2024-02-28

[FAO]出版物 食品安全上の新興問題の早期警告ツールとシステム 

テクニカルバックグラウンド

Early warning tools and systems for emerging issues in food safety

Technical background

2023

https://www.fao.org/documents/card/en/c/cc9162en

この文書の目的は

・食品安全上の新興問題のための早期警告ツールとシステムについての周知と理解

・早期警告システムとリスク同定プロセスにおけるビッグデータとAIの利用を探る

・現在の早期警告システムの概要と、低から中所得国が採用するためのギャップの革新的解決法の可能性検討

・食品安全早期警告と新興問題の同定をサポートするためのオープンアクセスツールの実例を提供

例としてあげられているのはMedISys、MedISys-FFおよびSGS DIGICOMPLY

 

[ASA]ASA裁定

-ASA Ruling on Brown-Forman Beverages Europe Ltd t/a Jack Daniel's

28 February 2024

https://www.asa.org.uk/rulings/brown-forman-beverages-europe-ltd-a23-1223370-brown-forman-beverages-europe-ltd.html

Jack Danielの広告ポスターがサマータイム期間中はいつもより早く飲酒することを薦めているため広告基準違反と判断された

 

-ASA Ruling on Strafe Esports Ltd t/a LevelTap

28 February 2024

https://www.asa.org.uk/rulings/strafe-esports-ltd-g23-1225361-strafe-esports-ltd.html

運転時のように飲酒が安全でないあるいは賢明でない状況とアルコールを関連付ける広告は違反である。この広告ではフォーミュラワンのレーシングカーを運転している人のイメージに飲酒を勧める文字。後にそれはレーシングシミュレーターゲームであることがわかるが明示されてはいないため違反と判断

 

-ASA Ruling on DUSK (Retail) Ltd

28 February 2024

https://www.asa.org.uk/rulings/dusk--retail--ltd-a23-1226269-dusk-retail-ltd.html

子育て中の親がソファに座ってワインで休憩している様子のテレビ広告に対する苦情が寄せられたがASAは無責任ではないとしている

 

[ANSES]テレワーキングの健康影響の可能性をより良く評価するために研究を続ける

Continuing research to better assess the potential health effects of teleworking

19/02/2024

https://www.anses.fr/en/content/continuing-research-health-effects-teleworking

データは不十分だが可能性のある健康影響として以下

・健康:筋骨格疾患、視力への影響、概日周期撹乱、食習慣と依存、事故、精神衛生

・社会生活:仕事でのつながりや社会と家族関係の変化

・労働:即応性などの要求増加、非定型な労働時間、同僚や上司との関係変化、仕事への満足や参加の変化

 

[NASEM]肥満解決円卓会議

Roundtable on Obesity Solutions

https://www.nationalacademies.org/our-work/roundtable-on-obesity-solutions

2024年3月19-20日、

医薬品と肥満:光景を探り包括的ケアを進化させる:ワークショップ

https://www.nationalacademies.org/event/42135_03-2024_medications-and-obesity-exploring-the-landscape-and-advancing-comprehensive-care-a-workshop

 

論文

-コントロールの悪い喘息は英国で毎年124000の家庭と同じ量の温室効果ガスを排出する

Poorly controlled asthma emits same quantity of greenhouse gas as 124,000 homes each year in the UK

27-FEB-2024

https://www.eurekalert.org/news-releases/1035468

喘息患者のケアを改善することでNHSがネットゼロ目標を達成する役に立つ

Thoraxに発表された研究によると、コントロールの悪い喘息患者は良くコントロールされた喘息患者の8倍の温室効果ガスを排出する

(医療を多く利用するため)

(BMJは地球のために肉を目の敵にしていたかと思ったら人間も対象なのか)

 

-ソーシャルメディアと青少年のメンタルヘルス」NASEMコンセンサス報告書

Social media and adolescent mental health: A consensus report of the National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine

Sandro Galea et al.,

PNAS Nexus, Volume 3, Issue 2, February 2024, pgae037

https://academic.oup.com/pnasnexus/article/3/2/pgae037/7614669?login=true

 

-ガランタミンジェネリック医薬品とダイエタリーサプリメントの表示の正確性

Accuracy of Labeling of Galantamine Generic Drugs and Dietary Supplements

Pieter A. Cohen et al.,

JAMA. Published online February 23, 2024.

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2815523

ガランタミンは抗コリン作用のある植物アルカロイドで、アメリカではダイエタリーサプリメントと処方薬の両方が販売されている。処方薬としてのガランタミンは軽度から中程度のアルツハイマー型認知症の治療用にFDAから認可されているが、軽度認知機能不全治療効果はなくアルツハイマー型認知症予防効果もない。しかしダイエタリーサプリメントとして販売されているものは記憶増強を含む多数の認知機能用に宣伝されている。

我々はジェネリック医薬品として販売されているものとダイエタリーサプリメントとして販売されているものの両方の表示の正確さを調べ、製品中汚染微生物を定量した。

サプリメント10、医薬品11ブランドを入手した。

医薬品のガランタミン含量は1錠(カプセル)あたり4,8,12 mgのものがあったが含量はその97.5% から 104.2%で、微生物汚染はなかった。

サプリメントは一回使用量あたり4,6,8,12 mgと表示されていたが実際の含量は2%以下から110%だった。3つのサプリメントからはBacillus cereus sensu stricto–のコードするエンテロトキシン遺伝子汚染が検出された。

表示されている含量との違いが10%以内だったのは全ての医薬品とサプリメント1つだった。

(日本では医薬品成分は基本的に健康食品として売ることはできないのだが。)

 

-プレバイオティック繊維により体重増加に抵抗する

Resisting weight gain with prebiotic fibre.

Carter, M.M., Spencer, S.P. Nat Metab (2024).

https://www.nature.com/articles/s42255-024-00998-w

難消化性デンプン(高アミローストウモロコシデンプン1日40g)の小規模臨床試験

 

その他

-Natureニュース

何故出版社が取り下げた中絶薬の研究が最高裁の判決で引用されるのか

Why a publisher retracted abortion-pill studies cited in a case set for the Supreme Court

27 February 2024 By Mariana Lenharo

https://www.nature.com/articles/d41586-024-00556-0

Natureは取り下げのきっかけになった欠陥について研究者に聞いた。かれらはこうした論文は氷山の一角に過ぎないという

今月初め、テキサスの裁判官が中絶薬ミフェプリストンを販売停止すべきとした判決で引用された二つの研究が学術出版社によって取り下げられた。さらにフロリダの中絶提供者と不正を関連付けた3番目の論文も取り下げられた。Sage出版によると、最初の二つの論文は研究デザインと方法論に問題がありデータ解析に間違いがある。そしてこれら三論文は全て根拠のない想定を含み誤解を招くデータの提示方法をしていた。そしてこれらの研究の著者の多くは反中絶団体と連携していたが利益相反を明示しなかった。

Natureはこれらの論文の懸念についてSageに伝えた研究者と、生殖健康専門家にインタビューした。彼らは取り下げは良いことだとしたが、同様の論文はほかにも多くあるという。

一方これらの論文の主著者のCharlotte Lozier研究所(CLI)のJames Studnickiは、Sageの取り下げには合理的理由がないといい法的手段をとるだろうという。CLIはプロライフ(中絶反対)研究組織を自称しており、CLIの所属であり資金であることを報告しているので利益相反の開示はしているという。

以下Natureの取材記事

(活動家が「論文」を出す、それを裁判所が根拠として使って間違った判決を出す、というのはグリホサートの件はじめたくさんある。裁判官は科学者ではなく時に自分の「正義」に酔っていることがある)

 

-EWGが古いトリックをリサイクル:今回「新しい」農薬に

The Environmental Working Group Recycles Old Tricks: Now It's A 'New' Pesticide

By Josh Bloom — February 27, 2024

https://www.acsh.org/news/2024/02/27/environmental-working-group-recycles-old-tricks-now-its-new-pesticide-17684

月が変わると新しい恐怖の化合物。これがEWGの事業計画である。最近EWGが発表した新しい動画(https://www.youtube.com/watch?v=6H0ojoCcMAQ)を見てみよう。いつものトリックだ。

クロルメコートという「新しい」農薬の危険性についてのものである。いくつかのトリックを見てみよう。

トリック#1

「現在米国で禁止されている有毒な農薬」

半分は事実で米国では禁止されている。しかし有毒?ラットでのLD50はカフェインより大きい

トリック#2

「EPAがもしこう決定したら動物の胚を奇形にする化合物が米国の食品供給に数ヶ月以内に入ることになる」

EWGの論文によると既に米国人の尿から痕跡量が検出されている。EUを含む米国以外の国で使われているからだ。EWGはこの「新しい」(1962年に発明されてEUでは2009年から使われているのでナンセンスである)極めて毒性の高い(カフェイン並に)物質がCheeriosに入っていて子どもたちが不妊になりやがて世界が消滅すると信じさせたい。

(Chlormequat: A Dangerous New Pesticide Now in People and the U.S. Food Supply

https://www.youtube.com/watch?v=6vSHkCfth6c

これらのEWG動画にJoeが反論している

Cup o'Joe-The Environmental Working Group Scares Us Again!

https://www.youtube.com/watch?v=aHbWSh9QG9s

 

-あらゆるところにヒ素!

Arsenic Is Everywhere!

By Susan Goldhaber MPH — February 27, 2024

https://www.acsh.org/news/2024/02/27/arsenic-everywhere-17671

ヒ素は毒として有名で、古代「王の毒で毒の王」として知られた。しかしヒ素は天然に土壌、空気、飲料水に含まれ、役に立つ使い方もある。ヒト健康に関して、どう考えるべきか?

有毒で薬にもなる

ヒ素はどこにある?

食品

その他

世界のヒ素

他の多くの毒と違って、あなたはヒ素を完全に排除することはできない。空気、水、食品からあなたはヒ素を吸収している。しかし他の全ての化合物同様、問題は量であり、恐れるのではなく管理するものである。

(文中で引用されている記事が、実質的にコメは食べるな、になっている。まあコメに特別な思い入れがないならそれが普通だろう

How to reduce arsenic in rice, and why it matters

By Devon Wagner, MS, RD January 18, 2023

https://health.osu.edu/wellness/exercise-and-nutrition/how-to-reduce-arsenic-in-rice

 

-Pesticide Action Network Europe (PAN Europe)(反農薬団体)

有害な収穫:欧州の野菜や果物の永遠の化合物PFAS農薬の増加

Toxic Harvest: The rise of forever PFAS pesticides in fruit and vegetables in Europe

https://www.pan-europe.info/resources/reports/2024/02/toxic-harvest-rise-forever-pfas-pesticides-fruit-and-vegetables-europe

国の監視計画で野菜や果物から検出されるPFAS残留農薬の数が2011年から2021年の間に約3倍になった

(各国の残留農薬モニタリング報告書でPFASが報告されている数を単純に集計したもの。検査技術の向上によるより低濃度での検出と、監視強化による検査数の増加で検出された報告が増えたことを指して増加したと主張している。PFASは一般的には残留農薬ではないがここでは最も広い定義で農薬も含め「PFAS pesticide residues」とし検査数が少ないオーガニック農産物では検出が少ないと主張している。PANは意図的にこういうことをやるので信用できないのだが、一般人を怖がらせることができればそれでいいらしい。ただ国の当局もちゃんとした残留農薬「リスク」のわかりやすい報告書を出すべきで、日本はそれができていない。やりたかったんだけど。)

 

-ポーランドの農家がEUのグリーンディールに抗議

Polish Farmers Protest Against EU's Green Deal

27 February 2024

https://www.telesurenglish.net/news/Polish-Farmers-Protest-Against-EUs-Green-Deal-20240227-0008.html

火曜日に、約1万人の農家がEUの農業環境政策に反対してワルシャワの通りをデモした。

スローガンは「農家のために壁を」「私は農家だ、奴隷ではない」「グリーンディール=飢餓」

 

-ポーランドの大臣はグリーンディールに制限を要求するだろう

Polish minister will demand limitations on Green Deal

2024年2月26日 By Aleksandra Krzysztoszek

https://www.euractiv.com/section/politics/news/polish-minister-will-demand-limitations-on-green-deal/

ポーランドのCzesław Siekierski農業大臣は、農家の抗議が続いているため、月曜日の欧州理事会会合でグリーンディールに制限を要求するだろう

Siekierski大臣は前の日に抗議を続ける農家と会合した。彼は農薬使用や耕作地の使用制限などに関連する欧州グリーンディールの制限を要求するだろう。

ヨーロッパの農家は、何故欧州の規則に従わないウクライナの農産物が欧州市場に溢れ、一方で自分たちの生産が制限されているのか理解できない。

(怒るのは当然)

 

-何がEWGにクエーカーオーツシリアルが危険な量の農薬を含むと虚偽の主張をさせるのか?「オーガニック食品業界の宣伝のために我々の食品中の毒素について別の恐怖扇動をする」ため

What drives Environmental Working Group to falsely claim that Quaker Oats cereals contain dangerous levels of pesticides? To ‘create another round of fearmongering about toxins in our food and shill for the organic food industry’

Steven Novella | Science Based Medicine | February 27, 2024

https://geneticliteracyproject.org/2024/02/27/what-drives-environmental-working-group-to-falsely-claim-that-quaker-oats-cereals-contain-dangerous-levels-of-pesticides-to-create-another-round-of-fearmongering-about-toxins-in-our-food-and-shill/

あなたは見出しのルールを知ってる?もし見出しが疑問調だったら、その答えは大体「ノー」である。この記事も例外ではない。しかしメディアはこのCBSニュースの見出しのように、あなたを心配させたいようだ。「チェリオスやクエーカーオーツや他のオートムギ製品に検出されている農薬は生殖の問題と関係する」

メディアが注目している研究はEWGによるもので、この団体は客観的科学というより特定の意見を主張する団体である。これは96検体の比較的小規模の調査で、微量のクロルメコートがオートムギ製品から検出されたという。それは驚くことではなく、問題はその研究の一般への広報のされ方である。それこそがこの研究の真の目的-食品中の毒素について恐怖を感じさせオーガニックを宣伝する-を明らかにしている。

ほぼ全ての報道で欠けているのは検出されたクロルメコートが安全量より遙かに少ないことである。

(一部のみ)