[WHO]ヨウ素状態評価指標の更新計画についてパブリックコメント募集
Public consultation on planning for the update of indicators for iodine status assessment
9 August 2023
2007年の第三版(以下)を更新する計画について、2023年9月10日まで意見募集
Assessment of iodine deficiency disorders and monitoring their elimination: a guide for programme managers, 3rd ed
1 September 2007
https://www.who.int/publications/i/item/9789241595827
[WHO]WHOは全ての人の健康機会を加速し根拠を探るため、初めて伝統医療ハイレベル世界サミットを開催する
WHO convenes first high-level global summit on traditional medicine to explore evidence base, opportunities to accelerate health for all
10 August 2023
2023年8月17-18日、インドグジャラート州Gandhinagarで伝統医療世界サミットを開催
(貧しい人達にヨガや薬草を与えて最先端の医療だと誤魔化す?)
[FSANZ]食品基準通知
Notification Circular 255-23
11 August 2023
https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20255-23.aspx
新規申請と提案
・除草剤耐性昆虫耐性トウモロコシ系統DAS1131由来食品
・加工助剤としてのシイタケLentinula edodes 菌糸体
ホワイトハウス
国家科学技術委員会:持続可能な化学報告書
NSTC: Sustainable Chemistry Report
August, 2023
https://www.whitehouse.gov/ostp/news-updates/2023/08/02/nstc-sustainable-chemistry-report/
NSTCの環境・革新・公衆衛生合同小委員会持続可能な化学戦略チームによる報告書
「持続可能な化学」の定義や現状、対応すべき分野等。
グリーンケミストリーと違いなど。(特定の場面でグリーン(害を減らす)だが持続可能ではない場合はある、といったようにより広範に考える)
[DHSC]禁煙を促すタバコのパックへの新しい添付文書
New inserts in cigarette packs to help smokers quit
14 August 2023
https://www.gov.uk/government/news/new-inserts-in-cigarette-packs-to-help-smokers-quit
政府は禁煙を促すためタバコ製品に添付文書を加えることについて意見を募集する
国際的にはカナダとイスラエルで使われていて禁煙に有効であることが証明されている
添付文書には禁煙することの健康上の利点などが示される予定。
[CDC]暫定的自殺による死亡、米国、2022
Provisional Suicide Deaths in the United States, 2022
August 10, 2023
https://www.cdc.gov/media/releases/2023/s0810-US-Suicide-Deaths-2022.html
CDCは本日最新の自殺による死亡推定を発表した。米国では2019年と2020年に減少した後、2021年に約5%増加し2022年はさらに増加した
論文
-中国減塩対策で公衆衛生能力強化-中国、2017–2022
CCDC
Enhancing Public Health Competencies via Action on Salt China — China, 2017–2022
Puhong Zhang
China CDC Weekly, 2023, 5(32): 720-723. doi: 10.46234/ccdcw2023.137
https://weekly.chinacdc.cn/en/article/doi/10.46234/ccdcw2023.137
CCDCが重要なパートナーを務める中国と英国の協力ベンチャーAction on Salt China (ASC)の成果紹介。
-リソースの乏しい医療施設での安全な乳児への栄養提供の必要性
A need for safe infant feeding in low-resource health-care facilities
Maya L Nadimpalli et al., Published:August 03, 2023
THE LANCET CORRESPONDENCE| VOLUME 402, ISSUE 10401, P525-526, AUGUST 12, 2023
乳児の栄養と発育に母乳がベストではあるものの乳児の1/3以上が生まれた日に母乳以外の食品を与えられている。WHOとUNICEFは生まれて1時間以内に母乳を与え始めるように薦めているが、全ての母親が可能なわけではない。子どもも特に早産、低体重や病気などがあるとできない。そういう状況では搾乳したミルクや寄贈された母乳、乳児用調整乳が薦められるがリソースの少ない場合病原体暴露のリスクがある。生まれて間もない子どもの栄養提供の衛生確保のために効果的ガイドラインが必要である。
(衛生確保は他人の母乳より工場生産された液体ミルクのほうが圧倒的に簡単そうなのに何が何でも認めない人達がいる)
-SCIENCE VOLUME 381|ISSUE 6658|11 AUG 2023
オーストラリアの環境問題特集
-Natureニュース解説
抗肥満薬は心疾患からも保護する-次は何がおこる?
Anti-obesity drug also protects against heart disease — what happens next?
10 August 2023 Mariana Lenharo
https://www.nature.com/articles/d41586-023-02528-2
臨床試験のデータはセマグルチドが心臓発作やその他の心血管系イベントリスクを下げることを示唆
臨床試験結果は新世代抗肥満薬の使用方法を変えるかもしれない。データはまだ完全に明らかにはなっていないがNovo Nordiskの発表によると毎週Wegovyを投与すると肥満または過体重のある心疾患患者の重症心血管系イベントリスクを20%下げた。スタチン以外でこのような広範囲の効果を示す医薬品は他にない。
リスク削減の要因としては体重減少があるがそれ以外にも寄与している可能性がある。
肥満専門医以外もセマグルチドを処方するようになるだろう。
その他
-コンシューマーラボ
製品レビュー
CBDオイル、ソフトゲル、グミ、クリーム、軟膏レビュー
CBD Oils, Softgels, Gummies, Creams & Salves Review
August 10, 2023
https://www.consumerlab.com/reviews/cbd-oil-hemp-review/cbd-oil/
これらの製品からどのくらいの量のCBDとTHCが検出されたか見て
製品中のCBDの量は、一回使用分につき5.7mgから240.9mgまで大きく異なり、2018年と2020年の検査結果に比べるとCBDのコストは低下し続けている。
またTHC濃度も低下傾向で、多くの製品では検出されていない。検出された製品については一回あたり1mgを超過するものはなかったが、1mg以下でも薬物検査には陽性になる可能性がある。
-動画
炭酸添加の楽しみと歴史
The joys and history of carbonation | The Right Chemistry
https://www.youtube.com/watch?v=gV2irG8va2Q
重曹と酒石酸に水を入れてできた二酸化炭素を使って炭酸水を作っていた時代、ドライアイスを水に入れる、炭酸ボトルを使う
-スポーツサプリメントのパフォーマンス強化作用があるとされる植物成分の存在と量
Presence and quantity of botanical ingredients with purported performance-enhancing properties in sports supplements.
Cohen PA, et al.,JAMA Network Open, 6(7):e2323879, 2023
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2807343
2004年にFDAがダイエタリーサプリメントにエフェドラを禁止してから、サプリメント製造業者は様々な代用品を宣伝してきた。今回はRauwolfia vomitoria(αヨヒンビン)、カフェイン様作用のあるメチルリベリン、部分β2アゴニストハロスタキン、植物ステロイドであるturkesterone、ノルエピネフリン様オクトパミンを含むと表示されている製品を分析した。57製品を分析して23製品は表示されている物質を検出可能な量含んでいなかった。表示されている成分が検出された場合ではその量は表示量の0.02%から334%だった。
また7製品は少なくとも1つのFDA禁止物質(1,4-ジメチルアミルアミン、デテレノール、オクトドリン、オキシロフリン、オムベラセタム)
-酸っぱいブドウ
Sour Grapes
Joe Schwarcz PhD | 10 Aug 2023
https://www.mcgill.ca/oss/article/critical-thinking-health-and-nutrition/sour-grapes
ブドウを食生活に加えるのは大変よろしい、しかしそれで長生きすることを期待しないように。あなたがマウスでなければ。
「一日2カップのブドウで長生きできる、研究が示した」という見出しが目についた。その研究は「西洋式高脂肪食」を与えた雌のマウスにブドウを加えて与えると非アルコール性肝疾患が減って寿命が長くなるという実験だった。研究者らはヒトでの実験として29人のボランティアに36gのフリーズドライブドウ粉末を2週間食べてもらって腸内細菌の一部に変化が見られたとも報告している。このカリフォルニア食用ブドウ委員会が資金提供した研究はブドウを食べることが健康に良いという根拠を提供しない。
私がこの研究に言及したのはブドウには病気の治療法として宣伝された歴史があるからである。ブドウ療法には特別な固有名詞ampelotherapyすらある。19世紀半ば(1856年)、ドイツの医師Veit Kaufmannがブドウをたくさん食べることで健康になるという考えを導入した。そして南アフリカ人のJohanna Brandtが“ブドウ治療The Grape Cure”という本(1925年)で胃がんを治したと主張した。言うまでもなく、ブドウでがんは治せない。にも拘わらずBrandtの本はいまだに熱狂的に代替医療プラクティショナー達の間で支持されている。
-マイクロバイオームと神話製造装置
The Microbiome and Its Myth-Making Machine
Jonathan Jarry M.Sc. | 11 Aug 2023
もしあなたがマイクロバイオームについて何か非常に明確なことを聞いたなら、それは間違っている可能性が高い
健康科学の分野で期待できそうな新しい発見があると、伝言デームが始まる。科学者は発見したうちの最良のものをプレゼンする。広報部はそれをさらにかみ砕いて少し誇大宣伝を加える。ジャーナリストは単純化して増幅し、ソーシャルメディアのインフルエンサーはメッセージを歪め、起業家は証明されていない解決法を売って儲けようと誇大宣伝にのる。あなたの同僚ががんは腸内細菌が原因なんだってと言い、あなたはコーヒーの代わりにヨーグルトのほうがいいかなと考える。
(以下マイクロバイオーム研究の具体的問題指摘略)
重要なメッセージ
-ヒトマイクロバイオームを構成する微生物の数はヒト細胞の10倍ではない:最良の推定では概ね同じくらい
-プロバイオティクスが抗生物質の使用に伴う下痢を予防できる根拠は強いが、この場合でもどの系統、量、あるいは期間がいいのかについてまだ知らない
-多くの病気がマイクロバイオームの変化と関連するが、現時点では関与する変数が多すぎてそうした変化が病気の原因なのかどうかわからな
-誰がUPFを恐れているのか?(パート1)
Who’s afraid of UPF? (Part 1)
BOOKS By Christopher Snowdon 6 August, 2023
https://thecritic.co.uk/whos-afraid-of-upfs-part-1/
超加工食品恐怖は科学の後退
(Chris van Tulleken著「超加工人:何故我々はみんな食品ではないものを食べて、止められないのか?Ultra-Processed People:Why Do We All Eat Stuff That Isn't Food ... and Why Can't We Stop?の批判的書評)
Jamie Oliverが面白い警察官だとしたら、Chris van Tullekenはタリバンである。「超加工人」のような本の売りはあなたが知っていることは全て間違いだという考えである。感染症医でテレビの司会者であるvan Tullekenは極論を言う。この本によると、ほぼ全ての人が間違っていて多くは腐敗していて誰も信用できない。Tulleken博士と、数人の研究者と、25ポンド払ってこの本を買って読んだ人だけが真実を知っている。問題は砂糖ではない。炭水化物でもない。人工甘味料は役に立たない。運動に効果はない。意思の力に効果はない。彼の理論と違う研究を発表している全ての科学者は食品業界の手先である。英国栄養財団や栄養と食事学会、栄養士会、社会正義センター、経済問題研究所、メディア、糖尿病UK、がん研究UK、英国心臓協会など全てが食品企業の資金によって汚れている。Jamie OliverですらTesco や Deliverooと関係があって超加工食品を作ってるので有罪である。
肥満や食事に関係する病気の真の原因は、Tullekenによると、超加工食品(UPF)である。食品がポリ袋に入っていてあなたの台所にない成分が含まれていたらUPFである。あらゆるものが含まれるが、砂糖や塩や脂肪は含まれない。つまり家庭で作ったらどんなものでも健康的なのだ。
この驚くべき提案の「根拠」が簡単に概説されている。たくさんの疫学観察研究がある。そしてRCTがある。
しかし重要な問題にこの本は答えない。カロリーや脂肪や砂糖などの量が同じピザがふたつある、一つは手作りの伝統的食品なので肥満に関係しない、一つは会社が作ったので肥満と病気の原因である。どうして?
Tullekenは工業的食品加工そのものが本質的に危険だと言う。
(長い記事、パート2もある)
Who’s afraid of UPF? (Part 2)
8 August, 2023
https://thecritic.co.uk/whos-afraid-of-upfs-part-2/
TullekenはUPFをしばしばタバコに、食品企業をタバコ企業に例える。UPFは依存性があると主張するがそれは彼の経験のようだ。どうも著者は食品と健康的な関係を持っていないようだ。
2016年にBehavioural Insightsチームが重水を使ってカロリー摂取の過小報告について修正を試みた論文を発表している。1990年から2008年の間にカロリー摂取は増加しているのに調査データではカロリー摂取が減っている。食事研究の質が一般的に低いのはこういうことだ。人々は自分がどれだけ食べているのかすら確実に報告しないのに、との食品が原因かわかるだろうか?
(双子の医師としてBBCによく出ているらしい