[FSA]2023年9月のFSA理事会
September 2023 FSA Board Meeting
20 September 2023
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/september-2023-fsa-board-meeting
英国食品基準庁(FSA)理事会が行われる。議題は、遺伝子技術(精密育種)、動物福祉の年次更新情報2022/23、インシデントとレジリエンス年次報告書2022/23、リスク分析プロセスと規制製品サービスの更新等について。
[FDA]リコール
-クラフトハインツ社はKraft Singles American Processed Cheese Slicesの自主的リコールを発表する
Kraft Heinz Issues Voluntary Recall of Select Kraft Singles American Processed Cheese Slices
September 20, 2023
クラフトハインツは、個別包装のKraft Singlesアメリカンプロセスチーズスライスの一部約83, 800ケースの自主的リコールを発表している。包装紙を取り除いた後に個々のフィルムの一部がスライスチーズ部分に残る可能性があるため、予防措置として行われる。
[FDA]プレスリリース
-FDAのIT戦略:可能性を引き出し、変革をリードする
FDA’s IT Strategy: Unlocking Potential, Leading Transformation
09/19/2023
米国食品医薬品局(FDA)は、2024-27会計年度の包括的なFDA情報技術戦略(IT戦略)を発表し、FDAの技術進歩とより広範な公衆衛生ミッションとの連携のための明確なロードマップを示した。テクノロジーの重要性やFDAのIT戦略を説明する。
-水産養殖シーフード
Aquacultured Seafood
09/19/2023
https://www.fda.gov/food/seafood-guidance-documents-regulatory-information/aquacultured-seafood
水産養殖のシーフードに関して、安全性や規制要件を含め、情報提供する。
[FDA]警告文書
-Moorish Science Temple, The Divine and National Movement of North America, Inc; #13 The Moorish American National Republic dba Moor Herbs, Inc.
AUGUST 01, 2023
未承認の医薬品、不正表示、ダイエタリーサプリメントの不純品、不正表示の問題。
[CFIA]助言
-LittleOakブランドの乳児用調製乳はカナダでの販売が認められていない
LittleOak brand infant formula products not approved for sale in Canada
2023-09-20
カナダ食品検査庁(CFIA)は、オンラインで販売される影響を受けるLittleOakブランドの乳児用調製乳製品を消費しないよう国民に警告している。必要な市販前申請を提出しておらず、これらの製品はカナダの食品の安全性と栄養の基準及び規則に関する評価が行われていない。さらに、製品はカナダのラ表示及び/又は成分要件を満たしていない。
-さまざまなブランドのカフェイン入りエネルギー飲料は、カフェイン含有量とラベル表示の問題により安全ではない可能性がある
Various brands of caffeinated energy drinks may be unsafe due to caffeine content and labelling issues
2023-09-19
CFIAはカフェイン入り飲料を摂取する場合の摂取量に関し、注意を呼び掛ける。リコール製品の情報更新。
[ヘルスカナダ]改定通知
-補充食品にL-α-グリセリルホスホリルコリンの使用を可能にする許可サプリメント成分リストの改定に関する修正通知
Notice of Modification to the List of permitted supplemental ingredients to enable the use of L-alpha-glycerylphosphorylcholine in supplemented foods
September 20, 2023
ヘルスカナダは、補充食品に使用するL-α-グリセリルホスホリルコリン(α-GPCまたはコリンアルホスセラート)の安全性評価を完了し、食品のサプリメント成分としての使用を可能にする通知を発表した。
[HK]ニュースレター
Food Safety Focus
20 Sep 2023
https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html
掲載項目
-Siu Mei(香港の焼肉)と食品の安全
-食品安全の確保:適切な冷却、解凍、再加熱
-ソフトスクランブルエッグの食品安全リスク
-食品中の放射線レベル
[MFDS]日本産輸入食品の放射能検査の結果
輸入検査管理課
2023.8.25〜2023.8.31
https://www.mfds.go.kr/brd/m_100/view.do?seq=43339
[MFDS]2023年上半期の輸入食品3.9%(輸入量)減少
輸入検査管理課 2023-08-31
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=47602
食品医薬品安全処は、2023年上半期、国内に輸入された食品など*は398千件余り、922万トン、187億2千万ドルで、昨年同期間比(以下「同期比」)輸入件数は0.4%、重量は3.9%、金額は1.1%減少したと発表した。
* 輸入食品など分類(以下「品目群」):農・林産物、畜産物、水産物、加工食品、健康機能食品、食品添加物、器具及び容器・包装
** ‘22年上半期:39万9,000件、960万トン、189億2,000万ドル
今年上半期の輸入実績減少の主な原因は、全体輸入物量の半分ほど(44.4%)を占める農・林産物の輸入物量が同期比減少*(8.7↓)したためと見られる。
*(削減)農・林産物8.7%↓、水産物15.1%↓、食品添加物7.2%↓、健康機能食品9.5%↓(増加)加工食品3.1%↑、畜産物3.1%↑、器具及び容器・包装1.9%↑
今年上半期の品目群別輸入量は農・林産物(44.4%、409万トン)、加工食品(34.6%、319万トン)、畜産物(10.3%、95万トン)、水産物(5.8%、53万トン)、器具及び容器・包装(2.6%、24万トン)、食品添加物(2.3%、21万トン)、健康機能食品(0.1%、1万トン)の順で多かった。
品目別には合計1,665品目が輸入され、総輸入品目のうち上位10品目(重量基準)は精製・加工用原料*、小麦、トウモロコシ、大豆、豚肉、牛肉、バナナ、キムチ、ビール、果‧菜加工品の順であった。これら10品目の輸入量は524万トンで、総輸入量の56.8%を占めた。
* 原糖・原乳・造酒精・天日塩などの精製、加工を経て食品として使用できる原料
輸入国は合計155カ国であり、輸入上位3カ国は米国、中国、オーストラリアで、これらの国から輸入される輸入量の合計は全体の47.2%(435万トン)を占めた。
品目別輸入に関連する主な特徴は次のとおり。
❶毎年、全輸入量のうち最も高い割合を占めている農・林産物は、今年上半期にも品目群別輸入量(409万トン、44.4%)のうち最大の割合を占めた。輸入量は同期比8.7%減少し、特に輸入量上位品目であるトウモロコシの輸入量が27.9%と大幅に減少した。
❷加工食品の輸入量は減少傾向にあったビール(27.4%↑)、キムチ(17.3%↑)の輸入量回復に支えられ同期比3.1%増加した。主要ビール輸入国である米国・日本の輸入量が回復傾向に転じたことで、ビールの輸入量が増加したと思われる。
❸畜産物は同期比3.1%増加し、2020年以降の輸入量が継続的に増加していることがわかった。特に輸入量上位品目である鶏肉輸入量が同期比55.1%と増加幅が大きかったが、これは割当関税*の適用を受けたためと分析される。
*「関税法」第7条により物価や需給安定などのために特定物品(重量)に対して一定期間関税を減らす制度
❹水産物は輸入量1位品目であるスケトウダラが輸入量急減(51.8↓)で、同期比輸入量が農・林産物、健康機能食品など他の品目群に比べて最大の下落幅(15.1%)を見せた。 一方、東海岸のイカの漁獲量*が減少し、イカの輸入量が同期比41.2%と大幅に増加した。
* 国内生産量:(’22.上)4万5,187トン→(’23.上)3万1,998トン(出典:韓国海洋水産開発院)
ちなみに、日本産水産物は今年上半期に全体の水産物輸入量の2.4%(1万トン)が輸入され、上半期の水産物輸入量は同期比小幅減少*(0.4%↓)した。
* 過去2年の輸入量:(’22.上)1万2,598トン→(’23.上)1万2,546トン
❺健康機能食品の最近4年間(’19〜’22)上半期の輸入量は年平均14.0%で着実な増加していたが、同期比9.5%下落し減少傾向に転換した。これは、COVID‑19の状況で健康を重視する消費傾向が、社会的距離が解除されたことにより減少したことが主な原因と推定される。
* 過去5年間の輸入量:(’19.上)7,625トン→(’20.上)9,269トン→(’21.上)1万439トン→(’22.上)1万2,894トン→(’23.上)1万1,670トン
食薬処は、今回の輸入食品統計資料が輸入食品産業分野の現状を分析するための資料として活用され、今後も関連産業の製品分析・研究と政府政策樹立など産業発展に広く活用されるものと期待している。今回の統計が含まれた輸入食品検査年報を来年8月頃に発刊し、輸入食品情報ホームページ(https://impfood.mfds.go.kr )に公開する予定である。
ちなみに、2022年度の輸入状況を分析し今年8月に発刊した2023年度の輸入食品など検査年報は、輸入食品情報ホームページ(統計情報→オンライン照会統計→検査年報)で確認できる。
<添付>
- 2023年上半期の輸入食品などの現状(統計資料)
- 2023年輸入食品等検査年報(確認方法)
[MFDS]オンライン動画で食品情報を正しく知る
食生活栄養安全政策課 2023-08-30
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=47595
食品医薬品安全処は、マスメディアで広告する食品に対する子供たちの理解度を高めるために、8月30日から「健康的な食生活のための子供たちのメディア能力教育」を実施する。
今回の教育は最近、小学生がテレビよりスマートフォンを好み、YouTubeなどのオンライン動画で情報を習得する割合が増加*するにつれ、頻繁に露出される食品広告の内容を理解し、正しい食生活情報を選別できるように、全国メディアセンター協議会とともにモデル事業として推進する。
* 13歳未満児童放送媒体利用行動調査結果(放送通信委員会)
◯1 テレビよりスマートフォンを多く利用する割合(%):(‘20) 19.8 → (‘22) 30.7
◯2 TV番組以外の動画コンテンツをより多く視聴する割合(%):(‘20) 26.2 → (‘22) 38.4
教育対象は小学生1~2年生130人余りで、全国6カ所のメディアセンターで放課後活動などと連携して実施している。
教育の主な内容は、▲広告の概念、▲媒体の中の食品の理解、▲健康的な食生活習慣などであり、子供の目線に合わせて生活の中の広告探し、広告と実際の食品比較、健康的な食品の買い物など体験中心の教育を進める。
食薬処は、今回の教育で様々なマスメディアにさらされる子供たちが質の高いコンテンツを選別できると期待し、今後も子供が正しい食習慣を形成できる環境を造成するために最善を尽くす。
[MFDS] [報道参考] ワカメ・昆布などの海藻類は放射能体内排出効果とは関係ありません。
農水産物安全政策課 2023-08-29
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=47592
わかめ・昆布などの海藻類は放射能体内排出効果とは関係ありません。
食品医薬品安全処は最近、日本の汚染水放出後、ヨウ素を含む海藻類や健康機能食品の摂取が放射能の体内吸収を防ぎ、排出に役立つという投稿などがオンラインで拡散したことを受け、ヨウ素の過剰摂取に対する注意を呼びかけた。
ヨウ素はワカメ、昆布などの海藻に多量に含まれている成分であり、甲状腺ホルモンの生成に不可欠な栄養成分で、一日摂取推奨量*は一般成人基準0.15 mgである。
* 一日必要量を満たす摂取量(妊婦0.24 mg、授乳婦0.34 mgなど)
ただし、ヨウ素を過度に摂取した場合、すぐに現れる症状としては、口・首・腹部の痛みをはじめ発熱、吐き気、嘔吐などであり、長期間過剰に摂取する場合には甲状腺機能障害で甲状腺機能亢進症などの副作用が発生する可能性がある。
したがって、ヨウ素は人体に有害な影響が現れない一日最大摂取量2.4 mgを超えて摂取しないことが望ましい。
ちなみに、市販されているヨウ素含有健康機能食品は体内に不足しているヨウ素成分を補ってくれる製品で、体内の放射能排出などに効能・効果を掲げる広告は消費者不安心理を活用した虚偽・過大広告なので、このような製品は購入しないようにする
食薬処は今後も食品などに関する正しい情報を提供し、国民が安心して食品を購入して摂取できる環境を造成するために最善を尽くす。
[MFDS]水産物の安全管理の気になる点?食薬処長が直接答えます
危害予防政策課 2023-08-29
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=47589
食品医薬品安全処は、水産物安全管理に対する疑問を解消し、国民の安心確保のために8月29日、コミュニティハウス(ソウル)で「水産物安全管理国民同行疎通の場」を開催した。
今回のイベントは水産物放射能安全管理に関する正しい情報を提供し、水産物安全管理体系に対する国民の理解度を高め、不安感を解消するために設けた。
コミュニケーションの場では、国民50人を対象に、❶水産物放射能安全管理の現況説明、❷水産物安全管理「国処問答(国民が問い、処長が答える)」、❸「国民との約束宣言式」などを行った。
まず、日本産食品と国内水産物放射能検査の現況などを説明し、水産物の安全管理について気になる点を国民が食薬処長に直接尋ねて答えるコミュニケーションの時間を持った。併せて、「水産物安全検査の厳しい基準、ただ国民安心です」というメッセージを伝え、国民の安全な食卓を守るための誓いを約束する行事を進行した。
食薬処長は行事現場で「国民の健康と安全を最優先に日本の福島を含む8県全ての水産物輸入禁止(0)措置を維持し、放射能検査は国際基準より10倍以上厳格に管理(10)する「010 (0・10)」政策を徹底的に推進する」と強調した。
また、「安全な水産物供給のために海水部、地方自治体などとともに国内水産物に対する放射能検査を2倍*以上拡大する計画であり、放射能検査現場国民体験プログラムなどを運営して対国民の疎通を強化する」と述べた。
*(’22)約10,700件→(’23)23,300件以上
食薬処は今後も国民が安心して安全な水産物を消費できるように収去検査を強化するなど、水産物安全管理に最善を尽くす。ちなみに、水産物に対する放射能検査の結果を輸入食品放射能安全情報ホームページ(radsafe.mfds.go.kr)に公開している。
(日本に嫌がらせをしようとして自国にダメージを与える中韓。)
[ProMED]原因不明の死亡-コートジボワール:(バレデュバンダマ)致死、お粥疑い、情報求む
Undiagnosed deaths - Cote d'Ivoire: (VB) fatal, porridge susp, RFI
2023-09-21
https://promedmail.org/promed-post/?id=8712236
[1]Date: Mon 18 Sep 2023 Source: Frat Mat Info [in French, trans., edited]
Niangbanの村で2023年9月17日(日)に1-12才の異なる家族の子ども4人が死亡する悲劇がおこった。次の9月18日にさらに3人の子どもが死亡し合計7人になった。さらに約60人が17日に病院に避難し一部は重体だという。
3才の息子を亡くした住人によると、日曜日の朝、お粥を買って息子に与え、それから畑に行った。その後息子は下痢をし、良くならなかったので医療センターに行ったところ薬を与えられた。夜になっても良くならず、死亡した。5才の子どもを亡くした別の女性も16日にお粥を買って与えていた。土曜日に下痢・嘔吐し日曜日に亡くなった。
医療情報源によると犠牲者の症状は同じで、下痢と嘔吐であった。お粥の原料の粉検体を分析中
[2]Date: Tue 19 Sep 2023 Source: Africa News [edited]
2023年9月17日にコートジボワール中心部の村で原因不明の病気により7人が死亡、他に59人が入院した。症状は下痢と嘔吐。
論文
-肥満手術後は血液がんのリスクが低い
Lower risk of haematological cancer after bariatric surgery
20-SEP-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/1002262
これまでの研究で肥満と過体重がいくつかのがんのリスク要因であることが示されてきた。また肥満女性の方が肥満男性よりがんリスクが高いこと、減量するとがんリスクが減ることも知られてきた。今回l Lancet Healthy Longevityに発表された研究はスウェーデンの肥満者データを用いて肥満手術が血液のがんリスクの低下に関連することを報告した。リンパ腫では55%削減。特に利益が大きいのは女性。
血液がん、特にリンパ腫を肥満関連がんと見なすべき、とのコメントもあり
(肥満関連がんのリストと程度が増加し続けていて、これまでの食事関連疫学研究での「調整」が全然信用できない状況。結局欧米の食生活で最大の問題が肥満なので他の汚染物質や残留農薬など気にするだけ無駄なかんじ)
-Nature Volume 621 Issue 7979, 21 September 2023
研究ハイライト
・子宮頸がんウイルスへのワクチンがそのパワーを示す
大規模試験で、ワクチンの標的ウイルスタイプによって誘発された深刻な前がん病変が一人も発生しなかった
5大陸13カ国の10年にわたる臨床試験は9価ワクチンの長期にわたる保護を再確認。
Restrepo, J. et al. Pediatrics 152, e2022060993 (2023).
コメント
遺伝子組換えは作物の収量を増やすことができる-しかし誇大宣伝は止めよ
Genetic modification can improve crop yields — but stop overselling it
Merritt Khaipho-Burch et al.,
気候変動と人口増加により世界はますます生産性の高い、耐性のある作物を必要としている。しかしそれらを改善するには実際にフィールドで効果のあるものは何かについての知識が必要である
(NatureやScienceのような専門ではないのにインパクトの高い雑誌が単一遺伝子改変で劇的効果、のような論文を出すことへの警告)
Natureニュース
意識理論が「疑似科学」と厳しく批判され、騒動を引き起こす
Consciousness theory slammed as ‘pseudoscience’ — sparking uproar
20 September 2023 Mariana Lenharo
https://www.nature.com/articles/d41586-023-02971-1
研究者が公に科学によって支持されていないのに過度に注目されていると明言した
先週、統合情報理論(IIT)は疑似科学と呼ぶべきと主張する、124人の学者が署名したレターがオンライン投稿され、意識研究コミュニティに騒動をおこした。
SMC UK
JAMA Network Openに発表された超加工食品と鬱リスクの観察研究への専門家の反応
expert reaction to observational study of ultra processed food and risk of depression, as published in JAMA Network Open
SEPTEMBER 20, 2023
JAMA Network Openに発表された研究が超加工食品と鬱リスクを調べた
Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授
この研究は米国の既存の大規模コホートNurses Health Study IIを使って超加工食品(UPF)摂取が鬱と関連するかどうかを調べた。この研究の結果を解釈するのが困難になる多くの限界がある:最初にこの研究で使われた食品頻度調査(FFQ)でUPF摂取を測定しているがFFQはUPFについては極めて僅かな情報しか提供しない。二つ目は関連を同定しても因果関係は同定できない。鬱の人は食生活が変わり、準備が簡単なものになる可能性は極めて高く、それがしばしば超加工とみなされるだろう。
この研究はUPFを4食分以下しか食べない人達に比べて9食分以上(上位20%)食べる人の鬱リスクが約50%高いと示唆するが、特定の食品がリスクに関連するかどうかを調べようとしたところ人工甘味料と人工甘味料で甘くした飲料のみが関連し、他の食品は関連しなかった。これは興味深い知見で、つまりUPFとの関連は単一の要因である人工甘味料だけによると示唆するもので、このことはUPFへの批判の一つであるあまりにも広範な異なる食品をまとめてしまって原因が同定できないという主張を支持する。
現時点では人工甘味料とメンタルヘルスの関連についてはデータがなく、さらに人工甘味料には全く異なる代謝を受ける多様なものが含まれ、因果の逆転である可能性がある。
王立精神科医会フェローで精神科相談医Paul Keedwell博士
鬱リスクに食事が重要である可能性があるという仮説は長い間提唱されている。著者らは健康的な食生活をして甘い飲料を避ければ鬱のリスクを減らせると示唆するが注意すべきことがある。この知見は興味深いがむしろ多くの疑問を提示する。現時点では食事の影響が家族歴やストレスや社会ネットワークなどの他のリスク要因と比較してどのくらい大きいのかはわからない。著者は肥満や運動不足の影響を排除している。しかし出来合の食事や人工甘味料入り飲料が多い食生活は忙しいあるいはシフトワークを示唆する可能性があり、つまりファストフードの多い食生活は慢性的なストレスの間接的な指標である。長く続くストレスは鬱の主要リスク要因である。
University College London (UCL) UCL遺伝学研究所名誉教授David Curtis教授
この研究はいわゆる「超加工食品」一般が鬱リスクに関連することを示してはいない。関連があったのは人工甘味料で、もちろんそれは人工甘味料が鬱リスクを上げる作用があることを意味しない。単に鬱リスクの高い人が大量の甘味料を消費する傾向があるだけである。自明の説明は、人工甘味料を摂取するのは体重が心配で自尊心が低い人だから、である。どんなものであれ、単なる関連で、鬱と食事の影響について何も断定できない。
Oxford大学ヒト代謝名誉教授Keith Frayn教授
この前向き研究は介入ではなく、従って知見は必ずしも因果関係ではない関連である。UPF摂取に関連する要因のリスト、BMIが大きい、喫煙者が多い、運動が少ないなど、は如何に多くの交絡要因があるかを示す。しかし著者らは可能な限りこれらを調整したように見え、人工甘味料との関連が浮き出た。この関連は確認とさらなる研究が必要である。