[EU]査察報告
-キプロス―動物と製品の輸入に関する公的管理及び国境監理ポストの適合性の検証
Cyprus 2021-7218―Official controls on imports of animals and goods and verification of compliance of border control posts
06-10-2022
https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit-report/details/4526
2021年9月23日~12月14日に実施した、EUに入る動物と製品の公的管理システム及び国境監理ポスト(BCPs)のEU要件の適合性の検証についてのキプロスの査察結果。キプロスには動物と製品の公的管理の実施に適した枠組みがあり、一般に関連するEU法、文書化手順、計画された協定に従って実施されている。だが、公的管理の組織と実行両方に欠点があり、評価した2つのBCPsに適切な施設がなく、併せて全体的な公的管理の有効性と妥当性が損なわれている。確認された欠点に対処するための5つの助言が含まれている。
[EFSA]食品中のニトロソアミンについてのパブリックコメント募集:意見案の説明
Public consultation on nitrosamines in food: draft opinion explained
12 October 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/news/public-consultation-nitrosamines-food-draft-opinion-explained
ニトロソアミン(正式にはN-ニトロソアミン)は、食品の調理や加工の結果、食品中に形成される可能性がある化学化合物である。それらは塩漬肉製品、加工魚、ココア、ビールや他のアルコール飲料など数種類の食品に含まれている。ニトロソアミンは、調理肉、加工野菜、シリアル、牛乳、乳製品、発酵食品、漬物、スパイス食品など様々な他の食品にも存在する。一部のニトロソアミンには遺伝毒性(DNAを損傷する可能性)や発がん性(がんの原因となる可能性)がある。EFSAの意見案は食品中のニトロソアミンの存在に関する公衆衛生へのリスクを評価している。
Bettina Grasl-Kraupp教授は、現在2022年11月22日までパブリックコメント募集中のニトロソアミンに関する意見を起草するフードチェーンの汚染物質に関するEFSAのパネル(CONTAM)の議長である。
あなたが行った仕事について簡単に説明していただけますか?主な成果は?
私達はヒトと動物に対するニトロソアミンによる潜在的な害を評価することから開始した。その後EU市民の健康リスクを評価した。この評価から、全ての年齢集団でニトロソアミンへの食事暴露が健康上の懸念を示す量を超えている可能性が高いと結論された。
これらの遺伝毒性や発がん性物質によるリスクをどのように評価したのですか?
意図せずにフードチェーンに存在する遺伝毒性や発がん性の物質を評価する際、EFSAは消費者の暴露マージン(MOE)を算出する。MOEは2つの要因の割合である:小さいが測定可能な有害影響が観察される用量と、既定の集団の物質に対する暴露量。一般的に、10,000以上の割合は消費者への懸念が低いことを示す。
私達の評価では、ニトロソアミンへの暴露による主な有害影響として、齧歯類の肝臓の腫瘍の発生率を検討した。私達は最悪なケースのシナリオを作るために、最も強力なニトロソアミン(N-ニトロソジエチルアミンまたはNDEA)の発がん性を食品中の他のニトロソアミンに適用した。
この評価は2017年に発表された硝酸塩と亜硝酸塩に関するEFSAの意見と関連がありますか?
亜硝酸塩はニトロソアミンの形成と関連する可能性がある。2017年に実施した硝酸塩と亜硝酸塩の安全性の再評価の一環で、EFSAの専門家は肉製品にニトロソアミンの量が多いことに気づいたが、これらの量を食品に意図的に添加される亜硝酸塩と結びつける十分な情報がなかった。
現在の知見のギャップは?パブリックコメント募集中にどのような追加情報を受け取りたいですか?
食事を通して暴露算出における不確実性を減らすために、私達は意見の全ての側面、特に使用された暴露評価シナリオに関するフィードバックを受け取ることに関心がある。不確実性は定量限界以下の発生結果の割合が高いこととニトロソアミンの食事暴露評価のためのデータの入手可能性が限られることによる。
学会や他の利害関係者は最終意見にどのように寄与できるでしょうか?
この科学的意見案は2022年11月22日までパブリックコメントを募集しているため、フィードバックやコメントを送るよい機会である。全ての情報提供を歓迎します!
パブリックコメント募集:食品中のN-ニトロソアミンのリスク評価
https://connect.efsa.europa.eu/RM/s/publicconsultation2/a0l7U0000011jEt/pc0278
[EFSA]意見等
-非遺伝子組換えKluyveromyces lactis GAL株由来食品酵素β‐ガラクトシダーゼの安全性評価
Safety evaluation of the food enzyme β‐galactosidase from the non‐genetically modified Kluyveromyces lactis strain GAL
EFSA Journal 2022;20(10):7574 11 October 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7574
(科学的意見)
この食品酵素β‐ガラクトシダーゼ(β‐d‐ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ; EC 3.2.1.23)は、DSM Food Specialties B.V.社が非遺伝子組換えKluyveromyces lactis GAL株で生産した。ミルク加工、発酵乳製品の生産及び乳清加工の乳糖加水分解として使用することを意図している。家庭での乳製品の乳糖加水分解に使用することも意図している。この食品酵素への食事暴露―総有機固形物(TOS)は欧州の人々で最大10.78 mg TOS/kg 体重/日と推定された。K. lactis GAL株の生産株は安全性適格推定(QPS)アプローチに適しており、この生産工程から懸念される問題は生じないため、毒性データは必要ない。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、意図した使用条件下で食事暴露によるアレルギー感作リスクは除外できないが、これが起こる可能性は低いと判断した。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。
-遺伝子組換えAspergillus niger TOL株由来食品酵素β‐ガラクトシダーゼの安全性評価
Safety evaluation of the food enzyme β‐galactosidase from the genetically modified Aspergillus niger strain TOL
EFSA Journal 2022;20(10):7570 11 October 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7570
(科学的意見)
この食品酵素β‐ガラクトシダーゼ(β‐D‐ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ; EC 3.2.1.23)は、DSM Food Specialties B.V.社が遺伝子組換えAspergillus niger TOL株で生産した。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じなかった。この食品酵素中にこの生産菌の生きた細胞や組換えDNAはないと判断された。この食品酵素は乳清加工に使用することを意図している。この食品酵素の総有機固形物(TOS)への食事暴露は欧州の人々で最大0.197 mg TOS/kg 体重/日と推定された。毒性試験はA. niger ASP株由来アスパラギナーゼで実施された。パネルは、この食品酵素はこの毒性試験に使用されるβ‐ガラクトシダーゼの適切な代替品と判断した。この生産株間の遺伝的な相違が異なる毒性をもたらすことは予想されず、両食品酵素の原料と製造工程が類似しているためである。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を調べた最大用量1,038 mg TOS/kg 体重/日とした。その結果、暴露マージンは少なくとも5,269となった。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、意図した使用条件下で食事暴露によるアレルギー感作リスクは除外できないが、これが起こる可能性は低いと判断した。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。
[APVMA]プロシミドン最終規制決定
Procymidone final regulatory decision
11 October 2022
https://apvma.gov.au/node/105761
オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)は様々な農作物や園芸作物の真菌性病害や観葉植物に使用する殺菌剤であるプロシミドンの再考のための規制の最終決定(FRD)を発表した。
プロシミドンのFRDは:
プロシミドンをオーストラリアの農作物、園芸、観葉植物の業界で使用される安全で有効な殺菌剤として保持する
有効成分の承認を支持する
製品登録や表示承認を変えて支持した:
・処理済作物の潜在的な残留物や取引の潜在的なリスクを数値化するためのデータ不足により、ソラマメとシロインゲンマメの使用説明書を削除
・ジャガイモへの使用制限、1作物あたり4回の散布に使用を制限する、APVMAが持つ裏付けデータと一致させるために収穫制限期間を9日間から21日間に延長
・国による使用制限の撤廃
・ヒト、動物、環境の安全を守るために追加散布の飛散を制限
・使用説明書を時代に合わせるため、その他些細な表示の更新
APVMAは、農薬・動物用医薬品規約(Agvet コード) 81(3)章に基づき、すでに承認済の表示のついた製品はこの決定日から2年間供給可能と定めた。2年間の段階的廃止期間終了後、製品は新しく承認された表示で提供されなければならない。
以前の表示承認番号のついた製品は2024年10月11日以降提供してはならない。
[BfR]トータルダイエットスタディ―ベルリンで第6回国際ワークショップ
Total Diet Studies - 6th International Workshop in Berlin
12.10.2022
TDSの計画、実施、経験に関する世界的な交流
ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)と世界保健機関(WHO)は、2022年10月10日と11日に「第6回トータルダイエットスタディ(TDS)に関する国際ワークショップ」を開催した。この会議では、世界中の国々がTDS分野の成果や最新の進展を提示した。これらの研究の計画と実施に関して、4日間のオンライン指導がこのイベントに先行した。将来TDSの実施を計画している国々の代表者20人が参加した。ドイツでは、2015年以降、今までで最も包括的なトータルダイエットスタディの1つ、BfR-MEALスタディをBfRが実施している。「リスク評価の品質は入手可能なデータの質に基づいている。私達のBfR-MEALスタディのようなトータルダイエットスタディは、調理後の食品に含まれる物質の量を正確に示している。その過程で得た専門知識を他国のパートナー機関と喜んで共有する。」とBfR長官Andreas Hensel医学博士は述べた。
BfR MEALスタディに関する詳細
https://www.bfr-meal-studie.de/en/meal-homepage.html
TDSに関するワークショップは過去に数回開催されている。カンザスシティでの第1回ワークショップ(1999)からソウルでの前回(2015)まで、この分野で大きな進展が得られた。長年にわたって方法論が最適化され、教訓を学び、TDSを支持する国家間の交流が実現してきた。さらに、TDSを開始したり、実施に興味を示したりしている中・低所得の国々が増えている。ベルリンの現地とオンラインを組み合わせたイベントとして開催された第6回ワークショップは、この知識の伝達を継続した。中国、韓国、カナダ、他の国々からの専門家が自国のTDSの成果を報告した。BfRは後にこれらの講義のビデオ記録を公開する予定である。先行したオンライン指導では、BfRのTDS研究センター、米国食品医薬品局(FDA)やオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)などの他の国際的に有名な消費者健康保護機関が、TDSの上手な設定・実施方法について専門知識を共有した。
アイスランドでは魚を多く、米国では肉を多く―人々が何を食べ、どの物質を摂取し、どのくらいの量かは国によって大きく異なる可能性がある。トータルダイエットスタディは、私達が通常食べる食品にどのような物質が含まれているかを測定するのに使うこともできる。この方法はその国特有の食品や調理法に応じて合わせることができ、そのため世界中の健康影響評価機関の関心の高いツールである。
このBfR MEALスタディ(Mahlzeiten für die Expositionsschätzung und Analytik von Lebensmitteln - "食品の暴露評価と分析のための食事")がドイツの第1回トータルダイエットスタディ(TDS)である。この研究ではドイツで最も一般的に消費されている食品の90%以上を考慮し、彼らが通常摂取している実際の食事と同様のドイツの調理済み食品の実例の食品を分析する。その目的はドイツ人の食品から健康リスクをよりよく特定することである。BfR MEALスタディは、全部で60,000の個々の食品について、およそ300の望ましい物質と望ましくない物質の検査をしている。ドイツ連邦食糧農業省(BMEL)は約1,300万ユーロをこの研究に資金提供している。
[FDA]プレスリリース
-FDAは新たな食品分析試験所認定(LAAF)プログラムについてウェビナーを開催する
FDA to Hold Webinar on the New Laboratory Accreditation for Analyses of Foods (LAAF) Program
October 6, 2022
米国食品医薬品局 (FDA) は、2022年10月27日、特定の状況における食品検査のための検査認定プログラムを確立する、新しい食品分析試験所認定(LAAF) プログラムに関するウェビナーを開催する。
-FDAは「ヘルシー」の定義変更案を議論するウェビナーを開催する
FDA to Host Webinar to Discuss Proposed Changes to the Definition of “Healthy”
October 7, 2022
FDA は2022年10月21日に関係者のウェビナーを開催し、栄養素成分表示「ヘルシー(Healthy)」の定義を更新するために最近発表した規則案を説明する。
-FDAとStop Foodborne Illnessが第5回食品安全文化ウェビナーを共同開催する
FDA and Stop Foodborne Illness to Co-Host 5th Food Safety Culture Webinar
July 18, 2022
米国食品医薬品局(FDA)と非営利の公衆衛生団体であるStop Foodborne Illnessは、「Rewards and Recognition Programs」と題した第5回ウェビナーを発表する。
[ODS]ファクトシート更新
-カルシウム
Calcium
Fact Sheet for Consumers
October 6, 2022
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Calcium-Consumer/
ビタミンDは体がカルシウムを吸収するのに役立つことを記述し、序論を改訂した。
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Calcium-Consumer/#change
Fact Sheet for Health Professionals
October 6, 2022
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Calcium-HealthProfessional/
序論を改訂し、カルシウムが能動輸送によって消化管に吸収され、血中カルシウム濃度を十分に維持するためにはビタミンDが必要であると記述した。
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Calcium-HealthProfessional/#change
[ヘルスカナダ]基準改定
- オオアザミ種子抽出物 (シリマリン) を食品の補充成分として使用可能にするヘルスカナダの提案通知
Notice of Health Canada’s proposal to enable the use of milk thistle seed extract (silymarin) as a supplemental ingredient in foods
October 7, 2022
ヘルスカナダの食品局は、Supplemented Foods規制の枠組みの下で、食品の補充成分として使用するためのオオアザミ種子抽出物の詳細な市販前安全性評価を完了し、使用を可能にする予定である。
最大一回提供量200mgシリマリン、抽出物はシリマリン含量が65-80%、18才以上の成人のみ、妊娠中や授乳中の女性には勧めない、同じ成分を含む他のサプリメントや食品と同じ日に使用しない、アレルギーのある人には勧めない等の警告が必要。
-様々な食品に乳化剤、安定剤又は増粘剤としてα-シクロデキストリンを使用できるようにするヘルスカナダの提案通知
Notice of Health Canada’s Proposal to Enable the Use of alpha-Cyclodextrin as an Emulsifying, Stabilizing or Thickening Agent in Various Foods
October 6, 2022
ヘルスカナダの食品局は、α-シクロデキストリンを様々な食品に乳化剤、安定剤又は増粘剤として承認を求める食品添加物申請の市販前安全性評価を完了し、使用を可能にする予定である。
[HK]法令違反
-新鮮牛肉のサンプルから二酸化硫黄が検出される
Fresh beef sample found to contain sulphur dioxide
Thursday, October 6, 2022
https://www.cfs.gov.hk/english/press/20221006_9828.html
食品安全センター(CFS)は新鮮な牛肉のサンプルから、新鮮な肉への使用が許可されていない保存料である二酸化硫黄が658 ppm検出されたことを発表した。
-包装済み海藻のサンプルが栄養表示規則に違反
Prepackaged seaweed sample not in compliance with nutrition label rules
October 10, 2022 (Monday)
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20221010_9834.html
韓国産包装済み海藻のサンプルの炭水化物1 g/2 g、飽和脂肪0 g/2 g、ナトリウム10 mg/2 gという表示において、炭水化物は検出されず、飽和脂肪3.9 g/100 g、ナトリウム1100 mg/100 gの検出であった。
-包装済み海藻のサンプルが栄養表示規則に違反
Prepackaged seaweed sample not in compliance with nutrition label rules
October 10, 2022 (Monday)
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20221010_9835.html
日本産包装済み海藻のサンプルが総脂肪0 g/100 gという表示のところ、3.3 g/100 gの検出であった。
[SFA]食品の安全性に関するマスク/マウスシールドの要件を遵守していないとして、屋台の営業許可者20人に警告
20 food stall licensees warned for non-compliance to mask/spit guard requirements for food safety
7 October 2022
シンガポール食品庁 (SFA) は、食品安全のためのマスク/マウスシールド着用の要件に従わなかったとして、20の屋台許可業者に対して執行措置を講じた。
[SFA]リコール
-Mie Sedaap インスタント麺2製品はエチレンオキシド混入のため追加リコール
Additional recall of two Mie Sedaap instant noodle products due to presence of ethylene oxide
8 October 2022
SFAはArklife Distributors Pte Ltd社に対し、インドネシアからのMie Sedaapソト味とカレー味のインスタント麺をリコールするよう指示した。
-Mie Sedaap インスタント麺2製品がエチレンオキシド混入のため追加リコール
Additional recall of two Mie Sedaap instant noodle products due to presence of ethylene oxide
11 October 2022
SFAはIndostop Singapore Pte Ltd社に対し、インドネシアからのMie Sedaap Kari Spesial Instant Cup NoodlesとKorean Spicy Chicken Instant Cup Noodlesのインスタント麺2製品をリコールするよう指示した。
[RIVM]サプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減:政策開発のための調査
Less greenhouse gas emissions across the supply chain: survey for policy development
10/12/2022
オランダ気候合意にはオランダの温室効果ガス排出対策を含む。多くの指針が海外で生産されているためオランダ政府はサプライチェーン全体での排出削減のためにどこにどう対策すれば良いのかを探りたい。RIVMと統計局はこの問題をレビューした。
報告書オランダ語
[CDC]フィールドからの報告:個人飲料水摂取に影響する有害藻類大発生-クリアレイク、カリフォルニア、2021年6-11月
Notes from the Field: Harmful Algal Bloom Affecting Private Drinking Water Intakes — Clear Lake, California, June–November 2021.
Solomon GM, et al.,
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022;71:1306–1307
2021年6-11月に、カリフォルニア最大の淡水系に複数回の有害藻類大発生が生じ、ミクロシスチン濃度は常にカリフォルニアの「危険」濃度20 μg/Lを超えていた。測定された最大値は9月の160,378 μg/Lである。この水系の公共水道システムでは飲料水濃度がEPAの健康勧告値0.3 μg/Lを超えないように監視、検査、処理の調整を行った。しかし個人用の井戸や水道を使っている人たちの数は不明でその飲料水の質はわからない。そのためCal-WATCHプロジェクトで湖から15.2m以内の個人で採水している家庭の水を集めてシアノトキシンを分析した。46人の家の所有者が参加した。15の井戸水由来水道水からはシアノトキシンは検出されなかったが水に藍藻が見え湖の水が浸入していることが示唆された。一報湖の水をひいている31家庭のうち22の水道水からはミクロシスチンが検出されそのうち18はEPAの勧告値を超えていた。31全てで何らかの濾過システムを使っていた。
これらの知見と有害藻類大発生の深刻化により地方保健当局は個人水道システム使用者に「飲まないように」緊急助言を発行した
[ProMED]コカイン中毒-メキシコ:(チアパス)汚染水疑い、学生
Cocaine poisoning - Mexico: (CP) contaminated water susp., students
2022-10-14
https://promedmail.org/promed-post/?id=8706116
Date: Sun 9 Oct 2022 Source: MSN [edited]
チアパスのBochil中等学校の生徒合計110人が学校でコカイン汚染水を摂取して治療を受けなければならなかった。チアパスでは今年同様の事例が3回目。
薬物は噴水の水に入れられていて生徒は知らずに飲み込んだ。
(編集者からも?がたくさんつくコメント)
[FSANZ]食品基準通知
Notification Circular 217-22
14 October 2022
https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20217-22.aspx
意見募集
・加工助剤としてのGM Bacillus subtilis由来αアミラーゼ
Call for comment on a new enzyme processing aid source
14/10/2022
2022年11月25日まで
[NTP]テクニカルレポート
-F344/N Nctr ラットと B6C3F1/Nctrマウスに混餌投与した(+)-ウスニン酸の毒性試験
Toxicity Studies of (+)-Usnic Acid Administered in Feed to F344/N Nctr Rats and B6C3F1/Nctr Mice
October 2022
https://ntp.niehs.nih.gov/publications/reports/tox/100s/tox104/index.html
Usnea属の地衣類の二次代謝物。Usnea lichens(サルオガセ)及び精製ウスニン酸は抗菌伝統ハーブ薬として使われてきた。(+)-ウスニン酸は膜のプロトン脱共役活性があり、それが抗菌作用のメカニズムになるが、それを理由に脂肪燃焼、減量用として使われる。米国では精製(+)-ウスニン酸が単独あるいは他の化合物との組み合わせで減量用に販売されている。これら製品の使用により重大な肝障害が報告されておりこの研究ではラットとマウスに餌で3ヶ月与えて毒性を調べた。
雄ラットで120 ppm以上の投与量で肝毒性、雌ラットで720ppm以上で血清中酵素活性の増加が見られた。雄マウスでは360ppm以上でアラニンアミノ基転移酵素とアルカリホスファターゼ活性の有意な増加、180ppmと360ppmで血中尿素窒素の有意な増加が見られた。雌ラットの720ppm群では発情間期の延長による周期減少があった。雌雄ラットで720ppm以上で体重の有意な減少。
600ppmの(+)-ウスニン酸を14日間与えると雌雄マウスで赤血球あるいは網状赤血球の小核頻度の有意な増加、1200ppmで雄マウスの網状赤血球の小核頻度の有意な増加。
これらの亜慢性試験から、F344/N Nctrラットでは(+)-ウスニン酸のNOAELは120ppm、B6C3F1/Nctr マウスでは30 ppm。
-F344/N Nctr ラットと B6C3F1/Nctrマウスに混餌投与した(+)-ウスニン酸を含むサルオガセの毒性試験
Toxicity Studies of Usnea Lichens Containing (+/−)-Usnic Acid Administered in Feed to F344/N Nctr Rats and B6C3F1/Nctr Mice
October 2022
https://ntp.niehs.nih.gov/publications/reports/tox/100s/tox105/index.html
米国で現在販売されているサルオガセハーブ製品は1-3%の(+)-ウスニン酸を含む。ウスニン酸を含むサルオガセを(+)-ウスニン酸の量で0-720ppmラットとマウスに3ヶ月混餌投与した。
ラットへの投与は(+)-ウスニン酸720 ppm相当で重大な毒性と致死性を示した。雄ラットでは120ppm以上、雌では720ppm以上で相当な肝毒性が観察された。マウスでは360ppm以上で雌雄に肝毒性、180ppm以上で卵巣萎縮、360ppmで性周期延長。他体重減少、小核頻度増加等。NOAELはラットとマウス両方で60 ppm
論文
-統計学的過失が栄養研究の矛盾を説明できる可能性がある
Statistical oversight could explain inconsistencies in nutritional research
13-OCT-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/967344
American Journal of Clinical Nutrition
栄養研究は研究によって違う結果を出すことがよく知られている。あるとき有害だった食品が次の週には良くなる。Leeds大学とAlan Turing研究所の科学者らが食品と健康の関連を調べる研究の標準的な、最もよく使われている統計アプローチが、誤解を招き意味のない結果をだすことを明らかにした。
(leave-one-out modelとenergy partition modelについて)
-親による子どもための飲料選択への果物のイメージ、添加された糖が多い警告、の包装前面の情報の影響 RCT
Effect of Front-of-Package Information, Fruit Imagery, and High–Added Sugar Warning Labels on Parent Beverage Choices for Children
A Randomized Clinical Trial
October 13, 2022
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2797256
0-5才の子どもをもつ5005人の両親でのRCT。
オンラインで一回画像を見せて砂糖を添加しない、少し添加、たくさん添加の三種類の飲料から選択させる調査。砂糖を多く添加した飲料については無作為に7種類のFOPのどれかを見せる。(1)100%ビタミンCクレームと果物のイメージ(対照群);(2)クレームなし、(3)イメージなし、(4)クレームもイメージもなし、(5)対照+ジュース割合開示、(6)対照+警告、(7)対照+警告+ティースプーンで加えた砂糖量を表示
結果、砂糖警告と包装表面へのクレームとイメージの禁止が選択を抑制することを示唆
(実際に買ってないので、食品購入の最大要因である値段と味の影響がわからない。それでもJAMAで政策決定の根拠があるとされる)
-食物繊維はあなたに良いときも悪い時もある
Dietary fiber is good for you, except when it’s not
13-OCT-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/967892
Gastroenterologyに発表された炎症性腸疾患患者の腸内細菌と食物繊維の役割についての研究。食物繊維は健康な人にとっては腸の健康にとって良いがIBD患者では炎症を惹起して症状を悪化させることがある。糞便検査で誰にどの食物繊維が悪いかを同定できないかを研究している。
-SCIENCE VOLUME 378|ISSUE 6616|14 OCT 2022
パンデミックは実験室からではなく自然由来であることを根拠が示唆、委員会は言う
Evidence suggests pandemic came from nature, not a lab, panel says
BY JON COHEN
新しい報告書がCOVID-19の起源を巡る論争に肩入れする
PNASに10月10日に発表された報告は動物由来である根拠の方が圧倒的とする。
この委員会そのものが論争の歴史を反映する。もともとLancet COVID-19委員会として集められたものが、委員長であるコロンビア大学の経済学者Jeffrey Sachsによってメンバーの中に実験室起源説に反対するバイアスがある人がいる(武漢ウイルス研究所のコウモリの研究に関与)という理由で解散されていた。しかしメンバーは会合を続けた。
その後The Lancetは実験室リーク説と野生動物由来説を同じ重み付けにした報告書を9月に発表した。PNASとLancetの報告は広い範囲で重なっているがパンデミックの起源については異なる。
その他
-科学が批判理論を受け入れることでその信頼性を破壊している
Science destroys its credibility by embracing critical theory
Cameron English OCTOBER 12, 2022
https://bigthink.com/health/critical-theory-science-destroys-credibility/
ファッショナブルなナンセンスを受け入れることは啓蒙と公衆衛生への脅威である
科学コミュニティーが社会政治的イデオロギーや科学的データに反する哲学を受け入れることが増えている。典型的な例が性をめぐる議論で、生物学的には性は二元的現象であるが一部の学者は3、4、5、6あるいは無限の性があるという「性スペクトラム」を主張している。
(ファッショナブル・ナンセンスはソーカル事件から)