2024-03-06

[EU]最終意見 ヒドロキシプロピルp-フェニレンジアミンとその二塩酸塩

Hydroxypropyl p-phenylenediamine and its dihydrochloride salt (A165) (CAS/EC No. 73793-79-0/827-723-1 and 1928659-47-5/-)

5 March 2024

https://health.ec.europa.eu/publications/hydroxypropyl-p-phenylenediamine-and-its-dihydrochloride-salt-a165-casec-no-73793-79-0827-723-1-and_en

酸化的染髪料として頭皮上濃度最大2%まで安全

軽度から中程度の眼刺激性の可能性は排除できない。動物実験に基づき中程度の皮膚感作性

2019年のSCCSの評価で遺伝毒性の可能性が否定できないために安全ではないと結論されたため、遺伝毒性についての追加データの評価がメインとなっている

EpiDermTMでの再構成皮膚小核アッセイ(RSMN) 、3Dコメットアッセイ、ToxTracker®アッセイ、哺乳類突然変異性試験が新たに提出され、検討されている(カラーの図有り)

 

[Codex]プレスリリース

-第28回油脂部会(CCFO28)がマレーシアで開催され、現在の作業の進展と今後の計画を検討

CCFO28 convenes in Malaysia to progress current work and consider future plans

19/02/2024

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1677414/

コーデックス油脂部会(CCFO)は本日、マレーシアのクアラルンプールで第28回部会を開催した。

コーデックスの食品規格担当官であるPatrick Sekitoleko氏は、会議に先立ち、次のように説明した。今週、CCFO28は3つの重要な分野を検討する予定である。第一に、アボカド油、ツバキ種子油、高オレイン酸大豆油、オリーブ油とオリーブ粕油規格、カラヌス油の6つの油の検討である。第二に、食用油脂の大量輸送時における特定の汚染物質の最小化について議論し、第三に、WHOの非感染性疾患(NCD)削減の取り組みを支援し、新たな油脂源と、食品中のトランス脂肪酸(TFAS)と部分水素添加油(PHO)を最小化する方法の両方に関する新規作業について議論する。CCFO28はまた、コーデックス委員会及び他の部会による議論から生じたいくつかの重要な質問に対する回答も提供する予定である。

現在審議中の文書には、名前の付いた植物油規格(CXS 210-1999)への様々な油の追加、オリーブ油及びオリーブ粕油規格(CXS 33-1981)、魚油規格(CXS 329-2017)へのカラヌス油の追加の検討などがある。部会はまた、許容される前荷のリスト(CXC 36-1987の付属書II)を見直す。工業用TFAの削減又はPHOの全廃を奨励するために、CCFOが実施できる可能性のある作業に関する議題は、油脂スプレッド及びブレンドスプレッド規格(CXS 256-1999)、個別規格に含まれない食用油脂規格(CXS 19-1981)、指定動物油脂規格(CXS 211-1999)の対象品目に関するものである。

 

-対談/Emilio Esteban氏:「コーデックスの活動は、地球全体の安全な食料の根幹をなすものである」

In conversation/ Emilio Esteban: “The work that Codex does is so fundamental to safe food for the entire planet”

27/02/2024

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1677999/

Emilio Esteban博士は、コーデックス一般問題部会である食品衛生部会(CCFH)の議長を長年務めるなど、コーデックスに長く関わってきた。最近のビデオインタビューでは、米国農務省の食品安全担当次官に昇進したものの、コーデックスが彼の仕事の重要な一部であり続ける理由を説明している。インタビューでは、彼がCCFHの後継者であるEvelyne Mbandi博士に残した遺産や、コーデックスが関連性を保ち続けるために必要なことについても語っている。インタビュー動画:https://youtu.be/LtDC_xaGdWU

 

[FSA]FSAは食品検査の継続に向けた新しい的を絞ったアプローチとして最新の小売サーベイランスを発表

FSA publishes latest Retail Surveillance Survey as new targeted approach to food inspection continues 

19 February 2024

https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-publishes-latest-retail-surveillance-survey-as-new-targeted-approach-to-food-inspection-continues

英国食品基準庁(FSA)は、新しい食品安全リスクの監視に役立つ年次調査の結果を発表した。これは、市場に流通する食品について何処にリスクが存在するのか、そして何をサンプリングすべきなのかを知ることに特別に焦点を絞った調査である。調査は2022年10月に実施した。大規模販売店や小規模販売店、インターネット販売からさまざまな食品を購入し、未表示の食物アレルゲン、汚染物質、異物混入、組成の不正、不適格表示などについて検査した。

調査で得られた情報を元に、FSAの食品システムに関する知識が向上し、地方当局がリスクのある食品や課題へ直接リソースを注ぐことが出来るようになるとともに、検査で不適合が確認された場合には速やかにフォローアップ調査と適切な是正措置を講じることが可能となる。

報告書:Surveillance Sampling Programme

https://www.food.gov.uk/research/research-projects/surveillance-sampling-programme-0

【目的】

イングランド、ウェールズ、北アイルランドにおける特定の食品のサーベイランスと分析を実施し、新しい食品安全リスクの特定とFSAの食品システムに関する知識向上を図る。

【方法】

英国認定サービスによりISO17025認定を受けた5ヶ所の公的管理試験所(official control laboratories: OL)と協力し、下記の2つの食品カテゴリーの計28品目、1,215検体を対象に、うち1,028検体は規制遵守の確認、残り187検体は研究を目的に検査を実施した。品目の詳細と検査項目はAppendixの表2~4を参照のこと。

主要食品(Basket of Foods):国民がよく消費している食品15品目、592製品(検体)

サーベイランス品目(Surveillance Commodities):世界の食品市場に関する知識や情報を得るとともに、規制の遵守状況や科学的知見を得るために選択した食品13品目、623製品(検体)

サンプリングは各地域のOLスタッフが行い、全製品のうち大規模販売店での購入が35%、小規模販売店での購入が65%を占めた。全体の10%はOLスタッフが現地購入できず、インターネット販売による購入であった。

【結果及び考察】

規制遵守を調べた1,028検体のうち、大規模販売店で購入した検体の規制の遵守率は96%であったのに対し、小規模販売店で購入した検体のうち25%は規制に不適合であった。

不適合の190検体では、食物アレルゲン、真正性、汚染物質、組成、表示における問題が確認された。

<主要食品>

良く消費される食品15品目、合計592製品の適切な法律への準拠を検査したところ、遵守率は63%~97%だった。

パン製品

ラベル又は予防的アレルゲン表示(PAL)に表示されていないゴマと乳のアレルゲン含有について分析した包装済みパン製品の遵守率は63%であり、調べた製品では最も低かった。35検体中7検体(20%)に未表示のアレルゲンが含まれていた。

ポークソーセージ

生・冷凍ポークソーセージでは、原材料の量的表示(Quantitative Ingredients Declaration:QUID)の遵守を検査するために肉の含有量を、未表示のスパイス含有を検査するために肉種を分析した。検査した40検体の遵守率は70%だった。小規模食品企業から購入した検体のうち6検体の肉の含有量は表示された値を下回っていた。小規模食品企業の1検体に、豚肉に加えて羊肉のDNAが13%検出されたが、関連成分表に羊由来成分の含有は明記されていなかった。さらに5検体で不正表示(QUID記載なし、成分表にアレルゲンが太字で強調されていない、未承認着色料の使用、成分表に成分欠落など)が確認された。

脂肪含有量を検査した30検体の乳の遵守率は73%だった。部分脱脂乳の3検体の脂肪含有量は規制で許可された1.8%よりも多かった。さらに5検体の脂肪分は許容量より少なく、このうち4検体は全乳で1検体は部分脱脂乳だった。

オレガノ

オレガノの検体は、真正性を顕微鏡検査で調べ、アフラトキシン類、オクラトキシンA、重金属の含有を分析した。この30検体の遵守率は73%だった。顕微鏡検査から、オレガノ以外の葉を含むことが示された4検体が確認され、そのうち3検体には10%~25%の割合でオリーブの葉が含まれていた。4つめの検体には一般的にオレガノに関連するのとは大きく異なる官能特性があり、更に検体を調査したが結論は出ていない。だが、生産国はイランで、イランでオレガノと指定されている植物種と一致する可能性がある。また、顕微鏡検査では昆虫の破片や合成繊維のかけらを確認した。重金属分析では鉛のレベルが5.68 mg/kgの1検体が明らかになった。乾燥オレガノの鉛の規制値はないが、過剰量だと考えられる。オレガノの検体はいずれも、検出されたアフラトキシン類やオクラトキシンAのレベルに関する違反はなかった。乾燥オレガノと名付けるべき1検体に表示不正が確認された。

オリーブオイル

オリーブオイル36検体の真正性と組成を調べた。全体的な遵守率は75%で、4検体のオリーブオイルが成分要件を満たしておらず、さらに5検体には表示に不備があった。エクストラバージンオリーブオイルの3検体は、11の定義された特性のうち、10しか準拠していなかったため、成分検査で不合格となった。このうち2検体では、比吸収値K232の規定最大値2.50を超え、もう1検体は酸度が最大値0.80を超えていた。4つめの組成違反検体はバージンオリーブオイルで、バージンオリーブオイルとしての要件に従っていたのは調べた11の特性のうち6つだけだった。確認された表示問題は、不適切な保存状態、所定の形式ではない栄養情報、輸入業者の企業名と住所なし、耐久性に関する誤った表現などだった。

挽肉

牛挽肉の検体では、脂肪量、コラーゲンとタンパク質の割合、表示の遵守を分析した。分析した40検体のうち組成違反5検体、表示違反2検体で、全体的な遵守率は83%だった。

バスマティ米

バスマティ米の検体では、PCRマイクロサテライトマーカーを用いて、米の真正性を検査した。割れた米粒の割合も測定し、品質の悪い米で代替されていないか確認した。調べたバスマティ米36検体の遵守率は83%だった。3検体が真正性検査で不合格だった。1検体では承認されたバスマティ米品種が全く含まれておらず、100%非バスマティ米品種だった。2検体には非バスマティ米品種が18%と20%含まれ、「バスマティ米の実施規範(2022年7月)」で規定された要件(非バスマティ米の含有率7%以下)を超えていた。さらにもう1つのサンプルは、変性したDNAしか抽出されなかったため、検査が完了せず、結論は出なかったと報告された。2検体は割粒が規定の量(割粒の量は10%以下)を超えていたため組成検査に不合格だった。

バター/マーガリンスプレッド

46検体の乳製品ベースのバターやマーガリンスプレッドの乳脂肪含有量が検査され、分析結果は全て申し分ないが、6検体は表示不適切と判断され、この種の商品の遵守率は87%だった。

チーズ

包装済みチーズ35検体の、使用された乳製品の真正性、脂肪含有量、表示を検査したところ、遵守率は91%だった。違反製品は3検体で、真正性で1検体、組成で1検体、表示で1検体が違反であった。「ブルガリアの羊乳のチーズ」では、牛と羊両方のDNAが検出され、羊乳と牛乳の含有が示唆された。この検体には成分表に「生物学的レンネット」が含まれていたが、「ベジタリアンに適している」という文言から、動物由来ではないと想定される。「モッツァレラ」と記載された検体には表示された値より脂肪分が42%少なく、一般的なモッツァレラより乾燥して見えた。フェタチーズの表示は英語ではなく、翻訳の際、アレルゲンとして乳が強調表示されていなかった。

ビーガン製品

ビーガンと表示され、乳、卵、ピーナッツのPAL(「含まれる可能性がある」など)の表記のない、合計40検体のビーガン製品について、アレルゲンの含有を検査した。遵守率は92%で、ビーガンアイスクリームの3検体にアレルゲンが検出された。

プレーンヨーグルト

低脂肪プレーンヨーグルトでは、脂肪含有量、乳タンパク質、安息香酸、ソルビン酸を検査し、遵守率は93%だった。調べた46検体のうち2検体は組成違反、1検体は表示違反だった。1検体に検出された脂肪含有量は0.8 g/100gで、低脂肪と表示できる最大許容量を超えていた。天然ギリシャ風プレーン低脂肪ヨーグルトには62 mg/kgのソルビン酸が含まれていたが、ソルビン酸は、発酵後に加熱処理された風味のない発酵乳製品、すなわち「凝乳のみ」においてのみ許容されている。この製品には加熱処理の表示がないため、ソルビン酸は検出されないはずである。表示不適切と報告されたヨーグルトの検体には、所定の形式で栄養情報や賞味期限の指示がなかった。

コーヒー

ロブスタ種やアラビカ種の豆と明記された粉末及びインスタントコーヒーの真正性が検査され、分析した46検体の96%が満足のいく結果だった。不適切な2検体はどちらも粉末コーヒーで、小規模食品企業からオンラインで購入した。ロブスタ種とされていたが、NMRプロファイルにより、検体はアラビカ種とロブスタ種の豆の混合物であることが示された。

「○○を含まない」製品

「○○を含まない」とする合計66製品について、関連するアレルゲン(ナッツ、乳、グルテン)の含有について検査した。それぞれの「含まない」表示について22検体を分析し、全体では97%の遵守率であった。1検体に20 mg/kgを超えるグルテンアレルゲンが検出され、チョコレートチップクッキー1検体の成分表にアレルゲンが含まれていた。

オレンジジュース

オレンジジュースの検体では、未承認着色料の含有、組成(ブリックス、二酸化硫黄)及び表示について検査した。遵守率は97%で、オレンジジュース36検体が検査された。1検体のブリックスレベルが規則の要求する値よりも低かった。

ウコン

ウコンの検体では、ニッケルやクロムなどの重金属、アフラトキシン、オクラトキシンA及び未承認着色料の検査をした。調べた30検体のうち1検体が違反として報告され、遵守率は97%だった。アフラトキシンは、回復と測定の不確実性の補正を考慮しても、最大許容量を超えていた。

 

<サーベイランス品目>

サーベイランスとして13品目623製品をサンプリングし、そのうち9検体の法律への遵守を検査した。この9品目の遵守率は43%~96%だった。

直接販売用の包装済み製品

合計47検体の直接販売用包装済み製品(PPDS)について、必要に応じて、ピーナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、乳、グルテン、魚のうち2つの非表示のアレルゲンを検査した。予防的アレルゲンの助言(PAL)のある製品は購入されず、製品種類や表示情報により検査するべきアレルゲンが決定された。PPDS検体の遵守率は43%で、47検体中17検体に必要な表示なくアレルゲンが含まれていた。非表示のアレルゲンは、グルテン、乳、卵、ゴマ、アーモンド、大豆、ピーナッツであった。8つのサンプルで、2つの非表示のアレルゲンが検出された。非表示のグルテンは、数種類のパン、クロワッサン、キッシュ、ピザ、ソーセージ、ラザニア、チキンとハムのパイなど、10検体から検出された。最も一般的に検出されたアレルゲンはグルテンだった。乳は、ケーキセレクション、キッシュ、ピザなど、7食品に含まれていた。非表示の卵は、ケーキセレクション、ツナマヨパスタの2例に含まれていた。ソーセージ2検体のアレルゲン検査には、この製品に一般的に使用される添加物、二酸化硫黄が含まれ、両方とも陽性であることが判明した。ゴマ、アーモンド、ダイズ、ピーナッツはそれぞれ1検体に検出された。アレルゲンが非表示であった17検体に加えて、表示問題のため10検体が不適切と報告された。表示不備の理由としては、アレルゲン、賞味期限や成分表が規定の形式ではない、食品名が消費者に本質を伝えるには十分正確でない、適切な保存方法の指示がない、スペルミス、成分名の短縮、読みにくい、などがある。1検体は一般的なPALの文言「その他のアレルゲンが存在する可能性のある環境で製造しました」を使用し、具体的なアレルゲンを明記していなかった。ジンジャーブレッドの検体とリンゴとブラックベリーのクランブルは、成分表にサウサンプトン着色料(一部の子供たちに多動性の増加を引き起こす合成着色料)が記載されており、表示は適切な警告「子供の活動や注意に有害影響がある可能性がある」と表示される必要があった。

包装済みサンドイッチ肉

包装済み調理済みサンドイッチ肉56検体(ハム29検体、鶏肉13検体、牛肉7検体、七面鳥6検体、ハスレット1検体)について、肉種の特定、肉含有量、添加水を検査した。遵守率は68%で、18検体が不適合と報告された。包装済み七面鳥スライスの1検体には、表示に明記されていない鶏肉のDNAが含まれており、真正性に違反していた。DNAの5%が鶏肉由来と推定された。分析した検体のうち10検体は組成による違反だった。ハム9検体、七面鳥1検体、鶏肉1検体の肉含有量は表示されている値より少なく、不足率は4%~28.8%だった。逆に、牛肉の1検体にタンパク質含有量2.4g/ 100gと明記されていたが、この検体には19.8g / 100gの総タンパク質含有量があることが分かった。七面鳥2検体、牛肉1検体、ハム1検体、ハスレット1検体の5検体に表示不備(QUID記載がない、成分リストがない、栄養情報が所定の形式ではない、アレルゲンの強調表示が正しくない)が確認された。

アフリカのスパイス

ハリッサやラスエルハヌートなどのアフリカのスパイスミックスやペーストは、表示されていないピーナッツの含有について検査した。成分表にピーナッツやピーナッツのPALのある製品は除外した。ELISAを用いて56検体が分析され、遵守率は73%だった。15検体でELISA法によりピーナッツタンパク質の含有が示され、10検体は使用したELISAキットの定量限界を超えていたため、正確なピーナッツタンパク質含有量は測定されなかった。

缶詰肉

合計60製品の缶詰肉や長期保存肉製品について、肉種の真正性や肉含有量を分析した。遵守率は73%だった。英国で生産されていない豚の缶詰肉1検体に、表示に明記されていない推定1-5%の牛肉が含まれていた。合計6検体が組成による違反で、そのうち5検体は英国で生産されていなかった。ランチョンミート、塩漬けマトン、ビーフランチョンミートの検体は、機械的に回収された肉、心臓や肺を含むと表示されていたが、2つの規則に違反する。検体はまた、最小肉含有要件を満たさなかったため、組成で不適格だった。塩漬けマトンの検体はマトンの最小肉含有要件を満たさず、最大許容量より多い脂肪分を含んでおり、ビーフランチョンミートは規定された最小肉含有量要件62%を満たしていない。ハムの缶詰とポークナックルの缶詰はどちらも肉含有量が10%少なく、コンビーフの検体では申告値よりも脂肪分が25%以上過剰だった。8検体の缶詰肉について、成分表にアレルゲンが強調されていないため表示不十分だと報告された。そのうち4検体は英語で表記されていない。

粉末ナツメグ

粉末ナツメグ検体は顕微鏡で真正性を調べ、HPLCでアフラトキシン(AF)とオクラトキシンA(OTA)の含有を分析した。29検体の遵守率は79%だった。検体の全てで真正性に満足したが、6検体は、回収率と測定の不確実性を考慮しても、汚染物質のレベルが最大許容量を超えていた。4検体で高濃度のAF B1(8.3 µg/kg~45.5 µg/kg)が報告され、そのうち3検体は高濃度の総AF(11.8 µg/kg~ 60.1 µg/kg)も報告された。さらに、このうち2検体がOTAの基準値を超えていた。合計4検体がOTAについて不適切と報告された(20.1 µg/kg~152 µg/kg)。

すぐに食べられる鶏肉食品

鶏肉片を含む合計69の生鮮、冷凍、缶詰めのすぐに食べられる鶏肉食品について、物理的分離と計量により量的原材料表示(QUID)を、DNAにより肉の種類を確認した。検体は全て、肉種の特定については満足だった。しかし、8検体は組成違反、4検体は表示違反だった。鶏肉食の全体的な遵守率は83%だった。記載されたQUIDは、6種類のチキンカレーと2種類のチキンパスタで、試験所で得た結果よりも高かった。QUID記載に法的な許容下限値は設定されていないが、10%の許容下限値は妥当とされている。検体の1つである照り焼きチキンには、鶏肉の代わりに成分表にサーモンが含まれ、チキンビリヤニの成分表には未承認着色料の存在が明記されていた。

大きな肉片

牛肉、豚肉、羊肉、ガモン、七面鳥、ガモン、ハム、鹿肉など、50種類の新鮮な包装済みの大きな肉片の、添加水を分析した。遵守率は86%で、ガモンの肉片の1検体に15%の添加水が含まれ、6検体で表示不備(食品名が本質を示していない、QUID記載の欠落や不正確、表示のない包装済み豚肩肉など)があった。

植物性代替肉

バーガー、ソーセージ、肉片など46種類の植物性代替肉の表示されたタンパク質含有量を検査したところ、遵守率は87%だった。3検体はタンパク質含有量が明記されたものと異なり、組成不適格であった。ベジタリアンバーガー1検体では明記された値よりも36%多く、ガイダンス許容率(プラス20%まで)を超えた。一方、2検体は明記された値よりタンパク質含有量が少なかった。表示不備は3検体で、細切り鶏肉1検体と豚肉スライス1検体には所定の形式での栄養表示がなく、ナゲット1検体で「高タンパク質」という栄養健康強調表示があったが、それを正当化するにはタンパク質量が足りていなかった。

ペースト

PALのないペースト製品は非表示のピーナッツアレルゲンの含有を検査し、成分表にナッツと表記されたものには種類の真正性を検査した。市販されているペースト製品の多くはピーナッツのPALがあるため、23検体のみを購入し、遵守率は96%だった。違反の1検体は天日干しトマトペーストで、ラベルに記載されている以外の植物原料、特に小麦が含まれていた。

科学及び研究目的の検体

リスク評価や政策決定のための情報をFSAに提供するために、科学及び研究目的として、4製品がサンプリングされた。オンライン業者から食用昆虫検体を購入し、検査した重金属では40検体全て満足のいくものだった。オンライン小売業者から購入した合計45製品の藻類・海藻食品/飼料製品の重金属とヨウ素を検査した。コンブ2検体に高濃度の無機ヒ素(30.7 mg/kg 及び 44.6 mg/kg)を認めた。25検体にヨウ素濃度(10.7 mg/kg~5820 mg/kg)を認めた。他種の油の混入を調べるため様々な調理油をスクリーニングし、検査した56検体中5検体は更なる調査が必要だった。野菜、フムス、レンズ豆チップスなど、ジャガイモ以外の焼いた・揚げた野菜のチップスでアクリルアミドを検査した。検査した46検体中5検体に高濃度のアクリルアミドが指摘された(886 µg/kg~1960 µg/kg)。

【プロジェクトの結論】

このプロジェクトは、食品の安全性と真正性に関する知識とエビデンスを得るためにはサーベイランスの実施が重要であることを強調している。現行の主要食品のサーベイランスと知識に基づく製品のサーベイランスは、リスクの所在を特定し、食品の基準と安全性を維持するために不可欠である。

 

[CAFIA]検査したレストランの4分の1が、提供する食事の情報について消費者に誤解を与えていた

CAFIA: Every fourth checked restaurant misled consumers on information of offered meals

02/23/2024

https://www.szpi.gov.cz/en/article/cafia-every-fourth-checked-restaurant-misled-consumers-on-information-of-offered-meals.aspx

チェコ農業食品検査機関(CAFIA)は、一般の飲食店、特にレストランやファストフードが提供する食事の情報の正確さを定期的に検査している。検査の際、検査官はメニューやメニューボードに記載された情報又は店員による口頭での情報と、その実際の食事の構成を比較する。検査の目的は、料理構成、使用食材、消費者の不利益になるような安価な食材への置き換えなど、事実と異なる、あるいは誤解を招くような情報が提供されていないかを確認することである。

2023年、CAFIAの検査官は、合計194の異なる一般飲食施設において、この種の検査を実施した。偽装や誤解を招く情報提供は49件であった。結果、検査官は検査した施設の4分の1で違法行為を発見した。検査官は、いくつかの店舗で更に多くの違法行為を発見し、合計60件を摘発した。

検査官が発見した偽装で最も多かったのは、チーズを使用した食品の提供に関するものであった。代表的な例は、原産地呼称が保護された「Parmigiano-Reggiano(パルミジャーノ・レッジャーノ)」チーズの原材料を同様の味特性を持つ別の安価なものへ置き換えたParmesan(パルメザン)チーズで、18件の事業者が悪用していた。また、「Grana Padano(グラナ・パダーノ)」という名称の不正使用が2件あった。19件で、「Hermelin(へルメリン)」ブランドが未認可で使用され、食材が他のブランドのチーズ(カマンベールチーズなど)に置き換えられていた。

また、4件において、「ham(ハム)」という名称の未認可の使用が確認された。これは、ラベルに表示されていない他の食肉製品を使用していた。

上記の調査結果によると、ピザ、パスタ、リゾットなど、イタリア料理を提供する際に、最も頻繁に誤った情報が使用されている。

これらの事例に加え、検査は飲料の分野も検査した。検査官が最も不正を指摘したのは、「ラム(rum)酒」と表示された蒸留酒であった。検査の結果、9件で、実際に消費者が「ラム」に分類されない「トゥゼマック(tuzemak)」又はその他の蒸留酒を提供されていた。

検査官は、偽装や誤解を招くような表示を行った関係者に対し、不正を是正するよう命じた。CAFIAは、罰金を課す行政手続きを開始する。

 

[FDA]FDAは、ゲノム編集を用いて生産された植物に由来する食品の自主的な市販前報告に関するガイダンスを発表

FDA Releases Guidance on Voluntary Premarket Engagement for Foods Derived from Plants Produced Using Genome Editing

February 22, 2024

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-releases-guidance-voluntary-premarket-engagement-foods-derived-plants-produced-using-genome

イノベーションと消費者の食の選択肢の拡大を支援するため、米国食品医薬品局(FDA)は本日、企業がゲノム編集植物に由来する食品を販売する前にFDAと自主的に関わる方法を説明する業界向けガイダンスを発表した。このガイダンスは、FDAが新品種由来の食品に対してとってきたリスクベースのアプローチが、ゲノム編集植物由来の食品にも適用されることを再確認するものである。さらに、ゲノム編集植物品種による食品の安全性を確保するために企業がFDAへ自主的に報告するための2つの手続き、「自主的な市販前協議(voluntary premarket consultations)」と「自主的な市販前会議(voluntary premarket meetings)」について説明している。これらの手続きは、FDAの安全対策を維持しながら、ゲノム編集植物に由来する食品が市場に出るまでの工程を容易にするのに役立つ。

植物バイオテクノロジーの分野における進歩は、新しい食品を市場に送り出している。このような進歩は、増加する世界人口のニーズを満たし、世界的な食料不安への対応に貢献する可能性がある。FDAは他の米国政府機関と協力し、バイオテクノロジー由来の植物に由来する製品を規制している。これには、遺伝子工学やゲノム編集を用いて開発された製品も含まれる。

FDAの自主的な市販前植物バイオテクノロジー相談プログラム(Plant Biotechnology Consultation Program)により、開発者はFDAと協力し、安全で革新的な植物由来製品を市場に出すための適切な監視の手段を決定することができる。ゲノム編集植物由来の食品は、伝統的に育種された植物由来の食品と同じ食品安全要件を満たさなければならない。

このガイダンスの中でFDAは、引き続き企業が新たに開発した食品を市販する前に自主的にFDAと関わりを持つことを推奨しており、その手続きはリスクベースで行うよう勧めている。ガイダンスでは、企業が新しいゲノム編集植物品種について自主的にFDAへ報告する手続きとして、当該食品のリスクに基づいた「自主的な市販前協議」と「自主的な市販前会議」の2つを説明している。後者の自主的な市販前会議は、当該食品のリスクに基づき自主的な市販前協議の対象に該当しないと判断された場合の手続きであり、当該食品の特性に関する情報と、開発者が安全性及び合法性を保証するために講じた措置に関する情報をFDAと共有するものである。この手続きは安全性に疑問が生じにくい食品に推奨されることから自主的な市販前協議よりも短時間で済むとFDAは見込んでいる。一方、特定のリスクが想定される特性を持つ食品については、FDAは、自主的な市販前協議の手続きを引き続き提案している(例:ゲノム編集が、ヒトの健康に重要な17のアレルゲンやヒト・動物へ有害な毒素の産生に関わる場合、食品に含まれる有害成分の量を増大させる場合、栄養価に無視できないほどの影響を及ぼす場合、天然に存在しない新しい遺伝子/遺伝的要素や内因性遺伝子の追加コピーの含有をまねく場合)。

このガイダンスは、大統領令14081「持続可能で、安全かつ確実なバイオ経済のためのバイオ製造とバイオテクノロジー・イノベーションの推進」の指示に従い、バイオテクノロジー製品の規制プロセスの効率化を支援するものである。このガイダンスは、1992年の方針声明における植物新品種由来食品(NPV方針)の原則にも合致している。

*ガイダンス:Guidance for Industry: Foods Derived from Plants Produced Using Genome Editing

https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/guidance-industry-foods-derived-plants-produced-using-genome-editing

 

[FDA]FDAと業界の行動が米国の食品包装に使用されるPFASの販売を終了させる

FDA, Industry Actions End Sales of PFAS Used in US Food Packaging

February 28, 2024

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-industry-actions-end-sales-pfas-used-us-food-packaging

-ヒト用食品担当のJim Jones副長官より-

本日、米国食品医薬品局(FDA)は、パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を含む耐油性材料を、米国内で食品包装に使用するために販売することを中止すると発表した。

FDAは、特定のPFASを調理器具、食品包装、食品加工機器に限定的に使用することを許可している。本日の発表は、耐油剤としての使用を意図した特定のPFASを含む食品接触物質を米国で販売しないという、製造業者による自主的な約束の履行を示すものである。このFDA主導の取り組みは、食品と一緒に、又は食品中での使用が許可された化学物質の再評価を続ける中で、前向きな一歩となる。これは、潜在的に有害な食品接触物質から米国の消費者を保護するための重要なマイルストーンである。公衆衛生にとってのこの「勝利」は、FDAの研究とリーダーシップ、そして産業界の協力の賜物である。

2020年、FDAは市販後安全性評価に続き、ある種のPFASを含む耐油剤の販売を中止するよう企業に働きかけた。FDAの科学者が実施・発表した調査は、FDAが紙・板紙製の食品包装製品にPFASを含むこれらの物質の使用を自主的に段階的に廃止するという約束を製造業者から得る上で大きな役割を果たした。

FDA Announces PFAS Used in Grease-Proofing Agents for Food Packaging No Longer Being Sold in the U.S.

February 28, 2024

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-announces-pfas-used-grease-proofing-agents-food-packaging-no-longer-being-sold-us

FDAは2020年、ある種のPFASを含む耐油性物質の米国における食品接触用途での販売中止を製造業者から約束させた。本日の発表は、こうした自主的な約束の履行を意味する。さらにFDAは、他の製造業者が、米国での耐油剤としての使用を意図した他の食品接触物質(異なる種類のPFASを含む)の販売を自主的に停止したことも確認している。

耐油性物質は、油脂の漏れを防ぎ、耐水性を持たせるために紙・板紙製の包装に塗布される。PFASを含む物質は、ファストフードの包み紙、電子レンジ用ポップコーンの袋、テイクアウト用の厚紙容器、ペットフードの袋、その他同様の種類の包装に使用されていた。FDAが製造業者から受け取った当初のコミットメントレターには、これらの食品接触物質を含む紙・板紙製の製品は、最終販売日から市場供給がなくなるまで18ヶ月かかると記載されていたが、ほとんどの企業は当初の段階的廃止日より前に市場から撤退している。さらにFDAは、食品包装に含まれるこれらの食品接触物質の市場監視を可能にする有効な分析法に向けて取り組んでいる。

 

[FDA]FDAはNDI通知方法と時間枠の最終ガイダンスを発表

FDA Issues Final Guidance on New Dietary Ingredient Notification Procedures and Timeframes

March 5, 2024

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-issues-final-guidance-new-dietary-ingredient-notification-procedures-and-timeframes

NDIの定義を明確にする文書

(再度強調する

食品としての使用歴(食経験)は普通の食品に含まれるものとしての使用歴であってサプリメントとしての販売歴は含まれない(必要な情報記載)

‘chemically altered’もかなり厳密に規定。

これ、機能性表示食品のかなりのものがそんな情報ないから)

 

[APVMA]ネオマイシンの規制上の決定案

Proposed regulatory decision for neomycin

27 February 2024

https://www.apvma.gov.au/news-and-publications/news/proposed-regulatory-decision-neomycin

オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)は、ペットと食料生産動物の両方に使用する特定の動物用医薬品に含まれる抗生物質、ネオマイシンの再検討の決定案を発表した。

ネオマイシンは、登録された使用パターンに従って、経口、乳房内、注射用製剤の使用がオーストラリアの最大残留基準値(MRLs)を超える可能性があるという懸念により、再検討の対象となった。今回の決定案には、経口、乳房内、注射用製剤のネオマイシン9製品と、関連するラベルの再検討が含まれている。

APVMAの提案は:

現在使用を立証できない4つの化学製品の登録と関連するラベルの承認を取り消す。

少なくとも現在の使用を立証できる5つの化学製品の登録と関連するラベルの承認を変更して確認すること。

基本的なリスク評価や製品固有の評価結果の概要は「Review Technical Report」で発表されている。

決定案に関するパブリックコメントを3ヶ月間募集し、2024年5月26日に閉じる予定である。2024年2月27日のAPVMA特別官報には決定案や提案作成方法についての詳細が含まれている。APVMAは最終規制決定する前に、パブリックコメント募集中に受け取った全ての提案を検討することにしている。

 

[RIVM]報告書

-トウゲシバ(峠芝)Huperzia serrataを含むハーブ製品のリスク評価

Risk assessment of herbal preparations containing Huperzia serrata

05-03-2024

https://www.rivm.nl/publicaties/risk-assessment-of-herbal-preparations-containing-huperzia-serrata

オランダではトウゲシバを含むハーブ製品(食品サプリメント)が記憶や集中力強化を宣伝して販売されている。このハーブはヒト健康に有害であることがわかりRIVMは消費者に特に妊娠中は、使用しないよう助言する。

ヒューペルジンhuperzine Aによるコリン作動影響の可能性がある

報告書本文英語

https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2024-0028.pdf

 

-Withania somnifera(アシュワガンダ)を含むハーブ製品のリスク評価

Risk assessment of herbal preparations containing Withania somnifera (Ashwagandha)

05-03-2024

https://www.rivm.nl/publicaties/risk-assessment-of-herbal-preparations-containing-withania-somnifera-ashwagandha

オランダではアシュワガンダを含むハーブ製品がストレスや疲労、睡眠改善を宣伝して販売されている。アシュワガンダは感受性の高い人に有害影響を誘発する可能性があるが誰が感受性が高いかわからないので予防的に消費者に、特に妊娠中は、使用しないよう助言する。また情報が無いので、サプリメントの結論はハーブティーにも当てはまると想定する。

 

-イボガTabernanthe ibogaを含むハーブ製品のリスク評価

Risk assessment of herbal preparations containing Tabernanthe iboga

05-03-2024

https://www.rivm.nl/publicaties/risk-assessment-of-herbal-preparations-containing-tabernanthe-iboga

オランダではイボガを含むハーブ製品が薬物離脱症状や気分を変える目的を宣伝して販売されている。このハーブの使用後に何十人もの死亡が報告されていることから、消費者に、使用しないよう助言する。

https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2024-0030.pdf

 

[HK]2023年の食品インシデントの振返り

Review of Food Incidents in 2023

21 Feb 2024

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_211_01.html

香港食品安全センター(CFS)は食品インシデント監視システム(FISS:Food Incident Surveillance System)を設定し、香港外で発生した食品インシデントを監視し、特定している。CFSはまた、国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)や欧州連合の食品及び飼料に関する早期警告システム(RASFF)などの国際食品安全ネットワークとも連携する。

2023年の食品インシデント

2023年、CFSはFISSを通じて3,500件の食品インシデントを検知した。CFSは、輸入記録などから香港の業者に確認し、該当製品が香港で入手可能性を調査した。リスク評価に基づき、香港の規則に従って、リスク管理措置を実施した。これには、関連製品の販売中止、製品リコール、監視強化、輸入停止などが含まれる。

CFSは、プレスリリース、業界警告、食品/アレルギー警告、製品リコールなど、消費者に食品インシデント情報や食品安全助言を提供した。関連製品が香港に大きな影響を与えない場合は、Food Incident Posts(食品インシデント報告)を発行した。

2023年には、追跡調査が必要な食品インシデントが567件発生した。CFSは、化学的ハザード(食品添加物の過剰使用、毒素、表示されないアレルゲンなど)、微生物的ハザード(リステリア菌、サルモネラ菌、大腸菌など)、物理的ハザード(異物混入など)、その他の問題(日付の誤表示など)に関連し、Food Incident Posts 557件、プレスリリース18件、業界警告19件、食品/アレルギー警告35件を公表して対応した。食品インシデントの大部分は化学的ハザードと微生物学的ハザードに関連し、それぞれ41%と31%を占めた。

食品インシデントのリスク管理

2023年6月、CFSはRASFFから、チェコ産小麦を使用した各種ベーカリー製品から最大3.6 mg/kgのクロルピリホスが検出されたとの通知を確認した。更に、関連するオーストリア産の包装済みベーカリー製品が香港に流通する予定であった。

クロルピリホスは殺虫剤で、暴露量にもよるが、昏睡や死亡を含む様々な神経系への影響が生じる可能性がある。Pesticide Residues in Food Regulation(Cap. 132CM)(残留農薬に関する食品規則)では、小麦中のクロルピリホスの最大残留基準値は0.5 mg/kgである。

通知を受けたCFSは直ちに輸入業者と連絡を取り、関連製品はすべて、香港に到着後、CFSの監督の下、輸入業者によって自主的に引き渡され、処分された。この事例は、CFSと国際食品安全機関との協力や早期通知の重要性を浮き彫りにした。FISSが香港外の食品インシデントを効果的に監視しており、CFSは食品インシデントによる公衆衛生への影響に迅速に対応し、香港の食品安全を保護する。

 

[ヘルスカナダ]保健大臣からのメッセージ-栄養月間

Message from the Minister of Health – Nutrition Month

March 5, 2024

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2024/03/message-from-the-minister-of-health-nutrition-month.html

毎年三月は栄養月間。今年のテーマは「私たちは栄養士!」で、栄養士の重要な役割を讃える

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

March 2024 | Issue 225

https://mailchi.mp/foodstandards.gov.au/food-recall-system-update-1301548?e=21527ddb09

・FSANZはGMバナナ由来食品を認可

・平易な言葉によるアレルゲン表示発効

・FSANZの食品科学における女性の貢献を祝福(国際女性デー)

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 284-24

6 March 2024

https://www.foodstandards.gov.au/food-standards-code/consultation/circulars/notification-circular-284-24

意見募集

・加工助剤としてのGM Trichoderma reesei由来トリアシルグリセロールリパーゼ

取り下げ

・新規食品としてのRhodomonas salina(藻)バイオマス及び抽出物

(取り下げ理由はわからないが申請していたのはオーストラリア最大の植物ベースの肉のメーカーで色素として使うこと)

 

その他

-ScienceInsider

人新世は死んだ。人新世万歳

The Anthropocene is dead. Long live the Anthropocene

5 MAR 2024 BY PAUL VOOSEN

https://www.science.org/content/article/anthropocene-dead-long-live-anthropocene

委員会はヒトの影響を反映する地質時代区分案を却下した、しかしその概念は残る

さしあたり私たちは完新世にいる

人新世の提案は、11700年前に最後の氷河期が終わって始まった現在の完新世を終わらせて1950年代から人新世とするものである。

国際層序委員会の委員でCambridge大学の地質学者Philip Gibbardは「決定は決定的なものだ」という。人新世を提案していた人達は敗北を認めない。

人間が地球に法外な影響を与えているという主張を疑う人は少ないが、1950年の化石燃料の年商増加、肥料の使用、原爆の降下物を指標とするという案は十分決定的ではない。また人類が地球に影響し始めた日を決めることができるのかの疑問もある。農業を始めた時期を指標としない理由は?また人新世提唱グループがここ数年委員会への提案はしないでメディアで広く広報していたことも問題。人新世の提案は次の検討まで10年待つ必要がある

(核実験より農業の方がはるかに大きな影響があるだろうにそこは無視して学者ではなくメディアに訴えるあたり、学問より運動色が強い)

 

-米国の人々の科学への信頼の傾向と向上の機会

Trends in U.S. public confidence in science and opportunities for progress

Arthur Lupia et al., PNAS 121 (11) e2319488121

March 4, 2024

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2319488121

NASEMの研究の卓越性・誠実性・信頼のための戦略評議会(戦略評議会)が複数の調査研究機関の知見を解析した。その結果米国の人々の科学や科学コミュニティおよび化学コミュニティリーダーへの信頼は他の市民、文化、政府組織に比べて高いものの、過去5年間でこうした組織への信頼が低下していることを発見した。科学への信頼も確かに低下しているが他の団体と同程度である

 

-SMC NZ

私たちは更年期を過剰に医療化している?-専門家の反応

Are we overmedicalising menopause? – Expert Reaction

06 March 2024

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2024/03/06/are-we-overmedicalising-menopause-expert-reaction/

オーストラリアの専門家が、Lancetに発表された一連の論文で、更年期の過剰医療化を警告し、社会の閉経期への見方への新しいアプローチと年齢に沿った女性の支援を呼びかける

(専門家コメント略、インターネットやソーシャルメディアに溢れる間違った情報や極端な一般化が懸念されている)

Lancetシリーズ

Menopause 2024

https://www.thelancet.com/series/menopause-2024

 

-SMC UK

甘い飲料と心房細動リスクの関連を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at a link between sweetened drinks and atrial fibrillation risk

MARCH 5, 2024

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-a-link-between-sweetened-drinks-and-atrial-fibrillation-risk/

Circulation: Arrhythmia and Electrophysiologyに発表された研究が甘い飲料と心房細動リスクの関連を調べた

英国心臓財団上級栄養士Victoria Taylor

この研究は週に2L以上の砂糖あるいは甘味料で甘くした飲料を飲むことと心房細動と呼ばれる不整脈のタイプのリスクを調べたものである。関連は砂糖で甘くした飲料より人工的に甘くした方が強く、また週に1L以下の100%ジュースを飲むことと心房細動リスクの低さに関連があることも発見した。この種の研究は観察研究で、関連しか見ることはできない。私たちは既に砂糖の摂りすぎは体重増加や肥満の原因となる高カロリー食と関連することを知っている。成人は1日30g以上の砂糖を摂らないよう助言されている

Aston大学医学部登録栄養士で上級講師Duane Mellor博士

これはUKバイオバンクの50万人の興味深い研究で、残念ながら半分以上にデータがなかったため除外されている。データはこの研究の最初の3年間にわたって得られた、別々の5日間の食品摂取思い出しに基づく。従って週の摂取量は推定である。また甘い飲料と心房細動の関連の生物学的理由がよくわからない。交絡の可能性を否定できない。

Glasgow大学代謝医学教授Naveed Sattar教授

この研究は興味深いが人工甘味料で甘くした飲料を飲むと心房細動になると言うにはまだまだ遠い。著者らは多くの要因の調整を試みたが他の要因の可能性は大きい。

King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授

この報告はソフトドリンクと心房細動リスクの関連を調べ、それが遺伝的感受性に影響されるかを調べた。遺伝学的に何の差も確認できなかったが、週に2L以上の甘い飲料を飲むことと死亡細動リスクの関係を確認した。これは人工甘味料のほうが砂糖入り飲料よりリスクが大きかったが、人工甘味料入り飲料の摂取量が多い人では9%が糖尿病で、砂糖入り飲料では3.6%、フルーツジュースでは0であった。

砂糖で甘くした飲料やお酒の代わりに低カロリー人工甘味料を使ったものを薦めるのは今でも良い助言のままである

 

-ILADS法は使ってはならない、ポーランドの保健大臣が言う

ILADS method should not be used, says Polish Health Ministry

https://lymescience.org/ilads-guidelines-dangerous-poland/

2023年にポーランドの放送局TOK FMの勇敢なジャーナリストがPodziemieポッドキャストシリーズでカルトのような「ライムアンダーグラウンド」を暴露した。虚偽の診断と治療を売る詐欺師達によってライム病患者が作られ、騙されて虐待されている様子を発見した。反科学活動家がそれに抗議し、2024年1月にポーランド保健大臣が感染症専門家のMiłosz Parczewski.博士の報告書の一部を取り入れて活動家に対応したが2月に完全報告書についてTwitter/Xに「ILADS法は使ってはならない」と投稿した。

以下に報告書の翻訳を示す。

(ポーランドで、ほぼ詐欺の「慢性ライム病」への抗生物質の長期複数大量投与が普通のことになってしまっていた、という話。弱点はどこの国にもあって。)