2023-06-08

[BfR]日用品のビスフェノールA:FAQ

Bisphenol A in Everyday Products: Answers to Frequently Asked Questions

21 April 2023

https://www.bfr.bund.de/cm/349/bisphenol-a-in-everyday-products-answers-to-frequently-asked-questions.pdf

<更新版>

(注:更新部分を中心に記載

更新前の版はhttps://uneyama.hatenablog.com/entry/2022/01/12/174252)

ビスフェノールAという物質は、住宅や乗り物の建造、DVDやスマートフォンなどの消費者製品、食品包装やボトルなどに使用されているプラスチック・ポリカーボネートの製造に使用される。ビスフェノールAは、飲料や食品缶の内部コーティングにも使用される。通常の使用において、コーティングに使用されるポリカーボネートやエポキシ樹脂は化学的に安定しており、再びビスフェノールAに分解されることはないが、プラスチック中に残留物として微量に残っていたものがプラスチックから放出されることがあることがある。2020年初頭に禁止されるまで、BPAは感熱紙(レジのレシートや駐車券など)にも含まれた。

欧州委員会はビスフェノールAを生殖毒性 (カテゴリー1B) に分類している。このことと、ヒトの健康と環境に対する内分泌撹乱物質としての特性から、ビスフェノールAを欧州の化学品法の下で高懸念物質(SVHC)に認定した。内分泌撹乱物質は、内分泌系に影響を与えることによって健康への有害影響を引き起こす物質である。

ヒトは主に食品を介してビスフェノールAを摂取するが、空気、粉塵、水もビスフェノールA暴露の原因となる可能性がある。ビスフェノールAは急性毒性が低い。しかし、長期暴露による動物実験では多くの影響と関連している。

ビスフェノールAがヒトの健康に影響するかどうか、またどの程度影響するかという問題は、何年にもわたって科学的な議論の対象となっており、まだ決定的に明らかにされていない。以下、ビスフェノールAに関するよくある質問について、BfRの回答である。

 

ビスフェノールAはどこに存在するのか?

ビスフェノールAは、プラスチックのポリカーボネートとエポキシ樹脂の製造に使用される。ポリカーボネートは非常に硬く、壊れにくく、化学耐性があり、透明である。これらの特性のため、建築や車両の製造のみならず、DVDやスマートフォンなどの消費者製品にも使用される。また、飲料用ボトル、保存容器又は食器などの食品接触物質がポリカーボネートから作られる。エポキシ樹脂は、接着剤、繊維複合プラスチック、プリント基板や塗料又、飲料缶や食品缶の内部コーティングにも使用されている。ポリカーボネートやエポキシ樹脂自体は化学的に安定であり、通常の使用では再びビスフェノールAに分解されることはない。ポリカーボネートやエポキシ樹脂からは、少量のビスフェノールAが放出されることがある。この物質は、特に、感熱式プリンターやファックス用のいわゆる感熱紙(レシート、駐車券、包装シールなど)の発色剤として使用されていた。この使用は、2020年1月に禁止された。

 

ビスフェノールAにはどのような毒性影響があるか?

ビスフェノールAによる急性毒性は低いが、動物実験では長期間摂取する(暴露される)ことで、多くの影響と関連する。2016年、ビスフェノールAはCLP規則に従って生殖毒性1B(「生殖能力を損なうおそれがある」)に分類された。翌年、欧州化学品庁(ECHA)は「非常に懸念の高い物質」(SVHC)として二度認定した。これは、この物質の生殖毒性とホルモン様作用に基づいていた。

ホルモンは身体のメッセンジャーであり、特定の受容体に結合することによってその作用を媒介する。ビスフェノールAはいわゆる内分泌撹乱物質であり、ホルモン系に影響を与える結果として動物実験では有害な作用を示した。ビスフェノールAの場合、最も重要なのはエストロゲン作用であり、対応する受容体に結合することで女性ホルモン(エストロゲン)の作用を模倣したり、妨害したりすることさえある。しかし、ビスフェノールAのエストロゲン受容体への結合親和性は、天然ホルモンと比較して桁違いに低い。ビスフェノールAは男性ホルモン(アンドロゲン)の受容体にも結合し、その作用を阻害することがある。これをビスフェノールAの抗アンドロゲン作用という。

現在のビスフェノールA摂取量のヒトに対する健康への有害影響はこれまでのところ証明されておらず、対応する集団研究では一貫性のない矛盾した結果が示された。現在の欧州食品安全機関の見解 (EFSA、2023年) で評価された影響はいずれも、ヒトのデータに基づいて可能性があるとされたわけではない。

ヒトの体内では、ビスフェノールAは速やかに代謝産物に変換されてエストロゲン作用を発揮しなくなり、腎臓を介して排泄される。

2023年4月の食品を介したビスフェノールAの摂取による健康リスクの再評価で、EFSAは、健康影響に基づく指標値を導き出すための最も感受性の高いエンドポイントとして、ビスフェノールAの摂取による特定の免疫系の細胞数が変化することを示した:妊娠中及び授乳中にビスフェノールAを投与した母獣(母動物)の子孫では、ヘルパーT17細胞(Th17)の割合の増加が測定された。

BfRの意見では、これらの細胞数の変化が生物全体に有害影響を及ぼすかどうかは科学的に明らかではない。さらに、その結果がヒトに外挿できるかどうかも明らかにしなければならない。BfRは、科学的データの独自分析に基づいて、生殖毒性(成熟ラットの精子数の減少)に基づく健康影響に基づく指標値を導き出した。

 

消費者はどのくらいの量のビスフェノールAを摂取するのか?

2015年、EFSAは広範なデータ(2008年から2012年まで)を分析し、当時の消費者のビスフェノールA摂取量(暴露量)を推定した。分析の結果、ビスフェノールAの摂取量はEFSAが以前想定していたよりも少ないという結論に達した。ビスフェノールAへの主な暴露源は、食品(経口、すなわち口から)と感熱紙(経皮、すなわち皮膚を介して)であった。

両方の摂取経路を考慮した暴露量推定によると、2015年に成人は約200から1100 ng/kg 体重/日(ng;10億分の1 g)のビスフェノールAを摂取した。子供及び青年では、暴露量は40から1400 ng/kg 体重/日の範囲であった。しかし、尿中に検出されたビスフェノールAの量と比較すると、この推定値はおそらく2から4倍高すぎることが示唆された。

2020年初頭から感熱紙へのビスフェノールAの使用が禁止されているため、この暴露源からの暴露量はその後大幅に減少した可能性が高い。2015年にEFSAが算出した総暴露量からこの量を差し引くと、成人の摂取量は130から410 ng/kg 体重/日、子供及び青年では40から870 ng/kg 体重/日となる。

より最近の、オランダ国民の暴露データは、2015年にはすでにEFSAが確認した。2023年の意見書において、EFSAは最新の暴露評価を実施していない。

BfRは、暴露推定を実施できるようにするため、食品中の現在の含有量データの収集を推奨している。これは、ビスフェノールAの最新のリスク評価に不可欠であるためであり、BfRはすでにそのようなデータ作成を開始している。

 

認識できる健康リスクなしに、1日にどれだけの量のビスフェノールAを摂取してよいか?

耐容一日摂取量(TDI)は、例えば食品中の汚染物質として発生する物質について導き出される。TDIは、ヒトが健康リスクを引き起こすことなく、生涯にわたって毎日摂取できる物質の量を示すガイダンス値である。通常、物質量/kg 体重/日として示される。

欧州食品安全機関(EFSA)は、動物実験の科学的データに基づいて、ビスフェノールAのTDI値を0.2 ng/kg 体重/日と算出した。2023年4月に発表されたこの値は、2015年にEFSAが示した健康影響に基づく暫定的な指標値である4000 ng/kg 体重/日より低く、2万分の1である。

集団のビスフェノールAの総摂取量は何年も減少してきたが、EFSAが新たに提案したTDIは全年齢層で相当超過が予想される。

BfRは、いくつかの科学的及び方法論的な不一致(相違)のため、EFSAによって導き出された新しいTDIを支持しない(詳細理由については、次の質問を参照)。

BfRは、ビスフェノールAへの経口(口から)暴露の毒性学的影響に関する科学的データの詳細な分析を行った。(https://www.bfr.bund.de/cm/349/bisphenol-abfr-proposes-health-based-guidance-value-current-exposure-data-are-needed-for-a-full-riskassessment.pdf)

過去20年間の600件以上の研究を評価した後、BfRは TDIを200 ng/kg 体重/日と導出した。この値は、2015年のEFSAの以前の暫定TDI値の20分の1である。BfRは保守的なアプローチを採用し、残りの不確実性も定量的な統計ベースの方法で考慮した。

2023年のEFSAの見解(免疫系への影響、生殖毒性、血清中の尿酸値の上昇)で同定された重要なエンドポイントに焦点を当てた。保守的なアプローチと他の機関の評価に基づき、BfRが導出したTDIは、他の毒性学的エンドポイント(例えば、一般毒性、発がん性、脳や行動への影響)に対しても保護的である。利用可能なデータを評価した後、BfRはまた、ヒトにおける有害な免疫学的影響が、提案されているTDIの範囲内のビスフェノールA暴露から生じる可能性は低いと結論付けている。 BfRはそれゆえ、200 ng/kg 体重/日のTDI値をリスク評価のための健康影響に基づく指標値として使用することを提案している。

 

BfRは、2023年にEFSAが導出したTDI値0.2 ng/kg 体重/日を適切でないと考えている。なぜか?

BfRは、新しいTDIを導出するためのEFSAのアプローチとその結果は、いくつかの点に関して不適切であると考えている:

1) 重要なエンドポイント(有害性とヒトでの妥当性)の選択

EFSAは、ビスフェノールAの耐容一日摂取量(TDI)を0.2 ng/kg 体重/日に引き下げた。これは、免疫系に対するビスフェノールAの影響に関するマウスの研究のデータに基づいている:妊娠中及び授乳中にビスフェノールAを投与した母獣(母動物)の子では、脾臓中の特定の免疫細胞(Th17細胞)の割合の増加が測定された。これらの(健康な)動物には、有害影響の兆候は見られなかったことに言及する必要がある。他の研究では、病気の動物を用いたアレルギーモデルにおいて、ビスフェノールAが既存の炎症を増加させる可能性があることが示された。これまでのところ、EFSAが同定した影響が研究されているのはマウスのみである。

Th17細胞は、主に粘膜バリア(例えば腸内で)に存在する特殊なヘルパーT細胞であり、真菌感染に対する免疫防御に重要な役割を果たす。この保護機能に加えて、Th17細胞は乾癬などの炎症反応にも関与する。さらに、関節リウマチのような自己免疫疾患では、Th17細胞の相対的な数が増加していることが示唆されている。しかし、それぞれの臨床像の中で、Th17細胞数の増加がどのような役割を果たしているのか、すなわち、Th17細胞の相対的な数の増加が疾患を引き起こすのか、それとも単にそれと関連している(関連性又は因果関係)のかは、まだ不明である。臨床試験では、Th17細胞に対抗する薬剤は、これらのさまざまな疾患の治療に成功していない。

健康なマウスでは、Th17細胞の相対的な増加は、炎症反応が起こらないなどの有害影響はなかった。米国国家毒性プログラム(NTP)の枠組みの中で実施されたラットに関する広範な研究では、ラットに全生涯にわたってビスフェノールAが毎日投与された(子宮内で開始され、2年後に終了)。530以上の免疫系への影響の可能性をテストするなど、さまざまな分析が行われた。有害影響は全く見られなかった。研究者らは、ビスフェノールAが「成人ラットの免疫能を変化させる可能性は低い」と結論付けた。テストしたビスフェノールAの最高用量は2500万 ng/kg 体重/日であり、これはEFSAが導出した新しいTDIの1億2500万倍である。

マウス研究の結果をヒトにも外挿できるかは疑問である。げっ歯類の動物(マウス)とヒトの免疫系の間には確かに類似性はあるが、免疫系の成熟と制御プロセスの違いなど、いくつかの重要な違いが同定されている。さらに、Th17細胞の相対的増加の測定に使用される方法は標準化も妥当性確認もされていない。テストに関連する測定の不確実性に関する情報はなく、陽性対照も確立されていない。したがって、測定値の品質評価は不可能である。

これまでに実施された疫学研究(集団研究)では、ビスフェノールAの摂取と免疫学的影響との因果関係は示されていないが、これらの研究のいくつかには方法論的な欠点がある。

結論として、BfRは、EFSAがTDI導出の基礎として使用した重要な影響「Th17細胞の相対的増加」だけでなく、EFSAが議論した他の免疫学的影響も、ヒトにおける健康への有害影響の予測には適していないと考えている。したがって、これらをTDIの導出に使用すべきではない。

利用可能なデータを評価した後、BfRは、ビスフェノールAへの暴露量が200 ng/kg 体重/日というTDIの範囲であれば、ヒトにおける有害な免疫学的影響は、もしあったとしても、起こる可能性は低いと結論付けている。

2) 検討された文献の選択と重み付け

BfRによるEFSA再評価に対するもう一つの批判点は、EFSA再評価の根拠となった研究の選択と質に関するものである。いくつかの例外を除き、2013年から2018年までの研究のみが評価された。関連する情報が含まれていたとしても、発表日が以前又は以後の関連研究は(十分に)考慮されなかった。これは、EFSAも言及している国際的に認められたリスク評価の原則と矛盾する。

BfRはまた、評価された研究の質とそのデータの信頼性評価に、一部根本的な相違を見いだした。例えば、TDIの基礎となった主要な研究のマウスは、ポリカーボネート製のケージに入れられていた。ビスフェノールAはポリカーボネート製造の出発物質であるため、BfRの見解では、バックグラウンド暴露の可能性が非常に高く、同様の実験の文献にも記載されている。さらに、動物には「標準飼料」を与えたが、この飼料はビスフェノールA含有量を検査したりビスフェノールA含有量が低いものを特に選んだりしたものではなかった。比較可能な研究が示しているように、これも、研究動物に重要となる追加のビスフェノールA摂取となる可能性が非常に高く、実際に投与された用量が不明な理由である。したがって、BfRの見解では、この研究は定量的なリスク評価には適していない。

3) マウス-ヒト換算係数の導出

ハザードキャラクタリゼーションは、ほとんどが動物実験の実験データに基づいている。血液中への物質の取り込み、体内での分布と代謝及び排泄に関して、ヒトと動物では異なる場合がある。そのため、動物実験で投与された重要な用量は、適切な換算係数と評価係数を介して、ヒトの摂取量に換算される。

EFSAは、マウスに単回投与した後の血中ビスフェノールA濃度の時間経過に関する研究に基づいて、換算係数(マウス-ヒト)を計算している。しかし、あまりにも少ない動物(1~2頭;統計的に有意でない)で、あまりにも測定点が少ない上に、測定期間は非常に短い (投与後24時間ではなく1時間)。したがって、BfRの観点からは、この研究は換算係数を決定するのに適していない。この研究は、明らかに異なる結果となった他の2つの研究と対照的である。これら2つの研究は、統計的に十分な数の動物において、24時間の期間にわたって十分な測定点に基づいている。

 BfRの見解では、マウス-ヒト換算係数の決定には適さない上記の研究の使用だけで、EFSAによって計算されたTDIは10から100倍低くなりすぎることを意味する。

 

BfRとEFSAのTDIにおける大きな相違は、TDIの導出に異なるエンドポイントを選択し、マウス-ヒトの換算係数を変えたことに加え、BfRが残りの不確実性を決定するために適用した方法論、ガイドラインに準拠したアプローチが異なるためである。

BfRとEFSAによるTDI導出の科学的相違は文書にまとめられており、公開されている。(https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/2023- 04/bfr-efsa-art-30.pdf)。

また、欧州医薬品庁(EMA)は、EFSAとの相違に関する報告書を作成した。EMAは基本的にBfRと同じ点を批判している。

 

BfRは2023年の文書でどのような結論に達しているか?

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、食品及び飲料水を介したビスフェノールAの摂取による健康への影響に関する科学的データの詳細な分析を行った。

(https://www.bfr.bund.de/cm/349/bisphenol-a-bfr-proposes-health-based-guidance-valuecurrent-exposure-data-are-needed-for-a-full-risk-assessment.pdf)

 

過去20年間の600件以上の研究を評価した後、BfRは TDIを200 ng/kg 体重/日と導出した。BfRは保守的なアプローチを採用し、残りの不確実性も定量的な統計ベースの方法で考慮した。BfRの評価は、2023年からのEFSAの見解(免疫系への影響、生殖毒性、血清中の尿酸値の上昇)で同定された重要なエンドポイントに焦点を当てた。現在ある他の機関の評価でも、その他の毒性学的エンドポイントを考慮している。これらの評価に基づき、BfRが導出したTDIはこれらのエンドポイント(例えば、一般毒性、発がん性、脳や行動への影響)に対しても保護的である。利用可能なデータを評価した後、BfRはまた、ヒトにおける有害な免疫学的影響が、提案されているTDIの範囲内のビスフェノールA暴露から生じる可能性は低いと結論付けている。 BfRはそれゆえ、200 ng/kg 体重/日のTDI値をリスク評価のための健康影響に基づく指標値として使用することを提案している。

 

EFSAの評価プロセスの相違は2023年に何を意味するのか?

欧州医薬品庁(EMA)とドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は共に、欧州食品安全機関(EFSA)と比較して、使用される方法論の側面に関して異なる見解を持っている。科学者がアプローチと方法について異なる見解を持っていることは、一般的な状況であり、科学的プロセスの不可欠な部分である。科学的議論では、潜在的な相違を説明したり解決したりする試みが行われる。残る相違と立場は、両者による共同文書で説明される。この相違した報告書は、意見の相違や議論をリスク管理(例えば、立法者)だけでなく一般にも透明にするために発行する。BfRとEFSAの間の相違報告書は、以下。https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/2023- 04/bfrefsa-art-30.pdf

これを踏まえ、BfRとEFSAは、方法論と結果に関する議論が科学的知識を得ることの一部であることを強調する。これらは、リスク評価方法のさらなる発展、ひいては長期的に考えられる健康リスクのより良い分類に貢献する。相違する見解を公に提示することは、政治的意思決定者に、リスク管理の観点から意思決定を行う際に、科学的知識の状態を考慮する機会になる。

 

たとえ少量のホルモン様物質でも健康リスクとなると想定されることについて、BfRはどのように考えているか?

いわゆる低用量影響、特に低用量でのみ示され高用量では示されない作用(いわゆる非単調用量反応関係)は、専門家の間で激しい論争になっている。「低」とは、通常、実際の暴露量の範囲かそれ以下の量を意味する。一般的に「用量が毒性を左右する」と言われるように、低用量であるほど作用は小さくなるはずである。したがって、「単調な」(着実に増加する)用量-反応関係にある低用量での影響と、非単調な用量-反応関係にある低用量での影響(それが実際に証明できるならば)とを区別する必要がある。2021年10月、EFSAはビスフェノールAという物質について、非単調な用量-反応関係のエビデンスを発見できなかった(EFSAの意見書は以下を参照)。よって、現在のTDIの導出も、非単調用量反応関係を有する低用量影響に基づいていない。

*Opinion on the impact of non-monotonic dose responses on EFSA′s human health

risk assessments

https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2021.6877

低用量影響に関する研究は、国際的に数多く実施されており、現在も継続中である。標準的な研究に分子メカニズム的なエンドポイントを追加した新しい研究デザインいわゆる、「New Approach Methodologies(NAMs)」は、低用量で観察される影響の意義を確認するのに役立つだろう。しかし、そのようなエンドポイントは組織や臓器レベルでの有害影響と因果関係があることも示さなければならない。これらのエンドポイントは、特定の動物モデルにおける生理的なエンドポイントであることが多く、ヒトにあてはまるかどうかは確実でないので、この分野の研究がまだ必要である。

 

2021年10月に発表された、国家毒性プログラム(NTP)の一環として実施された米国の大規模研究プログラムの知見はどのようなものだったのか?

CLARITY-BPA(BPA毒性に関する学術的及び規制上の知見を関連づけるコンソーシアム)プログラムは、ビスフェノールA摂取による健康影響の可能性の全領域で研究するよう設計された。このプログラムは、NTPの米国環境健康科学研究所(NIEHS)と米国食品医薬品局(FDA)が着手し、2つの要素からなる。第一に、経済協力開発機構(OECD)の試験ガイドラインに準拠したラットにおけるBPA毒性の可能性に関する2年間試験(コア研究)、2番目が、各大学での研究の一環として実施されたこれらの動物で追加のエンドポイントに関する研究である。妊娠した雌には、妊娠6日目からビスフェノールAを投与した。子は子宮内でこの物質を摂取し、次に母乳を通して、そして飼料を介して、最長で2年間摂取した。様々なグループの動物を非常に広い範囲の用量で様々な濃度に暴露させた。暴露方式は、様々なビスフェノールA濃度(2.5–25,000 µg/kg 体重/日)に及んだ。

*NTP Research Report

https://ntp.niehs.nih.gov/ntp/results/pubs/rr/reports/rr18_508.pdf

最高用量を除いて、BPAの暴露(摂取)による生物学的に意味のある健康影響は、コア研究では見つからなかった。したがって、「コア研究のデータは、試験した用量範囲の下限において、BPA暴露によると考えられるハザードを示唆しない」という結論に至った。これは免疫系への影響にも当てはまる。研究者は、成人ラットの免疫能がビスフェノールAへの暴露によって変化する可能性は低いと考えている。

 

ビスフェノールAの摂取とアレルギーや喘息の発症リスクの増加には関係があるか?

マウスを用いたいくつかの研究では、喘息モデルにおいてビスフェノールAの摂取は炎症反応の増加と関連していた。これらの喘息モデルでは、ビスフェノールAの暴露とは無関係に、意図的かつ人為的に免疫反応を誘導する。ビスフェノールAが喘息関連の炎症を増加させる可能性のある作用機序は、現在のところわかっていない。BfRによると、非常に人為的なアレルギーモデルを用いた実験的なマウス研究からのこれらの観察が、どの程度ヒトに関連しているかは、現在のところまだ科学的に答えが出ていない。ビスフェノールAの摂取と、ヒトにおけるアレルギーのリスク増加または喘息の発症との関連は、疫学研究(集団研究)によってまだ確認されていない。

 

現在、ドイツ及びEUではどのような法的基準値になっているか?

ドイツ及び欧州連合では、食品と接触することを意図したプラスチック材及び成形品に関する規則(EU)No.10/2011に規定された基準値を適用する。

この規則では、包装材などのプラスチック製の食品接触物質から食品に移行する可能性のあるビスフェノールAの最大許容量を規定する。このビスフェノールAの「特定移行限度値」(SML)は、現在、食品(疑似溶媒)1 kgあたり50 µgである。このSMLはEFSAの2015年の暫定の耐容一日摂取量(t-TDI)に基づく。EFSAの2015年のt-TDIは4 µg/kg 体重/日である。

また、消費者の健康保護の観点から、本規則では、ビスフェノールAをポリカーボネート製の哺乳瓶及び乳幼児飲料用コップやボトルの製造に使用してはならないと規定する。

材料や物体に塗布され、食品と接触する可能性のあるワニスやコーティング(例えば、ブリキ缶の内部コーティング)は、プラスチック規則の対象外である。それらについては、食品1 kgあたり50 µgのSMLを規則(EU)2018/213で規定している。ビスフェノールAの次の食品への移行は許可されていない:乳児用調製乳、フォローアップミルク、穀類加工食品、ベビーフード、乳幼児の栄養要件を満たすために開発された特別医療目的の食品又は乳飲料及び幼児を特に対象とする同様の製品。

欧州玩具安全指令2009/48/ECでは、2015年のEFSAのTDI値を用いて、玩具に含まれるビスフェノーAの移行に関する基準値を設定している。これによると、36 ヶ月未満の子供が使用することを意図した玩具や口に入れるその他の玩具における移行限度は、40 µg/L(汗及び/又は唾液の疑似溶媒)である。

 

食品接触物質からのビスフェノールAの基準値は、2023年の再評価後、EUで変更されるのか?

EFSAは政治的な決定を下すのではなく、BfRと同様に現在の知識を評価する立場である。規制措置の決定は、欧州委員会と加盟国が行う。欧州委員会は2018年、規則(EU)2018/213でプラスチック材料又はワニス及び食品接触コーティングからのビスフェノールAの欧州全体のSMLを食品1 kgあたり50 µgに引き下げた。EU委員会は、2015年のEFSAが導出した耐容一日摂取量(t-TDI)に基づいてこの値を設定した。EFSAは食品接触物質に加えて他の重要な摂取源が存在することを発見したため、SMLは、食品接触物質を介してt-TDIの最大20%まで摂取できるものとして算出された。

 

ビスフェノールAの摂取は、消費者の健康リスクの上昇となるか?

EFSAは2023年の再評価において食品及び飲料水を介したビスフェノールAの一日摂取量の最新の推定を行わず、2015年の意見書の推定暴露量を使用した。この推定暴露量によると、子供と青年は毎日、食品及び飲料水から30から860 ng/kg 体重/日のビスフェノールAを摂取している。玩具は子どものビスフェノールA摂取量にわずかに寄与するだけである。成人の場合、食品及び飲料水からの暴露量は120から390 ng/kg 体重/日である。

このように、乳幼児、子供及び妊娠可能年齢の女性を含むすべての集団グループにおけるビスフェノールAの摂取量は、EFSAが新たに導出したTDI値より桁違いに高い。2015年以降、とりわけ規制措置により、すべての集団におけるビスフェノールAの摂取量がおそらく減少していることを考慮しても、依然、すべての集団で新たなTDI値を明らかに上回る。したがって、EFSAはすべての年齢層について、ビスフェノールAの一日摂取量による健康懸念があるとみている。

科学的データの詳細な分析と評価の後、BfRはより高いTDI値を導き出した。200 ng/kg 体重/日である。ビスフェノールAの摂取に関連する可能性のある健康リスクを評価するためには、集団の暴露に関する最新のデータが必要である。このため、BfRはそのような暴露評価の実施を推奨しており、すでに新しいデータの作成を開始している。

 

食品及び飲料缶の内部コーティングに、なぜビスフェノールAが含まれているのか?

ビスフェノールAは、とりわけ食品及び飲料缶の内部コーティングに使用されるエポキシ樹脂塗料(エポキシ樹脂)に、製造工程で生じる不純物として含まれている。このようなコーティングは、食品の汚染の原因となる金属の腐食や溶解、変色や味の有害影響を防ぐために必要である。

ビスフェノールAを含まないコーティングシステムは、今のところいくつかの用途に限られ、場合によっては、まだ健康評価が必要である。

 

消費者はどのようにしてビスフェノールAの摂取を減らすことができるのか?

すべての集団グループにおいて、食事がビスフェノールA摂取の主な原因である。2015年のEFSAのデータによると、ビスフェノールAの摂取に主に寄与する食品はエポキシ樹脂でコーティングされた缶に保存されている食品である。それ以外の食品の場合、暴露への最大の寄与は肉及び精肉製品である。ビスフェノールAの摂取量を減らすには、新鮮な食品を摂取するのが理想的である。缶詰食品の内容物の種類と食品中のビスフェノールA濃度との明確な関連性は、無作為サンプル研究ではまだ確立していない。食品疑似溶媒を用いた異なる温度と接触時間による比較研究によると、食品中のビスフェノールA含有量は基本的に保存方法に依存する可能性があることを示している。

プラスチック製の容器、飲料用ボトル及びプラスチック食器を購入する場合、「BPAフリー」表示を探すこと。しかし、他のビスフェノール代替物質(ビスフェノールSなど)が含まれている可能性があり、それらは十分に評価されていない。「ビスフェノールフリー(不使用)」などの表示には、ビスフェノール類を一切使用してはならない。一般にプラスチック製の飲料用ボトルを使いたくない消費者には、ガラス製ボトルという選択肢がある。しかし、破損やけがのリスクを考慮しなければならない。

プラスチックのポリカーボネート(略称:PC)は、ビスフェノールAから作られており、このプラスチックに固有に適用されるリサイクルコードはない。PCはビスフェノールAを含まない他の様々なプラスチック(例えば、ポリアミドやポリラクチド)と共に、リサイクルコード7(その他)に分類されている。そのため、リサイクルコード7の表示からPCの存在を推し量ることはできない。

2015年のEFSAのデータによると、ビスフェノールAはほぼすべての種類の食品に含まれる。エポキシ樹脂でコーティングされた缶に保存されていない食品は、エポキシ樹脂でコーティングされた缶からの食品と比較して低濃度である。しかし、これらの比較的汚染されていない食品の消費も、EFSAが新たに導出したTDIを桁違いに超えてしまう結果になっている。

 

ビスフェノールAは領収書、乗車券や駐車券に含まれているか?

2020年初頭の禁止までは、BPAは感熱紙に使用されていた。感熱紙はレジスターやチケット売り場、駐車券発券機あるいは領収書や銀行明細書の感熱印刷で使用され、そこで発色剤として使用される。0.02%を超える濃度の感熱紙への使用は、2020年から禁止されている。0.02%未満の濃度では望ましい技術的効果が得られないため、原則として使用禁止に相当する。

 

リサイクル紙にビスフェノールAは含まれているか?

例えば、販売伝票や小包のラベル、駐車券などが作られる感熱紙は、古紙ではなく残留廃棄物に属する。

2019年末までは感熱紙にビスフェノールAの使用が継続されたため、ビスフェノールAは依然として古紙に含まれる可能性がある。さらに、紙が含まれる印刷インキ、接着剤、プラスチックなどと組み合わせても、感熱紙よりはるかに少量ではあるが、ビスフェノールAが混入する可能性もある。新しい紙製品の製造に再生紙繊維を使用する場合、ビスフェノールAの残留物が新しい製品に混入する可能性もある。

欧州レベルで具体的な規則がない特定の材料群の食品接触物質については、BfRは「食品接触物質に関する勧告」https://www.bfr.bund.de/en/bfr_recommendations_on_food_contact_materials1711.htmlを継続している。「食品と接触する紙及び板紙」と題したBfRの助言36は、再生繊維を使用して製造された紙から食品へのビスフェノールAの最大溶出量を食品1 kgあたり50 µgというガイダンス値で示している。この値は欧州プラスチック規則の特定移行限度値(SML)に相当する。

 

さらなる情報は以下のサイトより:

Bisphenol A

https://www.bfr.bund.de/en/a-z_index/bisphenol_a-129760.html#fragment-2

 

[USDA] APHISは規制状態レビュー対応を発表:Bayer CropScienceトウモロコシ

APHIS Issues Regulatory Status Review Response: Bayer CropScience Corn

Jun 7, 2023

https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/sa_by_date/sa-2023/rsr-reg-status

丈を低くするためジベレリン酸が減るように遺伝子組換えしたトウモロコシ

他の栽培品種に比べてリスクが高くはなく、7 CFR part 340の規制対象ではなく、安全に栽培および交配できる

 

[ProMED]メタノール中毒-カンボジア:(プティサト)異物混入酒、致死

Methanol poisoning - Cambodia: (PO) adulterated rice wine, fatal

2023-06-08

https://promedmail.org/promed-post/?id=8710472

Date: Mon 5 Jun 2023 Source: Khmer Times [edited]

カンボジアの北西プティサト地方で、メタノールを高濃度含むと疑われる自家製コメ原料酒を飲んで1人死亡27人が入院。2023年6月4日に、住民の葬儀で汚染酒が提供された

 

[ProMED]メタノール中毒-ロシア:(ウリヤノフスク)サイダー、致死

Methanol poisoning - Russia: (UL) cider, fatal

2023-06-07

https://promedmail.org/promed-post/?id=8710456

Date: Mon 5 Jun 2023 Source: BNN Network [edited]

2023年6月5日月曜日に地元当局が発表したところによると、有毒サイダー摂取により少なくとも8人が死亡、他に大勢が病気になった。問題の飲み物は地元で"Mister Cider"として知られ、30Lの樽に飲み口がついて売られた。

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 245-23

8 June 2023

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20245-23.aspx

新規申請と提案

・特定医療用食品の食品添加物としてのステビオール配糖体

パブリックコメント募集

・乳児用調整乳製品への栄養物質としての2’-FL/DFL、LNT、6’-SLナトリウム塩、3’-SLナトリウム塩

2023年7月7日まで

 

[FAO]食品安全のための大きな一歩

One giant leap for food safety

07/06/2023

https://www.fao.org/fao-stories/article/en/c/1311934/

宇宙旅行からCOVID-19まで、食品衛生規則は時の試練に耐えた

HACCPや食品衛生の一般原則の紹介

08/10/2020の記事更新

 

SMC UK

-母乳とその後の人生での試験結果の良さの関連を示唆する研究への専門家の反応

expert reaction to study suggesting an association between breastfeeding and better exam results in later life

JUNE 5, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-suggesting-an-association-between-breastfeeding-and-better-exam-results-in-later-life/

Archives of Disease in Childhoodに発表された研究がイングランドの授乳期間と成績を調べた

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

この注意深い研究は200-2002年に英国で生まれた約5000人についてのものである。結果は興味深いが観察データに避けられない欠陥に留意する必要がある。プレスリリースは成績の差が「小さい」と正しく述べているが、私に言わせるといくつかの結果の数字は誤解を招く。

英国のような国では社会経済的地位の高い母親が母乳を与える可能性が高いことはよく知られているので、その子どもたちが学校での成績が良い可能性が高いことは母乳が原因であることを意味しない。研究者らはそれを知っていて交絡要因を調整しているが完全ではない。そしてプレスリリースでは使った数字は調整されていないもので、それは誤解を招く。

(他たくさん指摘)

Bristol大学新生児医療名誉教授Andrew Whitelaw教授

先進国では母乳を与えられた乳児は各種発達指標で有意に成績が良いことは繰り返し示されているがそれは母親の教育と社会的地位の高さの交絡がある

 

-肥満患者に病院以外で肥満薬を入手可能にする試験の発表への専門家の反応

expert reaction to announcement of pilot to make obesity drugs accessible to patients with obesity outside of hospital settings

JUNE 7, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-announcement-of-pilot-to-make-obesity-drugs-accessible-to-patients-with-obesity-outside-of-hospital-settings-including-looking-at-how-gps-could-prescribe-them/

Rishi Sunak首相が2年間の医薬品予備計画を発表

コメント略

 

肥満とNHSの待機リストを減らすための新たな医薬品試験

New drugs pilot to tackle obesity and cut NHS waiting lists

6 June 2023

https://www.gov.uk/government/news/new-drugs-pilot-to-tackle-obesity-and-cut-nhs-waiting-lists

 

-使い捨て電子タバコを禁止すべきかどうかについての専門家のコメント

expert comments on whether disposable vapes should be banned

JUNE 6, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-comments-on-calls-to-ban-disposable-vapes/

今朝RCPCH(小児科と子ども健康王立学会)の政策副部長Mike McKean博士が使い捨て電子タバコは禁止すべきと言ったと報道された。ここにいくつかのコメントを紹介する

University College Londonのタバコアルコール研究グループ長Jamie Brown教授

安価で違法な使い捨て電子タバコの入手への対策は重要な第一段階だが包括的規制アプローチを伴う必要がある。また成人の禁煙補助のための推進ともバランスをとる必要がある。

University College London行動科学・タバコ・アルコール研究グループ主任Sharon Cox博士

若者の使い捨て電子タバコ使用を減らそうとするのは良いことであることに誰も反論しない。しかし対応には広い展望が必要

呼吸医学教授でSharon Cox国立心臓・肺研究所Nicholas Hopkinson教授

我々は喫煙者の禁煙補助のために入手可能にしつつ若者の電子タバコ使用に取り組まなければならない

East Anglia大学Norwich医学部依存科学教授Caitlin Notley教授

East Anglia大学では現在若者の使い捨て電子タバコ使用の実態と魅力を調べる研究を実施している。値段を高くすることは魅力を減らすだろうが闇市場の拡大のような意図せぬ帰結の可能性がある

 

その他

-SMC NZ

新しい規則では若者の電子タバコが標的–専門家の反応

Youth vaping targeted by new rules – Expert Reaction

Published: 07 June 2023

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2023/06/07/youth-vaping-targeted-by-new-rules-expert-reaction/

若者の電子タバコ喫煙者を減らすため、8月から使い捨て電子タバコが禁止される

また学校とマラエの300m以内には新しい電子タバコ小売店は建設できず、「ベリー」のようなフレーバーの名称は制限され、電子タバコを開けにくくするような「子ども安全」対策が要求される

(専門家は歓迎するが十分ではないといった意見)

 

-Nature Volume 618 Issue 7964, 8 June 2023

エディトリアル

Natureが画像や動画に生成AIを認めない理由

Why Nature will not allow the use of generative AI in images and video

https://www.nature.com/articles/d41586-023-01546-4

この種のビジュアルコンテンツに「ノー」ということは研究の品位、同意、プライバシー、知的所有権保護の問題

Natureはここ数ヶ月議論してきた。特にAIを扱った論文以外では、少なくともしばらくの間は、全部または一部を生成AIを使って作った写真、動画、イラストを発表しないだろう。

現在Natureは生成AIの補助で作成したテキストについては条件付きで含むことを認めている

 

-培養肉の二酸化炭素排出量はおそらく小売りの牛肉より悪い

Lab-Grown Meat’s Carbon Footprint Potentially Worse Than Retail Beef

by Amy Quinton May 22, 2023

https://caes.ucdavis.edu/news/lab-grown-meats-carbon-footprint-potentially-worse-retail-beef

研究は既存の工程での生産拡大は極めてエネルギーを多く使うことを発見

カリフォルニア大学のライフサイクル評価を行ったプレプリント。

問題は高純度・精製培地。