2019-10-07

[EFSA]パブリックコメント募集:食品中のアフラトキシン

Public consultation: aflatoxins in food

4 October 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/public-consultation-aflatoxins-food

EFSAは食品中のアフラトキシンの存在についての公衆衛生リスクに関してパブリックコメント募集を開始している。アフラトキシンは2種類のコウジカビから作られるマイコトキシンで、その菌は特に暖かく湿度の高い地域に見られる。アフラトキシンは遺伝毒性(DNAを損傷する可能性がある)や発がん性があることが知られている。

ほとんどの人の暴露は汚染された穀物やその派生製品に由来する。その上、アフラトキシンM1はミルクに見つかることがある。CONTAMパネルは、欧州人のアフラトキシンに対する食事暴露は健康上の懸念を引き起こすと結論した。

コメント提出の締め切りは2019115日。

 

[EU]RASFF40-2019

警報通知(Alert Notifications

ベルギー産無糖リコリス菓子の亜硫酸塩非表示、イタリア産生きたムラサキイガイの下痢性貝毒(DSP)オカダ酸(最大 >320 µg/kg>320 µg/kg)、スペイン産食品サプリメントの鉛(12 mg/kg)、アフガニスタン産ドイツ経由乾燥アプリコットの亜硫酸塩非表示(910 mg/kg)、フランス産冷凍パッションフルーツピュレの鉛(0.082 mg/kg)、ベルギー産ズッキーニの禁止物資ヘプタクロル(0.023 mg/kg)、中国産オランダ経由チューインガムの摂取による窒息リスク、米国産生きたアメリカンロブスターのカドミウム(0.77 mg/kg)

注意喚起情報(information for attention

2,4-ジニトロフェノール (DNP)のオンライン販売、中国産デザート用スチールフォークからのクロムの溶出(0.11; 0.47; 0.59 mg/l)、フランス産チルドサバのヒスタミン(325 mg/kg)、中国産冷凍ティラピアのスルファジアジン(170.5 µg/kg)、スリランカ産カレー粉のアフラトキシン(B1 = 14 µg/kg)、中国産シロップ漬けレイシのスズ(212 mg/kg)、イスラエル産食品サプリメントの未承認照射、モロッコ産チルドマダイの水銀(1.0 mg/kg)、タンザニア産チルドナイルパーチフィレの冷凍による組織学的病変、

フォローアップ用情報(information for follow-up

スイス産英国経由CBD入り未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD)、スペイン産メルゲーズソーセージの硝酸ナトリウム(E251)未承認(731 mg/kg)

通関拒否通知(Border Rejections

モロッコ産生きたカタツムリのクロルピリホス(0.182 mg/kg)、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン(B1 = 15.2; Tot. = 28.9 µg/kg)、米国産飼料用殻付きピーナッツのアフラトキシン(B1 = 91 µg/kg)、インド産バスマティ米のチアメトキサム(0.045 mg/kg)及び未承認物質トリシクラゾール(0.20 mg/kg)、中国産メラミン製食器および竹製皿からのホルムアルデヒドの溶出(24.1 mg/kg)、米国産エネルギードリンクの安息香酸高含有及び非表示(221 mg/l)、米国産殻付きピーナッツのアフラトキシン(B1 = 5.8 µg/kg)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ産ジャガイモのクロルピリホス(0.05 mg/kg)、トルコ産オーブングリル及び肉汁受け皿からのニッケルの溶出(0.5 mg/kg0.5 mg/kg)、ウルグアイ産オレンジの未承認物質フェンチオン(0.1 mg/kg)、アゼルバイジャン産ヘーゼルナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 129.8; Tot. = 150.4 µg/kg)、中国産冷凍イカのカドミウム(1.2 mg/kg)、米国産アーモンドのアフラトキシン(B1 > 24 µg/kg)

 

[EU]化粧品中ナノ物質についてのワーキンググループ会合の議事録

SCCS - Minutes of the Working Group Meeting on Nanomaterials in Cosmetic Products of 24 September 2019

https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs2016_miwg_070.pdf

検討対象はヒドロキシアパタイト(ナノ)、銅(ナノ)及びコロイド銅(ナノ)、酸化亜鉛コーティング、新たに加わったのが金(ナノ)及びコロイド金(ナノ)と白金(ナノ)及びコロイド白金(ナノ)

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 97–19  

4 October 2019

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular9719.aspx

新規申請と提案

・穀物のダスト抑制のための加工助剤としてのホワイトミネラルオイル

意見募集

・アルコール飲料への妊娠警告表示について、1027日まで

 

[FAO]世界食糧デー

World Food Day

http://www.fao.org/world-food-day/en/

20191016日世界食糧デー

今年のテーマは「飢餓ゼロの世界のための健康的食生活」

 

[Codex]コーデックス加盟国は生鮮果物野菜の基準をつくるためにメキシコに集まる

Codex Members gather in Mexico to develop standards for fresh fruits and vegetables

05/10/2019

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1236786/

2019107-11日、コーデックス生鮮果物野菜部会(CCFFV)がモンテレイで開催される。

キウイフルーツ、ニンニク、馬鈴薯(ware potatoes)など

 

[FSSAI]メディアコーナー

食品事業者による禁止されたプラスチックアイテム使用を予防するためのチェックをするように

‘Conduct checks to prevent use of banned plastic items by FBOs’ 

04-10-2019

https://fssai.gov.in/upload/media/FSSAI_NEws_Conduct_Hindu_04_10_2019.pdf

インドの地方治安判事K. RajamaniFSSAIと地方当局に、禁止されたプラスチックアイテム使用を予防するためのチェックをするように指示した。ホテルや飲食店で熱い食べ物を使い捨てプラスチックに詰めるのは包装材から溶出する可能性があるので禁止すべきである。また新聞やその他印刷された紙を揚げ物などの包装に使うのも禁止されている

(安全な水のないところでは使い捨てプラの方が安全そうなんだが・・。タイとか袋のインスタントラーメンを袋にお湯入れて食べる。推奨されてないけれど)

 

論文

-Cancersの甲状腺がん特集

Special Issue "Thyroid Cancer"

https://www.mdpi.com/journal/cancers/special_issues/Thyroid

子どもと青少年の時に放射性ヨウ素に暴露された後の甲状腺がん:131I-関連リスクと特定の宿主と環境要因の役割

Thyroid Cancer after Exposure to Radioiodine in Childhood and Adolescence: 131I-Related Risk and the Role of Selected Host and Environmental Factors

Ljubica Zupunski et al.,

https://www.mdpi.com/2072-6694/11/10/1481

チェルノブイリ。

 

-モンタナ州立大学経済学者のコロニー崩壊疾患についての研究が国の雑誌に発表された

MSU economist's research on colony collapse disorder published in national journal

4-Oct-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/msu-mer100319.php

商業用ミツバチのCCDの経済的影響についての研究がJournal of the Association of Environmental and Resource Economistsに発表された。

米国のミツバチの仕事の70%はアーモンドの授粉で、その授粉料はCCDの発生前から上昇している。結果として授粉市場におけるCCDの影響は極めて小さい。消費者への影響としては小売店でアーモンド1ポンドに7ドル支払う場合CCDの影響はおそらく10セントくらい。

 

-中国の活動家が伝統的治療に抗議-彼らは科学としての医学をのぞむ

Chinese activists protest the use of traditional treatments -- they want medical science

4-Oct-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/uoc--cap100419.php

西洋では過去数十年、科学的権威への疑いが大きくなってきた。そのことが集団予防接種計画への支持低下や代替治療の増加の一部に寄与している。しかし中国で、活動家が現代医療を擁護し中国伝統医療を批判している。中国では病院が現代医療と同じように中国伝統医療を提供する義務がある。

ここ数年中国の研究者Qiaoyan Zhuがコペンハーゲン大学コミュニケーション学部の支援で中国の科学活動家のデータを集めてきた。その解析結果をMaja Horst教授と一緒にPublic Understanding of Scienceに発表した。活動家達は中国伝統医療で治療されたり病気になったりした家族や友人に話をしたり病院などに中国伝統医療の危険性を訴えるポスターを貼ったりしている。しかし活動の多くはオンラインである

 

-スターフルーツ腎毒性:症例シリーズと文献レビュー

Star fruit nephrotoxicity: a case series and literature review.

Wijayaratne DR, et al.,

BMC Nephrol. 2018 Oct 22;19(1):288. doi: 10.1186/s12882-018-1084-1. Review

スリランカの患者3人の報告。糖尿病があり、スターフルーツを食べて急性腎障害になった可能性。

血糖降下作用を期待してスターフルーツを糖尿病治療に使うことが人気、らしい

 

-ロシアのアルコール政策:続くサクセスストーリー

Russia's alcohol policy: a continuing success story

THE LANCET Editorial|Volume 394, ISSUE 10205, P1205, October 05, 2019

ロシアのアルコール管理対策の死亡率と寿命への影響を調べたWHOの報告書によると、ロシア人の飲酒量が減って寿命が延び、男性68才女性78才と過去最高となった。101日のこの文書の発表は、チェコのプラハでの欧州アルコール行動計画のための会合と同時だった。

ロシアは世界で最も飲酒の多い国とみなされてきたが、今やアルコール生産と個人消費の両方に対応した長期戦略で飲酒の悪影響を減らすことができる例となった。1994年のロシア人男性の寿命は57才だった。1991年から2003年の間にソ連の崩壊に伴って一人あたりの飲酒量が増え、1995年から政府が徐々にアルコール対策を導入し始めた。2003年の飲酒量がピークで成人一人あたり20.4L、労働年齢の男性の死因の半分がアルコールとなった。それから摂取量が減り2011年以降は政府が積極的に有害飲酒制限対策を行った。2016年には一人あたりの飲酒量は11.7L(純エタノールのみ)になったがそれでもなお世界的に最も飲酒量の多い国のひとつのままである。201912月からは飲酒の最低年齢を21才に引き上げる予定である

 

その他

-赤肉研究の著者が彼の以前の肉業界との関連への批判に反応

Author of study on red meat responds to critique of his previous ties to meat industry

October 6, 2019

https://montrealgazette.com/news/canada/scientist-responds-to-critique-of-industry-ties-after-publishing-study-on-red-meat/wcm/7637bd0b-ea23-490e-8cca-123cd6b8aa37

開示規則により著者は過去3年の外部資金受け入れを開示しなければならないが、批判者は彼はその後の食品業界との関連も開示すべきだったという

肉の摂取量は制限すべきというよく知られた助言に疑問を提示する研究の共著者であるカナダの研究者が批判にこたえる

Dalhousie大学のBradley Johnstonは土曜日に、雑誌の開示規則に従ったと述べた。ILSIからの資金提供は約5年前でその後の関係はない。

しかしMarion NestleJohnstonの方法論と結論は砂糖摂取に関する企業が資金提供した研究と同様であるという。

 

-「全く突拍子もない!」栄養学者がこの研究は赤肉の健康リスクを過小評価していると激怒

‘Totally bizarre!’ — nutritionists see red over study downplaying the health risks of red meat

By Brett Arends  Published: Oct 6, 201

https://www.marketwatch.com/story/nutritionists-see-red-over-study-downplaying-the-health-risks-of-red-meat-2019-10-02

Annals of Internal Medicineに発表された研究は赤肉の健康リスクに関する何十年もの合意に矛盾する

国中の栄養士がこの主張に反撃している

Harvard大学のWalter Willett教授は「全く突拍子もない!」と語った。実際にはこの研究は赤肉が良いと言っているわけではない。赤肉の制限が心血管系疾患やがんの死亡率に少し影響するかもしれないという根拠が弱いあるいは非常に弱いと結論している。しかしWillett教授は健康のための助言に赤肉を含めるのは道理に適わないという。「人々はタバコを吸いたがるし砂糖入り飲料も飲みたいし安全でないセックスもしたがる」

NPO団体のPhysicians Committee for Responsible Medicineは火曜日にFTCに対してこの研究の主張を拒絶するよう請願を提出した。

一方この研究の著者の一人カナダMcMaster 大学のGordon Guyatt医学部教授はそのような反応は「ヒステリーと呼ぶレベルに達している」という

米国心臓協会や米国がん学会はバックラッシュ側である。米国心臓病学会は「無責任な食事助言に警戒している」という。2015年にIARCが赤肉を「おそらくヒト発がん性」と分類した。この決定には北米肉研究所が反論している。

このディベートの両サイドのバトルは現実世界での科学研究の実施方法についてのテクニカルな問題が絡む。これらの研究の全てに限界があり、全てが欠陥がある。

Syracuse大学の栄養と食品教授Jane Uzcateguiは全ての研究に天然に理論的欠点がある。しかし赤肉のリスクについての観察研究がとても多いのでそれらを重視するべきであろう、という。「事実は、我々は良い根拠を得ることは決してないだろう、ということである」

一般的合意に逆らう知見は常にバックラッシュにあう。この最新研究は7ヶ国14人の研究者によるもので、味方もいる。Stanford大学医学部の教授John Iannodisはこれを「極めて厳密でバイアスのないものだ」という。「これらの研究は、科学者が貧弱な根拠なのに知見を誇大宣伝して公衆衛生の大改革を要求する現在の栄養疫学のありかたへの良いカウンターバランスになっている」。

(欧米人肉の話になると盛り上がる。冷静に議論すればいいのだが、その中に陰謀論ばかり言う人って邪魔じゃない?)

 

-赤肉の急転のような研究はこれからもあるだろう

More Studies Like the Red Meat Flip-Flop Are Coming

By Shannon Palus  Oct 04, 2019

https://slate.com/technology/2019/10/red-meat-study-more-coming-nutrition-science-being-overturned-what-to-eat.html

栄養研究者らは方法論学者とバトルしている。それは何を食べたらいいかということについてどんな意味をもつ?

あなたはこれまで赤肉を食べる量を減らすよう言われてきた。しかし今回は別に問題ないことになった。科学者チームが根拠を集めたら赤肉を減らす(週に3回)ことの利益がとても小さくて全くないかもしれないという。

これはそれほど驚くべきことではなく、新しい根拠がでたわけではない。それは根拠をどう解釈するのかという問題である。そして何より栄養についての助言には限界がつきものである。

新しい研究の著者らの多くは栄養研究者ではなく、栄養研究のありかたに文句がある他の医学分野の専門家と方法論学者である。昨年12月にこの騒動の根本にある客観的でドライな論文を研究方法に関する雑誌に書いている。栄養に関する助言は他の医学的助言に比べてあまりにもずさんである。広範な、そして正確さに疑問がある食事記録の山から意味を探ろうとする観察研究を過剰に信頼している。彼らは医薬品の試験と同様の規範を栄養研究にあてはめることを提案した。そして問題の論文は新しい判断方法として提示したものである。

この全てを赤肉研究者は憎んでいる。いろいろな反論をしている。(略)

人間にコントロール食を注意深く処方した研究で赤肉の警告が大きくなる可能性はあるが、栄養科学がずさんなのは栄養学者が怠惰だからではない。多数の人々に試験対象を厳密に長期間食べさせるのは困難で倫理的にも問題があるからである。科学的証明の規則は物理学でも栄養学でも同じである。それは事実であるが笑い事でもある。人間を太陽系と同じように研究することはできない。「ベーコンは悪い」という記述は重力の法則と同じ重みをもつことは決してない。栄養研究者は自分たちの分野をより厳密にすることもできるし、外部からの批判を拒否し続けることもできる。我々にできることはもっている根拠のパラメーターを理解することだ。

ベーコンは本当に悪者なのだろうか?おそらく栄養研究の最大の欠陥は、その研究のされかたではなく、それがどのように我々の生活に流布されるかにある。華々しい見出しで、ダイエット本で、健康食品の流行で、食品を崇めたり貶めたりする。栄養科学は不完全なツールで、大人数でみられたごく僅かな影響を、利益があるかどうかわからない個人であるあなたに緊急に取り入れろと強く勧める。あなたが食べている他のものやベーコンが好きか嫌いかも考慮しない。

今回の研究方法はより多くの食品に適用され、この手のニュースサイクルは今後もみられるだろう。

 

-インフォグラフィック:GMOインポッシブルバーガーでUSDAの生命工学食品ラベルが小売店にデビュー

Infographic: USDA bioengineered food label makes grocery store debut on GMO Impossible Burger

Cameron English | October 4, 2019

https://geneticliteracyproject.org/2019/10/04/infographic-usda-bioengineered-food-label-makes-grocery-store-debut-on-gmo-impossible-burger/

GMO表示に関する何年もの激しい議論の後で、USDAの遺伝子組換え“Bioengineered”BE)表示が米国の小売店で販売されているインポッシブルバーガーの牛肉代用品に表示された。GE大豆由来肉代用品を含む

消費者がこのラベルにどう反応するかはこれから。

(環境保護のためには新しい技術を積極的に使っていく必要がある、という事実はグリーンピースなどの「環境団体」の主張の矛盾を鮮明にするけれど。)

 

-研究のやるべきことリスト:どうすればピアレビューと研究の質を改善できる?

Senseaboutscience

Research TO DO list: How can we improve the quality of peer review and research

https://senseaboutscience.org/activities/research-to-do-list/

2019年ピアレビュー週間に、一連のブログ投稿を介してやるべきことリストを作った。

以下は始まりに過ぎず、あなたのアイデアも必要である。

・報告ガイドラインにより研究の質を上げる

・研究のインテグリティ(誠実性)を向上

・失われている根拠を発表させる

 

-なぜ中華料理を食べた1時間後に空腹になるのか?

Why do people get hungry an hour after eating Chinese food?

Joe Schwarcz PhD | 4 Oct 2019

https://mcgill.ca/oss/article/nutrition/why-do-people-get-hungry-hour-after-eating-chinese-food

中華料理を食べた後1時間で空腹になるといううわさが長い間出回っているが、実際にそれを示した研究はある?

私の知る限り、噂だけで、それを確認した人はいない。まず最初に、中華料理といっても様々である。春巻と五目焼きそばとスペアリブからなる「アメリカン」中華は中国で食べられているものとは違う。中国でも地域により大きく異なる。満腹にならないという批判は主にアメリカン中華に対してで、しばしば犯人はMSGだと言われる。MSGが満腹感に干渉するという根拠はない、あったとしてもむしろ逆である。MSGはタンパク質が分解して生じるアミノ酸の一種であるグルタミン酸のナトリウム塩である。一般的にタンパク質の多い食品は満腹感が高い。

中華料理はどちらかというとタンパク質は少ない。線維も少ない。食物繊維が多いと空腹を感じにくい。また西洋食ではジャガイモを多く使い、それが満腹感が高いが中華料理ではあまり使わない。

実際のところシドニー大学で各種食品の満腹価“satiety value (SI)”は調べられている。パンを標準の100として240カロリーの食品を食べて15分後の空腹感をボランティアに報告してもらった。一般的に、タンパク質、繊維、水の多い食品が満腹価が高かった。最も高いのがゆでたジャガイモ、次がオートミール、オレンジ、リンゴだった。クロワッサンやドーナツは低かった。興味深いことに脂肪は満腹価とは逆相関があった。この満腹価は栄養の質とは関係がないことに注意。

(北米の中華への偏見がMSGの悪口になるんだ)