2022-08-22

[EU]RASFF 2022(0814-0820)

警報通知(Alert Notifications)

エジプト産ベルギー経由粉末マジョラムのエチレンオキシド、ドイツ産ポーランド及びリトアニア経由ラテックス製の矯正処置由来N-ニトロソアミン類化合物の溶出、イスラエル産ミントの未承認物質クロルフェナピル及びジメトエート、スペイン産メカジキの水銀、オーストリア産ハンガリー経由乳児用シリアルベース食品のオクラトキシンA、トルコ産チーズ風味ピーナッツのアフラトキシン、ロシア産食品サプリメントのクロルピリホス、インド産ドイツ経由フェヌグリークの葉のクロルピリホス、インド産ドイツ経由クルクマのクロルピリホス、セネガル産ピーナッツオイルのクロルピリホス-エチル、

注意喚起情報(information for attention)

ボスニアヘルツェゴビナ産スライスした有機野生ニンニクの多環芳香族炭化水素、トルコ産粉末スマックの未承認着色料スーダンⅣ・着色料アゾルビン(E122)の未承認使用及び4R/コチニールレッドA(E124)の未承認使用、オーストラリアのウェブショップで欧州に販売されていた新規食品マキベリー粉末 (Aristotelia chilensis) 、

通関拒否通知(Border Rejections)

エジプト産オレンジのクロロプロファム、アルゼンチン産茹でて割ったピーナッツカーネルのアフラトキシン、、インドネシア産ホールナツメグのアフラトキシン、中国産ナイロン製ヘラの一級芳香族アミンの溶出、ブラジル産鳥餌用ピーナツのアフラトキシンB1、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン、

 

[EFSA]意見等

-特定栄養素の耐容上限摂取量の改訂のための摂取評価プロトコール

Protocol for the intake assessments performed in the context of the revision of Tolerable Upper Intake Levels for selected nutrients

EFSA Journal 2022;19(8):e200801  18 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/e200801

(技術的報告書)

欧州委員会の要請で、EFSAは、葉酸/葉酸塩、鉄、セレン、マンガン、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンE及びβカロチンの耐容上限摂取量の更新を求められた。ビタミン類とミネラル類のUlsを設定・適用するEFSAのNDAパネルのガイダンス案によると、リスク評価にはリスクキャラクタリゼーションに情報提供するための摂取評価段階を予測している。このプロトコールは、EFSAの包括的食品摂取データベースとEFSAの食品成分データベースで入手可能なデータに基づき、欧州人でこれらの微量栄養素の摂取を評価するのに使用される方法論を述べている。特に食品への添加 (「強化食品」)や食品サプリメントへの使用から生じる栄養素の摂取に関する補完的情報源が確認された。この文書は全ての栄養素に適用される一般的なアプローチを概要している。必要であれば、個々の栄養素の特性に対処するために補完される。

 

-EFSAは新しい首席科学官を発表

EFSA announces new Chief Scientist

17 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/news/efsa-announces-new-chief-scientist

欧州食品安全機関(EFSA)は新しい主席科学官にCarlos Gonçalo das Neves氏を任命した。Das Neves氏はポルトガルとノルウェーにルーツを持ち、現在ノルウェー獣医学研究所(NVI)の研究・国際化担当ディレクターとノルウェー北極大学(UiT)の保健科学部教授を兼任していて2022年11月1日に新しい任務に着く予定である。Das Neves氏は以前NVIでウイルス学部長と食品安全&新興脅威部長を務めていた。獣医学の博士号を持ち、彼の研究及び教育分野は、動物の健康、生物多様性、新興脅威、ワンヘルスなどである。

 

論文

-コロイド銀製品の毒性とフィンランドでの宣伝文句

Toxicity of colloidal silver products and their marketing claims in Finland

Veera Leino et al,

Toxicology Reports Volume 8, 2021, Pages 106-113

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214750020304662

・コロイド銀中銀ナノ粒子と銀イオンは有害である

・コロイド銀のインターネットでの宣伝には虚偽の主張が含まれる

・企業や使用者がコロイド銀の服用を勧めている

・ウェブサイトやフェイスブックで表明されている当局への不信が介入を無効化している

 

-「永遠の化合物」の壊し方:安価な方法がPFASを分解する

Natureニュース

How to destroy ‘forever chemicals’: cheap method breaks down PFAS

18 August 2022  Giorgia Guglielmi

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02247-0

これら難分解性物質の廃棄にはしばしば高圧高温が必要

研究者らが、現在の厳しい方法より簡単に安価にできる分解法を開発した。Science

 

-THE LANCET

不確実性の時代:若者の精神衛生

An age of uncertainty: mental health in young people

EDITORIAL| VOLUME 400, ISSUE 10352, P539, AUGUST 20, 2022

2006年に生まれた人は大不況と緊縮政策の中で育ち、パンデミックにより学校生活を攪乱され社会的孤立、生活費危機、欧州戦争、そして気候変動を受け入れなければならない。歴史的に大きな変動は多々あったがそうした時代の若者の精神的健康に関する根拠は乏しい。このような不確実な時代の若者のメンタルヘルスについて我々はどう考えるべきなのか?

今週号の若者の鬱セミナーではAnita Thaparらがメンタルの病気はスペクトルとして見ることの重要性を示す。

ほとんどの精神疾患は子どもの頃には希で青年期に増え、24才まで続く。頻度推定は多様だがピークは高所得国では17-19才のようだ。

パンデミック期間中の2年以上の社会的孤立で若者が不幸、無価値、恐れの感情を抱くのは当然である

(一部のみ。若い人にこの世の終わりみたいなことばかり吹き込むのは悪手なんだけど、脅迫する人たちは多い)

 

がんを予防する:唯一の前へ進む方法

Preventing cancer: the only way forward

Diana Sarfati, Jason Gurney

THE LANCET COMMENT| VOLUME 400, ISSUE 10352, P540-541, AUGUST 20, 2022

増え続ける世界のがんの負担は現在のがんコントロール能力を急速に超えている。2020年に新たにがんと診断された人は世界で1900万人以上で、1000万人ががんで死亡した。2040年までにそれは3000万人と1600万人に増加すると予想される。

(GBD研究について)

(最新がん統計https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

によると日本で2019年に新たに診断されたがんは999,075例、2020年にがんで死亡した人は378,385人。死因となったがんは肺、大腸、胃、膵臓、肝臓の順。今回のGBDでは日本のRisk-attributable cancer deathsは喫煙29.1、飲酒4.9、塩の摂りすぎ1.4、高BMI2.8(%)等となっている。つまりタバコで約11万人、飲酒で18540人ががんで死亡した計算。この状況で、財務省が若い人に酒飲まそうとする。)

 

パンデミックの準備は、政策決定者が社会科学者と一緒に働く必要があることを意味する

Pandemic preparedness means policy makers need to work with social scientists

Martyn Pickersgill et al.,

THE LANCET COMMENT| VOLUME 400, ISSUE 10352, P547-549, AUGUST 20, 2022

例えばワクチン接種推進のために、特に接種したがらない集団はどういうものでどう対応すればいいのかといったことを社会科学者が知見を提供できる

 

その他

-何度目かわからないネス湖の怪獣の復活

The Umpteenth Resurrection of the Loch Ness Monster

Jonathan Jarry M.Sc. | 17 Aug 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/critical-thinking/umpteenth-resurrection-loch-ness-monster

モロッコで発見された化石が、ネッシーが存在したかもしれないという主張に変わった。このスコットランドの伝説は実際には人気映画に由来する。

最近古いネッシーのニュースがソーシャルメディアで流行した。BBCですら「アフリカの化石がネス湖に怪獣がいた可能性を示す」と主張する。

私はこれまでマウスの実験でがんの治療法が見つかったと主張するレポーターには見慣れている。この「信じがたい発見」はネス湖に怪獣がいる可能性を少しも上げない。ネッシーの神話は1933年の有名な映画で生まれた。

1933年にあなたは生まれていなかったとしても、この映画の白黒のストップモーションアニメーションの一場面を見たことがあるだろう。映画の名前はキングコング。コングは恐竜の多く住む髑髏島に住んでいて、問題のシーンはVenture号の乗組員がそのうちの一頭に出会うところである

(以下映画とネス湖周辺での逸話とが混ざってネッシーになった話、ネッシーを探して失敗し続けた歴史等)

突然ネッシーが話題になった理由はモロッコのかつて淡水の川だったところでプレシオサウルスの化石が見つかったという論文である。その論文ではネッシーに言及してはいないが、Bath大学のプレスリリースが、おそらくメディアの気を引こうとしてネス湖の怪獣に言及した。それは成功した。

 

-なんと!B12サプリメントにシアン化物。ほんと

Oh My, There is Cyanide in B12 Supplements. Really.

Joe Schwarcz PhD | 17 Aug 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/critical-thinking-health-and-nutrition-pseudoscience/oh-my-there-cyanide-b12-supplements-really

B12サプリメントのシアン化物量は心配するようなものではない。真に心配なのは誤解を招く偽の専門家である

人生にはたくさんの心配事があるが、ビタミンB12サプリメントのシアン化物はその一つではない。何故これを取り上げたか?「あなたの子どものビタミンに含まれる有害成分」という動画が出回っているからだ。この動画では一人の男性が「信じられないかもしれないが我が国ではシアン化水素からビタミンを作ることが許されているのだ」という。男の名はGary Breckaといい、カイロプラクティック大学の人間生物学を卒業したので「人間生物学者」だと自称している。

確かにB12サプリメントにはシアン化物が含まれるが、それを怖がるのはナンセンスである(以下シアノコバラミンの説明略)

基本は?ビタミンB12サプリメントのシアン化物を心配する理由はないが、科学についていいかげんな理解しかしていないでお金儲けのために人々に警鐘を鳴らす自称インチキ専門家には警戒する理由がある。

 

-State Farm(保険会社)はニュージャージーのカイロプラクター、医師による260万ドルの自動車保険金詐欺を訴える

State Farm Alleges $2.6M Auto Insurance Fraud by New Jersey Chiropractors, Doctors

August 5, 2022

https://www.insurancejournal.com/news/east/2022/08/05/678910.htm

State Farmは、2014年以降のニュージャージーの個人傷害保険法を悪用した詐欺的医療と戦うという。

傷害の程度に関わりなく全ての患者に「事前に決めた手順」で必要の無い処置をした。医師は文書を偽造した

(日本でもよくあって。https://www.tosyoku.org/jusei_seikyu/。怪我や病気なら整形外科に行った方がいい)