2021-10-13

[WHO]WHOの、COVID-19からの継続的回復を確実にするための10の気候行動呼びかけ

WHO’s 10 calls for climate action to assure sustained recovery from COVID-19

11 October 2021

https://www.who.int/news/item/11-10-2021-who-s-10-calls-for-climate-action-to-assure-sustained-recovery-from-covid-19

気候対策のために健康について議論する、WHOの気候変動と健康に関する国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の特別報告書は、様々な分野で気候変動への取り組みの健康上の利益を最大限にし、気候危機の最悪の健康影響を避ける方法について政府に10の助言を提出している。

この助言は世界中の医療従事者、機関、利害関係者との広範囲に及ぶ協議結果で、気候危機に対処し、生物多様性を回復し、健康を守るために政府が取る必要のある優先対策について、世界中の保健医療界からの広範な合意声明を示している。

気候と健康の助言

COP26の報告書には、国際気候体制や持続可能な開発目標の中で健康と公平を優先するために政府に緊急の必要性と非常に多くの機会を強調する10の助言が含まれている。

1.健全な回復に全力を傾ける。COVID-19からの健康でグリーンで正しい回復を約束する。

2.私達の健康は交渉の余地がない。健康と社会的正義を国連気候会合の中心に置く。

3.気候対策の健康上の利益を活用する。最大の健康的、社会的、経済的利益を伴う気候介入を優先する。

4.気候リスクに対する健康回復力を構築する。気候回復力があり、環境面で持続可能な健康システムと施設を構築し、分野にまたがる健康適応と回復力を支援する。

5.気候と健康を守り改善するエネルギーシステムを開発する。大気汚染、特に石炭燃焼から命を救うために公正で包括的に再生可能エネルギーに移行するよう導く。家庭や医療施設のエネルギー不足を終わらせる。

6.都市環境、輸送、交通移動を考え直す。土地活用の改善、グリーンインフラやブルーインフラへのアクセス、ウォーキング・サイクリング・公共交通機関の優先とあわせて、持続可能で健康的な都市デザインと輸送システムを促進する。

7.私達の健康の基盤である自然を守り、回復する。自然のシステム、健康的な命のための基盤、持続可能な食品システムと暮らしを保護し回復する。

8.健康的で持続可能で回復力のある食品システムを促進する。気候と健康両方に結果をもたらす、持続可能で回復力のある食品生産と、より入手しやすい栄養のある食事を促進する。

9.命を救うために、より健康的で、より公平で、より環境に優しい未来に資金提供する。ウェルビーイング・エコノミーへの移行。

10.健康コミュニティに耳を傾け、緊急の気候対策を規定する。気候対策に健康コミュニティを動員し支援する。

 

[WHO]鉛塗料を排除する法を作るためのツールキット

The Toolkit for establishing laws to eliminate lead paint

7 October 2021

https://www.who.int/news/item/07-10-2021-the-second-edition-of-the-toolkit-for-establishing-laws-to-eliminate-lead-paint-is-now-available

塗料規制を開始する政府担当者向けの原資料。

https://www.who.int/publications/i/item/9789240034549

 

[BfR]集計:コロナウイルスパンデミックの文脈での動物実験

Counted: Animal Experiments in the Context of the Coronavirus Pandemic

https://www.bfr.bund.de/cm/349/counted-animal-experiments-in-the-context-of-the-coronavirus-pandemic.pdf

動物実験はコロナウイルスの研究や新しい治療法の開発に欠かせない。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)のドイツ実験動物保護センター(Bf3R)の科学者は、現在、実験動物がコロナウイルス研究にどの程度使用されたかを特定している。科学雑誌“Embo Reports” (https://www.embopress.org/doi/10.15252/embr.202153751)で報告されているように、パンデミックの最初の17ヶ月にドイツの102の研究プロジェクトで61,389匹の実験動物が承認された。これは、この期間中に承認されたプロジェクト(全部で4,893件のプロジェクト)の2.1%、科学的手法での使用を承認された全ての動物の0.8%に相当する。

ドイツでは2018年におよそ720万匹の動物が研究のために承認され、2019年は770万匹だった。コロナウイルスのパンデミック中、2020年にはこの数は580万匹に減少した。2021年の予測では、実験動物は470万匹までさらに減少すると現在推定されている。BfRの評価は自由にアクセスできるデータベースwww.animaltestinfo.deに基づいている。科学者は一般の人が理解できる方法で、計画された動物実験についての情報を広めるためにそれを使用できる。データベースへの記入は法的要件である。

マウスはコロナウイルス研究に使用された実験動物の大部分、89.5%を占めており、ハムスター(7.3%)、ラット(1.5 %)、モルモット (1.2 %)、フェレット (0.3%)、サル (0.06 %) 飼育豚 (0.05 %)が続く。通常、実験用マウスはSARSCoV-2に感染できないため、この数字は驚きである。コロナウイルスは最初に細胞膜に固定されたACE2タンパク質に結合する。だが、この結合はマウスの細胞ではヒトの細胞でよりはるかに弱いため、通常マウスは病気にならない。しかしながら、この動物たちは、マウスやウイルスの遺伝子を変えた後など、特定条件でSARS-CoV-2研究のモデルとして適切である。さらに、マウスは病気に感染しやすくなくても、ワクチンはマウスでも検査できる。

ハムスターはコロナウイルス研究に適している。ハムスターはヒトと同様に感染する。そのため特にワクチン開発で重要である。その結果、ハムスターの研究プロジェクトの件数は3倍になった。フェレットも、SARS-CoV-2の感染性や病気のメカニズムを非常によく研究できるため使用できる。霊長類での実験はドイツでは重要な役割を果たしていない。

この研究の著者は、プロジェクトの概要を伴うデータベースを、科学の傾向を発見するための重要なツールとして、同時に動物実験の透明性を確保するものとして考えている。これは、研究と一般市民の両方に同様に役立つ。

 

[BfR]ナノ農薬のヒト健康リスク評価のための包括的枠組み

Comprehensive framework for human health risk assessment of nanopesticides

12.10.2021

https://www.bfr.bund.de/en/comprehensive_framework_for_human_health_risk_assessment_of_nanopesticides-285339.html

Nat. Nanotechnol. 16 955–964 (2021)

https://doi.org/10.1038/s41565-021-00964-7

ナノキャリアシステムによって運ばれる有効成分と、有効成分としてのナノ粒子の二つのケーススタディを検討

 

[HK] 培養肉

Cultured Meat

7 Oct 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fst/whatsnew_fst_Cultured_Meat.html

培養肉は、最近関心が高まっているテーマである。 培養肉は、lab-grown meat(ラボで育った肉)、in vitro meat(試験管肉)などとも呼ばれ、動物の細胞培養技術を用いて製造された肉である。 培養肉は、従来の肉製品の代替品として消費されることを目的とする。

培養肉の製造

培養肉を製造するには、まず対象となる動物から細胞を採取し、管理された環境下で培地の中で増殖させる。 細胞は、製造対象の肉の筋肉やその他の動物の部位を模した製品を製造するために、細胞の付着と成長のためのアンカーを提供する足場と呼ばれる支持構造物の上で成長させることもある。

細胞が十分な量を形成した後、増殖培地から細胞物質を収穫することができる。 足場を使用した場合は培養肉から分離し、足場が食用の場合は付着したままにすることになる。採取された培養肉は、最終製品に調整される。

培養肉の安全性評価

培養肉の製造には、食料生産において比較的新しい動物細胞培養技術が用いられ、従来の食肉製品の製造とは大きく異なる。 そのため、消費者にとっての食品安全リスクの可能性が懸念される。

現在、中国本土、欧州連合、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ及びシンガポールなどでは、培養肉の管理においてさまざまな点を考慮しており、市販前の培養肉製品の食品安全性を評価するための評価基準を設けている。

ヒトが食べるために培養肉を製造する場合、開発者は製品が、ヒトが食べて安全であることを保証する責任がある。 培養肉の安全性評価において必要とされる情報は、一般的に、生産情報、組成データ、アレルゲン性、毒性学的および栄養学的側面などである。 培養肉の安全性評価では、一般的に以下の点が評価される:

培養肉の特性

正体と純度(例:主要成分と不純物)

構造

物理及び化学的特性

製造工程

製造工程の詳細な説明

細胞株の供給源と調製、使用培地と足場材料、製造工程における細胞培養の純度と遺伝的安定性などの情報

組成データ

仕様書

主要な化学、物理及び微生物学的パラメータ

提案用途と消費量

対象グループ

消費量

望ましくない物質への暴露の推定量

使用上の注意と制限

他の国/場所での使用について

トキシコキネティクス情報

吸収、分布、代謝及び排泄

栄養学的情報

毒性学的情報

急性毒性

慢性的な毒性

発がん性

遺伝毒性

生殖及び発達毒性

アレルゲン性

分析検出法

他の国、地域の食品安全機関が実施した安全性評価報告書、及び

安全性を裏付けるその他の関連情報(例:培養肉の消化可能性分析)。

香港の状況

現在、香港では培養肉製品はまだ商業的に入手できない。現在の生産技術はまだコストが高く、さらなるコスト削減と培養肉の大規模生産を経済的に実現するための研究開発が必要である。

公衆衛生及び市政サービス条例(Cap 132)によると、香港で販売されるすべての食品は、健全でヒトの消費に適したものでなければならない。 この条例は、培養肉を含むすべての食品に適用される。 培養肉の開発者は、培養肉製品が、ヒトが食べて安全であることを保証しなければならない。

 

[FDA] FDAは染髪料への酢酸鉛使用の色素添加物認可を取り消す

FDA to Repeal Color Additive Approval for the Use of Lead Acetate in Hair Dyes

October 7, 2021

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-repeal-color-additive-approval-use-lead-acetate-hair-dyes

(10月7日追加部分)

本日、FDAは、最終規則Termination of List of Color Additives Exempt From; Lead Acetate(色素添加物免除認定指定の停止;酢酸鉛)の延期を2022年1月6日より解除することを発表した。この最終規則は、頭髪を着色することを目的とした染髪料に酢酸鉛の使用を認める規制を廃止するものである(21 CFR 73.2396)。2018年10月に発行された最終規則(83 FR 54665)は、FDAが期間内に異議申し立てと公聴会の要求を受け取ったため、延期された(84 FR 12081)。法律上、色素添加物の最終規則は、異議申し立てに対するFDAの最終的な措置が行われるまで自動的に延期される。FDAは、異議申し立てと公聴会の要求に対して最終的な措置をとり、公聴会を正当化する重要な事実が提起されていないと判断した。FDAは、業界に現在の在庫を消費させ、酢酸鉛を含む染髪製品を組成変更する機会を提供するために、発効日から12ヶ月間、執行裁量権を行使する。その他の詳細については、連邦官報で確認することができる。

 

[FDA]FDAは「よりゼロに近づける」行動計画の最初の公聴会を発表

FDA Announces First Closer to Zero Action Plan Public Meeting

October 8, 2021

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-announces-first-closer-zero-action-plan-public-meeting

本日、FDAは、バーチャル公聴会の開催を発表した。「よりゼロに近づける行動計画:異なる重要な発達段階における有害元素への暴露と栄養の影響」と題されたこの会議は、「よりゼロに近づける(Closer to Zero: C2Z)」の行動計画について、利害関係の意見を聞くために予定されているいくつかの会議のうちの最初のものである。この会議の目的は、異なる重要な発達段階における有害元素への暴露と栄養が成長と発達に与える影響に関連して、行動計画の範囲を議論することである。2021年11月18日に開催予定。

 

関連

新たな開示はさらに多くのベビーフードに危険な量の有害重金属が含まれることを示す

米国下院監視・政府改革委員会の経済及び消費者政策に関する小委員会スタッフ報告書

New Disclosures Show Dangerous Levels of Toxic Heavy Metals in Even More Baby Foods

Staff Report

Subcommittee on Economic and Consumer Policy, Committee on Oversight and Reform

U.S. House of Representatives

September 29, 2021

https://oversight.house.gov/sites/democrats.oversight.house.gov/files/ECP%20Second%20Baby%20Food%20Report%209.29.21%20FINAL.pdf

2021年2月4日に公表したスタッフ報告書ではベビーフードを販売する3社(Campbell, Plum、Walmart、Sprout Foods, Inc.)が自社製品中の有害重金属(無機ヒ素、鉛、カドミウム、水銀)に関する社内文書や検査結果の提供を拒否していたが、その後、協力を始めたので更新する。また、アラスカ州当局が2021年3月末から4月末にかけてアンカレッジ近郊で購入し、検査を実施したBeech-NutとGerber(訳注:前回の報告書で情報提供に協力した企業)のベビーフードについても報告する。

新たな知見

アラスカ州当局の検査結果によると、Beech-Nutコメシリアル中の無機ヒ素の濃度は最大125 ppb、平均85.47 ppbであった。検査した6サンプルのうち2サンプルでFDAが乳児用コメシリアルに設定した無機ヒ素の基準(訳注:アクションレベル)100 ppbを超過したため、販売中止とリコールが行われた。

Beech-Nutは最終製品ではなく原料を検査しており、そのことがリコール製品で危険な無機ヒ素の濃度を検出出来なかった要因である。

Gerberのコメシリアル中の無機ヒ素の濃度は最大116 ppb、平均87.43 ppbであった。しかし、Beech-Nutのようなリコールは実施されなかった。

Gerberのオーガニックコメシリアルは通常製品よりも値段が高いものの、無機ヒ素の濃度は最大76 ppb、平均65.6ppbであった。

新たに検査結果(2017~2019年)が提供されたPlum’s Super Puffs製品については、ヒ素の濃度が最大470 ppb、平均233.74 ppb、無機ヒ素の濃度が最大225 ppb、平均79 ppbだった。さらに、Plum Organics製品の54.5%で鉛の濃度がFDAのボトル入り飲料水の基準5 ppbを超過し、38.3%ではカドミウムの濃度もFDAのボトル飲料水の基準5 ppbを超過していた。

Walmartは、当初6年もの間、ベビーフードの最終製品について無機ヒ素の基準を23 ppbと設定していたが、2018年に100 ppbに緩和した。

小委員会による勧告

FDA向け

有害重金属の最大基準値の策定作業をより迅速にすべきである。以前に発表している行動計画「よりゼロに近づける(Closer to Zero)」では時間がかかりすぎる。

調査した全ての企業がベビーフードの最終製品ではなく原料を検査しており、そのことが有害重金属の過小推定の原因になっているため、最終製品の検査を義務化すべきである。

業界向け

FDAが要請しなくても、最終製品の検査を自主的に実施すべきである。

自主的に、有害重金属を高濃度に含む原料(コメなど)の使用を段階的に廃止すべきである。

 また小委員会は、FDAの無機ヒ素の基準100 ppbについて、発がんを根拠に設定された値であり神経系障害のリスクが考慮されていないことから、ベビーフードに対してより低い許容基準を設定することに賛同する。

 

[FDA]任意の米国小売食品規制プログラム基準

Voluntary National Retail Food Regulatory Program Standards

10/08/2021

https://www.fda.gov/food/retail-food-protection/voluntary-national-retail-food-regulatory-program-standards

このプログラム基準において、FDAは小売業向け柔軟な資金調達モデル(RFFM)助成金プログラムを開始したと発表する。

 

[FDA]E-コマースに関するよりスマートな食品安全の新時代のサミット:オンラインで注文され、消費者に直接届けられる食品の安全性を確保する

New Era of Smarter Food Safety Summit on E-Commerce: Ensuring the Safety of Foods Ordered Online and Delivered Directly to Consumers

10/08/2021

https://www.fda.gov/food/workshops-meetings-webinars-food-and-dietary-supplements/new-era-smarter-food-safety-summit-e-commerce-ensuring-safety-foods-ordered-online-and-delivered

FDA New Era of Smarter Food Safety Summit on E-Commerceが、オンラインで注文され、消費者に直接届けられる食品の安全性を確保するために、2021年10月19日~21日にバーチャルで開催される。要参加登録。

 

[FDA]リコール

Maple Island Inc.社はParent’s Choice Rice Baby Cerealを自主的リコール

Maple Island Inc. Issues a Voluntary Recall of Three Lots of Parent’s Choice Rice Baby Cereal

October 08, 2021

https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/maple-island-inc-issues-voluntary-recall-three-lots-parents-choice-rice-baby-cereal

Maple Island Inc.社は、Parent’s Choice Rice Baby Cereal(ベビー用米シリアル)の一部をリコール。FDAによる定期的なサンプリングプログラムの結果、サンプルが、天然由来の無機ヒ素のガイダンスを超えていた。製品写真有り。

 

[Codex]プレスリリース

-コーデックスとAMRの決定的な瞬間

A decisive moment for Codex and AMR

29/09/2021

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1441675/

2021年9月29日、「アジア太平洋地域におけるAMR(抗菌剤耐性)の軽減とより安全な食品のためのワン・ヘルス・アプローチ(One Health Approach to AMR Mitigation and Safer Food in Asia-Pacific Region)」と題したFAO/OIE/WHOのウェビナーのオープニングで、コーデックス事務局長のTom Heilandt氏は、三者によるこのワン・ヘルス・アプローチが、「成功を約束する唯一の方法」であると述べた。さらに、コーデックスとAMRにとって非常に重要な時期であることを強調した上で、参加国に対し、10月4日に開始予定のAMR特別部会の作業を完了するための努力を強化するよう促した。

*TFAMR8

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/meetings/detail/en/?meeting=TFAMR&session=8

 

-AMR特別部会が始動 / 「待っている時間はない」

Task force AMR underway / “There is no time to wait”.

04/10/2021

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1442349/

AMRが原因で毎年死亡する人の数は、2050年には1,000万人に上ると予想されている。「There is no time to wait(待っている時間はない)」というスローガンのもと、第8回コーデックスAMR特別部会(最終セッション)が2021年10月4日に韓国食品医薬品安全処からオンラインで開始され、300以上の代表が参加した。

 

-革新的な作業部会はAMR関連文書を期限内に完成させることに役立つ

Innovative working groups prove useful in facilitating finalization of AMR texts on time

04/10/2021

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1442246/

 AMR特別部会(TFAMR8)の最終会合は、2021年10月4日から9日までバーチャル開催され、報告書の採択は10月13日に予定されている。2016年のコーデックス委員会からの付託事項は次の通り:

AMRの最小化及び抑制のための実施規範(CXC 61-2005)(COP)の改訂

新規文書の策定:食品由来AMRの統合的な監視とサーベイランスに関するガイドライン(GLIS)

両文書は、FAO、WHO、OIE(国際獣疫事務局)などの関連国際機関の活動を考慮に入れながら、フードチェーンに沿った食品由来のAMR管理に取り組み、ワン・ヘルス・アプローチを取り入れることを目的としている。

 

-コーデックス食品表示部会/ 成功への鍵は、準備と歩み寄りの精神

Codex food labelling committee / preparation and willingness to compromise keys to success

25/09/2021

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1441108/

第46回コーデックス食品表示部会(CCFL46)が、2021年9月27日から10月7日までバーチャルで開催される(ホスト国:カナダ)。議題は、非小売容器の表示、包装前面の栄養成分表示、アレルゲン表示、電子商取引に関するガイダンスなど。

会議に先立ち、議長のKathy Twardek氏は電子作業部会の議長、参加者、事務局の努力に謝意を表し、CCFL46は自身にとって初めてのオンライン環境での会議となると語った。Twardek氏はバーチャル会議で幅広い議論を行うことの難しさに言及し、「成功の鍵となるのは、準備、歩み寄り、そして他の人の意見を理解することだ」と述べた。

 

-第46回コーデックス食品表示部会(CCFL46)/ 表示規格は消費者に重要かつ十分な情報に基づいた判断を行う力を与える

CCFL46 / Labelling standards empower consumers to make important and informed decisions

28/09/2021

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1441454/

第46回コーデックス食品表示部会(CCFL)の開会式には400名を超える代表者がオンラインで集まった。カナダはCCFLが設立された1965年以来、この部会のホストを務めている。

カナダ保健省の副大臣であるHarpreet Kochhar氏は、参加者を歓迎し、カナダとCCFLの関係がカナダで最も長く続いている最も重要な国際的活動の一つであると述べた。彼は、「食品に関する意思決定や選択は、日常生活の重要な側面であり、この表示部会が策定した国際的な表示規格とガイドラインは、消費者が、重要な情報を得た上で自身が食べる食品について決定することを可能にする」と、部会の重要性について語った。

 

[ASA]ASA裁定

ASA Ruling on Copper Clothing Ltd t/a Copper Clothing

13 October 2021

https://www.asa.org.uk/rulings/copper-clothing-ltd-a20-1085246-copper-clothing-ltd.html

2020年11月のラジオ広告で、銅入りマスクが数分で99.99%ウイルスを破壊すると主張した。使われている硫酸銅5水和物はバイオサイド製品に相当し販売、使用前に認可が必要である。従って広告された時点で合法的に販売されている可能性はありそうにないと理解する。提出された実験報告では99.99%のウイルス削減に25-30分の接触を要し、マスクの宣伝から消費者が理解するであろう迅速な効果とは違う。さらに現実のマスクの状況とも違う。広告基準違反と判断

 

[CPSC]小鬼といたずらの日に、安全性をご褒美に

On a Day for Goblins and Tricks, Make Safety a Treat

October 12, 2021

https://www.cpsc.gov/Newsroom/News-Releases/2022/On-a-Day-for-Goblins-and-Tricks-Make-Safety-a-Treat

CPSCは消費者にハロウィーンの安全性を第一にするよう再確認

過去3年間で病院で治療されたハロウィーン関連の怪我は年平均3600件で、48%はカボチャを彫るとき、27%はデコレーションや訪問の際の転倒、25%はその他アレルギーや誤食等。

 

[RIVM]予想されていたSARS-CoV-2の秋の増加が始まったようだ

Expected autumn increase in SARS-CoV-2 appears to have started

10/12/2021

https://www.rivm.nl/en/news/expected-autumn-increase-in-SARS-CoV-2-appears-to-have-started

2021年10月5-12日の週、報告されたCOVID-19陽性者数はその前の週より48%増えた(17832人)。全ての地域、全ての年齢で増加し、検査陽性率も増えた。

 

[HSA]HSA警告:「ミラクルゴールドキャンディ」と「C4キャンディ」に勃起不全薬が含まれ、「Coco Hotzココア飲料」からステロイド検出

HSA Alert: ‘Miracle Gold Candy’ and ‘C4 Candy’ Found to Contain Erectile Dysfunction Medicine; ‘Coco Hotz Cocoa Drink’ Detected with Steroid

8 Oct 2021

https://www.hsa.gov.sg/announcements/press-release/miraclegold-c4candy-cocohotz

タダラフィルとデキサメタゾン

これらは国内e-コマースとソーシャルメディアプラットホームで販売されていてHSAはプラットホーム管理者と協力して問題のリストを削除し販売者に警告した

PDFに製品の写真あり

(何故減量を宣伝する製品にステロイド?)

 

[SFA]屋台市場やコーヒーショップでの安全措置強化

ENHANCED SAFE MANAGEMENT MEASURES AT HAWKER CENTRES AND COFFEESHOPS

9 October 2021

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/enhanced-safe-management-measures-at-hawker-centres-coffeeshops.pdf

2021年10月13日より、屋台市場やコーヒーショップでは、完全にコロナのワクチンを接種した人のみが、2人までのグループで食事をすることができ、受けていない人は、持ち帰り用の食品を購入することができる。

 

[SFA]Koryo Trading Pte Ltdが、無許可の冷蔵倉庫の違法運営および肉と水産物の違法輸入により、3万ドルの罰金を科される

Koryo Trading Pte Ltd fined $30,000 for illegal operation of unlicensed cold

store and illegal import of meat and seafood product

8 October 2021

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/sfa-media-release---koryo-trading-pte-ltd-fined-30-000-dollars-for-illegal-operation-of-unlicensed-cold-store-and-illegal-import-of-meat-and-seafood-products.pdf

食品輸入会社であるKoryo Trading Pte Ltdは、無許可の冷蔵倉庫を運営し、肉や魚介類の詰め合わせを違法に輸入したとして 3万ドルの罰金となった。

 

[HK]食品の有害物質(修正)規則2021)」

Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021

October 11, 2021 (Monday)

https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fstr/whatsnew_fstr_Food_Regulations_Harmful_Substances.html

「Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021(食品の有害物質(修正)規則2021)」に関するガイドライについて情報更新。

https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fstr/files/4th_TM_Guidelines_to_Cap_132AF_ENG.pdf

 

[HK]法令違反

-ネギのサンプルから基準値超過の残留農薬を検出

A welsh onion sample detected with pesticide residue exceeding legal limit

October 11, 2021 (Monday)

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20211011_8924.html

ネギのサンプルから、基準値2 ppmを超える2.82 ppmのチアメトキサムが検出された。

 

-スベリヒユのサンプルで残留農薬が基準値を超える

Pesticide residue exceeds legal limit in Purslane sample

October 11, 2021 (Monday)

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20211011_8923.html

スベリヒユのサンプルから、基準値0.1 ppmを超える1.2 ppmのクロルピリホスが検出された。

 

[FSAI]リコール

-Moo Milk風味付きミルクの一部に未承認の農薬であるエチレンオキシドの混入のためリコール

Recall of Certain Batches of Moo Milk Flavoured Milk due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide

Friday, 8 October 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/moo_milk_flavoured_milk.html

英国産Moo Milk風味付きミルクに未承認の農薬であるエチレンオキシドが含まれていたため、リコール。製品写真有り。

 

-King Oscarイワシのトマトソース漬けに未承認の農薬であるエチレンオキシドの混入のためリコール

Recall of a Batch of King Oscar Sardines in Tomato Sauce due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide

Friday, 8 October 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/king_oscar_sardines.html

ポーランド産King Oscarイワシのトマトソース漬け使用された食品添加物であるローカストビーンガム(E410)に未承認の農薬であるエチレンオキシドが含まれていたため、リコール。製品写真有り。

 

[FSA]包装済み直接販売(PPDS)食品の表示ガイダンス

Labelling guidance for prepacked for direct sale (PPDS) food products

4 October 2021

https://www.food.gov.uk/business-guidance/labelling-guidance-for-prepacked-for-direct-sale-ppds-food-products

このガイダンスは、直販用包装商品(PPDS)のアレルゲン表示要件の変更の影響を受ける食品事業者が、食品の表示方法について理解を深めるため、また、食品事業者にベストプラクティスと規制上の情報提供することを目的として作成された。

 

[FSA]食物過敏研究(生活の質)第1回報告書

Food Sensitive Study (Quality of Life) Wave 1 Report

7 October 2021

https://www.food.gov.uk/research/food-allergy-and-intolerance-research/food-sensitive-study-quality-of-life-wave-1-report

アレルギー、不耐性、セリアック病などの食物過敏症(FHS)を持つ人々が、日常生活においてどのような影響を受けているかについての調査結果をまとめた。

https://www.food.gov.uk/sites/default/files/media/document/fsa_wave-1-report-v8-final-002.pdf

 

[FSA]英国アナフィラキシー登録開始と英国の消費者にとってのその重要性

FSAブログ

The launch of the UK Anaphylaxis Registry and its importance for UK consumers

Dr Paul Turner, Imperial College London 小児アレルギーと免疫コンサルタント、Ayah Wafi, アレルゲンリスク評価者, Posted on:7 October 2021

https://food.blog.gov.uk/2021/10/07/the-launch-of-the-uk-anaphylaxis-registry-and-its-importance-for-uk-consumers/

英国アレルギーと臨床免疫学会(BSACI)の年次会合で、英国アナフィラキシー登録が発表された。これはアナフィラキシーとその個人への影響をより良く理解するための重要なステップである

アナフィラキシー反応は深刻で命に関わるアレルギー反応である。死に至ることは希ではあるが、食物アレルギーのある人にとっては事故で暴露されてアレルギー反応が出ることはよくある。この登録が始まる前は、英国にはアナフィラキシーを報告する標準化された方法はなかった。この登録は医師がアナフィラキシー事象の詳細を記録し英国全体のデータを集めて反応の種類や頻度、地域などをより良く理解するプラットホームとなる。

食品へのアレルギー反応についてより良く理解することはFSAが食物アレルギーのある人をより良く守るのに役立つだろう。

英国アナフィラキシー登録は患者自身からも反応が起こった状況や重症度についてのデータを集める。医師が反応を記録するときに許可を得て患者のメールアドレスを入力し、システムが質問を送付する。

 

論文

-ダイエタリーサプリメントと高齢女性の死亡率 アイオワ女性健康研究

Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women

The Iowa Women's Health Study

Jaakko Mursu, et al., Arch Intern Med. 2011;171(18):1625-1633

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/1105975

1986年に平均61.6才のアイオワ女性健康研究参加者38772人の総死亡率とビタミンやミネラルサプリメントの使用を評価した。サプリメントの使用については1986、1997、2004年に自主申告。2008年12月31日までに15594人の死亡が同定されている。

サプリメントの使用が使用していない場合に比べてリスク増加と関連したのはマルチビタミン、ビタミンB6、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅。リスク低下と関連したのはカルシウム。

 

-ナノ銀は感染の長期治療における「銀の弾丸」ではない

Nanosilver no ‘silver bullet’ in long-term treatment of infections

12-OCT-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/931262

Journal of Nanobiotechnologyに発表された、細菌がナノ銀処理に適応できることを示した研究

 

-COVID-19関連子育てストレスが子どもの食習慣に影響

COVID-19-related parenting stress impacted eating habits of children

12-OCT-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/931296

Current Psychologyに発表された2020年4-6月のヒューストンでの2-7才の子どもをもつ父母119人への調査。ステイホーム要求により多くの親が突然保育士・教育者・従業員の複数の役割に取り組むことになり、最適な食事指導の余裕がなくなった

 

-COVID-19以前から英国の地域の多くで寿命が短くなっていた

Life expectancy declining in many English communities even before COVID-19 pandemic

12-OCT-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/931307

The Lancet Public Healthに発表された2002-2019年のイングランドの死亡の詳細解析。

2002-2010年は大多数の地域で寿命が延びていたが2010-2014に一部で減り始め2014-2019年にさらに悪化した。寿命が短くなっている地域は既に寿命が短く、貧困率と失業が高く、教育レベルの低い地域である。最も長いところと最も短いところの差は20年にもなる。寿命が長いのはロンドン周辺

 

SMC NZ

-政府が(温室効果ガス)排出削減アイディアを募集-専門家の反応

Govt asks for ideas to reduce emissions – Expert Reaction

13 October 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/13/govt-asks-for-ideas-to-reduce-emissions-expert-reaction/

政府が排出削減計画のための意見募集を発表した。

あがっているアイディア:古い型の車の下取り計画、自然林植林、紙と食品の埋め立て禁止、キッチンコンポスト収集、等

専門家の意見略

 

-北島とWaikatoの高警戒レベル継続-専門家の反応

High alert persists in Northland and Waikato – Expert Reaction

Published: 13 October 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/13/high-alert-persists-in-northland-and-waikato-expert-reaction/

北島とWaikatoは少なくともあと5日間はアラートレベル3

本日発表された新たな感染者55人のうち2人はWaikatoの感染源不明ケース

全体的患者数増加傾向は続いている

ワクチン接種率は12才以上の対象者の57%

 

-最近のCovid傾向の意味は?-専門家Q&A

What do the latest Covid trends mean? – Expert Q&A

12 October 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/12/what-do-the-latest-covid-trends-mean-expert-qa/

最近の新規感染者数が増加している。金曜日から、毎日30-40で日曜日は60になった

7人の専門家の意見

・アラート4に戻るのがベスト

・感染者の多くがマオリと太平洋諸島民族

・10月2日の反ロックダウン抗議活動との関連は不明

・オーストラリアよりは増加速度が遅い

・ロードマップステップ1との関連は不明

 

-ニューサウスウェールズはワクチン接種完了者に扉を開く-オーストラリアSMC専門家の反応

New South Wales opens up for fully-vaccinated – Aus SMC Expert Reaction

12 October 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/12/new-south-wales-opens-up-for-fully-vaccinated-aus-smc-expert-reaction/

(16才以上の)70%が二回ワクチン接種の目標に到達したため、シドニーがワクチン完了者にCovid-19制限を一部緩和する

12人の多様な意見(ニュージーランドとは違う)

 

-医療や教育職はCovid予防接種義務-専門家の反応

Covid shots mandated for health & education staff – Expert Reaction

11 October 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/11/covid-shots-mandated-for-health-education-staff-expert-reaction/

学校で働く人、幼児教育や医療福祉サービスに携わる人は間もなくCovid-19ワクチンが義務になる

7人の意見

こちらはほぼ規制強化賛成。

 

-Covid患者一人が広範囲にこの地域を移動したため北島ロックダウン

Northland lockdown after Covid case moves “extensively” through the region – Expert Reaction

08 October 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/08/northland-lockdown-after-covid-case-moves-extensively-through-the-region-expert-reaction/

感染した女性一人が地域を動き回って接触追跡者に協力しないために北島がアラートレベル3に。北島のワクチン接種率は低い

 

その他

-BBC特集 贅沢品になる可能性のある日々の食品

The everyday foods that could become luxuries

By Isabelle Gerretsen

27th September 2021

https://www.bbc.com/future/article/20210923-the-everyday-foods-that-could-become-luxuries

コーヒー、肉、スパイスのような日々の食品が、気候変動と好みの変化で贅沢品になるかもしれない

ロブスターはご馳走だと思われているが18世紀には金持ちは食べない望ましくない食品だった。この甲殻類は米国東海岸にたくさんいて肥料として使われ刑務所で囚人に提供されていた。ロブスターを贅沢品に変えたのは鉄道だった。評判の悪さを知らない豊かな旅行客に提供し、高級レストランのメニューになった。19世紀末には贅沢品としての地位を確立した。

食品が贅沢かどうかを決めるのは何だろう?希少性と値段が重要である。

牡蠣もロブスターと似ているが砂糖とサーモンは逆でかつては贅沢品のオーラをまとっていたが今ではそうでもない。

かつて貴重品だったチョコレートやコーヒーは今ではスーパーマーケットで売られているが将来気候変動の影響でまた貴重品になるかもしれない。肉は菜食主義の高まりと気候対策としての肉課税などで嫌われるかもしれない。

(抜粋)

 

-反ワクチンカイロプラクターがデマの新興勢力

Anti-vaccine chiropractors rising force of misinformation

By MICHELLE R. SMITH, SCOTT BAUER and MIKE CATALINI

October 9, 2021

https://apnews.com/article/anti-virus-chiropractors-rising-force-misinformation-02b347767b45cab1d6d532be03c57529

 

カイロプラクティック継続教育コースでの反ワクチンイデオロギーとCOVIDデマ:「プランデミック」編

Anti-vaccination ideology and COVID misinformation in chiropractic continuing education courses: “Plandemic” edition

Jann Bellamy on October 7, 2021

https://sciencebasedmedicine.org/anti-vaccination-ideology-and-covid-misinformation-in-chiropractic-continuing-education-courses-plandemic-edition/

カイロプラクターの反ワクチン教育イベントVAXCON ’21の紹介等

 

-Natureワールドビュー

COVID教訓:辛い事実で人々を信頼せよ

COVID lesson: trust the public with hard truths

Michael Bang Petersen  12 October 2021

https://www.nature.com/articles/d41586-021-02758-2

政府が人々がパニックをおこすだろうと考えるとき、パンデミックは悪化する

パンデミック中の多くの恐怖の中でも特に有害なのは、政府が国民を恐れることである。Donald Trump米国前大統領は「パニックを減らすため」コロナウイルスのリスクを軽視したことを認めた。Jair Bolsonaroブラジル大統領はメディアが「ヒステリー」の原因だと非難した。英国政府は人々が制限にすぐ疲れるだろうことを恐れてロックダウンが遅かった。そして私の母国デンマークでは、当局は2020年初めに「不必要な恐怖」を避けるためにパンデミックへの備えに人々が注目しないように務めた。

しかしデンマークは戦略を転回して厳しい事実を伝えて国民を信頼することにした。その結果死亡率は低く50才以上の予防接種率95%につながった。2021年9月、デンマークはCOVID-19は最早「重大な脅威critical threat」ではないと宣言した。

パンデミック前、私はデンマークの危機対応を研究していた。2015年にイスラム教徒のテロリストがユダヤ教の礼拝堂でのイベントを攻撃した件では、私と同僚は、政府からの明確なメッセージもあってデンマーク人の多くがイスラム教や彼らの権利を激しく非難することはなかったと結論した。つまり、不合理な、危害をもたらす行動がおこらないというのではなく、危機に直面したときの集団パニックの可能性が誇大評価されている、特に当局とメディアが冷静な場合には。

2020年3月に私は国内外のパンデミック対応を研究しはじめ、政府のアドバイザーになった。私の全体的メッセージは、「人々がパニックをおこすとは思わないように。その想定は非生産的で、研究からは導き出せない」

パンデミック中には迅速な行動変容が必須であり、人々に「落ち着いてそのままで」と言うことはできない。聞いてどうすればいいのか知るために明確な情報が必要である。2020年3月初めの私のメッセージはそうであった。2020年3月11日にMette Frederiksen首相がロックダウンを発表したとき、政府の説明は、不確実性を認めつつ印象的な明確さに変わった。流行をコントロールしないと病院に負荷がかかることを示すためにThe Economistが数日前に有名にした#カーブを平らにしようグラフが使われた。これは緊急性と危機感を伝えたがパニックにはならなかった。Frederiksen首相は不確実性を明確に認めた。「我々はこれまで経験のない領域にある。私たちは間違う可能性がある?もちろんある」

デンマーク当局が市民を信頼できたのは市民が彼らを信頼していることを知っていたからだと言う人がいるかもしれない。けっきょくのところデンマークはしばしば信頼性についての国際研究でトップにある。しかし私はこの経験は他でもあてはまると考えている。災難に直面すると、人々はパニックではなく連帯することが研究では一貫して示されている。中国でもフランスでも。パンデミックのパニックの象徴とされる買いだめであっても、多くの人々はトイレットペーパーを持って忍耐強く列に並ぶ。

一般の人々は不愉快な事実を効果的に扱えないという考えはパンデミック管理の妨げである。それによって当局が自滅的コミュニケーションをすることになる。私たちの研究は、メッセージは自己効力感のあるものにすべきだということを示している:何をしたらいいか知っていると思っている人は、従う可能性が高い。国民を過小評価する政府は人々ができないことに焦点をおく。

人々を信頼しない当局はネガティブあるいは複雑な事実を軽視する。家父長的当局は、新たに出てくる根拠を説明するよりあいまいな大丈夫だ、を使う。曖昧さはワクチン受容を阻害し当局への信頼を減らす。

信頼を支えることが鍵である。デンマーク保健当局は特定のワクチンの使用を一時停止したとき、その副作用の可能性について明確に説明した。この決定は予防接種への支持や保健当局への信頼を害さなかったことが私たちの研究で示されている。

1997年に政治学者でノーベル経済学者のElinor Ostromが、政治家は人々の自分で考える能力を尊重しないことで「お互いに信頼に欠けるシニカルな市民」を創り出していると警告した。そのような問題が続くのは政府が心理学的バイアスのある研究に基づく行動助言に頼ることが多くなったからだろう。そのような研究は人々が不合理であるという見方を推進しようとしているわけではないが、人の意思決定の間違いを常に強調することで、政治的エリートの中に既にある見解を強化している可能性がある。

この相互不信を緩和するために何ができる?ゲーム理論を借用すると、最初に動けるのは当局のみである。当局が市民を信頼しなければ、市民は決して当局を信頼しないだろう。