2022-08-18

[USDA]USDAはあなたの学校のお弁当の準備に役立つお知らせをする

USDA Issues Helpful Reminders for Your School Lunch Prep

Aug 17, 2022

https://www.usda.gov/media/blog/2022/08/17/usda-issues-helpful-reminders-your-school-lunch-prep

この秋に5000万人が学校に戻って来て、そのうち相当の割合が昼食を持参するだろう。USDAが親や保護者向けにお弁当の安全性に役立つ助言をする。

断熱性ランチバッグを使う。紙袋は避ける。保冷剤を入れる(5℃未満)

熱いものは熱いまま(60℃以上)

3.冷蔵する必要の無いものを選ぶ 例えば丸ごとの果物、切っていない野菜、開けていない缶詰やパウチ、フライドポテト、パン、クラッカー、ピーナッツバター、ゼリー

(USDAの人、キャラ弁室温放置の日本の状況見たらなんて言うのかな)

 

[NASEM]肥満解決のための実践的戦略を進めるために構造、コミュニケーション、信念に標的を定める ワークショップの概要

Targeting Structures, Communications, and Beliefs to Advance Practical Strategies for Obesity Solutions

Proceedings of a Workshop–in Brief

(2022)

https://nap.nationalacademies.org/catalog/26681/targeting-structures-communications-and-beliefs-to-advance-practical-strategies-for-obesity-solutions

肥満の主要寄与因子の強化ループ、として

構造的人種差別・バランスの悪い労働力・バイアスのある根拠・過剰に単純化したメッセージ・健康コミュニケーション・バイアスのあるメンタルモデル・バイアスのある社会規範の相互作用をあげている

(太っていることへのネガティブなメッセージが近年ますます大きくなった、とか、そうなの?と思うこと多数。アメリカの肥満の話は日本には当てはまらないだろうことが多い。なのでアメリカの対策を日本に輸入する必然性がない)

 

論文

-ドイツにおけるCOVID-19ワクチン義務への態度

Attitudes toward mandatory COVID-19 vaccination in Germany

17-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962167

ドイツでは任意の予防接種だけでは十分なCOVID-19への免疫が達成できないことが明らかになった。そこでワクチン義務方針の受容度を調査した。過半数が義務化に賛成で、理由はそうしないと十分な数の人が予防接種を受けないから、であった。反対理由として最も大きなものは選択の自由だった。義務化賛成者と反対者で最も大きく違うのはCOVID-19ワクチン接種率だった(90% versus 60%)。

(アメリカほど明確な支持政党による分断はなさそう)

 

-茶色い生物物理学者の研究が培養肉の開発を推進

Bruin biophysicist’s research pushes forward development of cultured meat

17-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962148

Biomaterialsに発表された、培養肉用の、細胞の足場となる食べられるマイクロキャリア開発研究

 

-「Nutri-Score」表示は小売店での誤解を招く砂糖クレームに対抗できるかもしれない

“Nutri-Score” label may counter misleading sugar claims on groceries

17-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961420

PLOS ONEに発表されたドイツでの消費者調査。砂糖の含量に関する「砂糖無添加」「甘さ控えめ」(いずれも実際には砂糖含量が多い)などの実際以上に製品を健康的だと思わせるクレームを表示した仮想的商品への消費者の認識がNutri-Scoreによって修正できる可能性を示した。PLoS ONE

(栄養成分表示を見ればいいだけなんだけど)

 

-他の対策と一緒に立ち机は労働者の座っている時間を1日1時間減らした

Standing desks alongside other measures cut office workers' sitting time by an hour a day

17-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/961862

The BMJに発表された英国の756人の事務労働者での12ヶ月間の介入試験。

SMART Work & Life (SWAL)介入群には座っている時間が長すぎることは健康リスクになることを強調した各種リソースを与えて座っている時間を減らすよう指導し、オフィス側にはプリンターとゴミ箱を遠くにするなどのより動くような変更を薦めた。さらにSWALプラス立ち机群では身長に合わせて調整できる立ち机を与えた。対照群は通常通り。座っている時間の測定は試験開始時と12ヶ月後に万歩計で行った。SWALプラスデスク群で座っている時間が64分対照群より少なかった。SWALのみでは22分

(しかし体重や体脂肪など物理的に全く差が無いので、介入に効果がないのか測定されたときだけやったのか)

 

-Covid-19のメトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミンのRCT

Randomized Trial of Metformin, Ivermectin, and Fluvoxamine for Covid-19

August 18, 2022

N Engl J Med 2022; 387:599-610

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2201662

結論としてどれも効果はない

(最近めっきり話題にならなくなったイベルメクチン。でも国内臨床試験をやったなら結果はちゃんと報告して欲しい)

 

その他

-健康電子タバコ:ビタミンやその他のサプリメントを吸入することについて知っておくべきこと

Wellness vapes: what you need to know about vaping vitamins and other supplements

August 16, 2022  Aaron Scott & Alice Jasper

https://theconversation.com/wellness-vapes-what-you-need-to-know-about-vaping-vitamins-and-other-supplements-187130

最近いわゆる健康電子タバコwellness vapesが人気になっている。ニコチンを含む普通の電子タバコと違って、これらにはビタミンやホルモンやエッセンシャルオイルが含まれる。しかしそれらは証明されていない健康強調表示で販売されていて米国FDAの注意を引いた。

健康電子タバコ-あるいは「栄養サプリメントディフューザー」は電子タバコと同じ起源の一連の製品を含む。電子タバコ用の吸入システムを使ってビタミンB12やC、オオアザミ、メラトニン、緑茶、各種エッセンシャルオイルなどを身体に届ける。企業はそれが集中力を上げる、睡眠を促進する、体重を減らすのに役立つと宣伝する。

口から摂取するのではなく吸入すると血流により早く到達し理論的にはビタミンやサプリメントの作用が早くなる。多くのこれら添加物は食べたときは安全でよく知っているものかもしれないがほとんどは吸入した場合の安全性試験は行われていない。健康電子タバコはニコチンを含まないという理由で規制から逃れている。

米国で2019年におこった電子タバコ関連急性肺障害(EVALI)が摂取ルートでの安全性試験の重要性を強調する。EVALIで当初報告された60人の死亡にビタミンEが重要な成分として同定された。ビタミンEは良くある食品添加物だが、例えよく知られている物質であっても、吸入した場合には深刻な健康影響になる可能性があることを強調する。

(以下略。こういうの?http://www.vitabon.co.jp/html/page1.html

 

-「良い」姿勢は腰痛を予防しないし「悪い」姿勢は腰痛の原因ではない

Having ‘good’ posture doesn’t prevent back pain, and ‘bad’ posture doesn’t cause it

August 17, 2022  Peter O'Sullivan et al.,

https://theconversation.com/having-good-posture-doesnt-prevent-back-pain-and-bad-posture-doesnt-cause-it-183732

ほとんどの人は一生の間に一回は腰痛を経験する。しばしば若い人でも見られるが成人になると増える。腰痛になった人の25%では長く続き生活に影響する。

腰痛予防には良い姿勢が重要であるという信念がよくあり、医師もそう思っているが、驚くことに姿勢と腰痛の関連に良い根拠は無い

我々のグループは脊椎の姿勢と腰痛の関連について探るいくつかの研究をした。前屈みで座ることと将来の腰痛には関連はなかった。座るときや立っている時の姿勢と腰痛に一貫した違いは無かった。

世界的に受け入れられているものを持ち上げるときの「良い」姿勢に関する職業健康ガイドラインにも根拠は無い。最近の我々の実験室での研究では腰痛のある人は「良い」姿勢で作業をする傾向があったが「悪い」姿勢で作業をする人は腰痛が無かった。そして腰痛が治ると「良い」姿勢から「悪い」姿勢に移行した。

姿勢でないなら-では何が?

特定の「良い」姿勢に固執するのではなくいろいろ変えて快適な姿勢を採用するほうが役に立つだろう。腰痛は辛いが、ほとんどの場合腰痛に組織の損傷や病理は伴っていない。ストレスや気分が落ち込んでいる、疲れている、睡眠不足、運動不足などの場合に腰痛に過敏になる。そして腰痛を恐れ過剰に腰を保護しようと意識して運動や社会活動を避けると腰痛が長く続く可能性が高い

病理学的腰痛は治療すること。

 

-EPAのPFAS健康勧告のカーテンを開ける

Pulling Back The Curtain On EPA’s PFAS Health Advisories

By Susan Goldhaber MPH — August 17, 2022

https://www.acsh.org/news/2022/08/17/pulling-back-curtain-epa%E2%80%99s-pfas-health-advisories-%C2%A0-16493

オズの魔法使いのように、EPAのPFAS健康勧告のカーテンを開けたところ驚くべき事実が明らかになった。何故EPAは米国人集団では観察されない有害アウトカムに対する保護的「安全レベル」を設定したのか?この記事ではEPAの使った方法論を検討する、それは私が思うに、PFASへの恐怖を煽り続ける脅し作戦を可能にする。

背景

最近私はEPAのPFOAとPFOSの二つのPFASに対する健康勧告が如何に欠陥のあるリスク評価に基づいているかについて書いた。健康勧告は規制ではなくガイダンスではあるが、各州が執行値として採用し、水や食品や土壌の基準をこれに基づいて定めるために深刻な経済的帰結となり得る。PFASは想像できる限りのあらゆる健康問題の原因であると非難されている。がん、腎機能不全、免疫抑制、低出生体重などなど。しかし科学的データはそれを支持しない-いずれもヒトでの因果関係は証明されていない。

EPAはPFOAについては0.004 ng/LPFOSについては0.02 ng/Lの健康勧告を計算した。この値は、米国の検査室の多くが検出できる最小濃度である最小報告濃度の100から1000分の1である。

EPAのPFAS健康勧告

EPAがこれらの勧告のもとにした研究はファロー諸島の656人の出生のジフテリアと破傷風予防接種への長期抗体反応と母子の血中PFAS濃度の関連を調べたものである。全ての例で予防接種は子どもたちを守ったが、5才と7才の時点でのPFOAとPFOSの血中濃度が最も高かった子どもたちは、最もPFAS濃度の低かった子どもたちに比べてジフテリアと破傷風の予防接種後の抗体が有意に少なかった。この研究は血中PFAS濃度の増加が抗体濃度を下げることを証明したものではなく、関連を示したものである。

他の研究ではこうした関連がみられなかった。PFASと予防接種後の子どもの血中抗体レベルの関連を調べた11の研究のうち、6つでは関連がなく、5つでは年齢集団やワクチンの種類によっては何らかの関連があった。

EPAは「抗破傷風抗体濃度の減少そのものは有害影響ではない」と認めているにもかかわらず、以下の懸念からファロー諸島研究を使った

・免疫学的な病気がある子どもたちは「PFAS暴露に感受性の高い集団」である

・子どもたちのワクチン接種率が低下している

子どものワクチン接種率の低下傾向は懸念であることには私も合意するが、それはPFASとは関係ない。Cameron Englishが書いているように、活動家はしばしば脅し戦略、科学ではなく恐怖に基づく政策、に子どもの安全性を使う。

EPAの結論は理に適っているか?

答えはノーである。もしジフテリアと破傷風の抗体量が何年にもわたって減ってきたなら、米国でジフテリアと破傷風が増加しているはずでデータを見ればわかる。しかしCDCの年次症例データからはそのようなことはおこっていない。

・1920年代は毎年10万から20万件のジフテリアが報告されていた

・1940年代初期にジフテリアワクチンが導入され、1945年には19000件まで減った。

・1996年から2018年の間に米国で報告されたジフテリアは14例で、年間平均1例以下である

破傷風は伝染病ではないがワクチンで予防できる唯一の病気である;つまりヒトからヒトには拡散しない

・1940年代に米国でワクチンが導入された時、米国では年間500-600例が報告されていた。

・1970年代から2000年代半ばまでは年間50-100例が報告されていて2009-2018年は年平均29例である。ほぼ全ての症例で推奨されるワクチンを受けていない。

EPAのプロセスの内側-狂気の背景にある方法

何故EPAがこの影響をもとに健康観告を設定したのかわからないなら、説明しよう。

EPAは化学物質のヒト健康有害影響の相対リスクを決めるデータに基づくリスク評価を使って健康勧告を設定する。EPAのリスク評価はある物質について行われた全ての研究を検討し、以下を決める:

・その化合物がヒトにおこす主な有害健康アウトカム

・ヒトでのその影響を引き起こす濃度

EPAはある化合物の暴露による有害健康アウトカムを決めるのに階層的アプローチを用いる。選択は以下の順である:

・明確に暴露がわかっていて因果関係が示されているヒト研究

・暴露は明確ではないが因果関係が示されたヒト研究

・因果関係が示されていたり、単なる関連だったり、暴露が明確だったり明確でなかったりする、結果が一様ではないヒト研究

・実験動物での研究

例えば飲料水中水銀のリスク評価にはヒトでの研究が使われた。水銀摂取が胎児の脳と中枢神経系の発達に有害であることが示され、その影響を与える濃度も記載されていた。リスク評価はその濃度に胎児を守るための安全性マージンを加えた。

PFOAとPFOSの健康勧告を開発する際のEPAの根本的問題は、これらの化合物とヒトでの有害アウトカムとの因果関係を示した研究がなかったことである-残ったのは動物実験に基づく選択肢のはずである。

PFASがそれほどまでにヒト健康に有害なら、どうしてその有害影響を確認する研究がないのだろう?PFASが注目されるようになったのは米国でテフロン製造に使ったことに由来する飲料水汚染が派遣された20年前である。それから多くの研究が行われ、製造に関わった労働者の大規模研究もいくつかあった、そして有害健康影響が発見されなかった。

EPAは何故ファロー諸島研究を選んだのか?それが最良で最も代表性があるからではない。北大西洋にあるデンマークのファロー諸島の656人の子どもたちが米国人集団を代表するとは誰も思わない。理由はこの研究をもとにしてモデル計算した結果が他の研究で得られるより低いPFAS用量になるからである.

私はEPAがこれら化合物はヒトにとって極めて有害だという偽りの物語を続けることに決めたのだと思う。そうするために極めて低い健康勧告値を作った。

結論

リスク評価はヒト健康への化合物の相対リスクを決めるために開発された。つまり鉛や水銀などのような極めて有害な物質は安全量が小さく、一方それほど有害でないものは安全量が大きい。PFASの健康勧告を、因果関係データ無しで可能な限り低く設定することによってEPAはリスク評価の科学的原理を効果的に毀損した。さらにEPAは米国人に、特定化合物グループへの科学に基づかない正当化できない恐怖を増強した。

(EPAの設定値は信頼できる分析ができない量だとコメントがついている。ガイドライン値が小さい値のものほど有害だと想定するとPFOAはこの上もなく有害な化合物、になってしまうが事実ではない。適切な試験の中で最も小さい値を採用するのが添加物や農薬のADI設定のマニュアルなのだがそれを適用範囲外に拡大した結果?)