われた。81.8%(18件)で農薬は検出されず、残りの4件については検出された農薬の濃度はカナダのMRL以下であった。

<金属/元素>

合計135件について金属/元素の検査を行った。48.9%で、検出可能なレベルの金属/元素(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀)は含まれていなかった。検出されたサンプルの金属/元素濃度はHCによって検討され、いずれも安全上のリスクはないとされた。

ヒ素:今回の調査時点で設定されていた最大基準値(ML)は、2020年7月に施行された無機ヒ素のML:精米0.2 ppmと玄米0.35 ppm。HCは、乳幼児を対象としたコメを主原料とする食品中の無機ヒ素のML 0.1 ppmを追加する予定である。

合計81.5%(110件)で総ヒ素(有機及び無機の両方を含む)は検出されなかった。陽性サンプルの結果は0-0.308 ppmで、最も高い濃度が検出されたのはコメシリアルだった。

カドミウム:合計62.2%(84件)でカドミウムは検出されなかった。

鉛:合計96.3%(130件)で鉛は検出されなかった。

水銀:合計78.5%(106件)で水銀は検出されなかった

<動物用医薬品>

合計76件のヨーグルト/ヨーグルト飲料及びプリンサンプルについて残留動物用医薬品が検査された。97.4%で不検出であった。ヨーグルト2件で非常に低濃度のメロキシカム(乳牛用の非ステロイド性抗炎症薬)が検出されたが、これらの濃度は定量限界を下回り、適合していると見なされた。 

<アフラトキシンM1>

合計76件のヨーグルト/ヨーグルト飲料及びプリンサンプルについてアフラトキシンM1を検査した。いずれのサンプルにも、検出可能な濃度のアフラトキシンM1は含まれていなかった。カナダでは、乳及び乳を原料とする製品中のアフラトキシンM1に関するMLは設定されていない。

結論

CFPの結果はHCと共有され、HCは検査したサンプルのいずれもカナダの乳児や子供の健康リスクとはならないと判断した。オーガニックサンプルの結果は、CFIAオーガニックオフィスと共有された。検査の結果、健康リスクに基づく製品措置やリコールはなかった。今回の調査で検査された乳児用食品は、国産品、輸入品にかかわらず、摂取しても安全である。

 

[IARC]IARCモノグラフ130巻:1,1,1-トリクロロエタンと他の4つの工業化合物

IARC Monographs Volume 130: 1,1,1-Trichloroethane and Four Other Industrial Chemicals

https://www.iarc.who.int/news-events/iarc-monographs-volume-130-111-trichloroethane-and-four-other-industrial-chemicals/

オンライン発行

1,1,1-トリクロロエタン :グループ2A

1,2-ジフェニルヒドラジン、ジフェニルアミン、N-メチルアクリルアミド、イソフォロン:グループ2B

 

[フィンランド食品局]小さい子どもに与える時には紙ストローの使用を監視するように

Supervise the use of a paper straw when feeding small children

August 16/2022

https://www.ruokavirasto.fi/en/private-persons/information-on-food/elintarviketiedotteet/supervise-the-use-of-a-paper-straw-when-feeding-small-children/

食品局Ruokavirastoは紙ストローによる窒息ハザードに関するいくつかの報告を受け取った。乳児が液状の食品と一緒に包装されていた紙ストローを口に入れ、噛んだり吸ったりすることで壊れ、窒息ハザードとなった。紙を飲み込めば化学ハザードの可能性もある。

各種粥状食品、ジュース、スムージーなどに紙のストローがついていることがある。食品局は小さい子どもの保護者に対して警告し、紙ストローで食べる食品は窒息を防ぐための監視下でのみ提供すること。

 

[ASA]ASA裁定

-ASA Ruling on MOS Media Ltd

17 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/mos-media-ltd-a22-1149897-mos-media-ltd.html

ビタミンB12注射を宣伝していた美容クリニックと、その広告を掲載していた雑誌のSNSアカウントでの広告が処方薬の一般への宣伝で基準違反。クリニックと雑誌社両方が違反

 

-ASA Ruling on Outside In (Cambridge) Ltd t/a Lumie

17 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/outside-in--cambridge--ltd-a22-1148383-outside-in--cambridge--ltd.html

ランプの光を「ビタミンL」として健康効果を宣伝。ビタミンLは存在しないが、消費者は広告によって実在するビタミンでそれを吸収すると健康に良いと誤解する可能性がある。

広告基準違反

 

-ASA Ruling on Sensilab d.o.o.

17 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/sensilab-d-o-o--g22-1157038-sensilab-d-o-o-.html

痩せた若い女性がさらに痩せようとする減量用サプリメントの宣伝がボディイメージに関する不安を悪用したもので無責任で基準違反。「お腹の脂肪を50%減らす」「ヒップのサイズを6cm減らす」といった宣伝は基準違反で「脂肪を溶かす」などの宣伝の根拠は無く認可されていない

 

-ASA Ruling on Wild Drinks Group Ltd t/a Whisp Drinks

17 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/wild-drinks-group-ltd-a21-1129023-wild-drinks-group-ltd.html

アルコール飲料の「二日酔いしない」という宣伝は病気の予防や治療効果の宣伝に該当し、基準違反。さらに過剰飲酒を促す内容は社会的に無責任

 

[FAO]世界の食料安全保障と栄養

Food security and nutrition around the world

https://www.fao.org/interactive/state-of-food-security-nutrition/en/

インタラクティブストーリー

空っぽのお皿の物語

(自国と比較した数値が出るようになっている)

 

 

論文

-効果があるという根拠がないにも関わらず、栄養点滴リスクがアスリートの日常になっている

IV nutrition risks becoming the norm for athletes, despite no evidence it works

16-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961732

British Journal of Sports Medicineのエディトリアルで専門家が警告

 

-毎日の塩の摂取を1g減らすと中国の脳卒中と心疾患を約900万人減らせる

1 g cut in daily salt intake could ward off nearly 9 million cases of stroke/heart disease in China

16-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961733

BMJ Nutrition Prevention & Healthに発表されたモデル研究

 

-経口アレルギー症候群はどう診断・管理すべき?

How should Pollen Food Syndrome be diagnosed and managed?

17-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961814

英国アレルギー&臨床免疫学会標準ケア委員会が経口アレルギー症候群の診断と管理のガイドラインを開発し、Clinical & Experimental Allergyに発表した。ピーナッツ、木の実、果物への一次アレルギーとの識別が必須である。

 

-より健康的な食品は地球により良い、大規模研究が発見

Natureニュース

Healthier foods are better for the planet, mammoth study finds

10 August 2022  Freda Kreier

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02160-6

57000の複数成分からなる食品の懐石は、どれが環境影響で最善と最悪かを明らかにする

英国とアイルランドで販売されている57000以上のアイテムの解析から、より健康的で栄養価の高い食品の方が低い食品より持続可能で環境に優しい傾向があることを発見した。

8月8日にPNASに発表された大規模研究は、個々の食品ではなく複数成分からなる製品の環境影響を推定した初めてのものの一つである。共著者のOxford大学の環境科学者Michael Clarkは、この研究が消費者が商品の栄養と持続可能性の両方を比較するのに役立つだろうという。Clarkは一つの面で良いものは一般的に他の面でも良い、という。環境には良いが健康には悪いものを選ぶ必要は無い。

小麦や大豆などの作物の環境影響に関する情報はあるが、あなたが食料品店に買い物に行くとき、小麦を買うわけではない。わかりやすい格付けシステムを作るためにClarkらは英国主要スーパーマーケットチェーンで販売されている数千の製品の個々の成分を推定するアルゴリズムを使った。それから食品アイテムに、100g中の成分の影響を組み合わせて100が最悪になる環境スコアをつけた。考慮した要因は温室効果ガスの排出や土地の使用などである。

チームはラムやビーフを含む製品―すぐ食べられるミートパイのような-が最も環境影響が大きく、鶏肉製品の3倍になることを発見した。影響が少ないのは植物製品で、パン、果物、野菜、穀物、砂糖の多い飲料などだった。環境スコアと栄養情報を組み合わせて、より健康的食品が環境影響が低い傾向にあることを発見した。例外はある:ナッツとシーフードは栄養スコアは良いが環境影響は高い。

もと論文オープンアクセス

Clark, M. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 119, e2120584119 (2022).

https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2120584119

(環境影響の指標は温室効果ガスの排出、土地の使用、水ストレス、富栄養化ポテンシャルの4つのみで加工や輸送は考慮されていない模様。栄養はNutriScore(肥満の国民向け)

製品の成分表示には通常割合は記載されていないので類似の商品からの推定でしかない。100gあたりでの比較なので実際に食べる量にすると変わる。水分が多いとスコアが良くなる、だからビーフジャーキーが最悪と評価される。こんなめんどくさいわりにあまりぱっとしないこと考えるより食べ過ぎないのがいいのに)

 

その他

-EUは食品添加物のエチレンオキシド規則を強化する

EU to tighten ethylene oxide rule for food additives

By Joe Whitworth on August 16, 2022

https://www.foodsafetynews.com/2022/08/eu-to-tighten-ethylene-oxide-rule-for-food-additives/

欧州委員会は食品添加物のエチレンオキシドの存在を巡る規則を変更する予定である。

食品添加物中のエチレンオキシドの由来が明確でないため現行の規則を執行するには課題があった。EUでは食品の殺菌のためのエチレンオキシドの使用は許可されていない。

問題がは2020年9月にインド産ごまで始まった。2020年はRASFF警告のほとんどはごま製品だったが、2021年と2022年はローカストビーンガムやグアガム、キサンタンガム、食品サプリメントやスパイスなど多様な製品が報告された。

これまで少なくとも6回の欧州レベル会合があり、いくつかの国がこの問題の取り扱いに懸念を表明している。エチレンオキシド事件は、2021年警告協力ネットワーク報告によるとEU史上最大の食品リコールである。

現在の法のギャップを埋める

EUの立場は、エチレンオキシドを含む添加物ローカストビーンガムを含む製品は消費者を守るためにリコールあるいは店頭回収する必要がある、である。そのため数千のリコールが行われた。最近の事例がGeneral Mills Häagen-Dazsアイスクリームで、これは約80カ国に販売されている。現在のEU規則ではエチレンオキシドは食品添加物の殺菌に使ってはならない。しかしながら全ての添加物に定量限界があるわけではなく、一部の添加物では0.2 mg/kg以上のエチレンオキシドを処理基準としている。

これまで多様な食品を作るのに使われる多数の食品添加物がエチレンオキシドを含むとRASFF通知されている。こうした報告と加盟国の公的管理からの情報に基づいて、欧州委員会は、汚染リスクから公衆衛生を守るためある種の国から欧州に入る動物由来でない商品のための対策を確立した。しかし執行には問題があった、エチレンオキシドの存在が食品添加物の殺菌のために使用されたもの由来なのか他の理由によるものなのか区別するのは難しかったからである。

添加物の規制強化

この困難を避けるため、欧州委員会は、その由来にかかわらず、エチレンオキシドの存在は食品添加物には認められないとするのが適切だと言った。食品添加物のエチレンオキシドのMRLは定量限界とすべきである。つまり妥当性を確認された管理法を使ったルーチンの監視で現在定量できる最小の残留濃度である。

新しい規則ではエチレンオキシドと2-クロロエタノールの合計で0.1 mg/kg以上の残留は、食品添加物混合物を含む食品添加物に存在してはならない。この規制は9月から適用される。技術の進歩により最大量は将来再検討される

(EUの公式情報ではないけれど)

 

-農家は気候変動と戦えるか?新しい米国の法はやってみるために数十億ドルを与える

ScienceInsider

Can farmers fight climate change? New U.S. law gives them billions to try

16 AUG 2022 BY ERIK STOKSTAD

https://www.science.org/content/article/can-farmers-fight-climate-change-new-u-s-law-gives-them-billions-try

肥料と家畜からの排出を削減することが鍵となる、と科学者は言う

本日署名されたインフレ抑制法には、歴史的な気候条項があり、クリーンな電力や電気自動車への多額の助成金が含まれる。また森林保護と気候に優しい農業推進のために250億ドル以上を支出する。その内容は不耕起栽培や土壌保護のためのカバー作物などが含まれる。研究者や環境団体、農業団体はこれらの対策を行う農家に支払いと訓練をすることは土壌の健康と水の空気の質の改善に役立つだろうという。しかしそれがどのくらい地球温暖化抑制に寄与するかは不明である

Woodwell気候研究センターの土壌科学者Jonathan Sandermanは気候への利益は肥料や家畜からの排出抑制のような他の方法のほうが大きいだろうという。またPrinceton大学の気候と農業の専門家Tim Searchingerは気候にとって利益となる農業のやり方についてはさらなる研究が必要だという

家畜に対してはUSDAが飼料の工夫で乳牛などからの排出を抑制する計画に85億ドルを与えているが、メタンをカットする添加物3-NOPは欧州で認可されているものの米国ではFDAが医薬品とみなしているため認可が遅れている。

多くの気候活動家が主張している最も費用対効果の高い気候対策は単純に家畜を減らし農地を減らすことだ。

 

-SMC NZ

Covid-19に感染していないニュージーランド人は何人?-専門家Q&A

How many New Zealanders haven’t caught Covid-19? – Expert Q&A

17 August 2022

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2022/08/17/how-many-new-zealanders-havent-caught-covid-19-expert-qa/

ニュージーランドのオミクロン第二波が和らぐ中Covid-19になっていない人は少数派なのか?

Te Pūnaha Matatiniとカンタベリー大学Michael Plank教授

真の感染者数はわからない。感染率はおそらく40%と65%の間のどこかだろうと報告されている。

環境科学研究所遺伝学主任科学者Mike Bunce教授

先週の公式感染者数は約162万人である。これは真の数より過小であることを知っている。保健相は抗体プロファイリングによる感染歴調査を計画している。英国ではこの方法で95%異常がパンデミック中にSARS-CoV-2に暴露されたことを示した。集団免疫を予想するのは難しい。ウイルスも変わり続ける

(NZの人口約500万人なので162万人の感染確認だけで32%。ロックダウン解除から半年ちょっとしか経ってないのに。ワクチン接種率が高くてこれ、ということはロックダウンの反動?)

 

-「オミクロンはまだ終わっていない」:NZの最も長いCovid-19ロックダウンから1年

'Omicron's not done with us': A year on from NZ's longest Covid-19 lockdown

Rowan Quinn,  17 August 2022

https://www.rnz.co.nz/news/covid-19/473007/omicron-s-not-done-with-us-a-year-on-from-nz-s-longest-covid-19-lockdown

ニュージーランド最長のCovid-19ロックダウンから1年たち、疫学者はもっとうまくやる準備をしなければさらなるロックダウンは除外できない、という

2021年の8月17日にニュージーランドはデルタ株の到来によるレベル4警戒に入った。それが12月まで続くとは思いもしなかった。オークランド市は予防接種が進むまでロックダウンを続け、批判者はもっと早くすべきだったという。オークランド大学の疫学者Rod Jacksonは予防接種対象者の95%以上の接種を目標にするように強く主張した。多くはそれを達成した。

政府は将来のCovid-19計画にロックダウンの選択肢はないと言うがJacksonは最悪の場合はロックダウンしかないという

 

-FDAは検査した米国の食品の59%に残留農薬が含まれるという

FDA says 59% of US foods tested contain pesticide residues

AUGUST 11 2022  CAREY GILLAM

https://www.thenewlede.org/2022/08/fda-says-59-of-us-foods-tested-contain-pesticide-residues/

FDAは国産の96.8%、輸入の88.4%がMRL基準を守っていると言うが基準が疑わしい

(FDAの報告を受けてのEWGのサイトでの環境活動家(自称ジャーナリスト、グリホサートで大活躍)CAREY GILLAMの記事。(合成)農薬は危険だからゼロでなければならない、だからオーガニックを買えという人たち)