2022-10-03

[FSANZ]食品添加物としての二酸化チタンのレビュー

Review of titanium dioxide as a food additive

Page last updated September 2022

https://www.foodstandards.gov.au/consumer/foodtech/Pages/Review-of-titanium-dioxide-as-a-food-additive.aspx

https://www.foodstandards.gov.au/consumer/foodtech/Documents/FSANZ_TiO2_Assessment_report.pdf

概要

この報告書では、FSANZが食品添加物として使用する際の二酸化チタン(TiO2)の安全性に関する主な根拠をレビューしている。このレビューは、TiO2は食品添加物として使用する際にもはや安全とは見なせないと結論した、欧州食品安全機関(EFSA)が2021年に更新安全性評価を発表した後に開始された。この結論はEFSAや他の機関による以前の好ましい評価とは対照的である。

食品添加物としてのTiO2の安全性についての最近の懸念は主に、ナノスケール領域でのTiO2を用いた研究や、食品グレードのTiO2を溶液中で超音波処理し、強制経口投与や飲料水で投与した研究に基づいている。食品中のTiO2は超音波で分解されず、食品中のTiO2が消化管で凝集されるという根拠はなく、強制投与や飲料水を介したTiO2への暴露は食品マトリックス効果を考慮していないため、食品グレードのTiO2に対して食事暴露からのヒト健康リスクを評価するのにそのような研究の妥当性は限定される。

食品グレードのTiO2の食事投与を用いたin vivo遺伝毒性試験は今のところない。だが、他の方法(強制経口投与、腹腔内注射)で投与された食品グレードのTiO2はin vivoで遺伝毒性であるという根拠はない。さらに、食品グレードのTiO2を用いたin vitro試験で遺伝毒性の根拠は見つからなかった。食品グレードのTiO2を用いたさらなるGLP-およびテストガイドライン準拠in vivo遺伝毒性(変異原性や小核など)試験は、この結論を確認するために価値がある。

食品グレードのTiO2を10 mg/kg bw/日で超音波処理した飲料水試験で、結腸に異常陰窩巣(潜在的な前がん病変部と考えられる)が観察されたが、これらの調査結果は、より多量(最大267あるいは 1,00 mg/kg bw/日)で食事を介して投与した食品グレードのTiO2を用いた2つの試験で再現されなかった。

前がん病変部の観察は米国国立がん研究所が実施したラットとマウスのTiO2の2年間のバイオアッセイの知見とも矛盾している。この試験では最大50,000 ppmの給餌濃度で毒性や発がん性の根拠は観察されなかった。この試験で使用された検査項目が食品添加物として使用されるTiO2製剤を十分に代表していたかどうかについて疑問が生じたが、FSANZに提出された最新の未発表情報はその適合性を確認している。

最大1,000 mg/kg bw/日の用量で餌を介して投与された食品グレードのTiO2を用いたラットの最新の拡張一世代生殖毒性試験から、全身毒性、発達または生殖毒性、発達神経毒性あるいは発達免疫毒性の根拠は見つからなかった。

現在入手可能なデータを基にして、FSANZは食品グレードのTiO2の食事暴露はヒトの健康の懸念となることを示唆する根拠はないと結論した。

 

[FDA]FDAは食品表示上の「ヘルシー」の定義の更新を提案する

FDA Proposes to Update Definition for “Healthy” Claim on Food Labels

September 28, 2022

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-proposes-update-definition-healthy-claim-food-labels

米国食品医薬品局(FDA)は本日、栄養成分表示 「ヘルシー」の定義を更新する規則案を発表した。「ヘルシー」表示は、食品包装の表示上、一目でわかり、栄養に関する知識の乏しい消費者を含め、健康的な食事パターンを構築するのに役立つ食品を特定するための情報を提供する役割を果たす。本日の措置は、食生活に関連する慢性疾患を減らし、健康の公平性を高めるという、FDAの継続的な取り組みの一環である。この規則案に加え、FDAは本日の飢餓、栄養、健康に関するホワイトハウス会議に参加し、栄養と健康を改善し、すべての消費者が健康的な選択の意思決定とその利用ができるようにするための国家戦略への支持を強調した。

米国では、食事に関連する慢性疾患が死亡や身体障害の主な原因となっている。果物、野菜、低脂肪乳製品及び全粒穀物を含む健康的な食事パターンは、心血管疾患、2型糖尿病、特定の種類のがん、過体重や肥満のリスクの減少など、健康増進と関連する。情報が得られ、利用しやすい食品表示を行うことは消費者に力を与え、一部の製造業者が製品に含まれる果物、野菜、乳製品及び全粒穀物を増やし、飽和脂肪、ナトリウム、添加糖を制限すれば、より健康な食品供給を促進できる可能性がある。

「ヘルシー」の定義の変更案は、現在の栄養科学、「アメリカ人のための食事ガイドライン2020-2025」及び最新の栄養成分表示に沿ったものである。FDAのアプローチは、消費者が現在の食事に関する推奨と一致した食生活を築くのに役立つ栄養価の高い食品が、この表示をする資格を得ることができるようにすることに重点を置く。

例えば、シリアルが包装上に「ヘルシー」の表示をするためには、一定量の全粒穀物を含み、飽和脂肪、ナトリウム、加糖の制限を遵守する必要がある。ナッツ類や種子類、サーモンなどの高脂肪魚、特定の油及び水などは、現在「ヘルシー」と表示できない食品の例であるが、健康的な食事パターンの一部として食事ガイドラインで推奨されており、本日発表された定義案では「ヘルシー」表示をする資格があると考えられる。

また、これとは別に、FDAは製造業者が自社製品の「ヘルシー」表示の定義との合致を示すために、包装前面に使用できるシンボルを研究している。食品が「ヘルシー」表示の資格があることを示す標準化されたグラフィックがあれば、消費者が健康的な食事パターンを構築するのに役立つ包装済み食品をより簡単に識別できるようにするというFDAの目標をさらに後押しすることができる。

提案された定義では、食品包装に「ヘルシー」表示をするために、以下が必要である。

(https://www.fda.gov/food/food-labeling-nutrition/use-term-healthy-food-labeling)

・食事ガイドラインで推奨されている食品群又はサブグループ(果物、野菜、乳製品など)のうち、少なくとも1つの食品を一定量含んでいること。

・飽和脂肪、ナトリウム、添加糖など特定の栄養素の制限値を遵守している。制限値の基準は、その栄養素の1日の摂取量(DV)の割合に基づいており、食品や食品群によって異なる。ナトリウムの制限は、1サービングあたりDVの10%(230 mg)である。

 

[EU]RASFF 2022(0925-1001)

警報通知(Alert Notifications)

リトアニア産ダイオウイカの腕のカドミウム、英国産食品サプリメントのマカ粉末、、スペイン産ツナ缶のヒスタミン、オランダ産有機マカ粉末、フィンランド産マカ含有トレーニング前用粉末、米国産食品サプリメントのエチレンオキシド、メラミン皿のホルムアルデヒドの溶出、トーゴ産パーム油のPAH及びベンゾ(a)ピレン、米国産オランダのウェブショップ上の食品サプリメントの未承認物質ヨヒンビン(及びその他物質)、オランダ産CBDオイルのTHC、

注意喚起情報(information for attention)

子供用食器のメラミンの溶出及び籾殻の未承認使用、タイ産エシャロットのイプロジオン、エジプト産乾燥トマトのクロルフェナピル及びクロルピリホスエチル、米国産食品サプリメントの未承認物質ヨヒンビン、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン、

通関拒否通知(Border Rejections)

米国産栄養サプリメントパイレックスカプセルの二酸化チタン (E 171)、バングラデシュ産冷凍エビのマラカイトグリーン(ロイコ)、台湾産複数のメラミンFCM、中国産メラミン製ココット皿のホルムアルデヒド高値、インド産クミンシードのクロルピリホス・トリシクラゾール及びヘキサコナゾール、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン(複数あり)、インド産米のトリシクラゾール、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン、トルコ産乾燥イチジクのオクラトキシンA、トルコ産生鮮ペッパーのピメトロジン、パキスタン産ミックスピクルスの成分に未承認新規食品Trigonella corniculata、

 

[EU]SCHEER 予備的意見にパブリックコメント募集

Preliminary Opinions open for comments / public consultation

https://health.ec.europa.eu/scientific-committees/scientific-committee-health-environmental-and-emerging-risks-scheer/scheer-opinions_en

水枠組み指令優先物質の環境基準案についての科学的意見-ノニルフェノール

Scientific Opinion on "Draft Environmental Quality Standards for Priority Substances under the Water Framework Directive" - Nonylphenol

https://health.ec.europa.eu/publications/scheer-scientific-opinion-draft-environmental-quality-standards-priority-substances-under-water-7_en

2022年10月28日まで

 

[UK HSA]両親に子どもの予防接種をしない危険性を警告

Parents warned about dangers of children missing vaccines

29 September 2022

https://www.gov.uk/government/news/parents-warned-about-dangers-of-children-missing-vaccines

UK HSAは両親や保護者に子どもたちの定期予防接種をしないことの重大な健康リスクを警告

最新の予防接種統計によると5才までの子どもの予防接種率が14定期接種中13で減少している

 

[BfR]今までと違うレッスン:ドイツ連邦リスク評価研究所の消費者健康保護―若者向け

A different kind of lesson: consumer health protection at the German Federal Institute for Risk Assessment - for young people

22.09.2022

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2022/33/a_different_kind_of_lesson__consumer_health_protection_at_the_german_federal_institute_for_risk_assessment___for_young_people-308215.html

20周年を記念して、2022年10月7日、ドイツ連邦リスク評価研究所は第3回BfR大学授業として学生をベルリン・マリエンフェルデに招待する。

ハザードとリスクの違いは?タトゥーにはどのような健康上のリスクがある?さらには、マウスの知能はどのように測定されるのか?これらの質問への回答は、2022年10月7日にベルリンのマリエンフェルデで開催される第3回BfR 大学授業で10年生以上の学生に提供される。刺激的な講義が消費者の健康保護を理解する手がかりを与えるだろう。プログラムには聴講だけでなく議論への参加も含まれている。学生は質問でき、BfR長官Andreas Hensel医学博士とBfR副長官Tanja Schwerdtleがそれらに答える。「マイクロプラスチック、電子タバコ、ビーガン食のメリットとデメリットなど、BfRの研究は多種多様である。どんな質問にも喜んで答えるつもりで、若者の消費者健康保護への意識や関心を高めることを楽しみにしている」とBfR長官Andreas Hensel医学博士は述べた。

実際の消費者健康保護:第3回BfR大学授業は、研究所とその研究の知識を深める機会を学生に提供する。BfRの科学者達は、情報に富んだ面白い講義の中で日常生活で直面する可能性のある健康リスクの例を示す。

第3回BfR大学授業は、ベルリン・マリエンフェルデのBfRのサイト、Diedersdorfer Weg 1のレクチャーホールで午前9時から12時15分まで開催される。その後、BfRの公開日に見学する機会があり、たばこのリスク、エナジードリンクの身体への影響、ビーガン食のメリットおよび/またはデメリットなどの話題に関する様々なブースが設けられる。さらに、興味のある学生は、ブースでBfRでのキャリアの機会についての情報や助言を得ることができる。

10年生以上の学生は、2022年9月30日までにakademie@bfr.bund.de. Participationで無料で登録できる。

詳細やプログラムはオンライン上に掲載されている(ドイツ語)。

https://www.bfr-akademie.de/deutsch/veranstaltungen/uni.html

https://www.bfr-akademie.de/media/wysiwyg/2022/Uni/Programm.pdf

 

[BfR]加工食品の汚染物質としての3-MCPD:最新情報と残る課題

3-MCPD as contaminant in processed foods: State of knowledge and remaining challenges

https://www.bfr.bund.de/en/3_mcpd_as_contaminant_in_processed_foods__state_of_knowledge_and_remaining_challenges-308354.html

Food Chemistry, Volume 403, 1 March 2023に発表した論文の紹介

 

[WHO]塗料中鉛の法的規制の世界の現状更新、2021年12月

Update on the global status of legal limits on lead in paint, December 2021

30 September 2022

https://www.who.int/publications/i/item/978924005002

各国の塗料中鉛の法律の状況と取り組みについて記述

 

[WHO]オンラインパブリックコメント:炭水化物摂取についてのガイドライン案

Online public consultation: draft guideline on carbohydrate intake

30 September 2022

https://www.who.int/news-room/articles-detail/online-public-consultation-draft-guideline-on-carbohydrate-intake

2022年11月6日までコメント募集

非伝染性疾患(NCDs)は世界の主要死因で2019年には5500万人の死亡のうち4100万人に寄与したと推定されている。不健康な食事、運動不足、喫煙、有害な飲酒などの変えることのできるリスク要因がNCDsの主要リスク要因で、食事中の炭水化物の質が変えることのできる食事リスク候補として広く研究されてきた。

炭水化物は多様な植物由来食品中に存在し、多くの人々にとって主なエネルギー源である。炭水化物の「質」の概念は食事の質の重要な指標で、代謝やブドウ糖放出の速さ、食物繊維の量などを含む炭水化物の性質と組成を指す。質の低い炭水化物の摂取はしばしば食事全体の質の低さと負の健康影響に関連し、質の高い炭水化物はしばしば食事全体の質の高さとポジティブな健康影響に関連する。特に食物繊維が良い健康と関連する。

野菜果物全粒穀物豆からの質の高い炭水化物と食物繊維を含めることは長い間進められてきたが現在の摂取量は世界レベルで一般的に低い。

WHOはこれまで遊離の糖の摂取に関するガイドを更新したが、炭水化物の質についてのさらなる更新が必要であった。そこでガイドライン案を作成し関係者からの意見を募集する。

2022年10月7日から2022年11月6日まで。

 

-炭水化物摂取についてのWHOガイダンス案へのパブリックコメント募集のための発表イベント

Launch event for the public consultation on the draft WHO guideline on carbohydrate intake

7 October 2022

https://www.who.int/news-room/events/detail/2022/10/07/default-calendar/launch-event-for-the-public-consultation-on-the-draft-who-guideline-on-carbohydrate-intake

 

[IARC]フォトギャラリー:IARCモノグラフの50年

Photo gallery: 50 years of the IARC Monographs

30 September 2022

https://www.iarc.who.int/news-events/photo-gallery-50-years-of-the-iarc-monographs/

1971年に始まったIARCモノグラフ計画の50周年記念の一環として歴史を描く写真を掲載

Photo gallery: 50 years of the IARC Monographs

https://monographs.iarc.who.int/photo-gallery-50-years-of-the-iarc-monographs/

Volume 1はタイプライターで書いてあってカット&ペーストも物理、文献は引き出しに整理してあって会議ではOHPを使った

(もう意味も変わって役目を終えたのだからやめればいいのに。)

 

論文

-先天性心疾患のある満期産児のプロバイオティクス療法に関連するLactobacillus rhamnosus敗血症

Lactobacillus rhamnosus Sepsis Associated with Probiotic Therapy in a Term Infant with Congenital Heart Disease.

Aydoğan S, , et al.

Fetal Pediatr Pathol. 2022 Oct;41(5):823-827.

大動脈狭窄のある乳児にプロバイオティクスを使用した後Lactobacillus rhamnosus GG敗血症になりアンピシリンで治療できた。残念ながら生後90日で急性心不全で死亡。トルコからの報告

 

-水タバコを吸っている親と一緒の家に住んでいる子どもの多環芳香族炭化水素への暴露評価:尿中濃度、暴露予測因子、リスク評価

Exposure assessment of children living in homes with hookah smoking parents to polycyclic aromatic hydrocarbons: urinary level, exposure predictors, and risk assessment.

Tabatabaei Z, et al.

Environ Sci Pollut Res Int. 2022 Sep;29(45):68667-68679.

尿中1-OH-NaP(ナフタレン) 及び 9-OH-Phe(フェナントレン)濃度はそれぞれ対照群の1.7と4.6倍、さらにマロンジアルデヒド濃度も1.4倍だった。グリル及び肉の多い食事は尿中2-OH-Flu と1-OH-Pyr濃度をそれぞれ上げた。さらに寝室ではなくリビングで眠ることが子どもの1-OH-NaP と 2-OH-NaP濃度の高さの予想因子であった。

 

-食品加工由来食品中生体異物:便変異原性と腸粘膜傷害の関連

Dietary Xenobiotics Derived from Food Processing: Association with Fecal Mutagenicity and Gut Mucosal Damage.

Ruiz-Saavedra S, et al.,

Nutrients. 2022 Aug 24;14(17):3482.

大腸がん患者7人、ポリープのある人49人、対照群37人の便上清の変異原性をAmes試験で調べた。食事からの生体異物摂取量はEPICとComputerized Heterocyclic Amines Resource for Research in Epidemiology of Disease (CHARRED)データベースを使って推定した

(むしろ便変異原性は病気とも食事摂取とも関係ないことを示しているような一貫性のない結果)

 

-食事と過敏性腸症候群:英国コンセンサス会議からの更新

Diet and irritable bowel syndrome: an update from a UK consensus meeting.

Rej A, et al.,

BMC Med. 2022 Sep 13;20(1):287.

過敏性腸症候群の食事療法として伝統的食事助言(TDA)の他にグルテンフリー食(GFD)と低FODMAP 食 (LFD)に関心が高い。そこでこれらについてのコンセンサス会議が開催された。現時点ではどれが優れているかの根拠は無いがTDAのほうが患者には受け入れやすい。こうした根拠に基づき、この会議はIBSの食事療法は栄養士によって、まず引き金となる食事要因を評価し患者の選択に従って介入を調整することを薦める。

 

その他

-Natureニュース

寿命への遺伝子の盈虚は性と年齢による、マウスの研究が発見

Genes’ effect on lifespan depends on sex and age, mouse study finds

30 September 2022  Liam Drew

https://www.nature.com/articles/d41586-022-03113-9

大規模研究で、研究者らが寿命に影響するマウスゲノムのいくつかの領域を同定

Scienceに発表された論文の紹介

 

イタリアの極右の選挙勝利の科学にとっての意味

What Italy’s far-right election victory means for science

30 September 2022  Giorgia Guglielmi

https://www.nature.com/articles/d41586-022-03127-3

研究者らはさらなる資金削減と気候対応の欠如を恐れる

(そもそも気候対応のために人間を減らそうなどという極左(?)を許しているのもおかしいだろうに)

 

-サプリメント:間違ったマーケティング

Supplements: Misguided Marketing

Harriet Hall

September 29, 2022

https://skepticalinquirer.org/exclusive/supplements-misguided-marketing/

ダイエタリーサプリメントの業者が著者宛てに送ってきた広告メールは間違ったマーケティングの例である。

宣伝:

・ Elevant は健康的な加齢と長寿をサポートする科学的根拠のあるNMNサプリメントです

・NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は健康の根源にパワーを与える。画期的分子です。それは全ての細胞のパワーに必要なNAD+の直接の前駆大です。

・25才を過ぎるとNAD+は失われます

・有名なDr. Frank Lipmanが保証

・市場に販売された唯一で初のNMNです

・NMN-CはNMNの独特の形態で他の前駆体より効果的にNAD+を増やします

・ビーガン、グルテンとアレルゲンフリー、ノンGMO、合成補充物質を含まない

私の疑問:

Dr. Frank Lipmanって誰?googleで検索すると疑わしい信念を持っている人だとわかる。たくさんのサプリメントを売っている。これまで虚偽情報を流して批判されてきた。

NAD+が加齢とともに失われるって本当?

使用者が満足?アマゾンのレビューにはかえって悪くなったという記載もある。

NMNが寿命を延ばすという根拠はある?等々

結論:マーケティングがたくさん、科学はあまりない

私が知りたいのは信頼できる科学的根拠。

 

-科学においては数字が問題

Cup o'Joe-In Science Numbers matter

2022/09/29  Joe Schwarcz Phd

https://www.youtube.com/watch?v=KSWx_a3RTaE

動画

飲料水に含まれるアンチモンやBPAのような極微量の汚染物質の安全性の話をするなら実際に検出される量やTDIやADIと比べてどうなのかといった数字が問題であること。

 

-柳の樹皮抽出物は忘れて-アスピリンにしよう

Forget the Willow Bark Extract — Go For Aspirin

Joe Schwarcz Phd | 28 Sep 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/medical-history/forget-willow-bark-extract-go-aspirin

柳の樹皮のような薬用植物は、アセチルサリチル酸に似た作用があるかもしれないが遙かに弱い。つまり代替品よりアスピリンを選ぶべき。

一般に信じられていることとは違って、アスピリンは天然には存在しないし柳の木から発見されたわけではない。しかし関係はある。アスピリン、つまりアセチルサリチル酸は1897年にBayer 社のFelix Hoffmannが最初に商用生産した。実験室での合成はもっと古く、1853年にフランスMontpelier大学のKarl Friedrich Gerhardtがシモツケの葉から抽出したサリチル酸を改良しようとして不純物の多いものを作った。信頼できるアセチル化合成法ができなくてGerhardtはプロジェクトを諦めた。

サリチル酸が鎮痛剤として使われるようになったのは相当前で、3500年前のエジプトのパピルス古文書に白柳の葉で作った混合物で炎症治療を薦めている。柳の葉にはサリシンという化合物が含まれ、それは代謝されてサリチル酸になる。もちろんパピルス古文書に記載されている治療法の全てが科学的に合理的なわけではないが、サリチル酸を含む植物については説得力がある。サリチル酸の真の科学の時代が始まったのは1763年でEdward Stoneがイングランド王立学会に熱の治療に柳の樹皮を使うことを報告した。そしてその有効成分としてサリシンが1828年までには単離された。それが実験室でサリチル酸に転換され、より強力な医薬品になった。その頃Gerhardtが興味を持ち、その苦さと胃への副作用の問題を解決しようとした。解決できたのは50年後のHoffmannである。

(一部のみ、科学史)

 

-SMC UK

KCLの科学者が著して健康増進格差事務所が発表したイングランドにおけるニコチンべーピング:根拠更新への専門家の反応

expert reaction to Nicotine vaping in England: an evidence update, as published by the Office for Health Improvement and Disparities (OHID) and authored by scientists at KCL

SEPTEMBER 29, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-nicotine-vaping-in-england-an-evidence-update-as-published-by-the-office-for-health-improvement-and-disparities-ohid-and-authored-by-scientists-at-kcl/

概要は以下の説明会で著者らが説明

Nicotine vaping in England: an evidence update including health risks and perceptions

SEPTEMBER 29, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/nicotine-vaping-in-england-an-evidence-update-including-health-risks-and-perceptions/

 

East Anglia大学Norwich医学部依存科学教授Caitlin Notley教授

最新の根拠のレビューはべーピング(電子タバコ)が喫煙を継続するよりは相当害が少ないことを確認した。タバコを吸わない人の電子タバコによる長期健康影響を探る研究はまだ必要であるが、喫煙者は電子タバコに代えるべき。

University College Londonタバコとアルコール研究共同グループ長で健康心理学教授Lion Shahab博士

この最新報告書はこれまでで最も包括的で厳密なものでニコチン吸入は喫煙よりはるかに害が少ないというこれまでの知見を確認した。同時に電子タバコには全く吸わないよりはリスクがあることを注記しているが、これらの懸念はしばしば誇大で、結果的にタバコを電子タバコに代えることを阻害している可能性がある。

Oxford大学プライマリーケア健康科学Nuffield学部准教授Jamie Hartmann-Boyce博士

Queen Mary University of London (QMUL)タバコ依存研究ユニット長Peter Hajek教授

University College Londonタバコとアルコール研究グループ主任研究員Sarah Jackson博士

あなたが喫煙者なら、完全に電子タバコにスイッチすることでリスクを減らせる。あなたがタバコを吸わないなら、電子タバコを吸い始めないほうが安全である

Dundee大学医学部心血管系医学と治療学部長Jacob George教授

この包括的レビューを歓迎する

(専門家の意見ほぼ一致。)

 

-Center for Food Safety (CFS)

EPAはミツバチと絶滅危惧種を殺す殺虫剤処理種子の抜け穴を塞ぐことを拒否

EPA Refuses to Close Pesticide-Coated Seed Loophole That Kills Bees and Endangered Species

SEPTEMBER 28, 2022SHARE THIS:  

https://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/6726/epa-refuses-to-close-pesticide-coated-seed-loophole-that-kills-bees-and-endangered-species

CFSが2017年に農薬(特にクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の種子処理を禁止するようEPAに請願していた。その回答が請願却下だった。

 

EPAからの回答

SUBJECT: Center for Food Safety (CFS) et al. Citizen Petition to the U.S. Environmental Protection Agency Seeking Rulemaking or a Formal Agency Interpretation for Plant Seeds Coated with Systemic Insecticides (April 26, 2017)

September 27, 2022

http://www.centerforfoodsafety.org/files/final-signed_treated-seed-petition-response_9-27-2022_83765.pdf

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