2022-12-21

[Codex]プレスリリース

-第53回コーデックス食品衛生部会 / 食品生産における大腸菌と水に関する作業が完了

CCFH53 / work completed on Escherichia coli and water in food production

09/12/2022

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1626121/

コーデックス食品衛生部会(CCFH)は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)の管理に関するガイドラインと、食品製造における水の安全な使用と再利用に関するガイドラインの最終採択を次回総会へ諮ることに合意した。文書案は、一般的なセクションといくつかの品目別の附属書については完了したが、他の食品に対する具体的な介入分野については引き続き議論を行う予定である。

物理的会合には51カ国が参加し、その後バーチャルで行われた最終採択には120人以上の代表者が参加した。米国農務省の主任科学者であるEmilio Esteban議長は、閉会にあたり、CCFHの代表者らに対して深い敬意を表した。今次会合は、コーデックスにとってもう一つの初めての試みで、現地参加できない人のために、会合の様子が英語、フランス語、スペイン語で毎日生中継された。

 

-第45回コーデックス総会において500以上の新たな食品規格が承認される

Codex approves over 500 new food safety standards at 45th Commission

15/12/2022

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1626947/

2022年12月13日に閉幕した第45回総会で、コーデックス委員会は一連の新しい食品安全規格を採択した。すぐに使える治療用食品、生物による食品に起因するアウトブレイク管理に関するガイドライン、カカオ豆中のカドミウム汚染の防止及び低減のための実践規範、6つの新しい個別食品規格などを含む11の新しい文書と、農薬について476の最大残留基準値(MRLs)、汚染物質について13の最大基準値(MLs)を新たに設定した。

報告書の採択手続きは2年連続でオンライン上で行われたが、時間超過のため終了できず、参加者は、時間内に議論できなかった最終報告書の残りの部分を書面による手続きで確認することになった。コーデックス事務局長のTom Heilandt氏は、報告書の採択に関しては全体として改善する余地があり、報告書から何を得たいかをもっと明確にし、そのための言葉を定義する必要があると述べた。

将来的には、メンバー員からなる起草委員会を設置し、要約と結論への合意、又は結論のみを報告し、さらにFAOが運営しているような逐語録を発行することを検討するかもしれない。Heilandt氏は、採択方法についても、文書による手続き、バーチャル、ハイブリッド、物理的のいずれかを検討する必要があると考えており、次回コーデックス総会(CAC46)では、物理的な採択方法に戻すことを計画している。

 

[FDA]FDAはFDAヒト用食品プログラムを強化するための外部評価について更新情報を提供する

FDA Provides Update on External Evaluation to Strengthen Agency’s Human Foods Program

December 06, 2022

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-provides-update-external-evaluation-strengthen-agencys-human-foods-program

(FDA長官Robert M. Califf氏の声明)

FDAのヒト用食品プログラム(Human Foods Program)の運用について、レーガン・ユダル財団が支援する専門家委員会が外部評価を実施し、調査結果と提言をFDAに提示した。その報告書は、重要で多様な視点を反映し、重要な所見とFDAが検討する選択肢を提供している。

FDAは外部評価を受け、FDA ヒト用食品プログラムの新しいビジョンについて、2023年1月末及び2月末までに最新情報を公開する予定である。これは、リーダーシップの組織構造と主要な内部プロセスと手続きの変更を含む。この新しいビジョンと構造は、本日の外部評価、9月に完了した乳児用調製乳サプライチェーンの対応の内部レビュー、食品科学の新たな進歩を活用するための継続業務(変化と進化する環境により迅速に適応できるシステムの設計を目標とする)に基づいて作られる。

外部評価の報告書をレビューし内外の利害関係者の意見を聞いた上で、FDAヒト用食品プログラムの今後について最終決定される。報告書の指摘事項を適切に実施し、運用するために、FDAのリーダーグループを結成している。リーダーらは、食品安全近代化法(Food Safety Modernization Act)に規定された予防的ビジョンの実現、慢性疾患による米国の平均寿命の低下を考慮した栄養の重要性の向上、州のパートナーシップの強化、革新的な食品・農業技術の採用など、FDAの食品プログラムの変革に取り組む。

ヒト用食品プログラムは、FDAにとって最優先事項である。米国のフードサプライはかつてないほど安全であり、食品プログラムの専門家は、消費者がより安全で栄養価の高い食品の選択肢を利用できるように多大な貢献をしてきた。しかし、ヒト用食品プログラムは、国のフードシステムとサプライチェーンの多様性と複雑さの増大、気候変動に関連する進行中の影響及び食品科学の急速な進歩により、ここ数年強調されてきた。このため、既存の食品プログラムのリーダーシップと構造を進化させ、活動資金を供給する新しい方法が必要である。又、安全で高品質のフードサプライを保証するためには、州及び国際的なパートナーとの協力を含む、FDAの検査活動が重要である。そして、巨大で成長する食料システムの先を行くデジタル技術システムは不可欠な要素である。

 

-FDAのヒト用食品プログラムの評価:報告書

Operational Evaluation of FDA’s Human Foods Program: A Report of the Human Foods Independent Expert Panel

https://reaganudall.org/operational-evaluation-fdas-human-foods-programs

2022年7月、FDA長官が食品規制の役割を強化する目的で、レーガン・ユドール財団に対し、FDAヒト用食品プログラムの包括的な評価を行うための独立専門家委員会の招集を要請した。その結果、米国人は一般的に安全で栄養価の高い食品を入手できることを確認しながらも、FDAが「一連の問題に直面している」ことを認めた。FDAの運営にストレスがかかっているため、業務の進め方をより詳細に検討するよう促された。FDAのヒト用食品プログラムの評価は、2022年9月8日に開始され、独立専門家委員会が、文化、構造とリーダーシップ、リソース、権限の4つの主要な領域において提言を行った。このレビューと提言は、FDAがその規制責任をよりよく遂行するために変更を加え、州、地方、部族、地域(総称してSLTT)及び国際政府との関係を強化し、将来にわたって豊かで栄養価が高く、安全で持続可能なフードサプライを支援することを目的とする。この評価では、食品政策対応室(OFPR)、食品安全・応用栄養センター(CFSAN)、及び規制当局(ORA)の関連部署を範囲とした。獣医学センター(CVM)とCFSANの2つの部門(化粧品とダイエタリーサプリメント)は除外されている。

 

[FSANZ]ベビーホウレンソウのリコール完了

Baby spinach recall concluded

19/12/2022

https://www.foodstandards.gov.au/media/Pages/Baby-spinach-recall-concluded.aspx

FSANZは、Riviera Farmsのベビーホウレンソウに関連するすべての製品の特定とリコールを確認した。FSANZのCEOであるSandra Cuthbert博士は、国の食品規制システムが協力し、影響を受けたベビーホウレンソウの出所を特定した後、当該ホウレンソウが使用された製品を明らかにしたと述べた。現在、対象となる製品はすべてリコールされている。

リコールされたホウレンソウ製品は、単一生産者の1つの畑から収穫されたものであることが確認されている。この生産者は、この問題に対して積極的かつ協力的に取り組んでいる。

この事件の原因及び汚染物質の正確な性質に関する調査は、関連する管轄当局が主導して継続的に行われている。

 

[NASEM]出版物

-代替蛋白源:食品革新、持続可能性、栄養、健康のバランスをとる:ワークショップの概要

Alternative Protein Sources: Balancing Food Innovation, Sustainability, Nutrition, Health: Proceedings of a Workshop - In Brief

(2022)

https://nap.nationalacademies.org/catalog/26826/alternative-protein-sources-balancing-food-innovation-sustainability-nutrition-and-health

植物や動物細胞由来タンパク質、精密発酵によるものを含む、代替蛋白源は健康、環境、社会経済、倫理的影響を与えうる。その影響は企業全体に広がり、消費者の認識と選択を揺るがし、規制方針の決定が重要である。NASEMの食品フォーラムは代替蛋白源の最新科学と食事の質、栄養、持続可能性の関連を探るワークショップを開催した。この概要はワークショップでの議論をまとめたものである。

 

-公衆衛生緊急対応企業のための将来計画:COVID-19パンデミックの教訓:ワークショップの概要

Future Planning for the Public Health Emergency Preparedness Enterprise: Lessons Learned from the COVID-19 Pandemic: Proceedings of a Workshop

(2022)

https://nap.nationalacademies.org/catalog/26805/future-planning-for-the-public-health-emergency-preparedness-enterprise-lessons

 

[USDA]食品表示規制の単一順守日(2022)

Uniform Compliance Date for Food Labeling Regulations (2022)

Dec 20, 2022

https://www.fsis.usda.gov/policy/federal-register-rulemaking/federal-register-rules/uniform-compliance-date-food-labeling-2

FSISは2023年1月1日から12月31日までに発表された新しい肉や家禽製品表示規制の単一順守日を2026年1月1日とする。FSISは表示の変更による経済的影響を最小限にするために定期的に新しい肉や家禽製品表示規制の単一順守日を発表している。

 

[ANSES] ANSESの食品中のナノマテリアルのリスク評価手法を初めて適用

First application of ANSES's methodology for assessing the risks of nanomaterials in food

16/12/2022

https://www.anses.fr/en/content/first-application-anses-methodology-assessing-risks-nanomaterials-food

食品に使用されるナノマテリアルの消費者に対する潜在的な健康リスクの評価には、従来の手法が必ずしも適しているとは限らない。そこでANSESは、2021年に「ナノスペシフィック」リスク評価手法を提案し、食品添加物のE171、すなわち最も広く研究されているナノ物質である二酸化チタン(TiO2)について試験を行った。欧州では、TiO2は2022年8月から食品への使用が禁止している。この実用化により、本手法の有効性と、食品中のナノマテリアルの適切なリスク評価を実施するためのデータ不足の程度が示された。

「ナノスペシフィック」なアプローチが不可欠

ナノマテリアルは、見た目や口当たりを良くするため、あるいは特定の栄養素の吸収を促進するために、数多くの食品に使用されている。ナノマテリアルは、その特性(大きさ、形態など)から、ナノスケールの粒子の形で体内に拡散し、特定の臓器に蓄積される可能性がある。このため、その摂取に伴う潜在的な健康リスクを評価するためには、「ナノスペシフィック」なアプローチが必要である。2021年、ANSESは、食品に含まれるナノマテリアルのナノスケール画分に関連する健康リスクを具体的に評価するための科学的ガイドを発表した。

食品添加物として使用されるナノマテリアルは、以前は標準的な手法で評価されていたが、これらはナノスケールの特殊性を考慮していなかった。実際、消化器官で溶解しない場合、ナノ粒子は体内で従来の物質で観察されるのとは異なる性質と挙動を示す。ANSESが提案するナノスペシフィックアプローチは、このような特殊性を考慮し、より適切な評価を可能にする。

食品添加物E171に適用した最初の試験

2021年に開発された手法は、最も多くのデータが得られているナノマテリアルである食品添加物E171、すなわち二酸化チタン(TIO2)で試験した。この試験により、ANSESの手法の妥当性とナノスペシフィックアプローチの必要性が確認された。また、さまざまな集団に対する暴露レベルを計算することができ、いくつかの健康影響の可能性を同定することができた。

また、特定のナノマテリアルに適用することで、ナノマテリアルを適切に評価するために必要なすべての毒性学的データを取得するために多くの作業が残っていることが示された。実際、いくつかのデータが不足していたため、添加物であるE171のリスク評価を完了させることはできなかった。「専門家は、一般毒性、遺伝毒性、発がん性、神経毒性及び生殖・発生毒性など、このナノマテリアルについて作成する必要があるすべてのデータを同定した」と専門家評価のコーディネーター、ANSESの食品リスク評価ユニットの科学プロジェクトリーダーであるBruno Testeは説明する。

食品へのナノマテリアルの使用は避けるべきである

この知見結果に基づき、ANSESは、安全性が証明されるまでは労働者と消費者のナノマテリアルへの暴露を制限し、これらの粒子が環境中に拡散するのを避けるよう再度勧告している。このため、ANSESはナノマテリアルを含まず、機能、有効性及びコストの面で同等の製品の使用を促進することを勧告する。

欧州レベルでの評価手法の調和

ANSESは、対応する機関、特に欧州食品安全機関(EFSA)と協力して、リスク評価手法を進め、ナノマテリアルの物理化学的特性評価と毒性学の試験プロトコルを調和させる予定である。2018年、EFSAは、食品添加物、農薬及び食品接触物質などの用途におけるナノサイエンス及びナノテクノロジーに関する評価書類のガイドを発表した。EFSAとANSESが開発した手法は、同様の概念とリスク評価手法に基づいているが、ANSESのアプローチは、ナノマテリアルの規制定義、粒子径測定、溶解特性及びハザード同定に関連する具体的な適応を提案した。

 

[BfR]プレゼントや豆電球:ボタン電池は小さな子供が飲み込むと深刻な健康被害をもたらす可能性がある

Gifts and fairy lights:Button cells can cause serious health damage to small children if swallowed

45/2022, 12.12.2022

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2022/45/gifts_and_fairy_lights__button_cells_can_cause_serious_health_damage_to_small_children_if_swallowed-309276.html

特にクリスマスシーズンには、電池で動く玩具や装飾品にボタン電池がよく使われる。ボタン電池を飲み込むと、食道に詰まって粘膜に深刻な損傷を与える可能性がある。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の「中毒評価委員会」は、特に注意するよう勧告する。過去10年間で、ボタン電池を飲み込んだ数百件の事例が病院や中毒センターから報告がある。

クリスマスになると、ボタン電池を使った機器があちこちで見られる。LEDティーライト、クリスマスイルミネーション、音楽付きグリーティングカード、照明のリモコンなどは、子どもの安全に配慮して使用する必要がある。欧州連合(EU)で販売されるボタン電池を使用した玩具には、ボタン電池に直接触れない方法(例:ネジで固定した電池収納部)で固定しなければならない。ボタン電池を使用するその他の機器や、新しいボタン電池や使用済みのボタン電池を保管する際には、保護者は、ボタン電池が(例え空の状態でも)子どもの手の届かないところに保管されていることを絶対に確認すべきである。

ボタン電池の飲み込みは、最初は気づかないことが多い。ボタン電池が食道に詰まると、特に危険である。湿った粘膜に接触することで電流が流れる。ボタン電池と粘膜の界面で水酸化物イオンが生成され、重大な化学熱傷につながる可能性がある。子どもが大きなボタン電池(20 mm以上)を飲み込むと、狭い食道でボタン電池が詰まる可能性が高くなる。

ボタン電池が食道に詰まった場合、最初は症状がないか、軽く違和感がある程度であることが多い。数時間後、嘔吐、食欲不振、発熱、咳などが起こる。時間が経過すると、ボタン電池と食道が接触した部分の組織損傷が進み、出血や組織が壊死することがある。後遺症として食道が瘢痕化し、狭窄することがある。合併症により死に至ることもある。

ボタン電池の充電量が多く、食道内に長く留まるほど、健康への損傷が顕著になる可能性がある。ボタン電池が食道を通過すれば、合併症はほとんど起こらない。このような場合は、通常、医師の監督のもと、ボタン細胞が自然に排泄されるのを待てばよい。BfRは、ボタン電池を飲み込んだ疑いの場合でも、直ちに小児科病院で検査を受けることを勧める。

中毒予防のヒントと応急処置の助言は、BfRの無料アプリ「子どもの中毒事故」(ドイツ語)で提供されている。https://www.bfr.bund.de/de/apps_vergiftungsunfaelle.html

 

[BfR]欧州における食品安全:リスク評価における協力と若い才能の支援

Food safety in Europe: Supporting cooperation and young talent in risk assessment

13 December 202

https://www.bfr.bund.de/cm/349/food-safety-in-europe-supporting-cooperation-and-young-talent-in-risk-assessment.pdf

2022年12月7日、欧州食品安全機関(EFSA)の第2回リスク評価研究集会(RARA)がベルリンで開催された。このイベントは、科学界及び学術科学だけでなく、リスク管理及び政界からの専門家のための集会として機能した。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)が中心となって企画したこのRARAイベントの主な焦点は、食品安全分野における国際的なリスク評価における協力関係を強化することであった。

ワークショップ、パネルディスカッション、分科会では、専門家が、国際協力によって最高の科学的水準を達成する方法、現在及び将来において弾力性のあるフードチェーンを確保する方法について議論した。また、これらの目標を達成するための課題と解決策についても議論し、信頼性の高い研究結果が、持続可能な開発目標(SDGs)や欧州連合(EU)グリーン・ディールの目標達成にいかに貢献できるかを話し合った。

ゲストには、EFSAのEU-FORAフェローシッププログラム(EU加盟国が2017年から実施しているリスク評価分野の若手科学者向け総合研修プログラム)の卒業生が多数参加した。BfRは、EU-FORAプログラムの立ち上げに積極的に関与し、毎年7週間にわたってEU-FORAトレーニングモジュールを実施するコンソーシアムの一員である。さらに、BfRは主催団体として、すでに15人の国際的な科学者が専門性を身につけるまで支援した。EFSAは、イベントの全記録をYouTubeで公開している。

https://www.youtube.com/watch?v=20UgbPf878g

また、このイベントの傍らで、2022年12月6日に第86回EFSA諮問フォーラムが開催された。EFSAとEU加盟国のメンバーで構成される諮問フォーラムは、年に4回開催し、リスク評価における協力を支援できる分野や、協力の優先順位を設定すべき分野を特定する。

2022年12月8日にベルリンで開催された第50回フォーカルポイントネットワーク会議では、2023年から2027年までのEFSAとフォーカルポイントの間の新しい枠組み協定の実施に向けた準備も行った。新協定では、既存の中核業務に加え、EFSAと加盟国の双方から提案可能な特注のプロジェクトを想定している。新しいプロジェクトは、例えば、食品安全分野のリスク評価研修の品質保証マークである欧州優秀ラベル(EEL)や、BfR世界食品安全年鑑に関する業務を含む。

 

[EFSA]EFSA Journal欧州食品リスク評価フェローシッププログラム(EU-FOR A 2.0)シリーズ5

-序文

Foreword

EFSA Journal 2022;20():e200901 14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200901

EU-FORAは、資格要件を満たした及び訓練を受けた食品リスク評価者の必要性の高まりに対処するというEFSAの熱意の一環として2016年に開始した。過去6年間、EFSAは、食品の安全性及びリスク評価における欧州の次世代の専門家の育成を支援してきた。その間、このプログラムは食品リスク評価の絶え間なく変化する状況の課題に対処するために進化してきた。

 

-導入

Introduction

EFSA Journal 2022;20():e200902  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200902

今年は、FSAのフェローシッププログラム(EU-FORA 2.0)の新たな章が始まる機会でもある。改善されたフェローシップは、新しい組織の参加をもたらし加盟国全体を広げて拡大した。

 

-FoodSafety4EU:将来の食品安全システムの道を開く

FoodSafety4EU: paving the way for the food safety system of the future

EFSA Journal 2022;20():e200914  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200914

3年間EUが資金提供するFoodSafety4EUは、新しい透明性規則(EU/2019/138)の下で2021年1月に開始された。このHorizon 2020プロジェクトは将来のEUの食品安全システム(FSS)の複数関係者のプラットフォームの構築に焦点を当てている。FoodSafety4EUネットワークは現在、23のコンソーシアムパートナーと約50人の利害関係者で構成されている。

 

-食品安全の化学物質リスク評価に、食品サンプル中の農薬を迅速に高感度で検出するバイオセンサーの利用

Use of biosensors for rapid and sensitive detection of pesticides in food samples for food safety chemical risk assessment

EFSA Journal 2022;20():e200922  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200922

このプロジェクトでは、残留農薬量を検出できる潜在的なバイオセンサーとしてAlicyclobacillus acidocaldarius由来耐熱性エステラーゼ-2 (EST2)の二重突然変異体を研究した。この酵素ベースのバイオセンサーの利用は、特に有機リン酸系農薬の有毒化学物質を管理するための食品トレーサビリティや環境モニタリングの分野で適用できる。

このバイオセンサーは、果物やジュースなどの実際の食品サンプル中の農薬の有無の検査にも使用される。この研究は、異なる農薬選択性を持つ変異体のスクリーニングを目的とした効果的な蛍光バイオセンサー開発の出発点となる。

 

-フードチェーンに沿った、集団における腸内ウイルスのリスク評価

Risk assessment of enteric viruses along the food chain and in the population

EFSA Journal 2022;20():e200918  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200918#metadata

 

-食品中の昆虫とそのアレルギー誘発性評価に関する関連性

Insects in food and their relevance regarding allergenicity assessment

EFSA Journal 2022;20():e200909  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200909

昆虫は循環型農業に貢献し、伝統的なタンパク質源を補完する理想的な候補である。昆虫のアレルギー誘発性に関する食品加工の影響を分析するために様々な食品サンプルを用意し、消化管を模倣したプロトコルを用いて人工的に消化した。結論は、食品安全、特に新規食品としての昆虫とその安全性評価においてより幅広い視点で捉える広い視野を得ることができた。

 

-新規食品:昆虫のタンパク質のアレルギー誘発性評価

Novel foods: allergenicity assessment of insect proteins

EFSA Journal 2022;20():e200910  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200910

昆虫は有望なタンパク質源であり、新規食品・飼料タンパク質としての使用に大きな可能性があると報告されている。EU‐FOR Aフェローの主な目的は、新規食品や新しい代替タンパク質源のアレルギー誘発性を予測する現在の戦略をレビューし、評価し、ギャップを特定することや、アメリカミズアブ(Hermetia Illucens)の幼虫を用いたケーススタディなどで昆虫タンパク質のアレルギー誘発性評価を習熟し、毒性学的な栄養及び微生物リスクを含む新規食品として昆虫をとらえたリスク評価を考慮し、理解し、実施することである。

 

-食品マトリクスの影響を化学物質の食品汚染物質リスク評価に実装

Implementation of food matrix effects into chemical food contaminant risk assessment

EFSA Journal 2022;20():e200905  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200905

EU‐FORA 作業プログラムの第1部(WP1)では、食品リスク評価に用いる2つの重要な単語「ハザード」と「リスク」の実際の翻訳に洞察を与えることを目的とした。作業プログラムの第2部(WP2)では、化学物質のリスク評価(CRA)の重金属や半金属のバイオアベイラビリティと生物学的利用能に関する食品マトリクスの影響に焦点を当てた。

 

-生体異物のリスク評価のための微生物叢解析:One Healthアプローチの下での累積生体異物暴露とヒトの腸内細菌層の影響

Microbiota analysis for risk assessment of xenobiotics: cumulative xenobiotic exposure and impact on human gut microbiota under One Health approach

EFSA Journal 2022;20():e200916 14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200916

 

-マイコトキシンの影響の毒性学的研究に対する革新的なin vitroアプローチ

Innovative in vitro approaches to toxicological investigations of mycotoxins effects

EFSA Journal 2022;20():e200907  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200907

この結果は、マイコトキシンのリスク評価(RA)においてより予測的で現実的なアプローチを用いることによる優れた理解の可能性を示している。

 

-分子相互作用のin silico解析に基づくミツバチのストレス要因のリスク評価

Risk assessment of honey bee stressors based on in silico analysis of molecular interactions

EFSA Journal 2022;20():e200912  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200912

ミツバチコロニーの減少は農薬などいくつかのストレス要因に関連している。現在の欧州のミツバチの農薬リスク評価は致死的影響に焦点が置かれており、亜致死的影響に関する考察がない。第一段階として、セイヨウミツバチのタンパク質と農薬のリガンド間の分子レベルでの相互作用の可能性を特定した。これらの結果を文献から得たデータと比較すると、潜在的な亜致死的影響と関連していた。最後に、特定されたミツバチの分子的ストレス要因のリスク評価分析が行われた。この研究結果はミツバチの潜在的な新しいストレス源を特定するための出発点である。

 

-ポーランドの短いサプライチェーンで生産された動物由来伝統食品の定量的微生物学的リスク評価

Quantitative microbiological risk assessment of traditional food of animal origin produced in short supply chains in Poland

EFSA Journal 2022;20():e200921  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200921

 

-スペイン製品のフードチェーンに沿った定量的微生物リスク評価を開発するためのツールでの研修

Training in tools to develop quantitative microbial risk assessment along the food chain of Spanish products

EFSA Journal 2022;20():e200903  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200903

 

-より健康的で持続可能な食事モデルに向けて食生活を変えるリスク/ベネフィットに関する変化

Changes in terms of risks/benefits of shifting diets towards healthier and more sustainable dietary models

EFSA Journal 2022;20():e200904 14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200904

このプロジェクトの目的は、現在の食習慣とベジタリアンやペスクタリアン等の新しい代替食事シナリオを比較することで成人の食事の栄養の適切性と環境への影響を調査することだった。現在の環境の影響の明確な評価は難しい。現在の食事による環境影響と世界的に持続可能な食事シナリオの明確な評価は難しい。最後に、国の食品ベースのガイドラインは持続可能性に向けた望ましい食生活の変化を実現するために、伝統的な食習慣や地元の食品の入手可能性の範囲内で、健康的で持続可能な食生活の助言を提案することによって調整されるべきである。

 

-伝統的な肉ベースの食事から代替食パターンへの転換のリスクーベネフィット評価

Risk–benefit assessment of shifting from traditional meat‐based diets to alternative dietary patterns

EFSA Journal 2022;20():e200919  14 December 2022

https://www.efsa.europa.euen/efsajournal/pub/e200919

このプロジェクトは、化学物質のリスク評価分野のフェローを訓練し、植物由来の代替肉への変更がどのように新興リスクの原動力となるか、包括的な概要を提供することを目的とした。このプロジェクトの結果から、植物由来の代替肉中の自然毒の存在と、新しい製品や食事パターンを考慮した、規制の枠組みの改善の必要性を反映した概念が示された。

 

-ポーランドで市販されているライ麦パンの複数の化学汚染物質の食事暴露とリスクキャラクタリゼーション

Dietary exposure and risk characterisation of multiple chemical contaminants in rye‐wheat bread marketed in Poland

EFSA Journal 2022;20():e200911 14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200911

この作業の目的は、ポーランドで市販されているライ麦パン中の化学汚染物質に関する存在量データを集め、その後ポーランドの様々な年齢集団のこれらの化学物質の食事暴露によるリスクを推定することだった。調査された分析物は様々な分類に属している:加工汚染物質類(アクリルアミド)、マイコトキシン類(デオキシニバレノール、デオキシニバレノール-3-グルコシド、ニバレノール、ニバレノール-3-グルコシド)、環境中の汚染物質類(アルミニウム、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛、ニッケル)。

 

[EFSA]意見

-新規食品としてのCorynebacterium glutamicum ATCC 13032の派生株(APC199)で生産した2’-フコシルラクトース (2’-FL)の安全性

Safety of 2′‐fucosyllactose (2’‐FL) produced by a derivative strain (APC199) of Corynebacterium glutamicum ATCC 13032 as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283

EFSA Journal 2022;20(12):7647  14 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7647

(科学的意見)

欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、規則(EU) 2015/2283に従って、新規食品(NF)として2’-フコシルラクトース (2’-FL)に関する意見を出すよう求められた。このNFは主にヒトと同一のミルクオリゴ糖(HiMO) 2’-FLで構成されているが、d-ラクトース、l-フコース、3-フコシルラクトース、ジフコシルラクトース、d-グルコース、d-ガラクトースも含まれている。このNFはCorynebacterium glutamicum ATCC 13032の遺伝子組換え株(APC199)での発酵してで生産した。2’-FLは、Escherichia coli K‐12 DH1又は E. coli BL21 (DE3)の派生株で科学的に合成、あるいは発酵して生産された場合、すでに認可されており、EU のNFsリストに含まれている。この申請は生産工程や規格の変更について言及しているが、対象集団、使用条件、それに伴う予想摂取量は変更しないままである。このNFの同定、生産工程、組成及び規格について提出されたデータから安全上の懸念は生じない。2’-FLに構造的に関連する他の炭水化物種の化合物の摂取も安全上の懸念はないと考えられる。母乳の天然成分である他のミルクオリゴ糖に従って、このNFの安全性評価は、主に母乳を与えられている乳児の摂取量とNFとしての推定摂取量との比較に基づいている。すでに認可されている2’-FLと同じ程度でこのNFを摂取すると仮定して、パネルは、提案した用途と使用量でこのNFの摂取は安全上の懸念を生じないと判断した。パネルは、このNFは提案した使用条件下で安全だと結論したている。

 

その他

-オンタリオ医師及び外科医大学(医師の登録と質の保証を担当)

College of Physicians and Surgeons of Ontario (CPSO)

CPSO#: 30224

Rona, Zoltan Peter

04 Nov 2022付けで医師登録抹消

https://doctors.cpso.on.ca/DoctorDetails/Rona-Zoltan---Peter/0025401-30224

決定文書の完全版によるとDr. Ronaは重症高血圧と腎機能不全のある患者に根拠のない高価なナットウキナーゼサプリメントを勧め、鼻血が出た。出血はナットウキナーゼの重大な副作用なのに原因をサプリメントだと疑わなかった。またSNSで反ワクチン投稿をしていた。

 

-共和党支持者の10人中4人以上と両親の1/3が学校が子どもたちにはしかやその他の病気の予防接種をすることに反対、COVID-19パンデミックが始まってから増加した

More Than 4 in 10 Republicans and a Third of Parents Now Oppose Schools Requiring Children to Get Vaccinated for Measles and Other Illness, Up Since the COVID-19 Pandemic Began

Dec 16, 2022

https://www.kff.org/coronavirus-covid-19/press-release/more-than-4-in-10-republicans-and-a-third-of-parents-now-oppose-schools-requiring-children-to-get-vaccinated-for-measles-and-other-illness-up-since-the-covid-19-pandemic-began/

高齢者の10人中約4人が新しいCOVID-19ブースター接種を受けた;ブースター接種を受けていない成人の多くがその価値を疑っている

COVID-19ワクチンを巡る議論と公衆衛生当局への不信の高まりの中、共和党支持者と共和党寄りの無党派の10人中4人、両親の1/3が公立学校の子どものワクチン接種要件に反対している。2019年より増加した。新しいKFF COVID-19ワクチンモニター調査。

民主党支持者ではあまり変わっていない。

 

(この発表を受けて)

ワクチンデマが最大の公衆衛生上の脅威のひとつ、CDC長官が言う

Vaccine misinformation one of the biggest public health threats, CDC director says

Dec. 16, 2022

https://www.nbcnews.com/health/health-news/cdc-director-warns-vaccine-misinformation-public-health-threat-rcna61245