[ANSES]淡水中シアノバクテリア:ANSESはサーベイランスとコントロールをハーモナイズする提案
Cyanobacteria in fresh water: ANSES makes proposals with a view to harmonising surveillance and control
03/09/2020
本日ANSESは、レクリエーション用水、飲料水、漁業用水域のシアノバクテリアとその毒素の存在に関する健康リスクについての意見を発表する。この作業は人間を脅かす淡水の毒素産生シアノバクテリアのリストの更新に使用されている。水の調査、品質監視、分析活動を統一し改善するために、ANSESは様々な用途の水のシアノトキシンの管理を支援するファクトシートを用意している。これらの毒素を産生する可能性のあるシアノバクテリアの異常発生に関連する淡水魚の摂取の禁止や解除に関する管理者に役立つガイダンスも提供している。
シアノバクテリア:広まりが問題になっている微生物
シアノバクテリアは淡水と海水両方の陸上及び水生環境で繁殖する微生物である。彼らは良好な環境条件 (すなわち、気温と栄養に関して)では、時にはたった2~3日で大量に急速に増殖する可能性がある。これは藻の異常発生として知られている。場合によっては、これらの異常発生は水の色を変え (赤、緑など)、悪臭および/または水面のシアノバクテリアの蓄積につながる。
これらは全大陸でますます頻繁に見受けられている。増殖の生態学的、健康的、経済的影響のため、国際的な関心が高まりつつある。
水生環境では、シアノバクテリアは生き方に応じて2つのグループに分けられる。
・浮遊性シアノバクテリアは水柱に浮遊したままである。
・底生シアノバクテリアは、水路の底、鉱物基質(丸石、小石、砂、沈殿物など)上や水生植物の表面でも育つ。
温暖な気候では、シアノバクテリアの異常発生は日差しが多く水温が20°C以上の夏や初秋により頻繁に発生する。早くも春に観察される場合もある。稀な事例では、長く続く異常発生は一年中、冬でも見られる。
熱帯や亜熱帯気候では、成長に適した条件で、異常発生は一年中観察できる。
異常発生は通常シアノトキシンの産出を伴う。中でも淡水で最も監視されるのは250以上の毒素を含むミクロシスチンである。これらは健康に影響を与える可能性がある。近年では、他のシアノトキシン、特に、アナトキシンとサキシトキシンによる汚染の発現がフランス本土でも報告されている。シアノトキシンに関する毒性学的データは、そのうち3つ(ミクロシスチン-LR、サキシトキシン、シリンドロスパーモプシン (フランス語))の毒性参照値を決定できるように更新されている。
シアノバクテリアから生態系を保護するために水中への栄養素の流入を削減する
ヒトが原因の窒素とリンの流入で淡水が栄養豊富になると、浮遊性藍藻類には特に好ましい繁殖地になる。気候変動の影響もその増殖の持続や強さの一因となることを考えると、都市と農村両方のヒトの活動が、その成長の主要原因であり続ける。
地表水の汚染を制限し、水生生態系を保護または復元までするために、ANSESは、ヒトの活動(例えば、家畜のふん、堆肥、下水汚泥、農業土壌に散布する肥料、排水排出の不十分な処理、大雨の際の土壌からの浸出による)に影響される水中の栄養流入(窒素とリン)を管理・削減する必要性を強調している。
飲料水とレクリエーション用水の調査と監視を統一する
地方の健康当局、水供給施設の管理者、入浴やレクリエーション用水の管理者が提出したデータから、現行の監視や管理慣行の均一性の欠如が示された。ANSESは、国家基準の設定を通じて、これらの調査やモニタリングの実践を統一する必要性を強調する。飲料水の生産に使用される供給源の調査戦略は、水域管理者による定期的なモニタリングを基にする必要がある。シアノバクテリアの異常発生が疑われる場合には、このモニタリングを強化する必要がある。実際に異常発生が観察されると、このモニタリングは、使用者の暴露を制限するための管理措置を伴う必要がある(水処理システムの改善、水に関する活動の制限、漁業禁止)。
淡水魚の摂取:消費者のシアノトキシンへの食事暴露を評価するためにより多くのデータを入手する
淡水魚のシアノトキシン汚染に関するANSESの2016年の文献レビューが更新されている(フランス語)。魚によるシアノトキシン汚染や排出速度、あるいはシアノバクテリアの異常発生と魚の汚染レベルの関連性についての十分な知見はまだない。ANSESはこの問題について、より多くのデータを入手する必要性に関する助言を繰り返し述べている。消費者の食事暴露を評価可能にするために、ANSESはフランスのシアノトキシンによる淡水魚の汚染に関するデータを得る重要性も強調している。
それにもかかわらず、ANSESはシアノバクテリアの異常発生に関連する淡水魚の摂取の禁止や解除について管理者に役立つガイダンスを提供している。
最後にANSESは、シアノトキシンへの消費者暴露を制限するために、摂取前(または冷凍前)に魚の頭と内臓を除去し、小さな淡水魚を丸ごと食べる(フライ)のを避ける必要があると指摘している。
追加情報
飲料水、入浴用水、水産業用水のシアノバクテリアとその毒性の存在に関連するリスク評価の更新に関するANSESの意見および報告書(フランス語)
https://www.anses.fr/en/system/files/EAUX2016SA0165Ra.pdf
[FAO]火ではなく燃料:作物廃棄物を燃やすことからバイオエネルギーへ
Fuel not fire: from burning crop waste to bioenergy
07/09/2020
http://www.fao.org/fao-stories/article/en/c/1303769/
問題は?作物の残渣を燃やすこと。それは多様な健康問題の原因で汚染を増やすがインドや多くの国でよく行われている。解決法は?バイオエネルギーのような有用なものに変えること。
問題のスケールは膨大である。9月の終わりから10月にかけて、インドのPunjab、Haryana, Rajasthanおよび Uttar Pradesh地方の農家は推定3500万トンの収穫後に残った作物廃棄物を焼く。集めて運び適切に保管する選択肢が無いので焼くことしかできない。近年コンバインの使用が増えてわらを捨てるため焼くことが増加している。しかしこれは土壌や生物多様性や空気に悪い影響がある。FAOは稲わらの利用のための技術支援をしている
(日本でもよくみられた-まだやってるようだ
https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/15882)
[NTP]ニュースレター
NTP Update September 2020
https://ntp.niehs.nih.gov/update/index.html
・NIEHPのNTP部門科学部長Brian Berridge博士が健康リスクを予測するのが毒性学の新しいフロンティアであるという
8月12日のオンラインセミナーの報告
・動物実験代替法の進捗状況
[RIVM]症状があると検査を受ける人は増えたが自宅に留まることは難しいまま
More people getting tested if they have symptoms, staying home remains difficult
09/09/2020
RIVMと地方自治体公衆衛生サービス(GGDs)による8月19-23日に行った第6回行動研究。最近の新型コロナウイルスの再増加によりウイルスが脅威だと感じる人が増えた。同時に推奨されている行動に従う人も増えた。最も大きな変化は検査が増えたこと。COVID-19感染の可能性のある症状がある人の32%が検査を受け、7月に比べて約2倍になった。しかし多くの人が症状があっても外出している。
症状のある人の90%が買い物に行き、43%は仕事に行き、64%は親族や友人を訪問し、41%はカフェやレストランに行く。症状があるときは家にいるようにという助言の支持率が84%なのに、多くの人は自分は守らないようだ。
[DHSC]この冬屋内でのコロナウイルス拡散を予防する新しいキャンペーン
New campaign to prevent spread of coronavirus indoors this winter
9 September 2020
https://www.gov.uk/government/news/new-campaign-to-prevent-spread-of-coronavirus-indoors-this-winter
‘手、顔、空間Hands. Face. Space’キャンペーンで人々に手を洗う、フェイスカバー、空間を空けることを続けるよう強く求める
(動画あり)
[CDC]若者の電子タバコ使用は減ったがまだ360万人が使っている
Youth e-cigarette use is down, but 3.6 million still use e-cigarettes
September 9, 2020
https://www.cdc.gov/media/releases/2020/p0909-youth-e-cigarette-use-down.html
MMWRに二つの報告
[IARC]WHO腫瘍分類、第5版、4巻:女性生殖器腫瘍 出版
Publication of the WHO Classification of Tumours, 5th Edition, Volume 4: Female Genital Tumours
9 September 2020
-青年期と若年成人で診断されるがんの分類システム
A system for classifying cancers diagnosed in adolescents and young adults
9 September 2020
雑誌Cancerのコメントとして発表
[HSA]HSA 警告:4つの痩身用製品に禁止物質あるいは下剤が含まれる
HSA Alert: Four Slimming Products Found to Contain Banned Substance or Laxative
Published: 10 Sep 2020
シブトラミン、センノシド、ジフェンヒドラミンが検出されている
製品の写真はPDFファイルに掲載
消費者から極端な喉の渇き、不整脈、食欲不振の報告があった
[FSAI] Breakfast Bite:食品表示―導入
Breakfast Bite: Food Labelling – An Introduction
Tuesday, 8 September 2020
https://www.fsai.ie/BreakfastBite_FoodLabelling_AnIntroduction_0920.html
2020年9月23日、小規模事業者向けのオンラインウェビナー。欧州連合及びアイルランドにける食品表示に関する規則の説明。
[FDA]警告文書
- Hampshire Labs, Inc.
August 26, 2020
未承認の医薬品、不正表示、ダイエタリーサプリメントの問題。
- Savvy Holistic Health dba Holistic Healthy Pet
August 25, 2020
未承認の動物用医薬品の問題。
- Renewal Supplements LLC
August 25, 2020
未承認の医薬品、不正表示、ダイエタリーサプリメントの問題。
- Nutritional Supplements Corporation Inc
August 25, 2020
未承認の医薬品、不正表示、ダイエタリーサプリメントの問題。
[FDA]国内調査では全体的な若者の電子タバコ使用の減少を示す。しかし使い捨て製品の使用の上昇には懸念がある
National Survey Shows Encouraging Decline in Overall Youth E-Cigarette Use, Concerning Uptick in Use of Disposable Products
09/09/2020
米国食品安全局は米国疾病予防管理センターと協力して、2020年国内若者タバコ調査(NYTS)からの新たなデータを発表した。2019年と比較し、電子タバコを使用する若者は180万人減少した。
[FDA]FDAの食品と化粧品情報センターがあなたの質問に答える
FDA's Food and Cosmetics Information Center Answers Your Questions
09/08/2020
[FSSAI]プレスリリース 学校で子どもたちに提供される食品の10か条
FSSAI Proposes Ten-Point Charter for Food Supplied to School Children
[Updated on:09-09-2020]
1.学校食品安全基準に示す衛生規範
2.脂肪砂糖塩の多い(HFSS)食品を学校と学校から50メートル以内で販売しない
3.安全でバランスのとれた食生活を推進する包括的計画を
など
[WHO]30億人以上の人々が食品中の有害なトランス脂肪酸から守られた
More than 3 billion people protected from harmful trans fat in their food
9 September 2020
しかし冠動脈心疾患による死亡の多い15カ国中11カ国がまだ排除する対応をしていない
(あとで)
[WHO]COVID-19は予防可能な子どもの死を根絶するための何十年もの進歩を元に戻す可能性がある、機関が警告
COVID-19 could reverse decades of progress toward eliminating preventable child deaths, agencies warn
9 September 2020
2019年は5才以下の子どもの死亡が520万人と史上最低だったが、COVID-19パンデミックによる母子保健の撹乱が何百万人もの命を危うくしている
UNICEFと WHOなどが子どもの死亡率推定報告書を発表
Levels and Trends in Child Mortality
2020
https://data.unicef.org/resources/levels-and-trends-in-child-mortality/
論文
-1日に一杯以上の飲酒は2型糖尿病のある成人の高血圧リスクを上げるかもしれない
More than one drink a day may raise high blood pressure risk in adults with Type 2 diabetes
9-SEP-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-09/aha-mto090420.php
JAHA: Journal of the American Heart Association
-アルコールによる意識喪失とアルコール全体の摂取量と認知症リスクの関連
Association of Alcohol-Induced Loss of Consciousness and Overall Alcohol Consumption With Risk for Dementia
Mika Kivimäki et al.,
JAMA Netw Open. 2020;3(9):e2016084
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2770285
131415人の成人のマルチコホート研究で、重度飲酒は中程度飲酒に比べて1.2倍認知症になるリスクが高く、全体の摂取量に関係なく飲酒で意識を失ったことがある人はそうでない人に比べて2倍認知症リスクが高い。
-より多くの化合物の内分泌攪乱作用を評価できる
More chemicals can be assessed for endocrine disrupting effects
9-SEP-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-09/tuod-mcc090920.php
デンマーク工科大学
農薬の内分泌攪乱作用を同定するための欧州のガイドライン文書は、幾分かの修正をすれば、他の化合物のない分ピッカウラン作用を評価するのにも使える。これが国立食品研究所とデンマーク工科大学とコペンハーゲン大学病院の新しい研究の知見である
EU規制では全ての農薬は内分泌攪乱作用がある可能性について使用認可前に十分評価されなければならない。しかしながら他の目的で使用されている化合物に必ずしも同じ規則が適用されているわけではない。したがって農薬以外の目的で使用されている化粧品や食品んp添加物などがヒト内分泌系への有害影響を見逃されている可能性がある。新しい研究では既存の欧州ガイドライン文書を農薬以外の化合物の内分泌攪乱影響を同定するのに使えるかどうかを調べた。ブチルパラベンをケーススタディに、より広範な化合物に適用できると結論した。Environment International
(そうだね、農薬だけ厳しくても他がザルだったら意味無いよね、摂取量の多いイソフラボン類に適用して禁止すべきだよね)
-狩猟採集集団の栄養不良
Malnutrition among a hunter-gatherer group
9-SEP-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-09/uoh-maa090920.php
ヘルシンキ大学の研究が北東ナミビアのいわゆる「ブッシュマン」集団であるKhwe San族の食品と栄養不足についてAppetiteに報告。かつて狩猟採集を行っていたこの部族は今は政府のトウモロコシ支援に依存していて21世紀になっても食糧不足である
(国立公園内に住んでいて狩猟採集が制限されている)
-ワクチンの推進者と反対者がオンラインデマの運び屋になる
Vaccine proponents and opponents are vectors of misinformation online
9-SEP-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-09/gwu-vpa090920.php
オンライン上の誤情報全体を調べた新しい研究は、たとえ善意のワクチン推進でも誤情報を広げる可能性があることを明らかにした
Harvard Kennedy School Misinformation Reviewに発表されたワクチンに関連する2000のTwitterアカウントのCOVID-19パンデミック初期のコミュニケーションを調べたアメリカの研究
・善意のワクチン推進者であっても、率は低いがCOVID-19とワクチンに関して信用できない情報をシェアしていた。パンデミックが新しい状況であるため最初の情報が後に修正されて、信用できる情報源でもあとで間違いだとわかった情報を投稿することがある。
・ワクチン反対派は信頼できない情報の割合が最も高かった(35%)
・ワクチンの賛成反対両派の最大のトピックスは「病気とワクチンについての物語」で、COVID-19と他の病気、特にインフルエンザとの比較が多かった
・多くのデマはボットでは無く実際の人間が由来
・学者は、デマのうち最も疑わしいもの、あからさまな陰謀論や有名な陰謀論者のコミュニティーなど、にのみ集中することで、より広くシェアされる可能性のあるちいさな嘘に対応するのに失敗しているかもしれない
その他
-Scienceニュース
ドイツ軍の科学者はどうやってAlexei Navalnyの攻撃に使われた神経剤を同定した可能性が高いのか
How German military scientists likely identified the nerve agent used to attack Alexei Navalny
By Richard StoneSep. 8, 2020 ,
一部のみ
赤血球は膜に係留されたアセチルコリンエステラーゼがあるので、この酵素にノビチョクと結合したものがあれば科学者は血液から質量分析を用いて検出できる。あるいは血清中の最も量の多いタンパク質であるアルブミンとノビチョクの複合体を検出できる。それは中毒後少なくとも二週間は検出できる。三番目の可能性として血流中の神経剤のスカベンジャーであるブチルコリンエステラーゼ(BChE)との結合物である。抗BChE抗体を使って集めてタンパク質を消化する。ノビチョクの分子のほとんどは一つの断片に結合したままなので質量分析で容易に検出できる。ノビチョクの酵素に結合する部分は他の神経剤より大きいのでほぼ確実に同定できる
ノビチョクそのものを人体から検出することも可能かもしれない。脂質に蓄積して他の神経剤より安定である。ノビチョクの3つの化合物のうちA234はサリンの1000倍安定で、それが犠牲者の治療への反応の悪さの大きな要因である
何十もの科学雑誌がインターネットから消え、誰も保存していない
Dozens of scientific journals have vanished from the internet, and no one preserved them
By Jeffrey BrainardSep. 8, 2020
過去20年で科学分野の84のオンラインのみのオープンアクセス雑誌と、社会科学や人文分野の約100がインターネットから消えている。さらに900のオンラインのみの雑誌が活動が無いので消える可能性がある、と9月3日にarXivサーバーに投稿されたプレプリントが言う
何故COVID-19は肥満の人で重症なのか-たとえ若くても
Why COVID-19 is more deadly in people with obesity—even if they're young
By Meredith WadmanSep. 8, 2020 ,
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/why-covid-19-more-deadly-people-obesity-even-if-theyre-young
BMIが単独で強力なリスク要因で、成人の40%が肥満のアメリカで特に影響が大きかった理由のひとつかもしれない
(アメリカ人って肥満でも「何の問題もなく健康」って主張するイメージがある)
-Natureエディトリアル
日本アフター安倍:研究は新たなスタートが必要
Japan after Abe: research needs a fresh start
08 SEPTEMBER 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02540-w
公的研究開発費の割合の少なさとジェンダー不平等が指摘されている