2022-11-30

[EFSA]意見等

-β-ガラクトシダーゼの供給源としての非遺伝子組換えHamamotoa singularis YIT 10047株の使用の安全性評価

Safety evaluation of the use of the non‐genetically modified Hamamotoa singularis strain YIT 10047 as a source of β‐galactosidase

EFSA Journal 2022;20(11):7650 22 November 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7650

(科学的意見)

提出されたデータに基づき、パネルは、β-ガラクトシダーゼの供給源として使用されるこの酵母懸濁液は意図した使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-パクロブトラゾールのMRLレビュー12条に従った確証データの評価

Evaluation of confirmatory data following the Article 12 MRL review for paclobutrazol

EFSA Journal 2022;20(11):7651 21 November 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7651

(理由付き意見)

データのギャップに対処するために、リンゴで実施した2つの新しい代謝試験が提出された。さらに、トリアゾール誘導体代謝物質のデータを提供する、リンゴとナシの残留物の量に関する2つの試験も提出された。データのギャップは十分に対処されていると判断された。提出された新たな情報により、ザクロ、アプリコット、モモの既存のMRLsの改訂は必要なかった。提出された新たなデータに照らして、パクロブトラゾールとトリアゾール誘導体代謝物質にリスク評価の更新が実施され、消費者の摂取上の懸念は示されなかった。

 

-ハロキシホップ-Pの最大残留基準値(MRLs)の対象を絞ったレビュー

Targeted review of maximum residues levels (MRLs) for haloxyfop‐P

EFSA Journal 2022;20(11):7658  18 November 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7658

(理由付き意見)

EFSAは、タマネギの既存のEU MRLs、ヒマワリ種子とダイズのCXL、亜麻仁とナタネ/キャノーラ種子の輸入トレランス案は消費者にリスクをもたらすことは予期されていないと結論した。しかしながら、ハロキシホップ-P残留物への慢性暴露に関する消費者の安全を保証するために、いくつかの作物と乳の施行LOQsをEURLsが報告した量まで下げる必要がある。

 

-食品及び飼料に使用する遺伝子組換えトウモロコシMON 87429株の評価

Assessment of genetically modified Maize MON 87429 for food and feed uses, under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA‐GMO‐NL‐2019‐161)

EFSA Journal 2022;20(11):7589  18 November 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7589

(科学的意見)

GMOパネルは、この申請で記述されているトウモロコシMON 87429株は、ヒトと動物の健康及び環境への潜在的な影響に関して、従来の比較種や調べた非GM参照品種と同様に安全であると結論した。

 

-EFSA-RACFC中央及び東欧諸国との食品の化学汚染物質危機準備トレーニング2022

EFSA ‐ RACFC Chemical Contamination of Food Crisis Preparedness Training 2022 with Central and Eastern European Countries 

EFSA Journal 2022;19(11):EN-7664 18 November 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7664

(外部科学報告書)

欧州食品安全機関(EFSA)は年2回の危機準備訓練イベントを運営しており、2022年の活動の科学的分野として化学汚染物質を選択した。 2022年のEFSAとブルガリアのフードチェーンに関するリスク評価センター(RACFC)の危機準備ワークショップの4つの特定練習学習目標は:(a)化学物質汚染の危機対応中に協力が行われる方法と時期を改善すること;(b)化学物質汚染危機対応において個人の役割と他者の役割を理解すること;(c)選択したEFSAのツールの目的とそれらの使用方法を理解すること;(d)リスクコミュニケーションのリハーサルを行うことだった。EFSAは、RACFCと危機教育請負業社Instinctif Partnersと連携して、2022年9月14~16日の作業グループと総会のために企画された2.5日間活動プログラムを開発した。EU加盟国5カ国とEU加盟候補国2カ国からの参加者20人に加えて、ブルガリアから2人、欧州化学庁から1人、EFSAから1人のオブザーバーがいた。1日目は、適用可能なEU法、以前の化学物質汚染インシデントへのEFSAとブルガリアの対応、危機コミュニケーションなどの分野を含み、リモートと対面形式を組み合わせて配信された説明会に焦点を当てた。iRASFF 、EFSAのRACE (Rapid Assessment of Chemical Exposure)ツールやOpenFoodTox データベースなどのツールが更新されトレーニングが提供された。カドミウムの毒性の概要は、2日目にシミュレーション訓練として使用するシナリオを予測した。3日目の詳細報告は、(a)リスク評価;(b)EFSAのツール;(c)リスクコミュニケーション;(d)協力、の分野の改善への20の実践的な助言をもたらした。記録結果や評価調査で参加者が提供したフィードバックに基づき、このイベントの目標は達成された。

 

-食品添加物としてのネオヘスペリジンジヒドロカルコン(E 959)の再評価

Re‐evaluation of neohesperidine dihydrochalcone (E 959) as a food additive

EFSA Journal 2022;20(11):7595 17 November 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7595

(科学的意見)

本意見書では食品添加物として使用する際のネオヘスペリジンジヒドロカルコン(E 959)の再評価を扱う。それはビターオレンジ(柑橘類)に天然に生じ、アルコール抽出で分離されるフラバノン-ネオヘスペリジンの接触水素化によって得られる。ラットのin vivoデータに基づき、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンは吸収されやすく、ヒトでも同様で、全身的に利用できるようになる。遺伝毒性に関する懸念は生じない。毒性データセットは亜慢性及び出生前発生毒性に関する試験で構成されている。ヒトの試験は得られなかった。このデータセットは新しい許容一日摂取量(ADI)を導出するのに十分だと判断された。証拠の重み付け(WoE)分析に基づき、パネルは、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンは、調べた用量範囲で動物の健康に有害影響となる可能性は低いと判断した。パネルは又、発がん性試験は必要なく、ヒトのデータがないことは一連の根拠における全体的な信頼に影響しないと判断した。パネルは、種間及び種内の違いとして100、亜慢性から慢性暴露の外挿として2の基準となるデフォルト係数を適用して、ラットの13週間試験による無毒性量(NOAEL) 4,000 mg/kg 体重/日に基づき、ADI 20 mg/kg 体重- /日を導出した。リスク評価に最適と判断した精緻なブランドロイヤル暴露評価シナリオでは、暴露は平均範囲で 0.01未満~0.09 mg/kg 体重/日未満、95パーセンタイルで0.01~0.24 mg/kg 体重/日と推定された。この導出されたADI 20 mg/kg bw /日を考慮すると、推定暴露量は全ての年齢集団で参照値未満だった。そのためパネルは、報告された用途と使用量で、この食品添加物ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(E 959)への食事暴露は安全上の懸念を生じないと結論した。

 

[BfR]新しいハンドブックはリスクコミュニケーション成功への6つのステップを強調する

A new handbook highlights six steps to successful risk communication

31.10.2022

https://www.bfr.bund.de/en/press_inormation/2022/40/a_new_handbook_highlights_six_steps_to_successful_risk_communication-309078.html

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)とドイツ連邦国民保護・災害救助庁(BBK)は共同出版物を発行

コロナパンデミックや豪雨事象は、予防対策や行動の助言だけでなくリスクとの社会的関与の重要性を示している。この重要な課題で国民保護機関・組織を支援するために、BfRとBBKは、様々な分野に適用できる実践的なリスクコミュニケーションに関する共同ハンドブックを発行する。

このハンドブックは国民保護のリスクコミュニケーションを向上させる

「リスクコミュニケーション-実践用ハンドブック」は、リスクコミュニケーションをわかりやすく紹介し、科学的・法的原則を説明し、リスクコミュニケーションの戦略開発に役立つチェックリストを含んでいる。

「消費者健康保護におけるリスクコミュニケーションのBfRの経験や導出された手順は国民保護にも適用できる。これによりBfRとBBKは実証済みの概念を共有する理想的なパートナーになっている」とBfR長官Andreas Hensel医学博士は述べた。

「我々は国民のニーズや要望を支援し、それによって彼らの危機回復力を高めたいと考えている。そのためには国民をパートナーと考えることが重要である。これには国民との対話が必要である-我々はそれをセキュリティパートナーシップと呼んでいる。これは、透明性のある対話を重視したリスクコミュニケーションを通してしか行うことはできない。なので、我々の共同ハンドブックがこの点で貴重な貢献をできることがうれしく、ドイツ連邦リスク評価研究所のこのプロジェクトのためにそのような有能なパートナーを見つけたことは大変な喜びである」とBBK長官Ralph Tiesler氏は力説した。

リスクコミュニケーションの戦略は正確に調整された

このハンドブックは、どのように異なるリスクコミュニケーション技術を結びつけられるか、その後それらを包括的な戦略にどのようにはめ込むかについて詳細を述べている。これを基にして、その後リスクコミュニケーション成功の原則を記載し、実践でどのようにして達成できるかを説明している。以下が含まれている:

・状況分析

・コミュニケーションの目標の定義

・対象グループの決定

・主要メッセージの作成

・行動計画

・進行中及び最終評価

出版物、イベント、対話を基にした活動など、様々な報道・公表手段や、リスクコミュニケーションにデジタルフォーマットやソーシャルメディアの使用が示されている。このハンドブックには、あなた自身の戦略を見直し、適応させるために使用できる一連のインフォボックスやチェックリストもついている。このハンドブックはドイツの国民保護の法的枠組みに関する章で締めくくられている。

このハンドブックは国民保護における利害関係者を支援しているこのハンドブックは、自治体レベルの国民保護と災害支援担当者、公共機関のリスク管理担当者、報道・広報関係者、企業の従業員、援助団体、国民安全保障の関係者を対象としている。

このハンドブックは印刷物とデジタルで入手可。

www.bbk.bund.de/risikokommunikation

(ハンドブックはドイツ語)

 

[フィンランド食品局]20年間の耐性監視-今、我々はどこにいるのか?

20 years of resistance monitoring – where are we now?

November 22/2022

https://www.ruokavirasto.fi/en/animals/animal-medication/news---animal-medication/news-about-animal-medication/20-years-of-resistance-monitoring--where-are-we-now/

フィンランドでは動物や食料品から分離された細菌の抗生物質耐性と動物の抗生物質の使用を20年間監視してきた。最新の「FINRES-Vet報告書」は2021年のデータを対象とし、結果を過去と比較している。動物の抗生物質の使用に関するデータも含まれる。

フィンランドの動物から分離された細菌では、少量又は中程度の抗生物質耐性が観察される。例えば、サルモネラ属やカンピロバクター属の細菌は、フィンランドではほとんどの欧州諸国よりも明らかに耐性が低い。同様に、基質特異性拡張型βラクタマーゼを産生する大腸菌(E. coli)の保有率は、近年のフィンランドの生産動物及びそれに由来する食肉では比較的低いか、全く検出されない。しかし、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はブタや豚肉にも見られる。豚肉は消費者にとって大きなリスクとは考えられていない。一方、豚を扱う際にはMRSAから身を守らなければならない。動物の病気の原因となる細菌には様々な耐性レベルがあり、ほとんど監視できない細菌種もあるため、国全体での状況評価はできない。病原性細菌の耐性状況は、抗菌薬の推奨やその他のガイドライン作成に役立つ。

フィンランドの動物の抗生物質の使用は、欧州水準に比べて非常に控えめであり、全般的に良好な耐性状況に寄与した。2021年の動物用抗生物質の販売量は5%増加したが、その消費量は監視史上2番目に少なかった。生産動物に使用する抗生物質の多くは、動物個体ごとを対象とした医薬品であり、飼料や飲料水中に投与する抗生物質は3分の1に過ぎない。

フィンランドの良好な耐性状況は偶然ではない。むしろ、長期的なモニタリングと学際的な耐性作業の結果である。モニタリングデータに基づいて、効率的にガイダンスや疾病予防対策に注力できる。動物とヒトの両方の感染症の治療における抗生物質の有効性を維持することは最も重要であり、学際的な協力と研究が引き続き必要である。

定期的なFINRES-Vetプログラムは2002年に開始され、この20年の間に着実に拡大してきた。現在、人獣共通感染症、動物の病気を引き起こす細菌の指標と抗生物質耐性に関する情報及びESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)とMRSAの細菌の存在のモニタリングが含まれている。フィンランド食品局はこのプログラムを主導する。FINRES-Vet報告書は、動物や食料品から分離された細菌の抗生物質感受性に関する年次データと、動物の抗生物質の使用に関するデータをまとめている。抗生物質の使用に関するデータはフィンランド医薬品庁Fimeaが作成し、伴侶動物(Companion Animal)と趣味で飼う動物(hobby animal)の耐性データは、ヘルシンキ大学獣医学部の臨床微生物学研究所室が収集している。

 

[ANSES]アブラムシの殺虫剤耐性における相違研究

Studying differences in the insecticide resistance of green aphids

16/11/2022

https://www.anses.fr/en/content/studying-differences-insecticide-resistance-green-aphids

モモアカアブラムシ(Myzus persicae)では、異なる植物種に定着する個体群間で殺虫剤耐性の遺伝子流動率が低い。フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、フランス国立農業食品環境研究所(INRAE)、モンペリエ大学の科学者によるこの発見は、これらの農薬耐性に関する戦略への新しいアプローチにつながる可能性がある。

モモアカアブラムシは多食性で、モモ、アブラナ、テンサイ、タバコ、ジャガイモなど、50種類以上の植物の樹液を食べる。主にこれらの宿主植物にウイルスを感染させ、とりわけモモを侵すシャルカウイルスやビートイエローの原因となるウイルスを媒介する。主な駆除方法は、合成植物保護製剤の散布であるが、ほとんどの製品に対する耐性がアブラムシは持つ。

しかし、アブラムシの個体群に観察される複合耐性は宿主植物によって異なった。

遺伝的に異なるアブラムシ

科学者らは、フランスで採取されたアブラムシの個体群の多様性と遺伝的構造を、モモ、アブラナ、タバコという3つの主要作物から分析した。モモの木から採取したアブラムシとアブラナ及びタバコ作物が主食のアブラムシとの間には明確な遺伝的分化が認められた。

モモの木から採取されたアブラムシはネオニコチノイドに対して高頻度に耐性を示し、アブラナ及びタバコ作物から採取されたアブラムシは、ピレスロイド及びカーバメート系に対する耐性を与える遺伝子変異体 (対立遺伝子) のキャリアであることが多く、ネオニコチノイドに耐性はなかった。遺伝グループ間で耐性対立遺伝子が交換されなかった。

個体群内で急速に広がる耐性

2001~2008年に大気中のアブラムシの遺伝子分析も行った。ピレスロイドとカーバメートの新製品発売の2年後には、これらの物質に対する耐性を付与する対立遺伝子を組み合わせたアブラムシのクローンの出現頻度が非常に高くなり、耐性出現の速さが示された。

遺伝子の混合に対するいくつかの障害

アブラムシは両親の遺伝子が混ざり合う有性生殖と、メスが自分自身のクローンを産む無性生殖の両方を行う。有性生殖はモモの木だけで、他の植物では無性生殖である。無性生殖クローンなので、遺伝子の混合が起きなかった。さらに、ナタネやタバコに寄生するアブラムシの集団は、通常モモの木に生息する仲間のアブラムシよりも、宿主植物に適している可能性があり、同定された集団間の遺伝的交換のさらなる障害となる可能性がある。

宿主植物に基づく駆除戦略の適用

植物保護製剤に対する耐性の現象を管理する場合や、より一般的には多食性昆虫を管理するための効果的な戦略を行う場合には、栽培作物の見通し、特に宿主植物種を考慮することの重要性が強調される。

 

[ASA]100人の子ども報告

The 100 Children Report

29 Nov 2022

https://www.asa.org.uk/news/the-100-children-report.html

本日発表された100人の子ども報告は、英国の子どもたちのリアルワールドでの携帯電話とタブレットの使用、一週間の間にかれらが見ているサイトや広告について興味深い知見を提供する

年齢制限のある広告については、子どもたちが個人用デバイスで見たオンライン広告11424回中435件(3.8%)がアルコールやギャンブルなどの年齢制限広告であった。そのうち73回(総数の0.6%)が規則違反の可能性が高い

また子どものソーシャルメディアアカウントの少なくとも11%が年齢を偽って18才以上として登録されていた

Key headlines from our 100 Children Report

29 Nov 2022

https://www.asa.org.uk/news/key-headlines-from-our-100-children-report.html

(子どもが嘘ついたせいでわからなかった、は通用しないという姿勢。大人の方が責任は重い)

 

[ASA]広告助言

体重コントロール:脂肪結合剤

Weight control: Fat binders

29 Nov 2022

https://www.asa.org.uk/advice-online/weight-control-fat-binders.html

それは医療機器?

一部の宣伝販売業者がいわゆる脂肪結合剤をサプリメントとして売っているが、本物の「脂肪結合剤」は医療機器で、認証・登録が必要である。製品が正しく分類されるようMHRAに相談すること。

脂肪結合剤は人体が食品から脂肪を吸収する量を減らすことで作用する。

もしその製品が医療機器ではなくサプリメントなら、それは食品の規則に従わなければならない。減量や脂肪削減に関連する強調表示はヘルスクレームと見なされる可能性が高く、登録リストに掲載されている場合にのみ認められる。

(脂肪吸収阻害といった宣伝のもの)

 

[VKM]食品と環境の知識基盤:知識とデータの不足を埋めるには活発なノルウェー研究コミュニティーが必要

Knowledge base about food and the environment: active Norwegian research communities are needed to fill knowledge and data gaps

Published: 29.11.2022

https://vkm.no/english/riskassessments/allpublications/knowledgebaseaboutfoodandtheenvironmentactivenorwegianresearchcommunitiesareneededtofillknowledgeanddatagaps.4.6703f427184b917f2301faa9.html

キーメッセージ

VKMは安全な食品と生物多様性を確保するのに重要な分野の知識とデータの不足をまとめる

6つの分野での必要な知識をまとめた

・農業と食料生産

・水産、水産養殖、シーフード生産

・ヒト健康

・食品と食事と食品中の物質のモニタリング

・リスク評価とベネフィットリスク評価の方法とモデル

 

報告書本文

https://vkm.no/download/18.6703f427184b917f23020930/1669727804231/Research%20needs%20of%20importance%20identified%20in%20VKM%20opinions%20within%20the%20field%20of%20food%20and%20environment%202018-2022.pdf

国民の食事を継続的にモニタリングする計画がない、とか食品中の有害な可能性のある物質のリスク評価方法と食品中の有用な可能性のある物質のベネフィット評価方法があまりに違いすぎて比較できない、とか

 

[WHO]世界AIDSデー

World AIDS Day 2022

https://www.who.int/campaigns/world-aids-day/2022

12月1日。2022年のテーマは“Equalize”

 

論文

-アメリカ人は十分な全粒穀物を食べているか?それはあなたが誰に聞くかによる

Are Americans eating enough whole grains? It depends on who you ask

30-NOV-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/972516

全粒穀物食品には複数の競合する定義がある。新しい研究はコンセンサスを構築する必要性を指摘する

American Journal of Clinical Nutrition

全粒穀物の多い食事は個人の各種健康リスクの低下と関連し、アメリカ人は全体としてこれまで以上に全粒穀物を多く食べている。しかし過去20年の全粒穀物摂取量の増加率は、定義により39.5%あるいは61.5%になる。さらにアメリカ人の平均全粒穀物摂取量は推奨量より遙かに低い。

この研究で比較した定義は、アメリカ人のための食事ガイドライン、FDA、アメリカ心臓協会、アメリカ穀物化学国際協会、全粒穀物協会、の5つ。

 

その他

-自閉症とベビーフード

Autism And Baby Foods

By Susan Goldhaber MPH — November 29, 2022

https://www.acsh.org/news/2022/11/29/autism-and-baby-foods-16678

私は法律事務所が自閉スペクトラム障害(ASD)の子どもを持つ親にその原因であるとしてベビーフード企業を訴える訴訟の原告になることを求める広告を聞いて運転中の道路から外れるところだった。広告によるとASDの原因はもう解明されていて、両親ができることは何年もそのことを隠してきたベビーフード会社に責任をとらせることだという。

法律事務所は今は活発にベビーフード製造業者への集団訴訟の依頼人を集めようとしている。いつものように、あなたがメディアで見聞きすることは学術雑誌で読むものより遙かに恐ろしげである。ベビーフードで問題になっているヒ素と鉛について取り上げよう。

これらの訴訟が主な根拠としているのはベビーフード中のヒ素、鉛、カドミウムを測定した2019年のConsumer Reportsの記事と2021年2月の米下院経済・消費者政策小委員会のスタッフ報告書である。

何故これらの金属がベビーフードから検出されるのか?

ヒ素はベビーフードだけではなく、全ての食品から検出される。ヒ素は天然に地殻・土壌・水に存在し、植物や魚はそれを取り込み最終的に私たちのフードチェーンの一部になる。ほとんど全ての食品に含まれるが最も高濃度にヒ素を含む食品はコメ、魚、貝類、一部の肉である。コメにヒ素が多い傾向なのは水田で育てるからでそれがヒ素吸収を容易にする。海水中のヒ素は藻類を介してフードチェーンに入る。シーフードの多くは無機ヒ素より毒性の低い有機ヒ素、アルセノベタインを含む。

鉛を含む食品は(ヒ素よりは)少ない。

鉛も天然に地殻に存在するが、環境中の鉛の多くは採鉱や精錬、石炭や石油を燃やす、過去の有鉛ガソリン、塗料、はんだ付けされた缶などヒトの活動に由来するものである。食品は鉛の主な暴露源ではなく、食品中鉛濃度は一般的に低い。しかし飲料水や土壌、塗料片などの他の鉛暴露源からのリスクは無視すべきではない。鉛は神経毒で、極めて低濃度で子どもの脳の発達に悪影響があるからである。

FDAは?

FDAはベビーフード中金属についての基準は設けておらず、乳児用コメシリアルのヒ素アクションレベル 100 ppbのみがある。アクションレベルは法的執行基準ではなく企業向けのガイダンスレベルである。最近FDAはリンゴジュースの鉛に100ppb、その他のジュースに20ppbのアクションレベル案を設定した。これは特に乳幼児用製品のみが対象ではない。

これらの金属がASDの原因であるという根拠は?

このトピックについての入手可能なレビューを見てみよう。

2019年のレビューではヒ素とASDの関連について14の研究、鉛とASDの関連について37の研究を調べた。これらの研究は因果関係を決めるものでは無く、関連を調べたものである。

・ヒ素に関する14の研究のうち8つ(53.3%)が正の関連を報告した

・鉛に関する37の研究のうち19 (51.3%)が正の関連を報告した

この結果から著者らは「人生初期のヒ素暴露とASDには正の関連があることが一貫して支持され、鉛暴露とASDには一貫した根拠はない」と結論する。何故?それはメタ解析による。メタ解析はトリッキーな場合がある。私は統計学者ではないので、異なる実験デザインの各種試験の結果をまとめてしまう考え方が理解しがたい。それは私だけではないようで、ある興味深い記事で、メタ解析はたった一つの研究よりは安全な出発点ではあるが、必ずしもより信頼性が高いわけではないことを学んだ。

2019年のレビューの著者らはメタ解析には8つの試験を使ってASDと診断された人は毛髪や血中ヒ素濃度が高いとした。しかし彼らは尿中ヒ素を測定した研究はメタ解析に含めなかった。全ての研究をメタ解析に含めるとヒ素とASDの関連は一貫せず結論できないとディスカッションで書いている。それなのになぜ「ヒ素暴露とASDには正の関連があることが一貫して支持される」と結論したのか?

ASDの原因は?

科学者は知らない。知らないけれどいくつかの要因の組み合わせであろうと考えている。

結論

集団訴訟は米国では新しいものではないが、年を経る毎に科学的根拠は弱くなってきた。今回のASDとベビーフードの訴訟は、科学者が一貫して示すことができない「関連」の弱い根拠に基づくものでベビーフードがASDの原因だという根拠は無い。

(そのうちコメがヒ素やカドミウムを隠していたと訴えられるんだろうか?がんになった原因はご飯をたべて長生きしたからだ、とか?グリホサート裁判を根拠に農薬批判している有機農業界隈、自分たちが標的になることへの想像力がなさすぎる。)

 

-倫理的動物研究とは何?科学者と獣医師が説明する

What is ethical animal research? A scientist and veterinarian explain

November 23, 2022 Lana Ruvolo Grasser & Rachelle Stammen

https://theconversation.com/what-is-ethical-animal-research-a-scientist-and-veterinarian-explain-190876

スイスで医学や科学の動物実験を禁止する提案がされ、2022年2月に拒否された。賛成者はわずか21%だった。しかし世界的には米国を含めて動物実験の倫理が懸念されている。

我々は倫理的動物研究を支持する。倫理的動物研究に単一の標準定義はないが、広い意味では実験動物の人道的取り扱いを意味する。連邦研究機関は基本的ガイドラインに従っている。動物実験の3Rは使用数削減、苦痛軽減、代替法であるが4つめのRが1990年代後半に取り入れられた。それはリハビリテーションで、研究が終わった後の動物のケアを指す。

以下倫理の法執行、行動規範、対話の継続。

 

-SMC UK

現在の中国のCOVIDの状況についての専門家の反応

expert reaction to current COVID situation in China

NOVEMBER 29, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-current-covid-situation-in-china/

何人かのジャーナリストから中国のCOVIDの状況について質問があったのでここに何人かの科学者のコメントを示す。

Edinburgh大学感染症疫学教授Mark Woolhouse教授

2020年初期から疫学とグローバルヘルスの専門家のほとんどはゼロCovidは実行可能な長期戦略ではないと信じてきた。少数の良い状況の国が短期間ゼロCovidを推進できたが英国では可能ではなかった。全ての国が最終的には「Covidと共に生きる」への移行をする必要があった。この課題にいまだ直面している大きな経済圏の最後が中国である。

(略)

公衆衛生の観点からは、中国の選択肢の一つはより効果的な輸入ワクチンを使って強力にワクチン追加接種を行うことだが、どの国のCovid対策にも政治的次元があり、そうはならないだろう。

ロックダウンは2020年以前はどの国のパンデミック準備計画にも存在しなかった。それは中国がCovid初期に発明しコロナウイルス根絶に失敗した。約3年経って、中国の経験はゼロCovidが無益であることと公衆衛生介入としてのロックダウンの限界を明確に示した

Nottingham大学感染症疫学名誉教授Keith Neal教授

Southampton大学グローバルヘルス上級研究員Michael Head博士

UEA医学教授Paul Hunter教授

(みなさん中国の今後は厳しいと。Mark Woolhouse教授はスコットランド政府のパンデミック対策委員会メンバーで「世界が発狂した年The Year The World Went Mad」の著者。この本は政府のCovid対策の中心で反ロックダウンを主張した人の記録)