2022-02-24

[ANSES]農薬のパーキンソン病への影響を探るモデルとしてのショウジョウバエ

Drosophila as a model for exploring the effects of pesticides on Parkinson’s disease

04/02/2022

https://www.anses.fr/en/content/drosophila-model-exploring-effects-pesticides-parkinson%E2%80%99s-disease

農薬によりパーキンソン病の発症リスクが上昇するかを評価するために、ショウジョウバエやミバエが利用できるかもしれない。研究者の一人Jean-Noël Arsac氏に話を聞いた。

なぜ、ショウジョウバエでパラコートのパーキンソン病発症への影響を研究したのか?

除草剤パラコートの暴露は、パーキンソン病の発症リスクが高まることがわかっており、パラコートは2007年から欧州連合(EU)で使用禁止になっている。本研究は、異なる形態のヒトα-シヌクレインを発現するように遺伝子改変した2つのショウジョウバエモデルに対するパラコートの影響の調査を目的とした。脳内におけるα-シヌクレインの蓄積と凝集は、パーキンソン病の進行の指標で、これは主に加齢によるが、環境要因の関与も疑われる。我々は、トランスジェニックショウジョウバエにおいて、パラコート単体でα-シヌクレインタンパク質に変化を起こすか解明しようとした。そうなればこれが真実ならば、環境汚染物質とパーキンソン病の関連性を評価するための新たなモデルを提供することになる。

研究のプロセスはどのようなものだったのか?

この研究は、正常なヒトα-シヌクレイン遺伝子、又は、パーキンソン病の遺伝的症例に関連する変異遺伝子(A53T)を持つトランスジェニックショウジョウバエを用いた。この2種類のハエは、通常、パーキンソン病に関連する分子及び細胞メカニズムを研究するため使用される。ショウジョウバエの半数が死ぬのに必要な時間、低濃度の除草剤にさらした。

得られた結果は何か?

まず、トランスジェニックショウジョウバエがパラコートに対してより感受性が高いことを確認した:正常なヒトα-シヌクレイン遺伝子を持つショウジョウバエは、遺伝子操作していないショウジョウバエに比べて寿命が短くなり、A53T変異を持つショウジョウバエではさらに短くなった。そして、除草剤によって、構造異常のある有害なα-シヌクレインが蓄積することが明らかになった。この異常なα-シヌクレインの蓄積は、老化昆虫にも見られ、ヒトのパーキンソン病の影響と類似する。しかし、同じく老化昆虫で見られたもう1つの指標であるα-シヌクレインの凝集は、パラコートの影響としては確認されなかった。

この影響の差異はなぜ起こるのか?

パラコート暴露の場合、高度に凝集していないタンパク質の蓄積は、パーキンソン病の初期段階を連想するかもしれない。そのため、パラコート暴露のショウジョウバエでは、α-シヌクレイン毒性型の蓄積過程の初期段階をみている可能性があるが、除草剤による攪乱のメカニズムは、加齢により観察されるものと同じでない可能性もある。この仮説では、パラコートの暴露は、単に病気を加速するだけでなく、α-シヌクレイン毒性型の蓄積という別プロセスも誘発することになる。この答えには、より詳細な細胞メカニズム研究の必要がある。

あなたはどのような結論を出したのか?

ショウジョウバエがパラコート以外の環境汚染物質の影響を評価するために利用できるモデルであると示しされた。ショウジョウバエは、細胞培養とげっ歯類の使用の中間モデルである。このような昆虫を用いた実験は、植物保護化合物や製品の規制評価において、ラットやマウスを用いた実験よりも倫理的な問題が少ない。

 

[ANSES] いくつかの職業部門でホルムアルデヒドの代替を勧める

Encouraging formaldehyde substitution in several occupational sectors

11/02/2022

https://www.anses.fr/en/content/encouraging-formaldehyde-substitution-several-occupational-sectors

ホルムアルデヒドは欧州全域で発がん性物質と認定されており、暴露されるした労働者の健康を守るために他の物質やプロセスで代替する必要がある。フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、5つの職業部門において、より危険性の低い代替物質を確認するために、いくつかの産業における代替の要件因と障壁を検討する専門家評価を実施した。これにより、政府が雇用主に対して代替要件を実施する支援となり、職業上の健康リスクの予防に携わる人々が代替の取り組みを支援するのにも役立つはずである。

ホルムアルデヒドは発がん性物質である

ホルムアルデヒドは、主に殺菌剤や殺生物剤、食品産業や防腐処理における防腐剤、また、木質系パネルの製造や皮革、塗料、接着剤及びニス、繊維製品の処理に用いられる樹脂の製造原料として、多くの産業分野で使用されている化学物質である。

2014年、ホルムアルデヒドは欧州全域で発がん性物質分類1Bに分類され、その代替を促進し、暴露を可能な限り少なくする措置を講じる必要があるとされた。フランスでは、2006年7月13日の省令により、ホルムアルデヒド暴露を伴う作業が発がん性プロセスに分類され、雇用主に代替の確認が義務付けられた。

代替の実施を促進する

 ANSESは監督省庁から、5つの産業分野における化学物質の代替物を同定するよう要請された:

►          食品産業、特に砂糖とアルギン酸塩の製造;

►          飼料産業、主に大豆かすのホルムアルデヒド処理;

►          魚の養殖、抗寄生虫剤としてホルムアルデヒドが使用されている;

►          医療診断産業、特に解剖学及び細胞学的病理学分野;

►          防腐処理(エンバーミング)

この作業を行うために、ANSESは化学物質の代替物を比較する方法を開発した。まず、化学物質の使用を正当化する主要な技術基準を確認し、その用途で代わりになる毒性の低い代替物質を提案した。

代替を促進するためにすべての利害関係者がの参加する

産業分野ごとに、専門家評価では、技術的特性、規制要件、毒性、暴露条件、代替コスト及びその他の影響を含め、様々な代替の可能性を文書で記録し、ホルムアルデヒドと比較した。

このレビューの結果、飼料産業における飼料かすの処理など、特定の産業では、より有害性の低い代替を選択してホルムアルデヒドを排除することが可能であることが示された。

代替アプローチの実施は、単にある化学物質を別のものに置き換えるのではなく、生産プロセスや使用原料、さらには仕事の進め方まで変更する必要がある可能性がある、と労働衛生担当科学部長のHenri Bastos氏は述べる。

しかし、まだいくつかの代替方法は実施できないだろう。ANSESは、最初の段階として、技術的な観点から必須ではないホルムアルデヒドの使用を制限するための様々な行動指針を推奨している。これは、魚の養殖、解剖学及び細胞学的病理学、防腐処理におけるいくつかの用途に関するものである。医療診断業界における既存の国際基準といった代替を阻む多くの障壁も強調された。

 

[FSA]研究プロジェクト

キッチンライフ2

Kitchen Life 2

16 February 2022

https://www.food.gov.uk/research/research-projects/kitchen-life-2

 キッチンライフ2プロジェクトでは、家庭や事業所の厨房で起こる食品安全に関連する重要な行動と、推奨される食品安全・衛生行動の実施を低下させる可能性のある要因を特定した。

 

[FSS] 食生活を少し変えるだけで、健康的な未来につながる

Making small diet changes can lead to a healthier future

21 February 2022

https://www.foodstandards.gov.scot/news-and-alerts/making-small-diet-changes-can-lead-to-a-healthier-future

 スコットランド食品基準局(FSS)は、スコットランドの食生活を改善するために、パートナー団体とともに、新しいオンラインガイド「EatWellYourWay.scot」を開発した。

https://www.eatwellyourway.scot/

(動画がおもしろい。そんなに極端なことしなくてもいいというメッセージ)

 

[FDA]リコール

Family Dollar Stores は6州における医薬品、医療機器、化粧品、食品を含む特定のFDA規制製品の自主的リコールを発表する

Family Dollar Stores Issues Voluntary Recall of Certain FDA-Regulated Products in Six States Including Drugs, Devices, Cosmetics, Foods

February 18, 2022

https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/family-dollar-stores-issues-voluntary-recall-certain-fda-regulated-products-six-states-including

Family Dollar Stores はネズミが存在し、活動が認められたため、Family Dollar配送センター202から404の店舗に保管、出荷された製品の一部を自主的リコール。

 

[SFA] 持続可能な生活のための3つの実践的方法

3 Practical Ways For Sustainable Living

21 Feb 2022

https://www.sfa.gov.sg/food-for-thought/article/detail/3-practical-ways-for-sustainable-living

持続可能なシンガポールに向けて、正しいリサイクルの方法、水を大切にすること、カーボンフットプリントを減らすために地元の農産物を選ぶことの3点について紹介。

(シンガポールは水を輸入しているから)

 

[EU]エチレンオキシドインシデント/食品添加物

Ethylene oxide incident / food additive

https://ec.europa.eu/food/safety/rasff-food-and-feed-safety-alerts/ethylene-oxide-incident-food-additive_en

2022年1月20日の会合の議事概要

エチレンオキシド(ETO)に関する技術会議概要

Summary of the Technical Meeting on Ethylene Oxide (ETO)

Webex、2022年1月20日(木)

参加者:EU加盟国、ノルウェー、スイス、欧州食品安全機関 (EFSA) 、欧州委員会 (DG Health and Food Safety) 、EUリファレンスラボ (EURL) の代表

https://ec.europa.eu/food/system/files/2022-02/rasff_ethylene-oxide-incident_e410_crisis-coord_20220120_sum.pdf

この会合の目的は、2021年7月13日の危機調整官会議(Crisis Coordinator’s meeting)において合意された、ETO検出の管理に関するEU加盟国の管轄当局による調和されたアプローチの実際の実施に関する明確な洞察を得ることであった。

A .01      EUアプローチの実施に関する経験の交換

 EU加盟国とノルウェーは、2021年7月13日に合意されたローカストビーンガムでのエチレンオキシドによる知見の事例にEUのアプローチを適用した経験の概要を発表し、その他のガム、複合製品、サプリメント、ベビーフードおよび飼料については、2021年10月4日の技術会議でさらに詳細を発表した。EU加盟国とノルウェーは、公的管理と食品事業者 (FBO) による自主管理について、さらに国産と第三国からの輸入された両方の、原料、複合・加工食品、そのまま喫食可能な食品 (RTE)、飼料に関する更なる執行措置について詳細を提供した。

 全体的に見て、EU加盟国とノルウェーによれば、EU調和アプローチについて、大多数の国が支持し、従っているものの、一部の国では実際には完全には適用されていない。

 

原料:本事件の管理用に適用される最大残留濃度 (MRL) を超えるETOが残留した原料については、すべてのEU加盟国が、管轄当局が市場から撤収または消費者からリコールしていることを明確にした。EU RASFFに通知された事例についても、すべてのEU加盟国で同様にフォローアップが行われている。

 

複合・加工食品:報告国の多くがEUアプローチの適用を確認し、ETO含有量にかかわらず、当該製品に汚染原料が含まれている場合には市場から撤収または消費者からリコールしている。その他の国では、ドイツ連邦リスク評価研究所 (BfR) の意見に基づくリスク評価アプローチを使用し、および/または複合製品中の成分の割合に基づき計算された/複合のETO MRLを使用して、複合製品中の残留ETOと比較して遵守を判断していると報告した。

 いくつかのEU加盟国は、合意された管理アプローチの負担が大きいことを強調した。異なる原産地からのより多くの製品が汚染されていることが判明し、もはや管理可能ではなく、RASFFシステムの効率性を損なうほどである。そのため、一部の加盟国は、いくつかの加工段階を経た複合食品に関しては、相応のアプローチをとっている。

 一部の加盟国は、国内 (EU) で製造された製品と輸入された製品について、EU市場における競争が公平でないと指摘した。国産製品については不適合原料を追跡可能だが、輸入品については不可能である。あるEU加盟国は、ETO MRL遵守の明確な必要性に関して第三国に伝えられた具体的な要件に懸念を表明した。

 一部の加盟国は、加盟国の間で異なるアプローチが取られていることによる困難を強調した。あるEU加盟国では消費者からリコールされたが、他のEU加盟国ではリコールされなかったため、食品事業者やメディアからの過度の圧力があったというRASFF通知製品の情報が報告された。他のEU加盟国もRTE食品について同様の経験があることを共有した。

 この点に関して、一部のEU加盟国は、実際にはすべての国が適用するEU調和アプローチが本当に存在するのかどうか懸念を表明し、新たな危機調整官 (CC) 会議の開催を求めた。

 欧州委員会は、2021年7月13日のCC会議でEUの調和アプローチが合意されたことを明確にした。さらに、CC会議は事件が発生するたびに招集され、すでに2回開催されている:2020年10月のゴマに関するETO検出、2021年7月のローカストビーンガム (E 410) 中のETO検出である。次いで、合意された各事件の管理方法を適用するための技術的な側面をさらに詳しく説明する技術会議が開催された。そのため、委員会は、別のCC会議を組織することは可能であるが、それは、これらの事件の管理を見直すのではなく、むしろ得られた経験をもとに、合意されている調和のとれた管理アプローチの遵守に関して学んだ教訓を引き出すための会議であると明言した。

 

飼料:少数の加盟国のみがフィードバックを提供することができ、報告によれば、その経験は食品事業者によって開始された少数の自主的リコールに限られていた。一部の加盟国は飼料に関するETO検出の報告はなかったが、他のすべての加盟国は原料における検出があったと報告したが、最終的な複合飼料については報告しなかったため、EUの合意されたアプローチに従ったさらなる執行措置は求めていない。

 

A .02      EFSAからの2-クロロエタノールに関するフィードバック

欧州委員会は、2021年10月4日の会合においてEFSAに対してBfR意見への見解を要請したことを改めて確認し、その検討ではBfR意見で評価された試験と、評価されていない2-クロロエタノール(2CE)の毒性に関するその他の入手可能な試験を考慮することを決定してたと述べた。

 EFSAは、次のような予備的な見解を提示した:EFSAは、既存のin vitroおよびin vivo遺伝毒性データと新たに利用可能となったin vitroデータの評価を実施し、その暫定的な結論は、2CEの遺伝毒性と発がん性を排除することはできず、したがって安全なレベルを導出することはできないということである。追加でEFSAは、ETOの代謝物としての2CEの遺伝毒性と発がん性のポテンシーは経口摂取後にETOを超えそうにない(unlikely)というBfRの推定に同意する。EFSAはさらに、2CEに関する新しいin vitro遺伝毒性試験バッテリーを標準的な方法を用いて実施することを勧告する。EFSAの声明は2022年2月に公表される予定である。

 さらにEFSAは、暴露マージン(MOE)アプローチはリスク管理者が意思決定の過程でリスクの優先順位付けを行うためのツールであり、安全レベルを提供するものではないため、フードチェーンに意図的に添加された閾値のない遺伝毒性発がん物質の安全性を評価するために使用すべきではないことを強調した。MOEアプローチは、フードチェーンで存在が避けられない物質に適用可能であり、それは現在のETOのような意図的な使用や交差汚染の場合ではない。

 欧州委員会は、上記のEFSAの評価が、2021年10月4日の会議における2CEの毒性学的特性に関する不確実性を考慮したアプローチに関する議論を確認するものであることに留意した。

 

A .03      その他の技術的側面

ETOに関するRASFF通知の概要

 欧州委員会は、2020年及び2021年にRASFFを通じて受理したETOに関する通知の概要を示した。2020年には、ゴマおよびゴマ製品に関する通知が多かったが、2021年にはローカストビーンガム、食品添加物、フードサプリメント、スパイス類など、より多様な製品が報告された。

添加物に関する作業部会の会合からのフィードバック

 欧州委員会は、純度基準の明確化に関して、食品添加物の規格に関する規則(EC) 231/2012の更新状況に関する最新情報を提供した。これは、すべての添加物に適用可能な定量限界(LOQ)を明確に規定することである。食品添加物の製造に使用される原材料(raw materials)は、規則(EC) 396/2005により設定されたMRLに適合しなければならない(原材料にMRLが設定されている場合)。EURLにおいて、全ての添加剤に適用可能なLOQ案0.1 mg/kg(ETOと2CEの合計をETOとして示す)の実行可能性を確認した。

2021年12月13日の会議において、添加物に関する作業部会は、最初の改定案について肯定的なフィードバックを提供した。この改定案は現在、2022年2月に植物・動物・食品および飼料に関する常設委員会-新規食品および毒性学的安全性部門(SC PAFF)に提出することを目的として、委員会の手続きに従って進められている。

 加盟国からの質問に対して欧州委員会はさらに、非動物由来食品に対する公的管理の暫定的な検査強化に関する規則(EC) 1793/2019の次回の見直しにおいて、規則(EC) 231/2012への参照を追加し、ETOに対するLOQ 0.1 mg/kg(ETOと2CEの合計をETOとして示す)を食品添加物に関連した通関に適用することで明確化する意向であることを示した。

輸入規制に関する作業部会の会合からのフィードバック

 2021年10月4日の会議で提供された最新情報に加えて、欧州委員会は、規則(EU) 1793/2019(訳注:EUにおける輸入食品の検査強化に関する規則)の第5回の見直しでは、Annex ⅡのリストにETO汚染リスクに応じた新たな作物/国の組み合わせが追加され、その改定版が2021年12月15日に採択、2021年12月17日に公表、2022年1月6日に発効したことを報告した。

上記の改定の公表前に既に船積みされた貨物については、準備の問題が生じる可能性があることを考慮し、2022年1月11日に行われた加盟国との会合において、国境検問所で100%のサンプリング及び試験所分析を行うことを条件として、Annex Ⅱに新たに追加された輸入製品について衛生証明書の必要性を免除するための移行期間を2022年2月17日まで設けることについて、加盟国との間で合意した。

次の段階として、作業部会は、2021年の第二期に実施された公的管理の結果を収集し、規則(EU) 1793/2019の第6回の見直しに向けた加盟国からの提案を集めている。

欧州委員会実施規則(EU) 2021/2246における食品添加物に関連する特定の項目に関するCNコード

 欧州委員会は、規則(EU) 2021/2246のAnnex Ⅱにおいて、追加処理(modified)の有無に関係なく、ローカストビーンまたはローカストビーン種子に由来する粘質剤と増粘剤(CNコード1302 32 10)、グアーガム(CNコードex 1302 32 90)、キサンタンガム(CNコードex 3913 90 00)について記載が追加されたことを報告した。しかし、添加剤の混合物はCNコード2106 9092またはCN 3824 9993のもと貿易やEUへの輸出が行われる。

 事故の管理のためにLOQ 0.1 mg/kgが添加物の混合物を含むすべての飼料および食品添加物に適用されることが合意されていたが、異なるCNコードが利用可能になると、これらの混合物の輸入が実際には輸入管理措置で対象外となる可能性があるかもしれない。

 加盟国は、この問題の解決方法をさらに議論するために、欧州委員会と文書で意見を共有するよう求められる。

飼料中のETOと塩化コリン(choline chloride)の所見

 委員会は、2021年12月14日の動物栄養セクションのSCoPAFFで合意されたETOと塩化コリンに関する結論について報告した。塩化コリン中の2CEの存在は、消毒剤/殺生物剤としてのETOの違法使用の結果ではなく、出発物質としてETOと塩酸を使用したことによる製造工程の不可避の不純物による。2011 年のEFSA意見書では、塩化コリン(純度75%)はETOを含まず、2CEは10~55 mg/kgの濃度で存在できることを示した。この意見に基づき、この事故の管理の枠内での執行には、純度99%の塩化コリンに対して塩化コリン中のETO最大基準として40 mg/kgが適用される(ETOと2CEの合計をETOとして示す)。

 プレミックスへのETO最大基準(ETOと2CEの合計をETOとして示す)の適用については以下の通り:

塩化コリンを含まないプレミックス:0.1 mg/kg

塩化コリンを含むプレミックス:0.1 mg/kgを超えるETOの割合が塩化コリンが最大基準40 mg/kgのプレミックスの存在に起因するとの条件で、0.1 mg/kgを超えるプレミックスを市場から撤収する必要はない

塩化コリンを含まないプレミックスの配合飼料:0.02 mg/kg

塩化コリンを含むプレミックスの配合飼料:0.02 mg/kgを超えるETOの割合が塩化コリンの最大基準40 mg/kgでの使用に起因するとの条件で、0.02 mg/kgを超える配合飼料を市場から撤収する必要はない

質問を受けて、以下のことが明らかになった:

0.1 mg/kgのレベルは、プレミックスにレ不適合原料が使用されたという根拠が入手できないプレミックスに適用される。プレミックスの製造に不適合原料が使用された根拠がある場合は、0.02 mg/kgを超えると、プレミックスは撤収されなければならず、配合飼料の製造には使用できない。

プレミックス/配合飼料の製造に使用される塩化コリン中のETOの正確な濃度がわかっている場合、塩化コリンに起因すると考えられる0.1 mg/kgを超えるETOの割合を決定するのに使われるのは、測定濃度 (最大基準40 mg/kgに準拠する範囲) である。

配合飼料については、不適合原料が使用されたという根拠がある場合には、最大基準0.02 mg/kgが適用される。そのような根拠がない場合は、複合LOQを配合飼料に適用する。

 

測定の不確実性 (MU)

 一部の加盟国からのさらなる質問について、委員会は、2021年10月4日の会議で議論されたように、またSC PAFFで何度も議論されたように、測定の不確実性は食品と飼料に関する公的管理の目的のために常に考慮されるべきであることを明確にした。食品事業者による自主管理について、委員会は、残留農薬に関するEUの法的根拠がない場合、残留農薬に関するそのような政策は各国当局の権限下にあることを再確認した。

分析上の問題

一部の加盟国が、EUと第三国の両方の様々な試験所からのETOの分析結果の不一致を報告した。この問題についてはEURLがさらに調査する。

 

A .04      結論

一部の加盟国は、アプローチの実施と現在の状況についての見解を共有した。委員会は、会議の結論として、EU加盟国及びノルウェーの貢献に謝意を表明し、会議で提起された以下の点を要約した。

大多数の加盟国が、2021年7月13日のCC会議で合意された調和されたリスク管理アプローチを適用していることを確認した。彼らは、全てのEU加盟国においてEU全体でアプローチを実施することの重要性を強調した。そのうちいくつかの加盟国が、市場の歪みをもたらす一部の加盟国による不均一な実施に強い反対を表明した。

いくつかの加盟国は、異なる原産地からのより多くの製品が汚染されていることが明らかになり、合意された管理アプローチによる負担が大きくなり、その結果、加工された複合食品についてはこのアプローチに従ってないことを強調した。複合食品については、原料のトレーサビリティの代わりに、リスクベースのアプローチと、最終製品における検出可能性に基づくアプローチが適用された。

一部の加盟国は、合意されたアプローチの完全な実施を報告する一方で、主にRASFF通知のフォローアップは行っているが、自国のモニタリング計画のもと採取されたサンプルは無いか、または限られた量であると報告した。試験所および/またはリソースが不足しているために経験が少ないと報告した加盟国もいた。

一部の加盟国では、採用されたアプローチは、状況の進展を考慮に入れるために時間をかけて適応された。現行アプローチについて提起された懸念は以下の通り:

2020年よりも多くの製品が対象となっているが、複数の加工段階を経て希釈されるため、時とともに状況が変化したことにともなう措置の不均衡さによるリスク;

国産品と輸入品の間に公平な競争条件がない;

全体的に輸入製品に焦点を当て、市場でのサンプリングを減らす必要性;

将来に同様の状況/製品があったときのための前例の設定。

多くの加盟国が、ETOが確認された多数の新しい製品を考慮し、今後のための教訓を学ぶために、別の危機調整官会議を組織することを求めた。

EFSAの予備的な結論は、2021年10月4日の会議で表明された見解を確認した。すなわち、2CEについて発がん性および遺伝毒性を排除することはできず、これらの不確実性を考慮すると、安全レベルは確立できない。さらに、MOEアプローチは、食品および飼料に意図的に添加されたり、回避可能な交差汚染のために食品および飼料中に存在する遺伝毒性発がん物質に対して使用すべきではなく、法的要件を無効にするために使用すべきでもない。

この会議の後、欧州委員会は、提出されたすべての要素を検討し、起こりうる次の段階に反映させるためにさらに検討し、引き続き加盟国に報告していく。

 

食品部門におけるエチレンオキシド汚染に関するEHPMポジションペーパー

欧州健康製品製造業連合(European Federation of Associations of Health Product Manufactures: EHPM)

1975年に設立されたEUの業界団体

ブリュッセル、 27/10/2021

https://ehpm.org/news/eto-contamination-position-paper/

(要約)

 フードサプリメント部門の食品事業者がエチレンオキシド(EtO)汚染によって深刻な影響を受けている。現時点の科学的知見によると、2‐CEの存在が必ずしもEtO汚染の指標ではないと信じる理由があり、食品とフードサプリメント中のEtOの定性と定量のための分析法とその閾値の見直しが極めて重要だと考えている。EHPMはこの現状について、いくつかの懸念(下記)をもとに、欧州委員会に次の意見を提出する。

EtOと2-CEの各々にMRLを設定できる残留EtOの検出法の見直しと、2-CEの確実なリスク評価に取り組むことを強く求める。

現時点の科学的知見に基づき、欧州委員会が、消費者の安全を保証すると同時に、EtOに汚染されていない製品の膨大な廃棄を防止し、よりバランスのとれたアプローチを採用することを要請する。

EHPMは研究者や大学と連携して、EtO以外の2-CE汚染源の可能性について科学的研究を行っている。我々は、そのうちに追加の調査結果を欧州委員会に提出したいと考えている。

その1:EtOの定量法に関する限界と懸念

残留農薬の最大残留基準に関する規則 (EC) No 396/2005において、市販食品を対象にEtOと2-CEの合計(EtO+2-CE)をEtOで示して基準0.1 ppmに適合すべきと規定されていることは承知している。一部、油糧種子(0.05 ppm)のように特定の異なる基準値があることも。

しかし、ドイツの試験所*による種々の食品中のEtO濃度データによると、EtO+2-CE残留濃度(EtOとして)が1 ppmの範囲であれば、おそらく(probably)燻蒸されたサンプルであることを示す一貫した信頼できる結果が示されている。

https://www.sciencedirect.com/topics/engineering/ethylene-oxide

https://doi.org/10.1093/fqsafe/fyz042

EHPMは分析について以下の懸念がある:

1)使用する機器や分析法に依存するため、データの再現性が低いことへの懸念

異なる試験所がそれぞれの分析法を用いており、統一的な検査アプローチが存在しない。同じ試料についての実験室間の結果の相違につながる。

2)残留が非常に低濃度の場合に、2‐CEのみ検出され、EtOは検出されなかった事案への懸念

食品中の2-CEがEtOとは異なる起源に由来する可能性があるという多くの合理的な疑いがある

 

1)塩素存在下での反応

理論的には、植物に含まれるエチレンが、消毒剤や洗剤に含まれる次亜塩素酸塩などに由来する塩素と反応し2-CEが合成される可能性がある。そのため、以下のことが考えられる。

原料および最終製品中の微量の2-CEの存在について、製造工程における塩素誘導体の使用または自然の存在に関連があると議論されている

特に次の点に注意:

EU内で認可された化学薬品や洗浄剤の製造において、2-CEが前駆体として使用され、結果的に2-CEを含む可能性がある;

2-CEは、次亜塩素酸塩 (例えば洗剤や飲料水に存在する) と不飽和脂肪酸との反応産物として生じる可能性がある;

使用済みの水または洗剤からの塩素反応誘導体が、エトキシレートまたはエチレングリコールの存在下で2-CEを生じる可能性がある。

 また、2021年9月27日のLach&Brunsの声明で報告された最近の試験では、洗浄剤を使用せず純水のみで処理したミネラル(すなわち炭酸カルシウム)は、常に2-CEを含まないことが確認されている。

 SARS-CoV-2のパンデミックのため世界中で消毒剤の使用が大幅に増加しており、一般的な消毒剤には、天然のエチレン誘導体と反応して2-CEを生成する次亜塩素酸塩のような塩素系消毒剤が含まれる。

 直接使用されていなくても、輸送用のコンテナが燻蒸消毒されたために、少量のEtOが存在するといった可能性も考えられる。

*Statement on ethylene oxide und 2-chloroethanol in calcium carbonate (updated version), Lach & Bruns Partnerschaft Consulting Chemists, 25th August 2021.

*Statement: Possible pathways of formation of 2-chloroethanol in calcium carbonate (English version of statement dated September 20th, 2021), Lach & Bruns Partnerschaft Consulting Chemists, 27th September 2021

 

2)炭酸カルシウム

2‐CEが炭酸カルシウムのような鉱物中に検出されたが、EtOは検出されていない(訳注:炭酸カルシウムについてRASFF通知があった)。EtOによる燻蒸は、微生物、特にSalmonella sp.汚染防止を目的にしており、主に影響を受け安いスパイス類や油糧種子などに適用されるものである。微生物汚染を受けにくい炭酸カルシウムへの燻蒸処理を行うことは、技術的にも経済的にも意味がないものである。

その2:EtOと2-CEの毒性プロファイルが異なることへの懸念

2-CEはEtOより毒性が低いと考えられるが、EFSAによる2-CEの完全な安全性評価が必要である。

その3:米国とカナダの規制枠組みとの違いに関する懸念

米国とカナダでEtOと2-CEのMRLが別々に設定されており、その値も大きく異なっている。

その4:法的な注意事項

炭酸カルシウムは、食品や飼料中の最大残留基準に関する規則 (EC) No 396/2005の適用は適用外である。

食品添加物法規 (規則 (EU) No 231/2012)のAnnexの記載ではEtOを食品添加物の滅菌に使用すべきでないと規定している。(訳注:だから燻蒸の可能性が低い炭酸カルシウムは対象外になると言いたいようだ)

最終製品にEtOの痕跡がないのに不適合と判断される、さらに不適合の原料を使用した加工品も自動的に不適合となり、安全でないと判断されることを懸念する。消費される最終製品についての、追加の、独立した、包括的かつ個別の評価が必要である。

 

[ECHA]EU全体で泡消火剤の「永遠の化合物」禁止提案

Proposal to ban ‘forever chemicals’ in firefighting foams throughout the EU

ECHA/NR/21/05  23 February 2021

https://echa.europa.eu/-/proposal-to-ban-forever-chemicals-in-firefighting-foams-throughout-the-eu

ECHAは欧州委員会からの要請で泡消火剤にPFASsを使用することによる環境健康リスクを調査した。ECHAはEU全域での制限が正当化されると結論した

関連情報リンク

 

[RIVM]全国予防接種計画へのコロナウイルスアウトブレイクの影響は限定的

Impact of coronavirus outbreak on participation in National Immunisation Programme limited

02/22/2022

https://www.rivm.nl/en/news/impact-of-coronavirus-outbreak-on-participation-in-national-immunisation-programme-limited

MMRとDTaP-IPVは-1%、一方HPV一回目は6%増加して70%になった

 

[ASA]ゼロアルコール製品の広告

Advertising zero alcohol products

CAP News 24 Feb 2022

https://www.asa.org.uk/news/advertising-zero-alcohol-products.html

定義

アルコール飲料は0.5%ABV以上のものと定義されているのでそれより少ない場合はノンアルコールと見なされる。

0.5%ちょうどあるいはそれ未満のアルコールの含量の表示方法には政府の公式ガイダンスがあるが、法的拘束力はない。

ABVクレームと飲料の説明

しかし宣伝者は、製品に全くアルコールが含まれないかのように消費者を誤解させないよう注意しなければならない。消費者の中には健康や宗教上の理由で極微量でもアルコールが存在することが問題となる人がいる。ASAはそのような状況に対して公式な規制はしないが助言はする。またジンやワインのような特定の法的基準を満たさなければつけられない名称もあることに注意。

健康強調表示

アルコール飲料の広告に健康や栄養強調表示は特定のもの以外認められないが0.5%以下のものはこの制限の対象外である。CAPは最近二日酔い予防や治療のクレームを表示したノンアルコール飲料の増加に気がついているが、これらは病気の治療クレームであり認可された医療用品にしかできない。食品には禁止されている。疾患リスク削減クレームも認められて登録されたものしか認められない

意見募集

「アルコール代用品」市場が拡大しているため、CAPとBCAPはこの部門に関する特別な規則について意見募集を行っている。5月5日まで。

 

[ASA]「ダークパターン」と広告規制に幾分かの光をあてる

Shedding some light on “dark patterns” and advertising regulation

CAP News 24 Feb 2022

https://www.asa.org.uk/news/shedding-some-light-on-dark-patterns-and-advertising-regulation.html

オンライン環境中の消費者保護に懸念する人たちから「ダークパターン」について尋ねられることが増えている。それは何?広告規制上の問題は?そしてASAはどう取り組んでいる?

(説明略。)

 

[ASA]ASA裁定

-ASA Ruling on Innocent Ltd t/a Innocent

23 February 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/innocent-ltd-g21-1111827-innocent-ltd.html

環境保護を謳うInnocent(無害な)ドリンクの宣伝に対して、環境上の利益の誇大宣伝だというPlastics Rebellion代表者を含む26の苦情があった。ASAは広告はイノセントドリンクと環境に良いことに強いつながりがあることを示すもので、消費者は製品を購入することが環境に良いと解釈するだろうと考える。それには根拠が必要であるが企業は環境のためにいろいろな行動をしていることを示したものの製品のフルライフサイクルでの総環境影響を示しはしなかった。またプラスチックの一部はリサイクルされない。従って誤解をまねくものであり基準違反

 

-ASA Ruling on Nutricia Ltd

23 February 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/nutricia-ltd-g21-1111826-nutricia-ltd.html

Cow&Gate Baby Club のA2プロテインミルクのポッドキャスト広告について、乳児用調整乳とフォローアップミルクを混乱させていることと、A2ミルクのほうが普通のミルクより消化されやすいという主張に対して苦情が寄せられた。いずれも広告基準違反。乳児用調整乳に健康強調表示は認められていない。

 

[USDA]食品産業大企業が米国食品ロスと廃棄2030優秀者に参加

Food Industry Giants Join U.S. Food Loss and Waste 2030 Champions

Posted by Jean Buzby, USDA Food Loss and Waste Liaison in Food and Nutrition Health and Safety Feb 22, 2022

https://www.usda.gov/media/blog/2022/02/22/food-industry-giants-join-us-food-loss-and-waste-2030-champions

USDAとEPAは7つの大企業が2030年までに米国内での食品ロスと廃棄を50%減らすことに参加したことを歓迎する

 

[FTC]新しいデータは2021年にはFTCは消費者から280万件以上の詐欺報告を受け取ったことを示す

New Data Shows FTC Received 2.8 Million Fraud Reports from Consumers in 2021

February 22, 2022

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2022/02/new-data-shows-ftc-received-28-million-fraud-reports-consumers

報告された詐欺による損害は2020年から70%以上増えて58億ドル以上になった

Consumer Sentinel Network Data Book 2021

https://www.ftc.gov/reports/consumer-sentinel-network-data-book-2021

 

[FTC]FTCはTeamiの詐欺的に宣伝されたお茶を購入した消費者に93万ドル以上を返金

FTC Returns More Than $930,000 To Consumers Who Bought Teami’s Deceptively Advertised Teas

February 22, 2022

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2022/02/ftc-returns-more-930000-consumers-who-bought-teamis-deceptively

Teamiは有名なソーシャルメディアインフルエンサーにお金を払って30日デトックス茶製品の宣伝を依頼し根拠のない減量やがんに効くなどの宣伝をさせ、宣伝であることを適切に開示しなかった。FTCは2万人以上の購入者に小切手を送付している。

(似たようなものをまだ売ってるようだけれど)

 

論文

-子どもたちは好きなものを食べる、しかし食品の摂取は嫌いなものによってより誘導される

Children eat what they like, but food intake driven more by what they dislike

22-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/944339

しばしば「子どもは好きなものを食べる」と言われるが、新しい研究によると「子どもは嫌いなものは食べない」のほうがより正確。Appetiteに発表。

(食べ物の悪口言う人は食卓にはいないほうがいい、呪いになるので)

 

-研究が、PFASについての国による母乳モニタリング計画の必要性を示す

Study shows need for national breast milk monitoring programs for PFAS

23-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/944316

EHPに発表された米国とカナダの研究者らの母乳中PFAS濃度の文献調査の結果。サンプル数が少ない

Current Breast Milk PFAS Levels in the United States and Canada: After All This Time, Why Don’t We Know More?

https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/EHP10359

 

-デイケアにはカビや酵母がよくあり-慢性喘息やアレルギーの原因となり得る

Molds and yeasts common in daycares—could cause chronic asthma and allergy

23-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943924

Applied and Environmental Microbiologyに発表されたノルウェーの125箇所の保育園の屋内とすぐ外の微生物の研究。市民科学プロジェクトで多数の人が検体を郵送して参加した

 

-内分泌学会はトランスジェンダー医療の犯罪化に警戒

Endocrine Society alarmed at criminalization of transgender medicine

23-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/944504

テキサス州知事は根拠にもとづいたケアを「子ども虐待」と不正確にみなした

内分泌学会はテキサスのGreg Abbott州知事が家庭保護サービス省に子どもがジェンダー支持ケア(第二次性徴抑制剤のためのホルモン治療や性別適合手術など)をうけた場合「児童虐待」の調査をするよう命令したことを非難する

(内分泌学会は極微量のホルモン活性がある化合物を悪魔のように避けるべきものと主張して男らしさや女らしさを大事なことだと言っていたかと思うと思春期前の子どもにホルモン剤投与して生物学的性を思いに従って変えることには賛成するんだ?)

 

-高齢の日本のイヌの飼い主はイヌを飼っていない人より障がいリスクが低いかもしれない

Older Japanese dog owners may face lower risk of disability than non-dog owners

23-FEB-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/943653

イヌの飼い主が障がいを持つリスクは約半分;ネコの飼い主にリスクの差はない

PLOS ONE。東京都健康長寿医療センター研究所

(散歩に連れて行く元気のある人しかイヌを飼えないからでは?)

 

-銃器:損失余命の主要因

Firearms: the leading cause of years of potential life lost

Joshua Klein, et al.,

https://tsaco.bmj.com/content/7/1/e000766

2017と2018年の損失余命 (YPLL)は自動車事故より銃器の方が大きかった

グラフがたくさんある、交通事故との比較だけではなく自殺、殺人、人種・男女別等

(アメリカの真似しなくていいことのトップ)

 

-代替周産期手法に暴露された新生児の感染症リスク

Risks of Infectious Diseases in Newborns Exposed to Alternative Perinatal Practices

Nolt D, et al. Committee on Infectious Diseases and Committee on Fetus and Newborn

Pediatrics, 149(2), Jan 24, 2022

https://publications.aap.org/pediatrics/article/149/2/e2021055554/184545/Risks-of-Infectious-Diseases-in-Newborns-Exposed

オープンアクセス

米国小児科学会臨床報告書

新興の周産期や新生児向け代替手法に関連する感染症リスクについての情報を提供する

扱っているのは水中出産、膣内微生物塗布、臍帯を切断しない、胎盤を食べる、医師の指導によらない出生時のB型肝炎ワクチン延期、新生児眼炎予防繰り延べ、沐浴遅延。

 

この報告に関してScience-Based Medicineに解説

The American Academy of Pediatrics Weighs in on “Alternative Perinatal Practices”: Part 1

Clay Jones on February 4, 2022

https://sciencebasedmedicine.org/the-american-academy-of-pediatrics-weighs-in-on-alternative-perinatal-practices-part-1/

 

The American Academy of Pediatrics Weighs in on “Alternative Perinatal Practices”: Part 2

Clay Jones on February 18, 2022

https://sciencebasedmedicine.org/the-american-academy-of-pediatrics-weighs-in-on-alternative-perinatal-practices-part-2/

最後にAAPの報告ではビタミンK注射の拒否には言及していないことを注記。感染症ではないので。ただ極めて重要な問題なので入れて欲しかった、と。

結論として標準的新生児ケアを根拠のない方法で代替することには相当なリスクがある。

(助産師周辺が代替法と親和性が高い、変なものが流行る)

 

-補完医療についてチャールズ皇太子が語ること-Edzard Ernstによるエッセイ

What Prince Charles tells us about complementary medicine—an essay by Edzard Ernst

BMJ 2022;376:o310

https://www.bmj.com/content/376/bmj.o310

 

関連

チャールズ皇太子と代替医療

Prince Charles and Alternative Medicine

Harriet Hall on February 15, 2022

https://sciencebasedmedicine.org/prince-charles-and-alternative-medicine/

Edzard Ernst著Charles, The Alternative Prince: An Unauthorized Biography.の書評。

チャールズ皇太子は代替医療の強力な提唱者で「啓蒙主義の敵」であることを誇っている。Edzard Ernstが初めて彼の無学と愚行の全てを語る。

 

-Natureコメント

COVID-19:「ワクチン躊躇」についての話に政府を動かせ

COVID-19: talk of ‘vaccine hesitancy’ lets governments off the hook

22 February 2022  Katie Attwell , Adam Hannah & Julie Leask

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00495-8

個人の態度を超えて、政府が人々の信頼を得て全ての人が簡単にワクチン接種できるようにするために政府がしなければならないことにもっと集中しよう

近年ワクチン躊躇に言及する論文が急増している。しかしワクチン計画の成功や失敗があまりにも個人の選択に重きを置きすぎている。ワクチンを入手可能にして受け入れさせるのは両方とも政府の力による。人々の態度も政府による

(強制しろと言っているわけではなく、情報戦に負けるのはそのために投資をしていないからだということ)

 

SMC UK

-肉食とがんリスクについて調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at eating meat and risk of cancer

FEBRUARY 24, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-eating-meat-and-risk-of-cancer/

BMC Medicineに発表された研究が定期的及び少量肉食と魚食と菜食のがんリスクを調べた

Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授

これは英国の大規模出生コホートバイオバンクに基づくよくできた観察研究である。これまでの多くの研究で示されてきた、全体として菜食のライフスタイルが慢性疾患リスクの低さと関連することを確認した。それはいくつかの説明ができて:まず最初に、菜食の人々が通常健康意識が高く活動的でタバコを吸わない。二つ目はベジタリアンとペスカタリアンはしばしば教育レベルが高く貧困ではない。従って実際の食事の影響と他の要因を区別するのは困難である。将来植物性の肉代用品がより普通になり、ベジタリアンが「主流」になったときにもこの見かけ上のベネフィットが続くかどうかは興味深い

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

統計上の不確実性についていくつか指摘しよう

(長い。略。約50万人中ベジタリアンは8685人と2%以下)

Aston大学医学部登録栄養士で上級教員Duane Mellor博士

この研究は大人数だが食習慣を聞いたのは11年の試験開始時の1回のみである。また肉の摂取量も定量していないので健康的食事ガイドラインの推奨量を超えているのかどうかわからない。さらに肉と一緒に何を食べているのかも考慮していない。この研究の問題は食事全体をみることに失敗していることである-何を食べたかと同時に何を食べないかも重要である。

 

-可溶性パラセタモール中の塩と心疾患リスクについて調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at salt in soluble paracetamol and risk of heart disease

FEBRUARY 24, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-salt-in-soluble-paracetamol-and-risk-of-heart-disease/

European Heart Journalに発表された研究が可溶性パラセタモールと心血管系アウトカムについて調べた

(可溶性パラセタモールは一錠あたり388mgのナトリウムを含み、成人の推奨食事摂取量の19.4%になるらしい)

英国心臓財団医学主任Sir Nilesh Samani教授

塩を取り過ぎると血圧が上がる可能性がある。食事由来の塩を減らすのは血圧コントロールのための重要な方法である。しかしこの大規模解析はある種のパラセタモール使用者が意図せず塩を取り過ぎていることを示唆する。この研究の重要な限界の一つは食事からの塩の摂取量がわからないことである。つまり塩の摂取量に差があったのかどうかはわからない。またこの種の観察研究は因果関係を証明できない。

この研究は可溶性パラセタモールを長期にわたって使用していた人を調べたもので、あなたが一回あるいは短期間の頭痛や痛みのためにナトリウムを含むパラセタモールを使用しても、心配する必要はない。

Sheffield大学心血管系医学教授で名誉心臓相談医Tim Chico教授

これはよくできた研究で公衆衛生のためにNHSのデータを用いることのパワーを示す。ナトリウムを含む医薬品が疾患リスクを増やすかどうかをRCTで調べるのは困難でありそのようなことはこれまで行われていない。ほかのことにもNHSのデータを活用する必要があるだろう。

これはRCTではないので確実に結論することはできない。しかし状況証拠からは現実的な懸念がある。この研究は私に、ナトリウムを含むパラセタモールや他の医薬品の長期処方にはより注意深くさせる。他に差し障りがないなら、ナトリウムを含まないパラセタモールを使った方が安全だろう。

 

その他

-SUPPLEMENTS

Thomas J. Wheeler, Ph.D.  Revised 2021

https://sites.google.com/site/kycahf/supplements

個人サイト