[EFSA]意見等
-遺伝子組換えBacillus subtilis XAN株由来食品用酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼの安全性評価
Safety evaluation of the food enzyme endo‐1,4‐β‐xylanase from the genetically modified Bacillus subtilis strain XAN
EFSA Journal 2023;21(7):8017 10 July 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8017
(科学的意見)
この食品用酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼは、DSM Food Specialties B.V.社が遺伝子組換え微生物Bacillus subtilis XAN株で生産した。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品用酵素中にこの生産菌の生きた細胞やそのDNAは含まれない。この食品用酵素の生産株には抗菌剤耐性遺伝子が含まれている。だが、この食品用酵素中にこの生産菌由来の生きた細胞やそのDNAが含まれていないことに基づき、これはリスクではないと考えられる。この食品用酵素は焼成工程やシリアルベースの工程に使用することを意図している。この食品用酵素への食事暴露、総有機固形物(TOS)は欧州人で最大0.02 mg TOS/kg体重/日と推定された。この微生物源やその後の遺伝子組換え、あるいはその製造工程から生じる他の懸念は確認されていないため、パネルは、この食品用酵素の評価に毒性試験は必要ないと判断した。既知のアレルゲンに対するこのアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、意図した使用条件下で、食事暴露によるアレルギー反応リスクは除外できないがその可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品用酵素は意図した使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。
[UK SACN] 加工食品と健康についてのSACNの声明
SACN statement on processed foods and health
11 July 2023
https://www.gov.uk/government/publications/sacn-statement-on-processed-foods-and-health
栄養に関する科学助言委員会(SACN)の加工食品と健康についての意見表明報告書
要約
SACN statement on processed foods and health - summary report
・既存の食品加工分類システムのレビュー
・英国の食事調査にNOVA分類をあてはめた入手可能な根拠のレビュー
・加工食品摂取と健康アウトカムの関連についての入手可能な根拠のレビューの結果
・限界
・結論
・研究の助言
報告書全文
SACN statement on processed foods and health
170ページ
-SMC UK
SACNの加工食品と健康についての声明への専門家の反応
expert reaction to SACN (Scientific Advisory Committee on Nutrition) statement on processed foods and health
栄養に関する科学助言委員会が加工食品についての現在入手可能な根拠の概要を提供する報告書を発表した
英国栄養財団栄養科学者Bridget Benelam
SACNは超加工食品(UPF)と有害健康アウトカムの観察されている関連については懸念であると認めながらも、交絡の可能性や英国の食事調査データに基づいてUPFを正確に同定することの困難さなどのNOVA分類システムを使った研究のいくつかの限界について強調している。UPFには脂肪砂糖塩の多い食品が多く含まれ、それらは既に減らすよう助言されている。従ってUPFと病気の関連の多くは既に現在の食事助言で扱われている可能性がある。しかしUPF分類は幅広く、例えばスライスした全粒パン、全粒シリアル、低脂肪ヨーグルト、ベイクドビーンズのような現行の英国の食事助言に従った健康的な食生活の一部となるようなものも含まれる。SACNは将来のUPF研究について多数の助言を行っていて、我々は消費者にとってより明確な助言を提供するために何故UPFを多く摂取すると病気につながるのかについてよりはっきりした良い根拠が必要である。
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
SACNによるこの報告書は食品加工を調べて知識のギャップを同定したスコーピングレビューである。SACNは人々を食べさせ食品を安全にするために食品の加工が重要であることを認めている。主な結論は、現在超加工食品のハザードについてしっかりした結論が出せる信頼できる根拠はなく、観察研究に基づく有害影響の示唆はバイアスと交絡があるということである。超加工食品と適切な対照を比較したよくデザインされたRCTは存在しない。
SACNは超加工という用語は広範で何でも入ることを注記している。食品の加工について提案されている各種測定法の中でもNOVA分類だけが比較の基準を満たす。NOVAは全ての加工肉(バーガー、ベーコン、ハム、チキンナゲット、ソーセージなど)、チーズ、風味つきヨーグルト、工業加工油脂、調理済みの食事、工場で作ったシリアル食品、乳児用ミルク、アルコール、砂糖入り飲料、そして食品添加物を含むあらゆる食品を「超加工」と分類する。多くの西洋諸国ではシリアル製品は主食で、パン、ビスケット、ケーキ、その他ベーカリー製品が含まれるため超加工食品中の最大部分である。SACNは英国の食事摂取調査にNOVA分類を使うと食事からのエネルギーの41-68%が超加工食品由来になると推定している。過去50年でこの割合が大きく変わった可能性は低い。特にパンの摂取量は1960年代の方が多かったことを考えると。
SACNはNOVA分類は研究者によるバイアスを受けやすいことを発見している。この報告では超加工食品の有害影響を示したと主張するレビュー12報のうち9報がブラジルのNOVA分類発明者の同じグループによるものであることを注記している。事実、工場で作ったパンと自宅であるいは職人が作ったパンかどうかのデータはなく、想定であり、食品添加物のデータも想像である。
揚げ物やお菓子や砂糖入り飲料やアルコールのような一部の加工食品はカロリーが多く肥満を悪化させるのに寄与する。SACNは飽和脂肪と砂糖と塩の多い食品が不健康だと繰り返している。しかしそれだけでは乳製品のような栄養豊富な食品と区別できない。
現代の食品加工は都市の人々を食べさせ、栄養強化により微量栄養素欠乏を根絶した。食品加工は人々を食べさせるのに必須である。SACNは特定の加工食品を定期的に食べることが有害かどうかについてはさらなる研究が必要だと結論している
Leeds大学栄養疫学グループ長Janet Cade RNutr FafN教授
栄養科学アカデミー理事長Judy Buttriss教授と理事Christine Williams教授
Quadramバイオサイエンス研究所食品構造・コロイド・消化グループリーダーPete Wilde教授
Quadram研究所栄養研究者で名誉フェローIan Johnson博士
Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授
Aston大学医学部登録栄養士で上級講師Duane Mellor博士
(全員SACNに賛同してNOVAにダメ出ししている)
(WHOのふわっとした報告書に比べてSACNのしっかりしていること!)
[ASA]ASA裁定
ASA Ruling on Lipstick Gangster Ltd t/a The Lipstick Gangster
12 July 2023
https://www.asa.org.uk/rulings/lipstick-gangster-ltd-a22-1170565-lipstick-gangster-ltd.html
エステティックサロンでの脂肪溶解注射(Lipo Lab PPC)は未承認医薬品、リンパマッサージでシェイプアップの前後の写真が実際には厳しい食事制限の効果であることなどで基準違反
アイルランド農業食料海洋省
2030年までの国のオーガニック戦略へのパブリックコメント募集
Public Consultation on the Draft National Organic Strategy up to 2030
10 July 2023
アイルランドでは現在農地の約4%が有機生産で計画目標は2027年までに7.5%、2030年までに10%である(EUの欧州グリーンディールの目標は2030年までに25%)。
目標達成のための消費者の需要喚起と農家への補助金や指導などの計画。
(EU目標の実現不可能性を認識しているんだ。現状では値段が高いことは消費者にとって相当問題だろう)
[USDA]科学者は超加工食品を使って健康的な食生活パターンを構築
ARS
Scientists Build a Healthy Dietary Pattern Using Ultra-Processed Foods
July 11, 2023
ARSのGrand Forksヒト栄養研究センターの科学者が主導した研究で、NOVAスケールで超加工食品に分類されるものからのカロリーが91%で、健康的食生活を構築できることを明らかにした。この研究はアメリカ人のための食事ガイドライン(DGA)の汎用性を強調する。
食事ガイドラインNOVAに出会う:超加工食品を使って健康的食生活メニューを開発する
Dietary Guidelines Meet NOVA: Developing a Menu for A Healthy Dietary Pattern Using Ultra-Processed Foods
Julie M. Hess et al., The Journal of Nutrition
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022316623724346
(NOVAがいかに役立たずか、ということ。瓶詰めトマトピューレとかの調理済み野菜果物を悪者扱いするのは理不尽)
その他
-公衆衛生は毎年の未殺菌乳との州の戦いに敗北している
Public health is losing out in annual state battles with raw milk
By Dan Flynn on July 11, 2023
2006年に大腸菌汚染未殺菌乳で息子が重体になった、食品安全団体STOP食中毒の理事であるMary McGonigle-Martinは、公衆衛生が未殺菌乳との戦いに敗北しているという。
McGonigle-Martinは州による未殺菌乳の販売許可に反対してきたが、傾向は明確で、多くの州で殺菌されていないミルクが販売されるようになった。
公衆衛生は主要医学団体と大手乳業と協力して殺菌されていないミルクは危険だと訴えてきた。
(ワクチンもだが公衆衛生、わりとよく負ける。地味だし毀損されないとありがたみが実感できないのとただ乗りが一番得なのが仕様なので。)
-Natureニュース
CDCは危機にある-新しいリーダーは救えるか?
The CDC is in crisis — can its new leader save it?
11 July 2023
https://www.nature.com/articles/d41586-023-02266-5
色あせた公衆衛生機関の長として、Mandy Cohenには気が遠くなるようなやるべきことリストがある
かつては公衆衛生機関のゴールドスタンダードだったCDCは、慢性的資金不足とCOVID-19対応への怒りによって悪化した前例のない危機に直面している。月曜日から、ノースカロライナ保健長官を務めた医師である新たなリーダーMandy Cohenが着任する
前任のRochelle Walenskyは感染症専門家で、Cohenは公衆衛生の専門家として各方面の調整能力を期待されている。慢性疾患予防対策も。
-何故中国伝統医療(TCM)が最悪の代替「医療」なのか
Why Traditional Chinese Medicine is the worst alternative “medicine”
JUNE 29, 2023
https://bigthink.com/health/traditional-chinese-medicine-worst-alternative-medicine/
一般的に効果がなく、時に中毒をおこし、無数の種を絶滅に追いやっている
-過去の記録
アメリカのインチキ:如何にして病気の人が巧妙な詐欺師に騙されるのか
American Quackery: How the Sick Are Imposed Upon—Ingenious Swindlers!
October 1, 1869(和暦 明治2年)
https://quackwatch.org/hx/american-quackery-how-the-sick-are-imposed-upon-ingenious-swindlers/
「魔法のオイル」の無料サンプル提供という宣伝で人をつる
巧妙なインチキ
Ingenious Quackery
October 1, 1888 (和暦 明治21年)
https://quackwatch.org/hx/ingenious-quackery/
インチキ医者が石灰水に患者の呼気を吹き込ませ、濁ったところにクエン酸と砂糖を少々入れて水をきれいにしてみせて、「魔法の肺の薬」として売っているという話