2023-09-15

[EFSA]意見

食品中のミネラルオイル炭化水素類のリスク評価の更新

Update of the risk assessment of mineral oil hydrocarbons in food

EFSA Journal 2023;21(9):8215  13 September 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8215

(科学的意見)

ミネラルオイル炭化水素類(MOH)は、飽和炭化水素類(MOSH)と芳香族炭化水素類(MOAH)からなる。MOH組成の複雑さにより、その完全な化学的キャラクタリゼーションは不可能である。MOSHの蓄積は、様々な組織で観察され、種に伴う特有の違いがある。肝臓の類上皮脂肪肉芽腫の形成と炎症、肝臓と脾臓の重量の増加がFischer 344 (F344)ラットで観察されているが、Sprague–Dawley (SD)ラットでは観察されていない。これらの影響はF344ラットの肝臓中のワックス成分の特異的蓄積に関連しているが、SDラットやヒトでは観察されていない。CONTAMパネルは、F344ラットはワックス成分のあるMOSHの影響のため、適切なモデルではないと結論した。実質的にワックス成分のない白色ミネラルオイル製品のF344ラットで調べた最大用量に相当するNOAEL 236 mg/kg体重/日が、関連する参照点(RP)として選ばれた。MOSHへの最大食事暴露は若い集団で推定され、下限-上限(LB–UB)で平均値0.085–0.126 mg/kg 体重/日、95パーセンタイルで0.157–0.212 mg/kg 体重/日だった。暴露マージンアプローチを考慮して、パネルは、MOSHへの現在の食事暴露は全年齢集団でのヒトの健康に懸念を生じないと結論した。遺伝毒性と発がん性は3つ以上の芳香環を持つMOAHと関連している。このサブフラクションには、8種類の多環芳香族炭化水素類のデータから算出した代替RP 0.49 mg/kg 体重/日が考慮された。MOAHへの最大食事暴露も若い集団で、LB–UB平均値は0.003–0.031 mg/kg体重/日、95パーセンタイルで値は0.011–0.059  mg/kg体重/日だった。食事中の3つ以上の環を持つMOAH含有量についての2つのシナリオと、1~2の環を持つMOAHの毒性学的情報が不足していることから、ヒトの健康への潜在的な懸念が生じた。

 

[BfR]甘味料:大多数の研究から有害健康影響はないことが確認されている―だが、研究状況は不十分である

Sweeteners: majority of studies confirm no adverse health effects – however, the study situation is insufficient

29.08.2023

https://www.bfr.bund.de/cm/349/sweeteners-majority-of-studies-confirm-no-adverse-health-effects-however-the-study-situation-is-insufficient.pdf

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、甘味料の使用増加が国民に健康リスクをもたらすかどうかを評価した。この目的のために、BfRは、最も一般的に使用される5つの非栄養性甘味料―スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、アスパルテーム及びサイクラミン酸塩に関するデータを評価した。

これらの物質の体重への影響に関する研究から、カロリー代替食や行動介入対策のある減量プログラムの一環として、砂糖の代わりにそれらを摂取すると、減量できたり減量を支援できることが示されている。しかしながら、入手可能なデータによると、減量を伴うプログラムに従わない場合、非栄養性甘味料の摂取やダイエットドリンクの摂取が体重に影響するかどうかについては判断できない。

BfRの見解によると、入手可能な研究の評価に基づき、甘味料入り飲料の摂取が特定の神経変性疾患のリスクを増すかどうか、あるいは臨床的に重大な程度まで腸内フローラに影響するかどうかについて明確な声明は出せない。大多数の研究では、検討中の非栄養性甘味料の代謝への有害悪影響(血糖値、インスリン分泌、インスリン感受性に関する)は観察されなかった。

また、現在の知見によると、子供、妊婦、特定の既往症や病気のある人などのリスクグループが、甘味料の潜在的な有害影響において、より高い程度の影響を受けるかどうかは明確ではない。

BfRは、非栄養性甘味料の健康影響に関する現在のデータ状況は、決定的な健康リスク評価を実施するには不十分だというという見解である。入手可能な疫学的研究だけが、ダイエット飲料による非栄養性甘味料の暴露を考慮している。だが、個々の非栄養性甘味料と同様に、様々な非栄養性甘味料の組み合わせが加工食品や化粧品(歯磨き粉など)にも使用されているため、実際の暴露は遙かに多い可能性がある。今までの研究は、主に単一の個々の非栄養性甘味料に焦点を当てていたため、非栄養性甘味料の組み合わせの健康影響に関する研究も必要である。

さらに、個々の甘味料には、健康影響を考慮する必要のある特別な特性がいくつかある。例えば、現在のデータから、スクラロースの加熱は有害な可能性があり、一部発がん性のある化合物を形成する可能性があることが示されている。BfRは、食品添加物としてのスクラロースの再評価において、この側面に特別な考慮を払うよう助言している。

 

[CPSC]Buffalo Gamesは深刻な飲み込み、窒息、閉塞ハザードのためChuckle & Roar究極ウォータービーズアクティビティキットをリコール:乳児一人が死亡;対象年齢にのみ販売

Buffalo Games Recalls Chuckle & Roar Ultimate Water Beads Activity Kits Due to Serious Ingestion, Choking and Obstruction Hazards; One Infant Death Reported; Sold Exclusively at Target

September 14, 2023

https://www.cpsc.gov/Recalls/2023/Buffalo-Games-Recalls-Chuckle-Roar-Ultimate-Water-Beads-Activity-Kits-Due-to-Serious-Ingestion-Choking-and-Obstruction-Hazards-One-Infant-Death-Reported-Sold-Exclusively-at-Target

2023年7月にウィスコンシンで10ヶ月の子どもがウォータービーズを飲み込んで死亡したとの報告を受け取った。さらに2022年11月にはメインで9ヶ月の子どもがウォータービーズを飲み込んで腸閉塞になりとり除くのに手術を必要とした

 

[RIVM]オランダの放射能モニタリング。ミルク、食品、飼料-2020-2021の結果

Monitoring of radioactivity in the Netherlands. Milk, Food and Feed – results 2020 and 2021

2023-09-11

https://www.rivm.nl/publicaties/monitoring-of-radioactivity-in-netherlands-milk-food-and-feed-results-2020-and-2021

本文英語

https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2023-0078.pdf

野生の獣(狩猟肉)は137Cs検出され続けている(5-370 Bq/kg)

 

-地表水と海水

Monitoring of radioactivity in the Netherlands Surface water and seawater – results 2020 and 2021

2023-09-11

https://www.rivm.nl/publicaties/monitoring-of-radioactivity-in-netherlands-surface-water-and-seawater-results-2020-and

 

-エアダストと沈着物

Monitoring of radioactivity in the Netherlands. Air dust and deposition – results 2020 and 2021

2023-09-11

https://www.rivm.nl/publicaties/monitoring-of-radioactivity-in-netherlands-air-dust-and-deposition-results-2020-and

 

-全国放射能モニタリングネットワーク

Monitoring of radioactivity in the Netherlands. National Radioactivity Monitoring Network – results 2020 and 2021

2023-09-11

https://www.rivm.nl/publicaties/monitoring-of-radioactivity-in-netherlands-national-radioactivity-monitoring-network

 

[CDC] MMWR

フィールドからの報告:テホコテCrataegus mexicanaの根と表示された、キバナキョウチクトウCascabela thevetiaを代わりに含むオンライン減量サプリメント-米国2022

Notes from the Field: Online Weight Loss Supplements Labeled as Tejocote (Crataegus mexicana) Root, Substituted with Yellow Oleander (Cascabela thevetia) — United States, 2022

Weekly / September 15, 2023 / 72(37);1016–1017

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7237a3.htm?s_cid=mm7237a3_w

2022年9月8日、救急医がニュージャージー中毒情報教育システム(NJPIES)に、Eva Nutrition メキシコテホコテ根を摂取して吐き気と嘔吐を発症した23ヶ月の子どもの件で連絡した。この製品は原料サプリメントとして宣伝販売されていて患者の母親が購入した。患者は強心配糖体中毒に一致する症状があったためNJPIESの指示によって血清ジゴキシン検査を行い0.5 ng/Lと報告された。これをNJPIESはジゴキシンではない強心配糖体による交差反応性と解釈しジゴキシン特異抗体断片による治療後正常化した

2022年12月にNJPIESがオンラインでテホコテと表示された減量サプリメント10製品を購入し検査したところ10製品中9製品はキバナキョウチクトウでテホコテ根は全くなかった(表)。

(1製品は両方ネガティブ。じゃあ何?)

 

[フィンランド食品局]フィンランド食品局はトリインフルエンザ感染のあった毛皮牧場では全ての動物を処分するよう命令

Finnish Food Authority orders all animals to be culled at fur farms with avian influenza infections

September 14/2023

https://www.ruokavirasto.fi/en/animals/animal-health-and-diseases/animal-diseases/news/finnish-food-authority-orders-all-animals-to-be-culled-at-fur-farms-with-avian-influenza-infections/

キツネとタヌキ(?アライグマ?)。ミンクは既に命令済み

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

September 2023

https://mailchi.mp/foodstandards.gov.au/food-standards-news-august-1301008?e=21527ddb09

食品について強調表示をする場合の添加された糖の定義、リステリアと予防法、等

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 261-23

15 September 2023

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notificationcircular261-23.aspx

新規申請と提案

・除草剤耐性昆虫耐性遺伝子組換えトウモロコシ系統DP910521由来食品

 

[FSSAI]FSSAIは食品安全法違反の事業者の起訴を開始

FSSAI initiates prosecution against FBOs found violating food safety laws [Updated on:14-09-2023]

https://www.fssai.gov.in/upload/uploadfiles/files/Press%20Release-%20Procecution_Eng_Final.pdf

2023年4月1日から、食品安全基準法違反の1411事業者の起訴開始

違反内容は許可なく事業を行った、安全でない食品を売った、等広範にわたる

 

SMC UK

-フランスが放射線レベルを巡ってiPhone 12の販売を中止したことへの専門家の反応

expert reaction to France halting iPhone 12 sales over radiation levels

SEPTEMBER 13, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-france-halting-iphone-12-sales-over-radiation-levels/

フランスが放射線暴露限度違反のためiPhone 12の販売中止を命令したと報道された

医学における物理工学研究所(IPEM)フェローMalcolm Sperrin教授

SAR許容レベルは試験方法に依存するためそれほど単純ではない。地域によっては異なる基準がある。SAR限度は有害影響がおこるより遙かに低いところで設定されるので少しの超過で健康影響がおこることはありそうにない。しかし基準は厳密に守るべきで対策は可能だろう

王立Hallamshire病院医療画像解析及び医療物理学コンサルタント臨床科学者Ian Scivill博士

携帯電話を使っている大規模集団の何年もの研究で、がんや頭痛、認知機能などの有害影響との明確な関連は見つかっていない。しかし新たな技術には研究とレビューが続けられるべきである

 

-血中有機リン汚染物質混合物濃度と心血管系疾患を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at blood levels of organochlorine contaminants mixtures and cardiovascular disease

SEPTEMBER 12, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-blood-levels-of-organochlorine-contaminants-mixtures-and-cardiovascular-disease/

JAMA Network Openに発表された研究が血中有機リン汚染物質混合物濃度と心血管系疾患を調べた

Cambridge MRC毒性学ユニットAndy Smith教授

ヒト血液や組織中の極めて微量の塩素化環状化合物と各種疾患との関連は何十年も調査されてきた;しばしばこのようにメカニズム的に全く関係ないものをグループとして。

この前向きネステッド対照研究では、調べた25物質のうち2物質、βヘキサクロロシクロヘキサンとトランスノナクロールが心血管イベントの増加と関連した。この論文ではこれらを農薬と記述しているが、事実としては既に使用されなくなった殺虫剤リンデンとクロルデンの有効成分が人体に長く残っている汚染物質である。結果は複雑で解釈が難しく食事や喫煙などの交絡を考慮するたくさんの試みが行われている。この研究の注目すべき点は普通の研究では血中脂肪あたりで示されている結果が血液容量あたりで示されていることである。この結果が何を意味するのかは明確ではなく動物や細胞での高濃度暴露による知見の引用には疑問がある。これらの化合物はもう何年も前に禁止されているものであるため、既に合意されているモニタリング以上にどんな役に立つ助言につながるのかわからない

 

その他

-フェンタニル入りの覚醒剤による過剰使用死は2010年以降50倍に増加

Overdose deaths from fentanyl laced stimulants have risen 50-fold since 2010

14-SEP-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/1001209

米国でのフェンタニルと覚醒剤の両方が関与する過剰使用死は2010年に0.6%(235人)だったのが2021年には32.3% (34,429 人に増加した)

米国の薬物の傾向の図有り

 

-外はジャングル!意識高い地方議会の「再野生化」計画後にブライトンの通りがどう改善したか

It's a JUNGLE out there! How nature has reclaimed the streets of Brighton after woke council's 'rewilding' plan

By JAYA NARAIN and TOM COTTERILL  10 September 2023

https://www.dailymail.co.uk/news/article-12495901/Its-JUNGLE-nature-reclaimed-streets-Brighton-woke-councils-rewilding-plan.html

中には5フィートも伸びて完全に子どもたちの通学路を塞いでいる。雑草は道路と歩道全体に伸びて、街頭や信号に巻き付き、高齢者や障害のある人は自動車無しでは外出できない。

ブライトンは、雑草を放置したらどうなるかについての完全な例になった。

訪問者は、雑草のせいで通常は小綺麗なリゾート地がとてもみすぼらしく見えるといい、議員には怒った苦情のメールが大量に届く。この雑草の蔓延の原因は2019年に緑の党が主導した議会でのグリホサートやその他の除草剤の禁止である。

議会は今年初め住民に無給で自宅周辺の道路の草刈りを命じて怒りを買った

(長い記事。意識は高いのに手で草取りしないんだ?)

 

-カリフォルニア上院はある種の食品成分を安全上の懸念から禁止する法案を可決

California Senate passes Assembly bill to ban certain food ingredients for safety concerns

By Dan Flynn on September 13, 2023

https://www.foodsafetynews.com/2023/09/california-senate-passes-assembly-bill-to-ban-certain-food-ingredients-for-safety-concerns/

臭素化食物油、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、赤色3号(エリスロシン)の4つを禁止。二酸化チタンは禁止リストから外れた。

カリフォルニアでの禁止を受けて食品企業の多くがレシピを変更すると考えられるために全国的影響がある

 

-スペインで賞味期限が変更されたとされる食品28トンが押収された

28 tons of food seized in Spain after alleged changing of shelf life dates

By News Desk on September 14, 2023

https://www.foodsafetynews.com/2023/09/28-tone-of-food-seized-in-spain-after-alleged-changing-of-shelf-life-dates/

Operation Potacar。9人逮捕、他に81人を調査中。

別の作戦Operation Kaugumiではキャンディのような見た目に包装した大麻を販売していた9人を逮捕した

 

-Apeel:新たな化学物質恐怖症の懸念

Apeel: A New Chemophobic Concern

By Chuck Dinerstein, MD, MBA — September 13, 2023

https://www.acsh.org/news/2023/09/13/apeel-new-chemophobic-concern-17326

野菜や果物の保護コーティングであるApeelを巡る議論についての質問があった。回答にはキュウリやリンゴが役に立つ。

Apeelは廃棄物であるブドウ種子を処理して得たモノおよびジグリセリド、脂肪由来でこれらは食品添加物の乳化剤として広く使われている。FDAはGRAS条項で提出された研究をもとに使用を認めている。CSPIですら安全性を認めている。ところがこれをA Voice for Choice Advocacyという反ワクチン団体が訴えている。その理由はApeelが化学的処理を経ていることと痕跡量のヘプタン、酢酸エチル、重金属が存在すること。その量は全て米国やEUの基準以内である。

オーガニック消費者団体Organic Consumers AssociationはApeelのオーガニックバージョンが「Bill Gatesと世界経済フォーラムが背後にある謎の食品コーティングで、腐った農産物を新鮮に見せる。超加工食品の賞味期限を延長するのに使われているものと同様の健康問題がある」と主張する

(以下略)