2022-01-25

[SFA] 食品中の動物用医薬品残留

Veterinary Drug Residues in Food

Monday, January 17, 2022

https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/veterinary-drug-residues-in-food

食品生産動物の病気の治療には動物用医薬品の使用が必要な場合がある。だが、時にはこれらの医薬品が動物の中にとどまり、その結果、私達の食品に入り込む可能性がある。この記事は、食品中の動物用医薬品残留物や食品中の動物用医薬品への暴露を減らすために私達ができることについて、たくさんのヒントを示す。

 

動物用医薬品とは?食品生産動物を育てる際に使用される理由は?

食品生産動物は病気を患う可能性があり、動物の健康と福祉を保証するために、適切な医薬品でこれらの病気を治療することが必要になる。これらの病気は、治療されなければ食品生産に影響する可能性がある。そのため、必要に応じて食品動物に動物用医薬品を適切に使用することは、食品動物の供給の回復力と安全両方を保証する上で重要である。

動物用医薬品の主な種類には抗生物質や抗寄生虫薬が含まれる。

抗生物質は動物用医薬品の最大グループで、食品動物の細菌感染症を治療するために広く使用されている。抗生物質の例には、フルオロキノロン、ペニシリン、テトラサイクリン、スルホンアミドなどがある。抗寄生虫薬は、寄生虫が引き起こす病気の管理や治療に使用される。抗寄生虫薬は適用に基づいて分類される。アバメクチンが毛虫や害虫を管理するために使用されたり、ベンズイミダゾールが動物の消化器系の線虫や吸虫の治療に使用されるなどがその例である。

 

動物用医薬品残留物が食品中にみつかる理由は?

食品動物を育てる際に適切な管理をしないと、肉、卵、牛乳などの動物食品に動物用医薬品残留物が見つかる可能性がある。その残留物は医薬品そのもの、あるいはこれらの医薬品が動物の中で分解された際に形成される代謝物質の可能性がある。食品中の動物用医薬品残留物に寄与する要因:

・必要のないときに抗生物質を使用すること(健康な動物に対してなど)

・製造業者の指示に従わない(動物用医薬品の誤った用量、経路、種類の投与など)

・ヒトに有害な禁止医薬品の投与

・屠殺前の休薬期間 (医薬品が動物組織で安全で許容できるレベルまで分解されるのにかかる時間) を守らない

・動物の医薬品入り飼料や水の交差汚染

 

食品中のこれらの動物用医薬品残留物は健康上の懸念となる?

食品生産動物に動物用医薬品を誤用すると、組織や器官で残留医薬品が残ることになりかねない。この動物が屠殺されて食品に加工される際に、あるいは卵や牛乳を生産する際に、これらの残留物がフードチェーンに入る。

動物用医薬品残留物を過剰に含む食品を摂取すると、人によってはアレルギーなど、健康に有害影響があるかもしれない。ヒトの抗菌剤耐性菌の発達につながる可能性もある。

病気の原因となる微生物が抗菌剤に耐性を持つようになる可能性があるため、薬剤耐性(AMR)は世界中の公衆衛生への深刻な脅威である。結果として、耐性菌に感染すると、ヒトや食品動物は、より少なく限られた治療の選択肢しか持たなくなる。世界保健機関(WHO)は、AMRを人類が直面する公衆衛生の脅威のトップ10の1つに特定し、世界的な取り組みを促進するために、2015年にAMRに関するグローバル・アクション・プランを開始した。

 

SFAは食品の摂取による動物用医薬品への暴露に関連したリスクをどのように管理する?

SFAは、輸入および国産の食品を安全に摂取できることを保証するための統一したシステムで、食品の安全性へのリスクに基づいたアプローチを採用している。市場で入手できる食品は、SFAの検査・監視プログラムの対象になっている。私達には、供給源認定検査やサンプルテストなど、 農場から食卓までの適切な管理手段がある。

家畜、肉、卵は動物や食品に由来する病気を運ぶ可能性が高いため、それらは認定された供給源から承認された施設からのみ輸入できる。これは、シンガポールに輸出する前に、施設は、私達の食品安全条件を満たさなければならず、堅固な食品安全体制と動物の健康監視のある国でなければならないことを意味する。国内の農場は同様に食品安全要件に従うことが求められており、SFAが定期的に検査している。

SFAはシンガポール食品規則の下で動物用医薬品の最大残留基準(MRLs)を設定している。動物用医薬品のMRLとは、動物用医薬品の動物への投与により、動物から得た食品中に許される最大残留濃度のことである。SFA が採用したMRLsは、コーデックス委員会による助言に基づいている。SFAは消費者の健康を守り、食品業界の変化するニーズを満たすために、この食品規則のMRLsを定期的にレビュー・更新している。国内外の農業従事者はどちらも設定された動物用医薬品残留物基準に従うよう求められている。彼らは動物の食品を販売する前に認可された動物用医薬品に該当する休薬期間を遵守しなければならない。規則の下でMRLsリストに掲載されていない動物用医薬品は、動物に使用すべきではない。食品輸入業者もSFAのライセンスを受けなければならず、SFAが認証した国や施設から食品を調達・輸入する必要がある。

サンプルは輸入及び国産食品両方から取り、化学汚染物質 (動物用医薬品を含む)や微生物(サルモネラ菌などの有害細菌など)や動物用医薬品などの広範な食品由来ハザードの検査を受ける。

設定された基準に従わないことがわかった食品は販売を許可されない。SFAは関係する供給源の農場を一時停止する場合もある。

 

企業が食品中の動物用医薬品を減らすためにできる対策とは?

企業は食品の安全性を確保する責任がある。動物用医薬品は動物の病気の治療には重要だが、責任を持って必要なときにしか使用できない。そのため、農業従事者がすべきことは

優れた畜産慣習を実施する(優れたバイオセキュリティ対策、ワクチンなどの代替案の使用など)。動物の優良畜産慣習は病気の予防と管理に役立ち、それによって動物用医薬品の必要性を減らす。

農場の品質保証基準を採用する、またはそのような基準の認定を受ける。養殖生産工程管理法(GAP-FF)やシンガポール高品質卵スキーム(SQES)などの農場品質保証基準の認定制度は、安全で高品質の食品生産を保証するための最優良事例を採用する農場を認証している。

 

食品中の動物用医薬品への暴露を減らすために消費者ができることは?

食品はフードチェーンのどこでも汚染される可能性がある。SFAが食品の安全性を保証するために慎重に規制・監視・執行を継続する間に、消費者にも果たすべき役割がある。

食品中の動物用医薬品への暴露を減らすためのヒント

・SFAに認可された小売業者から食品を購入すること

・動物用医薬品残留物の可能性のある特定の種類の汚染物質だけに暴露するのを避けるために、様々な種類の食品を摂取すること

 

[HK]ニュースレター

Food Safety Focus

19 Jan 2022

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html

掲載項目

・古典型牛海綿状脳症(BSE)-食の安全への脅威?

・缶詰をもっと知る

・コーヒー: 有害物質で目を覚ます?

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_186_03.html

コーヒーやコーヒー製品に様々な天然物質や汚染物質が存在すると報告する国内研究が最近あった。

人気の飲み物コーヒーは、コーヒー植物の種子(豆)から作られる。コーヒーのポリフェノールは一般に、疫学研究に基づき、心血管疾患や2型糖尿病のリスクを下げるなどの健康上の利益に寄与すると思われているが、カフェインのため、特に妊婦や子供は適度にコーヒーを摂取すべきである。他の多くの農産物のように、コーヒー豆にもオクラトキシンAなどのカビ毒や、アクリルアミドなど焙煎中に形成される製造過程の汚染物質が含まれる可能性がある。

香港のオクラトキシンAへの全体的な食事暴露は、健康に基づく指標値の最大9.2%と比較的低く、国民の健康上の懸念とはならない。国内の成人の全体的な食事によるアクリルアミド摂取量へのコーヒーの寄与もわずかである。だが、一般人は、限られた範囲の食品からの汚染物質への暴露リスクを最小限にするために、バランスのとれた様々な食事を維持するよう助言されている。ヘキサブロモシクロドデカンと食品の安全性

・ヘキサブロモシクロドデカンと食品の安全性

 

参考

香港消費者委員会

Pay Heed to the Amount and Frequency in Enjoying Coffee Be Mindful of Caffeine Addiction and the Risks of Genotoxic Carcinogenic Acrylamide Intake

2022.01.17

https://www.consumer.org.hk/en/press-release/p-543-coffee-products

コーヒーのアクリルアミド、カフェイン、農薬、鉛、錫、オクラトキシンを調べている

 

[BfR]コロナウイルス:約1/3が感染から自分を守ることはできないと信じている

Coronavirus: Around one third believe they cannot protect themselves from an infection

24.01.2022

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2022/01/coronavirus__around_one_third_believe_they_cannot_protect_themselves_from_an_infection-291561.html

60才以上の人の方が若い人より感染を予防できると考える可能性が高い

ドイツの感染数は相当増加した。それが認識に反映されている。BfR-コロナモニターによると、10月の第四波の始まりの時には感染を防げないと考える人は14%だったが現在30%と2倍以上になった。特に40-59才が感染リスクを高いと考えている。一方60才以上は概ね感染を避けられると考えている

BfR-Corona-Monitor - as to 18 - 19 January 2022

https://www.bfr.bund.de/cm/349/220118-bfr-corona-monitor-en.pdf

 

[RIVM]Nature NanotechnologyがRIVMのプラスチック研究を発表

Nature Nanotechnology publishes RIVM research on plastics

01/24/2022

https://www.rivm.nl/en/news/nature-nanotechnology-publishes-rivm-research-on-plastics

1月20日木曜日に、Nature Nanotechnologyが、二つの機能のあるトレーサーとしてランタニドキレートを使って作物植物中のマイクロメートルより小さいプラスチックの取り込みと輸送を定量的に追跡した論文を発表した。この研究はRIVMの研究者Willie Peijnenburgが中国の研究者と協力して開発した植物中のプラスチックを測定する新しい方法を説明した。植物中のプラスチック濃度を定量することが可能になったのは初めてである。

新しい方法はレタスと小麦で使うために開発された。研究は植物が取り込むのはナノプラスチックのみであることを示した。さらに植物の可食部のナノプラスチックは、プラスチックを添加した土壌の含量の約1/10であった。

この研究で明らかになった良い知らせは、レタスのような葉物野菜がマイクロプラスチックを取り込むのはごく僅かあるいは全く取り込まないことである。一方プラスチックの懸念については最も小さいナノプラスチックを主な焦点にすべきことも示した。ナノプラスチックは食用葉物野菜に限られた量蓄積しうる。

Quantitative tracing of uptake and transport of submicrometre plastics in crop plants using lanthanide chelates as a dual-functional tracer

https://www.nature.com/articles/s41565-021-01063-3

 

[RIVM]国際研究が確認:ロックダウンは多くの若い人々に負の影響を与えた

International research confirms: lockdowns have negative impact on many young people

01/24/2022

https://www.rivm.nl/en/news/international-research-confirms-lockdowns-have-negative-impact-on-many-young-people

ロックダウンは多くの若者に身体的精神的負の影響を与えた。彼らは運動が減り鬱や孤独、不安定をより多く感じた。これは脆弱な若者に特に影響した。しかしほとんどの人は対策が緩和された後速やかに症状が消失するようだ。RIVMとオランダ保健サービス研究所(Nivel)の行った文献レビューの知見。

報告書本文はオランダ語

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 187-21

25 January 2022

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20187-21.aspx

新規申請と提案

・GM Aspergillus oryzae由来ポリガラクツロナーゼ

・GM Aspergillus oryzae由来ペクチンエステラーゼ

・Aspergillus oryzae由来ホスホリパーゼA1

・GM Aspergillus niger由来グルコアミラーゼ

 

[COT]二酸化チタンについての暫定ポジションペーパー

Interim position paper on titanium dioxide

January 2022

https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2022-01/TiO2%20COT%20Interim%20position%20paper.pdf

EFSAの結論に同意しない

(あとで)

 

[USDA]食品廃棄とその温室効果ガスと気候変動との関連

Food Waste and its Links to Greenhouse Gases and Climate Change

Jan 24, 2022  by Jean Buzby

https://www.usda.gov/media/blog/2022/01/24/food-waste-and-its-links-greenhouse-gases-and-climate-change

食品ロスと廃棄と気候変動の関連、気候変動と農業とサプライチェーンの弾力性の関連は、ますます重要と認識されるようになってきた。EPAが2021年に食品廃棄の環境影響報告を発表している

From Farm to Kitchen: The Environmental Impacts of U.S. Food Waste

https://www.epa.gov/system/files/documents/2021-11/from-farm-to-kitchen-the-environmental-impacts-of-u.s.-food-waste_508-tagged.pdf

 

論文

-心配性の男性は心疾患と糖尿病のリスク要因をより若い年齢で生じるかもしれない

Men who worry more may develop heart disease and diabetes risk factors at younger ages

24-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940631

Journal of the American Heart Associationに発表された1975年に平均年齢53才だった1561人の男性のデータを解析した研究。心代謝疾患リスクは加齢に伴って増加するが不安や心配のレベルが高い人は低い人に比べて心代謝疾患になる可能性が高い

「不安になりやすい人は心代謝健康により注意すべき」と著者は言う

(心配性の人にさらに心配するようにという助言は妥当なのだろうか)

 

-COVID-19パンデミックの間接影響は子どもたちに相当な損害

Indirect impacts of COVID-19 pandemic take significant toll on children

24-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940986

Murdoch子ども研究所の新しい研究レビューと概要で、オーストラリアのCOVID-19復興計画には子どもや青少年を置き去りにしてはならない、と研究者が警告する

Medical Journal of Australia

 

-男性の飲酒はパンデミック中に減少、しかし問題のある飲酒は増加

Alcohol consumption among men drops during pandemic, but problem drinking rises

24-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941061

女性では減少せず、いまや男女は同じくらい飲酒する。一方でアルコールに関連する問題はパンデミック中に増加し、女性49%男性69%増加。理由は不明。

Drug and Alcohol Dependence

 

-3年減少した後、サメ咬傷再び増加

After three years of declines, shark bites are again on the rise

24-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/941088

フロリダ自然史博物館の国際シャークアタックファイルが今週発表したデータによると2021年に合計73件の一方的インシデントがあった。2020年の52件の劇的低下から平均に戻った。場所は南太平洋が最も多く、死者は6人で、主にホホジロザメが犯人

 

-COVID-19ワクチン試験のプラセボ群の有害事象頻度

Frequency of Adverse Events in the Placebo Arms of COVID-19 Vaccine Trials

JAMA Netw Open. 2022;5(1):e2143955

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2788172

有害事象報告を含む12の論文のメタ解析。一回目の投与で35%のプラセボ群、二回目では32%のプラセボ群が有害事象を報告した。ワクチン群のほうが有害事象報告は有意に多かったが、この研究はCOVID-19ワクチン試験のプラセボ群のノセボ反応の率が相当あることを示す。最初の投与による全身性有害事象の76.0%、局所有害事象の24.3%がノセボのせいである可能性がある。プラセボ群で最もよく報告されている有害事象は頭痛と疲労。興味深いことに、プラセボ群では二回目のワクチン接種後の方が有害事象頻度が少なく、真のワクチン摂取群は逆である

 

-米国成人のCOVID-19ワクチンデマを支持することと大うつ症状の関連

Association of Major Depressive Symptoms With Endorsement of COVID-19 Vaccine Misinformation Among US Adults

JAMA Netw Open. 2022;5(1):e2145697.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2788284

中程度以上のうつ症状のある人はワクチン関連デマを支持する可能性が高い

 

その他

-Natureニュース

学術論文の膨大な公開目録開始

Massive open index of scholarly papers launches

Dalmeet Singh Chawla  24 January 2022

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00138-y

OpenAlexは数億の学術文書とそれらをつなげる図をカタログ化する

OpenAlex

https://docs.openalex.org/

 

Natureワールドビュー

COVID-19:エンデミックは無害を意味しない

COVID-19: endemic doesn’t mean harmless

24 January 2022  Aris Katzourakis

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00155-x

バラ色の想定は公衆衛生を危険にさらす-政策決定者は今後を形作るために今行動しなければならない

エンデミックなのはよくある風邪、ラッサ熱、マラリア、ポリオ。そしてワクチンで制圧する前の天然痘。つまりエンデミックな病気は広範に拡大して恐ろしいものになり得るということだ。

 

-ロックダウン中に首相官邸で首相誕生日イベントが行われた

PM birthday event was held in No 10 during lockdown

https://www.bbc.com/news/uk-politics-60114812

(英国はここしばらくずっとこの手のニュース。パーティーゲートpartygateとか呼ばれている。)

 

-オミクロン下での新たなマスク規則についてCovid対応大臣

Covid Response Minister on new mask rules under Omicron

https://www.rnz.co.nz/national/programmes/checkpoint/audio/2018828000/covid-response-minister-on-new-mask-rules-under-omicron

Chris Hipkins Covid対応大臣は人々にN95sマスクではなく使い捨てサージカルあるいは医療グレードマスクを使うことを薦める、それは実行可能性の問題だという

政府は赤信号下でのマスク規則を強化すると発表した。Tシャツを顔まで持ち上げるのではなく、適切なマスクで鼻と口をカバーすることを勧める。「ベストなマスクはスーパーで50枚入りで売っているもので、布も使えるが品質にはばらつきがある。

N95を勧めるのが困難な理由は複数あり、供給、値段も問題。さらにフィットしない場合よくあるマスクより良いとは限らない。一方アメリカのACGIHパンデミックタスクフォースはフィットしていなくてもN95が遙かに有効という

 

SMC NZ

NZはオミクロンが拡大し赤信号に-専門家の反応

NZ moves to Red as Omicron cases spread – Expert Reaction

Published: 23 January 2022

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2022/01/23/nz-moves-to-red-as-omicron-cases-spread-expert-reaction/

Nelson/Marlborough地域でオミクロンCovid-19変異株が9例検出された後、NZは信号システムで赤に移行する。一部の患者はオークランドで結婚式に参加していた。Jacinda Ardern首相は今後過去2年より多くの患者が出るだろうという

(専門家の意見略。N95マスク推しなのが興味深い)

 

2022-01-24

[EFSA]意見等

-菜種及び亜麻仁のアゾキシストロビンの既存MRLsの改訂

Modification of the existing maximum residue levels for azoxystrobin in rapeseeds and linseeds

EFSA Journal 2022;20(1):7051  21 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7051

(理由付き意見)

 

-新規食品としての熱水処理された食用ナンヨウアブラギリ(Chuta)穀粒の安全性

Safety of hydrothermally treated kernels from edible Jatropha curcas L. (Chuta) as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283

EFSA Journal 2022;20(1):6998  21 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6998

(科学的意見)

欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、EU規則2015/2283に従って新規食品(NF)として食用ナンヨウアブラギリ(Chuta)由来熱水処理された穀粒に関する意見を出すよう求められた。ナンヨウアブラギリは一般にホルボールエステル類(PEs)の存在により有毒植物と考えられているが、中央アメリカには食用種が存在する。申請者は食用栽培品種の育成プログラムを作成し、この栽培品種の穀粒を、NFとして、スナックあるいは食品成分としての使用を提案する。非食用穀粒との混同を避けるための手順は整っていて、最終段階で全ての生産バッチのPEs濃度の分析管理が行われている。パネルは、このNFの生産工程は十分説明されており、このNFの組成について提出された情報は特徴を明らかにするのに十分だと考えた。このNFの構成要素に標準的なin vitroテストバッテリーを利用して遺伝毒性試験を行い、遺伝毒性の懸念は確認されていない。このNFからPEsへの暴露の保守的なシナリオでは、全ての穀粒が分析手段の検出レベルでPEsを含んでいる。PEsに推定される最大暴露量と豚の亜慢性試験からの基準値を比較すると暴露マージンは≥ 900となり、十分大きいと考えられた。抗栄養素の存在は野菜類に含まれる範囲内なので、安全上の懸念を引き起こさない。パネルは、このNFは提案された使用条件で安全だと結論した。

 

[EU]RASFF 2022(0116-0122)

警報通知(Alert Notifications)

オランダ産有機ヘンプシードのTHC高含有、フランス産動物用飼料混合物に使用されるフェヌグリーク抽出物のエチレンオキシド、英国産海藻のヨウ素高含有、ポルトガル産フランス経由梨のアセタミプリド、中国産生鮮ヤマノイモのプロクロラズ及びピリダベン、中国産韓国梨のクロルピリホス、イタリア産ヘーゼルナッツココアスプレッドのミネラルオイル(MOAH)による汚染、アルバニア産イラクサの葉粉末の鉛高含有、ベトナム産カエルの足の3-アミノ-2-オキサゾリジンオン (AOZ) 、

注意喚起情報(information for attention)

中国産オランダ経由紙ストローの 3-MCPD高含有、ジョージア産チェリーネクターのソルビン酸(E200)未承認、トルコ産マンダリンの未承認物質クロルピリホス-メチル、インド産冷凍コツブイイダコのカドミウム、パキスタン産ドイツ経由ズッキーニの未承認物質オメトエート、スリランカ産有機メース(ナツメグの仮種皮)粉末のアフラトキシン及びオクラトキシンA、グアテマラ産サヤエンドウの未承認物質ジメトエート、トルコ産ブドウのアセタミプリド、トルコ産グレープフルーツの未承認物質クロルピリホス-メチル、スペイン産タンジェリンのプロピコナゾール、オランダ産チルドサバのヒスタミン、英国産クミン粉末の未承認着色料(キノリンイエロー)高含有、

通関拒否通知(Border Rejections)

トルコ産レモンの未承認物質クロルピリホス-メチル、トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホス-メチル、トルコ産生鮮レモンの未承認物質クロルピリホス(複数あり)、トルコ産生鮮レモンのクロルピリホス-メチル及びビフェニル、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシンB1(複数あり)、トルコ産グレープフルーツのクロルピリホス及びクロルピリホス-メチル、アゼルバイジャン産有機ヘーゼルナッツ穀粒のアフラトキシン、シリア産イチゴジャムの亜硫酸塩非表示及び着色料アゾルビン(E122)の未承認使用、エジプト産殻付きピーナッツのアフラトキシン、ブラジル産茹でピーナッツ穀粒のトリクロピル及び未承認物質ハロキシホップ、米国産殻付きピーナッツのアフラトキシン、トルコ産ザクロの未承認物質クロルピリホス、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、トルコ産生鮮ペッパーのホルメタネート、タイ産加糖練乳オーツ麦飲料のエチレンオキシド、ベトナム産米の未承認農薬トリシクラゾール、香港産ポリアミド製ラクレットチーズヘラからの一級芳香族アミンの溶出、

 

[EU]新興健康環境問題についての声明II (2022)

SCHEER

Statement II on emerging health and environmental issues (2022)

21 January 2022

https://ec.europa.eu/health/publications/statement-ii-emerging-health-and-environmental-issues-2022_en

1.ヒトとコンピュータ/ロボットのインターフェース

2.気候変動の水汚染への影響

3.ナノテク有機物

4.ナノプラスチック

5.循環経済における化学物質リスク

6.環境破壊の見地からの新興感染症

7.水素経済とそのリスク

8.廃水ベースの疫学の方法論

9.一般的な早期検出-早期警告システム

をリストアップしている

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

January 2022

https://mailchi.mp/e5c1eead634d/food-standard-news-1300165?e=21527ddb09

・新年の挨拶

・安全なスクールランチ(お弁当)

・添加された糖の栄養表示レビュー発表

Review of nutrition labelling for added sugars

https://www.foodstandards.gov.au/consumer/labelling/Documents/Review%20of%20nutrition%20labelling%20for%20added%20sugars.pdf

栄養成分表示に添加された糖を加えることは複雑ではあるが技術的障害はないと結論。

今後栄養成分表示に添加された糖を加える方向での作業を開始する

・首相科学賞

 

[FAO]トンガの火山噴火:農業と水産業への影響は?

Tonga volcanic eruption: what possible impact on agriculture and fisheries?

21/01/2022

https://www.fao.org/newsroom/detail/tonga-volcanic-eruption-what-possible-impact-on-agriculture-and-fisheries/en

FAOはこれまでのトンガや他の地域での災害の経験をもとに必要な対応を準備する

 

[ヘルスカナダ]全国禁煙週間に、保健・精神衛生・依存大臣の声明

Statement from the Ministers of Health and Mental Health & Addictions on National Non-Smoking Week

January 21, 2022

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2022/01/statement-from-the-ministers-of-health-and-mental-health--addictions-on-national-non-smoking-week.html

今週は全国禁煙週間である。喫煙は、予防可能な早期死亡の主要因でカナダでは毎年約48000人の死亡に寄与する。禁煙は簡単ではないが可能である。

 

[USDA]FSISは公衆衛生保護における2021年の成果をハイライト

FSIS Highlights 2021 Accomplishments in Protecting Public Health

January 21, 2021

https://www.fsis.usda.gov/news-events/news-press-releases/fsis-highlights-2021-accomplishments-protecting-public-health

サルモネラ対策や小規模事業者支援、表示等

 

[RIVM]RIVMの研究が確認:IJmond地域のPAHと金属の主な発生源はTataスチールサイト

RIVM study confirms: Tata Steel site is main source of PAHs and metals in the IJmond region

https://www.rivm.nl/en/news/rivm-study-confirms-tata-steel-site-is-main-source-of-pahs-and-metals-in-ijmond-region

 

[IARC]血糖関連特徴と大腸がんの関連:メンデルランダム化解析

Associations between glycemic traits and colorectal cancer: a Mendelian randomization analysis

21 January 2022

https://iarc.who.int/news-events/associations-between-glycemic-traits-and-colorectal-cancer-a-mendelian-randomization-analysis/

JNCIに発表された48214人の大腸がん患者と64159人のがんでない人の遺伝子データを使った研究。空腹時インスリン濃度が高いことと大腸がんリスク増加に関連があったが高血糖と2型糖尿病には関連がなかった

 

論文

-パンデミック初期のロックダウンは命を救った、しかし前進のための主力戦略ではない

Lockdowns during early pandemic saved lives, but not a go-to strategy moving forward

21-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940742

米国の2020年のロックダウンは2.3兆ドルの経済悪化と国の政治的分断を引き起こした。ミシガン大学看護学部の健康経済学者Olga Yakusheva准教授がPLoS ONEに発表した研究。

 

-キノコ中毒アウトブレイク-中国、2021

CCDC

Mushroom Poisoning Outbreaks ─ China, 2021

Online Date: January 21 2022

http://weekly.chinacdc.cn/en/article/doi/10.46234/ccdcw2022.010

調査対象は25地方部局327件、患者923人死者20人

全体として74の毒キノコと6種類の異なる臨床症状が同定され、15の新たな毒キノコが記録された

肝不全、腎不全、溶血、横紋筋融解症、胃腸炎、精神神経症状

 

-2019年の細菌の抗菌剤耐性による世界負担:系統的解析

Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis

Antimicrobial Resistance Collaborators

THE LANCET  Open Access Published:January 19, 2022

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02724-0/fulltext

 

-オフライン:文化戦争としてのCOVID-19

Offline: COVID-19 as culture war

Richard Horton

THE LANCET VOLUME 399, ISSUE 10322, P346, JANUARY 22, 2022

先週米国議会でAnthony Fauci博士がRand Paul上院議員に政治家がCOVID-19パンデミックを悪用して自分の利益にしようとしていることを問いただした。Paul議員はウェブサイトで「Fauci博士を首にしろ」というメッセージを掲げ寄付を募っていた。彼の誇大宣伝でFauci博士や家族が暴力に晒されている。2021年12月にAR-15半自動ライフルを持って「Fauci博士を殺しにいくところ」だった男が逮捕されている。パンデミックが3年目に入り、COVID-19に関する政治的議論が苦い文化戦争に進化した。

合理的公衆衛生助言を無視しているように見える政治家を非難するのはたやすい。科学者は自分自身のパンデミックへのアプローチと態度を評価されることに備えるべきである。

過去2年のパンデミック管理への誠実な評価には、初期に数学モデルに過剰に依存したことや前線で働く医療従事者の経験を軽視しすぎたことが含まれるだろう。パンデミックは変遷している。政府は新たな変異株を注視し続ける必要があり脆弱集団は守られなければならない。世界的予防接種は加速しなければならない。しかし今や各国は、それぞれの社会の将来となにがより公正なのかについて熱心な議論を促すべきである。

(一部のみ。英国は既に状況は変わった、オミクロンに過剰な恐怖を煽るのは間違いという認識のよう。これは全てのトレードオフを評価して注目されているリスクの受容レベルを決めなければならないという日本が苦手なフェイズに。)

 

その他

-デルタクロン:存在しない変異株の物語

Natureニュース

Deltacron: the story of the variant that wasn’t

21 January 2022  Freda Kreier

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00149-9

先週デルタとオミクロンのを組み合わせた「スーパー変異株」のニュースが広まったが、科学者はそれは存在しない変異株でその配列はおそらくコンタミだろうと研究者らは言う

(拙速と迅速な情報共有の違い。科学報道の能力の無い一般メディアが第三者の研究者に取材せずに報道するのが問題なのでは)

 

-ベンゼン恐怖

Benzene Jitters

Joe Schwarcz PhD | 19 Jan 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/benzene-jitters

かつてはひげそり後に塗っていたが現在は水や食品や化粧品に数ppbあるだけで心配する。ベンゼンは発がん性がわかっていて避けるべきである。しかし環境中からベンゼンを排除することはできない以上、必要なのは合理的リスクアナリシスである

かつてベンゼンは甘いにおいがするためひげそり後に使われた。コーヒーからカフェインを除去するのにすら使われていた。時代は変わった。今や我々は数ppbでも心配する。しかしベンゼンはあらゆるところに存在する。環境中からベンゼンを排除することは不可能で、必要なのは合理的リスクアナリシスである。それは困難な課題だが、挑戦してみよう。

ベンゼンの全てが人間活動由来ではない。それは有機物が分解するときに生じる無数の化合物のうちの一つである。また有機物が燃えるときにも生じ、火山や山火事で生じる

(以下ベンゼンの歴史と発がん性の確認された濃度との比較)

 

-調理器具の化学についての懸念

Concerns About Cookware Chemistry

Joe Schwarcz PhD | 21 Jan 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/concerns-about-cookware-chemistry

銅、アルミ、ステンレススチール、あるいは純銀等、調理器具はいろいろな物質からなる。しかしどれが良いあるいは安全?

多くの化学者同様私は料理が好きである。結局のところ料理は化学物質の適切な混合だから。実験室ではフラスコやビーカーを使うが、台所ではどうする?

以下銅、アルミ、テフロン、鋳鉄、ステンレススチール、陶器等の説明

それで何がベスト?もちろん、好みと予算による。

 

-モディファイドパーム油とは何?

What is modified palm oil?

Joe Schwarcz PhD | 21 Jan 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition-you-asked/what-modified-palm-oil

それは遺伝子組換えではなく、望ましい融点、堅さ、口溶けにするためにパーム油の天然脂肪の化学構造を変えることを指す

マーガリン、ショートニング、チョコレートバーのようなたくさんの製品の成分リストに記載されている用語である。私は何度もNutellaのモディファイドパーム油について聞かれた。誤解の一つはすぐ片付けよう、遺伝子組換えは関与しない。

部分水素添加がトランス脂肪を生じるためインターエステル化で「modify」している。

(Nutella

https://en.wikipedia.org/wiki/Nutella

ここではmodified palm oilと記載されているのはカナダの製品だけのようだが。

https://entabe.jp/news/gourmet/17822/compare-italian-nutella-and-japanese-nutella

ここを見るとイタリアのものはパーム油、日本のものは植物油脂と記載されている模様

同じものでもモディファイドパーム油、パーム油、植物油と記載方法が違う?)

 

-書店で耐えがたい便意を催すこと

The Unbearable Poopness of Bookstores

Jonathan Jarry M.Sc. | 22 Jan 2022

https://www.mcgill.ca/oss/article/general-science/unbearable-poopness-bookstores

それは青木まり子現象Mariko Aoki phenomenonとよばれる

1985年の「本の雑誌」への投稿者にちなんで命名された。多くの仮説が提示されているが明確な答えはない。

(何故英語圏で有名になっているのか)

 

-「ねつ造し放題」か「教えることを阻まれる」か?COVIDを巡る不一致は学問の-そして人々の自由への脅威を強調する

‘Free to fabricate’ or ‘barred from teaching’? Discord over COVID underscores threats to academic freedom — and the public

Kevin Folta | January 18, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/01/18/free-to-fabricate-or-barred-from-teaching-disagreements-over-covid-underscore-threats-to-science-academic-freedom-and-the-public/

2020年の最も活躍したニュージーランド人に選ばれた微生物学者Siouxsie Wiles博士はCOVID対策をわかりやすいコミックにして人々に伝える努力をした。一方MITの人工知能研究者Stephanie Seneff博士は恣意的データの選択でワクチンの危険性に関する嘘の主張をばらまいている。Wiles博士は反ロックダウン活動家から脅迫を受けオークランド大学が彼女の発言を封じた。Seneff博士は相変わらずテレビに出ていいかげんなことを言っている。何故?

学術機関は重要な役割を果たすべきだ

(一部)

 

-メキシコは増加する肥満の危機をケロッグの漫画イラスト入りシリアルの押収で押し下げる

Mexico weighs down on rising obesity crisis with seizure of Kellogg’s cartoon-festooned cereals

18-Jan-2022 By Gill Hyslop

https://www.bakeryandsnacks.com/Article/2022/01/18/Mexico-weighs-down-on-rising-obesity-crisis-with-seizure-of-Kellogg-s-cartoon-festooned-cereals

メキシコの役人がマスコットのイラスト入りケロッグのシリアル38万箱を押収した。「不健康な」食品を子どもたちに宣伝することを禁止した法律に違反している

アニメキャラクターのようなものを利用して子どもたちの気を引くマーケティングは2018年に禁止する法律が成立したが発効は最近である。またカロリー、脂肪、塩、砂糖の栄養情報と警告を表示する義務にも違反していたと報道されている。

メキシコは世界で二番目に肥満の多い国で、特に子どもが問題になっている。1985年にメキシコの19才の少女の平均BMIは20.7だったが2019年には24.2になった。

メキシコ政府は「ジャンクフード」の摂取量を減らそうとたくさんお対策を行っている。2014年には13才以下の子どもが見る時間帯のTV広告を禁止した。地域によっては砂糖入り飲料やハイカロリースナックを販売禁止にしている

 

-養蜂の問題

The trouble with beekeeping

January 17, 2022 Tove Danovich

https://www.grid.news/story/science/2022/01/17/the-trouble-with-beekeeping/

ミツバチは救う必要がなく-むしろ土着の受粉媒介者に問題を起こしている可能性がある

昨年の冬、私の頭はミツバチのことで一杯だった。山のようなハウツー本を読み地元の養蜂家に助言を求め動画を見てミツバチの世話をした。私は何年も自分の半エーカーの庭を受粉媒介者に魅力的なものにしようとしてきた。

生物学者E.O. Wilsonは、地球の生物多様性を救う唯一の方法は全ての陸地や海の半分をヒトの干渉から守ることだという。米国の土地の60%は民間所有で、私は裏庭をもとの自然に戻そうという運動に参加した。つまり外来種をとり除きもともとの植物に代える。

ミツバチは野生昆虫ではなく、アメリカ産でもない。ミツバチは欧州から輸入した家畜である。Hoffman Blackが言うように、「ミツバチを育てて受粉媒介者を守ろうとするのは、鶏のひよこを育てて鳥を守ろうとするようなものである」

(長い記事一部のみ)

2022-01-21

[EFSA]意見等

-トリフロキシストロビンの各種作物の既存MRLsの改訂及びMRLレビュー12条に従った確証データの評価

Modification of existing maximum residue levels in various crops and evaluation of confirmatory data following the Article 12 MRL review for trifloxystrobin

EFSA Journal 2022;20(1):7048  20 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7048

(理由付き意見)

トリフロキシストロビンとその代謝物質CGA 321113(パッションフルーツを除く)の残留物への暴露を考慮して行われたリスク評価の結果に基づき、EFSAは検討中のトリフロキシストロビンの使用から生じる残留物の短期及び長期摂取は、キクジシャ以外は消費者の健康リスクになりそうもないと結論した。キクジシャに意図した屋内使用は短期摂取リスクを除外できず、そのため既存のEUのMRL改訂はこの作物には提案されていない。消費者リスク評価は指標と見なされ不確実性の影響を受ける。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質に使用するためのStarlinger iV+テクノロジーに基づくCircular Plasticsプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Circular Plastics, based on the Starlinger iV+ technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2022;20(1):7019 20 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7019

(科学的意見)

使用後のPETを食品と接触する物質に使用するためのStarlinger iV+テクノロジーに基づくSrichakra Polyplastプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Srichakra Polyplast, based on the Starlinger iV+ technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2022;20(1):7020 20 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7020

(科学的意見)

使用後のPETを食品と接触する物質に使用するためのStarlinger iV+テクノロジーに基づくOMT Recycling Projectプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process OMT Recycling Project, based on the Starlinger iV+ technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2022;20(1):7018 20 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7018

(科学的意見)

使用後のPETを食品と接触する物質に使用するためのStarlinger iV+テクノロジーに基づくResinas del Ecuadorプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Resinas del Ecuador, based on the Starlinger iV+ technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2022;20(1):7021 19 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7021

(科学的意見)

4件とも同じ結論

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても、安全上の懸念とはならない。このリサイクルされた PETで作られた最終製品は電子レンジとオーブンで使用することを意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-ケール/大根の葉のオキサチアピプロリンの既存MRLの改訂

Modification of the existing maximum residue level for oxathiapiprolin in kales/radish leaves

EFSA Journal 2022;20(1):7049 20 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7049

(理由付き意見)

 

-ホスホン酸カリウムの使用から生じるアプリコット、チェリー、プラムのホセチル/ホスホン酸の既存MRLsの改訂

Modification of the existing maximum residue levels for fosetyl/phosphonic acid in apricots, cherries and plums resulting from the use of potassium phosphonates

EFSA Journal 2022;20(1):7106 20 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7106

(理由付き意見)

 

-認可更新のための全ての動物種用Lactococcus lactis NCIMB 30160株からなる飼料添加物の評価(Lactosan GmbH & Co KG)

Assessment of the feed additive consisting of Lactococcus lactis NCIMB 30160 for all animal species for the renewal of its authorisation (Lactosan GmbH & Co KG)

EFSA Journal 2022;20(1):6975 19 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6975

(科学的意見)

 

-豚の肝臓由来食品酵素カタラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme catalase from porcine liver

EFSA Journal 2022;20(1):7009  19 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7009

(科学的意見)

製造工程で酵素の製造に認められていない溶媒の使用があること、原料由来ウイルスの不活性化が保証できないことから、この豚の肝臓から抽出したカタラーゼの使用は健康リスクを示す可能性がある。

 

-植物保護製品のリスク評価における管理者、作業者、居住者、傍観者の暴露評価に関するガイダンス

Guidance on the assessment of exposure of operators, workers, residents and bystanders in risk assessment of plant protection products

EFSA Journal 2022;20(1):7032  18 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7032

(ガイダンス)

このガイダンスは、植物保護製品(PPPs)の規制リスク評価の一環で、潜在的な食品以外の全身暴露を定量化する際にリスク評価者や申請者を支援するために考案された。2010年に植物保護製品およびその残留物(PPR)に関するEFSAのパネルが作成した「作業者、管理者、居住者、傍観者のための農薬暴露評価に関するガイダンス文書の作成」に関する科学的意見を基にしている。PPRパネルは規制機関が採用したアプローチの矛盾を指摘して、使用慣習への多くの変更を提案した(個別のPPPsの決定論的方法の利用、急性毒性のあるPPPsに急性リスク評価を実施する必要性、急性あるいはより長期のリスク評価に適したパーセンタイルの使用など)。2014年に発表されたこのガイダンスの初版には、付属の計算機や更なる研究の推奨と共に、屋外利用のシナリオがいくつか含まれていた。このガイダンスは、追加の根拠の評価に基づき、追加のシナリオを含んだり初期値の改訂を行って、2021年に更新された。暴露やリスクの評価を実施して利用者を支援するために、ガイダンスの内容を反映したオンライン計算機が更に開発されている。

 

-COVID‐19パンデミックに関連したEU機関の営業活動の調査結果の分析

Analysis of the survey results on EU Agencies operational activities related to the COVID‐19 pandemic

EFSA Journal 2022;19(1):e200101 18 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/e200101

(技術的報告書)

科学的助言に関するEU機関ネットワーク(EU‐ANSA)は、欧州市民の利益のために、欧州機関に対する様々な分野の科学的助言を提供する欧州機関間の協力を支援している。COVID‐19の経験から学び、この報告書では、EU‐ANSAメンバー間の協調的な協力や危機的状況に機関の準備を強化することで、将来の緊急事態に備えるための助言を提供している。

 

[FSA]FSA環境サステナビリティ戦略

FSA Environmental Sustainability Strategy

14 January 2022

https://www.food.gov.uk/about-us/fsa-environmental-sustainability-strategy

 英国食品基準庁(FSA)の環境サステナビリティ戦略では、二酸化炭素排出量のさらなる削減、持続可能なベストプラクティスの推進、天然資源の保全、そしてポリシーと実践を通じた環境意識の構築に対するFSAのコミットメントを明記する。

 

[FSS]科学部長Jacqui McElhineによる日付表示に関するガイダンス

Guidance on date labelling by FSS Head of Science Jacqui McElhiney

18 JANUARY 2022

https://www.foodstandards.gov.scot/news-and-alerts/guidance-on-date-labelling-by-fss-head-of-science-jacqui-mcelhiney

 スコットランド食品基準局(FSS)は食品表示と製品の保存方法及び保存期間について説明する。

食品廃棄を減らす運動は歓迎するが、全ての食品を臭いで判断するのは勧めない。‘use by date’(消費期限)は重要なので守ること。‘best before’(賞味期限)は過ぎても見た目や臭いで判断できる。

 

[FSS]代替タンパク質への道を開く

Paving the Way for Alternative Proteins

20 JANUARY 2022

https://www.foodstandards.gov.scot/news-and-alerts/paving-the-way-for-alternative-proteins

 スコットランド食品基準局(FSS)は代替タンパク質とその取り組みについて説明する。

 

[FSAI]安全でない濃度のデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれていたため、Kama Hemp Artisan Coffeeをリコール

Recall of Certain Batches of Kama Hemp Kama Artisan Coffee due to the Presence of Unsafe Levels of Delta‐9‐tetrahydrocannabinol (THC)

Tuesday, 18 January 2022

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/recall_kama_hemp_artisan_coffee.html

安全でない濃度のデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれていたため、 アイルランド産Kama Hemp Artisan Coffeeをリコール。製品写真有り。

 

[FSAI]異味により、SuperValu 炭酸なしレモンライム風味天然水の一部をリコール

Recall of a Batch of SuperValu Still Lemon and Lime Flavoured Spring Water Due to Off Taste

Wednesday, 19 January 2022

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/SuperValu_flavoured_water_recall.html

異味により、アイルランド産SuperValu 炭酸なしレモンライム風味天然水を一部リコール。製品写真有り。

 

[FDA]警告文書

GeroNova Research Inc.

NOVEMBER 18, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/geronova-research-inc-612777-11182021

未承認及び不正表示医薬品のインターネット販売の問題。

 

HK Produce Group Inc. DBA Y2S Trading Inc.

JANUARY 05, 2022

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/hk-produce-group-inc-dba-y2s-trading-inc-618038-01052022           

「外国供給業者検証プログラム(FSVP)」違反の問題。

 

Green Food Ingredients, LLC

OCTOBER 21, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/green-food-ingredients-llc-616669-10212021

「外国供給業者検証プログラム(FSVP)」違反の問題。

 

[ヘルスカナダ]パン、小麦粉、全粒粉及び規格外ベーカリー製品におけるBacillus licheniformis HyGe767n2由来マルトジェニックα-アミラーゼの使用を可能にするための許可された食品酵素リストの修正通知

Notice of Modification to the List of Permitted Food Enzymes to Enable the Use of Maltogenic alpha-Amylase from Bacillus licheniformis HyGe767n2 in Bread, Flour, Whole Wheat Flour and Unstandardized Bakery Products

2022-01-19

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/notice-modification-list-permitted-food-enzymes-enable-use-maltogenic-alpha-amylase-bacillus-licheniformis.html

ヘルスカナダの食品局はパン、小麦粉、全粒粉及び規格外のベーカリー製品におけるBacillus licheniformis HyGe767n2由来のマルトジェニックα-アミラーゼの使用の認可を求める食品添加物について、市販前安全性評価を完了した。2022年1月19日より、食品酵素許可リストが変更された。

 

[HK]魚肉団子のサンプルのメチル水銀濃度が食品不純物(金属汚染物質)規則に違反

Fish ball sample detected with methylmercury at level that may have breached Food Adulteration (Metallic Contamination) Regulations

Tuesday, January 18, 2022

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20220118_9168.html

食品安全センター(CFS)は、本日(1月18日)、魚肉団子から食品不純物(金属汚染物質)規則違反のおそれのある0.2 ppmのメチル水銀が検出されたと発表した。

 

[SFA]マンダリンオレンジの安全性について

Safety of Mandarin Oranges

Tuesday, January 18, 2022

https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/mandarin-oranges

マンダリンオレンジの安全性と、安全に楽しむための方法について紹介。

 

[SFA] Hensin Food (S) Pte Ltdの食品事業の営業停止について

Suspension of Hensin Food (S) Pte Ltd’s food business operations located at

No. 151 Pandan Loop, Singapore 128349

20 January 2022

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/sfa-media-release---suspension-of-hensin-food-(s)-pte-ltd-s-food-business-operations.pdf

Hensin Food (S) Pte Ltd施設の検査において、広範囲に及ぶ食品調理場でゴキブリの発生が確認された。

 

[Defra]植物のゲノム編集研究に新たな力

New powers granted to research gene editing in plants

Published 20 January 2022

https://www.gov.uk/government/news/new-powers-granted-to-research-gene-editing-in-plants

ゲノム編集の規則を簡略化することで研究者がより栄養のある、耐性のある、農薬必要量が少ない作物を開発するのを簡単にする

役所仕事を減らした新たな規制が発効する

 

[CPSC]CPSCは消費者に警告:窒息の危険があるためLeachco Podster、Podster Plush、Bummzie および Podster Playtime乳児用ラウンジャーの使用を止めるように:二人の乳児の死亡を調査

CPSC Warns Consumers: Stop Using the Leachco Podster, Podster Plush, Bummzie and Podster Playtime Infant Loungers Due to Suffocation Hazard; Two Infant Deaths Investigated

January 20, 2022

https://www.cpsc.gov/Newsroom/News-Releases/2022/CPSC-Warns-Consumers-Stop-Using-the-Leachco-Podster-Podster-Plush-Bummzie-and-Podster-Playtime-Infant-Loungers-Due-to-Suffocation-Hazard-Two-Infant-Deaths-Investigated

死亡事故は2015年12月と2018年1月

 

Consumer Reportsによると会社側がリコール要請に応じない

Leachco社は製品を指示通りに使わなかったことが事故の原因で、製品そのものを排除するCPSCは間違っていると主張している

Parents Should Stop Using Leachco Podster Baby Loungers After Reports of 2 Deaths, Government Warns

By Consumer Reports January 20, 2022

https://www.consumerreports.org/child-safety/parents-should-stop-using-leachco-podster-baby-loungers-a9770079592/

 

[RIVM]女性は中年期は男性より記憶が良いが、早く低下する

Women have a better memory than men in middle age, but decline faster

01/18/2022 -

https://www.rivm.nl/en/news/women-have-better-memory-than-men-in-middle-age-but-decline-faster

RIVMとVU アムステルダムの研究によると、中年女性は男性より記憶が良く、情報処理速度も速いが、その後認知機能低下が早い。

オランダでも世界でも、加齢に伴う認知症は女性が多い。そこで45才以上の男女1万人の記憶力と情報処理能力を20年に渡って測定した。

参加者のうち、遅く生まれた(概ね第二次世界大戦後)女性の方が記憶力と情報処理速度が速く、理由の一つは教育レベルである。従って将来は女性の認知症が男性より多いことはなくなる可能性がある

Gerontologyに発表された。

 

[CDC]CDCはアメリカの高いレベルの運動不足地図を更新

CDC Releases Updated Maps of America’s High Levels of Inactivity

THURSDAY, JANUARY 20, 2022

https://www.cdc.gov/media/releases/2022/p0120-inactivity-map.html

米国成人の25%は健康保護のための十分な活動をしていない

地図

https://www.cdc.gov/physicalactivity/data/inactivity-prevalence-maps/index.html

 

[ProMED]ボツリヌス症-ウクライナ:2021

Botulism - Ukraine: 2021

2022-01-20

https://promedmail.org/promed-post/?id=8700992

Date: Wed 19 Jan 2022 Source: Outbreak News Today [edited]

ウクライナ保健省が、2021年のボツリヌス症アウトブレイクは88で、98人が病気になり10人が死亡、79人の患者に抗ボツリヌス血清が投与されたと報告した。2020年は患者65人死亡4人だった。

主な原因は自然食品店から購入した由来不明又は自家製乾燥/塩漬け/乾燥淡水魚(30例)、自家製肉缶詰(30例)

 

論文

-制限にも関わらず、娯楽用大麻企業は青少年にアピールするマーケティングを行っている

Despite restrictions, recreational cannabis companies use marketing that appeals to adolescents: Study

20-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940247

Journal of Studies on Alcohol and Drugsに発表された、娯楽用大麻が合法な4つの州のソーシャルメディアでの宣伝を調べた研究。

(数と金で違法なものを合法にして拡大してきた大麻業界がお行儀良くガイドライン規制を守るわけないだろう)

 

-オンライン小売店に食品表示が欠けている

Food labeling is lacking in online grocery retailers

20-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940048

オンラインで食品を購入するときに、FDAが食品表示に要求している栄養成分表、成分リスト、アレルゲンがしばしば無い

Public Health Nutritionに発表された米国の研究

 

-台湾の非喫煙女性の肺がん検診は過剰診断につながった

Lung cancer screening among non-smoking women in Taiwan led to overdiagnosis

20-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940753

JAMA Internal Medicineに発表された2004-2018年の台湾がん登録データに基づく研究。

・喫煙率が低いにも関わらず検診により早期肺がんの診断が6倍になった。

・死亡率と進行がんの率は低下しないのに5年生存率が2倍以上になり、過剰診断による水増しが強調される

米国USPSTFは肺がん検診を20年以上の喫煙歴のある50-80才にのみ勧めている。台湾では若い女性のイメージを使って「末期の肺がんで突然死ぬ悲劇を避けよう」と検診を推奨した。その結果若い女性の早期肺がんの診断が増え末期のがんや死亡は減少していない。

 

-2022年化学物質展望

The chemical outlook for 2022

20-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/940752

Chemical & Engineering Newsのカバーストーリー

 

-Science  VOLUME 375|ISSUE 6578|21 JAN 2022

エディトリアル

遅すぎることはない

It’s not too late

ERIC TOPOL

アメリカのCOVID-19対応への批判

(どこの国でも余所の国に比べて対応が科学的でないという批判があるのは健全なのだろう。我々は正しいという意見しかない国があり、確かにそれは国民に統一行動をとらせるには理想かもしれないが。)

 

ニュースを一目で

News at a glance:

・トンガの噴火

・国立科学財団の科学技術指標報告書で米国がいくつかの指標でトップの座を中国に譲る

・アルツハイマー治療薬、障害に直面 処方はRCT参加者限定

・感染源のチャレンジ試験拡大

 

生物多様性、食、文化

Biodiversity, food, and culture

LENORE NEWMAN  p. 273

Dan Saladinoら著Eating to Extinctionの書評

Dan SaladinoはBBCのベテランリポーターで、地域特有の食文化と作物を守ることについての本

(美味しい・作りやすいものに変わるのは当然なので失われる前に研究・保存の努力を。)

 

SMC UK

-Defraが発表した植物のゲノム編集の新たな規則への専門家の反応

expert reaction to new legislation for genome editing in plants, as announced by Defra

JANUARY 20, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-legislation-for-genome-editing-in-plants-as-announced-by-defra/

Defraが役所仕事をカットしたゲノム編集植物研究の新しい規制を発表した

16人の科学者からの歓迎一色の意見

 

-ピーナッツアレルギーのある子どもたちのピーナッツ経口免疫療法を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to genetic study looking at peanut oral immunotherapy in peanut-allergic children

JANUARY 20, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-genetic-study-looking-at-peanut-oral-immunotherapy-in-peanut-allergic-children/

The Lancetに発表された研究がピーナッツアレルギーのある1-3才の子どもたちの経口免疫療法の有効性と安全性を調べた

ケンブリッジ大学病院NHS財団トラストケンブリッジピーナッツアレルギークリニック小児アレルギー相談医Andrew Clark博士

プレスリリースはこの研究結果の公正な記述であるが安全性の問題を強調している。治療群96人中22人(22%)が有害事象治療のためにエピネフリンIM投与を受けていて、もっと大きな子どもたちでの14%という数字より大きい。これは一部は試験期間の長さで説明できるかもしれないが、この年齢でのピーナッツを避ける場合のアナフィラキシーが希であることを考えると議論に値する。

これはしっかりした研究で、ピーナッツ経口免疫療法が非常に小さい子どもの脱感作誘導成功を示唆し、他の研究で確認できれば治療対象年齢を拡大できるかもしれない。ただし年齢分布が高いほうに偏っているため、とても小さい子どもに関しては限界がある。

(ピーナッツ由来粉末)

 

-アルコールとがんを調べた遺伝学的研究への専門家の反応

expert reaction to genetic study looking at alcohol and cancer

JANUARY 20, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-genetic-study-looking-at-alcohol-and-cancer/

International Journal of Cancerに発表された研究が中国成人の部位特異的がんリスクとアルコール代謝遺伝子を調べた

ロンドンがん研究所遺伝学と疫学上級研究員Michael Jones博士

この中国Kadoorieバイオバンク研究はアルコールがヒト発がん物質であることを支持する。興味深いのは遺伝子がアルコール不耐なのに定期的に飲む人の上部気道消化器がん-頭部や頸部、食道のがん-リスクが高いことである。中国での研究であるため他の地域では飲酒パターンが違う可能性がある。

ケンブリッジ大学MRC生物統計ユニット統計学者Stephen Burgess博士

東アジアの人たちにはアセトアルデヒドの分解効率が悪いため飲酒後顔が赤くなる人がいる。遺伝的変異はランダムに次世代に伝わるため、臨床試験のランダム化のように人々を集団に分けたと考えることができる。ここでは食道と頭部と頸部のがんが飲酒に関連しアルコールが原因であることが示唆される。肝臓、胃、肺がんでは関連は見られなかった。この研究で使われた統計法は適切である。限界は、アルコールの有害影響が最も強く見られたのはアルコール分解が効率よくできない人たちで、そのような人は欧州人にはあまりいないので欧州人にとっての影響は欧州人で調べる必要があることである。

ケンブリッジ大学がん疫学教授Paul Pharoah教授

観察研究から飲酒が頭部と頸部、食道、肝臓、大腸、乳がんリスクを増やすことは強い根拠がある。しかし観察研究は交絡要因に影響されるため因果関係は確立できない。この研究はその因果関係をさらに確認するためにメンデルランダム化として知られるアプローチを使ったものである。研究はよくできたものであるが、既にわかっていることにそれほど多くのことを加えない。フォローアップ期間中に発生したがんの数が少ないので検出力は限界がある

Kent大学遺伝学教授Darren Griffin教授

このような研究はライフスタイル洗濯に大きな意味があるだろう。ただしアルコールの害他にもあり、飲酒に都合の良い遺伝子を持っていても必ずしも高頻度に大量に飲んで良いことにはならない。

 

-イングランドで来週プランBの見直しと制限を緩和することについての下院でのBoris Johnsonの声明への専門家の反応

expert reaction to Boris Johnson statement in the House of Commons on review of Plan B measures and easing of restrictions in England next week

JANUARY 19, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-media-reports-suggesting-boris-johnson-is-expected-to-announce-an-easing-of-covid-19-rules-in-england-later-in-an-anticipated-statement-on-plan-b/

首相がイングランドのプランB制限を緩和すると発表した

Swansea大学人々と組織上級講師Simon Williams博士

オミクロンの波が始まって感染者数が急速に増加した時ですら「変異株疲労」がみられた。つまり多くの人が我々はCovidとともに生活すべきだと感じ、対策義務は必要以上に行うべきでないとの感覚があった。そのため多くの提案は政策より個人の責任により重きをおくものになった。Covidパスポートが感染を減らしたかどうかについては科学的コンセンサスは無く一般的に根拠を欠くのでそれをやめるのは道理に適っている。

政府の言うとおり警戒はまだ重要で、感染者が減っているとは言えまだ多い。

しかし政府の提案には行動的観点から問題がある。英国の各国が異なるアプローチをとっているなど、メッセージと方針に違いがあることは混乱する

もとBMA公衆衛生委員会座長で前Vaccines in Practice編集者で引退した伝染性疾患コントロールコンサルタントPeter English博士

ノーマルに戻りたいという強い望みは理解できるが警戒すべきである

医学アカデミー会長Dame Anne Johnson PmedSci教授

制限が緩和されても感染リスクを緩和する対策を誰もがとれる。プランBを止めることで感染や入院がどうなるかを予想するのは難しい。衛生対策や行動の一部は長く続けることを希望する

Newcastle大学公衆衛生臨床教授Allyson Pollock教授

本日示された計画は極めて賢明なものだ。

集団検査は、伝染を減らす根拠がないので止めるべきだし子どもたちに学校でマスクをさせることが感染予防になる根拠は無い。

接触者の隔離は全て一様にではなく地域の公衆衛生アウトブレイクチームによって決められるべきだ。検査は臨床診断の一部として臨床医療に再統合されるべきだ。症状の無い人の検査は注意深く対象を絞って行いスクリーニングの基本原則に従うべきだ。また感染症例の定義を検査陽性から臨床症状と症状の重さに変更すべきである。

Nottingham Trent大学社会学教授Robert Dingwall教授

これはCovid-19を普通の呼吸器感染症と同じにする方向への大きなステップである。

行動科学者コミュニティが不安を永続させることではなくて普遍性や日常生活の中のリスクの耐容性の説明への課題に関心を移すのが役立つだろう。我々は子どもたちへの社会的、心理的、教育上のダメージを回復する計画を必要とする

Reading大学細胞生物学准教授Simon Clarke博士

プランBの制限は感染を抑制しただろうと信じるのでそれを止めるのは感染者が減らないだろうことを意味する

Warwick大学医学部分子腫瘍学教授でウイルス学者Lawrence Young教授

警戒は必要で安心している余地はない

(以下5人ほど略。多様な意見を採用している)

 

その他

-王立学会はオンラインの科学的誤情報の検閲に注意を呼びかける

Royal Society cautions against censorship of scientific misinformation online

19 January 2022

https://royalsociety.org/news/2022/01/scientific-misinformation-report/

英国の科学アカデミーである王立学会による報告書は、政府やソーシャルメディアプラットホームは有害なオンライン科学デマへの対処においてコンテンツの排除に依存するべきではないという。

このオンライン情報環境報告書ではまた英国政府の予定しているオンライン安全法案Online Safety Billは偽情報の個人への害にフォーカスする一方でより広範な「社会への害」を認識していないとも警告する。科学的問題についての誤情報は、ワクチンから気候変動まで、個人と社会全体への害となりうる。

この報告書では主要プラットホームへの有害コンテンツ排除のよびかけが科学的誤情報による害を減らす根拠がほとんどないことを指摘し、そのような対策が誤情報をより対応が困難なインターネットの片隅に誘導し権威への不信感をつのらせる可能性すらあるという。この報告書は政府や技術プラットホームや学術機関がデマに耐性のある健康なオンライン情報環境構築のためにできる広範な対策を助言している。

報告書

The online information environment

https://royalsociety.org/topics-policy/projects/online-information-environment/

報告書:オンライン情報環境

文献レビュー:エコーチェンバー、フィルターバブル、分極化

文献レビュー:20世紀のワクチンデマ

文献レビュー:水のフッ素添加

文献レビュー:情報環境とその個人やグループへの影響

コンテンツ警告は人々がディープフェィクを見つける役に立つか?二つの実験からの根拠

 

助言は

1.英国政府は個人への害同様社会への害のリスクとなるデマに取り組まなければならない、特にそれが科学コミュニケーションのための健康的な環境に関連する場合には

2.政府やソーシャルメディアプラットホームはオンライン科学デマの解決法としてコンテンツ削除に依存すべきではない

3.英国で出現しようとしているファクトチェック部門を支援するために、独立性と経済的持続性が必要である

4.Ofcomはハイリスクで影響力の大きいソーシャルメディアプラットホームを超えたデマへの介入を検討しなければならない

5.オンラインプラットフォームと科学当局はプライベートメッセージ伝達プラットホーム上のデマに対抗する介入のデザインを検討すべきである

6.ソーシャルメディアプラットホームは独立した研究者がプライバシーやその部門のマナーに考慮した上でデータにアクセスできる方法を確立すべきである

7.既存のプラットホームのニーズにのみ集中するのは新たなプラットホームができて人気になると同じ問題を繰り返すリスクがある。新興企業をガイドし基準を促すためにデマ対策優良事例などを協力して開発する必要がある

8.政府とオンラインプラットフォームは健康的で持続可能なメディアの多数存在を支援するための方針を実行すべき

9.英国政府は生涯にわたる、全国的情報リテラシイニシアチブに投資すべき

10.学術雑誌や組織は学術研究のオープンアクセスのための活動を継続すべき

11.アーカイブされたデジタルコンテンツへのより良いアクセスのために、電子的合法的保管場所に関する枠組みは見直し、改定されるべき

 

(とても英国っぽい報告書。議長のFrank Kelly CBE FRS教授はケンブリッジ大学Mathematics of Systems名誉教授。メンバーは人工知能、デジタルエコノミー、政治コミュニケーション等。でもジョージ・エリオットを引用する。)

 

-マスクを外す 誠実性と信頼性のポリティクス

Masks Off

The Politics of Sincerity and Authenticity

Charlie Riggs

https://hedgehogreview.com/issues/authenticity/articles/masks-off

(いろいろなもののシンボルとしてのマスクについて。そんなに語ることのほうが不思議)