2023-05-15

[BfR]実験動物の保護:「余剰」な動物の殺処分は個々のケースで慎重に検討しなければならない

Protection of laboratory animals: The killing of a ”surplus” animal must be carefully weighed up in each individual case

https://www.bfr.bund.de/cm/349/protection-of-laboratory-animals-the-killing-of-a-surplus-animal-must-be-carefully-weighed-up-in-each-individual-case.pdf

ドイツの動物福祉法によると、誰も「正当な理由」なく動物に痛み・苦しみ・害を与えてはならない。正当な理由なく脊椎動物を殺傷する人は起訴を免れない。だが、正当な理由とは一体何か?この言葉は法律で明確に定められていない。多くの事例に適用される可能性のある、法的定義のない、はっきりと定められていない法律用語である。規定は、正当な理由とは、説得力があり理解できるもので、誠実に、その動物の利益を上回る、保護に値する利益で裏付けられなければならない、ということである。

ドイツ実験動物保護センターの科学者チームは、特定の条件下で、余剰実験動物の殺傷が正当な理由に基づいて正当化されているかどうか調査した。

法律雑誌Natur und Rechtの2つの記事、

(https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s10357-022-41029.pdf?pdf=inline%20link

https://link.springer.com/article/10.1007/s10357-022-4103-8)の中で、科学者は包括的な答えはないと結論している。個々のケースごとに、「余剰」な実験動物を殺傷する正当な理由があるかどうか慎重に検討しなければならない。

 

[BfR] 食品生産工程で不純物はどのように修正されるのか?

How are impurities modified during the food production process?

https://www.bfr.bund.de/cm/349/how-are-impurities-modified-during-the-food-production-process.pdf

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、Peter Fürst医学博士にマリア・ジビーラ・メリーアンフェローシップを授与した。国際的に有名な食品化学者が長年BfRと協力し、豊富で貴重な専門知識を提供している。2023年4月25日に開始されたこのフェローシップにより、彼は役割を広げて、フードチェーンに沿った望ましくない物質の性質やそれらの変換生成物についての研究課題に専念できるようになる。とりわけ、新しい化学物質分析法の開発や、動物の飼料実験の代替・補完方法などの分野が含まれる。

 

[ODS]コロイド銀:知っておくべきこと

Colloidal Silver: What You Need To Know

April, 2023

https://www.nccih.nih.gov/health/colloidal-silver-what-you-need-to-know

 情報更新。

コロイド銀とは?

コロイド銀は液体中のとても小さな銀の粒子からなる。時にはダイエタリーサプリメントとしてインターネットで宣伝されている;だが、健康に関連する強調表示を支持する根拠はない。

コロイド銀は安全?

米国食品医薬品局(FDA)は、コロイド銀は安全ではなく、病気や症状の治療に効果がないと警告している。また、FDAと連邦取引委員会は、コロイド銀製品についての誤った強調表示をする多くの企業に対して措置を講じている。

コロイド銀は重篤な副作用を引き起こす可能性がある。最も一般的なのは銀中毒で、これは皮膚が青みがかった灰色に変色し、身体の組織に銀が蓄積するもので、通常はいつまでも続く。

コロイド銀は、特定の抗生物質やサイロキシン(甲状腺欠乏症の治療に使われる)などの一部の医薬品の吸収を悪くする可能性がある。腎臓病、肝臓病、神経系の問題を引き起こす可能性があるという根拠もいくつかある。

コロイド銀に効果はある?

口から摂取する場合、銀は体内で既知の機能や利点はなく、必須ミネラルではない。

コロイド銀は何に使われている?

コロイド銀は、抗生物質が利用できる以前に感染症や傷の治療に使われていた。

COVID-19の予防や治療にコロイド銀の使用を支持する臨床上のエビデンスはない。さらに、代替療法やダイエタリーサプリメントがCOVID-19の予防や治療をすることは示されていない。

慢性副鼻腔感染症を治療するコロイド銀の点鼻薬の効果を評価した研究が数件あるが、意味のある改善は示されなかった。

さらに考慮すること

安全や効果が証明されていないコロイド銀及び他の補完製品や実践は、健康問題について医師の診察を延期するための理由として決して使用してはならない。

コロイド銀製品はホメオパシー療法として販売されることもある。ホメオパシーについての詳細は、「ホメオパシー:知っておくべきこと」を参照のこと。

健康を管理しよう―使用する補完的な健康アプローチについてかかりつけ医に相談しよう。十分な情報に基づいた決定を一緒に共有できる。

 

[EU]RASFF 2023(0507-0513)

警報通知(Alert Notifications)

ポーランド産茶のピロリジジンアルカロイド、インド産フェヌグリークの葉のアセタミプリド・クロルピリホス・イミダクロプリド及びチオファネートメチル、スペイン産テフ粉のアトロピン及びスコポラミン、中国産カットした冷凍インゲンのファモキサドン・クロルピリホス・ルフェヌロン・ビフェントリン・イソカルボホス及びクロルフェナピル、ケニア産サヤエンドウのクロルピリホスエチル及びメタラキシル、キプロス産ウェブショップのフードサプリメントの未承認物質ヨヒンビン、スイス産ウェブショップのフードサプリメントの未承認物質ヨヒンベ及びトンカットアリ、中国産オランダ経由梨の未承認農薬クロルピリホス、セルビア産冷凍ラズベリーのカドミウム、ジャスミンティーのアントラキノン、オランダ産梨のクロルメコート、

注意喚起情報(information for attention)

エクアドル産ダークチョコレートのカドミウム、セネガル産クルマエビの亜硫酸塩非表示、ハンガリー産ウェブショップの未承認新規食品アヘンボク (Mitragyna speciosa)、エジプト産生鮮ニンジンのリニュロン、米国産ウェブショップのフードサプリメントの未承認物質ヨヒンベ及びトンカットアリ、ウズベキスタン産ウェブショップのフードサプリメントの未承認物質ヨヒンビン、中国産ナイロン製サービングスプーンの一級芳香族アミンの溶出、オランダ産ウェブショップの未承認新規食品アヘンボク、英国産トウガラシフレークの鉛高含有、バングラデシュ産ドイツ経由生鮮豆の未承認残留農薬キナルホス、ドイツ人販売者からオンラインで提供され、アリババより発送された未承認物質エフェドラ、トルコ産トマトの未承認物質クロルピリホスメチル、

通関拒否通知(Border Rejections)

エジプト産オレンジの未承認物質クロルピリホス、トルコ産生鮮ペッパーのホルメタネート、イラン産殻付きピスタチオのアフラトキシン、インド産ピーナッツバターのアフラトキシン、インド産ピーナッツのアフラトキシン(複数あり)、トルコ産グレープフルーツのクロルピリホス及びクロルピリホスメチル、米国産ピーナッツのアフラトキシン、北マケドニア産ヒマワリ油のベンゾ(a)ピレン及び多環芳香族炭化水素、トルコ産生鮮レモンのクロルピリホスメチル、インドネシア産ナツメグのアフラトキシン、米国産英国経由フードサプリメントの未承認新規食品成分フルボ酸、英国産フードサプリメントの未承認新規食品成分3,3' ジインドリルメタン(DIN)、

 

[ProMED]シアン化物中毒-オーストラリア:(北部準州)牛、青酸

Cyanide poisoning - Australia: (NT) cattle, prussic acid

2023-05-13

https://promedmail.org/promed-post/?id=8710024

Date: Thu 11 May 2023 00:40 ACST Source: ABC.net.au [edited]

Alice Springs近くのOld Man Plains研究ステーションで約70頭の牛がシアン化物中毒で死亡した。3月に地元の植物を食べて69頭が死亡した

Eremophila maculateをたくさん食べたためと考えている

 

[ProMED]塩素ガス中毒-オマーン:(北バーティナ行政区)傷害

Chlorine gas poisoning - Oman: (BN) injuries

2023-05-15

https://promedmail.org/promed-post/?id=8710052

Date: Tue 9 May 2023 Source: Oman Daily Observer [edited]

保健省は2023年5月9日のソハールでの塩素ガス中毒被害者42人中16人が入院し、2人はICUに入ったと発表した

(工場でのガス漏れのようだが)

 

論文

-妊娠中の肥満と糖尿病:子どもでの帰結

Obesity and diabetes in pregnancy: Consequences in offspring

12-MAY-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/989135

妊娠中に肥満や糖尿病だった女性の子どもはある種のエピゲノム変化が生じ糖尿病や肥満、心血管系疾患などになりやすい

Cardiovascular Diabetologyに発表されたスペインの研究

 

-病院のプロバイオティクス採用と超低出生体重の新生児のアウトカムとの関連

Association of Hospital Adoption of Probiotics With Outcomes Among Neonates With Very Low Birth Weight

May 12, 2023

Leila Agha, et al., JAMA Health Forum. 2023;4(5):e230960.

https://jamanetwork.com/journals/jama-health-forum/fullarticle/2804952

2012年から2019年の間に米国の17%のNICUでプロバイオティクスのルーチン使用が採用された。プロバイオティクス採用と壊死性腸炎有病率の18%の低下が関連したが、敗血症と死亡率とは関連がなかった。この結果はRCTの根拠から予想される影響より小さく、バイアスリスクの低いものだけに絞ったメタ解析の結果と一致する

 

-米国公衆衛生局長官:孤独は公衆衛生の危機

US Surgeon General: loneliness is a public health crisis

Susan Jaffe

WORLD REPORT| VOLUME 401, ISSUE 10388, P1560, MAY 13, 2023

米国公衆衛生長官Vivek Murthyが新しい報告書で社会的孤立に対応する広範な努力をよびかけた。「孤独は単なる気持ちの問題以上のものである-それは個人と社会の健康を損なう。孤独は心血管系疾患、認知症、脳卒中、鬱、不安、早期死亡に関連する」。それは死亡率に毎日15本の喫煙と同等の影響がある。アメリカ成人の約半分が孤独を感じ、肥満や糖尿病などの他の健康への脅威よりはるかに多い。過去20年、15-24才の若い人達が最もひどく社会的関係の低下を経験している-友人と一緒に過ごす時間が70%減った。COVID-19パンデミックはこの傾向をさらに悪化させた。

(以下略)

 

-オーストラリアは全面的電子タバコ規制を導入

Australia to introduce sweeping e-cigarette regulations

Tony Kirby

The Lancet WORLD REPORT| VOLUME 401, ISSUE 10388, P1557, MAY 13, 2023

若者の電子タバコ使用リスクを引用して、オーストラリアは電子タバコは処方でのみ入手可能にする計画

オーストラリアはたばこ規制については早くから採用してきたがこれまで電子タバコにはソフトアプローチを採用していた。それを変えた。厳密には、豪州ではニコチン含有電子タバコの処方無しでの販売は既に違法であるが、これまで違法販売の取り締まりは行ってこなかった。その結果電子タバコの使用が大幅に増加し14才から17才のオーストラリア人の6人に1人、18才から24才の1/4が電子タバコを吸ったことがある。そして政府の対応への最後の一押しの一つになったのはオーストラリア国立大学のEmily BanksがThe Medical Journal of Australiaに発表したレビューで、それは若い非喫煙者で電子タバコの使用者は、電子タバコを使用しない人に比べて3倍伝統的喫煙をする可能性が高いことを示した。オーストラリア医師会はこの提案を歓迎している

 

-SCIENCEINSIDER

大学の調査が、有名な蜘蛛生物学者がデータを捏造、偽造していたことを発見

University investigation found prominent spider biologist fabricated, falsified data

11 MAY 2023 BY CLAUDIA LOPEZ LLOREDA

https://www.science.org/content/article/university-investigation-found-prominent-spider-biologist-fabricated-falsified-data

現在取り下げされているJonathan Pruittの論文の共著者に、McMaster大学の研究の完全性方針違反の知見の要約が届けられた

(3年前から)

大学のプレスリリース

Update on research misconduct case

MAY 11, 2023

https://dailynews.mcmaster.ca/worthmentioning/update-on-research-misconduct-case/

 

その他

-人工大豆!醤油

Oy, oy, oy, artificial soy! Sauce that is.

Joe Schwarcz PhD | 12 May 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/oy-oy-oy-artificial-soy-sauce

食品に関しては特に、「人工」という用語は眉をひそめさせる傾向がある。消費者は合成香料や色素を避けるが、醤油は?

醤油は世界最古の調味料で大豆と塩と小麦をAspergillus属のカビで発酵させて作る。「人工」醤油は脱脂大豆に塩酸を加える。このときクロロプロパノールという化合物が生じる。あなたの醤油を見分けるには表示を見れば良い。クロロプロパノールに関しては北米では醤油をそれほど消費していないので問題にはならない。しかし合成だろうと醸造だろうと全ての醤油は塩が多いことには注意。

 

-クロロフィル水はあなたの肌をきれいにしない

Chlorophyll Water Won’t Clear Your Skin

Maya McKeown, B.Sc. | 12 May 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/critical-thinking-student-contributors-did-you-know/chlorophyll-water-wont-clear-your-skin

クロロフィル水を飲んでも皮膚はきれいにならないが、ソーシャルメディアの流行の背景にはいくつかの植物科学がある

(青汁やクロレラの焼き直し?)

 

-動画 

テフロンで調理?

Cup o'Joe-Cook in Teflon?

2023/05/09

https://www.youtube.com/watch?v=7LoIp0jAsZg

テフロンコートしたフライパンの使用について、PFAS周辺の議論に関連する質問を受けることがある。テフロンそのものは問題ではなく、それを作るのに使う化合物や高温で熱したときの分解産物の問題である。私はテフロン調理器具で料理をすることが問題だとは思わない。焦げや、あるいは食品を加熱したときにできる化合物の方が懸念は大きい。

 

合成生物学でマラリアと闘う

Cup o'Joe-Battling malaria with synthetic biology

2023/05/13

https://www.youtube.com/watch?v=u2nIK9bQ1Xw

マラリアの治療薬アルテミシニンの合成を遺伝子組換え微生物で行っていること

 

自転車の日と幻覚剤の開発

Bicycle Day and the development of psychedelics | The Right Chemistry

2023/05/13

https://www.youtube.com/watch?v=pjTFSZZDRNw

4月19日は自転車の日だが、これは運動や環境とは関係がない。1943年にアルバート・ホフマンがLSDを意図的に使用した状態で自転車に乗った日である。