[BfR]タトゥーインク:ピグメントブルー15:3 とピグメントグリーン 7のリスク評価
Tattoo inks: risk assessment for Pigment Blue 15:3 and Pigment Green 7
06.10.2020
現在まで、欧州レベルでタトゥーインクに使用される成分を管理する拘束力のある規則はない。EU委員会と加盟国は現在、全加盟国内の統一された一連の法律のために、欧州化学庁(ECHA)からの提案を協議している。この提案は、消費者製品の危険物質を禁止できたり、その使用を制限できるように、欧州化学物質規制(REACH)の下での規制を予見している。ピグメントブルー15:3とピグメントグリーン7もこの提案の影響を受ける。特にこれらの顔料のため、ECHAの提案は現在人々の間で議論になっている。
そのため、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、ピグメントブルー15:3とピグメントグリーン7がもたらす潜在的な健康ハザードやリスクをレビューした。
BfRは、この2つの顔料に現在入手できるデータからは、比較的低い毒性レベルしか示されなかったと結論した。しかしながら、この2つの顔料の有害な特性に関する入手可能なデータが不完全なので、BfRは現在、タトゥーインクに使用される際のこれらの顔料の信頼できる健康リスク評価を提出できない。特に、皮膚のより深い層にこれらの物質を注入すること(皮内投与)に関わる潜在的な健康リスクの評価を提出できない。BfRはこの2つの顔料の入手可能なデータセットを補足するよう助言している。だが、現在入手可能なデータは比較的低い毒性レベルしか示さないため、BfRは現時点では、さらなる緊急対応の必要性は考えていない。BfRの見解では、この分野の今後の作業では、ピグメントブルー15:3とピグメントグリーン7が十分に調査されていない物質に置き換えられる可能性があることを考慮する必要がある。
[FSS]FSSの長期の消費者追跡調査の最新結果
Latest results from Food Standards Scotland’s long-running consumer tracking survey
7 October 2020
FSSは、スコットランド市民の食品に関する考え方、行動及び知識の変化を測る「Food in Scotland」消費者追跡調査の最新の結果(ビタミンD、家で食べること、食品の懸念について等)(Wave 10)を発表した。
JRS研究コンソーシアム調査は、それぞれ年に一度実行される、食品安全と真正性、食事と栄養に焦点を当て、交互モジュールで半年ごとに実施される。この調査はスコットランドに生活する1000人以上の代表性のあるサンプルから得た。
今回は食事と栄養に焦点を合わせた。この調査はコロナウイルス(COVID-19)パンデミック進行中の2020年7月3~17日に実施されたため、COVID-19を調査する新たな質問や食事関連の影響も含んでいる。
主な調査結果
ビタミンD
・ロックダウンの開始時にビタミンDサプリメントをとっていたのは24%だけで、さらに10%がロックダウン中にサプリメントを取り始めたと報告した。
・ビタミンDサプリメントをとることはロックダウン中に特に重要だと感じたのは回答者の1/3だけである。
注記―公衆衛生の助言は、スコットランドに住む人は冬の間(10月~3月)は特に10mcgのビタミンDサプリメントをとるよう検討すること、である。ロックダウン中は、一年中サプリメントの摂取を検討するよう助言を拡大した。
家で食べること
・回答者の2/3は家で食べることが増え、60%の人は家で調理したことが多かったと報告した。
・ほぼ半数は自由裁量で食べ物を食べることが増え、40%は退屈からより多く食べたと報告した。
・持ち帰りの利用は以前の調査より少なく、参加者のほぼ半数は利用が減ったと報告した。
食品についての懸念
・6人に1人は食品を買う余裕がないことを心配していると報告した。
・食品中の脂肪、塩、砂糖の量について懸念している人(84%-90%)や、健康的な食事は高すぎると考えている人(45%)は以前の調査以降安定した状態を保っている。
[FDA]更新
-FDAはその公衆衛生ラボの安全性とセキュリティへの関与を再確認
FDA Reaffirms Commitment to Safety, Security of its Public Health Laboratories
October 08, 2020
FDAのラボで働く2500人以上の研究者や分析者の安全性に関するGAOの助言を受けて実験室安全性計画を更新する予定
-FDAは新しい栄養成分表示についての医学生涯教育動画を公表
FDA Releases Continuing Medical Education Videos on the New Nutrition Facts Label
October 8, 2020
小児科医向け、その他医師向け、その他医療従事者向け
-ハリケーンデルタで浸水した地域の食品生産者向けリソース
Resources for Food Producers in Areas Flooded from Hurricane Delta
October 8, 2020
-FDAは食品従業員の健康と個人の衛生ハンドブックを更新
FDA Updates Health and Personal Hygiene Handbook for Food Employees
October 7, 2020
[IARC]無視されている超加工食品の環境影響
The neglected environmental impacts of ultra-processed foods
8 October 2020
https://www.iarc.fr/news-events/the-neglected-environmental-impacts-of-ultra-processed-foods/
The Lancet Planetary Healthに発表されたIARCの科学者等を含むコメント
(食品包装材はビスフェノールAのような内分泌攪乱性や発がん性をもつ化合物を含み食品添加物が認可されてるにもかかわらず環境と健康に二重に有害とか主張している。美味しいから食べ過ぎるのがダメとも。あなたたちはキャッサバやソテツを加工なしで食べればいいんじゃね?)
[ASA]Covid-19:広告の傾向
Covid-19: Trends in Advertising
08 Oct 2020
https://www.asa.org.uk/news/covid-19-trends-in-advertising.html
規制のスポットライトがギャンブル、アルコール、脂肪塩砂糖の多い食品や飲料にあたっているので、それらの広告は全体の広告の一部でしかないことを忘れがちである。前年のデータを参考に、我々の解析は英国のテレビ広告の多様な性質を提供する。そしてロックダウンの普通でない期間については、異なる広告部門の変化する運、公衆衛生メッセージの頻度、変化するニーズや要望への対応を反映している
Ofcomの2020報告書によると4月のテレビとオンライン動画コンテンツ視聴時間は平均1日6時間25分だった。公共放送のシェアが過去6年で最大になった。テレビを見る時間が増えたのでテレビ広告暴露も増加した。我々の解析では2020年3月16日から5月3日までの7週間の傾向は2019年と比べて
・テレビ広告暴露は15.6%増加
・映画やバー&レストラン、旅行のようなCovid-19の影響を受けた部門の広告は減少
・政府やソーシャルキャンペーン、食品ブランド広告は増加
・ヘアケア、口腔衛生、掃除用品広告増加
論文
-衝突する医薬品が高齢者をリスクに晒すが多くの人が薬剤師にチェックを依頼しない
Clashing medications put older adults at risk but many haven't had a pharmacist check them
7-OCT-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/mm-u-cmp100620.php
5種類以上の処方薬を使用している成人の29%が包括的薬のレビューをしたことがない
高齢者の2/3が少なくとも二つの処方薬を使用し、半分以上は2種類以上の非処方薬あるいはサプリメントを使用し、10人中2人は5種類以上の処方薬を使用している。しかし多くの人が処方薬、非処方薬、サプリメントの相互作用について薬剤師に相談したことがない
健康的な加齢に関する全国調査の結果。米国
-魚のにおいを検出する遺伝子がある、嗅覚ゲノムワイド関連研究が示す
There's a gene for detecting that fishy smell, olfactory GWAS shows
8-OCT-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/cp-tag100120.php
一部の人は魚のにおいが弱くなる突然変異をもち、またリコリスとシナモンの匂いを感じる能力には個人差がある。Current Biologyに発表された9000人以上のアイスランド人での研究。
-大麻の使用は、非医療用オピオイドの使用を、置き換えるのではなく促進しているようだ
Cannabis use appears to encourage, not replace, non-medical opioid use
8-OCT-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/cums-cua100520.php
Addictionに発表されたコロンビア大学Mailman公衆衛生大学院の研究
-米国の右翼テレビメディア視聴者はCOVID-19予防対策をあまりしないことと関連
US viewer preference for right-wing TV media linked to fewer preventive measures against COVID-19
8-OCT-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/b-uvp100720.php
BMJ Global Health。FoxよりCNNを信頼する人29%、特に好みはない人52%、CNNよりFoxを信頼する人20%で、過去7日間の予防的行動とリスキーな行動のスコアを調べると、CNNを信頼する人は予防行動3.85、Foxを信頼する人は3.41、リスキー行動はそれぞれ0.94と1.25。
(アメリカこの手の研究がものすごく多い。でも大した差じゃない。二割の人の0.4ポイントの差でアメリカの状況が説明できるとは思えない。研究者が分断を煽っているのではと疑う。)
-スポーツサプリメントを使っているアスリートはドーピングにより寛容
Athletes using sport supplements are more open to doping – study
8-OCT-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/uob-aus100820.php
Journal of Science and Medicine in Sport。
573人のアスリートに4種類のスポーツサプリメントの使用について尋ねた
・クレアチンのような、パフォーマンス強化用強壮系
・鉄のような臨床上の問題や欠乏を治療するための医療用サプリメント
・プロテインバーのようなスポーツフード/ドリンク
・クコの実のような健康に良いとされるスーパーフード
パフォーマンス強化用と医療用サプリメントを使っている人の方がドーピングに寛容だった
-CDC MMWR
COVID-19パンデミックの前と期間中に複数の状況で手を洗うことを覚えている成人に関連する特徴-米国、2019年10月と2020年6月
Characteristics Associated with Adults Remembering to Wash Hands in Multiple Situations Before and During the COVID-19 Pandemic — United States, October 2019 and June 2020
Julia C. Haston et al., Weekly / October 9, 2020 / 69(40);1443–1449
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6940a2.htm?s_cid=mm6940a2_w
米国成人インターネット調査
手を洗わない人が多いのは男性、若年成人、非ヒスパニック白人
COVID-19パンデミックで手を洗う率は増えたがが、それでも呼吸器症状の後、食事の前に手を洗うのは75%以下。料理の前とトイレの後は手を洗う率は高い。
(年収、学歴は関係なさそう)
その他
-Scienceニュース
研究者らは最速でCOVID-19の根拠を評価し合成するためにハードルに直面
Researchers face hurdles to evaluate, synthesize COVID-19 evidence at top speed
By Jeffrey BrainardOct. 8, 2020
COVID-19パンデミックが始まって間もなくMayoクリニックの医師たちは早くガイダンスが欲しいと思った。しかし科学論文の洪水を検索する時間はなかった。研究報告は時に矛盾し、医学研究者は臨床ガイドラインに合意しなかった。通常そのような混乱はシステマティックレビューの助けを借りて整理されていくが典型的なレビューは完成までに1-2年かかる。そこで根拠に基づくレビューの専門家であるMayoクリニックの内科医Hassan Muradらは急いでレビューを行い、中には3日で完了したレビューもある。Muradらだけではない。WHOの要請に応じて世界中の科学者らがこれまで2000のシステマティックレビューを作り出した。これらは効果のある治療法を明確にしたりわからないことを強調したりするのに役立ったと研究者らは言う。しかし今やレビューそのものが吟味対象である。科学者はレビューをレビューしている:早く答えを出す必要に迫られて、厳密さや包括性を犠牲にしていないか?
その初期の答えは残念なものである。多くのCOVID-19レビューに欠陥があり、有用なシグナルとノイズを分離できていない。さらに薬物治療についての240ほどのレビューを解析した結果、95%は既に時代遅れである。多くの場合レビューワーは既に公表されている臨床試験を考慮していない。あるいは新しい試験がレビューを古いものにする。それは文献の途方もない量とスピードを反映している。また関連する問題としてRCTが不足している。COVID-19データベースの35000以上の論文とプレプリントのうちRCTはたった211である。システマティックレビューは魔法の杖ではなく、一次試験の質を変えることはできない。
パンデミック以前から、システマティックレビューの厳密さやタイムリーさには懸念があった。著者等に訓練を受けた人が少なすぎる。こうした懸念がCOVID-19によって拡大した
(システマティックレビューの改善の試みあれこれ略)
しかし一部の研究者は、COVID-19対策のための行動方針ガイダンスを作るのに定量的レビューは役に立たないだろうと注意する。社会的距離をとることやマスクを着けることなどはしばしば測定が困難である。例えば屠殺場での感染拡大について根拠をレビューしようとすると多くの可能性のある要因が相互作用している。Oxford大学のTrisha Greenhalghが定性的なアプローチで説話的レビューを書いたが感染症疾患の主要誌は定量的システマティックレビューではないとしてリジェクトした。それは不可能だろう。
特にパンデミックのような場合には、政策決定者や臨床医は決定的根拠が出るまで待つべきではなく、その時点で最良の根拠を使って行動すべきである。この春英国のリーダーや疫学者はRCTとシステマティックレビューがないとしてマスクを着けることに抵抗した。しかし他の根拠はたくさんあった。このことについてGreenhalghはPLOS Medicineの6月のエディトリアルで「「根拠に基づいた医療」がCovid-19への公衆衛生対応に役立ったのか阻害したのかはいつか歴史が明らかにするだろう」と書いている。
(マスクの「十分な根拠」なんてこれからも出ないのでは。食生活はずっとほぼ「根拠」なしで助言してるけど。)
-ニュースを一目で
News at a glance
Science 09 Oct 2020:Vol. 370, Issue 6513, pp. 150-152
・スパイ卵が亀の密猟追跡に役立つ
コスタリカの海岸の巣にGPSつきのニセのウミガメの卵を101個滑り込ませ、密猟された5つを追跡し、最も遠くまで運ばれたのは137km内陸だった。Current Biologyに発表。研究者らは当局にこの情報は伝えていない、多くの密猟者が貧困地域住人で、コスタリカでは卵を買うことが違法ではない
・CDCのCOVID-19助言が非難される
先週CDCが発表したコロナウイルスガイドラインが再び議論と政治的圧力の懸念を巻き起こした。クルーズ船の航海禁止を10月31日に解除すると発表したことを巡って。他大学生の検査や空気感染について。
・日本の首相が任命を阻止
学術会議の件
-フランスは砂糖部門を助けるためにミツバチを脅かす殺虫剤の禁止を緩和
France eases ban on bee-threatening pesticide to help sugar sector
2020年10月7日 EURACTIV.com with Reuters
10月6日にフランスの立法府はテンサイ農家にミツバチを守るために禁止された殺虫剤を使うことを認める法案を認めた。病害虫に苦しむ農家は歓迎するがグリーン団体は非難する
この法案はEmmanuel Macron大統領が選挙戦中に約束したことと違うが、砂糖業界を助けるためである。Julien Denormandie農業大臣が過熱した議論の中、国民議会でこの法案は環境保護に反対するためではなく農家を助けるためだと語った。今年収量が15%減った農家が栽培をやめることを避けるため、2018年から禁止されているネオニコチノイドをテンサイの種子に使うことを2023年7月1日まで認めた。一方科学者や生産者に代用品の研究を促す。
グリーンピースフランスの活動家Clement Senechalは「政府は科学的根拠と人々の意見によるプレッシャーにもかかわらず土や動物や我々の食品に毒を入れることを促したことを歴史は忘れない」と声明を発表した
法案は上院に送られる。
(種子処理は毒ではないし。グリーンピースは人間を呪ってるので)
-スコットランド政府
COVID-19拡大を止める新しい対策
New moves to stop COVID-19 spread
07 Oct 2020
https://www.gov.scot/news/new-moves-to-stop-covid-19-spread/
感染が増えたため対策強化
(エビデンスペーパーによるとマスクのコンプライアンスは高いが家族以外の人とキスやハグをするのは6%、合う人数の制限に従わない人が12%、そしておそらく最大の問題の、症状があるので家を出なかった(隔離規則を守った)と答えた人がスコットランドでたった23.1%(英国全体では18.2%)。症状があっても出歩く人がほとんどであるのに、無症状の感染者がいるから難しいとかいう議論にどれだけ意味があるのか、って思わないんだ)
-NEJMのエディトリアル
リーダーシップ真空の中で死んでいく
Dying in a Leadership Vacuum
October 8, 2020
N Engl J Med 2020; 383:1479-1480
Covid-19は世界中に危機を生み出した。この危機はリーダーシップのテストだった。良い選択肢がない中、各国はどう対応するか選択を迫られた。ここ米国では、我らがリーダーはテストに不合格だった。彼らは危機を悲劇に変えた。この失敗の程度は驚くべきほどである。どんな国も米国よりは良くやった。
我々はテクノロジーに焦点を当てる傾向があるが、効果の大きい介入はそれほど複雑なものでは無い。米国には危機の前に膨大なアドバンテージがあったのに、リーダーの対応は一貫して不適切だった
(抜粋。えらく嘆いている)
一方ニュージーランドはCovid-19対策に成功した首相がノーベル平和賞候補だとはしゃいでいる
Prime Minister Jacinda Ardern to find out today if she has won the Nobel Peace Prize
9 Oct, 2020