2022-08-24

[EFSA]意見等

-遺伝子組換えTrichoderma reesei RF6232株由来食品酵素マンナン エンド‐1,4‐β‐マンノシダーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme mannan endo‐1,4‐β‐mannosidase from the genetically modified Trichoderma reesei strain RF6232

EFSA Journal 2022;20(8):7478 22 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7478

(科学的意見)

この食品酵素マンナン エンド‐1,4‐β‐マンノシダーゼ(1,4‐β‐d‐マンナン マンノシダーゼ; EC 3.2.1.78)は、AB Enzymes GmbH社が遺伝子組換えTrichoderma reesei RF6232株から生産した。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素にはこの生産生物の生きた細胞やその組換えDNAはない。コーヒー加工、ジュース生産用の果物や野菜の加工、食用油生産での使用を意図している。総有機固形物(TOS)の残留量は精製食用油生産中に繰り返し洗浄により除去されるため、食事暴露は残りの2つの製造工程にのみ算出された。この食品酵素への食事暴露―TOSは欧州人で最大0.09 mg TOS/kg 体重 (bw) /日と推定された。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を調べた最小用量100 mg TOS/kg bw /日とした(注)。これにより暴露マージンは1,100以上となった。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、1件の一致が見つかった。パネルは、意図した使用条件で、特にアボカドにアレルギーのある人には、食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除去できないが、これが起こる可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

注:一方の性でのみ、用量相関性に乏しい血球数の変動等が報告されている

 

-オレンジ、レモン、マンダリンのトリクロピルの既存MRLsの改訂

Modification of the existing maximum residue levels for triclopyr in oranges, lemons and mandarins

EFSA Journal 2022;20(8):7545 22 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7545

(理由付き意見)

 

[FDA] FDAは違法なフレーバー付きニコチングミを販売した製造業者に警告する

FDA Warns Manufacturer for Marketing Illegal Flavored Nicotine Gummies

August 18, 2022

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-warns-manufacturer-marketing-illegal-flavored-nicotine-gummies

 米国食品医薬品局(FDA)は、違法な風味付きニコチングミを販売したとして警告文書を発行した(この種の製品に対する初の警告文書)。この種のグミは、子供向けの食品やキャンディに似ており、摂取すると、幼い子供に重度のニコチン中毒を引き起こす可能性がある。

製造業者VPR Brands LP (事業社名 “Krave Nic”)は1個に1mgのニコチン入りの、ブルーラズベリー、チェリーボム、パイナップルの3種のフレーバーのグミを販売している。パッケージではこの製品にはタバコを含まないニコチンが含まれていると主張している。この会社はFDAに市販前タバコ製品申請(PMTA)を提出しておらず、米国でのこれらの製品の製造、販売、流通のための市販認可命令を持っていない。

「保護者には、これらの製品と全年齢の子供の健康状態に影響を与える可能性、幼児への毒性やこれら依存性製品が若者に宣伝されていることなども認識してほしい。」とFDA長官Robert M. Califf 医学博士は述べた。

製造業者はニコチン1mgを含むグミが1缶に12個入り(12 mg)だと述べている。調査によると、6歳以下の子供は、体重により1~4mgのニコチン摂取で重度の中毒となる可能性があることが示されている。だが、どの年齢の若者でもニコチン中毒は、吐き気、嘔吐、腹痛、血圧と心拍数の上昇、発作、呼吸不全、昏睡状態を引き起こし、死に至る可能性さえある。ニコチンは依存性も高く、思春期の暴露は発達中の脳に害を及ぼす可能性がある。

雑誌Pediatricsで発表された最新研究*では、グミやトローチなどのフレーバー付きの非タバコ経口ニコチン製品は、南カリフォルニアの若者の間で最も一般的に使用されるタバコ製品の1つで、電子タバコに次ぐものである。特定の人種や民族、性別や性的マイノリティ集団、ニコチンの使用歴のある人に特に使用が多い。これらのフレーバー付き非タバコ経口ニコチン製品は、グミやガムなど子供の好きな食品やキャンディ製品に似ていて、若者に魅力的なフレーバーが入手でき、10代の若者が大人から使用を隠しやすいことから、若者へのリスクが高まっている。

本日発表された警告文書では、書面による回答を製造会社に要請している。違反を速やかに是正しないと、民事上の罰金や差し押さえおよび/または差し止めなどの措置がとられる可能性がある。さらに、この企業は違反製品の販売や流通が禁止される。企業は米国内で製品を販売・流通させる前に、PMTAを提出しFDAから市販認可を受けなければならない。

若者に一番人気のある一部の電子タバコブランドなど、タバコ製品の非タバコニコチンの増加に答えて、議会は2022年4月14日に執行された連邦法を可決し、あらゆる供給源のニコチンを含むタバコ製品を規制するためにFDAの権限を明確にした。

FDAの規制監督に加えて、FDAは“The Real Cost.”などのマスメディアのキャンペーンなど、アメリカの子供達を守るためにデザインされた対象を絞った若者のタバコ予防の取り組みのための緊急の必要性を認識している。FDAはまた、タバコ製品の使用のみに焦点を当てる中高校生の唯一の全国代表調査である全国若者タバコ調査で病気管理予防センターとも協力している。

Adolescent Use of Flavored Non-Tobacco Oral Nicotine Products

Alyssa F. Harlow et al.,

https://publications.aap.org/pediatrics/article/doi/10.1542/peds.2022-056586/188734/Adolescent-Use-of-Flavored-Non-Tobacco-Oral

オープンアクセス

 

[EU]無線周波数の科学的根拠についての予備的意見にパブリックコメント募集

SCHEER

Public consultation on the Preliminary Opinion on scientific evidence on radiofrequency

https://health.ec.europa.eu/consultations/scheer-public-consultation-preliminary-opinion-scientific-evidence-radiofrequency_en

2022年9月25日まで

Opinion on the need of a revision of the annexes in the Council Recommendation 1999/519/EC and Directive 2013/35/EU, in view of the latest scientific evidence available with regard to radiofrequency (100kHz - 300GHz)

https://health.ec.europa.eu/system/files/2022-08/scheer_o_044.pdf

SCHEERは、少なくともEUの設定している基準以下では、無線周波数電磁界(WiFi、携帯電話基地局その他ワイヤレス技術に使われている電磁放射線)への慢性あるいは急性暴露による有害健康影響の中程度から強い根拠を同定できなかった。

しかしながらCouncil Recommendation 1999/519/ECと Directive 2013/35/EUの補遺の技術的改訂の必要性についてはポジティブな助言をする。技術の進歩と新たな使用方法などのためである。

 

[RIVM]RIVMは持続可能な医薬品の研究開発のための基準を作る

RIVM formulates criteria for R&D of sustainable pharmaceuticals

08/23/2022

https://www.rivm.nl/en/news/rivm-formulates-criteria-for-rd-of-sustainable-pharmaceuticals

GREENER(よりグリーンな)基準は環境に影響しない医薬品を開発するための重要な第一歩である

GREENER基準とは以下を意味する:

G:Good practice for patients

R:Reduced off-target effects, high specificity

E:Exposure reduction via less emissions

E:Environmental (bio)degradability

N:No PBT (persistent, bioaccumulative as well as toxic) properties

E:Effects reduction: avoid undesirable moieties

R:Risk and hazard mitigation

 

[ASA]ASA裁定

ASA Ruling on Secret Surgery Aesthetics t/a secretsurgeryaesthetics

24 August 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/secret-surgery-aesthetics-a22-1156452-secret-surgery-aesthetics.html

美容外科の、医師の処方でしか使えないビオチン注射の一般向け広告が基準違反

 

[FAO]水のDNA

The DNA of water

23/08/2022

https://www.fao.org/fao-stories/article/en/c/1601775/

ヒト、動物、生態系の健康を守るための水と全ゲノム配列決定の役割

 

[APVMA]新しい法律-農業と獣医用化学物質規約(農業用化合物製品基準2022の成分濃度の許容偏差)

New legislative instrument – Agricultural and Veterinary Chemicals Code (Allowable Variation in Concentrations of Constituents in Agricultural Chemical Products) Standard 2022

23 August 2022

https://apvma.gov.au/node/104066

 

[FSSAI]FSSAIは食用油のトランス脂肪酸混入と適切な表示のない複数の由来の食用油の販売に監視を強化する

FSSAI tights vigil against adulteration in edible oils trans-fatty acids and sale of Multi Source Edible Oils without proper labelling [Updated on:17-08-2022]

https://www.fssai.gov.in/upload/press_release/2022/08/62fcb62aa2949Press_Release_Edible_Oil_17_08_2022.pdf

2022年8月1日から8月14日まで行われた大規模サーベイランスで、合計4431検体の植物油、複数起源食用油、バナスパチ等が35の州/地域から集められた。現在認証検査機関に送られ、結果は数日後に予想される。異物混入の疑いのあるものは法的措置が行われる

 

論文

-高齢者が座っているときに何をしているかが認知症リスクに影響する、南カリフォルニア大学の研究が示す

What older adults do while they sit affects dementia risk, USC study indicates

22-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962520

PNASに発表された研究によると座って長時間テレビを見るなどの受動的行動は認知症リスクが増加するかもしれない。座っているときに読書やコンピューターを使うなどの活動的な人ではリスクが低かった

 

-カフェイン代謝物が子どもの近視の進行を遅らせるかもしれない

Caffeine metabolite may slow progression of short-sight (myopia) in children

22-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962278

もし臨床試験で有効性が証明されたら、7-メチルキサンチン(7-MX)は将来有用な治療になる可能性がある、と研究者らは言う

British Journal of Ophthalmologyに発表された観察研究

 

-親は家族の幸福のためにできない活動の代わりに不健康な食の習慣を採用している、研究が発見

Parents adopt unhealthy food routines for family wellbeing in place of unaffordable activities, study finds

22-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962479

新しい研究はイングランドの低所得の親は、安価で入手可能で宣伝されているからというだけではなく、家族に提供できない食品以外の幸福のために、不健康な食品を買っていることを示唆

低所得の親は子ども専用の遊び場や休暇に連れて行くことができないので代わりにファストフード店に行ったり自宅で映画を見ながらスナックを与えたりする。

この知見に基づき、著者らは食品サービスを環境から排除してその代わりに健康的な食品の販売店を増やすなどの政策を提案する

(英国の公衆衛生大学教授って鬼?)

 

-テキサス大学公衆衛生学部の研究によると、柔軟性にもかかわらず、ギグワーク(単発の仕事を受ける働き方)と不安定な収入は米国の労働者にとって有害

Despite flexibility, gig work and insecure income prove harmful to U.S. workers, according to UTHealth School of Public Health

23-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962621

Social Science & Medicineにオンライン発表

(アメリカだけではないと思うけれど。)

 

-治療用大麻を使う人はニコチンも使う可能性が高い

People who use therapeutic cannabis are more likely to use nicotine, too

23-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962625

American Journal on Addictionsに発表された研究。娯楽用大麻の使用とニコチンの使用の関連は確立されている

 

-オーストラリアの壊滅的ウサギの蔓延はたった数十の英国ウサギがきっかけだった

Australia’s catastrophic rabbit invasion sparked by a few dozen British bunnies

22 August 2022  Smriti Mallapaty

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02297-4

ゲノム解析がほとんどのオーストラリアのウサギは1859年にメルボルン近くに船でやってきた野生のウサギの子孫であることを示す

ウサギはオーストラリアの農業と固有植物に壊滅的影響を与えた

PNAS

 

その他

-Scienceニュース

「我々は神経を尖らせている」。恐ろしいトリインフルエンザが北米に定着した可能性がある

‘We’re nervous.’ Deadly bird flu may be in North America to stay

23 AUG 2022  BYERIK STOKSTAD

https://www.science.org/content/article/we-re-nervous-deadly-bird-flu-may-be-north-america-stay

H5N1がこの夏野鳥や家禽を殺し続けている。秋の渡りで復活する可能性がある

H5N1は最初1996年に中国広東州で興り、以降世界中で何度か大規模アウトブレイクを起こしてきた。

 

-Natureニュース

「彼は無数の命を救った」:米国の科学者FauciがNIHの役職を離れる

‘He has saved countless lives’: US scientists on Fauci leaving NIH role

22 August 2022 Max Kozlov & Lauren Wolf

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02301-x

AIDSからCOVID-19まで、象徴的医学主任は無数のアウトブレイクについて7人の大統領に助言してきた

約40年、米国のトップ感染症アドバイザーだったAnthony Fauciが8月22日、12月で役職を辞任すると発表した

 

世界中で相次ぐポリオアウトブレイクに科学者が警戒

Spate of polio outbreaks worldwide puts scientists on alert

22 August 2022  Heidi Ledford

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02233-6

米国とイスラエルの麻痺症例はワクチン由来のポリオウイルス感染を示唆する

 

-Dr Joe Schwarczの動画シリーズ

ターメリックの問題

Cup o'Joe-Turmeric Troubles

2022/08/18

https://www.youtube.com/watch?v=6OaQkU7tMX8

免疫強化作用を宣伝してCOVID-19時代に売り上げが急増したターメリックサプリメントには有効性の根拠はほとんどない。しかし肝障害の事例報告が相次いでいる

 

Humbug Billyの物語

Dr Joe Schwarcz tells the story of Humbug Billy

2022/08/19

https://www.youtube.com/watch?v=RRtrUoGQqWk

1858年の"Humbug Billy"が販売したお菓子によるヒ素中毒。

砂糖が高値だったためしばしば石膏などが混合されていた。その混合物を見た目が似ている三酸化ヒ素と間違えたことで約20人が死亡、さらに200人が中毒になった事件の紹介

 

-ゲノム編集はどのようにそして何故GMOより少ない世界的規制に直面しているのか

How and why gene editing faces fewer global regulations than GMOs

Steven Cerier | August 23, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/08/23/how-and-why-gene-editing-faces-fewer-global-regulation-than-gmos/

各国のゲノム編集規制の状況に関する長い記事。見出しのみ

中国のGMO商業化

途上国がゲノム編集の波に追いついている

GMOを最も多く生産している国のゲノム編集

米国、ブラジル、カナダ、インド、中国、南アフリカ そしてEU

英国のEU離脱方式

世界のどこかで

 

-口に出しながら考える:「Midinformation」とCOVIDパンデミック

Thinking Out Loud: 'Midinformation' And The COVID Pandemic

By Chuck Dinerstein, MD, MBA — August 23, 2022

https://www.acsh.org/news/2022/08/23/thinking-out-loud-midinformation-and-covid-pandemic-16506

CDC長官Rochelle Walensky博士がパンデミック対応への失敗を受けて「CDCは変わらなければならない」といい改革を行っている。私は「Midinformation」のレンズを通して彼らの努力について議論したい

midinformation(中間情報?)は虚偽あるいは誤解を招く情報であるmisinformationのことではなくて、根拠が乏しいあるいは矛盾するために情報が曖昧になることで、新しい科学知識が次々出てくるような場合に多い。COVIDの初期はそうだった。

・媒介物fomiteと消毒劇場

最初の頃は家の中にものを持ち込む前に少なくとも1日は外に置いておいて手袋をして表面を消毒した。それは物理学者や他の実験室でのモデルによる研究に基づくものだった。COVIDが表面で生存する時間は正しかったもののその後媒介物を介した感染は多くないことがわかった。この、紙の上でのCOVIDの生存期間がmidinformationの良い例である。また科学の進み方の例でもある。

科学は仮説の事象を説明できる能力に基づく。仮説は完全に証明されることはないが反証することはできる。媒介物がCOVIDを伝搬するという仮説は呼吸性ウイルスとして拡散するという仮説に置き換えられ、そのほうが良く感染を説明できた。媒介物仮説は間違っているわけでもmisinformationでもない、それはmidinformationだった。媒介物研究を行ったのは「巨大手袋企業」でも「巨大消毒薬企業」でもない。それは見えない敵と戦うため持てる知識を使った合理的な努力だった。

・6フィートルール

COVIDが空気を介して感染することがより明らかになると、我々の呼気が注目された。我々はエアロゾルについてのあらゆる知識を動員して安全に集まるにはどうすればいいか決めようとした。CDCは学校でのヒトとの距離を科学的研究に基づいて6フィートから3フィートに助言を変えた。これは初期のmidinformationをより良い後からのものに代えたのであり、科学の働きを示す

・プレプリントと政策

「法律はソーセージのようなものである;作り方はみないほうがいい」-Otto von Bismarck

パンデミックの初期の恐怖とその予防や治療法を急ぐ必要から、一般の人々が科学が落ち着くまでの過程-ソーセージが作られるところ-に晒されることになった。科学にはリズムがあり、個々の研究が身内の研究者に共有されるところから始まってそれが重要であれば学会で発表されたり査読プロセスを経て論文になったりする。コンセンサスが形成されればその分野の教科書になったりする。パンデミックはこのリズムを短絡し、プレプリントを使った。結果としてmidinformationを政策に使うことになった。

パンデミックにおけるmidinformationの役割を認識することは、我々の公衆衛生対応への一部の怒りを和らげるだろう。われわれはもっとよくできたしシステムをより機敏で透明なものに変える必要はある。不確実性の中でより良い選択をする能力を上げるために、判断と経験を強化することに注力しよう。

(一度決めたら変えにくい、ってアメリカより日本の方だろう、いまだに消毒重視のマニュアル変えてないんじゃ?)