2022-09-01

[ヘルスカナダ]国際オーバードーズ啓発デーに、保健大臣と精神衛生及び依存保健副大臣からの声明

Statement from the Minister of Health and the Minister of Mental Health and Addictions and Associate Minister of Health on International Overdose Awareness Day

August 31, 2022

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2022/08/statement-from-the-minister-of-health-and-the-minister-of-mental-health-and-addictions-and-associate-minister-of-health-on-international-overdose-a.html

8月31日は国際オーバードーズ啓発デー

2021年に最悪を記録したカナダは毎日約21人がオピオイド関連オーバードーズで死亡した

(日本はこれがあまりないのは幸いなので、その文脈で大麻のことを考えるべき。)

 

[ヘルスカナダ]修正通知

-乳幼児向けコメを主原料とする食品中の無機ヒ素の最大基準値を追加するための修正通知

Notice of Modification to Add a Maximum Level for Inorganic Arsenic in Rice-based Foods Intended Specifically for Infants and Young Children

August 17, 2022

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/notice-modification-maximum-level-inorganic-arsenic-rice-based-foods-infants-young-children.html

 ヘルスカナダは2022年8月17日より、乳幼児を特に対象としたコメを主原料とする食品中の無機ヒ素の最大基準値(ML)として0.1 ppm(亜ヒ酸塩/As IIIとヒ酸塩/As Vの合計として)をList of Contaminants and Other Adulterating Substances in Foodsパート2に新たに追加し、発効した。

 

コメを主原料とする乳幼児用コメ食品中のヒ素に関するリスク評価のための評価

Assessment in Support of Risk Management for Arsenic in Rice-Based Foods Intended for Infants and Young Children

https://open.canada.ca/data/en/dataset/3b62274a-b926-4eea-9bee-9bb3a5bb2377

 ヒ素のハザード同定とハザードキャラクタリゼーションは、欧州食品安全機関(EFSA)、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)及び米国FDAの報告を参考にした。そのうちJECFAが肺がんをエンドポイントに導出したBMDL0.5 3 μg/kg体重/日を採用し、CFIAとヘルスカナダが2008年から2013年に調査した食品中の汚染実態データ及び2004年の食品摂取量データをもとに暴露量を推定した上で、カナダ国民の食品を介した無機ヒ素の暴露マージン(MOE)を算出したところ、11から43の範囲であり、特に小さい子供で小さかった(MOE:1歳未満17、1-3歳11、4-8歳14)。暴露への寄与度が高かった食品は、1才未満ではコメシリアル(寄与度17%)、1-3歳と4-8歳ではともに果実ジュース(18-22%)とコメ(11-12%)であった。

 カナダで販売されるコメを主原料とする乳幼児用食品中の無機ヒ素の最大基準値(ML)は、米国FDA(乳児用コメシリアルのアクションレベル)とEU(乳幼児用食品向けのコメのML)がすでに設定したML 100 ppb(0.1 ppm)を候補にして、CFIAが調査した2010-2014年、2019-2020年の汚染実態データをもとに実行可能性を考慮して検討した。その結果、当該品目中の無機ヒ素のMLを100 ppbとしても容易に達成可能であることが示された。玄米シリアルと玄米を原料にした製品では適合率が精米製品よりも下がるものの、無機ヒ素が少ない地域からコメを調達することにより100 ppbのMLを満たすことができるだろう。

 最終的にヘルスカナダは、コメを主原料とした乳幼児用食品中の無機ヒ素のMLを100 ppbと決定した。このMLは「合理的に達成可能な限り低く(ALARA)」原則に則っており、また米国FDAのアクションレベルやEUのMLにも一致している。

 

-果実ジュースと果実ネクターに含まれる総ヒ素量の最大基準値をList of Contaminants and Other Adulterating Substances in Foodsパート2に更新するための修正通知

Notice of Modification to Update the Maximum Level for Total Arsenic in Fruit Juice and Fruit Nectar to Part 2 of the List of Contaminants and Other Adulterating Substances in Foods

August 17, 2022

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/notice-modification-maximum-level-total-arsenic-fruit-juice-nectar.html

 ヘルスカナダは2022年8月17日より、List of Contaminants and Other Adulterating Substances in Foodsパート2を改定し、総ヒ素のMLの対象品目のうち「飲料品、果実ジュース、果実ネクター」を「飲料品(果実ジュース、果実ネクター、ブドウジュース及びブドウネクターを除く)へ変更した上で、新たに無機ヒ素のMLとして果実ジュース(ブドウジュースを除く)と果実ネクター(ブドウネクターを除く)を対象に0.01 ppm、ブドウジュース及びブドウネクターを対象に0.03 ppmを追加し、発効した。これらのMLは全て消費される状態の製品に適用され、亜ヒ酸塩/As IIIとヒ酸塩/As Vの合計とする。

 

果実ジュース及び果実ネクター中のヒ素の最大基準値の変更に関するリスク評価のための評価

Assessment in Support of Changes to the Maximum Level for Arsenic in Fruit Juice and Fruit Nectar

https://open.canada.ca/data/en/dataset/36868800-ca97-4dd8-8891-78ab54ee23bc

(前記事のMOE評価までは同様なので省略)

 果実ジュースは、カナダの1-8歳の子供における無機ヒ素への暴露に大きく寄与しており、この製品を対象にした措置が暴露量の低減につながる。カナダでは、これまで飲料品、果実ジュース、果実ネクターに対して総ヒ素のML 0.1 ppm(100 ppb)を設定していたが、汚染実態調査の結果からより低いMLにしても達成可能であること、米国FDAがリンゴジュース中の無機ヒ素のアクションレベルとしてより低い10 ppbを設定していることなどを受け、MLの引き下げについて検討した。

 ヘルスカナダは、米国FDAのアクションレベルと同じ10 ppbをMLの候補とし、カナダで販売されていた果実ジュース及び果実ネクター中の無機ヒ素に関する2009-2016年の汚染実態データをもとに実行可能性を考慮して検討した。その結果、ブドウ製品を除き、果実ジュース及び果実ネクター中の無機ヒ素のMLを10 ppbとしても適合率は95%を超え、容易に達成可能であることが示された。一方、ブドウ製品については、10 ppbでは適合率が67.0%と低くなることから、合理的に達成可能なML案を模索したところ、30 ppbであれば95%以上の適合率を容易に達成できることが示唆された。

 最終的にヘルスカナダは、ブドウ製品を除く果実ジュース及び果実ネクター中の無機ヒ素のMLを10 ppb、ブドウジュース及びブドウネクターのMLを30 ppbと決定した。このMLはALARA原則に則っており、また米国FDAのアクションレベルにも一致している。

 

[WHO]ナノおよびマイクロプラスチック粒子の食事及び吸入曝露とヒト健康への意味

Dietary and inhalation exposure to nano- and microplastic particles and potential implications for human health

30 August 2022

https://www.who.int/publications/i/item/9789240054608

新興汚染物質としての環境中のマイクロプラスチックが人々の関心を集めている。マイクロプラスチック粒子、ポリマーからモノマーや添加物、吸着される汚染物質やバイオフィルムに至るまで、の健康影響について質問された。そこでWHOは2019年8月に飲料水中マイクロプラスチックについてのレビューを行い報告書を発表した。マイクロプラスチック暴露に関連する健康リスクの可能性を評価するWHOの努力を続けるために、食品、水、空気を含む環境からの暴露を調べるプロジェクトが行われた。2019年に集められた国際専門家の支援を得て、2021年12月までに入手可能だったデータをレビューした。この結果、WHOは必要な研究と、現在の不確実性に対処するために必要な将来の仕事の展望を示した。

(報告書ダウンロード)

リスクを評価するにはデータが足りない

・暴露に関して

研究の質に懸念がある。実験室でのコンタミの調査、一貫した分析法、標準法が必要である。10マイクロメートルより小さい粒子の定量とキャラクタリゼーションが重要だが、それを抽出・分離・妥当性確認するのに相当な課題がある。粒子が小さくなればなるほどバックグラウンドのコンタミが増えるだろうことが予想されるのでしっかりした品質保証と品質管理が必要である。

(屋内空気の粒子濃度の1583 ± 1181MP/m3とかいう数字に比べて食品中の魚一匹あたり数個といった数字を恐ろしいと思えるか?(一日に吸う空気の量約10 m3))

・疫学研究

文献は限られ質が不適切

・動態

吸入や飲み込まれた粒子の多くは排出され組織暴露は限定的であろう。体内への取り込みの可能性は粒子サイズが小さいほど大きくなる

粒子が生物的バリアを超える可能性を含む分布や取り込みに関する情報が不足している。

現在のin vitroモデルではin vivoの状況を予想できない

・毒性

吸入や食事暴露のデータはポリスチレンビーズの研究に限定される

入手可能なデータは不十分でQA/QCが適切に考慮されていないことが懸念

(確実に言えることが何一つない)

 

[WHO]鉛中毒

Lead poisoning

31 August 2022

https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/lead-poisoning-and-health

ファクトシート

 

-飲料水中鉛:健康リスク、監視、是正措置

Lead in drinking-water: Health risks, monitoring and corrective actions

31 August 2022

https://www.who.int/publications/i/item/9789240020863

技術的概要文書

 

[IARC]小児がん啓発月間2022

Childhood Cancer Awareness Month 2022

31 August 2022

https://www.iarc.who.int/news-events/childhood-cancer-awareness-month-2022/

9月は小児がん啓発月間

 

[ProMED]食中毒-カナダ:(オンタリオ)トリカブト中毒疑い

Foodborne illness - Canada: (ON) aconite toxicity susp.

2022-09-01

https://promedmail.org/promed-post/?id=8705336

Date: Tue 30 Aug 2022 Source: Global News [edited]

オンタリオ州Markhamのレストランで食事をした後12人を病気にし4人を集中治療室送りにした原因は植物毒素であると疑われている。2022年8月27-28日にDelight Restaurant & BBQで食事をしたりテイクアウトや配達を食べて具合が悪くなった人は医師に相談するように。保健当局は調査を行っている。意図的に毒素を与えたと疑う理由はない。

(別の報道によるとチキン料理のスパイスとして使ったらしい)

 

[ASA]ASA裁定

-ASA Ruling on Unilever UK Ltd

31 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/unilever-uk-ltd-a22-1150985-unilever-uk-ltd.html

ユニリーバのPersil洗剤のテレビ広告の「地球に優しい」の根拠が問われた。同社は温度をあげなくてもシミが落ちることとプラスチック容器が最低50%リサイクル原料を使っていることをあげた。広告基準では環境クレームは明確でなければならないとし、「よりグリーン」や「より優しい」のような文言はその製品の総環境負荷に関するベネフィットと比較を明確にした上でなければならない。宣伝の「より優しいkinder」というクレームは曖昧で広告には他の個人による行動も含まれ明確ではない。従って基準違反。

 

-ASA Ruling on Centre For Medical Sciences & Research Ltd

31 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/centre-for-medical-sciences---research-ltd-a22-1149847-centre-for-medical-sciences--research-ltd.html

ウェブサイトwww.cfmsr.org.ukでロンドンの医学校MEDICAL SCHOOLやロンドンの主導的臨床スキルと美容医学トレーニング提供者と宣伝している。Medical Schoolという言葉は医師になるための教育機関と誤解されるので違反。事業者側はウェブサイトのドメンがac.uk.ではないので誤解されない等と主張。

 

[CCDC]CHINA CDC Weekly Vol. 4 No. 34 Aug. 26, 2022

https://weekly.chinacdc.cn/fileCCDCW/journal/img/cover/c669385e-b808-4681-a7a7-fc9433d20de6.pdf

食物アレルギー特集号

中国のアレルゲンとなる食品として多いのは

エビ、マンゴー、貝、卵、魚、牛肉、ミルク、ヒツジ肉、ピーナッツ、大豆、カニ、ナッツ、ごま、小麦の順

(マンゴーとマトンが中国っぽい)

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 213-22

1 September 2022

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20213-22.aspx

新規申請と提案

・ハリナシミツバチの蜂蜜 

オーストラリア固有種のハリナシミツバチの蜂蜜が含まれるように蜂蜜の定義を改訂する提案

改訂No.211

加工助剤としてのセチルピリジニウム塩化物、食品基準の分類見直し等

 

その他

-Natureニュース

がん死の約半分は防げる

Almost half of cancer deaths are preventable

31 August 2022  Giorgia Guglielmi

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02355-x

喫煙と飲酒と肥満が世界のがんの最大寄与要因であることをデータが示す

200カ国以上のがんの患者数と死亡者の推定から、研究者らが2019年の450万人のがん死亡の避けられるリスク要因をみつけた。がんに最も大きく寄与するのは喫煙、飲酒、肥満である。

The Lancetに発表されたこの研究は、これまでの研究を概ね再確認する。覚えておいて欲しいことはシンプルで、「タバコを吸わない、体重を増やしすぎない、お酒を飲み過ぎない」である。

(これさえできたら他のあらゆる発がん物質対策はしなくていいのに)

 

オンラインハラスメント:あなたを嫌がらせから守るツールキット

Online harassment: a toolkit for protecting yourself from abuse

30 August 2022  Bianca Nogrady

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02766-w

科学者はソーシャルメディアでの問題を予防あるいは先手を打つ実践的対策をとることができる

政治的あるいは社会的に関心の高い分野で仕事をしている多くの科学者にとって、オンラインでの攻撃への対策は必要なことである。例えばCOVID-19パンデミックは前例のないデマと陰謀論の洪水であるインフォデミックを伴い、科学者や公衆衛生専門家へのオンラインハラスメントや攻撃が急増した。こうした嫌がらせは科学者のコミュニケーション意欲を削ぎ、そしてそれこそが嫌がらせをする人たちの目的である。科学者は社会にとって重要な役割を持つが故に標的にされる。「あなたが標的にされるのは悪いことをしたからではなく、良いことをしたからである」。オンラインハラスメントは気候変動や銃規制、ワクチン、慢性疲労症候群の研究者らにこれまでも相当な影響を与えてきたが、パンデミックではこれまで攻撃されたことのない多くの科学者にも攻撃があった。

科学においては過熱した議論や疑問の提示などは珍しいことではなく必要なことである。では疑問の提示とハラスメントの境目は何だろうか?サイバー心理学の研究者Evita Marchは害を与えようとする意図が最大の赤信号であると言う。いくつかのオンラインハラスメントの形はOnlineSOSのガイダンスにリストされている。

https://onlinesos.org/action-center/category:identify

嫌がらせを避け緩和するための対応としては:

・オンラインアカウントには二段階認証を設定すること

・アカウントのパスワードはパスワードマネージャーで強化する

・ソーシャルメディアアカウントのダイレクトメッセージの設定をチェックしてあなたに連絡を取れる人を限定する

・あなたのソーシャルメディアアカウントの一般公開部分をレビューする友人を得る

・オンライン公開されている個人情報を検索して不必要なものは削除する

・自分の所属組織のウェブサイトでの個人情報をチェックしてよけいなものは削除

・ソーシャルメディアの安全性のためのオプションを使う

・嫌がらせがひどいようなら友人や同僚に相談

・スクリーンショットや紙で嫌がらせメッセージを保存する

・嫌がらせの投稿をリツイートしたりシェアしたりしない。友人にもそう伝える

・立ち去って心のケアをすることを恐れない

以下も参考

科学ツイッターの隠されたカリキュラム

https://alasdairmunro.substack.com/p/the-hidden-curriculum-of-science

基本原則

・個人ではなく問題に集中する

・怒っているときはツイートしない

・力のバランスの悪さに注意

・ブロックされたら立ち去る

合意できないことを表明する方法

ツイートの引用は暴力である

スクリーンショットは陰険

リプライする場合にはただリプライしよう

外集団

高潔ぶった虐め

赤信号

・過剰にけんか腰の言葉遣い

・脅迫や威嚇

・雇用者に言及

・個人情報の拡散

 

-オーガニックの産業化はその破綻を隠せるか

Industrialisation of organic will seal its downfall

Matt Ridley

July 2022

Science for Sustainable Agriculture

https://www.scienceforsustainableagriculture.com/copy-of-jane-langdale

「オーガニックの幸運は尽きつつある?」という最近のThe Grocerマガジンの見出しが私に考えさせる。食品小売業者は本当にオーガニックの未来を疑問視しているのか?それはどうして?生活コスト危機が、価格の高いオーガニック製品を手の届かないものにしている?もちろんそれもあるが、それは半分でしかないとMatt Ridleyは書く。

オーガニックの売り上げが減ったのは事実でそれは食品価格のインフレを反映したものである。しかし食品小売業者が懸念しているのには他の要因もある。オーガニックブランドの信頼が低下している

ウクライナ危機で食料安全保障が問題になり、収量の少ない有機栽培への疑問が大きくなったこと。マクロン大統領がEUにF2F戦略の根本的見直しを求めている。そしてスリランカの破綻に有機農業が拍車をかけたこと。さらに米国での大規模有機詐欺。さらんさらにオーガニック食品のほうが有害なカビ毒や病原性微生物汚染が多く安全上のリスクが高いと科学的根拠が示している。

オーガニックは小規模の、地元の、特定のライフスタイル市場には居場所があるだろう。世界の食料安全保障は担えない。オーガニック提唱者が世界の食料安全保障や気候変動、そして健康のためにオーガニックを、と主張すればするほどその逆の科学的根拠が出現して自傷行為になっている。

科学に耳を傾ける時だろう。

 

-SMC UK

超加工食品と心疾患、大腸がん、死亡を調べた二つの研究への専門家の反応

expert reaction to two studies looking at ultra-processed foods and heart disease, bowel cancer and death

AUGUST 31, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-two-studies-looking-at-ultra-processed-foods-and-heart-disease-bowel-cancer-and-death/

BMJに発表された二つの研究が超加工食品摂取と大腸がん、心血管系疾患、死亡リスクを調べた

Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授

これらの研究とエディトリアルが「超加工食品はこれらの病気の原因である」と解釈されたなら、それは誤解である。より正確には、超加工食品に分類されるような食品を摂取する人たちは病気のリスクがより高い、であろう。これらの研究は因果関係を示さず、他の全ての観察研究同様「相関は因果を意味しない」。

超加工食品の定義は極めて曖昧で様々な解釈がある:ときには特定の工程を指し、あるときには成分の数を指し、さらには加工の意図すら指す。例えば、同じようなパンがスーパーで販売されていると「超加工」とみなされる。この定義の曖昧さが摂取量評価を困難にする、特にこれら二つの研究のように食事に関する情報が少ない場合には。例えばこの研究ではソーセージは実際にそうではなくても「超加工」に分類されている。どちらの研究も甘いもの、炭酸飲料を含む特定の食事パターンの人の病気のリスクが高くなっている-これらはどちらも独立して疾患リスク増加に関連する。監察された関連に寄与するだろう社会経済状態に関するデータは無い。

「超加工食品」という用語は、一部の食品が「とても美味しい」以外のその背景にあるメカニズムについてのデータがほとんどないにも関わらず人気がある。その支持者の多くがこれら食品を禁止するよう呼びかけていて、タバコとの比較すらするが、その問題点を無視する。超加工食品はしばしば資源の有効活用の産物(例えばフィッシュ・フィンガー)だったり賞味期限が長く安価だったりする。それらを禁止することは食品のコストを上げるだろう。多くの場合このようなNOVA分類への固執はより健康的な食品の開発を妨げるだろう:塩、砂糖、飽和脂肪を減らした健康的な食品を作る代わりに恣意的な「加工」食品に分類されまいとして。従って過激な対策の実施を要求する前に、観察された関連の真の原因を理解することが重要である。

Aston大学医学部登録栄養士で上級教育助手Duane Mellor博士

超加工食品の概念には関心が高いが、確立された食事要因より良いかどうかは明確ではない。一つの研究は米国の過去の研究を合わせて大腸がんリスクと超加工食品を調べている。それには30年前に食べた現在とは異なる食品を超加工と分類する際にバイアスのリスクがある。この研究で一部の超加工食品の多い男性でのみ大腸がんが多いことを示唆したがそれは砂糖で甘くした飲料と加工肉で、これらは既に大腸がんリスクの増加と関連することがこの研究で報告されているものである。つまり超加工食品という分類を加えることで追加でわかることがないことを示唆する。

イタリアの研究では英国での午後9時前にテレビ広告ができるかどうかを判断するために作られた指標であるNutri-Scoreを使って、NOVAシステムを使った場合と比較している。食事パターン全体をみたほうがより適切ではないか?

超加工食品という考えは興味深いものの、これらの研究はこの定義の使用を支持する根拠としては弱い。塩や砂糖や脂肪の多い食品を制限して野菜や果物を多く食べようとすることより加工食品を避けることの方が良いかどうかはまだ明らかではない。超加工食品の定義を使うリスクは、店で買ったスポンジケーキは超加工食品だが家で作ったスポンジケーキは超加工食品ではないとすることである。どちらも砂糖と脂肪が多く毎日食べるのに理想的な食品ではない

(BMJのエディトリアルはNOVA分類を提唱しているCarlos A Monteiro教授なのでお察し。NOVA分類で食品を制限しようとする試みに反対する人たちは皆企業の手先だそう。食べやすくて美味しいものがなくなれば食べなくなる、なんて政策、賛成できる?)

 

-メディアの科学の意味を理解する:危険信号に目印

CSPI

Making sense of science in the media: Spotting red flags

August 24, 2022 By Kate Peglow and Laila Tabatabai

https://www.cspinet.org/blog/making-sense-science-media-spotting-red-flags-0

この夏のインターンシップの一環として、メディアにおける科学的根拠の使われ方を探った。我々は無数の記事やプレスリリースを読み、科学的根拠があると間違った解釈で、過剰な単純化で、その他誤用をして読者を誤解させるたくさんの主張に出会った。

科学が発表されるとそれが正確に解釈され使用されることを保証するための予防策はほとんどないことを読者の多くは知らないだろう。そこでメディアの主張を批評するために役立つ10のよくある危険信号を例とともに以下に記す。

1.動物実験やin vitroの研究は必ずしもヒトでの結果を予想しないことを説明しない記事

例 免疫系を強化する7つの食品 Everyday Health

2.その主張のもとになった研究を引用あるいはリンクしていない

例 空腹感は必ずしも頭の中だけではなく科学的根拠がある:新しい研究 Fox News

3.その主張の根拠となる統計数値を提示しない記事

 例 栄養の専門家による脳の健康に最悪の飲料と食品  Fox News

4.統計的に有意でない数字を提示して説明しない記事

 例 夕食を早く食べるとがんが予防できる? ABC News

5.絶対的差が僅かなのに相対的差だけを報道する記事

 例 COVID-19 予防にEvusheld CNN

6.小さな差から大きな主張

 例 代謝に役立つ食品 WebMD

7.誤解を招くグラフを使った記事

 例 WHOはCOVID-19の死亡率を3.4%と推定。それは全体を語っていないTime Magazine

8.真のアウトカムではなく間接的指標であることを説明しない記事

 例 新しい第III相試験でAduhelm治療とアルツハイマー病のバイオマーカーと臨床低下に正の関連 Biogen

9.観察研究の交絡要因の可能性を十分説明していない記事

 例 新しい研究は赤ワインがCOVID感染率を下げることを示唆 Wine Spectator

10.利益相反の可能性に言及しない記事

 例 アボカドと腸の健康:マイクロバイオームに良い影響があることを研究が発見 Good Gut Feelings