[NHS]妊娠中の母親のフッ化物摂取が子供のIQに影響を与えるという証拠はない
No proof that a mother's intake of fluoride in pregnancy affects their child's IQ
Tuesday 20 August 2019
「フッ化物添加水を飲む妊娠中の女性の子供はIQが低くなる可能性がある」とMail Onlineは報道する。
フッ化物はそれぞれの国や地域の水道水に様々な濃度で天然に含まれている鉱物である。フッ化物は歯のエナメル質を強くし、虫歯になるのを防ぐことで知られている。このため、英国の地域によって、特に国の内陸部や北部では、水道水にフッ化物を添加する。多くの歯磨き粉も他の食品と同様フッ化物を含む。
この研究はカナダの6都市の母親約500人及びその子供を評価した。研究者は妊娠中の母親のフッ化物暴露を推定し、その後、それが子供が3、4歳になった時に子供のIQに関連があるかどうかを調べた。
研究者は、飲料水を介して母親の1日のフッ化物の推定摂取が1mg増加すると、子供のIQスコアが3.7ポイント低下するという関連を発見した。IQスコアシステムは言語理解及びその他の概念的能力を評価するために、年齢に適したいろいろなテストを使用する。研究者は総合的な知能を測定することを目的とする。
IQが高いと知能が高いことを示し、スコア100で平均的な知能であり、130及びそれ以上でとても発達しているとみなされる。 母親の尿中のフッ化物の量が1mg/L増加すると、男子のみIQスコアの4.5ポイント低下するという関連があると発見した。女子には関連性が見られなかった。
重要なことだが、この小規模な研究は妊娠中の母親のフッ化物暴露が、直接的に子供のIQに影響するという証明はできない。結果は多くの遺伝的、ライフスタイル及び環境要因に影響を受ける可能性がある。
フッ化物は虫歯を防ぐことがよく知られており、全体として、この研究はフッ素添加水の有害性という説得力のあるエビデンスはない。従って、妊娠中の女性は飲料水の習慣を変えたり、フッ化物添加の歯磨き製品を避けたりする必要があると懸念するべきではない。
[HK] 法令違反。Water spinachのサンプルに基準値超過の残留農薬
Pesticide residue exceeds legal limit in Water spinach sample
Tuesday August 20, 2019
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190820_7584.html
食品安全センターが検査したところ、Water spinachのサンプルにおいて、シペルメトリンが最大残留基準値2.0ppmのところ、3.8 ppm検出であった。
[FDA]警告文書
-Let's Talk Health, Inc.
Aug 06, 2019
未承認の医薬品、不正表示、ダイエタリーサプリメント不純品の問題
-Burren Smokehouse Ltd.
Jul 30, 2019
水産HACCP規則違反の問題
[FSANZ]食品基準ニュース 174号
Food Standards News - Issue 174 - August 2019
(リンク外部、あとでサイト掲載)
-イチゴ異物混入事件
Strawberry tampering incident
http://www.foodstandards.gov.au/publications/Pages/Strawberry-tampering-incident.aspx
イチゴ異物混入事件フォローアップ報告
http://www.foodstandards.gov.au/publications/Documents/FSANZ%20Strawberry%20Debrief%20Report.pdf
イチゴ事件のような園芸作物への意図的異物混入は、コミュニケーションやトレーサビリティを含む事故対応システムで強化すべき分野を明らかにした。
特に輸出との関連で、
我々全てが、輸入食品への疑いやメディアの反応を含む国際市場によるネガティブな過剰反応がおこり続けることのないよう「信頼(trust)を支え将来に備える」必要がある。我々はフードシステム全体への消費者の信頼(confidence)を増すために働かなければならない。
サプライチェーン全体に渡った食品安全管理のレビューの重要性が議論された
今後の課題として
緊急時危機管理ガイドの作成、食品防御強化、異物混入事件が起こったときのメディア管理ガイドを作ること、FSANZがソーシャルメディアの影響についての研究をすること、などが提言されている。
(この事件、最初の犯人がやったことよりあちこちで模倣犯が発生したことの影響が大きくて輸出も止まったので、メディア対応が問題になっている。マスメディア対策はともかく、ソーシャルメディア対策は難しそう。)
-完了した食品規制履行小委員会(ISFR)の食品調査
Completed ISFR food surveys
(August 2019)
http://www.foodstandards.gov.au/science/surveillance/Pages/isccomponent1.aspx
2019年はパン用小麦粉の葉酸強化義務について。守っていなかったのは12の製粉工場うち一つ
(過去の報告もこのページに掲載されている)
[FSSAI]メディアコーナーから:まもなく強化米がGadchiroli地方全域に流通する
Fortified rice to be distributed in entire Gadchiroli dist soon
Aug 19, 2019,
https://fssai.gov.in/upload/media/FSSAI_NEws_Rice_TOI_19_08_2019.pdf
インドの地方では貧血がサイレントキラーである。鉄欠乏が原因である。Maharashtraでは5才以下の子どもの53%が貧血である。この問題に取り組むために、公共分配システムを介してGadchiroli地方への強化米の配布が2018年6月から2019年6月まで実施された。この予備的プロジェクトがポジティブな結果だったため、政府はGadchiroli地方全域に拡大することを決めた
[USDA]生のとり肉を洗う:我々の科学、あなたの選択
Washing Raw Poultry: Our Science, Your Choice
WASHINGTON, August 20, 2019
https://www.usda.gov/media/press-releases/2019/08/20/washing-raw-poultry-our-science-your-choice
食品安全消費者研究プロジェクト:鳥肉を洗うことに関連する食事準備実験
Food Safety Consumer Research Project:Meal Preparation Experiment Related to Poultry Washing
Final Report August 20, 2019
実験用キッチンで消費者行動を詳細に観察している。
鳥肉を洗う群で交叉汚染率が高いことを確認。洗う理由は血が付いているのを落としたい等
3-5割が料理用温度計を使って温度を計っているのは日本よりちゃんとしているとも言えるような
-如何にして参加者の26%が生の鶏肉の細菌をサラダに移行させたか
How 26 Percent of Participants Transferred Bacteria from Raw Chicken to Their Salads
Aug 20, 2019 Posted by Adam Ghering
生の鶏肉を洗うと実験参加者の60%がシンクの内側を汚染した。それから鶏肉を洗った参加者のサラダの26%が汚染した。
生のとり肉を洗うかどうかについては激しい議論があったが、最近までその議論に科学的根拠はなかった。最近のUSDAの研究が生のとり肉を洗ったり濯いだりするときに病気になるリスクを冒しているのかをさらに明らかにした
(微生物の話だけれどおもしろかったので)
論文
-大規模世界的調査で、英国の食品は最も健康的
British food crowned the healthiest in major global survey
20-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/gifg-bfc082019.php
結局のところ英国の食品はそんなに悪くない。世界的調査で、包装済み食品や飲料が健康的かどうかに関しては、英国がトップで米国が2番目、三番目はオーストラリアである。
Georgeグローバルヘルス研究所が世界中の12の国と地域の40万以上の食品や飲料を解析した。調査の結果、我々の大好きな食品の多くは、カロリー/kJあたりの砂糖、飽和脂肪、塩の含量が多いことが明らかになった。オーストラリアの健康スター格付けシステムを使って各国をランキングした。最低が星1/2で最高が星5つである。その結果英国が星2.83でトップ、米国は2.82、オーストラリア2.81、最低はインドで2.27、中国は2.43、チリが2.44だった。Obesity Reviewsに発表
(それで途上国がこれから肥満することを心配すると結論するのはどうかと思うが。日本は対象になっていない。理由は包装済み食品の栄養成分表示が遅れていてデータベースもないから)
-肉アレルギー:研究者らがダニに咬まれておこる生物学的変化を同定
The meat allergy: Researcher IDs biological changes triggered by tick bites
20-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/uovh-tma082019.php
Journal of Immunologyに発表された肉アレルギーのマウスモデルを作ったという報告
その他
-健康スター格付けレビュー-専門家の反応
SMC NZ
Health Star Rating review – Expert Reaction
Published: 20 August 2019
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2019/08/20/health-star-rating-review-expert-reaction/
健康スターランキングシステムの最初の5年のレビューが完了し、改善のための一連の助言がなされた
レビューではランキングシステムは継続すべきだが、食事ガイドラインに従ったいくつかの調整を薦めた。野菜や果物は自動的に星5つにする、総砂糖量にはより厳しく、甘くないフレーバーウォーターはジュースや砂糖で甘くした飲料と区別して水に近くする、など。
オーストラリアニュージーランド食品規制閣僚フォーラムが年末までにこの報告に対応するだろう。
オークランド大学研究フェローSally McKay博士
この助言はシステムの正確性を改善するだろう。
このシステムは現在包装済み食品の21%にしか表示されていないため、義務化すべきである
オークランド工科大学Elaine Rush名誉教授
包装表面に表示する健康スター格付けは消費者に情報を与えられた上での選択を促す方法として推進されている。ポジティブなものはタンパク質と繊維、ネガティブなものはナトリウム、エネルギー、飽和脂肪、総砂糖である。野菜果物ナッツ豆の割合は全体の成分としてのみ考慮されている。このシステムの主な対象は加工食品であり、製造業者が砂糖を減らすなどの幾分かの成功はあったものの、全てのヒトに多様な栄養のある食品へのアクセスを改善することには関係ない。最近保健省から発表された食糧不足報告では栄養不良に貧困が関連することを明確に示している。これは食品を買うための十分なお金がないことが理由であって表示を変えることでは対応できない。
「情報を与えられた上での選択」は、お金と時間と教育があって食品が供給されている地域に住んでいる人達のためだけのものである。
-Scientific Americanが野菜は有毒な砂糖の多いスナックだという
Scientific American Says Vegetables Are Toxic, Sugary Snacks
By Alex Berezow — August 20, 2019
見出しは誇大ではない。Scientific Americanが野菜が砂糖の多いスナックのようなものになってしまい毒だと主張する記事を掲載した。しかもそれは最悪の部分ですらない。この記事の馬鹿馬鹿しい見出しは「ブロッコリーは瀕死。トウモロコシは有毒。マイクロバイオームが長生き!」というもので、海洋生物学者と退職した英語教師の共著である。見出しから予想されるとおり、この記事は非科学的でとんでもない主張を次々としている。嘘、歪曲、大嘘だらけである。
例えば最初の文章はこうである
「フードライターのMark Bittmanが最近記したように、食品は「栄養を提供し成長を促進する物質」で毒は「病気を促進するもの」と定義されるので、工業的農業が作っているのは文字通りに食品ではなく毒である」
あなたが食べている全てのものが毒だという。どうして?関連する科学の訓練や専門知識のない活動家がそう言ったから。
「Eco Farming Dailyによると1940年代のデータをみると全ての食品の全ての栄養素が10-100%減っている」
Eco Farming Daily?ピアレビューのある科学雑誌、Journal of Food Composition and Analysisでは2017年に何十年も前の食品組成のデータは信頼できないと結論している。Dr. Elisabeth Bikによると銅は減っている(おそらく殺菌剤としてはもう銅が使われていないため)が他の栄養素はあまり変わっていない。
そして詐欺であるマルチビタミンを薦め、糖尿病やがんがGMOのせいだと主張する。その根拠はJournal of Organic SystemsというPubMedに収載されていない疑わしい雑誌に発表された論文だという。そしてそれら全てを解決する魔法がマイクロバイオームで、根拠は毎月49.95ドルでサプリメントを販売している業者である。そしてオーガニック食品に変更すればマイクロバイオームが若返って病気になるリスクが減るという。
これがScientific Americanに載っていることに困惑する。
問題の記事
Broccoli Is Dying. Corn Is Toxic. Long Live Microbiomes!
By Louise Elizabeth Maher-Johnson, Ayana Elizabeth Johnson on August 20, 2019
-視点:オーガニック食品運動はCRISPRゲノム編集を拒否することで「墓穴を掘っている」
Viewpoint: Organic food movement ‘shoots itself in the foot’ by rejecting CRISPR gene editing
Steven Cerier | August 20, 2019
オーガニック業界は2016年のオーガニック基準委員会の投票で全ての遺伝子編集作物をオーガニック認証しないと決めた、バイオテクノロジーを懸念する消費者にアピールするために。しかしこの決定は業界が信じるほど有効ではないだろう。
既にゲノム編集により健康的な油を作る大豆がデビューし、やがて高食物繊維小麦品種がや高タンパク大豆が販売されるだろう。この技術は味や保存期間などを改善し消費者にとっても環境にとっても好ましい品種を作っていくだろう。米国ではこれらを妨害する規制を課さないので。消費者は魅力のあるものを選ぶだろう。しかしオーガニック業界はNBTの恩恵を拒否したので人々を恐がらせる戦略をとるしかないだろう。これはGMOについては一定の成功をおさめたが、消費者に直接メリットのあるものに対して同じ戦略をとるのは大きな代償を払うことになるかもしれない。
(自然の変異と区別できないものに遺伝子が変化しているなどと言って恐がらせていると普通の品種改良が恐ろしいものになってしまうのでは。)