2023-07-11

[CPSC]CPSCは消費者に対して、磁石を飲み込むハザードのためCarolina Milano強力磁石キューブの使用を直ちに止めるよう警告

CPSC Warns Consumers to Immediately Stop Using Carolina Milano High-Powered Magnetic Balls Cubes Due to Magnet Ingestion Hazard

July 06, 2023

https://www.cpsc.gov/Newsroom/News-Releases/2023/CPSC-Warns-Consumers-to-Immediately-Stop-Using-Carolina-Milano-High-Powered-Magnetic-Balls-Cubes-Due-to-Magnet-Ingestion-Hazard

 

[CDC]CDCは米国の化学兵器備蓄の完全排除を祝う

CDC Celebrates Elimination of Entire U.S. Chemical Weapons Stockpile

July 10, 2023

https://www.cdc.gov/media/releases/2023/s0710-chemical-weapons.html

2023年7月7日、米国の化学兵器備蓄が完全に破壊された。

 

[NASEM]ビタミンCと亜鉛はRSVの予防や治療に役立つ?

Based on Science

Do vitamin C and zinc help prevent or cure RSV?

July 6, 2023

https://www.nationalacademies.org/based-on-science/do-vitamin-c-and-zinc-help-prevent-or-cure-rsv

主張:ビタミンCと亜鉛サプリメントをとるとRSV感染からの回復が早くなる

知見:わかっていない。ビタミンCと亜鉛のRSV感染への影響を調べた研究はない

ダイエタリーサプリメントはRSVを予防したり治療したりしない

ビタミンCや亜鉛やその他ダイエタリーサプリメントがあなたの免疫系を「強化」したり「スーパーチャージ」したりしてRSVやその他のウイルスで病気になることを予防できるという根拠はない

 

[WHO]出版物 健康と環境の文脈での赤肉と加工肉:様々な赤と緑:情報概要

Red and processed meat in the context of health and the environment: many shades of red and green: information brief

10 July 2023

https://www.who.int/publications/i/item/9789240074828

健康的で持続可能なフードシステムにおける赤肉と加工肉の役割について疑問がある。世界的には全ての種類の肉の生産と摂取は過去50年相当増加し、高所得国では今や赤肉摂取は頭打ちになっているものの、2050年までにはまだ50%増加すると予測されている。肉の摂取量は国により及び国内でも非常に不平等で、栄養不足リスクが最も高い人々で最も少ない。

この情報概要は異なる政治的文化的文脈での健康と環境への赤肉と加工肉の役割についての根拠をまとめた

(赤肉摂取量として成人週に98-500gを採用

NOVA分類とIARCを「根拠」としている時点で信頼性に疑問。加工が悪い、を信じているので植物由来の肉代用品は嫌いらしい。加工肉に使われる亜硝酸はともかくリン酸を発がん性や加齢促進含む無数の有害影響がある、と書いている。チキンナゲットは赤肉消費量を減らせるけれど加工してるからダメらしい。

肉を高温で調理すると有害物質ができる、とあるけれど植物でもできるよ?

培養肉は根拠が足りないけれど昆虫食は可能性がある、だって。加工ダメなんでしょ?虫の形のまま食べろって言ったら広がらないと思う

温室効果ガス削減シナリオでカナダは赤肉を鶏肉に変更と中国は大豆に変更、を並べてて問題だとは思わないんだ?

WHOの栄養部門ってこういう根拠の厳密さに欠ける部分が多いのだけれど食品安全もその配下にあると思うと警戒せざるを得ない)

 

論文

-不健康な飲料摂取は経済的に不安定な複数の食料援助計画に頼っている家庭で最も多い

Unhealthy beverage consumption highest among economically-vulnerable households that rely on multiple food assistance programs

10-JUL-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/995074

Journal of Nutrition Education and Behaviorに発表された研究は低所得家庭の飲料摂取を比較した

ミシガン大学病院で出産した493人の低所得母親の調査。

WIC あるいは SNAPに参加していない母親は週に4.5回砂糖入り飲料(SSB)を飲み、WICとSNAP両方に参加している母親は週に8.7回

 

-マサチューセッツの飲料水は安全でない量のマンガンを含むかもしれない

Massachusetts drinking water may contain unsafe levels of manganese

10-JUL-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/995080

Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiologyに発表されたHollistonの水道水の研究。時々安全基準を超過している

 

-ヘアドレッサー、美容師、経理担当者は卵巣がんリスクが高いかもしれない

Hairdressers, beauticians, accountants may be at heightened risk of ovarian cancer

10-JUL-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/994776

販売、小売り、衣類、建設業で働く人達もリスクがある可能性:タルク、アンモニアなどの各種物質への累積暴露が重要かもしれない

Occupational & Environmental Medicineに発表されたカナダの症例対照探索研究。

職業がん研究に女性が欠けていることを指摘。

 

-誰か真に健康?健康リスク要因頻度とその全原因による死亡率との関連の変化

Is anyone truly healthy? Trends in health risk factors prevalence and changes in their associations with all-cause mortality

Yu WW, et al., PLoS ONE 18(6): e0286691.

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0286691

NHANES 1988–1994と1999–2014のデータを使って各種健康リスク要因に関連する5年死亡リスクのオッズ比の時期による違いを検討した。

全体として、97%の個人が検討した19のリスク要因のうち少なくとも一つを持っていて、それは時期による違いはなかった。ライフスタイルや社会/精神、身体的リスク要因は時代とともに増加したが生理的リスク要因は減少した。ライフスタイルや社会/精神リスク要因があることは1988–94より1999–2014で有意に死亡率との関連が高かった。特に、教育レベルの低さと精神衛生上の医薬品使用は1988–94では死亡率と関連しなかったが1999–2014では有意に関連があった。一方で生理的リスク要因の関連は弱くなった。

サーベイランスに基づく集団健康パターンの解釈には注意が必要

(肥満は増えたけれどそれに伴って死亡率が増加したわけではなく、肥満による死亡リスクが時代とともに低くなっている。医療のおかげだろう)

 

その他

-欧州委員会はゲノム編集植物の規則の緩和を提案

ScienceInsider

European Commission proposes loosening rules for gene-edited plants

7 July 2023 BYERIK STOKSTAD

https://www.science.org/content/article/european-commission-proposes-loosening-rules-gene-edited-plants

農業革新を加速する試みは欧州議会の懐疑派に直面する

欧州委員会はゲノム編集植物の研究と販売を容易にする提案をした。科学者は歓迎しているが欧州議会と欧州理事会で認められるには数年かかるだろう

この提案に反対しているのはGMOにも反対してきた団体。

 

-動画

アスパルテームの化学

The chemistry of aspartame

https://www.youtube.com/watch?v=Nphn0ocgIsg

Dr. Joe Schwarczアスパルテームについて語る

IARCがもうすぐ発がん性の可能性があるリストに入れる予定だが、パニックになるべきか?私は人工甘味料が好きではないし必要だとも思わないが、純粋に化学者として単なるアミノ酸が発がん性だとは考えられない。普通の食品に含まれるものなので心配することはないだろう。毎日大量にダイエット飲料を飲むことはすべきではないだろう。

 

-STAT

ダイエットコークとコークゼロに含まれるアスパルテームを心配する必要がない理由

Why the aspartame in Diet Coke and Coke Zero probably isn’t worth worrying about

By Gideon Meyerowitz-Katz Wollongong大学疫学研究者で科学ライターでコミュニケーター July 8, 2023

https://www.statnews.com/2023/07/08/diet-coke-cancer-aspartame-who-world-health-organization/

アスパルテームはダイエットコークやコークゼロを含む多くの製品に使われている人工甘味料である。ほとんどの人工甘味料同様、好き/嫌いがわかれる。カロリーがなく甘いので減量したい人には良い。一方どんなものでも人工のものは毒だと信じている人にとってはダイエット飲料はおそらく我々みんなを殺している。

最近アスパルテームがIARCによってクラス2B発がん物質と宣言される予定だとしてニュースになった。これはアスパルテームが世界で最もよく使われている人工甘味料であることとがんはとても恐ろしいものだということから騒ぎになった。私のようにダイエット飲料を好きな人間にとっては幸いなことに、根拠は全く説得力のあるものではない。アスパルテームは十中八九あなたをがんにしない。

IARC分類

最初のポイントはIARCのヒト発がん性分類方法である。4つのカテゴリーがあり

1.発がん性がある

2A. おそらく発がん性Probably (可能性高い)

2B. 発がん性の可能性があるPossibly (可能性低い)

3.分類できない

ここですぐ注意すべきことがある。第一に、IARCはリスクの大きさを検討しない。クラス1の中にはそれに暴露されるとほぼ全ての人でがんになるものから大量に一生涯暴露してもまずがんにはならないものも含まれる。例えば加工肉とプルトニウムはどちらもクラス1だがベーコンと核爆発のリスクは同じではない。

今回のニュースの見出しはIARCがアスパルテームをクラス2Bにしようとしている、とのことで他に何が2Bか見てみた。

・ココナツオイル石けん

・アロエベラ

・野菜の漬物

・タルク粉末

・布産業で働くこと

・ニッケル

などなど。クラス2Bは何かが発がん性だということを意味せず、ごく僅かな根拠が示唆しているというだけのことだ。

根拠

クラス2Bは必ずしも問題ではない-実際のところほとんどの場合IARCがさらなる研究を求めるやりかたである。ではこれまでのところ示されている根拠は?

アスパルテームやその他人工甘味料については何年にもわたる膨大な研究がある。概して、圧倒的にがんリスクについては問題ないというものである。実際、膨大な数の疫学研究が何万人もの人々を調べてアスパルテームやその他甘味料と各種がんの関連を見つけることに失敗してきた。

例えば2012年のNurses’ Health Study と Health Professionals Follow-Up Studyの10万人以上を調べた研究、2014年の別の大規模コホート、あるいは最近の症例対照研究(論文へのリンク略)。いずれもアスパルテームの摂取量の多さとがんの増加は関連しなかった。最近の系統的レビューでもそうである。ただしたった一つだけ2022の論文で弱い関連を報告しているものがあった。

私はダイエットコークを飲む?

文献は完璧ではない。これらの研究の全てに問題があり、何十年にもわたる研究にも関わらず見過ごされている曖昧な関連がある可能性はある。何かに発がん性があることを同定するのは比較的簡単だが、がんをおこさないことを示すのは膨大な努力が必要である。

しかしながらこの問題を常に見ている疫学者として、私はこれまでの研究は極めて安心できるものであることを発見している。

ここで話題にしているのは実際のリスクである。最初に述べたことを思い出して欲しい。IARCは何かのリスクを決めることはない、がんの原因となるかどうかについての根拠だけを問題にしている。

さっき言及したアスパルテームとがんの関連を発見した研究をとりあげてみよう。これはNutri-Netコホートを調べたもので、それは2009-2021年の間に10万人以上の人をフォローし、アスパルテームを多く摂取したと報告した人達が全く摂取しない人よりがんになる可能性が高いかどうか調べた。その結果、平均すると、アスパルテームを全く摂取しない人はこの間に1000人中約31人ががんになった。アスパルテームの高摂取群では、がんリスクは1000人中33人だった。つまり、全くアスパルテームを使用しない人が10年間定期的にアスパルテームを飲むとがんリスクが0.2%あがる。これは非常に小さいリスクだ。交絡の可能性のある全ての要因とさらにこれが因果関係である可能性は低い理由を無視しても、平均的個人にとっては意味のない小さなリスクである。集団健康にとって意味がある可能性はあるがおそらくそれもそうではない。

そして人工甘味料の代わり、砂糖、を忘れないことが有用だ。アスパルテームが健康に悪いという根拠は極めて曖昧だが、太りすぎが健康に悪いことについては強く一貫した根拠がある。多くの意味で水を飲むのがベストではあるが、砂糖入りとアスパルテームで甘くしたものの選択だったらもっと質問は複雑になる。

だから私はダイエットコークを心配しない。確かにアスパルテームにがんリスク増加の曖昧な根拠があるかもしれない。でもそうでない根拠もある。そしてその示唆する根拠ですら、私の人生にとって意味があるとは思えないあまりにも低いリスクである。