2022-12-28

ご挨拶

今年はこれが最後になります。

来年は1月4日からの予定です。

本年中は大変お世話になりました。

お体に気をつけて良いお年をお迎え下さい。

 

[EU]査察報告

-ドイツ―事実調査研究-新しいゲノム技術

Germany 2022-7398―Fact finding study - new genomic techniques

11-11-2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit-report/details/4543

2022年3月1~4日にリモートで実施した、ドイツの事実調査研究の結果。この調査の目的は、新しいゲノム技術(NGT)によって得た生物や製品、そのような製品を含む食品や飼料(「NGT 製品」)の管理や関連規定の実行に関する情報を集め、優れた実践や共通の障害、困難を特定することだった。調査チームは、ドイツの機関が既知の限られた一連のゲノムの変化や定義されたNGT製品を検出する実験方法を開発していることに留意した。これらの方法には、その製品の開発者から、適切な参考資料やゲノムについての関連情報の入手が必要である。一部の管轄機関の代表は、ゲノムへの変化が検出または特定できても、植物のゲノムの特定の変化が、NGTsの使用、突然変異誘発、伝統的な植物育種、突然変異によって得られたかどうかを見分ける手段がないという懸念を表明した。ドイツの機関は、NGTsなどの遺伝子組換え生物の管理を、輸入品はもちろん、トレーサビリティの改善によりどのように改善できるかも調査中である。研究チームと会った一部のドイツ作物生産者は、現在のEU法は開発を妨げており、NGTsによって得た製品は遺伝子組換え生物として規制されるべきではないと考えている。

 

-オランダ―事実調査研究-新しいゲノム技術

Netherlands 2022-7397―Fact finding study - new genomic techniques

11-11-2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit-report/details/4544

2022年2月7~11日にリモートで実施したオランダの事実調査研究の結果。この調査の目的は、新しいゲノム技術(NGT)によって得た生物や製品、そのような製品を含む食品や飼料(「NGT 製品」)の管理や関連規定の実行に関する情報を集め、優れた慣習や共通の障害、困難を特定することだった。この研究では、オランダの機関が未承認遺伝子組換え生物を検出するためにリスクに基づいた管理を実行していることに留意し、新しいゲノム技術に関連した管理を実行する上での困難さを特定した。困難の主な理由は、NGTs由来の関連するゲノム配列の情報がないこと、参考資料がないこと、植物のゲノム上の特定の変化が、NGTsの使用、または自然の突然変異の結果、あるいは伝統的な植物育種によるかどうかを見極める、研究所や他の手段がないことである。これらの困難を考慮して、未承認遺伝子組換え生物を検出するための管理を計画する際に、NGT製品は特に考慮されていない。研究チームと会った管理者は、NGTsは伝統的な植物育種と比較して利点があると考えているが、最終製品を開発するのにNGTsを用いていない。主な理由は、NGT製品はEUで遺伝子組換え生物と見なされており、管理者の見解ではこのことが開発を妨げている。

 

-管理団体―トルコからEUへの輸出を認証するためのオーガニック生産基準と管理対策

Control Body 2022-7387―Orrganic production standards and control measures for certifying exports from Turkey to the EU

11-11-2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit-report/details/4542

2022年6月13~30日に実施したトルコの管理団体(CB)によるオーガニック生産基準と管理対策を評価するための査察。CBには管理を指揮し監督する包括的な管理システムや手順があり、製品のトレーサビリティやマスバランスなど、多くの部分はよく実行されている。だが、オーガニック農法情報システムで報告された残留農薬の調査結果を十分にフォローアップせず、管理者のリスク評価が十分堅固ではないなどの要因が実行を弱めている。トルコのCB はEUと同等の管理手段を恒久的に適用しているわけではなく、これによりCBの輸出証明書の提供する保証はある程度弱められている。

 

[EFSA]意見等

-食品中及び食品上に使用される香料のリスク評価に必要なデータに関する科学的ガイダンス

Scientific Guidance on the data required for the risk assessment of flavourings to be used in or on foods

EFSA Journal 2022;20(12):7673  23 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7673

(ガイダンス)

欧州委員会からの要請を受けて、EFSAは食品中及び食品上に使用される香料の認可申請書作成において申請者を支援するための新しい科学的ガイダンスを策定した。このガイダンスは、規則(EC) No 1331/2008に従って提出される食品香料の新規認可や既存の認可改訂の申請書に適用される。規則(EC) No 1334/2008第9条に従って、評価と認可が求められる食品香料の評価に必要な科学的データを定義している。これは、規則(EC) No 1334/2008第3条で定義されている、香料物質、香料調整品、熱処理香料、香料前駆体、その他香料及び原材料に適用される。全ての申請で提出される情報は、(a) 食品香料のキャラクタリゼーション:同定、製造工程、化学組成、規格、安定性、食品での反応と結果についての記述など、(b) 用途と使用量及び食事暴露評価、(c) 安全性データ:食品香料の遺伝毒性の可能性に関する情報、遺伝毒性以外の毒性学的データ、環境の安全性に関する情報など、である。毒性学的試験には段階的アプローチが適用され、試験要件、主要問題、誘因が記述されている。申請者は食品香料の安全性評価を支援するために各セクションで必要とされるデータを作成する必要がある。提出されたデータに基づき、EFSAは食品香料の安全性を評価し、適用できる場合は、提案された使用条件下でヒトの健康や環境へのリスクがあるかどうか結論を出す。

 

-食品中及び食品上に使用される香料のリスク評価に必要なデータに関する科学的ガイダンス案についてのパブリックコメント募集

Public consultation on the draft scientific guidance on the data required for the risk assessment of flavourings to be used in or on foods

EFSA Supporting publication 2022:EN-7669 22 December 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7669

(技術的報告書)

この技術的報告書は、欧州食品安全機関(EFSA)が実施した、食品中及び食品上に使用される香料の申請書を作成するための科学的ガイダンス案について、全ての利害関係者から情報を受け取るためのパブリックコメント募集の結果を示している。

 

[HSA]HSA警告:屋台で販売された発疹用クリームを使用した子どもが重篤な有害影響を経験した

HSA Alert: Child Experienced Serious Adverse Effects after Using Rash Cream Sold at a Makeshift Stall

22 Dec 2022

https://www.hsa.gov.sg/announcements/press-release/hsa-alert-child-rashcream-makeshift-stall

シンガポール保健科学庁(HSA)は、小児にクッシング症候群(ステロイド剤の長期使用による重篤な病状)の症状を引き起こした「Tao Ju Hui Yi Mei Li Shang Kou Hu Li Ruan Gao(桃核匯益美丽伤口护理软膏)」を購入、使用しないよう一般市民に注意を呼びかけている。製品には2種類のステロイドを含む4種類の強力な薬効成分(クロラムフェニコール、クロベタゾールプロピオン酸エステル、デキサメタゾン、ケトコナゾール)が含まれていた。製品の写真(AnnexA)、薬効成分の詳細(AnnexB)については以下を参照。(https://www.hsa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/pr_tjhyml_-cream_22dec2022.pdf

「Tao Ju Hui Yi Mei Li Shang Kou Hu Li Ruan Gao」使用による小児の重篤な有害影響

4歳の子どもが上気道感染症の治療のために病院に運ばれ、満月様顔貌、体毛の過剰成長、皮膚の薄さなどクッシング症候群の症状があることが判明した。両親は、過去4ヶ月間、発疹のために「Tao Ju Hui Yi Mei Li Shang Kou Hu Li Ruan Gao」を定期的にこの子どもに使用していた。両親はユーノス(Euos)の屋台で地元の行商人からこの製品を購入した。

HSAの調査によると、この製品は地元のeコマースプラットフォーム(Shopee、Lazada)、Facebook、「Feili Health House」(feilihealthhouse.online)というウェブサイトでも販売されていたことが判明した。HSAは、現地のeコマース・プラットフォームの管理者やFacebookと協力して、製品の掲載を削除した。ユーノスの屋台はもう営業していない。HSAは現在、ウェブサイト「Feili Health House」を調査中である。

この製品は「ベビークリーム」としてオンラインで販売され、「小さな傷、切り傷、擦り傷のケアに使用」「傷の表面に保護膜を形成し、物理的バリアとして作用」と表示があった。又、「体内に吸収されない成分を含む」、「薬効成分を含まない」と虚偽の表示があった。それどころか、クロラムフェニコール(抗生物質)、クロベタゾールプロピオン酸エステル、デキサメタゾン(ステロイド)、ケトコナゾール(抗真菌剤)を検出した。これらの成分は、医師の監督下で使用されない場合、特に小児において深刻な健康リスクをもたらす可能性がある。

HSAは、出所不明の健康製品を購入することの危険性、特に乳児や小児への使用は、表示されない強力な成分による有害影響を経験するリスクが高いことを改めて強調したい。2022年、HSAは幼児向けに販売されている他の2つの外用製品(「Star Cream」と「Jolicare」)から、ステロイドを含む強力な成分を検出した。Star Creamの使用により、生後4ヶ月の乳児にステロイド中毒を引き起こした。

保護者・消費者への注意喚起

保護者及び消費者には、以下を助言する:

子どもや家族が「Tao Ju Hui Yi Mei Li Shang Kou Hu Li Ruan Gao」を使用している場合、ステロイドを含む強力な薬効成分が含まれているため、できるだけ早く医師の診察を受けること。医師の指示なく、急に中止すると、下層の皮膚疾患の悪化や、疲労、錯乱及び低血圧などの重篤な離脱症状を引き起こすことがある。

乳児や小児に使用する製品を購入する場合は、重篤な有害影響の可能性があるため、十分注意すること。クリームなど皮膚に塗布する製品を含む。クリームの強力な成分が体内に吸収され、有害影響を引き起こす可能性がある。子どもが長期間の治療を必要とする場合は、使用する製品が適切かどうか、医師に相談すること。オンラインで購入する場合は、評判の良い薬局や小売業者のウェブサイト、又はシンガポールで小売のプレゼンスを確立している業者からのみ購入するようにすること。

販売者及びサプライヤーへの助言

すべての販売者及びサプライヤーは、「Tao Ju Hui Yi Mei Li Shang Kou Hu Li Ruan Gao」の販売を直ちに停止しなければならない。HSAは、強力な薬効成分が混入していることが判明した製品を販売及び/又は供給する者に対しては、躊躇なく厳正な執行措置を行う。当製品を販売している販売者及び供給者は、起訴される可能性があり、有罪の場合、最高3年の懲役及び/又は最高10万ドルの罰金が科される可能性がある。

 

[BfR]ヘンプを含む食品及び飼料の健康リスクに関するよくある質問

Questions and answers on the health risks of food and feed containing hemp

Updated BfR FAQ dated 15 November 2022

https://www.bfr.bund.de/en/questions_and_answers_on_the_health_risks_of_food_and_feed_containing_hemp-279961.html

https://www.bfr.bund.de/cm/349/questions-and-answers-on-the-health-risks-of-food-and-feed-containing-hemp.pdf

(2021年7月16日付のFAQに、新しい研究結果を追加した主な更新部分)

今回の更新FAQでは2023年1月1日より、ヘンプの種子及び由来製品に含まれるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)の最大含有量が、規則(EU)2022/1393が、EUで適用されることになることに言及。これまでのTHCの最大基準値0.2%含有が2023年1月1日より0.3%になる予定であり、また、ARfDは、1日に1回以上の食事で、明らかな健康上のリスクなしに摂取できるTHCの推定最大量を示す定義に言及を追加。THCのARfDは0.001 mg/kg体重であることも記載が追加。

現在の研究について(以下は、前回FAQの回答の最後部分を更新し、追記)

ヘンプを含む食品は麻薬法に該当するか?

https://www.bfarm.de/EN/Federal-Opium-Agency/_node.html (英語)

(ドイツ連邦医薬品・医療機器研究所(BfArM)の連邦アヘン庁のドイツ語でなく英語版のサイトをリンクに変更)

CBDを含む食品は、健康上の問題はないのか?

(以下の文章と出典を追加)最近、EFSAはこの文脈で様々なデータギャップを特定し、意見としてまとめた。したがって、CBDを含む食品が健康にとって安全であるかどうかを評価することは、現在のところ不可能である。出典(ドイツ語):

https://www.efsa.europa.eu/de/news/cannabidiol-novel-food-evaluations-hold-pending-newdata

ドイツでは、CBDを含むダイエタリーサプリメントは合法的に販売可能か?

(出典の追加)出典(ドイツ語):https://www.bvl.bund.de/DE/Arbeitsbereiche/01_Lebensmittel/04_AntragstellerUnternehmen/13_FAQ/FAQ_Hanf_THC_CBD/FAQ_Cannabidiol_node.html

ヘンプを含む製品は新規食品とみなされるか?

(以下の文章を追加)ヘンプ種子、ヘンプオイル、ヘンプ種子パウダーなど、ヘンプ植物に由来する他の製品は、新規食品とはみなされない。

さらに、FAQが以下、9つ追加された。

(※前回FAQの「なぜBfRは評価においてTHCカルボン酸を考慮することを推奨するか?」は削除→今回「ヘンプの葉や花からお茶の煎じ汁へのカンナビノイドの移行はどの程度なのか?」「生合成前駆物質であるTHC-カルボン酸はどの程度食品加工中にどの程度、精神活性物質であるTHCに変換されるのか?」に更新情報を詳述。)

ヘンプは何に使われているか?

ヘンプは、最も古くから栽培され、有用な植物の1つと考えられている。植物のさまざまな調合物は、古くから薬としてだけでなく、快楽物質としても使用されてきた。産業界はヘンプを使用して繊維を取得し、たとえば織物を製造している。20世紀には、有用な植物としてのヘンプの産業的重要性は低下したが、現在、栽培は再び増加している。

ヘンプを含む食品の販売数は近年増加している。とりわけ、主にヘンプの種子を成分として含む製品である。ただし、ヘンプの葉や花から生産されるお茶もある。

欧州連合(EU)では、ヘンプの種子からヘンプオイル、ヘンプの入った食べ物、またはヘンプオイルから作られるヘンプクッキー、この目的のために認可された特定のヘンプ品種から主に動物の飼料として使用される。

産業用ヘンプ品種は、「薬用ヘンプ」や「医療用ヘンプ」と何が違うのか?

産業用ヘンプ(産業用ヘンプ、繊維用ヘンプ)は、薬用ヘンプや医療用ヘンプと比較して、カンナビノイドTHCの含有量が低いだけのヘンプ品種の名称である。一部の例外を除き、産業用ヘンプも麻薬法の規則の対象となる。EUでは、厳しい条件のもと、産業用ヘンプの栽培が認められている。ただし、EUのCommon Catalogue of Varietiesに掲載されている認証品種に限り、栽培が可能である。ドイツでは、産業用ヘンプの栽培は連邦農業・食糧庁(BLE)の監視下に置かれている。法的規則によると、ドイツで産業用ヘンプの栽培が認可されている品種は、現在、乾燥質量に対するTHCの含有量が0.2 %(2023年1月1日からおそらく0.3 %)を超えてはならない。詳細については、以下(ドイツ語): https://www.ble.de/DE/Themen/Landwirtschaft/Nutzhanf/nutzhanf_node.html

ヘンプの葉や花からお茶の煎じ汁へのカンナビノイドの移行はどの程度なのか?

データベースが少ないため、これまでの記述では、煎じる際のTHCの移行については保守的な考え方(100%移行)と仮定していた。データ状況を改善するために、THCを含む個々のカンナビノイドの移行について、最近BfR独自の研究で調査が行われた。ここでは、お茶を煎じる際の物質依存的な移行が観察された。カンナビノイド酸は、対応する中性型のカンナビノイドよりも高い移行を示した。THC-の場合では、平均して1%以下の移行が確認された。茶の煎じ温度100℃では、THC-カルボン酸(THCA)のTHCへの熱変換は観察されなかった。

生合成前駆物質であるTHC-カルボン酸は食品加工中にどの程度、精神活性物質であるTHCに変換されるのか?

これまでの研究から、高温でTHCカルボン酸の脱炭酸による変換が起こることが知られている。THC-カルボン酸(THCA)の脱炭酸によりTHCに変換されることが、これまでの研究で知られている。BfR独自の研究では、この熱変換が食品加工に関連する温度でも起こるかどうかを調べた。ヘンプ種子の食用油を加熱した場合(180 ℃で10分間)、THCの比較的小さな増加(10%未満)が検出された。ヘンプの葉と花の茶では、100 ℃でTHCAからTHCへの熱変換は観察されなかった。現在、BfRにおいて、ヘンプを含む食品の加工に関するさらなる研究が行われている。

2022年11月、BfRは、産業用ヘンプから牛の乳へのカンナビノイドの移行に関する移行試験を発表した 。なぜこの研究が行われたのか?

この研究は、2011年と2015年の欧州食品安全機関(EFSA)の意見に基づいており、その中で、牛に与えたカンナビノイドが牛の乳に移行する可能性が示唆されていたが、信頼できるデータは得られなかった。また、食料生産動物への健康影響に関するデータも得られなかった。そして、EFSAは2015年の意見で、ヘンプ種子由来の飼料原料を示した濃度で使用した結果、牛乳や乳製品の摂取を通じたTHCの摂取は、健康へのリスクとはなりにくいと結論づけた。ヘンプの全草に由来する飼料原料の使用によるリスク評価は、発生データがないため不可能であった。ドイツと欧州における食品と飼料の健康リスク評価のための科学的データギャップを埋めるために、BfRは、認可された産業用ヘンプ品種(THC含有量0.2%未満)から牛の乳にカンナビノイドが移行することに関する摂食試験を実施した。発表された研究は、10頭の乳牛を対象に行われた。乳、血漿、糞便中のカンナビノイド含有量が測定された。さらに、心拍数や呼吸などの身体機能が検査され、動物の行動が観察された。研究へのリンク: https://www.nature.com/articles/s43016-022-00623-7

主な研究結果は?

乳牛の飼料に市販のヘンプサイレージを添加すると、飼料から牛の乳に様々なカンナビノイド(THC、CBDを含む)が測定可能に移行することがわかった。このTHC含有量の牛乳や乳製品を消費すると、ヒトの急性参照用量(ARfD)である体重1 kgあたり0.001 mgのTHCを大幅に超える可能性がある。この超過は、特に子供で顕著になると思われる。ARfDは、1日のうちに摂取しても健康上のリスクがないとされるTHCの推定最大量を示している。

ヘンプの飼料を与えた結果、牛の行動はどのように変化したのか?

カンナビノイドを豊富に含むヘンプサイレージを与えたところ、牛の行動が大きく変わった。2日目以降、牛の食べる量が減り、乳量も減った。呼吸数、心拍数も減少した。さらに、唾液分泌の増加、舌の遊び、目の硝子体膜の発赤が見られた。

ヘンプを給餌しているときの牛の観察は、確かにマリファナを摂取した後のヒトの観察と一部似ている。原理的には、牛のエンドカンナビノイド系統はヒトのそれと似ているが、ほとんど研究されていない。しかし、牛が「ハイ」になるとは言えない。ハイになるというのは、むしろヒトで言うところの感覚であり、一連の生理的・心理的変化を表すものだからである。科学的に、牛の気持ちや感情を認識し、その属性を利用することはまだ不可能である。さらに、本研究では、CBD含有量が非常に高い市販のヘンプを給餌した。いくつかの観察結果(例えば、眠気)は、CBDの効果に起因する可能性も否定できない。

THCやその他のカンナビノイドは、飼料から牛乳に適切な量だけ移行することができるか?

産業用ヘンプの乳牛への給餌に関するBfRの研究では、産業用ヘンプに含まれるさまざまなカンナビノイド(テトラヒドロカンナビノール、THC;カンナビジオール、CBD;THC-カルボン酸、THCA;テトラヒドロカンナビバリン、THCV;カンナビノール、CBN;カンナビジバリン、CBDV)の牛乳への移行が検出されることがある。また、測定結果を数理モデル化することで、これらのカンナビノイドの移行率(飼料で摂取した量に対する乳汁中に排泄される1日の量として定義)を求めることができた。例えば、THCの移行率は0.20%で、これまでのデータから算出された移行率よりも高い値を示した。CBDについては、0.11 %の移行率が決定された。

牛乳のTHC濃度は、消費者に健康上のリスクをもたらすのか?

今回の研究で測定されたTHC濃度の牛乳を消費すると、急性参照用量(ARfD)を超える摂取量になる可能性があり、特に子供で摂取量が高くなる。ARfDは体重1 kgあたり1 µgで、欧州食品安全機関(EFSA)によって導き出された健康ベースのガイドラインである。ARfDは、明らかな健康上のリスクを伴わずに1日以内に摂取できるTHCの推定最大量を示している。これより高い摂取量は、有害な影響が生じる可能性があるため、望ましくない。この摂取量は、特に中枢神経系に影響を与える可能性がある(例:鎮静作用の増大、作業記憶の障害、気分の落ち込み)。

ドイツでは、現在の科学的知見に基づく法的枠組みの条件により、牛乳中の高いTHC含有量は予想されない。

 

[NASEM]台所の化学者

Chemists in the Kitchen

https://labx.org/videos/chemists-in-the-kitchen

YouTubeシリーズ

最新動画はビールを醸造する(キッチンで、ではない。醸造所。)

 

論文

-合成食用色素Allura Red ACがマウスで腸内セロトニンを介して実験的腸炎感受性を促進する

Chronic exposure to synthetic food colorant Allura Red AC promotes susceptibility to experimental colitis via intestinal serotonin in mice

Yun Han Kwon et al.,

Nature Communications volume 13, Article number: 7617 (2022)

https://www.nature.com/articles/s41467-022-35309-y

(色素悪い、というニュースになってたので)

C57BL/6マウスのDSS誘発性腸炎モデルとRag1−/−マウスのCD4+CD45RBhi T細胞誘発性腸炎モデル、Allura Redは餌中100 ppm投与、しかも連続投与でないと影響でない

Brilliant Blue FCF (BB), Sunset Yellow FCF (SY), Tartrazine Yellow (TY)の中で最も強そうだった

 

-パンデミック中に3-4才の肥満が増えた

More obesity in three- and four-year-olds during pandemic

27-DEC-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/975343

European Journal of Public Healthに発表されたスウェーデンの研究。スウェーデンは他の国のようなロックダウンはしなかったが3-4才の肥満が増え、社会経済的状態との関連は明確だった(最も不利な地域で最も増えた)

 

-使える毒リストから凍結防止剤を削除する時?(動画)

Time to strike antifreeze off your list of usable poisons? (video)

27-DEC-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/975347

ACS動画シリーズ

エチレングリコールは自動車の不凍液として最もよく使われているが、中毒原因物質としてよく使われている。なぜ危険なのか?

https://youtu.be/37RRmMeNg1I

水と混合したときに融点が下がる鍵は水素結合

エチレングリコールによる事故が絶えないため今はプロピレングリコールをベースにしたものに代用されつつある

 

-米国成人のファストフード注文選択への気候変動影響メニュー表示の影響-RCT

Effect of Climate Change Impact Menu Labels on Fast Food Ordering Choices Among US Adults

A Randomized Clinical Trial

Julia A. Wolfson et al., JAMA Netw Open. 2022;5(12):e2248320.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2799947

夕食を注文することを想像して仮想のメニューを見せられた場合に気候影響表示があると23%あるいは10%対照群より持続可能なアイテムを選択する、という実験

(実際に買う時は違うんだろうと思うのでこの手の実験の根拠の強さがわからない)

 

-Science

2022人気科学ニュース

Our favorite science news stories of 2022

https://www.science.org/content/article/our-favorite-science-news-stories-2022

・謎の戦士が古代史で最も早く移動した-アバール人

・生後100年、Kurt Vonnegutはかつてなく科学に摂って重要

・古代のウイルスがヒト胎盤を守っていたかもしれない

・テクノロジーがあなたをスパイしている?新しいAIが盗聴を予防できる

・‘Holy $@*%!’科学が小惑星破壊ミッションの舞台裏の反応を捕まえる

・マルハナバチはおもちゃで遊んでいる?

・天気が赤ちゃんの命名に影響する

・中世の修道士は寄生虫だらけ(人糞肥料のため)

・現実はそれを測定するまで存在しない、量子応接間トリックが確認

・研究者がバナナの複雑な祖先を調べる

 

その他

-亜硝酸塩漬肉の「とりすぎ」は明確ながんリスク、と科学者が言う

‘Too much’ nitrite-cured meat brings clear risk of cancer, say scientists

David Batty Tue 27 Dec 2022

https://www.theguardian.com/society/2022/dec/27/too-much-nitrite-cured-meat-brings-clear-risk-of-cancer-say-scientists

マウス実験をもとに英国政府にベーコンやハムなどの加工肉に化学物質を禁止する要請

Queen’s University Belfastの科学者が亜硝酸を含む加工肉を食べさせたマウスが亜硝酸を含まない豚肉を与えたマウスより75%腫瘍性病変が多いことを発見した。亜硝酸含有加工肉15%からなる餌をマウスに与えた研究の実施者の中には、政府の馬肉スキャンダル調査を主導したChris Elliott OBE教授が含まれる。Elliott教授は政府に加工肉中亜硝酸についての立場を変更するよう呼びかけている。

英国で販売されているベーコンの約90%は亜硝酸が含まれると考えられている。食事の15%が亜硝酸を含む加工肉、というのは比較的多い摂取量だがそれより少なくてもがんリスクが上がる可能性がある。

FSAの科学部長Rick Mumfordは新しい研究は評価されるだろうという

(Natureに発表、とあるがリンクがなくわからない)

 

-ポストバイオティクスはどうやってあなたの健康を増進し加齢を逆転するのに役立ちすらするのか

How postbiotics could boost your health and even help reverse ageing

29 November 2022  By Jessica Bond

https://www.newscientist.com/article/mg25634150-200-how-postbiotics-could-boost-your-health-and-even-help-reverse-ageing/

ポストバイオティクスは最新の健康の流行で、皮膚を良くし我々を強くし加齢の兆候を逆転すらするという。でもそれは何でそのような誇大宣伝にかなうものなのか?

微生物叢の重要性に関する根拠が積み重なるにつれてそれを強化しようとする望みも大きくなった。最初はプロバイオティクス、生きた細菌、だった。次がプレバイオティクス、微生物が必要とする食品、だった。そして今度はポストバイオティクス、死んだ細菌と生きた微生物が排出したもの全てを指す。

(本文は購読者のみ)

 

-安全性を維持し塩の多すぎる食事と戦うには成分変更が最良の選択肢か?

Is changing ingredients the best option to maintain safety and combat salty diets?

December 27, 2022 By Wendelyn Jones

https://www.foodsafetynews.com/2022/12/is-changing-ingredients-the-best-option-to-maintain-safety-and-combat-salty-diets/

健康のため減塩しようという公衆衛生キャンペーンには相当なリソースがつぎ込まれたがいまだ摂取量は多いままで安全な食習慣の脅威である。

公衆衛生当局はナトリウム摂取量は1日2300mg以下にすべきというがアメリカ人は平均3400mgを摂っている。ではどうすればいい?アメリカ人に食べる量を減らそうと呼びかける代わりに供給される食品のナトリウムを減らすのが重要な戦略であると示唆されてきた。

最近の系統的スコーピングレビューは塩化ナトリウムの削減や代用、風味の改変、機能的修飾や食品の物理的構造の変更などの減塩戦略を探る数百の研究を探った。

塩は味の他に多様な役割があるため除去や代用には慎重な対応が重要である。歴史的には安全のために使われてきた。冷蔵庫と進歩的包装がない時代には望ましくない微生物の増殖を抑制するには塩が最良の選択肢の一つだった。現在は塩だけで保存された食品はほとんどないが、それでも腐敗防止に使われている。減塩が安全性を損なわない食品としては冷凍食品、酸性食品、水分の少ない食品などがある。減塩が安全性低下につながる食品の場合には何らかの対策が必要になる。例えば塩漬け肉で塩を減らすと乳酸細菌とタンパク質分解微生物によってダメになりやすくなる。病原体が増殖すれば問題である。従って減塩のためには基本的ガイドが必要であろう。

減塩が成功するには消費者の受容が維持されなければならない。科学者は減塩の技術的側面についてはしっかりした研究ができるが、消費者の味覚認識についてはそれほどではない

IAFNSは減塩データベースを開発した

・Sodium Reduction Technologies Applied To Bread Products And Their Impact On Sensory Properties: A Review

https://iafns.org/publication/sodium-reduction-technologies-applied-to-bread-products-and-their-impact-on-sensory-properties-a-review/

・Sodium Reduction Science And Strategies Database

https://iafns.org/sodium-reduction-science-and-strategies-database/