2022-02-16

[Codex]コーデックスは論争中の問題の合意形成に役立つ科学の役割に関する原則の記述を検討する

Codex to explore its statements of principle on role of science to help find consensus on controversial issues

03/02/2022

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1471044/

2022年2月2日(水)にオンラインで開催された非公式会合では、手続きマニュアルの「コーデックスの意思決定プロセスにおける科学の役割とその他の要素(other factors)が考慮される範囲に関する原則」に関する運用ガイダンスを、どのように提供すれば良いのかコーデックス執行小委員会が検討を開始した。執行小委員会は、副議長であるニュージーランドのRaj Rajasekar氏が率いる予定である。

コーデックス事務局長のTom Heilandt氏が「コーデックスの真髄...まさにコーデックスの核心に触れる作業」と定義した通り、参加者には、後に広くメンバーに提示され、願わくはジルパテロールといった成長促進剤の最大残留基準値(MRL)の策定に関する行き詰まりの打開に貢献できる道筋をつくることが求められるだろう。

*注:その他の要素とは、科学以外に考慮される要素のことを指す。現在、コーデックス動物用医薬品部会(CCRVDF)においてβ2-アドレナリン作動薬であるジルパテロール塩酸塩のMRL策定作業が行われている。そのMRL案は原則通りJECFAの科学的評価と勧告に基づいており、日本を含め参加国の多くは支持する前向きな意見を表明しているが、EUをはじめとする複数の参加国が、成長促進等の治療目的以外の使用を認めるべきではない、そのような使用を禁止している国もあるといった科学的でない理由でステップを進めることを強く反対しており、議論が膠着している。以前にも、同じくβ2-アドレナリン作動薬であるラクトパミンのMRLの最終採択が長年保留され、決着のために総会で他に例をみない投票形式で、しかも僅差で採決された経緯もあり、コーデックスにおいてその他の要素による議論の膠着をどのように回避するかが長年の課題とされてきた。手続きマニュアルには、その他の要素として途上国での実行可能性や経済的理由については言及されているが、それ以上の詳細な説明はない。科学とコンセンサスを重んじるコーデックスの信頼性にもつながり、またCCRVDF以外の部会にも関係する課題であることから、執行委員会が率いるかたちで議論進行の原則を見直すための作業に取り組むこととなった。

 

[Codex]FAOがオンライン開始イベントで食品由来AMRプロジェクトに着手する

FAO launches foodborne AMR project with online inception event

17/02/2022

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1471447/

 FAOが、薬剤耐性(AMR)に関するコーデックス基準の導入推進のための新規プロジェクトを立ち上げ、ラテンアメリカ地域向けにオンライン形式の開始イベントを2022年2月17日(木)に開催する。FAOの食品安全・AMR専門家と、関連部会の議長を務めた韓国とコーデックスの代表者が、このプロジェクトの背景、対象範囲、期待される結果を紹介する。

 

[フィンランド食品局]フィンランドの重要食品汚染物質-健康リスクと情報のギャップ

Key food contaminants in Finland – health risks and information gaps

9/2021

https://www.ruokavirasto.fi/globalassets/yhteisot/riskinarviointi/projektit/ruokaviraston_tutkimuksia_1_2021_220921.pdf

(本文フィンランド語)

要旨

本プロジェクトの目的は、フィンランドの消費者の視点から、規則 (EC) No 1881/2006で管理されている、あるいは欧州委員会がモニタリングを勧告した食品汚染物質の優先順位を決めることである。優先順位付けは、各化合物の健康への影響の深刻さと、多量摂取者に対するリスクレベルに基づいて行われた。最も優先順位の高いグループとして、発がん化合物が特定され、その暴露レベルは、集団におけるがんの発生率を増加させるのに十分であることが確認された。評価で考慮された要素には、国のデータセットの年数と対象範囲、異なる食品群における汚染物質の濃度、消費者の主な暴露源、フィンランドで測定された濃度がEU平均と明らかに異なるかどうかなども含まれる。

多量摂取(95パーセンタイル)した場合の急性暴露(単回、24時間以内)と慢性暴露に関するリスクランキング表は次の通りである。複合汚染物質の観点から最も重要な食品群は、穀類・穀類製品、乳幼児用食品、根菜類、肉類・肉類製品であった。これらの食品群は頻繁に多量消費され、結果として、多くの汚染物質への重要な暴露源となる。確認されたデータギャップとして、魚および植物性飲料(乳代替品)に含まれる無機ヒ素の濃度とその変動、子供用食品とノンアルコール飲料のアクリルアミドの汚染実態データ、メチルフランのデータ、アルテルナリア属トキシンの国内分析データ、油糧種子の青酸配糖体(リナマリン)のデータが古い、などが指摘された。

 

表1.急性暴露に関するリスクランキング

 

中または高リスク

低リスク

無視できるリスク

致死的影響の可能性

 

青酸配糖体(最悪シナリオ:アプリコット種子)
トロパンアルカロイド

麦角アルカロイド
青酸配糖体(油糧種子を推奨量を超えて摂取した場合)

致死的よりも軽い影響

ニッケル

(アレルギーの人)
T2/HT2トキシン
モルヒネ

デオキシニバレノール

コデイン
テトラヒドロカンナビノール

 

表2.長期暴露に関するリスクランキング

 

中または高リスク

低リスク

無視できるリスク

閾値のない発がん性及び胎児毒性化合物

アフラトキシン
ヒ素(無機)
アクリルアミド
フラン・メチルフラン
AOH・AME(アルテルナリア属トキシン)

カルバミン酸エチル
オクラトキシンA

ピロリジジンアルカロイド
アフラトキシンM1
グリシドール
パツリン

ベンゾ(a)ピレン
多環芳香族炭化水素(PAH4)
ステリグマトシスチン

内分泌撹乱物質

ダイオキシン及びdl-PCBs(合計)

ダイオキシン(単独)
BDE-99
ゼアラレノン
ビスフェノールA

フタル酸類(DEHP, DINP, BBP, DBP)
テトラヒドロカンナビノール

重篤な臓器障害を起こす化合物、閾値を超えて暴露した場合に発がんまたは胎児障害を起こす化合物

パーフルオロアルキル化合物(4 PFAS)

デオキシニバレノール
PFOA及びPFOS
フモニシン
カドミウム
麦角アルカロイド
過塩素酸塩
3-MCPD

ニッケル
オクラトキシンA(非発がん影響)
メチル水銀・有機水銀
メラミン
アルミニウム
TeA・TEN(アルテルナリア属トキシン)
ビスフェノールA

上述よりも重篤度が低いまたは可逆的な影響を起こす化合物

T2/HT2トキシン

硝酸塩

エルカ酸
無機スズ
MOSH

 

[ASA]ASA裁定

ASA Ruling on Person(s) unknown

16 February 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/person-s--unknown-a21-1128132-person-s--unknown.html

2021年10月25日に「もう黙っていないNo More Silence」という団体の広報キャンペーンで「FDAのファクトシートによるとファイザーのcovidワクチンの試験に参加した子どもたちの86%が有害反応を報告している」という見出しでワクチンの危険性を訴え、誤解を招く者で無責任であるとの苦情が寄せられた。No More SilenceはASAの照会に回答しない。広告にある86%が有害反応、はその下の文で血栓や血管病のことを示唆しているがFDAのファクトシートによると86%の参加者が注射部位の痛みを報告している。85%が軽度から中程度の痛み、1%が大きな痛みを報告している。従って広告の内容は誤解を招くもので基準違反である

 

[DGCCRF]エチレンオキシドによるリコール対象品の表更新

Sésame, psyllium, épices et autres produits rappelés comprenant ces ingrédients

11/02/2022

https://www.economie.gouv.fr/dgccrf/sesame-psyllium-epices-et-autres-produits-rappeles-comprenant-ces-ingredients

 

[EU]新規食品:イエコオロギがEUで食品成分として認可された3番目の昆虫になった

Novel foods: house cricket becomes third insect authorised as food ingredient for the EU market

Daily News 11 / 02 / 2022

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/mex_22_983

昨日欧州委員会はAcheta domesticusをEUの新規食品として認めた

Questions and answers

https://ec.europa.eu/food/safety/novel-food/authorisations/approval-insect-novel-food_en

 

[EU]Q & A:農場から食卓まで:植物保護製品に使われる微生物の新しい規則

Questions and Answers: Farm to Fork: new rules for micro-organisms used in plant protection products

10 February 2022

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_22_852

微生物農薬の認可要件緩和について

(ナチュラルだから安全、が強調されている。植物に特異的に作用する化学物質は化学物質だから危険だけれど、植物に特異的に作用するウイルスは人工ではないから安全だという「思想」。)

 

論文

-ヒトマイクロバイオーム研究は発展途上国を除外している

Human microbiome research excludes developing world

15-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/942789

PLOS Biology。世界のヒトマイクロバイオーム研究は米国や英国のような豊かな国で非常に多い。世界のDNA配列倉庫の約半分は米国のもの。71%が北米と欧州。

 

-Natureワールドビュー

Biden大統領には政策の才能のある科学者が必要

Biden needs scientists with policy chops

11 February 2022  Kenneth Bernard

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00411-0

研究における卓越だけではトップ科学職位に十分ではない

(今更?)

 

その他

-英国の違法食用大麻流行は「懸念」とCIEHがいう

Illegal cannabis edibles trend in UK ‘concerning,’ says CIEH

By Joe Whitworth on February 15, 2022

https://www.foodsafetynews.com/2022/02/illegal-cannabis-edibles-trend-in-uk-concerning-says-cieh/

英国での食用大麻のオンライン違法販売に懸念が提示されている。英国では販売が認められていないのにTikTok, Facebook Marketplace, Snapchatを介してオンライン販売されていて生産者は不明である。アイルランドでは2021年に少なくとも6人の10才以下の子どもが入院し、英国内でも無数の病気になったという報告がある

スコットランド食品基準庁(FSS)とスコットランド警察とスコットランド公衆衛生庁は昨年のFSS理事会で犯罪組織による食用大麻製品の製造とオンラインマーケティングに懸念を表明した。しかしこの問題はFSSの権限外である

Chartered Institute of Environmental Health (CIEH)はフェイスブックなどのソーシャルメディアでの管理されない物品販売を懸念している。

大麻入りお菓子は同定が困難である。

 

-EPAのクロルピリホス禁止に関して差し止めを探る

Injunction sought against EPA regarding ban on farm pesticide chlorpyrifos

By News Desk on February 15, 2022

https://www.foodsafetynews.com/2022/02/injunction-sought-against-epa-regarding-ban-on-farm-pesticide-chlorpyrifos/

農業団体がEPAによるクロルピリホス禁止を差し止めようとしている。EPAは特に妊婦で、神経系への傷害の可能性を懸念しているが、農業関係者は安全な使用法があり代替品は存在しないという

2021年10月には80以上の農業団体がEPAの提案に公式に反対の意思表明をしている

 

-イベルメクチンの瓶が明らかにしたCOVID遠隔医療の闇の世界

What a bottle of ivermectin reveals about the shadowy world of COVID telemedicine.

NPR, Feb 9, 2022 Brumfiel G.

https://www.npr.org/sections/health-shots/2022/02/09/1079183523/what-a-bottle-of-ivermectin-reveals-about-the-shadowy-world-of-covid-telemedicin

クリスマス直前、右翼ジャーナリストBen BergquamがCOVID-19で重症になった。フェイスブックに投稿した動画で味覚や臭いがわからなくなって熱が出たことなどを投稿した。彼は子どもの頃に喘息だったにも関わらず予防接種をしていなかった。その代わりにイベルメクチンを使った。彼の動画から根拠のないCOVID-19治療法としてのイベルメクチンがどう処方されて入手されているのかが伺える。多くの医師はイベルメクチンを処方しないが少数の医師が遠隔医療で処方している。Bergquamに処方したのはAmerica's Frontline Doctorsの一人Kathleen Ann Cullenである。

(以下彼女が金儲けのために遠隔医療で医師免許を利用する様子等)