2020-10-28

[EFSA]意見等

-Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki SA‐11株の農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki strain SA‐11

EFSA Journal 2020;18(10):6261 26 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6261

情報不足と懸念が確認された。

 

-Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki SA‐12株の農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki strain SA‐12

EFSA Journal 2020;18(10):6262  26 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6262

情報不足と懸念が確認された。

 

-穀物と豆類のPseudomonas chlororaphis MA342株種子処理後の植物への転座の可能性とヒトへのリスク評価についての声明

Statement on the translocation potential by Pseudomonas chlororaphis MA342 in plants after seed treatment of cereals and peas and assessment of the risk to humans

EFSA Journal 2020;18(10):6276 24 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6276

欧州委員会は、穀物と豆類の種子処理後に植物にPseudomonas chlororaphis MA342株が転座する可能性に関して、該当する場合は、その代謝物2,3‐ジオキシ‐2,3‐ジデヒドロ‐リゾキシン (DDR)によるヒトへのリスクの評価改訂のために、科学的助言を提出するようEFSAに要請した。これは、承認更新のための文書で入手可能な根拠に基づいている。この文書で入手可能な研究ではMA342株がP. chlororaphis種に属することが確認できなかったため、MA342株以外の他のP. chlororaphis株の情報が注意深く検討された。種子処理後に植物の食用部分に推定濃度最大およそ10^5 cfu/gまでP. chlororaphis MA342株の転座の可能性があるとが結論され、生鮮作物の摂取によりある程度の暴露が想定される。 また、植物中での代謝物質DDRの生産は除外できない。未加工農産物のDDRの濃度に関しては、この文書に豆類のDDRの濃度に関する情報がないため、穀物のDDRの定量限界(LOQ)に基づく暴露推定量をこれ以上精細化することはできない。遺伝毒性に関しては、DDRは染色体損傷を誘発した。しかし、それが異数性あるいは染色体異常誘発メカニズムによるものであるかどうかを結論付けることはできなかった。そのため、DDRが異数性効果を生み出しているという信頼できる結論を引き出すことも、あるいは異数性の閾値用量を決定することも不可能である。従って、DDRへの暴露に関してヒトのリスク評価を改訂することはできない。2017年のEFSAの結論で特定された懸念は残っている。

 

-発達神経毒性の評価用in‐vitro試験バッテリーの実行と解釈のための先験的なプロトコルの確立

Establishment of an a priori protocol for the implementation and interpretation of an in‐vitro testing battery for the assessment of developmental neurotoxicity

23 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1938

私達はこのプロジェクトで、十分な準備とそこから生成されたデータのある試験法に基づくヒトの細胞ベースのDNT in vitro試験戦略を設定した。この手段は4つの主な要素、1. 検査システム、2. 暴露スキーム、3. アッセイと分析エンドポイント、4. 分類モデルを考慮した目的適合性評価を受けた。この検査バッテリーは毒性学的情報が多く入手できる119の化学物質で試行された(それらのうちいくつかはDNTのハザードについても)。テストは10の DNT‐特異的エンドポイントと追加の9つの生存能力/細胞毒性に関するパラメーターを測定する5つの検査系で実施された。US‐EPAはおよそ半分の化合物にDNT in vitro試験による追加及び補足データを加えた。この拡張バッテリーも評価された。テスト結果から、この最新のDNT in vitroバッテリーの検査手段は信頼でき再現性があることが明らかになった。このエンドポイントは概ね冗長性は低い。DNTハザードについて十分に特性が明らかにされた化合物で評価した場合、バッテリーの性能は感度が82.7%、特異性は88.2%だった。放射状、アストロ-およびミクログリアや髄鞘形成エンドポイントをバッテリーに追加するようギャップ分析は提案した。2つのケーススタディ、14の難燃剤のスクリーニングと優先順位付けが1つと、2つの農薬のハザードキャラクタリゼーションに関するものが1つ、が提示された。仮想AOPsが後者のケーススタディを基にして開発された。結論として、ここで探索されたDNT検査戦略は、DNTハザードの特定と特性評価の非常に期待できる最初のアプローチである。その性能は有望であり、さらなる試験を含めることで改善される可能性がある。DNT in vitroバッテリーテスト結果のいくつかの不確実性は、試験化合物のin vitro および in vivoトキシコキネティクスに関する試験データやモデリングアプローチを組み込むことで削減できる。

 

-Anxiofit‐1と閾値以下や軽度の不安の軽減:健康強調表示の評価

Anxiofit‐1 and reduction of subthreshold and mild anxiety: evaluation of a health claim pursuant to Article 14 of Regulation (EC) No 1924/2006

EFSA Journal 2020;18(10):6264 22 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6264

Anxiofit‐1(エキナセア抽出物)の摂取と閾値以下や軽度の不安の削減の間の因果関係を立証するには科学的証拠は不十分だとパネルは結論した。

 

-開花アブラナのピクロラムの既存MRLの改訂

Modification of the existing maximum residue level for picloram in flowering brassica

EFSA Journal 2020;18(10):6272 22 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6272

妥当性が確認された定量限界(LOQ) 0.01 mg/kgで検討中の植物本体のピクロラムとその複合体の残留物を管理するのに利用可能な執行のための分析法が得られた。リスク評価結果に基づき、EFSAは報告された農業規範によるピクロラムの使用から生じる残留物の短期及び長期摂取は消費者の健康リスクになりそうもないと結論した。規制リスク評価での使用に適した信頼できるエンドポイントが示された。

 

-チャイブ、セロリの葉、パセリ、タイム、バジル、エディブルフラワーのフルロキシピルの既存MRLsの改訂

Modification of the existing maximum residue levels for fluroxypyr in chives, celery leaves, parsley, thyme and basil and edible flowers

EFSA Journal 2020;18(10):6273  22 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6273

妥当性が確認された定量限界(LOQ) 0.01 mg/kgで検討中の作物のフルロキシピルの残留物を管理するのに利用可能な執行のための分析法が得られた。リスク評価結果に基づき、EFSAは報告された農業規範によるフルロキシピルの使用から生じる残留物の摂取は消費者の健康リスクになりそうもないと結論した。

 

[WHO]人々の生活、健康、そして我々のフードシステムへのCOVID-19の影響

Impact of COVID-19 on people's livelihoods, their health and our food systems

13 October 2020

https://www.who.int/news/item/13-10-2020-impact-of-covid-19-on-people's-livelihoods-their-health-and-our-food-systems

-ILO、FAO、IFAD及びWHOによる共同声明-

(一部抜粋)

COVID-19パンデミックは世界で人の命を劇的に奪い、公衆衛生や食品システム、仕事の世界に、かつてない課題を突きつけている。パンデミックによる経済的及び社会的な混乱は衝撃的である。パンデミックは食品システム全般に影響を与え、その脆さを露呈した。国境封鎖、貿易制限、制限措置が、農業関係者たちの行動を妨げることになり、国内でも国際的にもフードサプライチェーンを混乱させ、健康的で安全な多様な食品を手にすることが困難になった。パンデミックは仕事を激減させ、数百万人の生活をリスクに晒している。COVID-19危機は、食料安全保障、公衆衛生、雇用と就労、特に労働者の健康と安全に影響を及ぼす。

既に人道危機や緊急事態にあった国々は特にCOVID-19の影響に晒されている。迅速にパンデミックに対応するとともに、人道的な支援や、最も必要としている人に届く回復のための支援が重要である。

今は世界的な団結と、特に我々の社会の中で最も脆弱な人々への、そして新興国や途上国への支援を行う時である。我々は、パンデミックによる健康・社会・経済への影響を共に克服することが可能で、人道と食料安全保障の大惨事が深刻になるのを防ぐことができる。

我々は、国連事務局がまとめた政策概要に記してあるように、これが、より良く回復するための機会であることを認識しなければならない。我々は、危機対応の支えとなる専門知識と経験を蓄積し、持続可能な開発目標の達成のために尽力する。我々は衛生部門と農産食品部門が直面する課題に対処するために、長期的で持続可能な戦略を立てる必要がある。中でも、食料安全保障や栄養不良の課題、地域的な貧困の問題、全ての人への社会的保護の拡大、安全な移動経路の確保、非公式経済の公式経済への移行促進への取り組みが優先されるべきである。

我々は、改めて環境の未来を考え、意欲的かつ緊急に気候変動と環境破壊に取り組まなければならない。それでようやく、我々の健康と生活、食料安全保障と栄養を守ることができ、新しい日常(new normal)をより良いものにすることができる。

 

[Codex]世界食料デー2020:私たちの行動が未来をつくる

World Food Day 2020. Our actions are our future.

16/10/2020

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1315136/

 世界食料デー2020(10月16日)は、「育て、養い、持続させる」をスローガンとして、より弾力的で堅牢なアグリフードシステムと世界的な団結、そしてより良く回復することを呼びかけている。また、フードサプライチェーンを通じて、どのような状況だろうと、何処にいようとも食品を提供し続けているフードヒーローを賞賛する。

コーデックスのフードヒーローは誰?

60年以上もの間、コーデックス規格やガイドライン、実施規範は食品の安全性と公平な貿易を確保することに貢献してきた。世界の食品の専門家らによって策定され、堅固な科学の上に成り立ち、189のメンバーによって合意されたこれらの文書は、世界食料デーに求められる世界的な団結の結果である。

コーデックスのフードヒーローは、安全な食品を生産、収穫、加工、輸送、そして我々の家庭に販売する人達である。コーデックスに根拠を提供し基盤となる科学者もそうである。また、食品衛生、食品添加物、農薬、栄養、表示、輸出入など、健康を増進し、貿易を強化する基準を認めて着実に実行する人達のことである。

コーデックスは、各国政府や企業、各組織に向けた、持続可能で弾力的なフードシステムと生活についての知識を共有し、ともに支援しようという世界食料デーの呼び掛けを支持する。我々は、共に、世界を育て、養い、持続することができる。

*FAO:World Food Day

http://www.fao.org/world-food-day/en/

*FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

http://www.fao.org/japan/portal-sites/wfd/en/

 

[FDA]塩化セシウムを含むダイエタリーサプリメントへの最近のFDAの対応

Recent FDA Action on Dietary Supplements Containing Cesium Chloride

October 13, 2020

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/recent-fda-action-dietary-supplements-containing-cesium-chloride

 FDAは2020年10月9日、ダイエタリー成分として塩化セシウムを含むと表示したダイエタリーサプリメントを販売した5つの会社に警告文書を発送した。塩化セシウムは新規ダイエタリー成分と見なされ、FDAは、それを含むダイエタリーサプリメントは法的要件を満たしておらず異物混入に該当すると判断した。塩化セシウムは、がんの代替療法として宣伝されることがあるが、その安全性と有効性は証明されていない。FDAは、2020年2月に公衆衛生警告を公表し、塩化セシウムをはじめとするセシウム塩を含むダイエタリーサプリメントを摂取しないよう消費者に警告した。対象会社は次の通り。

American Nutriceuticals, LLC

Complete H2O Minerals, Inc.

Daily Manufacturing, Inc.

Elemental Research, Inc. and The Mineral Store, Inc.

Essence-of-Life, L.L.C.

 

[FDA]FDAはある種の糖の栄養表示に関する情報を募集しアルロースの最終ガイダンスを発表

FDA Seeks Input on Nutrition Labeling for Certain Sugars and Issues Final Guidance on Allulose

October 16, 2020

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-seeks-input-nutrition-labeling-certain-sugars-and-issues-final-guidance-allulose

 本日FDAは、従来の糖類とは代謝が異なるある種の糖類について、栄養及びサプリメント成分表示に係わる2つの取り組みを実施した。

 食品及び飲料品の栄養成分表示には、カロリー、総炭水化物、総糖類及び添加糖の量が他の情報とともに表記されている。多くの消費者に馴染みのあるショ糖やテーブルシュガーといった糖類は、血糖やインスリン量を上昇させ、カロリー量が4 kcal/gで、虫歯の原因となる。それらの従来糖と比べると、アルロースやD-タガトース、イソマルトースなどいくつかの糖類は代謝や生じるカロリー量が異なる。FDAは、従来糖と代謝が異なる糖類について栄養表示を区別することを求める複数の請願を受け取っている。これを受けFDAは、従来糖と代謝が異なる糖の栄養表示に関する情報を60日間募集することを発表する。さらに、そのような糖類の一つであるアルロースの栄養成分表示とカロリー量に関する最終ガイダンスを発表した。最終ガイダンスでは、製造業者向けに、アルロースを栄養成分表示上で総糖類と添加糖に含めることへの執行の自由裁量について助言している。ただし、総炭水化物にはこれまでと変わらず含める必要がある。カロリー量については、4 kcal/gの使用を執行の自由裁量とする意向である。

*最終ガイダンス:Guidance for Industry: The Declaration of Allulose and Calories from Allulose on Nutrition and Supplement Facts Labels

https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/guidance-industry-declaration-allulose-and-calories-allulose-nutrition-and-supplement-facts-labels

 

[FDA]使わないで:黒軟膏(Black Salve)は危険で多様な名称で呼ばれている

Do Not Use: Black Salve is Dangerous and Called by Many Names

10/13/2020

https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/do-not-use-black-salve-dangerous-and-called-many-names

-「黒軟膏(Black Salve)」を含む多様な名称で呼ばれている、腐食性の成分を含む軟膏(slave)は、危険で命にかかわることもある-

 がん、おでき、スキンタッグを治すと謳った軟膏やクリームを販売するウェブサイトを見たことがあるだろう。これらの謳い文句は嘘である。腐食性成分を含む軟膏製品は危険で、どのような皮膚病の治療にもFDAは認可していない。

FDAは、特にサンギナリン、サンギナリア(Sanguinaria canadensis)又は赤根草(bloodroot)と塩化亜鉛を単独又は混合で含むとされる軟膏やその他の局所用製品を使用しないよう消費者に警告している。これらの成分には腐食性があり、皮膚を破壊し、永久的な瘢痕や組織壊死を引き起こし、感染症になる可能性がある。

 注意が必要な軟膏は、黒軟膏(Black Salve)、スキンプローブ(Skinprov)、drawing salve、赤軟膏(red salve)、Cansema、bloodroot、インディアンハーブ(Indian Herb)、Hawk Dok Natural Salve、Black Drawing Ointmentなど多種多様な名称で販売されている。形状も色々とあり、軟膏、ペースト、クリーム、湿布などがある。天然やホメオパシー製品と称して販売されることもある。いくつかの製品では、腐食性成分が「不活性(inactive)」と書いてある。塗布したところの炎症や痛み、瘢痕形成があるだろうと解説している製品もあり、そのような製品にも注意しなければならない。

 FDAはこれまでに24件の黒軟膏による有害事象を同定しており、そのうち15件は過去5年以内の報告であった。効果が証明されているがん治療ではなく腐食性軟膏の使用を選択した患者の死亡例も認識している。これらの虚偽の効用を謳った製品の会社に対し、FDAは引き続き警告文書を発送し、執行措置を講じる。

*警告文書

Haloderm, Inc.

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/haloderm-inc-608852-10062020

Oneness Labs

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/oneness-labs-608918-10062020

 

論文

-使い捨てプラスチックの環境影響を取り巻く5つの誤解

Five Misperceptions Surrounding the Environmental Impact of Single-Use Plastic

Environmental Science & Technology

https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acs.est.0c05295

1 製品の環境影響に最も影響が大きいのはプラスチック包装

2 全ての包装材の中でプラスチックが最も環境影響が大きい

3 再利用製品の方が使い捨てプラスチックより常に良い

4 リサイクルとコンポストを最優先させるべき

5 使い捨てプラスチックを排除する「ゼロ廃棄」が環境影響が最小

これらは全て間違い

包装より中身の方が環境負荷が高い。牛肉を植物に変えることの方が遙かに影響が大きいという図がある

 

-Natureコメント

欧州グリーンディールは環境ダメージを他国に移す

Europe’s Green Deal offshores environmental damage to other nations

26 OCTOBER 2020 Richard Fuchs et al.,

https://www.nature.com/articles/d41586-020-02991-1

毎年数百万トンの作物や肉を輸入していることがEU内での農業基準の効果をなくし熱帯の森を破壊する

欧州緑の協定(グリーンディール)は地球にとって悪い協定になる可能性がある

EU域内で森を増やしても熱帯の森林を破壊し、EU域内で栽培を禁止しているGM作物を輸入するダブルスタンダードを続けていることへの批判。農業の環境負荷を考えるなら輸入も考えるべきでEU内で肉とミルクを食べる量を減らすこと、等