[FSAI] アイルランド食品事業者の懸念事項トップには食品安全性と人材
Food Safety and Staffing Among Top Concerns for Food Businesses in Ireland
Monday, 29 July 2019
https://www.fsai.ie/news_centre/press_releases/industry_survey_29072019.html
FSAIは本日、食品規制の観点から、食品アレルゲン及び成分表示がアイルランド食品事業者にとって最大の懸念事項であるという全国的な意識調査研究を公表した。研究は食品安全及び現在の食品業界の運営環境に関し、様々な食品業界の上級管理職の懸念を調査した。アイルランドの食品安全規則に対し、食品事業者の10分の7以上がますます信頼しているとし、ほぼ4分の3(73%)がアイルランド産食品は5年前より安全になったと述べている。
信頼は上昇しているものの食品業界はアレルゲンや成分表示、食品衛生及び食品取扱要件、その他ホルモン剤、農薬、抗生物質及び添加物の使用を含めた食品安全を幅広く懸念する。
・アレルゲンや成分表示はアイルランドの食品事業者の食品安全懸念のトップで、半数以上(53%)が3大懸念事項の1つとしてあげている。
・食品衛生及び取扱要件(36%)及び食品中の発がん性化学物質(30%)もまた調査において高い順位の懸念事項であった。
・業界内の食品安全対策への信頼は高いが、約5分の1 (18%)は追加の食品安全規則や施行を求めている。
・食品事業者の約3分の1(31%)は、食品安全の十分な情報がないと感じている。
FSAI、CEOのDr Pamela Byrneはこの調査で明らかになった食品安全問題に取り組むことを食品業界に呼び掛けた。
「FSAIは、食品安全の情報が十分でないと感じる食品事業者に、追加のガイダンスや教育のためにFSAIに連絡することを勧める。食品事業者の大多数は食品が食べて安全なものと保証する責任を認識しているが、10分の1強がこれをFSAIの責任とし、食品事業者の責任とは考えていないことは許容できない。アレルゲン情報を提供しない、食品衛生基準を守らない結果はとても深刻なので、FSIAは食品視察団と共に継続的に企業の対策に取り組んでいる。」
経済の段階的回復と正規雇用への移行で失業が減少し、食品業界の人材が減少し、アイルランド食品事業者の約10分の7(69%)が、熟練職人の雇用を深刻な問題と考えている。
ブレグジット(EU離脱)は食品業界にとって2番目に最も大きな将来に対する懸念であり、3分の2以上(67%)が未知の影響を懸念する。特にブレグジットの点で、食品事業者は供給コスト、関税及び為替レートの上昇に関して懸念する。
・事業者の約10分の8 (78%)はブレグジットによる供給コストの上昇の可能性を考える。
・事業者の約4分の3(74%)は関税によるコストの上昇を危惧する。
・大多数(68%)は不安定な為替レートが事業に影響を与えるだろうと心配している。
Dr Byrneは「研究は熟練技術をもつ人材や規制及び税の上昇が脅威とみなされていること示す。またブレグジットの最終的な影響はすぐにはっきりせず、食品事業主に懸念がある。」と述べる。
Dr Byrneは食品安全規則とFSAIの組織に対する信頼を歓迎し、「FSAIは欧州の食品安全規制機関の第一人者の一つで、食品事業者に素早く対応し、懸念を理解し、コンプライアンスに関する助言をする。FSAIは、食品安全規則が守られ、アイルランド食品が世界で最も安全であるために食品事業者とともに取り組み続ける。FSAIは食品業界に関する様々な問題が、食品の安全を保証する妨げにならないよう取り組む。」と述べた。
[ODS] ファクトシート更新
-プロバイオティクス
Probiotics
Fact Sheet for Consumers
August 7, 2019
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Probiotics-Consumer/
新規追加、あとで
-ビタミンD
Vitamin D
Fact Sheet for Consumers
August 7, 2019
https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminD-Consumer/
植物性のミルク代用品はしばしばビタミンDが強化されると付け加えられた。
https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminD-Consumer/#change
-銅
Copper
Fact Sheet for Consumers
August 7, 2019
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Copper-Consumer/
新規追加 あとで
[BfR]「栄養とヒト健康分野におけるゲノム編集」BfR消費者会議が2019年8月10日から始まる
The BfR "Genome Editing in the Field of Nutrition and Human Health" Consumer
Conference starts on 10th August 2019
29 July 2019
2017年のフォーカスグループインタビューで、ほとんどの人はゲノム編集を聞いたことが無いが利益よりリスクのほうが大きいと考えていた。従って公平で関係者ではない主催者による情報提供が必須である
論文
-超高齢者のがん:米国で最も早く増加している年齢集団
Cancer in the oldest old: The fastest growing age group in the US
7-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/acs-cit080219.php
報告書は検診率の高さ、手術による治療の少なさ、生存率の悪さを発見
85才以上の成人のがんを調べた報告がCA: A Cancer Journal for Cliniciansに発表された。有病率や死亡率の傾向としては65-84才と同様であるが、検診が予期せず高率で生存率は悪い。
85才以上の男性では前立腺がんと肺がんが死因のトップでがんによる死亡の約40%を占める。女性では肺がんが19%で次いで乳がん13%。三番目は男女両方で直腸結腸がん。
85才以上の年齢集団では一般的にがん検診は薦められていないにも関わらず検診率が非常に高かった。女性は1/3がマンモグラムを、18%が子宮頸がん検診を受けている。半分以上が便検査を受け男性は30%近くがPSA検査を受けている
-植物ベースの食品を多く食べることは心臓の健康の良さと関連するかもしれない
Eating more plant-based foods may be linked to better heart health
7-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/aha-emp080219.php
Journal of the American Heart Associationに発表された、10000人以上の中年米国成人を1987年から2016年までモニターした研究。参加者の食生活を植物由来食品と動物由来食品の割合で分類した。最も多く植物食品を食べる集団は最も少ない群に比べて心血管系疾患リスクが16%低く、心血管系疾患で死亡するリスクは32%低く、全原因での死亡は25%低かった。この研究は一般人での植物由来食品の割合を検討した最初のもののひとつである。
観察研究であり因果関係を意味しない
もと論文オープンアクセス
Plant‐Based Diets Are Associated With a Lower Risk of Incident Cardiovascular Disease, Cardiovascular Disease Mortality, and All‐Cause Mortality in a General Population of Middle‐Aged Adults
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.119.012865
(データがわりとしっかり記述されているので参考になる。植物ベースの食事を評価するために使った指標は4種類あってそれぞれに5分割して各群の特徴を記述してある。植物の割合が多い人ほど女性が多く黒人が少なく教育レベルが高く肥満や過体重が少なく喫煙率が低く飲酒量が少なく糖尿病や高血圧が少なく高脂血症薬を使用していて炭水化物摂取が多く脂肪摂取は少なく食物繊維摂取量は多い、など。この交絡を全て正確に調整できる?ちなみに計算上のエネルギー摂取量は1500-1700kcalなので1000kcalくらいはどこかにいっている、食事頻度調査はこんなもの。こういうものだとわかったうえで僅かな有意差がついたからああしろこうしろと主張するのが正当なのか、ということは考える必要がある。人の行動を制限するような強い主張にはそれにみあった強い根拠が必要。)
-気候変動は有害なメチル水銀へのヒト暴露を増やす可能性がある
Climate change likely to increase human exposure to toxic methylmercury
7-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/hjap-ccl080519.php
nature。海水温の 1℃の上昇と水銀排出量の20%削減でタラの水銀は10%増加、アブラツノザメは20%増加と予測
-幹細胞研究所の風下に大穴
Natureワールドビュー
Wind-down of stem-cell institute leaves a void
07 August 2019 Jeanne F. Loring
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02346-5
治療法の厳密な試験のために資金提供されているが、危険な可能性のあるニセの市場が意図せず活性化された
過去10年ほど、カリフォルニアの幹細胞研究者らは世界から羨ましがられていた。2004年のGeorge W. Bush大統領によるヒト胚性幹細胞研究への資金提供で、再生医療に30億ドルの税金が認められた。このことでカリフォルニアはこの分野の革新の中心になることが約束された。それからほぼ全ての研究費がカリフォルニア再生医療研究所(CIRM)から出された、しかし長くはなかった。6月にCIRMは新規研究費申請はもう受け付けないと発表した。資金は無くなり、研究者には幹細胞を使った治療法を開発するためのリソースは少なくなる。そしてその同じ月に、我々幹細胞研究者のうちの何人かが根拠のない幹細胞治療を行っていること、そして連邦当局から告訴されているお金儲けのためのクリニックから資金提供を受けていることがドキュメンタリーシリーズで特集された。我々はそのシリーズについて、そのクリニックが送った大量の宣伝メールで知り、映像製作会社は我々の要請に応じてインタビューの痕跡を削除した。
このことはCIRMの残した諸刃の遺産を明らかにする。CIRMは基礎科学を可能にし幹細胞療法の厳密な評価のノウハウを確立するのに役立った。しかし同時に意図せず規制されていない金儲けのためにいろいろな組織由来の細胞がどんな病気でも治せると宣伝する病院をたくさん作ることになった。
CIRMの意図は立派だったが、一般向けに希望をあまりにも高めすぎた。有権者の支持を得るためにキャッチーな宣伝文句を使った。スローガンの一つは「幹細胞で命を救おう」だった。効果的宣伝のために期待できることを大きく取り上げ欠点は軽視した。これまでFDAはCIRMの支援による治療法は一つも認可していない。しかしこのおかげで利益を得たのが700以上のあらゆる病気を治すと宣伝する幹細胞クリニックである。
私や同僚(幹細胞療法関連ベンチャーを創立している)は我々がこうした悪いやつらと一緒くたにされることに恐怖を感じる。彼らは人々を騙してリスクに晒している。彼らはあたかも科学コミュニティの一員であるかのように見せかけて人々を混乱させ、「幹細胞」は「ヘビの油(ニセ薬)」と同じ意味になった。
(以下略)
その他
-製造業者に不健康な食品の過剰なカロリーを減らすために課税を要求
Action on Sugar
Call for a Levy on Manufacturers to Reduce Excessive Calories in Unhealthy Food
7 August 2019
砂糖税の導入に成功したので次は「カロリー税」を求める
-ベテランBBCスター:肥満の人は医療と地球を救うため死んでもらおう
Veteran BBC star: Let obese people die to save health care and planet
Aug 07, 2019
https://startsat60.com/discover/news/bbc-michael-buerk-let-fat-people-die-save-nhs-money
BBCのベテランプレゼンターMichael Buerk(73才)が、英国のNHSのお金を節約し人口増えすぎを止めるために太った人は死ぬまで放置しようと主張。Radio Timesに今週語ったとSunが報道した。
(肥満を病気として治療することに反対、ということらしいが)
Michael Buerkの肥満騒動を減量専門家が擁護:「飢饉の時には誰も肥満にならない」
Michael Buerk obesity row defended by weight loss expert: ‘No one is fat in a famine’
Rishma DosaniWednesday 7 Aug 2019
Michael Buerk の肥満発言に多くのファンがショックを受けたが、Good Morning Britainの過熱した議論の中で減量専門家Steve Millerが彼のコメントを擁護した。「言葉の選び方はもっとよくできたかもしれないが、でもあなたが肥満ならそれはあなたの選択である」と述べた
(他の人は遺伝子のせい、環境が悪い等主張。こういうのを見ると何故東アジアの女の子達は太らないのかのほうが不思議)
-何故活性炭歯磨きはあなたが思うほど良くはないのか
Why charcoal toothpaste may not be as good as you think
By Rachel Clun August 7, 2019
最近活性炭練り歯磨きが人気だが、歯科医はそれは害のほうが大きいかもしれないと警告する
Norah Ayad博士によるとソーシャルメディアで急速に活性炭・ハーブ・重曹歯磨きが流行している。特に問題のない歯だった人が突然治療を必要とすることがあって、理由を聞いたところ10人以上が歯磨きを変えたという。オーストラリア歯科医師会の広報担当歯科医Mikaela Chinotti博士は活性炭は磨きの多くにはフッ素が入っておらずBritish Dental Journalによると一部は発がん物質が含まれる。しばしば歯を白くすると宣伝されている重曹と活性炭の歯磨きは研磨剤の作用があり汚れを落とすがエナメルも傷つける
(日本でも一部で見られる。フッ素や界面活性剤等をやたらと危険視する人達が何故重曹だけは万能扱いする)
-科学者が栄養革命を打ち出す
クイーンズランド大学ニュース
Scientists serve up a nutrition revolution
7 August 2019
https://www.uq.edu.au/news/article/2019/08/scientists-serve-nutrition-revolution
科学者グループが栄養を国の研究優先課題にするようもとめる。国の栄養委員会の座長のクイーンズランド大学のMike Gidley教授が、オーストラリア人がより生産的生活を送るためには栄養が重要である、という。
現在生物学が革新の最中で、人体には細菌やほかの微生物がヒトの細胞より多く含まれ、腸内細菌が食品や免疫系とどう相互作用しているのかは今後5-10年たたないとわからないだろう。このことは人体を全体的システムとして理解しようとしている栄養科学にとって大きな課題である。さらに人々の食べているものや栄養状態をより良く測定しようとするアプリやツールが多くの企業によって開発されている。これらはオーストラリア人が実際に何を食べているのかをより良く把握できる可能性がある。そしてソーシャルメディアに投稿されている不正確な情報に対抗する専門職能コミュニケーションとともに「信頼できる声」を確立する必要がある
(チョコで健康とか言っている我が国のなんとかよりはるかにまっとう)
-「マイクロバイオーム」が美の新しいバズワード
Why your 'microbiome' is the new buzzword for beauty
By Annie Brown August 8, 2019
2019年の美のバズワードの一つが「マイクロバイオーム」
(まだよくわかっていないのに皮膚の微生物を増やす化粧品、とか不穏)
-コンポスト可能とされるChipotle や Sweetgreenの食器はがんと関連する「永遠の化学物質」を含む
The bowls at Chipotle and Sweetgreen are supposed to be compostable. They contain cancer-linked “forever chemicals.”
August 5th, 2019 by Joe Fassler
New Food Economyの検査で企業の秘密が明らかになった。繊維のみで作った食器にはPFASが含まれる
(環境に優しいと意識高い人向けに宣伝しているので。客観的科学的にリスクを評価しないで雰囲気だけでやっていると行き詰まるよね。何が「恐怖の○○」として突如流行するかわからないので)
-SMC UK
魚の毒素蓄積、乱獲、気候変動を調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at toxin accumulation in fish, and overfishing and climate change
August 7, 2019
natureに発表された研究が海水温の上昇と乱獲による餌の変化が一部の食用魚のメチル水銀蓄積をもたらすかもしれないと報告
栄養と消化管の健康の独立コンサルタントElizabeth Lund博士
魚のメチル水銀は懸念材料となる可能性はあるが現在の根拠は魚を食べることの利益のほうがリスクを上回ることを指摘している。ただし妊娠女性や授乳中の女性はある種の魚を避けるようにという現行の助言を守るように。この論文の主要ポイントは現行規制を緩和すべきではないように見える。
オーストラリアメルボルンRMIT大学化学准教授Oliver Jones博士
排出する水銀が減ると魚の水銀も減ると思うかもしれないが、この新しい研究によると間違っている。魚の食べるものが水銀の多いものになれば水銀は増える。これは賢い研究だが限界もある。Maine湾の過去のデータを使っているため他の海域にはあてはまらないかもしれない。モデルにたくさんの推定あるいは外挿データを使っていて結果にはエラーがあるだろう。
Ulster大学ヒト栄養名誉教授Sean Strain教授
この論文は質が良さそうで結果はありそうである。しかしこれはモデルからの予想であって実際の測定ではない。
1970年代から2000年代の大西洋タラの組織中メチル水銀の23%増加がヒト健康の強であるという主張には異議がある。メチル水銀が神経毒素であることは確かでそれは水俣病で強調されたが、自然界にある範囲の濃度で子どもから成人に至るまで続く神経認知欠損に関連するという主張には異論がある。
Ulster大学ヒト栄養上級講師Emeir McSorley博士
私達が関与したセイシェル子ども発達研究では、妊娠中に魚から多くのメチル水銀に暴露されることの影響を調べた。セイシェルの母親達は西洋諸国の母親達より10-100倍のメチル水銀に暴露されているが一貫してメチル水銀と神経発達に有害な関連はみつかっていない。実際最もメチル水銀濃度の高い母親のこどもたちのほうが一部の試験成績は良かった。これらの結果から私達は魚を食べることの利益はリスクを上回ると解釈した。
プレスリリースでは述べていないが水銀は火山活動にも由来し、従ってメチル水銀は人間の活動に関わらず環境中に存在しこれからも存在し続ける。水俣条約に従うことは賢明であるがタラのようなもともと水銀濃度の低い魚の水銀が少し増えたからといってヒト摂取のリスクになると主張するのは賢明ではないだろう
Plymouth大学環境毒性学教授Awadhesh Jha教授
この研究は興味深い知見を提供する。この研究は過去のデータを用いてモデル計算したもので現実世界にあてはめることには限界がある。今後の実験で妥当性が評価できるだろう
気温上昇の影響についてはますます世界的重要性が増している。
Southampton大学海洋生態学准教授Clive Trueman博士
この研究は興味深いシミュレーションで良く記述されている。しかしプレスリリースは誤解を招く、魚の水銀が実際に増えたのではなくモデルで増えると予想されているだけである。生態系は複雑で動物がそれにどう対応するのかについては限られた知見しかない。この研究にはたくさんの想定があり、それらは明確に記述されているが結果は実測値ではない。研究は興味深いもののプレスリリースはあまりよろしくない。モデル予想であることを明確にしていない。
MRC毒性学ユニット上級科学者Andy Smith教授
世界的な規制により人間活動に由来する水銀は近年減っている。魚のメチル水銀はヒトの神経認知発達欠損と関連することが示唆されている。この研究は不完全なデータを使ったモデルで魚のメチル水銀が増加すると予測する。これが消費者に直ちに影響するかどうかはわからないが、環境中水銀を減らす努力の重要性を強調する。