2021-04-22

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 153-21

22 April 2021

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notificationcircular153-21.aspx

意見募集

・特定医療目的食品中ビタミンB3としてのニコチンアミドリボシド塩化物

2021 MRLハーモナイゼーション要請受け付け

食品基準改定

・果物と野菜のつや出し剤としての脂肪酸のモノおよびジグリセリド

・除草剤耐性昆虫保護綿系統DP23211由来食品

 

[USDA]遺伝子組換えを使って開発したある種の動物の規制監督のための規則提案事前通告に意見を歓迎する

Comments Welcome on USDA Advance Notice of Proposed Rulemaking for Regulatory Oversight of Certain Animals Developed Using Genetic Engineering

Published: Apr 21, 2021

https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/stakeholder-messages/biotechnology-news/anpr-outreach

USDAのAPHISは2021年3月8日に遺伝子組換えを使って開発した動物の規制に関する意見募集を再開した。5月7日まで、あなたの意見を歓迎する

 

[ProMED]サバ中毒-欧州:ベトナムからスウェーデン、まぐろ

Scombroid fish poisoning - Europe: Sweden ex Viet Nam, tuna

2021-04-21

https://promedmail.org/promed-post/?id=8319771

Date: Thu 15 Apr 2021 Source: Food Safety News [edited]

2021年4月の間にスウェーデンで約20人がベトナム産の魚によるヒスタミン中毒になった。2021年4月初めの食中毒アウトブレイクはストックホルムで19人が、3つの異なるレストランでマグロを食べて中毒になった。これら3レストランは全て同じ供給業者から同じ期限表示の冷凍マグロ切り身を購入していて、ベトナムからオランダ経由でスウェーデンに届く前にヒスタミン濃度が高かったことを示す。

2021年3月にはイタリア当局がベトナム産冷凍キハダマグロのヒスタミンによるアウトブレイクを報告しているが患者数は報告されていない。2020年にはスウェーデンは3ヶ月の間にベトナム産マグロによる3件のヒスタミン中毒アウトブレイクを記録している

スウェーデンでは2021年4月から新しい規制が発効していて、その中には食品規制当局が身分を明かすことなく購入できることを含む。電子商取引も含む。これは国内法をEU規制に合わせるためのもの。

 

論文

-国際研究チームが有機農業と遺伝子組換えを組み合わせるよう求める

International research team argues for combining organic farming and genetic engineering

21-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/ub-irt042121.php

世界レベルの持続可能性向上のために、EU規制は有機農業に遺伝子組換えの使用を認めるよう変更すべきである

Trends in Plant Scienceに発表

2020年5月に欧州委員会は「農場から食卓まで」戦略を発表し、2030年までにEUの農業用地の25%を有機農業にすることを目標にした。しかし現在のEUの規制のままではこれが持続可能性を増すことにはならないだろう。むしろ持続可能性は下がる。それを解決するためにバイオテクノロジーを使うべき。

 

-中年の心血管系疾患と死亡リスク増加に関連する食品

Foods associated with an increased risk of cardiovascular disease and death in middle-age

21-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/bc-faw041921.php

BMC Medicineに発表された研究によると、英国人中年の心血管系疾患と死亡リスク増加に関連する可能性のある二つの食事パターンは、チョコレートとお菓子をたくさん食べることを含む。

一つはチョコレート、お菓子、バター、白いパンが多く生鮮野菜果物が少ないパターン、もう一つは砂糖入り飲料、フルーツジュース、チョコレート、お菓子、テーブルシュガーとジャムが多くバターと脂肪の多いチーズが少ないパターン

前者のパターンは男性、若い、経済的貧困、喫煙者、運動しない、肥満、高血圧の可能性が高い。後者のパターンは運動量が多く喫煙や肥満は少ない

 

-中国の甲状腺がん過剰診断のマッピング

IARC

Mapping overdiagnosis of thyroid cancer in China

21 April 2021

https://www.iarc.who.int/news-events/mapping-overdiagnosis-of-thyroid-cancer-in-regions-of-china/

The Lancet Diabetes & Endocrinologyに発表された中国の研究者とIARCの協力による新しい研究は中国での甲状腺がん過剰診断の影響を地域毎に定量化した。

がんの過剰診断は新興経済国にとって公衆衛生上の課題で、中国ではここ数年全てのがんの中で甲状腺がんが最も大きく増加している。この集団ベースの研究で、研究者らは甲状腺がんの過剰診断の測定可能な影響を指摘する重要な疫学的特徴を発見した。その中には多くが乳頭腫がんである甲状腺がん発生率が地域によって大きく異なりそれが医療へのアクセスに関連すること、一部の登録では年齢特異的曲線が歪んでいることなどを含む。この知見は過剰診断の急速な拡大を抑えるための規制を計画する場合には地域毎の医療の有り様を考慮すべきであることを示唆する。

甲状腺がんの過剰診断は医療の過剰使用の一例で、医療の平等性を向上させつつ同時に支出を抑制するための大きな課題である。社会経済的レベルが高い国に急速に移行しつつある中国でのこれらの知見は新興経済国の早期警鐘となろう

Mapping overdiagnosis of thyroid cancer in China

https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(21)00083-8/fulltext

上海で85%、杭州で92.9%が過剰診断、地方は過剰診断はないと推定されている。

 

SMC UK

中年の心血管系疾患と死に関連する食品を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at foods associated with cardiovascular disease and death in middle age

APRIL 22, 2021

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-foods-associated-with-cardiovascular-disease-and-death-in-middle-age/

BMC Medicineに発表された観察研究が英国成人の食事パターンと中年での心血管系疾患と死亡頻度を調べた

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

この研究は説明するのが複雑で、知見は解釈が複雑だが統計的には概してちゃんとしている。論文でもプレスリリースでも明示しているがこれは観察研究である。つまり因果関係は言えない。

しばしば食品と健康の研究をする人たちは、一度に数種類の食品しか調べない。それには問題があるがこの研究は別の方法を使っている。食事の質を評価すると考えられている4つの指標、エネルギー密度、飽和脂肪の量、遊離の糖、食物繊維の量、がある。彼らはUKバイオバンク研究の参加者の10万人以上の人が食べた食品の詳細データを検討し、縮小ランク回帰(RRR)という統計手法を使って4つの指標に関連する食生活パターンを見つけた。その結果参加者は二つの異なる食事パターンに関連したスコアをつけられた。おちらもスコアが高いと食事の質が悪い。それから平均8年フォローして、CVDや死亡を記録した。

第一の食事パターンでハイスコアをとるにはたくさんのチョコレートやお菓子を食べ野菜果物が少ない必要がある。このスコアとCVDあるいは死亡リスクの高さに明確な関連があった。

二つ目の食事パターンではハイスコアになるためにはたくさんの砂糖入り飲料とフルーツジュース、ジャムや砂糖を食べ、バターや脂肪の多いチーズは少なくなければならない。こちらもスコアの高さと健康リスクに関連はあったが第一のパターンほど強くはない。一つ目と二つ目のパターンは相当違って、特にバターは逆になる。これはRRR統計手法はそのようなものなので驚くべきことではないが、この知見をもとに食事助言をしようとすると少し難しくなる。バターやチーズについてどう助言するればいいのだろうか?研究者らはさらなる研究を薦めている。

Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授

栄養研究は個々の食品より重要な、食事パターンについて焦点をあてることが増えている。そういう文脈で食事パターンと健康を調べる研究は歓迎される。これまで行われてきた「地中海食」や「健康的北欧食」などのような特定の食事パターンの研究とは違って、この研究は食事パターンの同定に機械学習で使われている方法を使った。

この研究は大規模でよく知られている集団のデータを使った質の高いものである。その結果特定の食事パターンが心疾患と早期死亡リスクに関連することを示した。注目なのはバターの両義的役割である。これらの結果の解釈は難しい。「不健康」な食事パターンのヒトは肥満である可能性が高いが同時に社会経済的地位も低い可能性が高い。著者は調整しているが結果に影響はあるだろう

Aston大学医学部上級教育フェローで登録栄養士Duane Mellor博士

これは興味深い大規模研究でいくつかの強みがある。食事の調査は複数回である。ただし24時間思い出し方は個人と記憶と意思に依存する。また心疾患と死亡は病院の記録を使っているので信頼できる。

食事パターンの決定が50の食品グループをもとにして決めていて5-6種類よりいいかもしれないがそれでも実際に人々が食べている詳細の多くを失っているだろう。それがチーズや乳製品に関する知見の一部を説明できるかもしれない。またチョコレートとお菓子の分類でもみられる。フルーツジュースと砂糖入り飲料がリスクの予想因子になるのは興味深いが、おそらくそれは遊離の糖が食事パターンの定義基準になっているからであろう。フルーツジュースと砂糖入り飲料を分離するのは役に立つだろうがおそらく重要なのは量であろう。ここで使われた手法は仮説をつくるには興味深いが実際の食事を反映しているとは思えない。我々は食事パターンの影響についてもっと理解するには、何故どんなふうに人々が食を選択するのかを考える必要がある。

 

妊娠ラットの抗酸化物質処置と子どもが大きくなってからの記憶を調べたラット研究への専門家の反応

expert reaction to rat study looking at antioxidant treatment in pregnant rats and memory in adult rat offspring

APRIL 21, 2021

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-rat-study-looking-at-antioxidant-treatment-in-pregnant-rats-and-memory-in-adult-rat-offspring/

FASEB Jに発表

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

このラットの研究は役に立つが、プレスリリースの言外の示唆は極めて誤解を招くものである。実際に研究者らが調べたのはラットでの胎仔の低酸素の記憶への影響とビタミンCがそれを予防できるかどうか、である。これがヒトの母親で使えるようになるにはまだ長い道のりがある。またビタミンCの影響はそれほど強くはない。さらにプレスリリースで主張していることとは違って妊娠中に酸素濃度の低かったラットが記憶タスクに時間がかかることは明らかではない。この研究からヒトでの応用は非常に遠い(詳細説明あり)

Cardiff大学心理学部教授Dominic Dwyer教授

この研究は能の低酸素ダメージのメカニズムに関する期待できる研究だが、プレスリリースの(そしてこの論文そのものの)主張のいくつかは根拠を超えている。特に妊娠中にビタミンCを摂れば生まれた後の認知機能の欠損から保護できるという主張はデータからは言えない。ヒトの治療に使えるという一般化はできない

King’s College London産科教授Andrew Shennan教授

このラットの研究ではビタミンCに記憶力の乏しさを改善する可能性を示唆したが、ビタミンCはヒトの妊娠中に何のベネフィットも示されていない。従ってヒトで確認する必要がある

 

(問題のプレスリリースはケンブリッジ大学のもので、妊婦さんの写真を掲載して「妊娠中に抗酸化サプリメントを使用すれば胎児の低酸素記憶障害を予防できるかも」と主張する。かなりの誇大広告。

Simple treatment during pregnancy can protect baby from memory problems in later life, study in rats suggests

21 Apr 2021

https://www.cam.ac.uk/research/news/simple-treatment-during-pregnancy-can-protect-baby-from-memory-problems-in-later-life-study-in-rats

 

その他

-Natureニュース

COVIDが如何にして他の危険な病気との闘いを損なったか

How COVID hurt the fight against other dangerous diseases

21 APRIL 2021  Leslie Roberts

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01022-x

結核、はしか、ポリオ対策が全て後退した

2020年3月にインドがロックダウンに入った後、毎日検出される結核が70%減った。これは医療資源がCOVID-19対策に振り分けられたため結核は診断も治療もされないままであることを意味した。3月、WHOは世界で結核治療をうけた人の数が100万人以上減り、通常より50万人以上多くの人が死亡するだろうと推定した。

はしか、ポリオ、髄膜炎などへの対策も撹乱された。その影響は、COVID-19そのものによる影響より大きく、長く続くだろう。影響は世界中でみられるものの、最も大きな影響を受けるのは最も貧しい最も脆弱な国々である。

(各論含む長い記事。)

 

インドの膨大なCOVID急増は科学者を困惑させる

India’s massive COVID surge puzzles scientists

21 APRIL 2021  Smriti Mallapaty

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01059-y

ウイルスがかつてない早さで拡大している、以前大都市での感染率が高く幾分かの保護になるはずなのに

抗体検査の代表性の問題、変異株、行動変化、等

 

-Scienceニュース

コロナウイルスワクチンに失敗し、フランスは生命医学R&Dの状態を嘆く

After coronavirus vaccine failures, France laments the state of its biomedical R&D

By Tania Rabesandratana Apr. 21, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/04/after-coronavirus-vaccine-failures-france-laments-state-its-biomedical-rd

フランスのパンデミック第三波が勢いを増す1月25日、パスツール研究所の科学部長Christophe d’Enfertは厳しい任務のために国営テレビに出た:ワクチンのパイオニアであるLouis Pasteurにちなんで名付けられたこの立派な研究所が、どうしてCOVID-19ワクチンを諦めたかを説明する。同時期にフランスの大製薬会社Sanofiが候補が遅れていること、社員を数百人解雇することを発表した。現在フランスは国連安全保障理事会メンバーで唯一使用可能なワクチンを持たない国である。d’Enfertにとって、そのことはフランスが質の高い基礎研究をする能力だけではなくそれを開発につなげる能力にも疑問をもつことになった。

この注目された失敗はフランスの生命医学が直面している問題にスポットライトを当てた。失敗を予想することはできないものの、そのパターンは単なる不運ではない、とCNRSの生命医学の社会学者Audrey Vézianはいう。基礎研究への資金提供を減らしてきたこととベンチャーキャピタルに乏しいことを指摘する専門家もいる。また官僚組織団体が増えすぎて資源を無駄にし混乱を招いた、ともVézianはいう。

(以下いろいろ。)

 

-キルギスの病院で、大統領が宣伝した有毒な根の中毒になった4人の患者を治療している

Four Patients Being Treated In Kyrgyz Hospitals For Poisoning With Toxic Root Promoted By President

April 21, 2021  By RFE/RL's Kyrgyz Service

https://www.rferl.org/a/kyrgyzstan-toxic-root-president-four-patients-hospital-poisoning/31215533.html

キルギスの首都Bishkekの病院で、4人の患者がSadyr Japarov大統領がCOVID-19の治療に有効だと宣伝している毒草の根を摂取して治療を受けている。

医師によると4月21日に63才のDuishon Abdyldaevがトリカブトの根の中毒で国立心臓学治療センターで治療され、他に匿名の3人がBishkek外傷整形外科センターの毒性学部門で治療を受けた。そのうち二人は夫婦である。

4月15日にJaparov大統領がトリカブトの根がCOVID-19の治療に有効であることが証明されているとフェイスブックに投稿した。その次の日に保健大臣Alymkadyr Beishenalievが記者会見でその調合物は数百人の感染者に与えられたと言って、記者の前で溶液を飲んだ。

フェイスブックはその投稿を削除した。「例え選挙で選ばれた人でも、デマをシェアするのは認めない」

Kurmankul Zulushev検事総長は、保健大臣の記者会見と4人の中毒に関連があるかどうか予備的調査を開始していると述べた。

(写真が先週市場でトリカブトの根を売るキルギスの行商人。園芸用ではなさそう)

 

-GM作物と世界の分断

GM CROPS AND THE GLOBAL DIVIDE

Jennifer Thomson(ケープタウン大学微生物学名誉教授)

Paperback - January 2021

https://www.publish.csiro.au/book/7929/

世界のGM作物への態度を探りネガティブな感情の理由を明らかにする

アフリカのバイオテクノロジーの初期からずっと関与してきた第一人者による本

 

-COVID-19予防のための表面の消毒はしばしば単なる見世物、CDCがいう

Disinfecting surfaces to prevent COVID-19 is often just for show, CDC says

Apr 20, 2021  By Virginia Langmaid, CNN

https://www.wcvb.com/article/disinfecting-surfaces-to-prevent-covid-19-is-often-just-for-show-cdc-says/36168024#

COVID-19の表面を介した感染は低く、はるかに重要なのは空気である。そしてひたすら表面消毒ばかりしている人たちはむしろ害かもしれない。それは「衛生劇場」で偽りの安心感を与える可能性がある