2020-08-18

[ANSES] ANSESは3つのリチウム塩を胎児と出産前の発達に有害だと考えられる、に分類することを提案

ANSES proposes classifying three lithium salts considered toxic to fertility and prenatal development

News of 03/08/2020

https://www.anses.fr/en/content/anses-proposes-classifying-three-lithium-salts-considered-toxic-fertility-and-prenatal

2019年12月4日、ANSESはCLP規則(製品の分類、表示及び包装)に従い、炭酸リチウム、塩化リチウム及び水酸化リチウムの統一分類を欧州化学庁(ECHA)に提案をした。

これら3つの塩は生殖機能及び胎児の発達に危険性がある。この提案は2020年8月3日以降、ECHAのウェブサイトの意見募集のテーマである。すべてのステークホルダーが意見を表明し、知っている追加の情報を提供する機会を与えるものである。その後、ECHAのリスク評価委員会による最終意見が欧州委員会に送られ、リチウム塩をCLP規則に追加する妥当性が判断される。これは製品表示に直接影響し、最終的に欧州での使用がより制限される規制枠組みにつながるだろう。

炭酸リチウム、塩化リチウム及び水酸化リチウムは主にバッテリーに使用されるが、ガラス産業や建設業界でも使用される。さらに、炭酸リチウムは双極性障害の治療用の医薬品で使用される。これらの化合物は化学的に類似しており、1つの塩から観察される作用は、他の2つにも外挿できると考えられる。

これらの物質は現在CLP規則(下記参照)の欧州の統一分類の対象になっていない。それゆえ、ANSESは統一分類の提案を目的とし、変異原性及び発がん性及び生殖と発達における毒性作用を評価した。

齧歯類及びヒトに観察された影響

炭酸リチウム暴露による齧歯類のいくつかの高品質の研究において、男性生殖機能に関する影響が観察された。動物で得られたこれらの結果に基づき、ヒトの生殖機能に関するリチウム塩の毒性作用が「推定される」。これはCLP規則の分類1Bに相当する。加えて、双極性障害を治療するために妊娠中の女性に使用されたリチウム暴露と胎児の先天性異常の発生の間の関連が確認された。結果として、リチウム塩はCLP規則の分類1Aに相当する、ヒトの胎児の発達への毒性作用を証明したとみなされる。

一方、この専門家評価は、現在利用できるデータの質が十分でないため、リチウム塩の変異原性あるいは発がん性の性質に関する結論はでなかった。

意見募集に提出される分類提案      

このエビデンスにより、ANSESはCLP規則に応じた分類を提案することにつながった。提案が認められれば、問題のリチウム塩は以下のように表示されることになるだろう:「生殖機能あるいは胎児に損傷を与える恐れがある:分類1A(H360FD)」。

 

[FDA]コロナウイルス(COVID-19)更新

Coronavirus (COVID-19) Update: Daily Roundup August 17, 2020

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-daily-roundup-august-17-2020

FTCと合同で、アマゾンアソシエイトとして詐欺的COVID-19関連製品を宣伝して手数料を稼いでいる会社 SilveryGuyに警告文書を送付した。

 

警告文書

SilveryGuy         

August 14, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/silveryguy-609843-08142020

コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する未承認かつ不正製品。コロイド銀製品を含む。

(製品を製造販売している会社ではなく、アソシエイトプログラムによる手数料収入。アフィリエイトでインチキ健康食品宣伝している個人ブログも取り締まられればいいのに)

 

[IARC]IARCモノグラフ会合126はリモート開催

IARC Monographs Meeting 126 to be held remotely

17 August 2020

https://www.iarc.fr/news-events/iarc-monographs-meeting-126-to-be-held-remotely/

2020年9月11-20日に12カ国16人の専門家があへん(ヘロイン、モルヒネ、処方オピオイド)の発がん性について評価する

 

[WHO]週間疫学的更新

Weekly Epidemiological updates August 2020

Weekly Epidemiological Update – 1

https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200817-weekly-epi-update-1.pdf?sfvrsn=b6d49a76_4

これまで状況報告書として毎日更新していた報告を一週間ごとに変更。

 

[CDC] MMWR

-ナトリウムとカリウムの摂取に寄与するトップ食品カテゴリー-米国2015–2016

Top Food Category Contributors to Sodium and Potassium Intake — United States, 2015–2016

Weekly / August 14, 2020 / 69(32);1064–1069

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6932a3.htm?s_cid=mm6932a3_w

全ナトリウム摂取量の約40%がトップ10カテゴリーに由来(デリミートサンドイッチ、ピザ、ブリトー、タコス、スープ、スナック)。全カリウム摂取量の約43%がトップ10カテゴリーに由来(ミルク、果物、野菜)

(食品のカテゴリー(https://stacks.cdc.gov/view/cdc/91457)が独特。春巻きと餃子と寿司が一つにまとめられているのにパンは酵母パンとロールパンとベーグル&イングリッシュマフィンの3つに分けられるとか。)

 

-COVID-19パンデミック中の精神衛生、薬物使用、自殺念慮-米国、2020年6月24-30日

Mental Health, Substance Use, and Suicidal Ideation During the COVID-19 Pandemic — United States, June 24-30, 2020

Weekly / August 14, 2020 / 69(32);1049–1057

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6932a1.htm?s_cid=mm6932a1_w

この間COVID-19に関連した有害精神衛生状態が相当増加した。若い成人、人種マイノリティ、エッセンシャルワーカー、無償で成人のケアをしている人達が偏って悪化した。

 

-妊娠中の大麻使用の特徴-8州、妊娠リスク評価モニタリングシステム、2017

Characteristics of Marijuana Use During Pregnancy — Eight States, Pregnancy Risk Assessment Monitoring System, 2017

Weekly / August 14, 2020 / 69(32);1058–1063

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6932a2.htm?s_cid=mm6932a2_w

大麻使用を報告したのは妊娠前が9.8%、妊娠中は4.2%、妊娠後は5.5%。妊娠中の大麻使用の理由として最も多く挙げられたのはストレスや不安、吐き気や嘔吐、痛みの緩和

 

論文

-ACP, AAFPは腰痛以外の筋骨格外傷治療に新しいガイドラインを発表

ACP, AAFP release new guideline for treatment of non-low back pain from musculoskeletal injuries

17-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/acop-aar081120.php

Annals of Internal Medicineに発表。

第一選択肢としてはNSAIDs、オピオイドは使わない

腰痛は別のガイドラインで扱っているため除外

(怪我ですぐ麻薬出す方がどうかしている)

 

-親の半分は子育てを巡って祖父母と意見が合わない

Half of parents report butting heads with child's grandparent over parenting

17-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/mm-u-hop081220.php

しつけや食事やテレビを見る時間を巡って親と祖父母で意見が異なることが関係を緊張させる

C.S. Mott子ども病院の、子どもの健康に関する全国世論調査

最もよくある違いはしつけ(57 %)、食事(44 %)、TVを見る時間(36 %.)。例えばしつけを巡っては親の40%が祖父母が甘すぎるとし14%は厳しすぎるという。

一部の不同意は世代による違いから来る。例えば新しい研究で赤ちゃんは仰向けに寝かせることを薦められているが祖父母が自分たちのやってきたことを正しいと主張する。

(どこもいっしょ)

 

-専門家が乳児に新しい固形食品を導入するとき間をあける必要性に疑問

Experts question need to wait days between introducing new solid foods to infants

17-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/arh-eqn081320.php

ガイドラインの再検討を

現在の米国小児科学会とCDCの助言では、乳児には一度に単一の食品を導入したら3-5日待ってアレルギーがないかどうか確認してから次の食品を導入するよう薦めている。しかし食物アレルギーは数分から数時間で生じることを考えると待ち時間が長すぎるかもしれない。JAMA Network Openに発表された小児科医の調査では現在のガイドラインの妥当性に疑問を提示している

 

-ビスフェノールA暴露と米国成人の全原因でのおよび原因特異的死亡リスクの関連

Association Between Bisphenol A Exposure and Risk of All-Cause and Cause-Specific Mortality in US Adults

August 17, 2020  JAMA Netw Open. 2020;3(8):e2011620.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2769313

米国の3883人の成人のコホート研究で、尿中ビスフェノールA濃度の高さと約10年間の観察期間中の死亡リスクの高さに関連があった

尿中BPA濃度の高い人は、より若く、男性で、非ヒスパニック黒人で、教育レベルが低く、家庭の収入が低く、運動量が少なく、総エネルギー摂取量が多く、食事の質が悪く、BMIが高い傾向があった。

 

その他

-SMC UK

ビスフェノールAと長期死亡リスクを調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at Bisphenol A (BPA) and risk of long-term mortality

AUGUST 17, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-bisphenol-a-bpa-and-risk-of-long-term-mortality/

JAMA Network Openに発表された研究で、人体のビスフェノールAと長期死亡リスクの関連を調べた

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

この研究は極めてたくさんのアメリカ人の検体のデータを用いているが観察研究なので実際の意味を決めるのは常に問題となる。この研究の解釈に特に問題になるところがあると考える。約4000人の人の一回の尿検体のBPA濃度とその他の健康状態に関する調査を行って約10年フォローしているが記録を維持している以外は人々は多様な生活をしている。尿中BPA濃度が高かった人は若い、男性、黒人、教育レベルと収入が低い、食生活の質が低いなどの特徴があり死亡リスクが高かったとしてもBPAのせいだとは言えない。いくつかの交絡要因を統計学的手法で調整しているが全てを調整できるわけではない。著者等はこの問題について明確に言及しているがE値の計算をもとに残った交絡は重要ではないと主張する。しかし私は彼らがE値を過剰解釈していると思う。このことには少し説明が必要だろう。(説明略)

また尿中BPA濃度の最も高い人達の一定期間での全ての理由での死亡リスクが最も低い人の49%高いと報告している。この数値はとても大きな増加だと思うかもしれないがそんなに大きくない。この研究では平均すると1000人のうち9人が1年で死亡している。つまり余剰な死亡は5人になる。そして死亡率が少ないために統計学的不確実性が大きい。

別の問題は尿の測定が一回だけであるということである。個人の尿中濃度は一日の間でも日によっても大きく異なる。著者等は集団のBPA暴露量推定には個人の一回の尿中濃度測定でも適切であるという論文を引用しているがそれとは文脈が違う。この研究での目的は集団の曝露量推定ではなく個人の曝露量推定である。そして集団での推定であってもその時点での推定でしかなくそれが10年のフォローアップにとって適切かどうかはわからない

Cambridge大学小児科名誉教授Ieuan Hughes教授

BPAの迅速な代謝速度を考えるとスポット尿の検査は弱点である。著者等はBPAの高濃度と心血管系疾患とがんによる死亡との関連を見つけているがBPAの毒性に関する文献はほとんどが内分泌関連である

Reading大学有機化学准教授Fred Davis博士

曝露量は低く死亡率に関連する多くの要因が重なるのでハザードとしての調査は困難であろう。従ってこの結論は使ったモデルに依存し、比較的多数のサンプルであってもさらなる研究が必要であることを著者等は認めている

 

-SMC NZ

何故人々は陰謀論を信じるのか?-専門家の反応

Why do people believe conspiracy theories? – Expert Reaction

Published: 18 August 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/08/18/why-do-people-believe-conspiracy-theories-expert-reaction/

オタゴ大学の新しい研究は、広く信じられているコントロールを失うことが陰謀論を信じることにつながるという理論に疑問を提示する

研究者らは一連のオンライン心理学実験を行い、管理されていると感じることと陰謀論を信じることの間に関連はあるものの因果関係の証明ではなく、この二つの関連には万能の説明はないという。

研究当事者とその他の意見。(批判含む)

 

オークランドCovid-19症例のゲノム配列決定更新-専門家の反応

Genomic sequencing update on Auckland Covid-19 cases – Expert Reaction

Published: 18 August 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/08/18/genomic-sequencing-update-on-auckland-covid-19-cases-expert-reaction/

2症例の検査の結果、1例は新たな地域クラスターに関連するがもう一つは関連がないことを確認

Rydgesホテルの管理下にある隔離施設の労働者のゲノム配列は米国から帰国して陽性でRydgesホテルに滞在した人からのものと同一。直接接触は確認されていない。

 

上級生が学校に戻る-専門家の反応

Senior students return to schools – Expert Reaction

Published: 18 August 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/08/18/senior-students-return-to-schools-expert-reaction/

教育省がオークランドの12と13年生に警戒レベル3でも対面の学習のために学校に戻ることを認めた。受験のプレッシャーのあるこの学年にとってリモート学習はストレスが大きいため。自宅の環境が良くない生徒にとっては特に不平等が大きく感じられるだろう。

(意見いろいろ。ウイルス排除したい人は反対のようだ。恐怖や不安とか)

 

-Natureニュース

膨大な無計画パンデミック実験として米国の大学に何百万人もの学生が戻っている

Millions of students are returning to US universities in a vast unplanned pandemic experiment

17 AUGUST 2020  Emma Marris

https://www.nature.com/articles/d41586-020-02419-w

多くの州でCOVID-19感染が蔓延しているにも関わらず、約1000の大学がキャンパスに戻ってくる人々を歓迎している

イリノイ大学では全ての学生や職員を週に二回唾液検査する計画で学生がキャンパスに戻ってきた。Texas A&M大学ではフットボールが再開した。国の戦略が無い中、大学は独自のアプローチで秋期からの学生の受け入れを再開している。オンライン授業や定期的検査、教室の年齢制限や大学のマスコットつきフェイスマスクの着用、ハンドサニタイザーのボトル設置など。その総体が壮大な、組織されていない公衆衛生実験となる。感染者と死者の多い米国は特にリスクがある。

他の多くの国よりも米国の大学は授業料や学生の払う食事や寮などの料金に収入を依存している。米国の議会は今年初めに大学への支援を決めているが足りない。

(学生が遊び回るより大学にいたほうが感染者が減るという計算とかいろいろ。どんなに数学の能力が高くても、ヒトの動きを予想するのが一番難しいのでは)