[EFSA]意見等
-ナノファイバーのハザード評価のためのNAMsに関するEFSAのパイロットプロジェクト
ロット2:「ナノファイバーのリスク評価に臓器チップ使用の調査
EFSA Pilot Project on NAMs for the hazard assessment of nanofibers. Lot 2: ‘Exploring the use of gut‐on‐a‐chip models for risk assessments of nanofibers’
EFSA Journal 2023;20(11):EN-8230 9 November 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8230
(外部科学報告書)
本プロジェクトは、ヒトの健康に関するナノセルロース(NC)摂取の潜在的な影響の理解を深めることを目的として、欧州食品安全機関(EFSA)が設定したいくつかの重要な目標に取り組むものである。特に、静的及び管状マイクロ流体形式両方の、まだ検証されていないヒトの腸の高度なin vitroモデルの使用と改善が、ナノセルロースで腸管上皮の相互作用を評価するために調査された。NCs(ナノファイバーとナノクリスタル)はそのままの状態、消化液にさらされた状態や口腔胃腸酵素との相互作用について調査された。NCの腸管上皮への局所的な影響は、細胞毒性、炎症、腸管バリアの完全性に関して評価された。NCの取り込みと腸関門の通過の評価も調査された。腸管のバリア部位での免疫反応性に特別な焦点が当てられた;初期の自然免疫細胞で補完されることで複雑なin vitroモデルが改良された。腸組織を炎症性サイトカインに暴露することにより、病気の状態に関連する影響を模倣させ、炎症が誘発する二次毒性に対処できる。
-新規食品としての2'-フコシルラクトース(2'-FL)の使用拡大の安全性
Safety of the extension of use of 2′‐fucosyllactose (2′‐FL) as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283
EFSA Journal 2023;21(11):8334 9 November 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8334
(科学的意見)
欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、規則(EU) 2015/2283に従って、新規食品(NF)としての2'-フコシルラクトース(2'-FL)の使用拡大の安全性に関する意見を出すよう求められた。このNFは、乳児用調製乳(IF)及びフォローアップミルク(FOF)など、複数の食品分類の成分としてすでに認可されている。申請者はIF及びFOFにおけるこのNFの最大使用量を増やすことを目的としている。EFSAはその他の食品分類ですでに認可されている使用条件を含み、提案された使用拡大から予想されるこのNFの一日使用量を推定した。さらに、EFSAの現在のアプローチに従って、すでに認可されているこのNFの使用条件に限定した新しい摂取推定量が実施された。生後16週間未満の乳児に提案された最大使用量でIFだけを多量摂取することによるこのNFの推定一日摂取量は、母乳を与えられている乳児の母乳からの2'-FLの推定天然最大平均一日摂取量と同様である。IFとFOFにおける提案された使用拡大(その他の食品分類における認可された使用など)や、すでに認可されている使用条件によるこのNFの推定最大95パーセンタイル一日摂取量は同等で、どちらも、乳児の母乳からの2'-FLの推定された天然最大平均一日摂取量よりも高く、幼児の拡大よりも少ない。パネルは、このNFのIFとFOFに提案された使用拡大は、認可された使用条件から推定される最大95パーセンタイル一日摂取量にほんのわずかしか影響せず、従ってこのNFの安全性に影響しない。パネルは、このNF、2'-FLは提案された使用条件下で安全だと結論した。
-アスタキサンチンを含むHaematococcus pluvialis由来新規食品オレオレジンの規格の変更の安全性
Safety of a change in specifications of the novel food oleoresin from Haematococcus pluvialis containing astaxanthin pursuant to Regulation (EU) 2015/2283
EFSA Journal 2023;21(11):8338 8 November 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8338
(科学的意見)
欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、規則(EU) 2015/2283に従って、アスタキサンチン(ATX)を含むHaematococcus pluvialis由来新規食品(NF)オレオレジンの規格変更による安全性に関する意見を出すよう求められた。このNFは、規則(EU) 2017/2470に従い指令2002/46ECに定められているように、フードサプリメントに使用する成分としてすでに認可されている。このNFは、培養したH. pluvialisの均質化した乾燥バイオマスの超臨界CO2抽出物から得た、最大10%のATXを含むオレオレジンに関するものである。このNFは2014年にパネルが評価している。本文書をもって、申請者は、このNFのタンパク質とATXモノエステルの最小規格基準を下げ、総ATX中のATXジエステル相対量の最大規格基準を上げる提案をした。9‐シス異性体の最大規格基準の引き上げにも適用される。これらの3つの天然に生じるATX異性体のヒトの生物学的利用能や分布に関するデータは限られているが、入手可能なin vitro及びin vivoデータから、9‐シスよりも13‐シスATXの方が選択的に吸収されること、すなわち、生物学的利用能がより高い、及び/又はおそらく全てのトランスATXの異性化から出現することが示唆されている。パネルは、個々のATX異性体の毒性が個別に研究されていないことに留意する。だが、合成ATXとH. pluvialis由来ATXに設定されたADI 0.2 mg/kgは、提案された規格変更に伴い、H. pluvialis由来オレオレジンのATXにも適用される。パネルは、このNF、ATXを含むH. pluvialis由来オレオレジンは、提案された規格基準値で安全だと結論した。
-飼料添加物(科学的意見)
Efficacy of a feed additive consisting of Bacillus subtilis FERM BP‐07462, Enterococcus lactis FERM BP‐10867 and Clostridium butyricum FERM BP‐10866 (BIO‐THREE®) for chickens for fattening and reared for laying, turkeys for fattening and reared for breeding, and all avian species for rearing/fattening or reared for laying/breeding (TOA BIOPHARMA Co., Ltd.)
EFSA Journal 2023;21(11):8343 8 November 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8343
[EFSA]ワンヘルス:EFSAはEU機関と提携する
One Health: EFSA joins forces with EU agencies
13 November 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/news/one-health-efsa-joins-forces-eu-agencies
EFSAと、環境・公衆衛生・食品安全に関する科学的助言を提供するその姉妹機関は、欧州におけるワンヘルスの課題を支援するために共通の関与を表明する共同声明を発表した。この声明は、2023年11月13日にルクセンブルグ市で開催された、One Health for All, All for One Healthを掲げるワンヘルス会議に際して署名された。欧州委員会の保健衛生・食の安全総局(DG SANTE)が企画したこの会議では、欧州のワンヘルスアプローチの現在の実施状況を評価し、将来ワンヘルスをどのようにさらに強化するかを話し合った。
開会式で、EFSAの主席科学者であるCarlos das Neves氏は、ワンヘルスに関する省庁間の特別委員会を発表した。これはEFSAとその他4つのENVI機関:欧州疾病予防管理センター(ECDC)、欧州化学品庁(ECHA)、欧州環境機関(EEA)、欧州医薬品庁(EMA)が行ったワンヘルスの取り組みをまとめたものである。
参照
ワンヘルス-ENVI機関による共同声明
https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/2023-11/one-health-2023-joint-statement.pdf
ワンヘルス会議-One Health for All, All for One Health
https://health.ec.europa.eu/events/one-health-conference-one-health-all-all-one-health-2023-11-13_en
[FAO/WHO]魚類摂取のリスクと利益に関するFAO/WHO合同専門家会議
2023年10月9~13日
概要と結論
Joint FAO/WHO Expert Consultation on Risks and Benefits of Fish Consumption, 9-13 October 2023, Summary and conclusions
2023
https://www.fao.org/3/cc8503en/cc8503en.pdf
FAOとWHOは2010年に魚類摂取のリスクと利益に関する専門家会議を開催した。新たな根拠が入手可能になり、2021年の第35回魚介類及び水産物に関するコーデックス委員会総会で、魚類摂取のリスクと利益についての新たな根拠に関する以前の報告書を更新することに合意した(FAO及びWHO, 2021)。それに応じて、FAOとWHOは2023年10月に、第2回魚類摂取のリスクと利益に関するFAO/WHO合同専門家会議を開催し、関連する結論や助言でFAO-WHO報告書を更新するために用いる新たな科学的根拠の分析を行った。
専門家による協議は3つの主な目的から導かれ、魚類摂取の健康利益とリスクを評価するための枠組みを設定し、摂取する魚のリスクと利益に関する既存のデータを考慮して、リスク管理作業中にコーデックス委員会にガイダンスを提供した。
・魚類摂取のリスクと利益に関する最新の体系的な文献レビューの結果を調べる
・魚類摂取に関連する健康上の利益とリスクに関する結論を出す
・魚類摂取のリスクと利益をより良く評価・管理するために加盟国が取ることのできる一連の手順を勧告する
「魚類」という用語は、この会議の意義では、海洋性・淡水性、養殖・天然にかかわらず、ヒレ科魚類 (脊椎動物)及び貝類 (無脊椎動物)と定義されている。海洋哺乳類と藻類は、持続可能性の問題や環境への影響は重要ではあるが、この報告書の範囲外とされている。
新しい科学的根拠を提供するために、5つの広範な文献レビューを実施し、以下のトピックスに焦点を当てて背景となる報告書を作成した。
・魚類摂取による健康上の利益の根拠
・ダイオキシン類及びダイオキシン様PCBsの毒性影響
・メチル水銀の毒性影響
・メチル水銀の健康影響に関するセレン(Se)の役割
・水産物や養殖製品における、メチル水銀及びダイオキシン類とダイオキシン様PCBsの含有データ
この会議に参加した専門家は世界的な専門家公募から選ばれた。栄養、毒物学、疫学、メチル水銀の食事暴露、リスク-ベネフィット評価など、様々な専門分野にわたる全部で21人の専門家が選ばれた(添付書類1にリスト)。専門家は系統的文献レビューを書く人的支援を得た。
結論
2023年の合同専門家会議では、魚類摂取によるヒトの健康上の利益に関して、以下の総体的結論に合意した。
・魚類の摂取により、エネルギー、タンパク質、その他様々な健康に重要な栄養素を摂取できる。
・魚の摂取は多くの民族の文化的伝統の一部である。一部の民族では、魚は、食品、動物性タンパク質、その他様々な健康に重要な栄養素の主要な供給源である。
・妊娠期、小児期、成人期といった人生の全段階で、魚類の総摂取が有益であるという強力な根拠がある。例えば、妊娠中の母親の摂取と出産結果の改善や、成人の摂取と心血管及び神経疾患のリスク低減には関連性がある。全面的に魚類摂取が健康によいという根拠は、根拠のレビューでは特に考慮されない栄養素や汚染物質など、研究結果に及ぼす魚類の栄養素や汚染物質の総合的な影響を反映している。
・一般的な集団研究から得た利益や個人の影響は、全体的な食事(セレンの摂取量、その他の汚染物質への暴露など)、消費者の特徴(n-3系多価不飽和性脂肪酸の状態や個人の感受性など)、摂取した魚(魚種や食品調理法など)により異なる。
・地域の摂取習慣、魚の汚染レベル、栄養素含有量、対象となる集団の栄養状態、文化的習慣、人口統計を考慮して、魚類摂取の助言を改良するために、地域、国、あるいは地方レベルでのリスク-ベネフィット評価が必要である。
さらに、FAO-WHO合同専門家会議は、ダイオキシン類やダイオキシン様PCBsとメチル水銀の毒性影響や、メチル水銀の健康影響に関するセレンの役割について、以下の結論に合意した。
・一般集団でのヒトの影響に関して、魚類摂取によるダイオキシン類及びダイオキシン様PCBsの暴露の影響に関する研究が不足している。現在の根拠のベースは、職業上の暴露または地域的な汚染による、主にダイオキシン類及びダイオキシン様PCBsへの暴露の多い集団による。
・ダイオキシン類及びダイオキシン様PCBsへの食事暴露は、魚類を含む複数の様々な動物由来食品による。魚類摂取のこれらの暴露への寄与は、居住地や摂取量、供給源や摂取した魚の種類に応じて異なる。
・ダイオキシンへの暴露と精液の質の低下の関連性には一貫した根拠がある。ダイオキシン類及びダイオキシン様PCBsへの総暴露は、性比の変化や歯のエナメル質が弱くなることと関連づいている。
・妊娠中の母親の魚類摂取は一部の集団の根拠から、小児期(出生前と幼少期)の魚類摂取によるメチル水銀暴露は神経発達上の有益性が低いことに関連しているにもかかわらず、子供の神経発達改善に関連している。ことが示されている。
・成人期の心血管系、神経系、その他の健康結果に関連するメチル水銀暴露による健康への有害影響の根拠は限られている。
・小児期のメチル水銀への暴露と小児期の神経系の結果との関連について、セレン状態など、研究集団における違いを反映する可能性のある異質な根拠がある。
・生理学的メカニズムや動物実験からの根拠に基づき、メチル水銀の健康影響はセレンの状態や摂取量によって異なる、しかしながら今回の評価ではヒトの研究による根拠は限られていた。
[FAO]FAOは動物飼料と飼料規制担当者の世界フォーラムを開催
FAO opens Global Forum for Animal Feed and Feed Regulators
14/11/2023
https://www.fao.org/newsroom/detail/fao-opens-global-forum-for-animal-feed-and-feed-regulators/en
2023年11月14-15日、ローマ
[EU]欧州委員会は低周波数暴露の健康影響の可能性について意見募集を開始
Commission launches public consultation on potential health effects of exposure to low frequencies
https://ec.europa.eu/newsroom/sante/newsletter-archives/48912
IH調理器やワイヤレス充電のような新しい技術の使用により、電磁場の健康影響評価を更新する必要がある。SCHEERが欧州委員会から委託されて2023年10月に予備的意見を採択し、現在これに対するパブリックコメント募集を開始する。
2024年1月2日まで
-SCHEER 電磁場(EMF)暴露の健康影響の可能性:1Hzから 100 kHzの周波数に関して更新
Potential health effects of exposure to electromagnetic fields (EMF): Update with regard to frequencies between 1Hz and 100 kHz
https://health.ec.europa.eu/system/files/2023-11/scheer_o_063.pdf
電磁波の発がん影響の根拠はこれまで通り弱いまま(疫学のみ)
[ASA]アルコール代用品-新しい規則とガイダンス
Alcohol alternatives – new rules and guidance
14 Nov 2023
https://www.asa.org.uk/news/alcohol-alternatives-new-rules-and-guidance.html
今年初めのパブリックコメント募集を経て、CAPはアルコール代用品に関する新しい規則を発表し、2024年5月14日から発効する。
アルコールに関するCAPとBCAP基準が作られた当時は、ノンアルコール飲料部門は小さく広告もほとんどなかった。しかし近年これらの広告は拡大した。
[ASA]ASA裁定
-ASA Ruling on ZING Oral Care Ltd
15 November 2023
https://www.asa.org.uk/rulings/zing-oral-care-ltd-a23-1199892-zing-oral-care-ltd.html
自社サイトでの練り歯磨きの宣伝「あなたが白い練り歯磨きについて知っておく必要のあること。発がん性が疑われるもので磨くべきではない」と二酸化チタンが発がん性を疑われて食品で使用禁止になったのに歯磨きには残っている、と記述。フェイスブックなどでは「危険な色素を含まない」などと宣伝。これに対して一人のジャーナリストが二酸化チタンを含む歯磨きを使うことが有害であるとする誤解を招くものではないかと申し立てた。ZING Oral Care社はフェイスブックの宣伝は取り下げたものの、EFSAの意見や文献やオンラインニュースなどを引用して、二酸化チタンは経口摂取で有害影響を起こす可能性が高いことは確立されていると主張。
ASAはEFSAの意見によってEUが食品添加物としての使用を2022年に禁止したことは承知しているが、練り歯磨きなどの化粧品への使用は英国でもEUでも認められている。企業側の提出した文献は歯磨きに使われている二酸化チタンの発がん性に関するものではなく、宣伝の根拠として適切ではない。ASAが行った文献レビューでも歯磨きに使われている二酸化チタンに発がん性があるという知見はなかった。フェイスブック広告の取り下げは歓迎するが、二酸化チタンを含む練り歯磨きを使うとがんになるという主張は立証されておらず、従って誤解を招くものである。
-ASA Ruling on SpiderfarmerLED
15 November 2023
https://www.asa.org.uk/rulings/spiderfarmerled-a23-1209504-spiderfarmerled.html
アプリ内広告で屋内で人工照明を使って大麻を栽培するための道具の販売を宣伝。企業からの回答はない。基準違反。
-ASA Ruling on Naked Wolfe Ltd
15 November 2023
https://www.asa.org.uk/rulings/naked-wolfe-ltd-g23-1212005-naked-wolfe-ltd.html
衣服小売企業のフェイスブック上の広告のモデルが不健康に痩せていて無責任である
[RIVM]運動ガイドライン順守は特に若年成人で低い
Adherence to Physical Activity Guidelines particularly low among young adults
13-11-2023
4才以上のオランダ人で運動ガイドラインに従っている人の数は2020年以降減った。2022年は44.3%が運動が不十分である。特に青少年、若年成人、賃金労働者、教育レベルの高い人が2019年より運動が減っている。
電動自転車の使用が一要因になっているかもしれない。
運動の少なさとじっとしている時間の長さの組み合わせが懸念を生じる
[ProMED]原因不明の中毒-クロアチア:飲料関連
Undiagnosed poisoning - Croatia: beverage link
2023-11-12
https://promedmail.org/promed-post/?id=8713114
Date: Fri 10 Nov 2023 Source: Food Safety News [edited]
中毒疑い事例を調査しているクロアチア当局がコカコーラに対して2製品を回収するよう指示した。何らかの化学物質汚染が疑われている。
ここ数日中にクロアチア中で合計45人が病院で検査を受け、喉の傷害があったのは4人のみ。最初の患者一人が最も重症で入院していて他のほとんどは症状は軽く退院している。当局はこれは孤発例であると信じる。調査は進行中だがボトルの洗浄中に問題が起こった可能性があるという
論文
-毎日の歩数と全原因による死亡と心血管系イベントの関係
Relationship of Daily Step Counts to All-Cause Mortality and Cardiovascular Events
Niels A. Stens et al., Journal of the American College of Cardiology, Volume 82, Issue 15, 10 October 2023, Pages 1483-1494
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0735109723064008
健康に良いとされる歩数に関するメタ解析
2500付近からリスク削減は有意で8763あるいは7126で最大の利益
(わかりやすい図がある。1万歩でないとダメということはないので少なくてもいいから歩きましょうとのこと)
-東南アジアと西太平洋地域18カ国の全国栄養サーベイランス計画:系統的スコーピングレビュー
National nutrition surveillance programmes in 18 countries in South-East Asia and Western Pacific Regions: a systematic scoping review
Remco Peters et al.,
Bull World Health Organ. 2023 Nov 1; 101(11): 690–706F.
18カ国で繰り返し栄養や関連指標を集め、解析、発表しているサーベイランス計画を82件同定した。17カ国は国際調査計画と並行した国による周期的調査が行われている.国によりカバーする亜集団やモニタリング頻度は相当異なる
その他
-SMC UK
超加工食品摂取とがんと心代謝疾患の複数疾患罹患リスクを調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at consumption of ultra-processed foods and risk of multimorbidity of cancer and cardiometabolic diseases
NOVEMBER 13, 2023
Lancet Regional Health – Europeに発表された研究が超加工食品摂取とがんと心代謝疾患リスクを調べた
Aston大学医学部登録栄養士で上級講師Duane Mellor博士
これは1992年から2000年の間に英国を含む欧州10カ国の50万人以上のデータを集めた大規模研究であるが、フランス、ノルウェー、ギリシャのような国では心疾患を同じ方法で記録していないので全てのデータが解析可能ではない。この論文は試験の開始時に過去12ヶ月にわたって食べた食品を質問表を使っていろいろ異なる方法で測定したデータを使用した。これらのデータから超加工食品の摂取を推定し、それから11.2年後に人々ががん、心疾患、2型糖尿病になったかどうかを調べ、二つ以上の病気を同時に持っている多疾患罹患とよばれる状態を調べた。
この研究は食品を加工度によって4つに分類するNOVA分類を使おうとした。NOVAでは超加工食品は典型的には家庭では作れない、加工成分を使った食品とされる。それを推定するために、研究者らは食品を異なる成分に分解して超加工食品かどうかを識別しようとした。このやりかたは、特に食品のデータが30年年も前のものである場合、歴史的データを現代の定義を用いて解釈することになるので間違いやすい。さらに食品質問表は食品の摂取量を定量するようにはできていないのでさらに間違いのリスクが増える。過去1年間に食べた食品を個人に思い出してもらうことに依存し、それからそれがその後11.2年の間ずっと続くと想定することはバイアスのリスクを考慮する以前の問題である。
こうした病気のリスクに影響する他の要因のリスクを減らそうとして、研究者らは年齢や教育のような既知の健康に影響するリスクを調整使用とした。しかし彼らは他の重要な要因を考慮していない-それは収入や貧困のような要因で特に問題である。
さらにこの研究では多疾患罹患リスク増加に関連した超加工食品グループが甘くした飲料と加工肉のみで超加工シリアル(ほとんどのパンを含む)は関連がなかった。これは現行の政府の助言である砂糖と甘い飲料と加工肉を減らし野菜果物全粒穀物などをベースにした健康的な食事の推奨と一致する。従って、この研究は超加工食品の問題を示唆したものかもしれないが、実際には既に広く認められている各種疾患に関連する食品がこの研究で見られた関連の原因である可能性がある。
(NOVA分類は何ら新しい知識を提供しないという意味)
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
これは興味深い研究で、統計に関しては良い。この種の全ての研究同様、観察研究なので解釈は複雑である。しかし多くの超加工食品摂取と健康アウトカムの関連を調べた他の研究と違って、この研究では超加工食品のサブグループを別々にみている。超加工食品のカテゴリーがあまりにも広いため、これは有用である。
サブグループについての結論も限界はあるが、それでも超加工食品を一つの分類として扱うことについて幾分かの注意となっていると思う。プレスリリースでそれを強調している。
(以下非常に長いコメント。結局超加工食品(UPF)という分類が新しい知見をもたらさないことで著者らの結論「より繊細なUPFのサブグループ解析が必要」と一致)
Reading大学ヒト栄養学名誉教授Christine Williams教授
この研究は:(略)
主な知見:(略)
この研究の重要な側面は、総UPFだけでなく7つのUPFサブグループを測定したことである。そのうち「動物製品」と「甘味料と砂糖入り飲料」の二つのサブグループは多疾患リスク増加に関連したが「加工パンやシリアルUPF」はリスクの低さに有意に関連した。後者は重要な知見であり、多くの識者がこうした食品は食物繊維や微量栄養素の重要な摂取源であるとしている。これらは子どもたちや低所得層が多く食べるもので、これらをUPFとして悪者扱いすべきではない。パンやシリアルが多疾患罹患リスクを削減と関連することは、UPF分類がある種の食品を誤解させるものになっていることを示唆する。これは観察研究であり因果関係は結論できないことには注意すべき。
欠けている解析:(略)
批判:(略)
Sheffield大学心血管医学教授で名誉心臓相談医Tim Chico教授
英国成人の1/4以上が2対上の病気をもっている。我々は既にこうした病気の多くが、喫煙、過体重、運動不足のような共通の要因で誘発されることを知っている。
この研究は食生活の貧しさが健康に影響するという他のたくさんの根拠と同様のことを発見している。UPFが原因であると証明することはできない。このような研究は重要であるが、我々は既に何を食べたらいいのかについてはかなりよく知っている。しかしどうやったらそうできるのかを十分に知らない。では我々がすべき最も重要な質問は?
Quadram研究所栄養研究者で名誉フェローIan Johnson博士
Reading,大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授
この研究は全てのUPFが同じではないことを示したので重要である。そしてリスク増加に関連するとされたグループは既に有害健康影響と関連することがわかっているグループである
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
私の意見では多疾患罹患は注意を逸らすものである、2型糖尿病はほぼ多疾患罹患に関連するからである。実際入院患者の1/4から1/3は2型糖尿病である。一般人の2型糖尿病罹患率は6-8%である。
この研究の弱点はかなり昔のたった一回の食事質問で食品の摂取を測定していることである。食生活は過去25年で極めて大きく変わり、自宅の外で食べることが増え、出来合の食事を買うことが増えたためこれは重要である。
Oxford大学ヒト代謝名誉教授Keith Frayn教授
略
-SMC NZ
ニュージーランドの動物試験と研究への態度-専門家の反応
Attitudes towards animal testing and research in Aotearoa – Expert Reaction
13 November 2023
ニュージーランド人は科学研究における動物の使用を気にかけているが、それがどう規制されているかは間違った情報をもっている。
NZでは化粧品の試験に動物を使うことは禁止されているが、約30%は認められていると考えていて40%はよくわからない。安全性試験に動物を使うことは認めらられているが半分以上の回答者はよくわからない。研究と教育における動物のケアに関するオーストラリア・ニュージーランド評議会(ANZCCART)のニュージーランド理事会が行った調査。SMCは専門家にこの報告書へのコメントを尋ねた。
Massey大学動物の福祉科学と生命倫理センターNgaio Beausoleil教授
この研究の主な知見はNZの人々は研究や教育への動物の使用に関心があるがそれがどのように規制されているのかあまり知らないと感じていてより多くの情報と透明性を望んでいる、ということである。
以下4人のコメント略