2022-02-18

[EU]査察報告

-スロバキア―水産物

Slovakia 2021-7163―Fishery products

14/01/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4441

2021年9月6~17日にスロバキアで実施した査察。管轄機関が設定している公的管理システムは関連するEU法の要件を満たしている。概して、公的管理システムの組織と運営は適切で、教育、手順、関連する管理指示書に支えられ、関連するEU要件を効率的・効果的に施行できている。だが水産物部門は遵守レベルが高く、リスクに基づき他の管理分野を優先したため近年は監視対象となっていない。中央管轄機関は最小限の頻度でサンプリングなどの公的管理を実施し、結果として承認施設の管理頻度は高くなった。

 

-ルクセンブルグ―農薬の持続可能な利用および植物保護製品の認可の側面

Luxembourg 2021-7297―            Sustainable use of pesticides and aspects of the authorisation of plant protection products

14/01/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4445

2021年4月19~30日にルクセンブルグで実施した、農薬の持続可能な利用を達成するための関連対策の実施を評価するためのリモート査察結果。管轄機関は農薬の持続可能な利用を達成するための対策を取っており、それは調和リスク指標1の好ましい傾向や、最も危険な植物保護製品(PPP)の販売量の削減で立証されており、その結果、農場から食卓までの目標の達成に向けていくらか前進している。国家行動計画に堅固な定量的目標と指標がないこと、PPP 管理者の教育と認証のシステム設定の遅れ、総合的害虫管理が実施されていないこと、水の監視結果から、改善の見込みはかなりある。

 

-ポーランド―植物保護製品の市販と使用

Poland 2021-7300―Marketing and use of plant protection products

14/01/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4444

2021年6月7~18日にポーランドで実施した、植物保護製品の市販と使用に関する公的管理システムを評価するためのリモート査察結果。ポーランドの植物保護製品の販売量はEUで5番目に多く、全販売量の7% を占めている。ポーランドにはEUで最長の国境があり、植物保護製品の輸入、製造、再梱包を行う管理者の本拠地で、これらの製品には推定で700,000人の従業員がいる。植物保護製品の市販と使用に関する全体的な管理システムは効果的である。管轄機関とその責任は明確に定義されており、概して管轄機関間には大変良好な調整と協力がある。特に、管轄機関はポーランドで認可されていない植物保護製品に関連するリスクや、輸入業者、製造業者、再梱包業者に関連するリスクを認識しており、それに応じて管理の優先順位をつけている。

 

[EU]がん検診:評議会助言更新のための根拠の要請

Cancer screening: Call for evidence on Council Recommendation update

17/02/2022

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/items/736795/en

欧州がん克服計画のもとでの新たながん検診計画を作るためにエビデンスの募集を行っている。2003年の助言を改訂中で、2022年9月に提案を発表する予定。

 

 

[EFSA]意見等

-多年生作物と一年生作物の土壌の植物保護製品(PPP)の予測環境中濃度(PEC)を算出するソフトウエアツール:バグの修正と更新報告

Software tool for calculating the predicted environmental concentrations (PEC) of plant protection products (PPP) in soil for permanent and annual crops: Bug fixing & update report

EFSA Journal 2022;19(2):EN-7065  16 February 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7065

(外部科学報告書)

PERSAMはEFSAが委託した土壌の植物保護製品の予測環境中濃度のためのソフトウエアツールである。2013年に開始された。この報告書では、PERSAM 3.0.2から3.0.6で対処した問題点と解決策について説明する。

 

-科学会議N°26:栄養素&汚染物質への複合暴露のリスクベネフィット評価

Scientific Colloquium N°26: Risk Benefit Assessment of combined exposure to Nutrients & Contaminants

15/02/2022

https://www.youtube.com/watch?v=XatNNsrvLh0

https://www.youtube.com/watch?v=QmZnkKpHPfo

https://www.youtube.com/watch?v=QR1MU5W6Bmk

YouTube動画 3件

 

[BfR]妊娠を計画している?-葉酸を忘れずに!

Planning a Pregnancy? - Don’t Forget Your Folic Acid!

26.01.2022

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2022/02/planning_a_pregnancy____don_t_forget_your_folic_acid_-291829.html

毎年、ドイツでは約800人の子供が神経管欠損で生まれ、その結果、脊髄および/または脳が適切に発達しない。これは生涯にわたる重度の健康不良や障害を意味することが多く、その子供だけでなく身内の生活の質にも影響する。妊娠前や妊娠中にビタミンB群の葉酸を取ると、この健康リスクを大幅に削減できることが研究から示されている。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、早い段階から成長する子供の発達と健康を効果的に支援するために、妊娠を希望する全ての女性に毎日400マイクログラムの葉酸を取るよう助言する情報シートを発表した。

情報シート(ドイツ語)

https://www.bfr.bund.de/cm/350/schwanger-werden-aber-nicht-ohne-folsaeure.pdf

PDF-File (320.6 KB)

ドイツでは、バランスのとれた多様な食事をしていれば、一般的に健康的な成人は食品サプリメントを取る必要はない。唯一の例外は葉酸、つまりビタミンB群の合成型「葉酸塩」である:妊娠を希望する、あるいは妊娠第一期の女性には、できれば葉酸塩が豊富な通常の食事に加えて葉酸を取るよう助言する。妊娠前や妊娠中にサプリメントの形(400 マイクログラム/日)で葉酸を取ると先天性欠損症(いわゆる神経管欠損)のリスクを大幅に減らすことができることが研究から示されているからである。さらに、妊娠中(および授乳中)には葉酸の必要量が増え、適切な摂取量に達するにはより意識した食品の選択が必要だからである。

この情報シートは無料でBfRのウェブサイトからアクセスでき、印刷版として依頼に応じて注文できる。このシートは、ビタミンを含む天然や栄養強化食品についての情報だけでなく、400マイクログラムの葉酸の補完的摂取が推奨される理由や時間、またどのくらいの用量の葉酸が有害健康影響のリスクを高めるのかについても明確に伝えている。

 

 

[USDA]脂肪酸と死亡率:ARSの科学者が問題の核心に迫る

Fatty Acids and Mortality: ARS Scientists Get to the Heart of the Matter

Posted by Scott Elliott, Feb 17, 2022

https://www.usda.gov/media/blog/2022/02/17/fatty-acids-and-mortality-ars-scientists-get-heart-matter

ARSの食品成分と健康ラボのDavid Baerらの二つのプロジェクト、地中海食で脂身の少ない牛肉を食べること、高オレイン酸大豆油での調理、の紹介。

 

 

[FDA]FDA

https://www.fda.gov/

トップがWELCOME BACK, Commisionaer Califf!

でRobert M. Califf M.D., MACC特集

2月17日にFDA長官に再び就任

 

論文

-培養肉の神話:レビュー

The Myth of Cultured Meat: A Review

Sghaier Chriki and Jean-François Hocquette

Front. Nutr., 07 February 2020 | https://doi.org/10.3389/fnut.2020.00007

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2020.00007/full

最近の論文の結論としては、たくさんの出版にも関わらず大きな進歩はない。むしろ技術的にはまだ培養方法の改善が必要。

(各種問題点指摘。動物だったら腫瘍部分は食用にしないのに腫瘍性の増殖をする培養細胞は食べてもいいと思うのは何故なんだろう。)

 

-ソーシャルメディアではボットはセレブより迷惑ではない

Bots less of a bother on social media than celebs, study finds

17-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943821

Social Network Analysis and Mining

フォローワー1万人以上の人のほうが影響力が大きい

 

-ナノサイズのプラスチックは細胞膜に入り通過するかもしれない

Nano-sized plastics may enter and permeate cell membranes

17-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943864

Scientific Reportsに発表された、細胞膜を真似た脂質二重層でのナノサイズのマイクロプラスチックのふるまいを解析した研究。細胞膜透過性は並行人工膜透過性アッセイにより検討した。

 

-研究がビタミンはCOVID-19を治療できないことを強化

Study strengthens case that vitamins cannot treat COVID-19

17-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943870

ビタミンC、ビタミンD、亜鉛はCOVID-19死亡率を下げない

Clinical Nutrition ESPENに発表された26論文の解析研究

 

SCIENCE

-エディトリアル

エビデンスで力を与える

Empower with evidence

SUSAN G. AMARA

SCIENCE • 17 Feb 2022 • Vol 375, Issue 6582 • p. 699

2月17-20日はAAAS年次会合がバーチャルで開催され、科学が人々の信頼と理解を得るための課題に取り組む。テーマは「エビデンスで力を与えるEmpower with Evidence」。意見やデマをもとしてではなく知識と事実を根拠に意思決定することの重要性を語る。

COVID-19パンデミックのような危機の時には人々は確実さを欲しがるが、科学は動的なもので、知識が変われば変わり、現代の技術が急速な変化を可能にしたため、人々は混乱し、理解の変遷が間違った枠組みで提供されると疑いすら抱く。科学者や教育者は科学がどう働くかを人々や政治主導者に説明することをもっと上手にやらなければならない。科学は現在の知見を常に疑い改善していく。そうやって世界は進歩する。この文脈で新たな知見について説明するのは科学コミュニティの仕事である。

 

-ニュースを一目で

News at a glance:

・FDA長官は僅差で承認

2月15日の上院の投票は50-46で異例の僅差

反対した民主党員はRobert Califfの医薬品メーカーとの関係と処方オピオイドの認可に関して、また中絶薬の認可に関して中絶反対派が抗議した

・「科学に従え」と人々が言う場合、それに「これが根拠である」が続くことを望む。

COVID-19に関する政治家などの公共の議論に用いられる言葉の使用と誤用に関する科学史家MICHAEL GORDINの記述

・Luc Montagnier 89才で死亡。ノーベル医学生理学賞を得た後、非科学的な理論の提唱で多くの同僚の尊敬を失った

 

-欧州はプラスチックと食品中の内分泌攪乱物質BPAを劇的に減らすことを提案

Europe proposes drastic cuts of BPA, a hormone disruptor found in plastics and food

16 FEB 2022 BY ERIK STOKSTAD

https://www.science.org/content/article/europe-proposes-drastic-cuts-bpa-hormone-disruptor-found-plastics-and-food

食品安全機関はビスフェノールAの食事暴露を10万分の1にするよう呼びかけ

EFSAは有害な可能性のある化合物の規制に新たなアプローチを求めるメッセージとなる、BPAのTDIを10万分の1にする提案をした。これは事実上の禁止であり、欧州規制機関が暴露基準を設定する際にどう研究の知見を使うかを転換したことを示す可能性がある。これまではこうした基準はある化合物が病気のリスクを増やすことを直接示した大規模研究によって作られてきた。しかしBPAの場合はEFSAは微量のBPAが将来の健康問題につながる可能性のある、あるかなきかのsubtle変化をもたらすことを示した小規模研究により大きな重みをおいた。このやりかたが広範に適用されると、他の化合物でもより低濃度の規制が正当化できる。

環境や公衆衛生提唱者はこの提案を賞賛している。一方企業団体は失望している。

米国では多数のグループがEFSAに続けとFDAに強く求めた。しかし欧州が新たな基準を採択したとしても、製造業者はBPAの代わりに同じような化合物を使うだろうと懸念する

(企業が悪で環境健康団体が善などということではなくて、恣意的に異なる判断基準をあてはめることが問題。好き嫌いで基準を厳しくも緩くもできる。化学物質なら僅かなエストロゲン作用も許さないが天然物ならいくらでもOK、欧州馴染みのものなら良くてアジア発はダメとか)

 

-特集 カロリー計算者

THE CALORIE COUNTER

Ann Gibbons Science, Vol 375, Issue 6582 doi: 10.1126/science.ada1368

進化人類学者Herman Pontzerはヒトのカロリー燃焼に関する神話を打ち砕く

ヒトのエネルギー消費量を測定しているHerman Pontzerの研究について

ヒトは他の類人猿より多くのカロリーを消費する、極めて運動量の多いタンザニアのHadzaと米国、欧州、ロシア、日本の人々の脂肪を除いた体重あたりのエネルギー消費量は同じ、等を報告している

 

-化学物質混合物のヒト健康影響

Human health effects of chemical mixtures

ZEYAN LIEW AND PENGFEI GUO

SCIENCE • 17 Feb 2022 • Vol 375, Issue 6582 • pp. 720-721

 

コホートから分子へ:内分泌攪乱物質混合物の有害影響

From cohorts to molecules: Adverse impacts of endocrine disrupting mixtures

Caporale et al., Science 375, eabe8244 (2022).

疫学研究で得られたバイオモニタリング検体中の化合物から言語発達の遅れと関連のある懸念のある物質を同定して混合物をつくり、その混合物をin vitro等の実験で有害性を調べる、そしてもとのコホートに戻って混合物の有害影響リスクを評価する、という手法

(正直よくわからない。これの有害性を証明してやる、と決め打ちしているように見える)

大学からのプレスリリース

化学物質が多いと言葉が少ない:妊娠中の化学物質暴露は脳の発達を変える

More chemicals, fewer words: exposure to chemical mixtures during pregnancy alters brain development

17-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943556

・最初に、スウェーデンの妊娠コホートSELMAで、30ヶ月時点で言語の発達に遅れのある子どもの妊娠女性の血液と尿中の化合物混合物を同定する。これにはフタル酸類、ビスフェノールA、過フッ素化化合物が含まれる

・二番目にこの混合物が撹乱する内分泌や自閉症や知能障害に関連する遺伝子等の分子標的を実験で明らかにする

・三番目の実験の結果を新しいリスク評価原則の開発に使う

このアプローチによって最大54%の妊娠女性が、実験的に懸念となることがわかった量に暴露されていることを示した

(半分以上が言語の発達が遅れていると主張しているのだがそれだと平均的発達はどう定義するんだろう?)

 

-COVID-19と共に生きる時か?一部の科学者は「エンデミックの幻想」に警告

Is it time to live with COVID-19? Some scientists warn of ‘endemic delusion’

Kelly Servick  doi: 10.1126/science.ada1340

主に欧州の状況。最早感染者数の公式検査発表に意味がなく、英国ではONSの無作為抗体検査を止めると発表、等

 

-画期的研究がハゲワシとイヌワシの広範な鉛中毒を発見

Groundbreaking study finds widespread lead poisoning in bald and golden eagles

17-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943234

2010-2018年の北米の1210羽のワシの調査

 

-遺伝子組換えの光る魚がブラジルの水路に侵入

Transgenic glowing fish invades Brazilian streams

 BY SOFIA MOUTINHO doi: 10.1126/science.ada1221

ブラックライトで青、緑、赤に光る遺伝子組換え魚がアクアリウム愛好家の間でここ数年人気で、これら蛍光ペットは自然光のもとでもより鮮やかである。これらがブラジルの養殖場から逃げ出していることが新しい研究で示された。

 

その他

-Natureニュース

2人の科学者が不祥事をおこしたEric Landerに代わるだろう

Two scientists will replace disgraced US science adviser Eric Lander

17 February 2022  Lauren Wolf , Jeff Tollefson & Amy Maxmen

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00484-x

著名な社会学者Alondra NelsonとゲノムリーダーFrancis Collinsが暫定的にLanderの任務を分担する

 

-「科学に従う」のが何故それほど困難なのか

Why It’s So Hard to ‘Follow the Science’

FEBRUARY 10, 2022 By Yair Rosenberg

https://newsletters.theatlantic.com/deep-shtetl/62041a299277230021ae9f0c/follow-the-science-joe-rogan-steven-shapin/

何故人々はJoe Roganを信じ、何故我々の科学についての議論は分裂し、それについてどうすればいいのかについてのHarvardの歴史家Steven Shapinとの対話

多くの人にとってコロナウルスパンデミックは認識に鞭打つ訓練であった。最初は通常の生活を送リ、マスクを買わないように言われ、それからロックダウンと常にマスクをするよう言われた。効果的ワクチンが作られたが有名な政治家やJoe Roganのようなポッドキャスターを含む多くの人が拒否した。ソーシャルメディアは科学者の知見を直接人々に共有することを可能にしたが、同時に混乱を導き複雑で矛盾するコンテンツの雪崩に取り組もうとした人々を陰謀論に導いた。

Steven Shapinは科学史を教えていて著書の一つには「決して純粋ではない:身体をもつ人々が生み出し、時と空間と文化と社会の中にあって信頼性と権威を求めて苦闘した科学の歴史研究」がある。

以下Yair RosenbergとSteven Shapinの対話

COVIDに関して、一般的に「科学に従う」と言うときその意味に社会学や社会心理学は含まれず、ウイルスの性質ばかりである。しかし感染は社会の病気である。複雑な問題には複数の専門性が必要である

(ウイルスの性質が世界共通でも社会はそれぞれ違うので各国に専門性が必要なのだろうけれど…期待できなくない?)

 

-国産米の無機ヒ素の含有実態調査(平成29年~令和元年産)の結果について

令和4年2月16日 農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/220216.html

精米は玄米よりも無機ヒ素濃度が中央値で64%と低い

(だから無機ヒ素を減らしたかったら玄米より精米。参考:EUの乳幼児用米のヒ素基準0.1 mg/kg。どんな残留農薬よりリスクは高いけれど無視される。)