[EU] COVID-19デマ:我々は何を学んだか?
Misinformation on COVID-19: what did we learn?
21 February 2023
JRCの報告書は最も拡散された物語とその帰結、人々がそれらを信じるあるいは拡散する可能性を予想する要因、最も効果的な対抗方法を解析する。これは政策決定者の将来の危機への準備となる。
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2020年、COVID-19は世界的パンデミックとなった。僅か数週間で世界は恐ろしいウイルスと、それを巡るデマや誤情報の急速な拡大を経験した。過去3年、JRCの科学者はインフォデミックを解析してきた。この教訓は将来の危機に役立つだろう。
多くのデマは政治的社会的トピックを巡って偽りの主張をする
民主主義への脅威、全ての政治分野での懸念である
デマに最も脆弱なのは直感的、自発的、保守の人々
標的を絞って個別に調整したやり方で政策介入をデザイン
デマを認識するよう人々に力を与える
・暴露前のプレバンキング:デマのテクニック等をあらかじめ知らせる
・暴露中はナッジング:デマより事実を伝えやすいように環境を整える
・曝露後はデバンキング:信頼できる情報で嘘情報を事実に置き換える
報告書
Covid-19 misinformation: Preparing for future crises
https://publications.jrc.ec.europa.eu/repository/handle/JRC130111
(いろいろ図表があっておもしろい。日本もデマを信じる割合が結構高いほうになっている。震災後の日本であれだけ叫ばれた「欠如モデルは役に立たない論」は影もなく、戦略的に適切な情報を提供するよう勧める)
[TGA]オゼンピック詐欺に注意
Consumers warned about Ozempic scams
1 March 2023
https://www.tga.gov.au/news/media-releases/consumers-warned-about-ozempic-scams
TGAは医薬品が不足する中でセマグルチド(Ozempic)を探している消費者を標的にしたいくつかの詐欺を承知しており、消費者にはこれらの製品は医師の処方によってオーストラリアの薬局からのみ入手するように強く勧める。いまだ不足してはいるが供給が再開され今後数週間で正常化する見込みである。
TGAはセマグルチドを販売している多数のウェブサイトを調査している。一部の事例では消費者がお金を払ったのに商品が届かない、届いた場合でも医療用ではない場合がある。
処方薬の宣伝広告は禁止されている。もしオンラインでオゼンピックが宣伝されていたら、それは詐欺の明確な警告である。オンラインでの疑わしい行為はTGAに通報できる。
[FSANZ]食品基準通知
Notification Circular 233-23
2 March 2023
https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20233-23.aspx
新規申請と提案
・加工助剤としてのGM Bacillus subtilis由来プルラナーゼ
改訂No.216
・加工助剤としてのGM Bacillus licheniformis由来β-アミラーゼ、GM Aspergillus niger由来ホスホリパーゼA1、Penicillium rubens由来グルコースオキシダーゼ、乳児用調整粉乳のガラクトオリゴ糖及び/又はイヌリン型フルクタンと組み合わせた 2ʹ-FL
等
[FAO]健康的食事のコストについての世界指標とどれだけ多くの人がそれらを入手できないか
Global indicators on the costs of healthy diets and how many people can’t afford them
01/03/2023
FAOのFAOSTATデータポータルはラテンアメリカとカリブ海地方が他の地域に比べて健康的食事のコストが高いことを示す
[WHO]WHO世界減塩報告書発表
Launch of the WHO Global report on sodium intake reduction
9 March 2023
各国の減塩政策の進行状況を探った初めての報告書を発表する
WHO加盟194カ国の全てが2030年までに30%の減塩を公約している。しかしながら減塩のために推奨される政策を全て取り入れているのは9カ国しかない。世界的には目標を達成できそうにない。
[ヘルスカナダ]保健大臣からのメッセージ-栄養月間
Message from the Minister of Health - Nutrition Month
March 1, 2023
栄養月間は我々全てが食習慣についてよく考える期間で、カナダ政府は全てのカナダ人がより健康的な選択をするために尽力している
以下各種リソース紹介
(お薦め料理の
Mapo tofu with chicken
https://food-guide.canada.ca/en/recipes/mapo-tofu-chicken/
って麻婆豆腐か
Miso ramen soup with marinated eggs
https://food-guide.canada.ca/en/recipes/miso-ramen-soup-marinated-eggs/
味噌ラーメンもこうなるんだ
ぱっと見たところ出来合の調味料(CookDoはもちろんコンソメとかドレッシングのようなものすら)が使えないらしいのでハードルが高い。それでは意識高くないヒトの野菜や果物の摂取量は増えないだろうと思う。麻婆豆腐のもとを使う、インスタントラーメンに具を加える、でいいのに。それらは加工食品だからダメとか、この分野の「専門家」は住む世界が違うのだろう)
[FTC]FTCは現在進行中のグリーンガイドの見直しの一環として「リサイクル可能」クレームについてのワークショップを主催する
FTC to Host Workshop on “Recyclable” Claims as Part of its Ongoing Review of the Agency’s Green Guides
March 1, 2023
事前登録不要の公開ワークショップ、2023年5月23日。
論文
-トイレットペーパーが下水中PFASの予期せぬ発生源、研究が言う
Toilet paper is an unexpected source of PFAS in wastewater, study says
1-MAR-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/980712
Environmental Science & Technology Letters
木材をパルプにするときにPFASを添加する場合があること、リサイクルの際にPFASを含むものがはいることがある。市販のトイレットペーパーと下水汚泥のPFASを分析し、各国のトイレットペーパー使用量と組み合わせて、米国とカナダでは下水中6:2 2基置換ポリフルオロアルキルリン酸(diPAPs)の約4%、スウェーデンでは35%、フランスでは最大89%がトイレットペーパーによると計算した。
-オメガ3指数の高いヒトは重症COVID感染から守られることを研究が示す
Study shows those with a higher omega-3 index are more protected from severe COVID infection
1-MAR-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/981214
American Journal of Clinical Nutrition (AJCN)に発表された研究。UKバイオバンクコホート研究から、赤血球のEPAとDHAの合計であるオメガ3指数と、COVID-19検査陽性、入院、死亡のデータを解析。オメガ3指数の最も高い1/5は最も低い1/5に比べて検査陽性になる可能性は21%低く入院は26%少ない。死亡に関しては上から2番目まで直線的に低下するが上位1/5では有意差なし。研究者らは日本と韓国の極めて低いCOVID-19重症度とオメガ3指数の高さを指摘する
-パスタを茹でるときの望ましくないヨウ素添加塩の反応を減らす4つの方法
Four ways to reduce unwanted iodized table salt reactions when boiling pasta
1-MAR-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/981290
Environmental Science & Technology
水道水の残留塩素とヨウ素が反応すると有害な殺菌副生成物ができる可能性がある。研究sらはエルボー・マカロニをクロラミン処理した水道水と各種塩で茹で、ゆであがったパスタと水の6種のヨウ化トリハロメタンを測定した。その結果量を減らす方法として以下を同定した
・蓋をしないで茹でる
・茹で水は切る
・ヨウ素添加塩は調理後のパスタに加える
・茹で水の塩はヨウ素が添加されていないものを使う
-#StopAsianHate(アジア人へのヘイトを止めるハッシュタグ運動)研究が活動の見過ごされてきた側面に光をあてる
#StopAsianHate Study Sheds Light on Overlooked Aspect of Activism
1-MAR-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/981295
社会正義運動は4つのRを強調してきた-不正義を認識するrecognizing injustice、不正義を暴露するrevealing injustice、不正義を拒否するrejecting injustice、不正義を置き換えるreplacing unjust practices。我々の研究は5つめのRを加える必要があることを示唆する反省reflection、特に社会正義運動そのものへの。Asian Journal of Communication
(今まで反省しなかったんだ?正義は常に正しく間違いなどあるわけがないから?)
-新しい方法は食品の異物混入の迅速検出を可能にする
New method can provide rapid detection of food adulteration
1-MAR-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/981325
NMRを使って食品への混ぜ物を検出する方法。この研究ではハードチーズの植物油混入を同定する方法を開発した。52検体の、冷蔵を要しない粉パルメザンチーズのうち29%にパームオイルの混入を発見した。製品にパームオイルは成分表示されていなかった。Molecules
-急性薬物過剰使用による救急患者のコカエチレン心毒性
Cocaethylene cardiotoxicity in emergency department patients with acute drug overdose
1-MAR-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/981363
急性薬物過剰使用での救急患者で、コカイン単独の場合に比べて、コカインとエタノールの同時暴露は心停止の発生頻度が高いことと関連する。Academic Emergency Medicine (AEM)
-身体が不安を作ることがある、マウスの心臓研究が示唆
Natureニュース
Anxiety can be created by the body, mouse heart study suggests
01 March 2023 Sara Reardon
https://www.nature.com/articles/d41586-023-00584-2
人工的にマウスの心拍数を上げると不安行動につながる
恐怖のような情動で心拍数があがることがあるが、今回のマウス研究はその逆も又真であることを発見した-人工的に心拍数を上げると不安レベルも上がる
Hsueh, B., Chen, R., Jo, Y. et al. Cardiogenic control of affective behavioural state. Nature (2023). https://doi.org/10.1038/s41586-023-05748-8
-トリインフルエンザアウトブレイクをパンデミックにしない方法
How to stop the bird flu outbreak becoming a pandemic
01 March 2023 Saima May Sidik
https://www.nature.com/articles/d41586-023-00591-3
野生の鳥への拡大対策からヒト用ワクチンの更新まで、トリインフルエンザを監視し続けるのに役立つ方法がある
家禽農家
これまで感染した動物の殺処分で対策してきたが毎月たくさんの農場でアウトブレイクがおこるようになり不可能になってきた。中国を含むいくつかの国ではトリへのワクチン接種を行っており他の国も検討している。問題はワクチン接種によりウイルス検査陽性になるためH5N1フリーの保証ができず国際取引上の問題となることである。この問題を解決するためのワクチン開発が初期段階である。
野生生物保全
ヒトパンデミック阻止
SMC UK
-ビタミンDサプリメントと認知症診断についての観察研究への専門家の反応
expert reaction to observational study on vitamin D supplementation and dementia diagnoses
MARCH 1, 2023
Alzheimer’s & Dementia: Diagnosis, Assessment & Disease Monitoringに発表された研究がビタミンDサプリメントと認知症について調べた
6人の専門家の意見、略
ビタミンD投与の影響を調べるVitaMIND試験が進行中
-人工甘味料(エリスリトール)と心血管系疾患を調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at an artificial sweetener (erythritol) and cardiovascular disease events
FEBRUARY 27, 2023
Nature Medicineに発表された研究がエリスリトールと心血管系イベントリスクを調べた
Cambridge大学MRC疫学ユニットNita Forouhi教授
この研究は観察研究と緩急研究、そしてメカニズム研究と多数の調査をもとにしている。これまでの人工甘味料の健康への悪影響の可能性についての研究を拡大したが、この研究で対象にしたのは心リスク検診患者であり健康な一般人ではないため、知見の一般化は限定される。
エリスリトールは、診断のために心臓を評価した安定患者での3つの研究、一つは発見コホート、残り二つは最初の研究結果の検証試験、で主要心血管有害イベントが新たに生じるリスクの増加と関連した。著者らは心血管系疾患のリスク要因のいくつかについては考慮したが、多数の重要な要因は考慮されていないため、観察された関連に影響する可能性がある。例えば患者の人種、社会経済状態、飲酒、食生活などである。他にも結果に影響する可能性のある要因としては既往症の罹病期間、医薬品、糖尿病患者の場合は血糖管理の程度などがある。
8人で行った介入試験では、エリスリトールを飲料として摂取した後血中濃度が上がったが、観察研究の解釈には課題がある。血中エリスリトールのうちどのくらいが食事由来でどのくらいが内因性なのかわからない。また血中エリスリトール濃度の分布は明確ではなく、どのくらいのエリスリトール濃度でどのくらいの心血管リスク増加があるのか、線形の用量反応関係なのか閾値があるのかわからない。
根拠は決定的ではないがさらなる研究の重要性を示す
Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授
甘味料の安全性には議論が続いている-理由の一部は甘味料、特にソフトドリンクを摂る人達の慢性疾患リスクが増加しているという研究があるためだ。従って甘味料の生理的影響を調べるのは重要だが、残念ながら著者らは非現実的な量の甘味料を使うことにした。彼らが使った甘味料濃度は、飲料中に認められている量の10倍以上でそれを一回で与えた。この結果は一般的に英国や欧州で摂取されている量より多く摂取すると有害影響がある可能性があることを示唆するが、だからこそ規制機関は食品添加物の使用に上限を設定している。新しい研究に比べると観察研究は通常の食を反映したより信頼できるデータを提供する。残念ながらそれらは交絡要因に影響され、因果関係を確立できない。
この研究では対象集団のエリスリトール濃度についての情報がなく、解釈は困難である。血漿中エリスリトール濃度が最も高い集団だけで疾患リスクが高く、他の集団ではそうではない。この集団は同時に最も年齢が高く、著者らが調整すると関連が小さくなった。
興味深いのは血漿中エリスリトールの起源である、それは結果の一部を説明する可能性がある:エリスリトールは食品だけでなく練り歯磨きや医薬品にも使われている。特に医薬品では、血漿中濃度の高さは患者がいくつかの異なる治療を受けていることを示す可能性がある。
RMIT大学化学教授Oliver Jones教授
これは示唆に富む良い研究だ。著者らはエリスリトールの高濃度は血栓リスクを増やす可能性があると示唆する。相関関係は因果関係ではないことには注意すべきだ。この研究の対象者は既に心血管系リスク要因がたくさんある人達なのでしっかりした結論は出せず、著者らもそうはしていない。この知見はさらなる研究を促すもので甘味料を捨てるべきというものではない。エリスリトールに関するどんなリスクであっても、ブドウ糖の過剰摂取のリスクとのバランスで考える必要がある。
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
この探索研究は米国のCVD診断検査に来たハイリスク患者の多数の血液中代謝物を質量分析で測定した。約3/3が冠動脈心疾患、高血圧で約1/5が糖尿病である。それから3年フォローした。血中糖アルコール濃度が最も高い1/5の人達でCVDでの死亡が2倍だった。最も大きな違いはエリスリトールで、これは2型糖尿病患者のための商品で砂糖の代わりに嵩を増すために使われている甘味料である。この知見を米国とデンマークで再現した。CVDリスクはいくつかの調整を行った後でも高いままだった。ただし腎機能の調整はしていない。これは重要で、腎機能障害があると血中糖アルコール濃度が高くなるからだ。論文の図2のデータはそのことを示している;糸球体濾過速度の低いヒトのCVDリスクが高い。
エリスリトールの作用メカニズムとして多血小板血漿にエリスリトールを加えるとADPに応答した凝集が増強することを報告しているが、この測定の解釈には限界がある。歴史的に、in vitroでの血小板凝集試験は薬物による血小板機能の阻害作用を示すのに使われてきた…この研究ではエリスリトール摂取後の患者の血小板機能を測定せず、in vitro試験から推定している。
天然由来のエリスリトールは食品中に通常低濃度で(0.7 – 1.3 /kg)1日1g以上を摂取することはありそうにない。ここで与えられているのは30g/日なので血中濃度の高さは甘味料によるものだろう。エリスリトールは腸内で発酵しないので変化しないまま尿中に排泄される。動物での長期毒性試験では特に目立つ影響はない。反応性が低いので血小板機能への影響のメカニズムは明確ではない。
英国糖尿病協会では現在糖尿病患者にポリオールの使用しないよう助言している。
Aston大学登録栄養士で上級教育助手Duane Mellor博士
これは興味深い研究である。血漿中エリスリトールであって食事中エリスリトールではないことに注意。哺乳類にはペントースリン酸経路という生化学的経路があり糖から糖アルコールを合成することができ、この経路は血糖が高いと使われる。
もう一つの実験で30gのエリスリトールを飲料で与えて血中濃度を調べているが、これは米国人が摂る可能性はあっても英国ではもっと少ない。英国では糖アルコールの摂取量は1日25gを超えないように助言している、下剤作用があるからだ。
この論文を根拠に現在の助言を変更することはない。
-人々が研究開発のベネフィットを見るのに奮闘していることを示す世論調査への専門家の反応
expert reaction to poll indicating that people struggle to see the benefits of R&D
FEBRUARY 28, 2023
発見の十年Discovery Decadeプロジェクトの一環として科学と工学のためのキャンペーン Campaign for Science and Engineering (CaSE)が行った世論調査の結果が公表された。
専門家の意見略(概ね研究者の一般の人々とのコミュニケーションの重要性を強調)
Public Attitudes to R&D
February 2023 Trends Report
https://www.sciencecampaign.org.uk/what-we-do/public-opinion/public-attitudes-to-r-d/