[BfR] 農薬:心配の種?
Plant protection products: Cause for concern?
31.05.2021
物議を醸すテーマに関する第21回BfR消費者保護フォーラム報告
一部の人にとってはそれは「農場での毒」としてのリスクであり、他の人にとっては現代農業の重要な一部である:化学植物保護製品(農薬)については、意見は大きく異なる。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)が掘り下げ、異なる観点からこの話題を検討する理由は十分である。「農薬-心配の種?」これは、ベルリンKaiserin Friedrich-Hausコッホ広場で2021年6月9-10日にかけて行われる第21回BfR消費者保護フォーラムのタイトルである(オンライン参加可能)。BfR所長のProfessor Dr. Dr. Andreas Henselは、「多くの人が植物保護製品がオーガニック農業でも使用されていることを認識していない。このイベントは知識のギャップを橋渡しし、完全な情報提供をして議論の基盤を提供することが目的である。」
以下プログラムのフライヤーである。
(https://www.bfr-akademie.de/english/21-bfr-consumer-protection-forum.html)
植物保護製品は認可される前にどのように検査されるのか、農場でどのように使用されるのか?食品への残留物についてはどうか?どのリスクが現実であり、どれが「思われている」だけなのか?これらは消費者保護フォーラムであがった質問のいくつかである。科学及び農業、公的機関や非政府団体からのスピーカーが招待される。最後のパネルディスカッションではこのトピックを取り巻く問題と視点が再び取り上げられる。興味ありますか?質問と貢献はフォーラムを通して歓迎しますので、どうぞ参加してください!
[BfR] プラスチックストローの代用品:どの素材が適切?
Alternatives to plastic straws: Which materials are suitable?
27 May 2021
https://www.bfr.bund.de/cm/349/alternatives-to-plastic-straws-which-materials-are-suitable.pdf
飲用ストローは2021年以降欧州全域で販売が禁止される使い捨てプラスチック製品である。これは2019年6月5日の欧州連合指令2019/904に記されている。結果として、飲用ストロー及びこれまで大部分がプラスチック製であったほかのよく使用される製品の生産のために代替物質が確立されなければならない。
欧州連合の食品接触物質の枠組み規則(規則 (EC) No. 1935/2004)で設定されているように、食品に直接接する物質は安全でなければならない。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)はわら、シリコーン、金属、紙及び厚紙、デュラム小麦、及びガラスを飲用ストローの生産におけるプラスチック代用に適切であるか評価した。
頻繁に使う場合、シリコーン製、ステンレス鋼製あるいはガラス製飲用ストローは、BfRの意見書において、プラスチックストローの適切な代替品である。シリコーンは、製造がBfR助言No. XVの仕様を遵守するならば、食品接触物質(FCM)として適切である。金属と合金(例、ステンレス鋼)もまた、金属と合金に関する欧州評議会規則の仕様に従うならば、FCM(食品接触物質)として適切である。ガラスも食品接触には適する。しかし、破損のリスクがある。結果として、ガラスの破片が食品や飲料に入り込み、飲み込むと危険なけがをする可能性がある。一方、特に耐久性ガラス製の飲用ストローがある。
使い捨て使用の場合、デュラム小麦(例、生のマカロニ麺)は健康の観点から飲用ストローに適切な物質である。しかし、麺は特に温かく熱い飲料や長時間では分解の恐れがあり、結果として使えなくなる可能性がある。さらに、麺は飲料の粘度や味を変える可能性がある。
紙や厚紙製のストローは紙が柔らかくなるのを防止する物質が添加された場合のみ有用である。これらの化合物は湿潤強度添加剤としても知られる。特定のこれらの製品の残留物、特にクロロプロパノールは食品に移行する可能性がある。もしBfR助言no. XXXVIの仕様を遵守する場合、現在、紙と厚紙製の飲用ストローの使用は健康リスクはない。
わらから作られた飲用ストローの使用に関して現在のところリスク評価はない。BfRは、細菌、マイコトキシンあるいはその他の望ましくない物質から生じる健康リスクの可能性に関し、わらを使用することを推奨しない。
物質に関わらず、一度以上使用される飲用ストローは、使用する前に毎回完全に洗浄しなければならない。飲用ストローの完全な洗浄が保証できないならば、BfRはそのような複数回使用の飲用ストローは衛生上の理由のため使用しないことを推奨する。さらに、ストローは鋭い縁のないものにすべきで、素材にダメージの兆候(摩損の兆候)があるならば取り替えなければならない。
食品接触物質に適用される厳しい基準
欧州連合規則(EC)No. 1935/2004によると、食品接触物質は「通常あるいは予測できる使用条件下で、ヒトの健康を危険にする可能性がある量で成分が食品に移行しないよう製造しなければならない」とある。これはFCMとして使用されるすべての物質に同様に適用される。
欧州連合規則(EU) No. 10/2011はプラスチックに適用される。これは、食品接触を意図するプラスチック生産の原料を規制する。また、ヒトの健康にリスクを示さず食品に移行される可能性があるこれらの原料の量についても述べる。最後にどのような追加の制限が特定の使用に適用となるか載せている。(例えば、水分の多い食品にのみ使用が認められる)
現在のところ他の物質分類に関するこのような欧州連合規則はない。しかし、国の規則及びその他の仕様もある。BfRは数多くの食品接触物質に関する助言のあるデータベースを作った。データベースは法的仕様ではないが、欧州連合規則No. 1935/2004に従うリスク評価において、業界だけでなく監視団体からも従うべき基準とみなされる。
天然の物質は慎重な検討の後でのみ料理に使用されるべきである。これはすべての食品事業者同様ケータリング産業は、食品由来疾病を引き起こす可能性がある微生物の形成を予防するためにHACCPシステム((EC) 852/2004)を実施しなければならないからである。HACCPシステムは「Hazard Analysis Critical Control Points(危害分析重要管理点方式)」を意味する。特定の状況下で、いくつかの天然の物質はHACCPに準拠したやりかたで料理に使うことはできない。ケータリング施設の運営者は衛生局あるいは自治体や地域の食品検査機関からの情報を求めなければならない。
マイクロプラスチックはBfRの主要テーマであり、あり続ける
プラスチック廃棄の削減は人々にとってますます重要になりつつある問題である。環境汚染と同時に、国民はマイクロプラスチックの生成とその広がりに懸念をもつ。これはマイクロプラスチックの小さい粒子が、例えば食品を介し、ヒトの体内に入り込むことができるためである。
BfRはますますマイクロプラスチックやナノプラスチックに注目しており、現在の科学知識に従い、食品中のプラスチック粒子から生じる健康リスクはないと考える。データがないため、現在決定的なリスク評価はない。マイクロプラスチックに関する知識は、今後、健康リスクの可能性のよりより深い評価ができ、数年で飛躍的に発展するだろうと思われる。
BfRウェブサイトのマイクロプラスチックに関する情報
マイクロプラスチック FAQ: https://www.bfr.bund.de/en/microplastics__facts__research_and_open_questions-192775.html
マイクロプラスチックに関するA-Z インデックス:
https://www.bfr.bund.de/en/a-z_index/microplastic-200211.html
1 参考
欧州連合 指令 2019/904:
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32019L0904
欧州連合規則 (EU 1935/2004):
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32004R1935
BfR 助言no. XV:
https://bfr.ble.de/kse/faces/resources/pdf/150-english.pdf
金属及び合金に関する欧州評議会決議:
https://www.edqm.eu/en/food-contact-materials
BfR 助言no. XXXVI:
https://bfr.ble.de/kse/faces/resources/pdf/360-english.pdf
欧州連合規則 (EU) no. 10/2011:
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32011R0010
食品接触物質に関するBfR助言データベース:
https://bfr.ble.de/kse/faces/DBEmpfehlung_en.jsp?filter=clear
[FDA] 急性非ウイルス性肝炎調査-「リアルウォーター」ブランドのアルカリ水
Investigation of Acute Non-viral Hepatitis Illnesses – “Real Water” Brand Alkaline Water (March 2021)
06/01/2021
(更新部分のみ)
2021年6月1日、FDAはリアルウォーター社が連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)及びその他の同意判決のリストにある要件を遵守するまで、営業をしないことに同意したと発表した。
FDAの代理の米国司法省(DOJ)の訴状によると、リアルウォーター社は、食品ハザード管理の予防的管理要件に違反する施設を操業しFD&C法に違反した。
告発は、製品が汚染物質に汚染されるようになる可能性あるいは健康に有害になる可能性がある、調理、包装または不衛生な管理のため、被告の製品はFD&C法の意義の範囲内で不純品であるとも申し立てる。詳細は最新のプレスリリースと同意判決で見ることができる。
同意判決の一部環とみなされる症例の他に、追加の症例が報告された。2021年5月20日、ネバダ州南部保健地区はClark郡居住者の急性非ウイルス性肝炎の調査に関連した可能性が高い追加の5症例と可能性が高い症例として確認された死亡1件を報告している。死亡したのは基礎疾患のある60歳代の女性患者で、新たに報告された可能性の高い5症例のうちの1つである。これにより可能性の高い例が合計16件になり、疑わしい例が1件である。これらの新たな症例は米国司法省の訴状には含まれていないことに留意してほしい。
[BfR]二酸化チタン:健康リスクはあるか?
Titanium dioxide: Are there health risks?
https://www.bfr.bund.de/en/titanium_dioxide__are_there_health_risks_-241091.html
(2019年9月のFAQと同じ部分あり)
BfRのFAQ更新 2021年5月12日
二酸化チタン(TiO2)は現在食品添加物E171として認可されており、ドラジェやチューインガムなどの焼き菓子やコーティングの白色顔料として使用されることがある。この物質は表記CI 77891で白色顔料として歯磨き粉などの化粧品に含まれている。二酸化チタンは日焼け止めのUVフィルターとしても使用されている。だが、二酸化チタンの大部分は、塗料、ニス、紙、プラスチックの製造など技術的使途に利用される。
適用の多様性のため、吸収のすべての重要なルート、つまり皮膚から、気道(吸入)から、消化管(経口)からの吸収を、二酸化チタンの健康評価の文脈で検討しなければならない。
BfRは二酸化チタンをテーマにしたよくある質問をまとめた。
二酸化チタンとは何か?どの製品がこの物質を含んでいるのか?
二酸化チタン(EC 236-675-5, CAS 13463-67-7)は世界中で何百万トンも生産されている。欧州では年間100万トン以上生産されている。二酸化チタンのほぼ90%は、塗料、ニス、印刷用インク、プラスチックや紙の白色顔料として、さらに10%は、白色顔料の高光度や不透明度を利用して、化粧品、食品、飼料、医薬品に使用されている。
二酸化チタンは、表記E 171の食品添加物として、焼き菓子やコーティング、とりわけドラジェやチューインガムに含まれる可能性がある。
表記CI 77891で、この物質は歯磨き粉などの化粧品にも利用される。
二酸化チタンはどのような形で存在するのか?
二酸化チタンは顔料あるいはナノ物質として利用される。どちらの形も無味、無臭、不溶性である。
EUの助言[1]によると、物質は、少なくとも1空間次元に、そこに含まれる直径1-100 nm (ナノメメートル)の粒子数が50%以上存在する場合、ナノ物質と見なされる可能性がある。この量がその物質に意図的にあるいは意図せずに存在するかどうかはここでは問題ではない。この助言は2020年1月1日に施行され、物質のナノ形態が定義されているREACH規則の附則を改訂する際に考慮された。
ナノフォームの二酸化チタンは主に2つの異なる結晶形(アナターゼあるいはルチル)で市販されている。とりわけ吸入毒性試験(名称“P25”)で検査物質としてよく使用されている物質は、アナターゼとルチルの80/20混合物である。市販のナノフォームは表面処理されることもある。例えば粒子上に粒子表面の不動態化保護コーティングがよく施される。
二酸化チタンは、特にナノ形態で生産されたものは、化粧品に使用されることもある。中でも、高いUVフィルター効果、ナノフォームの透明な特性、加工における利点がここでは利用されている。
[1] ナノマテリアルの定義に関する2011年10月18日の委員会の助言 (2011/696/EU)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/DE/TXT/PDF/?uri=CELEX:32011H0696&from=DE
二酸化チタンはどのように摂取されるのか?
用途が多岐にわたるため、重要な摂取ルート、皮膚(経皮)、気道(吸入による)、消化管(経口)経由の摂取全てを二酸化チタンの健康評価の範囲内で見なければならない。例えば経口摂取は、添加物E17を含む食品を食べることによる可能性がある。二酸化チタンはスキンケア製品を使用する際に皮膚(経皮)を通して吸収されない。
微細粒子や特にナノ粒子の吸入は、肺に深く入り込むことがあり慢性炎症を起こす可能性があることが動物実験で示されているため、一般的に健康に重要とみなされている。ラットでは、かなり長期間(その動物の全寿命)にわたって極端に高濃度の二酸化チタンを吸入すると、肺腫瘍の形成につながる。これらの研究は現在完了している欧州分類プロセスの基礎を形成している(以下参照)。二酸化チタンの口腔粘膜および/または消化管(経口)からの摂取は、食品添加物E171や食品と接触する物質の成分としての二酸化チタンの使用についてEFSAが実施した評価で検討された。
タトゥーインクを介した二酸化チタンの摂取は特殊なケースである。二酸化チタンは白色顔料として、あるいは特定の色合いを作り出すために顔料と組み合わせて、タトゥーインクやアートメイクに使用されている。タトゥーインクに使用される一般的なクリスタル形態はルチルである。
化粧品の二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?
化粧品の利用に関しては、二酸化チタンはEC規則No. 1223/2009 (EUCR)のEUの化粧品の2つのポジティブリスト、1つは化粧品に許可される着色剤リスト(Annex IV EUCR)、2つめは認可されているUVフィルターリスト(Annex VI EUCR)に含まれている。現在はナノスケールの特定の形態とナノスケール以外の二酸化チタンだけが化粧品のUVフィルターに許可されており、定期的に更新されているEUCRの現在有効なバージョンに記載されている。ナノフォームの透明な見た目は皮膚に塗る際に有利である。EU委員会の消費者安全科学委員会(SCCS)が安全性評価を作成した後、ECは物質をEUCRのポジティブリストに含む。日焼け止めの二酸化チタンのナノ形態の利用は、吸入により肺が暴露する可能性がある塗布の認可はされていない。だが、CLP分類の結果、2020年10月6日に公表された化粧品に関する規則の条項15 (1)に従って、SCCSによる二酸化チタンの新しいリスク評価が必要だった。
特定の1物質にだけ結論を出すことができた。この助言に基づくEUCRの修正はまだ行われていない。
食品と接触しない物質の二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?
布地や玩具など食品と接触しない物質に存在する二酸化チタンの利用については、特別な法的規則はない。この製品が安全でなければならず健康を損なうことはないという一般的要求事項はある。
それによると、意図したあるいは予測可能な利用をする際に、特に毒性学的影響のある物質や不純物を通して、その成分により健康を損なう可能性のある方法で他者向けに商品を生産したり扱ったりすることは、ドイツの食品及び飼料法(LFGB)の条項30で禁止されている。玩具には欧州玩具指令2009/48/ECの一般的な安全条件が適用される。この指令によれば、化学物質を含む玩具が、子どもの習慣を考慮して、意図したあるいは予測可能な利用をする際に子供の安全性を危険にさらしてはいけない。
CLP分類の結果、EU委員会は、玩具の二酸化チタンの安全性評価を2020年11月20日に健康・環境及び新興リスクに関する科学委員会(SCHEER)に委託した。[1]
有益な材料特性 (化学的安定性や熱安定性、耐光性、白色顔料としての高いカバー力の特性) により、二酸化チタンは消費者製品に存在する様々な材料に利用される。白色顔料として、また塗料やニスの着色顔料の質感加工成分として利用される。紙や陶器の装飾や、生地や革の色素形成にも利用される。コーティング、染料、安定剤(UV保護)としてプラスチックに用途が見いだせる。二酸化チタンを含む素材の他の例には陶磁器やガラス製品がある。これらの材料への応用の特徴は、二酸化チタンが本体に固定され、放出が限られることである。
[1]https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/scheer/docs/scheer_q_018.pdf
食品と接触する物質での二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?
「食品と接触することを意図した素材や品に関する」欧州枠組み規則(EC) No. 1935/2004は、全ての食品と接触する物質に適用されている。素材や品物は、通常のあるいは予測できる使用状況で、それらの構成要素が食品に移行しないように、以下のことができない量で適性製造基準に従って製造されることを規定している。
a)ヒトの健康を危険にさらす
b)食品成分に許容できない変化をもたらす
c)それにより官能特性(風味、味など)の障害をもたらす
上記規則の条項5は特定の物質と品物のグループに、いわゆる「特別法」の適用も規定している。この種の特別法で、二酸化チタンはEU規則No. 10/2011に従ってプラスチック製の食品と接触する物質の利用に認可されていた。「ナノ構造」の二酸化チタンの利用はこれに関連して禁止されている。
二酸化チタンに関連する他の物質グループをカバーする欧州レベルの規制はない。「食品と接触する物質へのBfRの助言」の範囲では、(ナノフォームの、E 171と同一ではない)二酸化チタンは、助言XV「シリコーン」で熱安定剤(最大3%)として記載されている (例えばシリコーン製焼き型) (BfR, 2018)。検出限界1.8 µg/kg 食品でシリコーンから食品への二酸化チタンの移行はない。
欧州化学物質評価の一環としての二酸化チタンの評価
二酸化チタンは欧州化学物質評価の対象である。このプロセスの1つは、2020年2月に完了した、いわゆるEU域の統一分類である。2つ目のプロセスは欧州化学物質規則REACHの範囲内でのこの物質二酸化チタンの評価に関係している。この2つの規制プロセスはフランスが開始した。どちらのプロセスも、従来の二酸化チタン(顔料)とナノフォームの二酸化チタンを明確に区別していない。全形状の二酸化チタンが適用可能なEU規則の範囲に含まれている。
CLP規則(Regulation (EC) No 1272/2008)に従う統一分類
特に危険な物質特性(変異原性、発がん性、生殖毒性など)のある化学物質は、分類・表示・包装に関するEC規則No 1272/2008(「CLP規則」)に従ってEU全域で分類されている。これは、そのような物質の製造業者、輸入者及び使用者に法的拘束力のある統一された法的分類で、一般的に、あるいは利用可能な場合に、特定の濃度制限を超える混合物に使用される際にその物質にも適用される。
統一されたCLP分類は申請に関しては公平である、すなわち制限されなければ、EU市場に存在するすべての化学物質に対して作成でき、物質の全ての形状が含まれる。様々な法基準で分類が参照され、統一したCLP分類、特により高いハザード分類があると、時には劇的な法的影響があり、化学物質法以外の他の法的分野(生産法、化粧品法、玩具法、廃棄物法など)の様々なリスク削減策が発動される。
二酸化チタンは現在、CLP規則に従って分類手続きを完了している。きっかけは2015年にフランスが出した提案だった。欧州化学庁(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)は、二酸化チタンは吸収するとおそらくヒトに対して発がん性があると2017年に結論した(カテゴリー 2, H350 i)。潜在的な健康ハザードはとりわけダストの吸入で見られる。このプロセスが議論の対象となった。EU委員会は2019年10月に分類と表示を完了した。それによると、二酸化チタン[空気動力学径10 μm以下の粒子を少なくとも 1 % 含むパウダー状の]は、吸入すると発がん性の恐れがある。二酸化チタンに提案された分類は、第14回ATP(技術的進歩への適応化)の一環で2020年2月8日に最終化され、2021年9月9日に義務化される予定である。対応する委任規則(EU) No 2020/217が2020年2月にEUの公式ジャーナルで発表された[1]。さらに、二酸化チタンを含む特定の混合物の表示のための準備がなされた。国立ヘルプデスクREACH-CLP Biocideは、統一分類の適用に関するガイダンスを発表した。
REACH規則の範囲内の物質評価
REACH規則(EC 1907/2006)に即した物質評価は、リスク評価情報がなくても、物質が健康や環境にもたらすリスクに関する最初の疑いを検証したり、関連する物質の製造業者や輸入業者からの要請を受けるのに役立ち、リスクを最小化するためにとるべき行動を必要に応じて決定する。物質評価の発議は、通常各EU加盟国機関の責務である。
[1]
食品添加物としての二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?
食品添加物としての二酸化チタンの利用にはEC規則No. 1333/2008を適用する。この規則により、二酸化チタン(E 171)の利用は、最大量としてquantum satisの原則[1]を主に適用するいくつかの食品分類で現在容認されている。純度条件と仕様はEU規則No. 231/2012で規制されている。認可は、2013年まで責任を担ったEU委員会の食品科学委員会(SCF)と、それ以降責任を担う欧州食品安全機関(EFSA)による健康評価に基づいている。
2021年5月6日に発表したEFSAの評価は、二酸化チタンがEUで食品添加物として引き続き承認される可能性があるかどうかについてのリスク管理機関(EU委員会、加盟国、欧州議会)の判断材料になることが期待されている。
[1]EC規制No 1333/2008の用語によると、“Quantum satis”は、「最大数量を特定せず、意図した目的を達成するのに必要な量以下で、消費者が誤解しない限り、物質は適性製造基準に従って使用されるものとする」を意味する。
二酸化チタンは飼料添加物として認可されている?
二酸化チタンは、指令70/524/EECで全ての動物種用(イヌとネコ以外)の飼料添加物として認可されているが、食品産業の副産物や他の出発物質にが、例えば、食品に識別のための添加物として二酸化チタンが添加されているといった場合に、使われるだけである。イヌとネコ用の飼料には、二酸化チタンはこうした制限なく着色料として使用できる。
指令70/524/EECで認可されている全ての飼料添加物は、既存の認可の再評価のためにEC規則No 1831/2003で新たな申請を提出しなければならない。その申請や、従って飼料添加物としての二酸化チタンの現在の認可のさらなる延長について、最終決定はまだ下されていない。
食品添加物E171として二酸化チタンの健康リスクはどう評価されたか?
2021年5月、欧州食品安全機関(EFSA)は、現在入手可能な関連するすべての科学的根拠に基づき、食品添加物(E171)としての二酸化チタンの利用に関連して起こりうる健康リスクを再評価し、その結果を2021年5月6日に発表した。起こりうる生殖毒性の影響を調査する新しい動物実験に加えて、全部でおよそ12,000の文献が検討された。この再評価では、二酸化チタンの遺伝子毒性作用(遺伝毒性)の可能性に関する懸念にも焦点を当てた。体系的な方法論に従って、二酸化チタンの遺伝毒性の可能性が調査された200以上の文献が確特定され、評価された。入手可能なデータの評価後に、二酸化チタンの遺伝毒性の可能性に関する懸念は除外できなかった。そのため、そして膨大な科学的不確実性により、EFSAの専門家は、食品添加物としての二酸化チタンの使用は、もはや安全とは見なせないという結論に達した。許容一日摂取量は導出されなかった。
EFSAの評価は、二酸化チタンがEUで食品添加物として引き続き認可される可能性があるかどうかについての、リスク管理機関(EU委員会、加盟国、欧州議会)の判断材料になることが期待されている。
食品添加物(E171)として使用される際、消費者に健康有害影響は予想される?
EFSAは2021年5月に、一般毒性及び臓器毒性に関する研究で有害影響は示されないと結論した。動物実験では、生殖能力や子孫の発育への有害影響は観察されていない。ラットとマウスの古い研究では、二酸化チタンへの経口暴露後に発がん性の影響は観察されなかった。これには粒子の大きさに関する特徴は記されていない(NCI, 1979)。経口暴露後の二酸化チタンナノ粒子の発がん性の可能性に関する適切な研究はない。EFSAの専門家は、二酸化チタンは胃腸でごく少量しか吸収されないが、身体から排泄されるのに長時間かかり、細胞組織に蓄積する可能性があると結論した。
入手可能なデータの評価後に、二酸化チタン粒子の遺伝毒性の影響の疑いは否定できなかった。EFSAによると、特に遺伝毒性の影響の分子メカニズムに関する不確実性がある。さらに、EFSAによると、評価されたデータは、この粒子のサイズや性質などの特定の二酸化チタン(ナノ)粒子の特性と、遺伝毒性試験の結果には明確な相互関係を示さないと指摘した。この理由と膨大な科学的不確実性のため、EFSAの専門家は食品添加物としての二酸化チタンはもはや安全とは見なすことはできないという結論に至った。許容一日摂取量は導出されなかった。
EFSAの評価は動物実験とメカニズム研究に基づいている。健康影響の可能性に関するヒトの研究と対象となる疫学研究は現在入手できない。
原則として、多くの食品には遺伝毒性の可能性のある成分が含まれている。これらは非常に多くの場合、自然起源であり、そのため、日々の食事で避けられない。食品中のいくつかの遺伝毒性物質には、ヒトの健康への有害影響に関する知見がある。二酸化チタンの場合、この相関関係はまだヒトの研究で調査されていない。だが、食品添加物には特別な健康条件が課せられている。これらは厳密に検査され規制されている。
特定の添加物を含む食品を食べたくない消費者は、それらを避けることができる。これは、食品添加物の使用が表示付けの対象となっているためである、すなわち、それらを包装済食品の成分表に公表しなければならない。
欧州食品安全機関(EFSA)の評価はどの研究を基にしているのか?
この知見はおよそ12,000の文献のレビューを元にしている。
体系的な方法論に従い、二酸化チタンの変異原性の可能性が調査された200以上の文献が特定され、評価された。この評価には、専門家は、特に、EFSAの科学委員会の、EFSAが2018年に発表したガイダンス文書「食品及び飼料チェーンのナノサイエンスとナノテクノロジーの申請のリスク評価に関するガイダンス」を使用した。
(https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.2903/j.efsa.2011.2140で入手可 )
化粧品を使用する際に消費者に健康有害影響は予想される?
二酸化チタンは経皮から、すなわち皮膚から、スキンケア製品を通して吸収されない。
現在の知見によると、消費者安全科学委員会(SCCS)は、日焼け止めのナノ粒子に関する声明の文脈で、健康的で無傷または日焼けした肌に塗った後の皮膚からの吸収は有害影響リスクを起こさないと考えた。消費者の肺が二酸化チタンのナノ粒子に暴露することになる二酸化チタンナノ粒子の吸入は、健康上の懸念としてSCCSが評価している(SCCS/1516/13; SCCS/1583/17 [1] )。
従って、吸入によりエンドユーザーの肺の暴露になる可能性がある二酸化チタン(ナノ)の使用方法は、EU化粧品法で禁止されている。これまでのところ、法的要件が満たされている場合に化粧品の二酸化チタンの使用が健康有害影響を引き起こす兆候はない。
BfRは現在、歯磨き粉の二酸化チタンの内容と仕様に関するデータを持っていない。CI 77891 と呼ばれる二酸化チタンの顔料が歯磨き粉に使用されている。BfRはE171に関するEFSAの評価がこの顔料にあてはまるかどうか評価できない。BfRは消費者安全科学的委員会(SCCS)にリスク評価を依頼するよう管轄リスク管理機関に助言した。
http://publications.europa.eu/resource/cellar/b635a200-38cd-11e9-8d04-01aa75ed71a1.0001.01/DOC_1
食品と接触する物質中の二酸化チタンの使用から予想される消費者への健康有害影響は予期されるか?
二酸化チタンをBfRの助言XV (シリコーン)に含む前に、BfRは提出された分析データとEFSAの評価(EFSA, 2016; EFSA, 2018)に基づいて、意図した使用の健康評価を行った。概して、BfRは、シリコーン製の食品と接触する物質に二酸化チタン(E171と同一ではない)を用いても、BfRの助言XVで述べたように、健康リスクをもたらさないという結論に達した(BfR, 2018)。この結論は、一方では、シリコーンから食品に二酸化チタンの放出はおこらない(非常に低い検出限界1.8 μg/kg foodで)という分析研究結果に基づいている。他方、シリコーンでの使用が申請適用された二酸化チタンは経口摂取後に非発がん性と評価された(BfR, 2018)。「米国保健福祉省」の「国立がん研究所」(NCI)のラットとマウスの研究がは重要な研究だと考えられた。この研究では、腫瘍様な、および非腫瘍様組織損傷の種類と数において、対照群との違いが最高投与量まで見られなかった (50 g/kg feed, およそ 2250 mg/kg 体重/日に相当) (NCI, 1979)。2021年5月6日に発表されたEFSAの評価によると、関連する新しい研究はない。
EU規則No 10/2011により、二酸化チタンが食品と接触するプラスチックに使用される際、この二酸化チタンはシリコーンの場合と同様に、固体でポリマーマトリックスに組み込まれる。いくつかの選択材料で得られた実験データやモデル研究から(EFSA 2019b)、シリコーンと同様に、プラスチックから食品への二酸化チタンの放出は、発生しないまたはごく少量発生すると結論された。その結果、健康リスクはほとんどない。
タトゥーインクの使用から消費者に健康有害影響は予想される?
今までのところ、タトゥーインク中の二酸化チタンを含む顔料への暴露に関連した健康有害影響は知られていない。特にタトゥーインクに関するQ&Aは2019年9月16日のBfRのFAQで見ることができる。
消費者製品中二酸化チタンの使用の健康リスク評価のためのEU委任規則No 2020/217は何を意味する?
二酸化チタン[空気動力学径10 μm以下の粒子を少なくとも 1 % 含むパウダー状の]は吸入すると発がん性の恐れがあることにより、EU委員会は2019年10月に分類と表示を完了した。相当するEU委任規則No 2020/217が2020年2月にEUの公式ジャーナルで発表され、二酸化チタンはCLP規則の附則VIに含まれた(吸入時にヒトに対しておそらく発がん性があるとして技術進歩(ATP)への第14番目の適応(Category 2, H351 i)、09.09.2021から有効)。
この決定は、二酸化チタンを吸入による発がん性物質カテゴリー2として分類する提案をした2017年9月14日付のRACの科学的意見に基づいている。この場合、EU規則No 2020/217の備考に記載されているように、二酸化チタンが誘発する肺の発がん性は、呼吸性(二酸化チタン)粒子の吸入、肺の中の粒子の滞留及び難溶性に関連している。これは他の粒子でも知られている。
食品添加物としての二酸化チタンの将来は?
欧州食品安全機関の評価は、通常、評価された食品添加物の認可や使用について、EU委員会、加盟国、欧州議会それぞれのリスク管理決定の根拠を形成する。
この話題に関するさらなる情報はBfRのウェブサイトで。
・2012年8月28日のナノテクノロジーに関するBfRのQ&A
BfR questions and answers on nanotechnology of 28 August 2012
https://www.bfr.bund.de/cm/349/questions-and-answers-on-nanotechnology.pdf
・2019年9月16日のタトゥーインクに関するFAQ
FAQ on tattoo inks of 16 September 2019
https://www.bfr.bund.de/en/faq_about_tattoo_inks-201880.html
・2014年3月3日の化粧品のリスク評価に関するQ&A
Questions and Answers on the Risk Assessment of Cosmetic Products of 3 March 2014
https://www.bfr.bund.de/cm/349/questions-and-answers-on-the-risk-assessment-of-cosmeticproducts.pdf
・製品から放出されるナノ物質とナノ粒子のがんリスクの可能性の評価、2010年4月15日のBfRとUBAの合同意見005/2011
Assessment of potential cancer risk of nanomaterials and nanoparticles released from products, Joint Opinion 005/2011 of the BfR and UBA of 15 April 2010
・日焼け止め:知見の現状によると、UVフィルターとしての酸化亜鉛は安全、2010年6月18日のBfRの意見No. 037/2010
Sunscreen: According to the current state of knowledge zinc oxide as a UV filter is safe, BfR Opinion No. 037/2010 of 18 June 2010
文献(略)
[EU]査察報告
-オランダ―農薬の持続可能な利用
Netherlands 2020-7031―Sustainable use of pesticides
15/04/2021
https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4345
2020年10月5~14日に実施された、オランダの農薬の持続可能な利用のための関連手段の実行を評価するリモート査察の結果。オランダは、害虫管理用の化学物質植物保護製品の利用が比較的多い、高レベルで依存する集約農業と園芸生産の国である。2011-2013年 から 2018年までにEUの平均よりも早く、オランダは、より危険な活性物質(代替候補)の販売削減に成功した。総合的病害虫管理の実践に関する管理を除いて、効果的なシステムがある。他方、2018年の国の持続可能性やリスク削減目標は達成しなかった。農業従事者達は農学的および財政的理由で害虫管理用化学物質植物保護製品に非常に頼り続けている。最後に、機関は、2023年から2030年の水の保護と他の部門に関連する国の目標に合わせて、農薬依存を減らすための作物保護の新しい野心的なビジョンを開発した。
-オランダ-飼料衛生に関する公的管理
Netherlands 2020-7014-Official controls on feed hygiene
15/04/2021
https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4344
2020年10月20日~12月8日まで実施した、オランダの飼料衛生に関する公的管理システムのリモート査察結果。オランダの飼料の公的管理の計画は、おおむね良好に検査が行われ、リスクに基づいている。にもかかわらず、飼料の表示の正当性の検証や、食い違った検証などの欠点により、検査の効果は弱められている。
[EFSA]意見等
-すべての動物種用Bacillus subtilis KCCM 10445株で生産したリボフラビンとしてのビタミンB(98%)とビタミンB (80%)からなる飼料添加物の安全性と有効性(Hubei Guangji Pharmaceutical Co. Ltd.)
Safety and efficacy of feed additives consisting of Vitamin B (98%) and Vitamin B (80%) as riboflavin produced by Bacillus subtilis KCCM 10445 for all animal species (Hubei Guangji Pharmaceutical Co. Ltd.)
EFSA Journal 2021;19(6):6629 3 June 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6629
(科学的意見)
-αリポ酸(チオクト酸)の摂取とインスリン自己免疫症候群のリスクとの関連性に関する科学的意見
Scientific opinion on the relationship between intake of alpha‐lipoic acid (thioctic acid) and the risk of insulin autoimmune syndrome
EFSA Journal 2021;19(6):6577 3 June 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6577
(科学的意見)
欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食品アレルゲンに関するEFSAのパネルは、αリポ酸(ALA)とインスリン自己免疫症候群(IAS)のリスクとの関連性に関する意見を出すよう求められた。パネルはまた、食品に添加されるALAがそれ以下ではIASを引き起こさないと予想される投与量について助言するよう求められた。ALAの摂取に関連する全ての起こりうる有害影響のレビューは要求されなかった。この委任は、食品へのビタミン、ミネラル、特定の他の物質の添加に関するEC規則No 1925/2006条項8(2)の手順を指している。例えば、自己免疫疾患のような、標準的な毒性試験が使用できない時は、食品の安全性評価に事前に確立された規則は存在しない。発表された科学的根拠は、包括的な文献調査、特にALA摂取後にIASが発現した49の事例報告書から取りだされた。全ての事例で、ALAを中止した数週間から数ヶ月後にIASは解消した。食品中に天然に生じるALAの摂取とIASを結びつける文献は確認されなかった。パネルは、食品サプリメントなど食品に添加されるALAの摂取は、遺伝子検査をしないと簡単に特定できない特定の遺伝子多型の人のIASの発症リスクを増やす可能性があると結論した。このような影響のありそうなメカニズムはまだ完全には解明されていない。欧州でのIASの発生率は少なく、2017–2018年に人口10万人あたり0.017人と推定されている日本より低い可能性が高い。入手可能なデータが限られることから、ALA摂取後のIASの発症に関連するリスクは正確に数値化できない。それ以下では発生しないと予想されるALA投与量には個人差があり、入手可能なデータから判断できない。
-子豚(離乳)及び豚肥育用ニギ酸カリウム(Formi™ LHS)からなる添加物の安全性と有効性(Addcon GmbH)
Safety and efficacy of an additive consisting of potassium diformate (Formi™ LHS) for piglets (weaned) and pigs for fattening (Addcon GmbH)
EFSA Journal 2021;19(6):6617 3 June 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6617
(科学的意見)
-哺乳子豚用Lactiplantibacillus plantarum (以前は Lactobacillus plantarum) CECT 8350株と Limosilactobacillus reuteri (以前は Lactobacillus reuteri) CECT 8700 (AQ02)株からなる飼料添加物の安全性と有効性(AQUILON CYL S.L.)
Safety and efficacy of a feed additive consisting on Lactiplantibacillus plantarum (formerly Lactobacillus plantarum) CECT 8350 and Limosilactobacillus reuteri (formerly Lactobacillus reuteri) CECT 8700 (AQ02) for suckling piglets (AQUILON CYL S.L.)
EFSA Journal 2021;19(6):6631 3 June 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6631
(科学的意見)
[EU]RASFF 30/05/2021~05/06/2021
警報通知(Alert Notifications)
タイ産中華五香粉のエチレンオキシド、ポルトガル産生きたヨーロッパザルガイの下痢性貝毒 (DSP)オカダ酸、ベトナム産乾燥キクラゲのクロルピリホス、中国産有機アカシア蜂蜜のオキシマトリン、スペイン産燻製クロカジキの水銀、スペイン産燻製メカジキの水銀、
注意喚起情報(information for attention)
インド産マドラスカレー粉のエチレンオキシド、産出国不明サプリメントの未承認新規食品サナギタケ、エジプト産オレンジのクロルピリホス及びイマザリル、モロッコ産ペッパーの最大量を超えるジメトエート及びオメトエート、トルコ産レモンのプロクロラズ、英国産飼料用ホウレン草粉末のイミダクロプリド、中国産有機ピーナッツのアフラトキシン、トルコ産グレープフルーツの未承認物質クロルピリホス、トルコ産オレガノのピロリジンアルカロイド、
通関拒否通知(Border Rejections)
トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、トルコ産生鮮チリペッパーのアセタミプリド、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、パキスタン産有機ゴマ種子のアフラトキシン高含有、ペルー産紫トウモロコシミールの設定最大値を超えるフモニシン、タイ産チリのテブフェンピラド、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホス-メチル、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド、産出国記載なし乾燥パセリの葉のクロルピリホス、イラン産ピスタチオの法定限度を超えたアフラトキシン、トルコ産生鮮ペッパーのフェナミホス、
[HK] 食品安全デー2021
Food Safety Day 2021
7 Jun 2021
https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_act/Food_Safety_Day_2021.html
生及び加熱不十分の食品の消費や食中毒に関連する特有のリスクに対する市民の意識を向上させ、生あるいは加熱不十分の食品安全の問題についての新たな広報キャンペーン。
[ヘルスカナダ] リコール
Renadylプロバイオティクスカプセルはラベル上の表示されない成分及び安全警告非表示のため回収措置。
All lots of Renadyl probiotic capsules recalled due to undeclared ingredient and missing safety warnings on the label
June 7, 2021
https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2021/75759a-eng.php
Gelda Scientific and Industrial Development Corporationは製品が表示されないイヌリンを含み、重要な安全警告文が製品ラベルから抜けているためすべてのRenadylを回収している。製品写真あり。
[FSA]2021年6月のFSA理事会のペーパーが発表された
FSA Board meeting papers published for June 2021
4 June 2021
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-board-meeting-papers-published-for-june-2021
6月のFSA理事会と事業者委員会の会議の議題とペーパーが発表された。
[FSAI] 金属機械の埃汚染のためReinert Teddy Bear Sausage Slicesの回収
Recall of Reinert Teddy Bear Sausage Slices Due to Metal Machinery Dust Contamination
Friday, 4 June 2021
https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/Reinert_Teddy.html
ドイツ産Reinert Teddy Bearソーセージは機械の欠陥により金属の機械埃混入の可能性のため回収措置。製品写真有。
[FTC]FTCは肝疾患を治療できることが証明されているという虚偽の宣伝で魚油サプリメントを詐欺的に宣伝販売した企業に最終行政同意命令を承認
FTC Approves Final Administrative Consent Orders against Companies that Deceptively Marketed Fish Oil Supplements with False Claims They Were Clinically Proven to Treat Liver Disease
June 1, 2021
二つの魚油サプリメントHepaxa および Hepaxa PDを、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD).の成人と子どもの肝臓の脂肪を減らすことが臨床的に証明されていると詐欺的にマーケティングしていたBASF SE、その子会社 BASF Corp. および DIEM Labsは合計で416000ドル以上を払うことに合意。
[TGA]COVID-19ワクチン安全性についての誤解を招くラジオのメッセージ
Misleading radio messages about COVID-19 vaccine safety
8 June 2021
https://www.tga.gov.au/media-release/misleading-radio-messages-about-covid-19-vaccine-safety
TGAはGrant Broadcasters ラジオネットワークのラジオ局で放送されたClive Palmer氏公認とされる誤解を招く情報に深刻な懸念を抱いている。
TGAは報告された有害事象を調査し、ワクチンに関連する血小板減少症候群を伴う血栓症あるいは関連疾患で死亡した症例は1例しか発見していない。残念ながらオーストラリアでは毎年16万人、毎週3000人が死亡し、従って予防接種を受けた後数週間のうちに死亡することは全くあり得る。ワクチンに関連が疑われると報告された全ての死亡と重症は専門家がレビューする。解析には予想される自然死亡率との比較も含まれる。TGAは有害事象報告については公開性と透明性を維持し、毎週有害事象通知データベースを介して報告している。
そのようなデマはCOVID-19パンデミックの中では許容できない健康への脅威となる。医療従事者や消費者は有害事象疑いを直接TGAに報告できる。
予防接種はCOVID-19のような感染症から守る最も有効な方法である。あなたが予防接種を受けると、あなたはあなた自身を守ると同時により広範なコミュニティを守る。
有名人は事実を語り、デマを拡散して健康を毀損しない責任がある。TGAの長官John Skerritt非常勤教授はPalmer氏とGrant Broadcasters ラジオネットワークのCEOにこの責任を再確認する文書を送った。
(ラジオが金持ちで元議員のPalmer氏による「オーストラリアでは2021年にCOVID-19関連死は一人なのにワクチンでは210人死亡し24000の有害事象がTGAに報告されている」という反ワクチン広告を流したらしい。Palmer氏は以前も新聞広告でヒドロキシクロロキンを使うよう宣伝した。なおこの有害事象報告についてテレビ局はちゃんと説明したらしい
Grant Broadcasters in hot water for running anti-vax ads for Clive Palmer
https://www.radiotoday.com.au/clive-palmer-anti-vax-ads-radio/)
[Defra]炭素鎖長C14-17の塩素化パラフィン
Chlorinated paraffins with carbon chain lengths in the range C14-17
Last updated 7 June 2021
塩素化レベルが塩素重量で≥45%のC14-17の塩素化パラフィンっを難分解性有機汚染物質(POP)に提案する案について
2021年3月にパブリックコメントを募集し、6月にそのまとめを発表した。
4月27日にストックホルム条約に提案を提出していて秋に行われる次回POPsレビュー委員会で検討されるだろう
[PMRA]ある種のUV放射およびオゾン産生装置を病害虫管理法のもとで規制する暫定命令:通知
Interim order regulating certain UV radiation-emitting and ozone-generating devices under the Pest Control Products Act: Notice
June 7, 2021
2021年6月7日に命令が出された
COVID-19パンデミック以降カナダで、ライトや棒状の、紫外線やオゾンを生じる装置が販売されるようになった。これらはウイルスや細菌を殺すと宣伝され、表面や物体、水、屋内空気用に販売されている。ヘルスカナダはこれらの装置が安全で有効であることを確認する十分な根拠を受け取っていない。そのような装置を使っているカナダ人は、安全でなく証明されていない製品を使ってCOVID-19から守られていると偽りの安心感を抱き適切な消毒方法を行わない可能性がある。
論文
-新しい研究がパンデミック中に不健康な報告に向かう傾向を示す
New research shows trend toward unhealthy eating during pandemic
7-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/asfn-nrs052821.php
NUTRITION 2021ライブオンラインで発表予定の米国2000人の調査。パンデミック前と比べて野菜や全粒穀物のような健康的な食品の摂取量が減った。
-研究:ソーシャルメディアでのCOVID-19デマの主な病原体は悪意のあるボット
Study: Malicious bots are the primary pathogen of COVID-19 misinformation on social media
7-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/esc-smb060421.php
JAMA Internal Medicineに発表
インフォデミックを修正したいなら、ソーシャルメディアからボットを排除する必要がある
-カフェイン高摂取は失明をおこす目の病気になるリスクの高さと関連するかもしれない
High caffeine consumption may be associated with increased risk of blinding eye disease
7-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/tmsh-hcc060421.php
Ophthalmologyに発表された国際マルチセンター研究によると、遺伝的に眼圧が高くなりやすい人は毎日カフェインを大量に(480 mg以上)摂ると緑内障のリスクが三倍以上になるかもしれない。UKバイオバンクを使った研究。
-研究者らは牛乳にカエデの木の毒素を発見
Researchers find toxin from maple tree in cow's milk
7-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/mh-rft060721.php
Toxinsに発表された研究。ドイツ北部の農家の集めた牛乳(個別の牛のではなく群れの)の、特別な形の質量分析を行い、牧場にセイヨウカジカエデ(sycamore maple)の木が一本ある農家の生乳からヒポグリシンAを検出した。量は17-69マイクログラム/L。濃度は低いが牧場にある木はたった一本で、ミルクは集乳タンクからとったことを考えると、検出できたことが驚きである。
-農場から食卓まで:世界の消費者のお金はどこに流れる?
From farm to plate: Where do global consumer dollars flow?
7-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/cu-fft060721.php
消費者が購入に使ったお金の総量を農場から食卓までの全ての活動に割り当てる"Global Food Dollar"法による食品バリューチェーン(FVC)の解析の試み。重要な知見は、圧倒的大部分(80-85%)が農場外で価値が付加されていること。消費者が自宅で食べる場合、支出額の27%が農家の取り分であるが外食ではたった7%。Nature Food
(当たり前のような。これを意外と思う人は、傷みやすいものを毎日確実に全ての人に届けることの意味がわかっていない。カカオとサトウキビと小麦が出会ってチョコレートケーキになるまでの旅を考えたら、値段はむしろ安いのでは)
-お薦め本:アマゾンのアルゴリズム、陰謀論と過激派文献
Recommended Reading: Amazon’s algorithms, conspiracy theories and extremist literature.
Institute for Strategic Dialogue, 2021
https://www.isdglobal.org/wp-content/uploads/2021/04/Amazon-1.pdf
顧客に似たような本を薦めるアルゴリズムが、デマや極論を拡散することになっている、という報告
-明日のために計画:世界のがん発生率と予防の役割2020–2070
IARC
Planning for tomorrow: global cancer incidence and the role of prevention 2020–2070
8 June 2021
Nature Reviews Clinical Oncologyに発表された展望。このままの傾向が続けば、2070年までには2020年に比べて全てのがんの合計発生率は2倍になるだろう。最大の増加はリソースの少ない状況でおこるだろう。主な寄与因子は喫煙、過体重と肥満、HPV感染。世界のがん負担を減らすためには予防努力が必須。
-臨床的心血管系アウトカムに与えるビタミンサプリメントの影響:次に進むべき時期!-包括的レビュー
Effects of vitamin supplements on clinical cardiovascular outcomes: Time to move on! – A comprehensive review
BahadirSimsek et al., Clinical Nutrition ESPEN 42:1-14, April 2021
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2405457721000838
メディアではビタミンサプリメントがますます宣伝され、一般の人々が心血管系の健康のために広く使っていると報告されている。COVID-19パンデミックにより人々の健康への関心はさらに高まった。そこで心血管系の健康のためのビタミンサプリメントについての根拠をレビューした。結論としてはビタミンサプリメントは一般人の臨床的心血管系アウトカムを改善しない。健康のためには適切な食品摂取を伴う健康的ライフスタイルの維持のほうが妥当である
その他
-Scienceニュース
COVID-19の重症化を予測するためにDNA検査をする?
Would you have your DNA tested to predict how hard COVID-19 would strike? Should you?
By Jocelyn KaiserJun. 7, 2021 ,
オーストラリアの企業が先週SARS-CoV-2に感染したら入院または死亡する10-15%にあなたが入るかどうかをDNAで予想するという175ドルのサービスを発表した。
何人かの遺伝学の専門家はCOVID-19の症状の進行に遺伝子がどう影響するのかはまだわかっていないという。
有効性に疑問があるにも関わらずアルツハイマー薬が認可された
Alzheimer’s drug approved despite doubts about effectiveness
By Kelly ServickJun. 7, 2021
https://www.sciencemag.org/news/2021/06/alzheimer-s-drug-approved-despite-doubts-about-effectiveness
aducanumabの決定は一部の専門家にとってショックだった
(詳細略。今後の展開に注目)
-農業の問題: Matt Ridley-作物保護について成熟した対話をすべき時
Farming matters: Matt Ridley - Time for a grown-up conversation about crop protection
30 May 2021
(英国)政府は2021年の甜菜栽培にネオニコチノイド種子処理Cruiser SBの使用を暫定的限定的に使用を認めたことは正しい。ここ最近の冷涼さから今年それは必要ないだろうけれど。
昨年の甜菜の黄化ウイルスの影響は多くの農家にとって壊滅的だった。そのため英国は他のEU13カ国に続いて、これまで抵抗してきた緊急認可を与えることにした。
しかし私は政府の決定を全てのミツバチと受粉媒介昆虫の絶滅だと主張するオーガニックと反農薬政治活動団体の全くの偽善を非難せずにはいられない。
まず最初に、甜菜は受粉媒介者が好む作物ではないし、二つ目に与えられた例外的使用は極めて限定的で生物多様性への影響は最小限である。
彼ら活動家はDefraが2020年に有機栽培ジャガイモに胴枯病対策として水酸化銅の散布を例外的に認めたことを都合良く無視する。そのとき専門家は急性水生生物毒性があるため反対していたのに。
私がここでしたいのは有機栽培ロビー団体への攻撃ではない。
今年初めのパブリックコメント募集に続いて、政府は現在ゲノム編集のような革新的交配技術を認めるかどうかを検討している。甜菜の黄化ウイルス耐性品種の開発も視野に入っている。それは農薬の使用を減らすだろう。
多くの消費者はオーガニック認証されたジャガイモが水生生物に有害な防かび剤で処理されたことを知ったら懸念を抱くと思う。だからオーガニックロビー団体には、環境保護と未来の食料生産のために新しい交配技術に対してオープンであることを望む。
-減量のための緑茶の真実
Consumer Reports
The Truth About Green Tea for Weight Loss
June 05, 2021
https://www.consumerreports.org/dieting-weight-loss/truth-about-green-tea-for-weight-loss/
脂肪燃焼、がんや心疾患を治すと持て囃されている。効果はあるのか安全なのか?
2020年、消費者は緑茶サプリメントに約1億4100万ドルを使っている。そして緑茶を含むお茶は世界中で水以外では最も良く消費されている飲料である。
確かに緑茶には代謝を上げる作用がある、主にカフェインとカテキン類によるだろう。しかしその影響はあまりにも小さい。お茶を飲んでも脂肪は減らない。サプリメントはヒト試験で何の利益も見つけていない。影響があっても小さすぎて臨床的に意味がない。さらに摂りすぎは重大な肝疾患につながる。
砂糖を入れない緑茶を食生活に取り入れるのは悪い考えではない。最大8杯までは安全だと考えられている。ただし妊婦や授乳中の女性はカフェインのため6杯に制限すべき。
サプリメントは避けるべき。