2023-03-31

[EFSA]意見等

-鶏卵由来食品用酵素リゾチームの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme lysozyme from hens' eggs

EFSA Journal 2023;21(3):7916 28 March 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7916

(科学的意見)

この食品用酵素リゾチーム(ペプチドグリカン N‐アセチルムラモイルヒドロラーゼ; EC 3.2.1.17)は、DSM Food Specialties BV社が鶏卵で生産し、提出した。醸造工程、チーズ生産用のミルク工程、ワインとビネガーの生産に使用することを意図している。この食品用酵素への食事暴露―総有機固形物(TOS)は最大4.9 mg TOS/kg体重/日と推定された。この暴露は全ての集団グループで卵由来の対応する画分の摂取よりも少ない。卵のリゾチームは既知の食品アレルゲンである。パネルは、意図した使用条件下で、扱ったビール、チーズとチーズ製品、ワインとワインビネガーのリゾチームの残留量は、影響を受けやすい人の有害アレルギー反応を引き起こす可能性があると判断した。提出されたデータ、この食品酵素の由来、卵からの摂取量に匹敵するこの食品用酵素への暴露に基づき、パネルは、この食品用酵素リゾチームは、影響を受けやすい人に生じる既知の有害アレルギー反応を除き、意図した使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-ブドウの木、オリーブ、バナナ、オート麦、ライ麦、ライ小麦、小麦、トマト、ナス、パプリカ、トウガラシ、ホオズキ属、キュウリ、ジャガイモ、バラの木、観葉植物、モモ、アプリコット、サクランボ、プラム、ネクタリン、ミラベル、稲作の殺菌剤として植物保護に使用される水酸化マグネシウム(E 528)の基本物質承認申請に関する加盟国とEFSAの協議結果

Outcome of the consultation with Member States and EFSA on the basic substance application for approval of magnesium hydroxide E 528 to be used in plant protection as a fungicide on grapevines, olives, banana, oat, rye, triticale, wheat, tomatoes, aubergine, sweet pepper, chili, Physalis sp. and pepino, potatoes, rosebush, ornamental plants, peach, apricot, cherry, plum, nectarine, mirabelle and rice crops

EFSA Journal 2023;20(3):EN-7902 28 March 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7902

(技術的報告書)

欧州食品安全機関(EFSA)は、欧州委員会が受け取った基本物質申請の評価に関して科学的支援を提供するよう欧州委員会に求められた。これに関連して、水酸化マグネシウムの基本物質申請に関して、加盟国とEFSAで実施したコメント段階で提起された特定の点に関するEFSAの科学的見解が提示される。評価の文脈は、ブドウの木、オリーブ、バナナ、オート麦、ライ麦、ライ小麦、小麦、トマト、ナス、パプリカ、トウガラシ、ホオズキ属、キュウリ、ジャガイモ、バラの木、観葉植物、モモ、アプリコット、サクランボ、プラム、ネクタリン、ミラベル、稲作の殺菌剤として植物保護に使用される基本物質としての水酸化マグネシウムの承認申請の提出後に、規則(EC) No 1107/2009第23条に従って欧州委員会が要求した。本報告書はEFSAが企画したパブリックコメント募集結果をまとめ、個別に受け取ったコメントに関するEFSAの科学的見解を提示している。申請者による説明を考慮して、評価されたこの物質を水酸化マグネシウム(E528)と名付ける必要がある、というのが見解の1つである。

 

-使用済PETを食品接触物質へとリサイクルするために使用するStarlinger iV+テクノロジーに基づくCommercial Plasticsプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Commercial Plastics, based on the Starlinger iV+ technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2023;21(3):7925  27 March 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7925

(科学的意見)

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期保存される飲料水を含む全ての種類の食品接触物質の製造に100%使用しても、安全上の懸念とはならない。このリサイクルPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンで使用されることを意図しておらず、そのような利用はこの評価の対象外である。

 

-飼料中の臭素とオクラトキシンAの拡大文献調査

Extensive literature searches on bromine and ochratoxin A in feed

EFSA Journal 2023;20(3):EN-7938  24 March 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7938

(外部科学報告書)

飼料中のオクラトキシンA (OTA)と臭素、臭素酸塩、臭化物(BRs)に関する関連研究のための2回の外部科学文献調査(ELSs)が、PubMed、Web of Science (WoS)、SciFinderを用いて行われた。検索クエリにより、OTA とBRsにそれぞれ合計8,953報と34,183報の参考文献が得られた。この文書の関連分析は、含有・除外基準に対するタイトルと概要のスクリーニングで実施された。OTAとBRsの各エリアに発表された関連文献は、それぞれ:エリア1(定量化の分析技術に関する情報)それぞれ117報と117報の文書;エリア2(発生/濃度と形式に関する情報)それぞれ176報と176報の文書;エリア3(農場とコンパニオンアニマルの暴露に関する情報)それぞれ31報と3報の文書;エリア4(農場とコンパニオンアニマルのトキシコキネティクス(吸収、分布、代謝、排泄)に関する情報)それぞれ37報と8報の文書;エリア5(農場とコンパニオンアニマルのOTA/BRsの毒性に関する情報)それぞれ249報と23報の文書;エリア6(飼料から動物由来食品のOTA/BRsの移行に関する情報)は18報と4報の文書。OTAとBRsそれぞれに全部で618報と100報の関連する非冗長文書が見つかった。それらの結果は関連性があるとして以前に分類された全文書の全文分析後に得られる。

 

[VKM]魚の飼料の成分として使用する遺伝子組換えナタネ油(Aquaterra®)

Genetically modified oilseed rape oil (Aquaterra®) intended for use as an ingredient in fish feed

24.03.2023

https://vkm.no/english/riskassessments/allpublications/geneticallymodifiedoilseedrapeoilaquaterraintendedforuseasaningredientinfishfeed.4.5d1114a185055c1c342e212.html

重要なメッセージ:

遺伝子組換えナタネ油Aquaterra®を含む魚の飼料は、従来の飼料と比べて魚の健康リスクを増加させない。

このナタネ油が従来の飼料と比べて環境への悪影響のリスクをもたらすという兆候もない。

これは、魚の飼料の成分として使用するナタネ油の承認申請を受け取ったノルウェー食品安全機関(Mattilsynet)の代わりにVKMが実施したリスク評価の結論である。

ノルウェーで遺伝子組換え製品を使用するために申請が提出されたのは初めてである。このナタネ油は海のオメガ-3脂肪酸の植物由来の代替品である。通常、魚油は魚の飼料の脂肪酸源として使用される。

この申請は魚の飼料における遺伝子組換えナタネ油の使用に限定される。

VKMは、食品や飼料に使用される遺伝子組換えのリスク評価を欧州食品安全機関(EFSA)のガイダンスに従って実施している。

VKMの食品及び飼料のGMOに関するパネルのメンバーに加えて、動物の飼料に関するパネルのメンバーがリスク評価を承認している。

 

[TGA]MDMAとシロシビンのアクセスへの変更を理解する

Understanding the changes to MDMA and psilocybin access

30 March 2023

https://www.tga.gov.au/news/blog/understanding-changes-mdma-and-psilocybin-access

間もなく精神科医がMDMAとシロシビンをある種の患者に処方できるようになると聞いたかもしれない。これは、これらの薬物が他に治療法のない特定の精神疾患の患者に役立つ可能性があるという根拠が出てきたためである。このためTGAは2023年7月1日からMDMAとシロシビンの、認定精神科による処方を認める。MDMAはPTSD治療用のみ、シロシビンは他の治療法に抵抗性の鬱にのみ処方される。墓に認可された使用法はない。

この変更により薬物乱用問題につながるといった懸念があることは理解できる。こうしたことを予防し患者の安全を維持するため、厳格な規則を実施する

 

[CDC]民間保険のある子どもと成人の精神刺激薬処方箋の傾向-米国、2016-2021

Trends in Stimulant Prescription Fills Among Commercially Insured Children and Adults — United States, 2016–2021.

Danielson ML, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2023;72:327–332

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7213a1.htm?s_cid=mm7213a1_w

ADHD治療目的が主の精神刺激薬の成人への処方がCOVID-19パンデミック以前から増加していたが、パンデミックによる遠隔医療推進でさらに増加した

(全年齢両性平均で4.1%がADHDの薬を使っている)

 

[ProMED]食品毒素-韓国:チェリートマト

Foodborne toxin - South Korea: cherry tomatoes

2023-03-31

https://promedmail.org/promed-post/?id=8709250

Date: Thu 30 Mar 2023 Source: The Chosun Ilbo(日本語)

https://news.yahoo.co.jp/articles/340e3bda18255d1b5107ca3a7953717776e55765

韓国でミニトマトを食べて嘔吐する人が続出…原因は新品種に含まれる成分だった

続報

韓国でミニトマトを食べて嘔吐続出···原因に名指された「トマチン」

https://news.yahoo.co.jp/articles/2fdbc069bf1c32decbda83109f536799d255a650

HS2106

(この新品種だけ、なら病害虫に強い等の性質で選別したのかな?結果毒素生産能力の高いものを選んだ?)

 

論文

-DNA検査がメニューに絶滅危惧ウナギを発見

DNA testing finds endangered eels on the menu

30-MAR-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/984527

Exeter大学の研究者らが、ウナギのゼリー寄せ、寿司と丼に使われているウナギのDNAバーコーディングを行って取引禁止されているヨーロッパウナギを調べた

Food Control

 

-迅速で安価に食品中農薬を検出する紙ベースのセンサー

A paper-based sensor to detect pesticides in food quickly and cheaply

30-MAR-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/984521

血糖を測定するのに使われる測定器と類似の装置をサンパウロ大学の研究者らが開発した

Food Chemistry

りんごやキャベツの外側の、禁止農薬カルベンダジムを0.06 µM以上で検出できる

 

-EUのタトゥーインク禁止:化学を解説(動画)

European Union’s ban on tattoo ink: breaking down the chemistry (video)

30-MAR-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/984482

ACS動画シリーズ

禁止された青blue15と緑Green7の色素にいい代用品がない

さらに血糖濃度で色が変わるような、バイオセンサー色素の可能性について

 

-ノンアルコール飲料の入手可能性増加がオンラインでのアルコール購入量を減らすかもしれない

Increasing availability of non-alcoholic drinks may reduce amount of alcohol purchased online

30-MAR-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/984334

ケンブリッジ大学の研究者らがPLOS Medicineに発表した購入シミュレーション研究。ノンアルコール飲料の割合を増やすことでアルコールの購入量が減るかもしれない

 

-緑の海草のポテンシャルを開放する:栄養、活性物質を研究が探る

Unlocking the potential of green seaweeds: Study explores nutrients, active substances

Mar 30 2023

https://www.news-medical.net/news/20230330/Unlocking-the-potential-of-green-seaweeds-Study-explores-nutrients-active-substances.aspx

Food Production, Processing and Nutritionに発表されたレビュー

An overview on the nutritional and bioactive components of green seaweeds

https://fppn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s43014-023-00132-5

オープンアクセス

(写真がたくさんある。著者は中国人で海苔巻きと海苔が韓国風。日本の存在感が希薄)

 

SCIENCE VOL. 379, NO. 6639

-エディトリアル:公衆衛生へのバックラッシュを修繕する

FIX THE BACKLASH AGAINST PUBLIC HEALTH

LAWRENCE O. GOSTIN AND SARAH WETTER  p. 1277

米国では連邦主義により州が公衆衛生の主な権限をもっている。これまで病気の流行の際には公衆衛生の担当者の権限を拡大して対応してきたがCOVID-19ではそうならなかった。保健担当者ではなく立法者が法により保健対策を指示し、これは迅速で科学に基づいた判断をするには適していない。さらに保健担当者の実施したCOVID-19対策に対して1000以上の訴訟が起こされ、そのうち1/4は対策を無効にすることに成功している。

保健当局は緊急事態対応には強く柔軟な力を持つべきだが立法者にはあまりにも長く個人の自由を蹂躙する「緊急事態」宣言を終わらせる力を持つ必要がある。緊急時の権限には透明性と説明責任の増加が含まれるべきである。つまり独立したレビューを意味する。さらに保健担当者はマイノリティや低所得層などの不利な立場にある人達への介入の影響を評価すべきである。緊急対策による意図せぬ害を緩和するために関係者と協力すべきである。

(少なくともコロナ対策と称して食品を軽視した日本の対策本部には不信。)

 

-中国が野生生物取引を取り締まっている。十分か?

China is cracking down on its wildlife trade. Is it enough?

BYDENNIS NORMILE

より厳しい規則は疾患アウトブレイクを予防できるだろう、しかし毛皮のための養殖が認められていることは懸念

さらに中国伝統薬に使われている動物を育てることも容易にした

(で、悪徳業者が密猟した動物を養殖だと言って売るだろうと)

 

-肥満と自己免疫の関連

The link between obesity and autoimmunity

BY GIUSEPPE MATARESE 30 MAR 2023: 1298-130

 

その他

-あなたのシャンプーにベンゼン?訴訟をおこしたいのは弁護士だけではない

Benzene In Your Shampoo? It’s Not Only Lawyers Who Want To Sue

By Barbara Pfeffer Billauer JD MA (Occ. Health) PhD — March 30, 2023

https://www.acsh.org/news/2023/03/30/benzene-your-shampoo-it%E2%80%99s-not-only-lawyers-who-want-sue-16970

ザンタック(ラニチジン)への集団訴訟をおこした人達が今度はシャンプーに発がん物質のベンゼンが含まれるとして新たな集団訴訟をおこした

この両方の訴訟に関与しているのがコネチカットの民間検査企業であるValisureである。

Valisureは2019年にザンタックの検査について市民請願を提出している。この「知見」は複数州にわたる集団訴訟MDLには提出されていないが、ザンタック訴訟を却下する時にRosenberg判事が最初の市民請願で提出されたValisureのデータのレビューを開始した。Valisureはしばしば原告側の専門参考人として出廷していて自社の方法論を擁護したが、判事はその方法論に納得せず、科学的厳密性を欠くことに呆れた。FDAもまた当惑してValisureにその方法を批判する8ページにわたる文書(https://www.fda.gov/media/163682/download)を送っている。

Valisureの擁護は雑誌のエディトリアルでも厳しく批判されている

A Legal Shakedown Exposed

How Valisure tried to cash in on its dubious claims about cancer.

https://www.wsj.com/articles/valisure-cancer-claims-zantac-dry-shampoo-david-light-11675806424

編集者は歯に衣着せず述べている:

Valisureの方法と原告弁護団の訴訟は訴訟詐欺litigation scamのようであり、Rosenberg判事がそれを明らかにしたことは喜ばしい

 

Valisureは2022年10月の新しい訴訟でドライシャンプーのベンゼンについて文句を言っている。ベンゼンは発がん物質だが、もちろん用量と経路が問題になる。ドライシャンプーを頭皮にすり込んでマッサージすることはないし、ベンゼンが痕跡量検出されるのはシャンプー成分ではなくスプレー用のガスの方である。そしてFDAはValisureがGMPなどの連邦規制に従っていないことを懸念している。ベンゼンは環境中にありふれた化合物で人間は毎日多様な暴露源から暴露されている。FDAによればそれらが発がん性の懸念となることはない。しかしそれでもValisureの活動は消費者の使用に影響を与えた。「人気のドライシャンプーに高濃度の発がん物質が見つかった」という見出しで。

Valisureはたくさんの市民請願と無数の集団訴訟-多くの場合消費者が購入した製品に気がつかない発がん物質が含まれていたという主張で-をひきおこすことで事業を拡大し利益を増やしてきた。しかしほとんどの場合病気になった人は誰もいない。多くの場合で経済的ダメージに対する返金を要求している。

この種の集団訴訟が流行しつつある。ベビーフードのヒ素や鉛やカドミウムなどの有害重金属への訴訟に、最近は乾燥オレガノ、タイム、その他たくさんのスパイスに対する数百の集団訴訟が加わった。これらの訴訟ではNPOによる極めて特殊な技術を用いて極微量の各種発がん物質を検出した「科学研究」を引用する。NPOの「専門家」はお金をもらって訴訟で証言する。これらの裁判はまだ初期段階だが、原告側は勝利を信じている。

問題にされている物質はしばしば本当に微量で、10ppbといったレベルである。訴訟を避けるために痕跡量の物質も開示すべきだろうか?技術が進歩しますます微量のあらゆる毒素が検出できるようになった。単に検出されたというだけでは病気のリスクにはならない。

私は、法律が科学に追いつくときだと思う

(一部のみ。一見消費者のためのようだけれど実は悪徳、ってたちがわるい)

 

-Edzard Ernst

私の新しい本が出た-予定より2ヶ月早く

My new book is out – two months earlier than announced

Friday 24 March 2023

https://edzardernst.com/2023/03/my-new-book-is-out-two-months-earlier-than-announced/

昨日私の新しい本が発行されたと出版社から連絡があった。アマゾンでの発表より約2ヶ月早い。ドイツ語で-そう、私は再びドイツ語で書き始めた。でも心配しないで、前文を翻訳した。

略。本のタイトルはVorsicht Heilpraktiker  Eine kritische Analyse(自然療法士に注意:ある批判的解析)

 

 

-BBC

がんの血液検査は「健康なのに心配性な人を餌食にしている」可能性

Cancer blood test may 'prey on the worried well'

By Matthew Hill

https://www.bbc.com/news/uk-england-somerset-65063016

がんを早期発見できると宣伝して血液検査を売っているGoodbody Clinicと、そのような検査に意味は無いという腫瘍専門医Paul Cornes医師の主張を紹介する記事。