[FTC]FTCは詐欺的に宣伝広告されていた“Nobetes”糖尿病治療サプリメントを購入した消費者に返金
FTC Refunds Consumers Who Bought Deceptively Marketed and Advertised “Nobetes” Diabetes Treatment Supplement
August 21, 2019
FTCは総額60791ドルの398の小切手を郵送中。
2018年12月のFTCの申し立てによるとNobetes社はビタミンやミネラル、植物抽出物を含む錠剤を糖尿病の効果的治療法として販売していた
[CDC]CDCとFDAは電子タバコを使用した人の重症肺疾患について調査を続ける
CDC, FDA, States Continue to Investigate Severe Pulmonary Disease Among People Who Use E-cigarettes
August 21, 2019
https://www.cdc.gov/media/releases/2019/s0821-cdc-fda-states-e-cigarettes.html
最新情報
・16州153疑い症例
・死亡はなし
・原因は同定していないが、全ての報告された症例で電子タバコを使っていた
感染症が主因とは示唆されていない
全ての症例に関連する特定の製品や化合物はみつかっていない
・多くの場合患者は呼吸困難や息切れ、胸の痛みなどの症状が徐々に始まったという。一部は軽度から中程度の消化器症状や疲労も報告している
・多くの場合THC含有製品を最近使用したことを認めている
・症例が似たようなものでもこれらに全て共通の原因があるかどうかはわからない。調査は進行中である。
[ASA]ASA裁定
ASA Ruling onCambridge Chocolate Technologies Ltd
21 August 2019
https://www.asa.org.uk/rulings/cambridge-chocolate-technologies-ltd-A19-564155.html
毎日チョコレートを一つ食べると皮膚の健康が蘇り加齢を遅くする、機能性チョコレート、ヒト臨床研究で血中ポリフェノール濃度を確認、といった宣伝が各種広告基準違反
[WHO]WHOはマイクロプラスチックにさらなる研究とプラスチック汚染対策を要請
Who calls for more research into microplastics and a crackdown on plastic pollution
22 August 2019
WHOは本日飲料水中のマイクロプラスチックに関する現在の研究の解析を発表し、環境中マイクロプラスチックとそのヒト健康影響についてのさらなる評価を呼びかけた。また環境保護とヒト暴露を減らすためにプラスチック汚染の削減を要請した。
報告によると150マイクロメートル以上の飲料水中マイクロプラスチックは人体に吸収されそうになく、より小さな粒子の取り込みも限定的であろうと予想される。ナノサイズの粒子はもっと多く吸収され分布するかもしれないがデータは極めて限られる。
Microplastics in drinking-water
https://www.who.int/water_sanitation_health/publications/microplastics-in-drinking-water/en/
-情報シート:飲料水中マイクロプラスチック
Information sheet: Microplastics in drinking-water
SMC NZ
飲料水のマイクロプラスチック-専門家の反応
Microplastics in drinking water – Expert Reaction
Published: 22 August 2019
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2019/08/22/microplastics-in-drinking-water-expert-reaction/
WHOが、ヒト健康へのリスクの可能性についての初期評価を含む飲料水のマイクロプラスチックについての報告書を発表した。
報告書によると、我々は皆マイクロプラスチックを飲んでいる。そしてその人体への直接影響はまだわかっていない。おそらく大きいマイクロプラスチックはうんちとして排出しているだろうが、小さい粒子は人体に吸収される可能性はある。
またマイクロプラスチックが病原性細菌を運んだり最近が抗生物質耐性になるのを助ける可能性があることを示唆し、飲料水供給者や規制機関は飲料水からのマイクロプラスチック排除同様水の供給源から病原性細菌や有害化学物質を排除することを優先すること勧める。究極的には最善の解決法は世界をプラスチックで汚染するのを止めることだと報告書は言う。
オークランド大学化学部Duncan McGillivray准教授
WHOの報告書発表はタイムリーである。我々は思っている以上にマイクロプラスチックに暴露されている。報告書の主要メッセージはマイクロプラスチックについてパニックになるなということで、どんな健康リスクの可能性も飲料水の細菌や汚染物質汚染によるリスクより相当少ないだろう、こうした汚染の削減がマイクロプラスチック対策としても有効だろうというものである。
しかしだからといって安堵してはいけない、まだわからないことがたくさんあり、WHOは研究を薦めている
ESR上級科学者Olga Pantos博士
一つ我々が知っていることは、プラスチックは環境にあるべきものではないということである。まだやるべきことがたくさんある。プラスチックの使用量は減らす必要がある
SMCオーストラリアから
ニューサウスウェールズ大学市民環境工学部Stuart Khan教授
WHOは重要な文書を作った。マイクロプラスチック汚染は広範だが、毒性については十分な情報が無く懸念になるという信頼できる情報はない。水規制当局への重要なメッセージは飲料水にとって現実的公衆衛生リスクである微生物や汚染物質汚染から注意や資源をマイクロプラスチックのために減らすべきではないということである。
ただし科学者へのメッセージは違う。良くデザインされたより良い理解のためになる研究を要請している
SMC UK
WHOの飲料水中マイクロプラスチックについての報告書への専門家の反応
expert reaction to WHO report on microplastics in drinking water
August 22, 2019
https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-who-report-on-microplastics-in-drinking-water/
IchemEの環境特別関心グループ議長David Green
WHOの報告は出発点として歓迎する。現状を正確に要約している。
研究に限界はあるものの既存の水処理方法がマイクロプラスチック暴露を制限するのにも有効であることを示した。さらなる研究を待とう
国際水管理研究所(IWMI)水質上級研究者Javier Mateo-Sagasta
この最新報告は、ますます増えるマイクロプラスチックが大きな問題であるという根拠に加わるだけである。IWMIは国連環境計画と協力して解決法を探っている。そのような解決法のなかにはマクロのプラスチック問題に最初に対応することを含むだろう
国立海洋学研究センター人為汚染物質科学者(マイクロプラスチック研究者)Alice Horton
この報告書は我々がもっと理解する必要があることを強調する
これまでのところマイクロプラスチックがヒト健康ハザードとなることを示すデータはないが、それは必ずしも無害であることを意味しない
飲料水はマイクロプラスチックの暴露源の一部でしかない
East Anglia大学 (UEA)化学上級講師Andrew Mayes博士
これは現在入手可能な科学的根拠を包括的にまとめたものである。
重要な知見は、飲料水中のマイクロプラスチックは現在の根拠からはヒト健康にとってリスクは低いということで、メディアの報道で心配している人達にとってはほっとすることだろう。飲料水業界にとっては水の規制圧力が高くなるのは疑いようがない
研究者としてはマイクロプラスチックの研究のための新しい分析法の開発が最優先課題になっていることに満足する。信頼できる分析法がないことが研究のボトルネックになっているからだ。
論文
-研究が、大気汚染が早期死亡リスクと関連することを発見
Study finds air pollution linked to risk of premature death
21-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/mu-sfa081819.php
New England Journal of Medicineに発表されたこれまでで最大規模の大気汚染の短期影響に関する国際研究
-運動はどんな強度でも早期死亡リスクの低さと関連する
Physical activity at any intensity linked to lower risk of early death
21-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/nifh-paa082019.php
BMJ
-魚油サプリメントは2型糖尿病に影響しない
Fish oil supplements have no effect on type 2 diabetes
21-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/uoea-fos082019.php
BMJに発表された系統的レビュー
-宇宙飛行は一貫して腸に影響する
Spaceflight consistently affects the gut
21-Aug-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-08/nu-sca082119.php
新しいツールは宇宙が腸内細菌をいつも同じように変えることを示す
2011年からのマウスのマイクロバイオームデータを比較解析する新しい分析ツールを開発した。その結果宇宙飛行は腸内細菌の量、比、多様性に一貫した変化をおこすことを示した。宇宙での放射線の影響を排除するため地球上で放射線照射したデータと比べた。放射線は明確な影響があるが、宇宙の影響はそれとは違った。
Microbiomeに発表。
(マイクロバイオーム研究になると単純に増えたとか減ったとかではなく独特の解析ツールが入るのでそれが妥当かどうかわからなくてなんとも)
-米国で肝障害に関係したハーブやダイエタリーサプリメントはしばしば誤表示されている
The Contents of Herbal and Dietary Supplements Implicated in Liver Injury in the United States Are Frequently Mislabeled
Victor Navarro et al., Hepatol Commun. 2019 Jun; 3(6): 792–794.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6545864/
米国薬物誘発性肝障害ネットワークはその前向き研究に参加した患者から集めたハーブ及びダイエタリーサプリメントの中身を調べた。目的は製品表示の正確さと既知の肝毒性物質が入っているかどうか知ることである。HPLC-MSで272製品を調べたところ、51%は誤表示であった、つまり中身と表示が一致しない。最も誤表示が多かったのは見た目を良くする、性機能、減量製品であった。誤表示と肝障害の関連は調査中であるが、この高い誤表示率はより厳しい規制の必要性を強調する。
その他
-ベルリンの壁錠剤:情動的外傷の治療薬-あるいは王室が保証するインチキ?
Berlin Wall pills: a cure for emotional trauma – or royal-endorsed quackery?
Wed 21 Aug 2019
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/shortcuts/2019/aug/21/berlin-wall-pills
ベルリンの壁の粉から作った錠剤が「情動的バリア」を乗り越えるのに役立つと宣伝されて王室御用達の薬局から販売された
-何故あなたが健康なら全脂肪乳がOKになったがそうでないなら低脂肪乳がベストなままなのか
Why full-fat milk is now OK if you’re healthy, but reduced-fat dairy is still best if you’re not
August 22, 2019
心臓財団が昨日発表した更新食事助言で、全脂肪乳、チーズ、ヨーグルトあるいは低脂肪のものを勧めている。これは以前の、心臓の健康のためには低脂肪のみを勧めていたのとは違う。この変化の背景は?
健康なオーストラリア人向けに、心臓財団は今やこれまで通りの低脂肪のものと、風味をつけていない全脂肪の乳製品を勧める。この変更は2009年以降の論文をレビューしメタ解析した結果による。全脂肪と低脂肪の乳製品摂取で心疾患リスクに一貫した差がなかった。簡単に言うと、心疾患リスク要因のない人にとって、低脂肪乳製品を選ぶことに余分な利益もリスクもない。ただしこればバターやクリームやアイスクリームや乳製品を使ったデザートにはあてはまらない。
また心疾患や高血圧のある人では別で、低脂肪のものを勧めるNew advice from the Heart Foundation on meat, dairy and eggs
2019.08.21
https://www.heartfoundation.org.au/news/new-advice-from-the-heart-foundation-on-meat-dairy-and-eggs
卵の上限も無くした。一方加工していない赤肉は週に350g以下に、加工肉は制限。
-Dirt to dinner
https://www.dirt-to-dinner.com/
GMOを与えられた動物で私は病気になる?
Can I Get Sick from Animals Fed GMOs?
By Lucy M. Stitzer August 14,2019
https://www.dirt-to-dinner.com/can-i-get-sick-from-animals-fed-gmos/
うわさ:GMOトウモロコシや大豆を食べた動物の肉や乳製品を食べたら私もGMOを食べている?それで病気になる?GMO餌を食べた動物は?
多くの人がGMO餌を与えられた動物を食べることが我々の健康に悪影響があると信じている。例えばGMO餌を食べた動物の肉や乳製品で我々のDNAが変わるとか免疫系が弱くなるとか。こうした間違った思い込みがGMO餌はヒトと動物の両方に有害に違いないと結論させる。しかし科学はそんなことはないと示している。
一部の団体や企業が、消費者に恐怖を広めてマーケティングを行う戦略をとっている。
GMOを与えた動物での研究は豊富にある。GMOを与えていないから健康的で安全だという宣伝は科学的に事実でないだけではなく消費者に混乱と恐怖を固着させる。毎年何百万もの動物がGMO飼料で育てられていて特にGMOが原因で不健康ということはない。
基本
GMO餌と非GMO餌を与えた動物の肉やミルクは同じである。遺伝子に違いはないだけではなく安全である。安心するように。
-Natureニュース
莫大な米国政府の研究は遺伝カウンセリングを提供する
Huge US government study to offer genetic counselling
21 August 2019 Jonathan Lambert
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02509-4
NIHが雇った会社は100万人のゲノム配列を決定する計画の参加者とともに働く
このプロジェクトはAll of Usとよばれ、8月21にColorというカウンセリング企業に460万ドル5年の研究費を与えると発表した。この会社は、BRCA突然変異のような重大な健康影響のある遺伝的変異が見つかった研究参加者全てに、結果を受け取るときにカウンセリングを行う。また全ての参加者用の教材を開発し、結果について相談したい人には誰でも電話相談を提供する。
-Nature書評
二つの病気の物語:梅毒、ヒステリー、そして精神疾患を治療する苦闘
A tale of two disorders: syphilis, hysteria and the struggle to treat mental illness
19 August 2019 Anne Harrington
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02476-w
Anne Harringtonは梅毒とヒステリーの年代記は心と体の境界を曖昧にすることを発見
Allan H. Ropper と Brian Burrell著「 如何にして脳は心を失うのか:性、ヒステリー、そして精神疾患の難題How the Brain Lost its Mind: Sex, Hysteria, and the Riddle of Mental Illness」の書評
梅毒の後期の神経梅毒は19性器には最も多い致死的精神疾患として知られ当時は悪い遺伝と「弱い性格」あるいは不道徳によっておこると考えられていた。それを変えたのがロックフェラー大学にいた日本人野口英世が1913年に患者の脳にTreponema pallidumの痕跡を発見したことである。
ヒステリーはもともと女性にだけおこる産婦人科疾患だと考えられていたが19世紀のフランスの神経学者Jean-Martin Charcotにより神経疾患と改訂された。しかし19世紀最後の年にCharcotの批判者と彼のもと忠実な弟子までがその病気は一種の偽装であると結論した。ヒステリーは「まるで病気であるかのように装う深層的な心の問題」であることがわかった。一方で神経梅毒は一見精神疾患のような症状を示す脳の病気である。
ヒステリーの理解が精神科的なものであるとわかっても、前時代にはヒステリーと呼ばれたであろう症状の患者を治療するのに神経学者はまだ苦闘している。
(特定の何かを目の敵にしている人達も実は他に原因があったりするのだろうけれどフラットな研究が難しい)
[TGA]補完医薬品の概要
Complementary medicines overview
20 June 2019
https://www.tga.gov.au/complementary-medicines-overview
補完医薬品とは何か?
補完医薬品とは、健康食品店、スーパーマーケット、薬局で入手できる非処方薬である。これらの薬のほとんどは、処方薬(医師が処方)や一部のOTC薬(薬剤師が選択)とは違って、棚に並べられ消費者が自分で選んで買える薬である。
補完医薬品は、医療専門家が推奨する医療を代替するものではない。
補完医薬品は次のようなものを含む:
伝統的ハーブ医薬品
一部の栄養サプリメント
ビタミン・ミネラル類
ホメオパシー(希釈)調製品製剤
エッセンシャルオイルを含むアロマテラピー調製品
伝統中国医薬品
アーユルヴェーダ(伝統的なインドの薬)
補完医薬品はどのように規制されているか?
ほとんどの補完医薬品は、オーストラリアで販売される前に、オーストラリア医薬品登録(ARTG)をする必要がある。
補完医薬品には次の3種類ある:
① リストに記載された補完医薬品で、ラベルにAUST L番号が表示されているもの
② 評価済みのリスト記載補完医薬品で、ラベルにAUST L(A)番号が表示されているもの
③ 登録された補完医薬品で、ラベルにAUST R番号がこれから表示されるもの
リスト医薬品と評価済みリスト医薬品は、医師又は薬剤師によって処方又は推奨されるのではなく、通常消費者が自分で選ぶものである。ほとんどすべての補完医薬品がリストに記載されている。
登録医薬品はリスクが高く、消費者が選択できるものもあれば、医療専門家を通してのみ入手可能なものもある。
① リスト記載の補完医薬品
リスト補完医薬品は低リスクで、そのため販売される前に有効性を評価されない。
スポンサー企業がARTGのリストに医薬品を載せる場合、その医薬品について以下のことを示さなければならい:
すでに承認されている、低リスクの成分のみを含む
すでに承認されている、低リスクの健康強調表示のみを行う
医薬品のスポンサーが所有するエビデンスによって支持されている
ライセンスを所持するオーストラリア国内の、又は承認された海外の施設で製造されている
治療用製品広告規約(Therapeutic Goods Advertising Code)など、他のすべての規制に準拠している
リスト医薬品は、コンプライアンスに関して販売後に再調査される場合があり、これにはエビデンスの審査が含まれる。規制を遵守していない医薬品は、リスト記載の一時停止又は中止となる場合がある。
② 評価済みリスト補完医薬品
評価済みリスト補完医薬品は、その他のリスト記載の医薬品と比べて少しリスクの高い健康強調表示を行う。たとえば、リスト医薬品は、耳鳴りや関節リウマチなど、状態を引き合いにすることはできないが、評価済みリスト医薬品はそれが可能である。よりリスクの高い健康強調表示を行うので、評価済みリスト医薬品は、販売される前に有効性評価を受ける。スポンサー企業はヒトの臨床試験データなど、その医薬品を支持する高品質のエビデンスを提供する必要がある。
評価済みリスト医薬品は、(シンボル及び/又は声明として)「TGA評価済み」と表示してもよいことになっている。
詳細については、下記URL「TGA評価済み」は何を意味するかのページを参照のこと。
*What does 'TGA assessed' mean on my medicine label?
https://www.tga.gov.au/what-does-tga-assessed-mean-my-medicine-label
③ 登録補完医薬品
登録補完医薬品は、よりリスクの高い成分を含む、又はより重篤な状態に関して健康強調表示を行う場合がある。
これらの医薬品はより多くのリスクを伴うため、販売前にその安全性、品質及び有効性について十分に評価され確認される。スポンサー企業は、ヒトの臨床試験のデータなど、その医薬品を支持する高品質のエビデンスを提供しなければならない。これらの医薬品は販売後も監視され、問題が見つかった場合は医薬品登録の一時停止又は削除の可能性がある。
登録補完医薬品は、「TGA評価済み」表示の使用に該当する場合もある。
[TGA]オーストラリアでのスポーツ用サプリメント
Sports supplements in Australia
31 July 2019
https://www.tga.gov.au/media-release/sports-supplements-australia
オーストラリアでサプリメントに類するものには、ビタミン、ミネラル、粉末プロテインなどのスポーツ栄養製品、その他に栄養とパフォーマンスを改善すると称する商品など、さまざまな製品がある。オーストラリアではサプリメントは食品又は医薬品として規制されており、その製品がFood Standard Code又はTherapeutic Goods Act 1989のどちらで規定されている要件を満たしているかに応じて決まる。スポーツ用サプリメントが食品か医薬品かを判断するのは、時として複雑である。
製品の製造業者及び輸入業者は、異なる規制要件が適用されるため、その製品が治療用製品として規制されるのか、食品として規制されるのか、理解していなければならない。消費者もまた、使用している製品が適切に分類及び規制されているかどうかを確認したいだろう。
TGAは、製品が医薬品であるか食品であるかを判断するのに役立つ、食品と医薬品のインターフェースガイダンスツールを提供している。考慮事項には以下を含む:
製品の形態(カプセル、錠剤、液体)
製品がスケジュール分類(注:薬・毒物のレベルで10区分に分類)された成分を含むか
製品がどのように提示されているか、例えば、ヒトの治療目的、など
製品の提示方法から、人々がそれを治療用として認識している可能性が高いか
製品の健康強調表示の種類
TGAによって規制される製品
TGAによって規制される製品には、ラベルに「AUST」番号がある。これらの製品はリスクに応じて規制され、オーストラリアでの供給が承認されて、登録医薬品(AUST-R)又はリスト医薬品(AUST-L)としてオーストラリア医薬品登録(ARTG)が行われている。
治療用製品の基準を満たすすべての製品は、合法的に供給されるにはARTG登録をしなければならない。市販されているスポーツサプリメントの中には、治療用製品でありながら、製造業者又は輸入業者によって事前にARTG登録をされていないことがある。
AUST番号の意味など、さまざまな種類の医薬品の詳細については、下記URL「医薬品はどのように規制されているか」を参照。
*How we regulate medicines
https://www.tga.gov.au/how-we-regulate-medicines
偽造スポーツサプリメントは存在し、そして危険である
他の多くの医薬品や医療機器と同様に、未承認の偽造製品は市場に出回っており、またそうした製品を見分けるのは簡単ではない。偽造サプリメントには、ラベルに記載されていない成分が含まれていることがあり、そうした成分は健康に害である可能性があるとともに、以下のような可能性もある:
間違った有効成分
有効でない成分
有効成分が個々の錠剤やバッチの違いによって多すぎたり、少なすぎたりとバラバラ
安全上の理由から販売停止となった成分
違法な処方薬
スポーツで禁止されている成分
有毒又は危険な成分
規格外の構成要素
多くのサプリメントが治療用製品規制の対象外であるため、消費者は製品を選択する際、特に注意する必要がある。
オーストラリア・スポーツ・アンチ・ドーピング機構(ASADA)は、特にスポーツ選手にまつわる、スポーツサプリメントを使用することの危険性とリスクについてWebサイトで情報を公開している。
偽造医薬品に関する懸念がある、又は偽造製品を購入してしまったと思われる場合は、TGAに報告できる。
パフォーマンス向上薬
オーストラリアでは、パフォーマンス(能力)及びイメージ(見た目)を向上させる薬がますます普及している。これらの製品の多くをTGAは承認していないが、いくつかは特定用途に限定した処方薬として承認されている。TGAは、医療専門家によって処方されていない限り、パフォーマンス及びイメージ向上薬を使用しないように消費者に助言する。
TGAの調査により、次のような製品が多く市場で発見された:
テストステロンなどのタンパク同化アンドロゲン性ステロイド
エノボサームなどの選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)
クレンブテロールなどのベータ2刺激薬
アンフェタミンなどの興奮剤
ヒト成長ホルモンなどのペプチドホルモン、成長因子、関連ペプチド薬
未承認のパフォーマンス及びイメージ向上薬を供給し所有することは違法であるだけでなく、こうした製品は未知の成分や有毒化学物質で汚染されている可能性もある。
注意深く選択しよう
スポーツサプリメントを選ぶとき、健康と安全を守るために取れるいくつかのステップがある。例えば:
海外のウェブサイトから購入しない
ラベルに、TGAによって規制されていることを確約するAUST番号があるかを確かめる
新しい製品を使用する前に、医療専門家の助言を求める
健康状態や体格の向上を目指しているなら、他の方法を検討する
ASADAは、アスリートは独立機関によって検査されたサプリメントのみを使用することを推奨している。
[ODS]消費者向けファクトシート 銅
Copper
Fact Sheet for Consumers
August 7, 2019
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Copper-Consumer/
銅とは何か、またそれは何をするのか?
銅は健康を維持するために必要なミネラルである。身体は銅を利用して、エネルギー生成、結合組織や血管の形成など、多くの重要な機能を実行する。銅はまた、神経系と免疫システムの維持を助け、遺伝子を活性化する。また、銅は脳の発達にも必要である。
どのくらいの銅が必要か?
1日に必要な銅の量は、年齢によって異なる。1日の平均推奨量をマイクログラム(mcg)で以下の表に示す。
ライフステージ |
推奨量 |
誕生から生後6か月 |
200 mcg |
乳児 7-12か月 |
200 mcg |
小児 1-3才 |
340 mcg |
小児 4-8才 |
440 mcg |
小児 9-13才 |
700 mcg |
若者 14-18才 |
890 mcg |
成人 19才からそれ以上 |
900 mcg |
妊娠中の若者及び女性 |
1,000 mcg |
授乳中の若者及び女性 |
1,300 mcg |
どんな食品に銅が含まれるか?
多くの食品が銅を含んでいる。様々な食品から銅の推奨量を摂取することが可能である。例えば:
牛の肝臓、牡蠣などの貝類
ナッツ(カシューナッツなど)、種子(ゴマやヒマワリの種など)、チョコレート
小麦ふすまシリアル、全粒粉製品
ジャガイモ、マッシュルーム、アボカド、ヒヨコ豆、豆腐
銅のダイエタリーサプリメントにはどんなものがあるか?
銅は、多くのマルチビタミン/マルチミネラルサプリメント、銅だけを含むサプリメント、及びその他のダイエタリーサプリメントから利用可能である。ダイエタリーサプリメント中の銅は、多くの場合、酸化銅、硫酸銅、銅アミノ酸キレート、及びグルコン酸銅の形をしている。形態によって優劣があるかどうかは分かっていない。
自分は十分な量の銅を摂取しているか?
ほとんどの人は、食べている食品から十分な量の銅を摂取している。ただし、特定のグループの人々は、十分な量の銅の摂取が難しい可能性が高い:
セリアック病の人々
まれな遺伝的疾患であるメンケス病の人々
高用量の亜鉛サプリメントを服用している人々、銅を吸収する能力を妨げ、銅欠乏症を引き起こす可能性があるため
十分な量の銅を摂取しないとどうなるか?
銅欠乏症は米国ではまれである。銅の欠乏は、極度の疲労感、皮膚の薄片、高濃度の血中コレステロール、靭帯と皮膚に影響を及ぼす結合組織障害を引き起こす可能性がある。その他の影響には、弱く脆い骨、身体のバランスと協調の喪失、及び感染リスクの増加などがある。
銅の健康影響には何があるか?
銅が健康に及ぼす影響を理解するため、科学者たちは銅を研究している。研究によって示された事柄のいくつかを例にあげる。
心血管疾患
銅摂取の心臓病に与える影響を調べる研究では、さまざまな結果が得られている。食事やサプリメントからより多くの銅を摂取することで、心血管疾患のリスクが上昇又は低下する可能性があるかどうかを理解するには、さらなる研究が必要である。
アルツハイマー病
血中銅濃度が高い人ほど、アルツハイマー病のリスクが低いことを示す研究がある。しかし、別の研究では、多量に摂取するとアルツハイマー病のリスクが高まる可能性があることが示されている。高レベル又は低レベルの銅がアルツハイマー病の発症リスクに影響を及ぼすかどうかを判断するには、さらに研究が必要である。銅を含むダイエタリーサプリメントが、アルツハイマー病のリスク又はその症状に影響するかどうかを調べる研究もまた必要である。
銅が有害となることはあるか?
銅は過剰に摂取すると有害となる可能性がある。定期的に過剰な銅を摂取すると、肝臓の損傷、腹痛、痙攣、吐き気、下痢、嘔吐を引き起こすことがある。健康な人で銅中毒はめったにない。しかし、まれな遺伝性疾患であるウィルソン病の人には発生する可能性がある。また、銅を含む水道管が家庭や職場の飲料水に銅を浸出させている場合、銅中毒が発生することがある。
銅の摂取の上限を下記の表にマイクログラム(mcg)で示す。
年齢 |
上限 |
誕生から生後12か月 |
設定なし |
小児 1-3才 |
1,000 mcg |
小児 4-8才 |
3,000 mcg |
小児 9-13才 |
5,000 mcg |
若年者 14-18才 |
8,000 mcg |
成人 |
10,000 mcg |
知っておくべき銅との相互作用はあるか?
銅はどの薬とも相互作用することは知られていない。しかし、服用しているダイエタリーサプリメントや処方薬、市販薬については、医師、薬剤師、その他の医療従事者に伝えることが常に重要である。彼らは、服用している薬とダイエタリーサプリメントとが相互作用するか、又はその薬が、身体が銅などの栄養素を吸収、利用、又は分解する方法を妨げる可能性があるかについて教えてくれるだろう。
銅と健康的な食生活
我々はほとんどの栄養素を食品及び飲料から摂取するべきである、と連邦政府発行の「アメリカ人のための食生活ガイド(Dietary Guidelines for Americans)」は述べている。食品には、ビタミン、ミネラル、食物繊維、及び健康に役立つその他の物質が含まれている。場合によっては、強化食品やダイエタリーサプリメントは、それがなければ推奨量を満たせない栄養素を補ってくれるかもしれない。健康的な食生活の送り方については、「アメリカ人のための食生活ガイド」及び米国農務省によるMyPlate(私の食事)を参照のこと。
[ODS]消費者向けファクトシート プロバイオティクス
Probiotics
Fact Sheet for Consumers
August 7, 2019
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Probiotics-Consumer/
プロバイオティクスとは何か、またそれは何をするのか?
プロバイオティクスとは、摂取すると健康に有益な生きた微生物(細菌や酵母など)である。それらは一部の発酵食品には自然に存在し、一部の食品には添加され、またダイエタリーサプリメントとしても利用可能である。ただし、「プロバイオティクス」と表示されているすべての食品やダイエタリーサプリメントが健康上の利点を証明されているわけではない。
プロバイオティクスは主に消化管で作用し、消化管のマイクロバイオーム(微生物叢)に影響を与えることができる。このマイクロバイオームは、主に大腸に住んでいる多くの微生物(主に細菌)で構成されている。十分なプロバイオティクスを食べたり飲んだりすることで、消化管は有害な微生物から保護され、消化と腸の機能は改善され、またその他にも何らかの健康上の利点があるかもしれない。
一般的なプロバイオティクスには、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、サッカロミセス(Saccharomyces)、連鎖球菌(Streptococcus)、腸球菌(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)、及びバチルス(Bacillus)が含まれる。プロバイオティクス微生物は、その属、種、株によって命名される。Lactobacillus rhamnosus GGを例とするならば、Lactobacillusは属、rhamnosusは種、GGは株である。この微生物は、その略語であるLGGという名称でも知られている。
どんな食品がプロバイオティクスを供給するか?
発酵食品は添加培養微生物を含む。製造業者は、例えば、生きた微生物(ラクトバチルスや連鎖球菌など)を牛乳に加えてヨーグルトを作る。しかし、微生物がプロバイオティクスの利点を提供するかどうかは、加えられる種類と量による。
一部の発酵食品(サワードウパンやほとんどのピクルスなど)は発酵後に加工され、その工程で微生物は死滅する。生きていない微生物には生きている微生物と同じ利点はなく、プロバイオティクスとは見なされない。その他の発酵食品には研究されていない微生物が含まれているため、プロバイオティクスの利点があるかどうかは不明である。こうしたものの例には、リンゴ酢、チーズ、キムチ、コンブチャ、味噌、及びザワークラウトが含まれる。
一部の未発酵食品には微生物が添加されている。これらの食品には、いくつかのシリアル、ジュース、ミルク、栄養バー、スムージー、乳幼児用調製粉乳が含まれる。こうした食品にプロバイオティクスの利点があるかどうかは、含まれる微生物の種類と量に依存する。
利用可能なプロバイオティクス・ダイエタリーサプリメントにはどんなものがあるか?
プロバイオティクスと表示されたダイエタリーサプリメントには、さまざまな種類と量の微生物が含まれている。サプリメントの多くは研究されていないため、それらの健康影響は、何かあるとしても、まだわかっていない。
プロバイオティクスを含むダイエタリーサプリメントのサプリメント成分表示には、製品中の微生物の総重量が記載されている。多くの製品ラベルには、1回の摂取量に含まれるコロニー形成単位(CFU)の数も記載されている。CFUは、生きている微生物の数の総重量よりも優れた指標である。ラベルに表示されるCFUの例は、1 x 109(10億)CFU及び1 x 1010(100億)CFUである。ただし、CFU数が多いということが、必ずしも製品の健康上の利点が大きいということではない。製品の健康上の利点は、もしあるとするならば、含まれる微生物の数よりも、含まれる微生物の種により大きく依存する。
プロバイオティクスによる健康影響の可能性にはどんなものがあるか?
科学者たちは、プロバイオティクスにどのような健康影響があるかを理解しようと研究を続けている。これまでにこうした研究によって明らかになった事柄の一部を例として挙げる。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎(湿疹)は、主に子供に起こる皮膚症状である。アトピー性皮膚炎を患っている場合、皮膚は乾燥してかゆみがあり、掻くと体液がしみだし、赤い発疹が出たり消えたりする。妊娠中や乳児期にプロバイオティクスを摂取すると、アトピー性皮膚炎を発症するリスクが低下し、皮膚炎の症状の重症度が低下する可能性があることがいくつかの研究で示されている。しかし、効果は使用されるプロバイオティクス株と、妊娠中、乳児期、またはその両方で異なる。
小児急性感染性下痢
乳児及び小児の急性感染性下痢は、軟便または液体便と、24時間以内に3回以上の排便を引き起こす。この症状は多くの場合ウイルス感染によって引き起こされ、最大1週間続く。一部の乳児及び小児は発熱及び嘔吐を併発する。いくつかの研究によると、プロバイオティクスが急性下痢の発作を約1日短縮することが示されている。LGGとSaccharomyces foulardは、小児の急性感染性下痢の治療に最も有望である。しかし、他の研究では、プロバイオティクスが効果的であることは示されていない。ほとんどの下痢の症状は、多量の水分を摂取することでうまく対処される。
抗生物質に関連した下痢
エリスロマイシンやペニシリンなどの抗生物質は、消化管に住んでいる有益な微生物を殺し、下痢を引き起こす可能性がある。LGGやSaccharomyces foulardなどの一部のプロバイオティクス株は、65歳以下の人で抗生物質関連の下痢のリスク軽減に役立つ可能性があるが、それ以上の高齢者ではその効果はない。これは、人々が最初の抗生物質投与から2日以内にこれらの製品の服用を開始した場合、特に当てはまる。
過敏性腸症候群(IBS)
IBSは、頻繁な胃の痛みと不快感、腹部膨満、排便頻度の変化、下痢または便秘を引き起こす一般的な疾病である。原因は明確ではないが、IBSを患う人は、腸内に「悪い」微生物が多すぎ、「良い」微生物が少なすぎる可能性がある。プロバイオティクスを服用すると、IBSの症状が軽減される場合がある。しかし、効果は使用するプロバイオティクス株、使用期間、治療する症状によって異なる。
高コレステロール血症
血中コレステロールレベルが非常に高い状態(高コレステロール血症として知られる症状)及び血管壁内のコレステロールの蓄積は、心臓への血流を遮断し、心疾患のリスクを高める可能性がある。いくつかの研究は、Lactobacillus acidophilusなどのプロバイオティクスが総コレステロールと低密度リポタンパク質(LDLまたは「悪玉」コレステロール)レベルをわずかに低下させることを示している。しかし、他の研究では利点は見つかっておらず、プロバイオティクスの血中コレステロールへの影響を理解するには、さらなる研究が必要である。
肥満
研究者は、プロバイオティクスが体重と肥満に及ぼす影響を研究している。いくつかの研究は、プロバイオティクスが体重や体脂肪をわずかに減らす可能性があることを示している。一方で他の研究では、プロバイオティクスには効果がないか、逆に体重が増える可能性さえあるとしている。プロバイオティクスが体重と体脂肪に及ぼす影響を理解するには、さらなる研究が必要である。
プロバイオティクスは有害となり得るか
人は何千年もの間、プロバイオティクスに含まれる多くの微生物を使って食物を発酵させてきた。健康な人では、プロバイオティクスはお腹にガスをためることはあるが、感染症やその他の健康上の問題を引き起こすことはほとんどない。プロバイオティクスが細菌感染などの問題となる可能性が高いのは、すでに深刻な病気にかかっている人や免疫系が弱い人である。
プロバイオティクスの選択と使用
健康な人に対しては、プロバイオティクスの使用に関して公式に推奨する事柄はない。プロバイオティクスを試したい場合は、どのプロバイオティクスを選ぶべきか、どのくらいの量をどのくらいの期間使用するべきか、医療従事者に助言を求めよう。製品ラベルの有効期限または「使用期限」を確認し、保管手順に従おう。一部のプロバイオティクスは冷蔵庫に保管する必要があるが、中には室温で保存できるものもある。