2023-09-04

[SFA]G6PD欠乏症患者の宿敵-ソラマメ

The Arch Enemy of G6PD-Deficient Individuals – Fava Beans

Tuesday, August 29, 2023

https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/the-arch-enemy-of-g6pd-deficient-individuals-fava-beans

ソラマメは、世界中の様々な地域で広く栽培及び消費されている、大きくて平たい緑色の豆である。ソラマメは、良質なたんぱく質やその他の栄養源として、特に、健康志向や環境意識の高まりから、動物由来以外のたんぱく質源を積極的に求める消費者の間で人気が高まっている。しかし、グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠乏症の人がソラマメを摂取すると、ファビズムと呼ばれる致命的な症状を引き起こす可能性がある。

G6PD欠乏症とは?

赤血球は酸素を全身に運搬するために必要である。G6PDは運搬中に赤血球を損傷から守り、免疫の健康をサポートする酵素である。G6PD欠乏症の場合、この酵素が不足すると赤血球が壊れやすくなり、黄疸(皮膚が黄色く見える)や貧血(赤血球が不足する)を引き起こす。この疾患は遺伝的要因によるところが大きく、世界中で推定5億人が罹患している。シンガポールでは、集団の約1.5%がこの病気と診断されている。したがって、健康上の理由から、このような人々には特定の食品の摂取を避けるべきである。

G6PD欠乏症の人がソラマメを食べるとどのような影響があるか?

G6PD欠乏症の人がソラマメを食べると、ソラマメに含まれる天然化合物のビシンとコンビシンのために、「ソラマメ中毒(favism)」として知られる症状が引き起こされることがある。これらの化合物は比較的熱に安定で、加熱調理しても除去されない。この症状は赤血球の破壊を促進し(溶血性貧血)、黄疸、濃い尿及び脾臓肥大などの症状を引き起こす。重篤な場合は腎臓を損傷し、命にかかわることもある。

消費者はどのように身を守ればよいのだろうか?

G6PD欠乏症と診断された場合、潜在的な健康上の懸念を最小限に抑えるために、食事の選択に気を配る必要がある。以下はそのためのヒントである:

・ソラマメタンパク質を使用して製造した植物由来の肉を含め、ソラマメの摂取を避ける。

・ソラマメが原材料として含まれていないか、食品表示ラベルを必ず確認する。

・小売食品施設店で食事をする際には、その料理を食べる前にソラマメが含まれているかどうかを必ず確認する。

・食品を調理する際には、ソラマメと他の食品成分との相互接触の可能性を避ける。

・ソラマメを摂取した場合、不快感があれば直ちに医師の診察を受ける。

・食事の代替タンパク質を探している場合は、大豆、小麦またはマイコプロテインなどの真菌由来のタンパク質など、他の植物由来のタンパク質を検討することができる。

[SFA]シンガポール・フード・ストーリー展示会で紹介された持続可能な食料安全保障に向けたシンガポールの歩み

Singapore’s journey towards sustainable food security showcased at the Singapore Food Story exhibition

Sep 02, 2023

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/sfa-media-release---feeding-our-future-exhibition.pdf

 シンガポール食品庁(SFA)は、持続可能な食料安全保障に向けたシンガポールの歩みを紹介するため、2023年9月2日から6日までシンガポール・フード・ストーリー公開展示会を開催した。

 

[SFA]日本産食品の輸入に関する記事/ポッドキャストの明確化

Clarification on circulating article/podcast regarding import of Japanese food products

3 September 2023

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/clarifications-on-circulating-article-regarding-import-of-japanese-food-products_3sep23.pdf

 「日本食品の輸入を禁止する国が増えている」というタイトルのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事/ポッドキャスト(More Countries Ban Import of Japanese Food - WSJ Audiohttps://www.wsj.com/podcasts/more-countries-ban-import-of-japanese-food/475dec5e-738c-46db-9e86-c960010e5fab)に関するメディアの質問に答え、シンガポール食品庁(SFA)は、最近、日本からの汚染野菜のサンプルや禁止された食品のサンプルは見つかっていないと明らかにした。

 

[FSA]事業者向けガイダンス

-アクリルアミド法令

Acrylamide legislation

29 August 2023

https://www.food.gov.uk/business-guidance/acrylamide-legislation

事業者向けガイド更新。

食品事業者には以下が求められている

・アクリルアミドが食品安全上のハザードであることを認識し理解すること

・アクリルアミドをALARA原則に従って減らすよう対策すること

・対策の一環として必要に応じ代表検体のサンプリングと分析を行うこと

・対策の記録を保管すること(HACCPの一環)

地方の法の執行担当者は食品基準に従ってリスクに基づいたサンプリングとチェックを行うこと。

対象となる食品はポテトチップスやポテト製品、パン、朝食シリアル、ファインベーカリー、コーヒー、コーヒー代用品、ベビーフードや乳幼児用穀物製品など。

 

[FDA]プレスリリース

-2023年全国食品安全教育月間 — より高いリスクにさらされている人々

National Food Safety Education Month 2023 — People at Higher Risk

September 1, 2023

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/national-food-safety-education-month-2023-people-higher-risk

2023年全国食品安全教育月間は、食中毒を避けるための食品の安全情報を強調することで、リスクの高い人々に特別な注意を払い、その人々、その家族、介護者を支援する。

 

-FDAはある種の植物性減量製品中のNuez de la Indiaと称する有毒なキバナキョウチクトウ(Yellow Oleander)についての消費者への警告を拡大する

The FDA Expands Warning to Consumers About Toxic Yellow Oleander Purported to be Nuez de la India in Certain Botanical Weight Loss Products

09/01/2023

https://www.fda.gov/food/alerts-advisories-safety-information/fda-expands-warning-consumers-about-toxic-yellow-oleander-purported-be-nuez-de-la-india-certain

 米国食品医薬品局(FDA)は、これらの製品が販売されている第三者のプラットフォームと積極的に連携している。2023年8月25日、TODORGANIC INC.は、FDAの分析により種子が黄色のキョウチクトウであると判明した後、Nuez de la India種子の自主的リコールを開始した。FDAは調査を継続している。

 

[USDA]請願

Petition Submitted by Perdue Farms, LLC

https://www.fsis.usda.gov/policy/petitions/petition-submitted-perdue-farms-llc

コメント追加

家禽の“放し飼いfree range”と “牧場で育てたpasture raised”について

23-03 Comments Submitted by Joe's Farm (Sep 1, 2023)

https://www.fsis.usda.gov/sites/default/files/media_file/documents/23-03-JoesFarm-Comments-09012023.pdf

2011年に15才で農業を始めたときは350羽ほどの鶏を飼っていて朝から晩まで外にいた。ところが規模が大きくなると思ったようにはならず、1200羽飼ったら鶏が全然外に行かず小屋の近くの草だけを食べ尽くして土がむき出しになり「放牧」とはほど遠いものになった。そこで毎日鶏を強制的に動かすシステムに投資した。これは「放し飼い」とは全然違う。

(いろいろおもしろい。消費者が「放し飼い」から想像するものと実際はかなり違う、という例。畜産の「ナチュラル」とは?)

 

論文

-大麻使用者は血中と尿中の鉛とカドミウムが多い

Marijuana users have elevated levels of cadmium and lead in their blood and urine

Dr. Priyom Bose, Ph.D.Sep 3 2023

Reviewed by Benedette Cuffari, M.Sc

https://www.news-medical.net/news/20230903/Marijuana-users-have-elevated-levels-of-cadmium-and-lead-in-their-blood-and-urine.aspx

EHP

Blood and Urinary Metal Levels among Exclusive Marijuana Users in NHANES (2005–2018)

https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/EHP12074

 

-米国の魚油サプリメントの健康強調表示と用量

Health Claims and Doses of Fish Oil Supplements in the US

Joanna N. Assadourian et al., JAMA Cardiol. Published online August 23, 2023

https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2808769

2819の魚油サプリメントの横断研究。73.9%が少なくとも一つの健康強調表示をしていて、通常心臓の健康に関連する、ついで脳と関節。FDAが認めた限定的健康強調表示をしているものはあまりない。一日のEPAとDHAの総量についてはサプリメントによって大きく異なる。このことは、消費者への間違った情報を防ぐためにはサプリメントの表示に追加規制が必要であることを示唆する。

 

-化学物質混合物ハザードへの慢性生涯暴露に関連するハザードのキャラクタリゼーション:微量元素のケーススタディ

Characterisation of the risk associated with chronic lifetime exposure to mixture of chemical hazards: case study of trace elements.

Gastellu T, et al. Food Addit Contam Part A Chem Anal Control Expo Risk Assess. 2023.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37428801/

レビュー。ヒトバイオモニタリングデータと生理学に基づくトキシコキネティクモデル

 

-予期せぬ帰結となった飲料-トニックウォーターによる有害反応:症例報告

[A drink with an unexpected ending... Adverse reaction by tonic water: A case report].

Moreno-Lozano L, et al. Rev Alerg Mex. 2023.

"Schweppes®"ジントニックを飲んで3-4時間後に唇と口腔内に潰瘍、24時間後に手の第二指骨の固定した紅斑性病変をきたした31才男性の症例報告。パッチ検査でキニーネに陽性。

 

-蓋裂のリスク要因としての母親のカフェイン摂取と受動喫煙

Maternal consumption of caffeine and second-hand tobacco smoke as risk factors for the development of oral clefts

de Andrade RS, et al. Clinics (Sao Paulo). 2023.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37567043/

132人の口蓋裂の子どもと277人の対照の子どもをもつ409人の母親での症例対照研究。口蓋裂と直接関連するのは受動喫煙、飲酒、葉酸サプリメントの不使用であった。

 

-WHOの伝統医療の新たなビジョン

WHO's new vision for traditional medicine

Talha Burki

TheLancetWORLD REPORT| VOLUME 402, ISSUE 10404, P763-764, SEPTEMBER 02, 2023

2023年8月17-18日の伝統医療世界サミットのレポート

世界中の何十億もの人々が伝統及び補完医療を使用していて多くの人にとってはそれだけが医療である。補完代替医療に関わる人は膨大で、それをユニバーサルヘルスケア(全ての人に医療を)目標のための医療労働力不足を補うのに使える可能性がある。

(薬がなくても祈祷師がいるから医療は足りてる、ことにしたいらしい。)

 

-がんアウトカムの不平等

Inequities in cancer outcomes

Mohamed El Amine Youcef Ali et al.,

Bull World Health Organ. 2023 Sep 1; 101(9): 550.

がん患者のアウトカムの不平等にとって社会経済的要因が重要因子として急増している

(補完代替医療を使うとがんアウトカムは悪化すると報告されているのだがWHOはそれを推進したいんでしょ?)

 

その他

-英国の食事の超加工食品との戦いに大きな努力が必要、と健康の専門家が言う

Big effort needed on UK diet to fight ultra-processed food, say health experts

Ian Sample and Andrew Gregory Sat 2 Sep 2023

https://www.theguardian.com/society/2023/sep/02/big-effort-needed-on-uk-diet-to-fight-ultra-processed-food-say-health-experts

超加工食品(UPF)摂取の害について描く研究をうけて、医師や科学者や栄養士が英国の食生活を改善するために広範な包括的な努力が必要という

7月に政府の栄養に関する科学助言委員会はUPFが有害だという根拠は「懸念される」ものの、NOVA分類の限界と他の説明(ライフスタイルが貧弱な人がUPFを多く食べる)ができることから研究の知見には注意が必要とした。しかしこれに合意せず直ちに対応すべきと主張する人達がいる。ベストセラー本「Ultra Processed People」の著者Chris van TullekenはUPFに黒の警告表示を要求する。ノルウェーのElling Bere公衆衛生教授も同意する。UPF研究には欠点があるものの警告するには十分だという。彼は北欧栄養助言にUPF摂取制限を入れるべきだとし、パブリックコメントを受けつけたあと却下された。それは食品企業からの影響だと批判されたが北欧栄養助言は強く否定している。この分野の最も有名な研究は米国でのUPF食では加工されていない食事より多く食べて体重が増えたという研究だ。だから加工そのものが悪い。

UPFの害を強調するのではなく健康的な食事を勧めるべきだとDuane Mellor栄養士は言う。Tullekenは企業の影響を排除しない限り変わらないだろうという。タバコと同様、食品企業のお金は汚いものだと見るべきだ。

 

-WTO会合でのほぼ全ての通商上の懸念は以前議論されたこと

Almost all trade concerns at WTO meeting previously discussed

By News Desk on September 3, 2023

https://www.foodsafetynews.com/2023/09/almost-all-trade-concerns-at-wto-meeting-previously-discussed/

7月のWTO SPS委員会での46の通商上懸念のうち45が既に提示されていたもので新しいものはカナダによるブラジルの豚肉制限だった。ウクライナは現在機能しているSPSインフラやその他の食料安全保障問題について情報を共有し、ロシアは戦争についての議論はWTOの管轄ではないと述べた。

米国は中国の規則の不透明さを繰り返し指摘し、日本、EU、英国、オーストラリア、カナダも懸念を表明した。

EUはある種のゲノム編集技術によって得られた食品や飼料を巡る規制案とワンヘルスアプローチの一環としての抗菌剤耐性と戦うための助言について情報提供した。

日本は福島原子力発電所事故についての最新情報を提供し、モニタリングデータから日本の食品は安全だと強調した。8月後半から処理水の海洋放出を始める。

中国は日本からのシーフードの輸入を停止し、香港は日本の10地域からの水産製品を禁止した。オーストラリアの担当者はこのプロセスを信頼していると述べ、米国と英国もこれを支持した

 

Natureニュース

-コクランの懸念:根拠の巨人が資金削減と閉鎖と戦う

Concern at Cochrane: evidence giant battles funding cuts and closures

Helen Pearson  01 September 2023

https://www.nature.com/articles/d41586-023-02741-z

医療の革新を援助してきたグループは重要な資金を失い再編中-一部の研究者が懸念

今月1000人以上の人々がロンドンでコクランのための会議に参集する。この会議はコクランの30周年を記念するものだが一部は生存方法を議論する。3月に、英国のNIHRが資金提供を止めたため、系統的レビューを作っていた52グループ中19が閉鎖された。そして7月にはオックスフォードのコクランUK、コクラン発祥の地、がNIHRの支援がなくなるため今度の3月に閉鎖すると発表した。

(以下経緯等長い記事)

 

-Novak Djokovicと疑似科学グランドスラム

Novak Djokovic and the Pseudoscience Grand Slam

Nick Tiller August 28, 2023

https://skepticalinquirer.org/exclusive/novak-djokovic-and-the-pseudoscience-grand-slam/

(Djokovicの数々の疑似科学信仰についての長い記事)

 

-ブルーライトをブロックする眼鏡についての根拠を聞いてブルーな気持ち?

Feeling Blue about the Evidence for Blue-Blocking Glasses

Jonathan Jarry M.Sc. | 1 Sep 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/medical-critical-thinking/feeling-blue-about-evidence-blue-blocking-glasses

私たちはブルーライトが良くないと言われてきた。ブロックすべき?

重要なメッセージ

-ブルーライトが目に悪いという根拠は細胞と実験動物で、ヒト試験ではなく、生涯の蓄積が加齢性黄斑変性のリスク要因となるかどうかについての合意はない

-太陽の方が他のどんな電子機器よりも明るいブルーライトを出しているが、太陽光のブルーライトが公衆衛生上の懸念とはなっていない

-無職レンズのブルーブロック眼鏡はブルーライトのうちのほんの僅かしかブロックしない

-ブルーブロック眼鏡や白内障手術用ブルーブロック眼内レンズを薦める良い根拠はない

-ブルーライトのせいだとされる問題は以下で解決できる:寝る前に照明を暗くしてリラックスする、コンピュータを操作しているときは定期的に遠くのものを見る、外に出るときは日よけをする

 

-デトックスの嘘を暴く:あなたの子どもにクレンジングは必要ない

Debunking Detox: Your Colon Doesn’t Need Cleaning!

Ada McVean M.Sci | 1 Sep 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/medical-critical-thinking-you-asked/debunking-detox-your-colon-doesnt-need-cleaning

たくさんの大腸洗浄製品には科学的根拠はなく益よりも害が上回ることすらある

(説明略、デトックスと宣伝するものは詐欺、でいい)

 

-動画

虎のトニーは吠えるのに適している!

Cup o'Joe-Tony the Tiger is fit to roar!

https://www.youtube.com/watch?v=xbStHXiLZFI

メキシコで虎のトニーTony the Tigerとオオハシのサム Toucan Samがトラブルになっている。ケロッグのシリアル製品に禁止されたのだ。彼らの罪は?100gあたり37gの砂糖を含む製品に子どもの気を引くキャラクターでの宣伝はできないとメキシコの法律が決めた。キャラクターを禁止するだけではなく、メキシコでは砂糖の多い食品や飲料には一時停止のマークで警告をしなければならない。メキシコでは人工甘味料にも警告が必要である。希少糖のアルロースは天然物なので警告が必要ない。他の国も規制によって砂糖摂取量を減らそうとしている。砂糖摂取量を減らすのは良い考えだ。

 

野菜果物の処方

Cup o'Joe-Prescription for Fruits and Veggies

https://www.youtube.com/watch?v=4FVPbH_5u6k

買い物に使える引換券の形で野菜や果物を「処方」することで健康に良い効果があるという研究がある。「一日一個のリンゴ」では十分ではない。

 

Dr. Joe Schwarczモノクローナル抗体研究について議論する

Dr. Joe Schwarcz discusses monoclonal antibody research

https://www.youtube.com/watch?v=tA5p1vDa3YY